(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】感光性組成物、カラーフィルタ、および固体撮像素子
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20240625BHJP
G03F 7/038 20060101ALI20240625BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G03F7/004 502
G03F7/038 501
G02B5/20 101
(21)【出願番号】P 2020104353
(22)【出願日】2020-06-17
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】718000495
【氏名又は名称】東洋ビジュアルソリューションズ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小暮 健人
(72)【発明者】
【氏名】西尾 夏澄
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 克彦
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-098805(JP,A)
【文献】特開2014-126811(JP,A)
【文献】国際公開第2018/003880(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0260523(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004-7/18
G02B 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色顔料を含まず、バインダ樹脂(A)、光重合性化合物(B)、光重合性開始剤(C)、メトキシプロピルアセテートへの溶解性が3質量%以上である紫外線吸収剤(D1)、および波長365nmの光透過率が10%未満であるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(D2)を含む、感光性組成物。
【請求項2】
紫外線吸収剤(D1)が、末端に炭素数6以上のアルキル鎖を有する置換基を有する化合物である、請求項1記載の感光性組成物。
【請求項3】
紫外線吸収剤(D1)が、ベンゾトリアゾール系化合物である、請求項1または2に記載の感光性組成物。
【請求項4】
感光性組成物の不揮発分中にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(D2)を1~4質量%含む、請求項1~3いずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項5】
紫外線吸収剤(D1)およびベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(D2)の質量比がD1:D2=1:1~1:4である、請求項1~4いずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項6】
基材、および請求項1~5いずれか1項に記載の感光性組成物から形成されてなるフィルタセグメントを備える、カラーフィルタ。
【請求項7】
請求項6記載のカラーフィルタを備える、固体撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子に用いるカラーフィルタの製造に使用する感光性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像素子に使用するカラーフィルタは、感光性着色組成物を用いたフォトリソグラフィー法により微細なパターンを形成する。固体撮像素子は、画素数の増加、および画素の微細化を進めることで解像度を向上させている。しかし、画素は、微細化で開口部が小さくなると光を取り込みにくくなり感度が低下する。
【0003】
感度を向上させるため解決案が以下の文献に開示されている。
特許文献1では、着色されたフィルタセグメントに加え、無着色のフィルタセグメントを加えたカラーフィルタが開示されている。特許文献2には、紫外線吸収剤として共役ジエン系化合物を含む感光性組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-53153号公報
【文献】特開2009-265642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、画素の微細化がさらに進むと、従来の感光性組成物は、紫外線吸収剤の配合量を高めたとしても、感光性組成物の貯蔵安定性が低下する問題があった。また、被膜のポストベークで被膜の厚さが低下する(残膜率)問題があった。
【0006】
本発明は、貯蔵安定性に優れ、残膜率が高いにも関わらず微細なパターンの形成が可能な感光性組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の感光性組成物は、着色顔料を含まず、バインダ樹脂(A)、光重合性化合物(B)、光重合性開始剤(C)、メトキシプロピルアセテートへの溶解性が10質量%以上である紫外線吸収剤(D1)、波長365nmの光透過率が10%未満であるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(D2)を含む。
【発明の効果】
【0008】
上記の本発明により、貯蔵安定性に優れ、残膜率が高いにも関わらず微細なパターンの形成が可能な感光性組成物、カラーフィルタ、および固体撮像素子を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願明細書の用語を定義する。「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、又は「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、又は「アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド」を表すものとする。重合性不飽和基は、エチレン性不飽和基であり、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等である。単量体は、重合性不飽和基含有単量体である。紫外線吸収剤(D1)は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(D2)以外の化合物である。
【0010】
本発明の感光性組成物は、バインダ樹脂(A)、光重合性化合物(B)、光重合性開始剤(C)、メトキシプロピルアセテートへの溶解性が3質量%以上である紫外線吸収剤(D1)、波長365nmの光透過率が10質量%未満であるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(D2)を含み、有機顔料およびカーボンブラックなどの着色顔料を含まない。感光性組成物は、光硬化が可能である。感光性組成物は、波長365nmの光透過率が10%未満であるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(D2)を含むことで露光時に光硬化させたくない部分の硬化を抑制し、微細なパターンを形成できる。しかし、微細なパターンを形成できる程度にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(D2)を配合すると感光性組成物の保存中に析出して、被膜に異物が生じる。そこで、他の材料と相溶性が良好なメトキシプロピルアセテートへの溶解性が3質量%以上である紫外線吸収剤(D1)を併用することで、異物抑制と良好な光硬化被膜の形成を両立できる。したがって、本発明の感光性組成物は、貯蔵安定性に優れ、残膜率が高いにも関わらず微細なパターンの形成が可能である。なお、微細なパターンの形成は、解像性で評価する。
