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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】通路方向検出装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/06 20060101AFI20240625BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20240625BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
B60W30/06
B60W50/14
G08G1/16 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020106185
(22)【出願日】2020-06-19
(65)【公開番号】P2022001453
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】乾 陽司
(72)【発明者】
【氏名】古川 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 政孝
【審査官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102014111012(DE,A1)
【文献】国際公開第2017/170979(WO,A1)
【文献】特開2019-066934(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0345955(US,A1)
【文献】特開2018-176910(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 - 60/00
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の駐車領域を示すように路面に設けられる路面標示に基づいて、前記駐車領域からの出庫後に前記車両が走行すべき、前記駐車領域の出口に接続された通路が延びる通路方向を検出する検出処理部を備え
前記路面標示は、前記駐車領域の両側の隣接駐車領域との区画線である細長い2本の矩形線であって、前記通路と直交する方向に対して傾いた斜め方向に設けられている前記2本の矩形線であり、
前記検出処理部は、前記2本の矩形線のそれぞれに基づいて、前記駐車領域の前記出口の側の端に対応した位置における前記通路に近いほうの端部を検出し、2つの前記端部に対応した位置を通る直線が延びる方向を、前記通路方向として検出する、
通路方向検出装置。
【請求項2】
前記検出処理部は、前記駐車領域への駐車時に前記通路方向を検出し、検出した前記通路方向を、前記車両のイグニッションがオフになる前に不揮発性の記憶装置に記憶する、
請求項1に記載の通路方向検出装置。
【請求項3】
前記検出処理部により検出された前記通路方向に基づいて、前記駐車領域からの前記車両の出庫を支援するための支援処理を実行する支援処理部をさらに備える、
請求項1または請求項2に記載の通路方向検出装置。
【請求項4】
前記支援処理部は、前記駐車領域内における前記車両の前後方向と前記通路方向との間の角度、または、前記路面標示が前記駐車領域に駐車中の前記車両の左右の端部に沿った直線を含む場合は当該直線が延びる方向と前記通路方向との間の角度、に基づいて、前記支処理を実行する、
請求項に記載の通路方向検出装置。
【請求項5】
前記検出処理部は、前記駐車領域を区画する区画線、または、前記駐車領域の少なくとも一部が前記路面とは異なる色に着色されることで構成される着色領域として構成された前記路面標示を撮像することで得られる撮像画像に対する画像認識処理により検出される前記路面標示に基づいて、前記通路方向を検出する、
請求項1~のうちいずれか1項に記載の通路方向検出装置。
【請求項6】
前記検出処理部により検出された前記通路方向を示す標示を前記車両の周囲の状況とともに表示部に出力する表示処理部をさらに備える、
請求項1~のうちいずれか1項に記載の通路方向検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通路方向検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駐車領域からの車両の出庫にあたり、周辺に存在する障害物に関する情報に基づいて、出庫経路を算出する技術が知られている。このような従来の技術では、隣接する駐車領域に存在している他の車両を基準として、駐車領域からの出庫後に車両が走行すべき、駐車領域の出口に接続された通路が延びる通路方向が検出され、当該通路方向に基づいて、出庫経路が算出されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-176910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、隣接する駐車領域に存在している障害物としての他の車両の大きさ、形状および駐車の仕方などは常に一定ではないので、上述した従来の技術のように、他の車両を基準として通路方向を検出すると、適切な通路方向が算出されないことがある。