【0011】
また、感光性組成物は、無着色であり、形成される被膜は透明であることが好ましい。また、感光性組成物は、カラーフィルタの形成に使用することが好ましい。なお、前記記載は、感光性組成物のカラーフィルタ以外の用途への使用を妨げるものではない。
【0012】
<バインダ樹脂(A)>
バインダ樹脂(A)は、感光性組成物から形成する被膜をフォトリソグラフィー法でアルカリ現像によりパターン形成するためアルカリ可溶性樹脂を含むことが好ましい。そのためアルカリ可溶性樹脂は、酸基を有する。
アルカリ可溶性樹脂は、重合性不飽和基を有さないアルカリ可溶性樹脂(A1)、および重合性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂(A2)を適宜選択して使用できる。
アルカリ可溶性樹脂の酸基は、例えば、カルボキシル基、スルホン基等が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂の樹脂種は、例えば、アクリル樹脂、α-オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらの中でも現像性、耐熱性、透明性が向上する面で酸性基を有するアクリル樹脂、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体が好ましい。なお、アルカリ可溶性樹脂は、エポキシ基やオキセタニル基等の熱硬化性基を含有できる。
【0013】
アルカリ可溶性樹脂は、厚さ2μmの被膜を形成した際、可視光領域の400~700nmの全波長領域において分光透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂が好ましい。
【0014】
<重合性不飽和基を有さないアルカリ可溶性樹脂(A1)>
重合性不飽和基を有さないアルカリ可溶性樹脂(A1)は、既に説明した樹脂種の樹脂、および次に説明する重合性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂(A2)から重合性不飽和基を除いた樹脂が好ましい。なお、重合性不飽和基を有さないアルカリ可溶性樹脂(A1)は、アルカリ可溶性があればよく、樹脂種が限定されないのはいうまでもない。
【0015】
<重合性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂(A2)>
重合性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂(A2)(以下、アルカリ可溶性樹脂(A2)という)は、重合性不飽和基を有すればよく樹脂種は限定されない。アルカリ可溶性樹脂(A2)は、重合性不飽和基を有することで、露光により被膜を形成する際に、樹脂が光重合性化合物(B)とともに3次元架橋するため架橋密度が上がり、薬品耐性が向上する。
【0016】
アルカリ可溶性樹脂(A2)は、次に説明する方法(i)および方法(ii)で合成する樹脂が好ましい。
【0017】
[方法(i)]
方法(i)は、例えば、エポキシ基含有単量体とその他単量体との共重合体のエポキシ基に、モノカルボキシル基単量体のカルボキシル基を付加反応させて水酸基が生成する。次いで前記水酸基に、多塩基酸無水物を反応させることでアルカリ可溶性樹脂(A2)を合成する方法である。
【0018】
エポキシ基含有単量体は、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2-グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でもモノカルボキシル基単量体との反応性が良好なグリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0019】
モノカルボキシル基単量体は、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸、および(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等が挙げられる。
【0020】
多塩基酸無水物は、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物等が挙げられる。なお、多塩基酸無水物は、カルボキシル基を有することもできる。多塩基酸無水物は、テトラヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸を使用するとアルカリ可溶性樹脂(A2)の重合性不飽和基を増やすことができる。
【0021】
その他単量体は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、又はエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、
(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、又はアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類スチレン、又はα-メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、又はプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類;
【0022】
シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、1,2-ビスマレイミドエタン1,6-ビスマレイミドヘキサン、3-マレイミドプロピオン酸、6,7-メチレンジオキシ-4-メチル-3-マレイミドクマリン、4,4’-ビスマレイミドジフェニルメタン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン、N,N’-1,3-フェニレンジマレイミド、N,N’-1,4-フェニレンジマレイミド、N-(1-ピレニル)マレイミド、N-(2,4,6-トリクロロフェニル)マレイミド、N-(4-アミノフェニル)マレイミド、N-(4-ニトロフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ブロモメチル-2,3-ジクロロマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオナート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチラート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドヘキサノアート、N-[4-(2-ベンゾイミダゾリル)フェニル]マレイミド、9-マレイミドアクリジン等のN-置換マレイミド類;
下記一般式(1)で示す化合物が挙げられる。一般式(1)で示す化合物は、例えば、EO変性クレゾールアクリレート、n-ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート、フェノールのEO変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールのEO又はPO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのPO変性(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドである。
【0023】
【0024】
一般式(1)中、R6は、水素原子、又はメチル基であり、R7は、炭素数2若しくは3のアルキレン基であり、R8は、ベンゼン環を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基であり、nは、1~15の整数である。
【0025】
方法(i)に似た方法として、例えば、モノカルボキシル基単量体とその他単量体との共重合体の側鎖のカルボキシル基の一部に、エポキシ基含有単量体を付加反応させて、アルカリ可溶性樹脂(A2)を合成する方法も好ましい。
【0026】
[方法(ii)]
方法(ii)は、水酸基含有単量体、モノカルボキシル基単量体、およびその他単量体の共重合体の水酸基に、イソシアネート基含有単量体のイソシアネート基を反応させてアルカリ可溶性樹脂(A2)を合成する方法が好ましい。
【0027】
水酸基含有単量体は、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-若しくは3-若しくは4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキルメタアクリレート類が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用して用いてもかまわない。また、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、ポリγ-バレロラクトン、ポリε-カプロラクトン、及び/又はポリ12-ヒドロキシステアリン酸等を付加したポリエステルモノ(メタ)アクリレートも使用できる。被膜異物抑制の観点から、2-ヒドロキシエチルメタアクリレート、又はグリセロールモノ(メタ)アクリレートが好ましく、また感度の点からは2個以上6個以下の水酸基を有するものを使用することが感度の点から好ましく、グリセロールモノ(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
【0028】
イソシアネート基含有単量体は、2-(メタ)アクリロイルエチルイソシアネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1-ビス〔メタアクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
【0029】
その他単量体は、既に説明した単量体以外にリン酸エステル基含有単量体が挙げられる。リン酸エステル基含有単量体は、例えば、水酸基含有単量体の水酸基に、例えば、5酸化リンやポリリン酸等のリン酸エステル化剤を反応させた単量体である。
【0030】
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、2,000以上40,000以下が好ましく、3,000以上30,000以下がより好ましく、4,000以上20,000以下がさらに好ましい。また、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。適度な重量平均分子量(Mw)を有すると基板に対する密着性、および残膜率が向上する。なお、Mnは、数平均分子量である。
アルカリ可溶性樹脂の酸価は、30~200mgKOH/gが好ましく、50~180mgKOH/gがより好ましく、70~140mgKOH/gがさらに好ましい。適度な酸価によりアルカリ現像溶解性、およびと基板への密着性が向上する。
【0031】
アルカリ可溶性樹脂の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、1~80質量%が好ましく、5~70質量%がより好ましい。適量含有すると被膜を容易形成できる上、微細なパターンを形成し易い。
【0032】
バインダ樹脂(A)でアルカリ可溶性樹脂以外の熱可塑性樹脂は、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、及びポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0033】
バインダ樹脂(A)の合成に使用する単量体は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0034】
バインダ樹脂(A)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0035】
<光重合性化合物(B)>
光重合性化合物(B)は、重合性不飽和基を有するモノマー、オリゴマーである。光重合性化合物(B)は、重合性不飽和基を3以上有する化合物が好ましい。重合性不飽和基を3以上有する化合物を使用すると被膜の架橋密度が向上することに加え、被膜の耐溶剤性が向上する。なお、重合性不飽和基数の上限は、課題を解決できる範囲であれば良く限定されないところ、強いてあげれば、10以下が好ましく、6以下がより好ましい。
【0036】
重合性不飽和基を3以上有する化合物は、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0037】
光重合性化合物(B)は、例えば、重合性不飽和基を3以上有する(メタ)アクリレート以外に酸基含有単量体、ウレタン結合含有単量体、その他単量体を使用できる。
【0038】
酸基含有単量体の酸基は、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等が挙げられる。
【0039】
酸基含有単量体は、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との遊離水酸基含有ポリ(メタ)アクリレート類と、ジカルボン酸類とのエステル化物;多価カルボン酸と、モノヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類とのエステル化物等が挙げられる。
具体例は、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート等のモノヒドロキシオリゴアクリレート又はモノヒドロキシオリゴメタクリレート類と、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フタル酸等のジカルボン酸類との遊離カルボキシル基含有モノエステル化物;プロパン-1,2,3-トリカルボン酸(トリカルバリル酸)、ブタン-1,2,4-トリカルボン酸、ベンゼン-1,2,3-トリカルボン酸、ベンゼン-1,3,4-トリカルボン酸、ベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸等のトリカルボン酸類と、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート等のモノヒドロキシモノアクリレート又はモノヒドロキシモノメタクリレート類との遊離カルボキシル基含有オリゴエステル化物等が挙げられる。
【0040】
(ウレタン結合含有単量体)
ウレタン結合含有単量体は、例えば、水酸基含有単量体に多官能イソシアネートを反応させて得られる多官能ウレタンアクリレートや、アルコールに多官能イソシアネートを反応させ、さらに水酸基含有単量体を反応させて得られる多官能ウレタンアクリレート等が挙げられる。
【0041】
光重合性化合物(B)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0042】
光重合性化合物(B)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、1~90質量%が好ましく、25~75質量%がより好ましい。適量含有合すると硬化性及び現像性がより向上する。
【0043】
<光重合性開始剤(C)>
光重合性開始剤(C)は、例えば、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルホリノ)フェニル]-2-(フェニルメチル)-1-ブタノン、又は2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、又はベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、又は3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、又は2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、又は2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、又はエタノン,1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又はジフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が挙げられる。これらの中でも、オキシムエステル系化合物が好ましい。