【0005】
そこで、本開示の課題の一つは、適切な通路方向を算出することが可能な通路方向検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一例としての通路方向検出装置は、車両の駐車領域を示すように路面に設けられる路面標示に基づいて、駐車領域からの出庫後に車両が走行すべき、駐車領域の出口に接続された通路が延びる通路方向を検出する検出処理部を備える。
【0007】
上述した通路方向検出装置によれば、位置が不変の路面標示を基準として適切な通路方向を検出することができる。
【0008】
上述した通路方向検出装置において、検出処理部は、路面標示に基づいて、駐車領域の出口の両端に対応した位置を検出し、当該両端に対応した位置を通る直線が延びる方向を、通路方向として検出する。このような構成によれば、駐車領域の出口の両端に対応した位置の検出結果に基づいて、適切な通路方向を検出することができる。
【0009】
また、上述した通路方向検出装置において、検出処理部は、路面標示に基づいて、駐車領域の出口に対応した線分を検出し、当該線分が延びる方向を、通路方向として検出し、支援処理部は、駐車領域の出口を進出した車両が当該線分から駐車領域側に進入しないような出庫経路を算出する。このような構成によれば、駐車領域の出口に対応した線分の検出結果に基づいて、適切な通路方向を検出することができる。
【0010】
また、上述した通路方向検出装置において、検出処理部は、駐車領域への駐車時に通路方向を検出し、検出した通路方向を、車両のイグニッションがオフになる前に不揮発性の記憶装置に記憶する。このような構成によれば、たとえば出庫に応じてイグニッションが再びオンになったときに不揮発性の記憶装置に記憶された通路方向を利用することができる。
【0011】
上述した通路方向検出装置は、検出処理部により検出された通路方向に基づいて、駐車領域からの車両の出庫を支援するための支援処理を実行する支援処理部をさらに備える。このような構成によれば、適切な通路方向に基づいて車両の出庫を適切に支援することができる。
【0012】
この場合において、支援処理部は、駐車領域内における車両の前後方向と通路方向との間の角度、または、路面標示が駐車領域に駐車中の車両の左右の端部に沿った直線を含む場合は当該直線が延びる方向と通路方向との間の角度、に基づいて、出庫支援を実行する。このような構成によれば、通路方向を利用して求められる角度に基づいて、適切な出庫支援を実行することができる。
【0013】
また、上述した通路方向検出装置において、検出処理部は、駐車領域を区画する区画線、または、駐車領域の少なくとも一部が路面とは異なる色に着色されることで構成される着色領域として構成された路面標示を撮像することで得られる撮像画像に対する画像認識処理により検出される路面標示に基づいて、通路方向を検出する。このような構成によれば、画像認識処理により検出される区画線または着色領域に基づいて、適切な通路方向を容易に検出することができる。
【0014】
また、上述した通路方向検出装置は、検出処理部により検出された通路方向を示す標示を車両の周囲の状況とともに表示部に出力する表示処理部をさらに備える。このような構成によれば、表示装置を見ることで通路方向を視覚的に分かりやすく認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態にかかる車両の車室内の構成を示した例示的かつ模式的な図である。
図2図2は、実施形態にかかる車両を上方から見た外観を示した例示的かつ模式的な図である。
図3図3は、実施形態にかかる車両のシステム構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
図4図4は、比較例にかかる出庫支援の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
図5図5は、実施形態にかかる出庫支援装置の機能を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
図6図6は、実施形態にかかる出庫支援の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
図7図7は、実施形態にかかる通路方向の検出方法および出庫経路の算出方法をより詳細に示した例示的かつ模式的な図である。
図8図8は、実施形態にかかる通路方向の検出タイミングの一例を示した例示的かつ模式的な図である。
図9図9は、実施形態にかかる車両の駐車領域への駐車時に出庫支援装置により実行される処理の一例を示した例示的なフローチャートである。
図10図10は、実施形態にかかる車両の駐車領域からの出庫時に出庫支援装置により実行される処理の一例を示した例示的なフローチャートである。
図11図11は、変形例にかかる路面標示の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