【0044】
(オキシムエステル系化合物)
オキシムエステル系化合物は、紫外線を吸収することによってオキシムのN-O結合の解裂がおこり、イミニルラジカルとアルキロキシラジカルを生成する。これらのラジカルは更に分解することにより活性の高いラジカルを生成するため、少ない露光量でパターンを形成させることができる。硬化膜層を薄膜で塗工する場合、酸素による硬化阻害を受けやすくなるため被膜の硬化度が低くなることがあるが、オキシムエステル系化合物は高い量子効率を持つため好適に使用される。
【0045】
オキシムエステル系化合物は、特開2007-210991号公報、特開2009-179619号公報、特開2010-037223号公報、特開2010-215575号公報、特開2011-020998号公報等に記載のオキシムエステル系光重合開始剤が挙げられる。
【0046】
光重合性開始剤(C)は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0047】
光重合性開始剤(C)の含有量は、バインダ性樹(A)および光重合性化合物(B)の合計100質量部に対し、1~20質量%が好ましく、2~15質量%がより好ましい。適量配合すると光硬化性及び解像性がより向上する。
【0048】
<増感剤>
感光性組成物は、さらに増感剤を含有できる。
増感剤は、例えば、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2-ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ-ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリアリールメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、又はミヒラーケトン誘導体、α-アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’-ジエチルイソフタロフェノン、3,3’又は4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0049】
これらの中でもチオキサントン誘導体、ミヒラーケトン誘導体、カルバゾール誘導体が好ましい。具体的には、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン、N-エチルカルバゾール、3-ベンゾイル-N-エチルカルバゾール、3,6-ジベンゾイル-N-エチルカルバゾール等がより好ましい。
【0050】
増感剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0051】
増感剤の含有量は、光重合性開始剤(C)100質量部に対し、3~60質量部が好ましく、5~50質量部がより好ましい。適量含有すると硬化性、現像性がより向上する。
【0052】
<熱硬化性化合物>
感光性組成物は、熱硬化性化合物を含有できる。熱硬化性化合物は、低分子化合物でもよく、樹脂のような高分子量化合物でもよい。
熱硬化性化合物は、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ベンゾグアナミン化合物、ロジン変性マレイン酸化合物、ロジン変性フマル酸化合物、メラミン化合物、尿素化合物、およびフェノール化合物が挙げられる。これらの中でもエポキシ化合物、オキセタン化合物が好ましい。
【0053】
<チオール系連鎖移動剤>
感光性組成物は、チオール系連鎖移動剤を含有できる。チオール系連鎖移動剤は、光重合開始剤と併用すると光照射後のラジカル重合の際、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生し、感光性組成物の感度が向上する。
【0054】
チオール系連鎖移動剤は、チオール基(SH基)2以上有するある多官能チオールが好ましい。なお、チオール系連鎖移動剤は、SH基を4以上有することがより好ましい。官能基数が増えると被膜の表面から最深部まで光硬化し易くなる。
【0055】
多官能チオールは、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン等が挙げられる。これらの中でもエチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートが、好ましい。
【0056】
チオール系連鎖移動剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0057】
チオール系連鎖移動剤の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.1~10質量%が好ましく、0.1~3質量%がより好ましい。適量含有すると光感度が向上し、被膜表面にシワが発生し難くなる。
【0058】
<重合禁止剤>
感光性組成物は、重合禁止剤を含有できる。これにより露光時にマスクの回折光による感光を防止し、良好なパターン形状が得やすくなる。
【0059】
重合禁止剤は、例えば、カテコール、レゾルシノール、1,4-ヒドロキノン、2-メチルカテコール、3-メチルカテコール、4-メチルカテコール、2-エチルカテコール、3-エチルカテコール、4-エチルカテコール、2-プロピルカテコール、3-プロピルカテコール、4-プロピルカテコール、2-n-ブチルカテコール、3-n-ブチルカテコール、4-n-ブチルカテコール、2-tert-ブチルカテコール、3-tert-ブチルカテコール、4-tert-ブチルカテコール、3,5-ジ-tert-ブチルカテコール等のアルキルカテコール系化合物、2-メチルレゾルシノール、4-メチルレゾルシノール、2-エチルレゾルシノール、4-エチルレゾルシノール、2-プロピルレゾルシノール、4-プロピルレゾルシノール、2-n-ブチルレゾルシノール、4-n-ブチルレゾルシノール、2-tert-ブチルレゾルシノール、4-tert-ブチルレゾルシノール等のアルキルレゾルシノール系化合物、メチルヒドロキノン、エチルヒドロキノン、プロピルヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン等のアルキルヒドロキノン系化合物、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン等のホスフィン化合物、トリオクチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィンオキサイド化合物、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト等のホスファイト化合物、ピロガロール、フロログルシンなどが挙げられる。
【0060】
重合禁止剤の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.01~0.4質量%が好ましい。適量含有すると良好なパターン形状が得やすくなる。
【0061】
感光性組成物は、紫外線吸収剤としてメトキシプロピルアセテートへの溶解性が3質量%以上である紫外線吸収剤(D1)、および波長365nmの光透過率が10%未満であるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(D2)を含有する。
【0062】
<紫外線吸収剤(D1)>