図12図12は、変形例にかかる路面標示の図11とは異なる他の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
図13図13は、変形例にかかる路面標示の図11および図12とは異なる他の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
図14図14は、変形例にかかる路面標示の図11図13とは異なる他の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
図15図15は、変形例において通路方向を視覚的に通知するための方法の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施形態および変形例を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態および変形例の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
【0017】
<実施形態>
まず、図1および図2を用いて、実施形態にかかる車両1の概略的な構成について説明する。図1は、実施形態にかかる車両1の車室2a内の構成を示した例示的かつ模式的な図であり、図2は、実施形態にかかる車両1を上方から見た外観を示した例示的かつ模式的な図である。
【0018】
図1に示されるように、実施形態にかかる車両1は、ユーザとしての運転者を含む乗員が乗車する車室2aを有している。車室2a内には、ユーザが座席2bから操作可能な状態で、制動操作部4、加速操作部5、操舵操作部6、および変速操作部7などが設けられている。
【0019】
制動操作部4は、車両1に制動力を発生させるための制動機構に対するドライバの操作入力を受け付ける操作入力デバイスであり、加速操作部5は、車両1に加速力を発生させるための加速機構に対するドライバの操作入力を受け付ける操作入力デバイスである。また、操舵操作部6は、車両1の転舵輪を転舵させるための転舵機構に対するドライバの操作入力を受け付ける操作入力デバイスであり、変速操作部7は、車両1の変速比を切り替えるための変速機構に対するドライバの操作入力を受け付ける操作入力デバイスである。
【0020】
たとえば、図1に示される例において、制動操作部4は、運転者の足下に設けられたブレーキペダルであり、加速操作部5は、運転者の足下に設けられたアクセルペダルである。また、操舵操作部6は、ダッシュボード(インストルメントパネル)から突出したステアリングホイールであり、変速操作部7は、センターコンソールから突出したシフトレバーである。
【0021】
車室2a内には、各種の画像を出力可能な表示部8と、各種の音を出力可能な音声出力部9と、を有するモニタ装置11が設けられている。モニタ装置11は、たとえば、車室2a内のダッシュボードの幅方向(左右方向)の中央部に設けられる。なお、表示部8は、たとえばLCD(液晶ディスプレイ)やOELD(有機エレクトロルミネセンスディスプレイ)などで構成されている。
【0022】
ここで、表示部8において画像が表示される領域としての表示画面には、操作入力部10が設けられている。操作入力部10は、たとえば、指やスタイラスなどの指示体が近接(接触を含む)した位置の座標を検出可能なタッチパネルとして構成されている。これにより、ユーザ(運転者)は、表示部8の表示画面に表示される画像を視認することができるとともに、操作入力部10上で指示体を用いたタッチ(タップ)操作などを行うことで、各種の操作入力を実行することができる。
【0023】
なお、実施形態では、操作入力部10が、スイッチや、ダイヤル、ジョイスティック、押しボタンなどといった、各種の物理的なインターフェースであってもよい。また、実施形態では、車室2a内におけるモニタ装置11の位置とは異なる位置に、他の音声出力装置が設けられていてもよい。この場合、音声出力部9および他の音声出力装置の両方から、各種の音情報を出力することができる。また、実施形態では、モニタ装置11が、ナビゲーションシステムやオーディオシステムなどの各種システムに関する情報を表示可能に構成されていてもよい。
【0024】
また、図1および図2に示されるように、実施形態にかかる車両1は、左右2つの前輪3Fと、左右2つの後輪3Rと、を有した四輪の自動車として構成されている。以下では、簡単化のため、前輪3Fおよび後輪3Rを、総称して車輪と記載することがある。実施形態では、4つの車輪の一部または全部の横滑り角が、操舵部303aの操作などに応じて変化(転舵)する。
【0025】
また、車両1には、周辺監視用の撮像部としての複数(図1および図2に示される例では4つ)の車載カメラ15a~15dが搭載されている。車載カメラ15aは、車体2の後側の端部2e(たとえば、リヤトランクのドア2hの下方)に設けられ、車両1の後方の領域を撮像する。また、車載カメラ15bは、車体2の右側の端部2fのドアミラー2gに設けられ、車両1の右側方の領域を撮像する。また、車載カメラ15cは、車体2の前側の端部2c(たとえば、フロントバンパ)に設けられ、車両1の前方の領域を撮像する。また、車載カメラ15dは、車体2の左側の端部2dのドアミラー2gに設けられ、車両1の左側方の領域を撮像する。以下では、特に区別する必要が無い場合、車載カメラ15a~15dを単に車載カメラ15と記載することがある。