紫外線吸収剤(D1)は、メトキシプロピルアセテートへの溶解性が3質量%以上である。紫外線吸収剤(D1)は、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、シアノアクリレート系化合物、およびサリシレート系化合物等が挙げられる。これらの中でもベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。なお、紫外線吸収剤(D1)は、低分子化合物、オリゴマー、ポリマーであってもよく分子量は限定されない。
【0063】
メトキシプロピルアセテートへの溶解性が3質量%以上である紫外線吸収剤(D1)の例として、TINUVIN99-2、TINUVIN384-2、TINUVIN400、TINUVIN477(BASFジャパン社製)等が挙げられる。特にメトキシプロピルアセテートへの溶解性の観点から、ベンゾトリアゾール骨格に置換された芳香族置換基の末端に炭素数6以上のアルキル鎖を有する置換基を有するTINUVIN384-2(下記式(2))、TINUVIN400(下記式(3))が好ましい。炭素数6以上のアルキル鎖を有することにより化合物同士のスタッキングが抑制されることで結晶性が低下し、メトキシプロピルアセテートへの溶解性がより向上する。末端に炭素数6以上のアルキル鎖を有する置換基は、炭化水素鎖以外に、エステル結合、エーテル結合、アミド結合等を有してもよい。
【0064】
【0065】
【0066】
紫外線吸収剤(D1)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.5~5質量%が好ましく、1~3質量%がより好ましい。適量含有すると感光性組成物の貯蔵安定性を損なわず、現像後の解像性がより向上する。
【0067】
<ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(D2)>
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(D2)は、波長365nmの光透過率が10%未満である。この程度の光透過率を有することで、微細なパターンを形成できる程度にフォトマスクの回折光を吸収できる。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(D2)は、紫外線吸収剤(D1)以外の化合物である。なお、光透過率は、0.004質量%クロロホルムまたは0.004質量%トルエン溶液として1cm石英セルに入れて測定したときの波長365nmの光透過率を測定する。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(D2)は、例えば、TINUVINPS、TINUVIN99-2、TINUVIN326、TINUVIN900、TINUVIN928、TINUVIN970(BASFジャパン社製)等が挙げられる。これらの中でも波長365nmの光吸収が良好なTINUVINPS、TINUVIN326、TINUVIN900が好ましい。
【0068】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(D2)の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、1~4質量%が好ましく、2~3質量%がより好ましい。適量含有すると感光性組成物の貯蔵安定性を損なわず、現像後の解像性がより向上する。
【0069】
本明細書で紫外線吸収剤(D1)およびベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(D2)の質量比は、D1:D2=1:1~1:4が好ましく、1:1.5~1:2がより好ましい。適切な質量比で使用すると貯蔵安定性と残膜率を高度に両立できる。
【0070】
<酸化防止剤>
感光性組成物は、酸化防止剤を含有できる。酸化防止剤は、感光性組成物に含まれる光重合開始剤や熱硬化性化合物が、熱硬化時より酸化による黄変を防止できる。これにより硬化膜の透明性を向上できる。
【0071】
酸化防止剤は、例えば、ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系、及びヒドロキシルアミン系の化合物が挙げられる。これらの中でも、被膜の透過率と感度の両立の観点から、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、リン系化合物、イオウ系化合物が好ましい。なお、本明細書で酸化防止剤は、ハロゲン原子を含有しない化合物が好ましい。
【0072】
酸化防止剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
【0073】
酸化防止剤の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.5~5.0質量%が好ましい。これにより透過率、および感度がより向上する。
【0074】
<レベリング剤>
感光性組成物は、レベリング剤を含有できる。これにより、被膜形成時の透明基板に対する濡れ性および被膜の乾燥性がより向上する。レベリング剤は、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0075】
レベリング剤は、単独または2種類以上を混合して使用できる。
【0076】
レベリング剤の含有量は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.001~2.0質量%が好ましく、0.005~1.0質量%がより好ましい。この範囲内であることで、感光性組成物の塗布性と透過率とのバランスがより向上する。
【0077】
<貯蔵安定剤>
感光性組成物は、感光性組成物の粘度の経時安定性を向上させるために貯蔵安定剤を含有できる。
貯蔵安定剤は、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t-ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。
【0078】
貯蔵安定剤は、感光性組成物の不揮発分100質量%中、0.01~1質量程度が好ましい。
【0079】
<溶剤>
感光性組成物は、溶剤を含有できる。これにより感光性組成物の粘度調整が容易になるため、表面が平滑な被膜を形成し易い。溶剤は、使用目的に応じて適宜選択し、適量を含有すれば良い。
【0080】
溶剤は、例えば、エステル溶剤(分子内に-COO-を含み、-O-を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に-O-を含み、-COO-を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に-COO-と-O-とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に-CO-を含み、-COO-を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、-O-、-CO-及び-COO-を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0081】
これらの中でも塗布性、乾燥性の面で1atmにおける沸点が120℃以上180℃以下の溶剤が好ましい。例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキシルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、シクロヘキサノン、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロヘキシルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル等がより好ましい。これらの中でも被膜平滑性と紫外線吸収剤の溶解性の面でメトキシプロピルアセテートおよびシクロヘキサノンが好ましい。