【0026】
車載カメラ15は、たとえば、CCD(電荷結合素子)やCIS(CMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサ)などといった撮像素子を有したいわゆるデジタルカメラである。車載カメラ15は、所定のフレームレートで車両1の周囲の撮像を行い、当該撮像によって得られた撮像画像の画像データを出力する。車載カメラ15により得られる画像データは、フレーム画像として動画像を構成することも可能である。
【0027】
次に、図3を用いて、実施形態にかかる車両1において各種の制御を実現するために設けられるシステム構成について説明する。なお、図3に示されるシステム構成は、あくまで一例であるので、様々に設定(変更)可能である。
【0028】
図3は、実施形態にかかる車両1のシステム構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【0029】
図3に示されるように、実施形態にかかる車両1は、制動システム301と、加速システム302と、操舵システム303と、変速システム304と、障害物センサ305と、走行状態センサ306と、車載カメラ15と、モニタ装置11と、車両制御装置310と、車載ネットワーク350と、を有している。
【0030】
制動システム301は、車両1の減速を制御する。制動システム301は、制動部301aと、制動制御部301bと、制動部センサ301cと、を有している。
【0031】
制動部301aは、車両1の制動機構を駆動するためのたとえばアクチュエータである。制動部301aは、制動操作部4に対する操作をアシストする形で作動してもよいし、制動操作部4に対する操作とは別個に作動してもよい。
【0032】
制動制御部301bは、たとえば、CPU(中央演算処理装置)などといったハードウェアプロセッサを有したマイクロコンピュータとして構成される。制動制御部301bは、たとえば車載ネットワーク350経由で入力される指示に基づいて制動部301aを作動させることで、車両1の減速度合を制御する。
【0033】
制動部センサ301cは、制動部301a(および制動操作部4)の状態を検出するためのセンシングデバイスである。制動部センサ301cによる検出結果は、車載ネットワーク350に出力され、当該車載ネットワーク350上の各装置において利用される。
【0034】
加速システム302は、車両1の加速を制御する。加速システム302は、加速部302aと、加速制御部302bと、加速部センサ302cと、を有している。
【0035】
加速部302aは、車両1の加速機構を駆動するためのたとえばアクチュエータである。制動部301aは、加速操作部5に対する操作をアシストする形で作動してもよいし、加速操作部5に対する操作とは別個に作動してもよい。
【0036】
加速制御部302bは、たとえば、CPUなどといったハードウェアプロセッサを有したマイクロコンピュータとして構成される。加速制御部302bは、たとえば車載ネットワーク350経由で入力される指示に基づいて加速部302aを作動させることで、車両1の加速度合を制御する。
【0037】
加速部センサ302cは、加速部302a(および加速操作部5)の状態を検出するためのセンシングデバイスである。加速部センサ302cによる検出結果は、車載ネットワーク350に出力され、当該車載ネットワーク350上の各装置において利用される。
【0038】
操舵システム303は、車両1の進行方向を制御する。操舵システム303は、操舵部303aと、操舵制御部303bと、操舵部センサ303cと、を有している。
【0039】
操舵部303aは、車両1の転舵機構を駆動するためのたとえばアクチュエータである。操舵部303aは、操舵操作部6に対する操作をアシストする形で作動してもよいし、操舵操作部6に対する操作とは別個に作動してもよい。
【0040】
操舵制御部303bは、たとえば、CPUなどといったハードウェアプロセッサを有したマイクロコンピュータとして構成される。操舵制御部303bは、たとえば車載ネットワーク350経由で入力される指示に基づいて操舵部303aを作動させることで、車両1の進行方向を制御する。
【0041】
操舵部センサ303cは、操舵部303a(および操舵操作部6)の状態を検出するためのセンシングデバイスである。操舵部センサ303cによる検出結果は、車載ネットワーク350に出力され、当該車載ネットワーク350上の各装置において利用される。
【0042】
変速システム304は、車両1の変速比を制御する。変速システム304は、変速部304aと、変速制御部304bと、変速部センサ304cと、を有している。
【0043】
変速部304aは、車両1の変速機構を駆動するためのたとえばアクチュエータである。変速部304aは、変速操作部7に対する操作をアシストする形で作動してもよいし、変速操作部7に対する操作とは別個に作動してもよい。
【0044】
変速制御部304bは、たとえば、CPUなどといったハードウェアプロセッサを有したコンピュータとして構成される。変速制御部304bは、たとえば車載ネットワーク350経由で入力される指示に基づいて変速部304aを作動させることで、車両1の変速比を制御する。