【0082】
溶剤は、単独または2種類以上を混合して使用できる。
【0083】
<感光性組成物の製造方法>
感光性組成物はバインダ樹脂(A)、光重合性化合物(B)、光重合性開始剤(C)、紫外線吸収剤(D1)、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(D2)、溶剤、及び必要に応じて添加剤等をディスパー等の撹拌装置で混合溶解して製造することができる。
【0084】
<カラーフィルタ>
本明細書でカラーフィルタは、基材、および感光性組成物から形成されてなるフィルタセグメントを備えることが好ましい。前記フィルタセグメントは透明フィルタセグメントであることが好ましい。
カラーフィルタは、さらに赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、および青色フィルタセグメントを有することが好ましい。また、カラーフィルタは、カラーフィルタセグメントとして、さらにマゼンタ色フィルタセグメント、シアン色フィルタセグメント、黄色フィルタセグメントを有することができる。
【0085】
<カラーフィルタの製造方法>
カラーフィルタは、フォトリソグラフィー法により製造することができる。調製した感光性組成物を、基材(以下、透明基板ともいう)上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2~5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して露光(放射線の照射)を行う。
なお、露光感度を上げるために、上記感光性組成物を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、露光を行うこともできる。
その後、アルカリ現像液に浸漬する、もしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、感光性組成物の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。
【0086】
前記現像液は、アルカリ現像液として、例えば、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の無機アルカリ;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリが挙げられる。また、現像液は、消泡剤や界面活性剤を添加できる。
【0087】
本発明のカラーフィルタは、上記方法の他に電着法、転写法、インクジェット法などにより製造することができるが、本発明の感光性組成物はいずれの方法にも用いることができる。なお、電着法は、基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめフィルタセグメントを形成しておき、このフィルタセグメントを所望の基板に転写させる方法である。
【0088】
本明細書で感光性組成物は、固体撮像素子を構成する部材に使用できる。
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、本発明のカラーフィルタを備える。固体撮像素子の構成は、限定されないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
【0089】
本発明の固体撮像素子は、基板上にフォトダイオード及び転送電極を有する。さらに前記フォトダイオード及び前記転送電極上に遮光膜を有する。さらに前記遮光膜上にデバイス保護膜を有し、前記デバイス保護膜上に、本発明の固体撮像素子用カラーフィルタを有する。なお、前記遮光膜は前記フォトダイオードの受光部のみ開口したタングステン等からなり、前記デバイス保護膜は遮光膜全面及びフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなる。
更に、前記固体撮像素子はカラーフィルタの上下にマイクロレンズ等の集光手段を有する構成等であってもよい。
なお、本発明の固体撮像素子として、CCDセンサ、CMOSセンサ、有機CMOSセンサ等が挙げられる。
【0090】
有機CMOSセンサは、光電変換層として薄膜のパンクロ感光性有機光電変換膜、およびCMOS信号読み出し基板を含む構成が挙げられる。有機CMOSセンサは、光を捕捉しそれを電気信号に変換する役割を有機材料が担い、電気信号を外部に取り出す役割を無機材料が担う2層構成のハイブリッド構造ですることができる。パンクロ感光性有機光電変換膜は、CMOS信号読みだし基板上全面に形成するため高価な微細加工プロセスを必要とせず、 フィルタセグメントを微細化するのに適している。カラーフィルタセグメントの配置は特に制限はなく、公知の方法を用いることある。有機CMOSセンサは、原理的には入射光に対して開口率を100%にできる。
【実施例】
【0091】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されない。また、特に断りの無い限り「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を意味する。
【0092】
まず、樹脂の平均分子量、及び樹脂の酸価の測定方法の計算方法について説明する。
【0093】
(樹脂の平均分子量)
樹脂の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、RI検出器を装備したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。装置としてHLC-8220GPC(東ソー社製)を用い、分離カラムを2本直列に繋ぎ、両方の充填剤には「TSK-GEL SUPER HZM-N」を2連でつなげて使用し、オーブン温度40℃、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)溶液を用い、流速0.35ml/minで測定した。サンプルは1質量%の上記溶離液からなる溶剤に溶解し、20マイクロリットル注入した。分子量はいずれもポリスチレン換算値である。
【0094】
(樹脂の酸価)
樹脂溶液0.5~1gに、アセトン80ml及び水10mlを加えて攪拌して均一に溶解させ、0.1mol/LのKOH水溶液を滴定液として、自動滴定装置(「COM-555」平沼産業社製)を用いて滴定し、樹脂溶液の酸価(mgKOH/g)を測定した。そして、樹脂溶液の酸価と樹脂溶液の不揮発分濃度から、樹脂の不揮発分あたりの酸価を算出した。
【0095】
<バインダ樹脂(A)の製造>
(バインダ樹脂(A-1)の製造)
攪拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計、およびガス導入管を備えたフラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)150部を入れ、フラスコに窒素ガスを注入しながら120℃に加熱して、同温度で滴下管よりスチレン10.0部、グリシジルメタクリレート15.8部、ジシクロペンタニルメタクリレート30.0部、重合開始剤のアゾビスイソブチロニトリル2.5部の混合物を2.5時間かけて滴下し重合反応を行った。
次にフラスコ内を空気置換し、アクリル酸17.3部、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.3部、及びハイドロキノン0.3部を投入し、120℃で5時間反応を続けた。 さらにテトラヒドロ無水フタル酸31.0部、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で4時間反応を行い終了した。次いで不揮発分が40%になるようにPGMAcを添加して樹脂(A-1)溶液を調製した。重合性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂(A-1)の重量平均分子量は8400、酸価は79mgKOH/gであった。
【0096】