【0045】
変速部センサ304cは、変速部304a(および変速操作部7)の状態を検出するためのセンシングデバイスである。変速部センサ304cによる検出結果は、車載ネットワーク350に出力され、当該車載ネットワーク350上の各装置において利用されうる。
【0046】
障害物センサ305は、車両1の周囲に存在しうる物体(障害物)に関する情報を検出するためのセンシングデバイスである。障害物センサ305は、たとえば、車両1の周囲に存在する物体までの距離を取得する測距センサを含んでいる。測距センサとしては、たとえば、音波を送信し、車両1の周囲に存在する物体により反射された音波を受信することで距離を取得するソナーや、光などの電波を送信し、車両1の周囲に存在する物体により反射された電波を受信することで距離を取得するレーザーレーダなどが用いられる。障害物センサ305による検出結果は、車載ネットワーク350に出力され、当該車載ネットワーク350上の各装置において利用されうる。
【0047】
走行状態センサ306は、車両1の走行状態を検出するための装置である。走行状態センサ306は、たとえば、車両1の車輪速を検出する車輪速センサや、車両1の前後方向または左右方向の加速度を検出する加速度センサや、車両1の旋回速度(角速度)を検出するジャイロセンサなどを含んでいる。走行状態センサ306による検出結果は、車載ネットワーク350に出力され、当該車載ネットワーク350上の各装置において利用されうる。
【0048】
車両制御装置310は、たとえば、車両1に設けられる各種のシステムを統括的に制御することで各種の機能を実現するECU(電子制御装置)として構成されている。詳細は後述するが、実施形態にかかる車両制御装置310は、駐車領域からの車両1の出庫を支援する出庫支援機能を実現する。
【0049】
車両制御装置310は、CPU310aと、ROM(リードオンリーメモリ)310bと、RAM(ランダムアクセスメモリ)310cと、SSD(ソリッドステートドライブ)310dと、表示制御部310eと、音声制御部310fと、を有している。
【0050】
CPU310aは、車両制御装置310を統括的に制御するハードウェアプロセッサである。CPU310aは、ROM310bなどに記憶された各種の制御プログラム(コンピュータプログラム)を読み出し、当該各種の制御プログラムに規定されたインストラクションにしたがって各種の機能を実現する。なお、ここで言及している各種の制御プログラムには、上述した出庫支援機能を実現するための出庫支援プログラムが含まれる。
【0051】
ROM310bは、上述した各種の制御プログラムの実行に必要なパラメータなどを記憶する不揮発性の主記憶装置である。
【0052】
RAM310cは、CPU310aの作業領域を提供する揮発性の主記憶装置である。
【0053】
SSD310dは、書き換え可能な不揮発性の補助記憶装置である。なお、実施形態にかかる車両制御装置310においては、補助記憶装置として、SSD310dに替えて(またはSSD310dに加えて)、HDD(ハードディスクドライブ)が設けられてもよい。
【0054】
表示制御部310eは、車両制御装置310で実行されうる各種の処理のうち、主として、車載カメラ15から取得される撮像画像に対する画像処理や、モニタ装置11の表示部8に出力する画像データの生成などを司る。
【0055】
音声制御部310fは、車両制御装置310で実行されうる各種の処理のうち、主として、モニタ装置11の音声出力部9に出力する音声データの生成などを司る。
【0056】
車載ネットワーク350は、制動システム301と、加速システム302と、操舵システム303と、変速システム304と、障害物センサ305と、走行状態センサ306と、モニタ装置11の操作入力部10と、車両制御装置310と、を通信可能に接続する。
【0057】
ところで、従来、上記のような出庫支援機能を実現するにあたり、周辺に存在する障害物に関する情報に基づいて、出庫経路を算出する技術が知られている。このような従来の技術では、たとえば次の図4に示される比較例のように、隣接する駐車領域に存在している障害物としての他の車両を基準として、駐車領域からの出庫後に走行すべき、駐車領域の出口に接続された通路が延びる通路方向が検出され、当該通路方向に基づいて、出庫経路が算出されることがある。
【0058】
図4は、比較例にかかる出庫支援の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【0059】
図4に示されるように、比較例は、区画線としての白線L400で区画された互いに隣接する駐車領域としての領域R400~R402のうち中央の領域R400に駐車している車両400が領域R400の出口E400から後退走行で出庫することを、上述した従来の技術を利用して支援する。より具体的に、比較例は、領域R401に駐車している車両401の端部E411と、領域R402に駐車している車両402の端部E412と、を通る直線L411が延びる方向を、通路方向として検出し、検出した通路方向に基づいて矢印A400のような出庫経路を算出し、算出した出庫経路に沿った車両400の出庫を支援する。