(バインダ樹脂(A-2)の製造)
撹拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計、およびガス導入管を備えたフラスコにPGMAc150部を入れ、フラスコに窒素ガスを注入しながら120℃に加熱して、同温度で滴下管よりスチレン10.0部、グリシジルメタクリレート32.4部、ジシクロペンタニルメタクリレート10.0部、アゾビスイソブチロニトリル2.5部の混合物を2.5時間かけて滴下し重合反応を行った。
次にフラスコ内を空気置換し、アクリル酸16.4部、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.3部、及びハイドロキノン0.3部を投入し、120℃で5時間反応を続けた。 さらにテトラヒドロ無水フタル酸29.4部、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で4時間反応を行い終了した。不揮発分が40%になるようにPGMAcを添加して樹脂(A-2)溶液を調製した。重合性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂(A-2)の重量平均分子量は9600、酸価は79mgKOH/gであった。
【0097】
(バインダ樹脂(A-3)の製造)
撹拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計、およびガス導入管を備えたフラスコにPGMAc150部を入れ、フラスコに窒素ガスを注入しながら120℃に加熱して、同温度で滴下管より2-エチルヘキシルアクリレート33.0部、グリシジルメタクリレート28.3部、ジシクロペンタニルメタクリレート1.0部、アゾビスイソブチロニトリル2.5部の混合物を2.5時間かけて滴下し重合反応を行った。
次にフラスコ内を空気置換し、アクリル酸13.5部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.3部、及びハイドロキノン0.3部を投入し、120℃で5時間反応を続けた。 さらにテトラヒドロ無水フタル酸24.2部、トリエチルアミン0.5部を加え120℃で4時間反応を行い終了した。不揮発分が40%になるようにPGMAcを添加して重合性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂(A-3)溶液を調製した。樹脂(A-3)の重量平均分子量は6400、酸価は36mgKOH/gであった。
【0098】
(バインダ樹脂(A-4)の製造)
撹拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計、およびガス導入管を備えたフラスコにPGMAc145部を入れ、フラスコに窒素ガスを注入しながら120℃に加熱して、同温度で滴下管よりジシクロペンタニルメタクリレート20.0部、メタクリル酸108.0部、ベンジルメタクリレート27.6部、アゾビスイソブチロニトリル6.0部の混合物を2時間かけて滴下し重合反応を行った。
次にフラスコ内を空気置換し、グリシジルメタクリレート125.7部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.9部、及びハイドロキノン0.145部を投入し、120℃で6時間反応を行い終了した。さらに、不揮発分が40%になるようにPGMAcを添加して重合性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂(A-4)溶液を調製した。樹脂(A-4)の重量平均分子量は18500、酸価は120mgKOH/gであった。
【0099】
(バインダ樹脂(A-5)の製造)
温度計、冷却管、窒素ガス導入管、滴下管及び撹拌装置を備えたセパラブル4口フラスコに、PGMAc153.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりメタクリル酸28.0部、ベンジルメタクリレート62.0部、ジシクロペンタニルメタクリレート10.0部、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル1.4部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を行い終了した。不揮発分が40重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して、アルカリ可溶性樹脂(A-5)溶液を調製した。樹脂(A-5)の酸価は98mgKOH/g、重量平均分子量は17500であった。
【0100】
<感光性組成物の製造>
[実施例1]
(感光性組成物(R-1))
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、孔径0.45μmのナイロン製フィルタ(日本ポール社製)で濾過して、感光性組成物(R-1)を得た。
バインダ樹脂(A-1:不揮発分40%)溶液:11.67部
光重合性化合物(B-1):22.50部
光重合性開始剤(C-1):1.31部
紫外線吸収剤(D1):0.68部
紫外線吸収剤(D2):0.90部
レベリング剤(E-1:不揮発分1%):2.50部
溶剤(F-1):45.62部
溶剤(F-2):14.88部
【0101】
[実施例2~31、比較例1~3]
(感光性組成物(R-2~R-34)の作製)
表1~表3に記載した通りの材料種、質量に変更した以外は、実施例1と同様に行い感光性組成物(R-2~R-34)をそれぞれ作製した。
【0102】
<光重合性化合物(B)>
・(B-1)ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[アロニックスM306(東亞合成社製)]
・(B-2)ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[アロニックスM450(東亞合成社製)]
・(B-3)ジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物[アロニックスM402(東亞合成社製)]
・(B-4)トリメチロールプロパントリアクリレート[アロニックスM309(東亞合成社製)]
・(B-5)トリメチロールプロパンエチレンオキサイド(EO)変性トリアクリレート[アロニックスM350(東亞合成社製)]
【0103】
<光重合性開始剤(C)>
【0104】
【0105】
・(C-6)下記光重合性開始剤(C-6-1)~(C-6-4)の4種を同量配合した混合物
【0106】
【0107】
【0108】
<紫外線吸収剤(D)>
<紫外線吸収剤(D1)>
【0109】
【0110】
・(D1-3)不揮発分80%、メトキシプロピルアセテート20%(メトキシプロピルアセテートへの溶解性が80質量%)の紫外線吸収剤溶液
365nmの光透過率:1.2%
<紫外線吸収剤(D2)>
・(D2-1)BASFジャパン社製「TINUVIN326」
365nmの光透過率:1.7%
・(D2-2)BASFジャパン社製「TINUVINPS」
365nmの光透過率:5.2%
・(D2-3)BASFジャパン社製「TINUVIN900」
365nmの光透過率:5.0%
・(D2-4)BASFジャパン社製「TINUVIN928」
365nmの光透過率:9.9%
・(D2-5)BASFジャパン社製「TINUVIN970」
365nmの光透過率:7.9%
<紫外線吸収剤(D3)>
下記共役ジエン系化合物を特開2009-265642号公報記載の方法で合成した。
【0111】
【0112】
上記紫外線吸収剤(D1)および紫外線吸収剤(D2)はクロロホルムまたはトルエン溶媒に0.004質量%で溶解させ、長さ1cmの石英セルに入れて分光光度計(U-4100日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて365nmの光透過率を測定した。
【0113】
<レベリング剤(E)>