【0060】
しかしながら、図4に示されるように、車両400が領域R400からの出庫後に実際に走行すべき実際の通路P400が延びる方向を表す直線は、上記の直線L411とはずれた直線L410である。このずれは、他の車両401および402の大きさ、形状、および駐車の仕方などが常に一定ではないことに起因する。したがって、図4に示される例では、実際の通路方向とはずれた通路方向が検出される。通路方向は車両400の進行方向と必ずしも一致しないが、実際の通路方向とはずれた通路方向が検出されると、車両400の他の駐車領域への進入をもたらす矢印A400のような適切でない出庫経路が算出される。
【0061】
このように、隣接する駐車領域に存在している障害物としての他の車両の大きさ、形状および駐車の仕方などは常に一定ではないので、上述した従来の技術のように、他の車両を基準として通路方向を検出すると、適切な通路方向が算出されないことがある。
【0062】
そこで、実施形態は、次の図5に示されるような機能を有した出庫支援装置500を車両制御装置310内に実現することで、適切な通路方向を算出することを実現する。なお、出庫支援装置500は、「通路方向検出装置」の一例である。
【0063】
図5は、実施形態にかかる出庫支援装置500の機能を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【0064】
図5に示される機能は、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって車両制御装置310内に実現される。すなわち、図5に示される機能は、車両制御装置310のCPU310aがROM310bなどに記憶された所定の制御プログラム(出庫支援プログラム)を読み出して実行した結果として実現される。なお、実施形態では、図5に示される機能の少なくとも一部が専用のハードウェア(回路)によって実現されてもよい。
【0065】
図5に示されるように、実施形態にかかる出庫支援装置500は、取得処理部501と、検出処理部502と、支援処理部503と、を備えている。
【0066】
取得処理部501は、車載カメラ15から撮像画像を取得する。より具体的に、取得処理部501は、車両1の駐車領域を示すように路面に設けられる路面標示を含む路面が写った撮像画像を取得する。路面標示とは、たとえば上述した白線L400(図4参照)のような区画線であるが、実施形態の技術は、他の態様の路面標示(具体例は後述する)にも適用可能である。
【0067】
検出処理部502は、取得処理部501により取得された撮像画像に対して画像認識処理を実行し、撮像画像から路面標示を検出する。そして、検出処理部502は、撮像画像から検出された路面標示に基づいて、駐車領域からの出庫後に車両1が走行すべき、駐車領域の出口に接続された通路が延びる通路方向を検出する。
【0068】
支援処理部503は、検出処理部502により検出された通路方向に基づいて、駐車領域からの出庫の際に車両1が辿るべき出庫経路を算出し、当該出庫経路に沿った車両1の出庫を支援するための支援処理を実行する。
【0069】
なお、実施形態において、支援処理は、図3に示される制動システム301、加速システム302、操舵システム303、および変速システム304のうち1以上を用いた車両1の自動運転または半自動運転を実現する処理として実行されてもよいし、ドライバによる手動の運転操作を前提に、当該運転操作をガイドする画像または音声をモニタ装置11などから出力する処理として実行されてもよい。
【0070】
以下、図6図8を参照して、実施形態にかかる出庫支援についてより具体的に説明する。
【0071】
図6は、実施形態にかかる出庫支援の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【0072】
図6に示されるように、実施形態にかかる出庫支援は、細長い矩形の白線L600で区画された互いに隣接する駐車領域としての領域R600~R602のうち中央の領域R600に駐車している車両1が、領域R600の出口E600から後退走行で出庫する状況で実行される。白線L600は、通路P600と交差する方向に延びる区画線として構成されている。
【0073】
実施形態において、検出処理部502は、まず、撮像画像に対する画像認識処理としての白線検出処理により、領域R400を区画している2本の白線L600の、出口E600の両端に対応した端部E610の位置を検出する。そして、検出処理部502は、これらの端部E610の位置を通る直線L610を、通路方向として検出する。
【0074】
図6に示される例において、車両1が領域R600からの出庫後に実際に走行すべき実際の通路P600が延びる方向を表す直線は、上記の直線L610と一致する。したがって、実施形態によれば、適切な通路方向を検出することが可能である。
【0075】
すなわち、実施形態では、大きさ、形状、および駐車の仕方などが常に一定であるとは限らない他の車両601および602を基準として通路方向が検出される前述した比較例のような場合と異なり、位置が不変の白線L600を基準として通路方向が検出される。
【0076】
そして、実施形態では、車両1の向きを検出することで駐車領域R600内における車両1の前後方向を特定し、当該前後方向と、白線L600を基準として検出された通路方向との間の角度θに基づいて、出庫支援が実施される。なお、図6に示される例では、白線L600が、駐車領域R600に駐車中の車両1の左右の端部に沿った直線状に構成されている。このため、実施形態は、直線状に構成された路面標示L600が延びる方向を検出し、上記の角度θを、路面標示L600が延びる方向と、通路方向と、の間の角度として求めてもよい。
【0077】
このように、実施形態によれば、実際の通路P600が延びる方向と一致する適切な通路方向を検出することが可能であり、結果として、車両1の他の駐車領域への進入をもたらさない矢印A600に沿った適切な出庫支援を実行することが可能である。
【0078】
より詳細に、実施形態では、次の図7に示されるような方法で、通路方向の検出および出庫経路の算出が実行される。
【0079】
図7は、実施形態にかかる通路方向の検出方法および出庫経路の算出方法をより詳細に示した例示的かつ模式的な図である。図7は、図6に示される例のうち領域R600を区画する白線L600の端部E610近傍の領域のみが拡大された図に該当する。
【0080】
図7に示されるように、細長い矩形の白線L600が通路600と直交する方向に対して傾いた斜め方向に設けられている場合、白線L600の出口E600側の端部E601は、通路P600に近い方の端部E701と、通路P600から遠い方の端部E702と、の2種類存在する。
【0081】
2本の白線L600の端部E701を通る直線L711と、端部E702を通る直線L712と、のいずれも、通路方向を表す直線であると言えるので、通路方向の検出だけを考慮すると、直線L711およびL712のいずれを通路方向として採用しても特に不都合は生じないといえる。しかしながら、出庫経路の算出まで考慮すると、直線L712ではなく直線L711を採用することが妥当な場合もある。
【0082】
より具体的に、直線L711は、直線L712よりも駐車領域側に位置している。したがって、直線L712よりも駐車領域側に進入しないように算出される出庫経路よりも、直線L711よりも駐車領域側に進入しないように算出される出庫経路の方が、車両1の他の駐車領域への進入をもたらす可能性がより低いと言える。したがって、実施形態では、通路P600に近い方の端部E701を基準として特定される直線L711に基づいて、通路方向の検出および出庫経路の算出が実行される。
【0083】
このように、実施形態において、検出処理部502は、取得処理部501により取得される撮像画像に対する画像認識処理により検出される路面標示に基づいて、駐車領域の出口の両端に対応した位置を検出し、当該両端に対応した位置を通る直線が延びる方向を、通路方向として検出する。そして、支援処理部503は、駐車領域の出口を進出した車両1が駐車領域の出口の両端に対応した位置を通る直線から駐車領域側に進入しないような出庫経路を算出する。
【0084】
ところで、通路方向の検出および出庫経路の算出は、出庫の開始時における一連の処理として実行されうるが、実施形態は、次の図8に示されるように、通路方向の検出を駐車時に予め実行し、出庫経路の算出のみを出庫の開始時に実行することも想定している。
【0085】
図8は、実施形態にかかる通路方向の検出タイミングの一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【0086】
図8に示されるように、実施形態において、検出処理部502は、白線L800で区画された互いに隣接する駐車領域としての領域R800~R802のうち中央の領域R800に矢印A800に沿って車両1が駐車する状況で、通路方向を予め検出しうる。この状況においても、撮像画像に対する画像認識処理により、車両1が駐車すべき領域R800を区画する白線L800の端部E810を、領域R800の出口E800の両端に対応した位置として検出し、端部E810を通る直線L810が延びる方向を、通路方向として検出することが可能である。
【0087】
ここで、駐車が完了した場合、車両1のイグニッションがオフにされ、次に出庫を開始するタイミングで、車両1のイグニッションがオンにされることが多い。したがって、車両1の駐車時に予め検出された通路方向を出庫の開始時に改めて使用するためには、車両1のイグニッションのオンオフに関わらず通路方向を不揮発的に記憶する必要がある。
【0088】
そこで、実施形態において、検出処理部502は、駐車領域への駐車時に通路方向を検出し、検出した通路方向を、車両1のイグニッションがオフになる前に、SSD301dおよびROM310bのような不揮発性の記憶装置に記憶しうる。そして、支援処理部503は、駐車領域からの出庫にあたり車両1のイグニッションがオンになった後、不揮発性の記憶装置から通路方向を読み出し、読み出した通路方向に基づいて、出庫経路を算出し、出庫支援を実行しうる。
【0089】
以上の構成に基づき、実施形態にかかる出庫支援装置500は、たとえば下記の図9および図10に示されるような流れで処理を実行する。
【0090】