・(E-1)東レ・ダウコーニング社製「FZ-2122」1部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)99部に溶解させた溶液
・(E-2)DIC社製「メガファックF-563」30部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)70部に溶解させた溶液
【0114】
<溶剤(F)>
・(F-1)PGMAc
・(F-2)シクロヘキサノン
・(F-3)(F-3-1)~(F-3-6)を下記質量部にて混合し、溶剤(F-3)とした。
(F-3-1)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc):40部
(F-3-2)シクロヘキサノン:40部
(F-3-3)3-エトキシプロピオン酸エチル:10部
(F-3-4)プロピレングリコールモノメチルエーテル:10部
(F-3-5)シクロヘキサノールアセテート:10部
(F-3-6)ジプロプレングリコールメチルエーテルアセテート:10部
【0115】
<感光性組成物の評価>
得られた感光性組成物について、貯蔵安定性、画素平面寸法(解像性)、画素平面形状(直線性)、画素断面形状、残膜率、現像残渣に関する試験を下記の方法で行った。
【0116】
(貯蔵安定性)
感光性組成物を調製した翌日の初期粘度と、40℃で1週間、経時促進させた経時粘度を測定した。得られた初期粘度及び経時粘度の値から、下記式で経時粘度変化率を算出し、貯蔵安定性を下記基準で評価した。
[経時粘度変化率]=|([初期粘度]-[経時粘度])/[初期粘度]|×100
測定条件は、E型粘度計(東機産業社製「TV-25型粘度計」)を用いて、25℃、ロータNo.1、測定時間3分、回転数20rpmで測定した。
〇:変化率5%未満(実用上好ましいレベル)
△:変化率5%以上10%未満(実用可能なレベル)
×:変化率10%以上(実用には適さないレベル)
なお、以下同様に〇が実用上好ましいレベル、△が実用可能なレベル、×は実用には適さないレベルである。
【0117】
(解像性)
感光性組成物を直径200mmのシリコンウエハ基板上に、スピンコーターを用いて乾燥後の厚さが0.80μmとなるように塗布し、100℃1分乾燥して被膜付き基板を得た。次に、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon社製)を使用して、365nmの波長で2000J/m2の露光を行った。露光は、1.40μm四方の正方形の開口部を有するフォトマスクを通して行った。露光後の被膜をTMAH2.38%(多摩化学工業製 テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38%水溶液)で1分、パドル現像を行った。パドル現像後、20秒スピンシャワーにて純水でリンスを行い、スピン乾燥させた。開口部により形成された画素の平面寸法を走査型電子顕微鏡(日立ハイテク社製「S-3000N」)を用いて観察し、下記基準で評価した。
○:画素の一辺が1.35μm以上、1.40μm未満(実用上好ましいレベル)
△:画素の一辺が1.40μm以上、1.45μm未満(実用可能なレベル)
×:画素の一辺が1.45μm以上、1.50μm未満(実用には適さないレベル)
【0118】
(直線性)
感光性組成物を直径200mmのシリコンウエハ基板上に、スピンコーターを用いて乾燥後の厚さが0.80μmとなるように塗布し、100℃1分乾燥して基板を得た。次に、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon社製)を使用して、365nmの波長で2000J/m2の露光を行った。露光は、1.40μm四方の正方形の開口部を有するフォトマスクを通して行った。露光後の被膜をTMAH2.38%(多摩化学工業製 テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38%水溶液)で1分、パドル現像を行った。パドル現像後、20秒スピンシャワーにて純水でリンスを行い、スピン乾燥させた。開口部により形成された画素の直線性を走査型電子顕微鏡(日立ハイテク社製「S-3000N」)を用いて観察し、下記基準で評価した。
○:画素の直線性が全面で良好(実用上好ましいレベル)
△:画素の直線性が部分的に良好(実用可能なレベル)
×:画素の直線性が全面で不良(実用には適さないレベル)
【0119】
(画素断面形状)
感光性組成物を直径200mmのシリコンウエハ基板上に、スピンコーターを用いて乾燥後の厚さが0.80μmとなるように塗布し、100℃1分乾燥して基板を得た。次に、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon社製)を使用して、365nmの波長で2000J/m2の露光を行った。露光は、1.40μm四方の正方形の開口部を有するフォトマスクを通して行った。露光後の被膜をTMAH2.38%(多摩化学工業製 テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38%水溶液)で1分、パドル現像を行った。パドル現像後、20秒スピンシャワーにて純水でリンスを行い、スピン乾燥させた。開口部により形成された画素の断面形状を走査型電子顕微鏡(日立ハイテク社製「S-3000N」)を用いて観察し、下記基準で評価した。
形成したパターン部の上底線幅(T)と、上底と下底の中間幅(S)の比、T/S値が、
〇:0.65以上(実用上好ましいレベル)
△:0.60以上、0.65未満(実用可能なレベル)
×:0.60未満(実用には適さないレベル)
【0120】
(残膜率)
感光性組成物を縦100mm×横100mm・0.7mm厚のガラス基板上に、スピンコーターを用いて乾燥膜厚が0.80μmとなるように回転塗工し、100℃で1分乾燥した。次に、得られた被膜に対して、400μm四方の正方パターンマスクパターンを配列したフォトマスクを介してi線の照度30mW/cm2の超高圧水銀灯にて2000mJ/cm2の露光を行った。 パターン露光された被膜に対して、TMAH2.38%を用いて、未露光部を現像した後、純水にて水洗を行なった。その後、水滴を高圧のエアーで飛ばし、基板を自然乾燥させ、230℃で3分間、ホットプレートでポストベーク処理し、ガラス基板上に硬化膜のパターンを形成した。被膜の膜厚は、Dektak150(アルバック社製)を用いて、ポストベーク後の画素の膜厚(T1)と、露光後で現像前における膜厚(T2)とを測定した。得られた膜厚(T1)を膜厚(T2)で除して残膜率(%:=(T1/T2)×100)を求めた。評価のランクは次の通りである。
〇:残膜率が80%以上(実用上好ましいレベル)
△:残膜率が70%以上80%未満(実用可能なレベル)
×:残膜率が70%未満(実用には適さないレベル)
【0121】
(現像残渣)
感光性組成物を直径200mmのシリコンウエハ基板上に、スピンコーターを用いて乾燥後の厚さが0.80μmとなるように塗布し、100℃1分乾燥して基板を得た。次に、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(Canon社製)を使用して、365nmの波長で2000J/m2の露光を行った。露光は、1.40μm四方の正方形の開口部を有するフォトマスクを通して行った。露光後の被膜をTMAH2.38%(多摩化学工業製 テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38%水溶液)で1分、パドル現像を行った。パドル現像後、20秒スピンシャワーにて純水でリンスを行い、スピン乾燥させた。非露光部の現像残渣を走査型電子顕微鏡(日立ハイテク社製「S-3000N」)を用いて観察し、下記基準で評価した。
○:非露光部に現像残渣がない(実用上好ましいレベル)
△:非露光部の一部に現像残渣が存在(実用可能なレベル)
×:非露光部の全面に現像残渣が存在(実用には適さないレベル)
【0122】
【0123】
【0124】