図9は、実施形態にかかる車両1の駐車領域への駐車時に出庫支援装置500により実行される処理の一例を示した例示的なフローチャートである。
【0091】
図9に示されるように、実施形態では、まず、S901において、出庫支援装置500の取得処理部501は、車載カメラ15から路面が写った撮像画像を取得する。
【0092】
そして、S902において、出庫支援装置500の検出処理部502は、S901において取得された撮像画像に対して、当該撮像画像に写っている路面標示を検出するための画像認識処理を実行する。たとえば、路面標示が、通路と交差する方向に延びる区画線として構成されている場合、検出処理部502は、車両1が駐車する予定の駐車領域を区画する2本の区画線の端部の位置を、当該駐車領域の出口の両端に対応した位置として検出する。
【0093】
そして、S903において、検出処理部502は、S902における路面標示の検出結果に基づいて、通路方向を検出する。たとえば、検出処理部502は、S902において上記のような2本の区画線の端部の位置が駐車領域の出口の両端に対応した位置として検出された場合、それらの2本の区画線の端部の位置を通る直線を、通路方向として検出する。
【0094】
そして、S904において、検出処理部502は、S903における通路方向の検出結果を、SSD301dおよびROM310bのような不揮発性の記憶装置に記憶する。ここで記憶された検出結果は、次の図10に示される出庫時の処理において利用される。そして、処理が終了する。
【0095】
図10は、実施形態にかかる車両1の駐車領域からの出庫時に出庫支援装置500により実行される処理の一例を示した例示的なフローチャートである。この図10に示される処理は、たとえば出庫にあたり車両1のイグニッションがオンになった場合に開始する。
【0096】
図10に示されるように、実施形態では、まず、S1001において、出庫支援装置500の支援処理部503は、上記のS904(図9参照)において不揮発性の記憶装置に記憶された通路方向の検出結果を読み出す。
【0097】
そして、S1002において、支援処理部503は、S1001において読み出された通路方向に基づいて、出庫の際に車両1が辿るべき出庫経路を算出する。たとえば、支援処理部503は、駐車領域の出口の両端に対応した位置を通る直線に基づいて通路方向が検出されている場合、当該直線から車両1が駐車領域側にはみ出さないような出庫経路を算出する。
【0098】
そして、S1003において、支援処理部503は、S1002で算出された出庫経路に沿った車両1の出庫を支援するための支援処理を実行する。そして、処理が終了する。なお、前述したように、実施形態において、支援処理は、図3に示される制動システム301、加速システム302、操舵システム303、および変速システム304のうち1以上を用いた車両1の自動運転または半自動運転を実現する処理として実行されてもよいし、ドライバによる手動の運転操作を前提に、当該運転操作をガイドする画像または音声をモニタ装置11などから出力する処理として実行されてもよい。
【0099】
なお、前述した通り、実施形態では、通路方向の検出および出庫経路の算出が、車両1の出庫の開始時に一連の処理として実行されてもよい。この場合、出庫にあたり実行される図10のフローチャートは、S1001の処理に代えて図9のS901~S903の処理が実行されるような形となる。
【0100】
以上説明したように、実施形態にかかる出庫支援装置500は、検出処理部502と、支援処理部503と、を備えている。検出処理部502は、車両1の駐車領域を示すように路面に設けられる路面標示に基づいて、駐車領域からの出庫後に車両1が走行すべき、駐車領域の出口に接続された通路が延びる通路方向を検出する。支援処理部503は、検出処理部502により検出された通路方向に基づいて、駐車領域からの出庫の際に車両1が辿るべき出庫経路を算出し、当該出庫経路に沿った車両1の出庫を支援するための支援処理を実行する。
【0101】
実施形態にかかる出庫支援装置500によれば、位置が不変の路面標示を基準として適切な通路方向を検出し、当該適切な通路方向に基づいて適切な出庫経路を算出することができる。
【0102】
より具体的に、実施形態において、検出処理部502は、路面標示に基づいて、駐車領域の出口の両端に対応した位置を検出し、当該両端に対応した位置を通る直線が延びる方向を、通路方向として検出する。そして、支援処理部503は、駐車領域の出口を進出した車両が当該直線から駐車領域側に進入しないような出庫経路を算出する。このような構成によれば、駐車領域の出口の両端に対応した位置の検出結果に基づいて、通路方向の検出および出庫経路の算出を適切に実行することができる。
【0103】
また、実施形態において、検出処理部502は、駐車領域への駐車時に通路方向を検出し、検出した通路方向を、車両1のイグニッションがオフになる前に、SSD301dおよびROM310bのような不揮発性の記憶装置に記憶しうる。そして、支援処理部503は、駐車領域からの出庫にあたり車両1のイグニッションがオンになった後、不揮発性の記憶装置から通路方向を読み出し、読み出した通路方向に基づいて、出庫経路を算出し、出庫支援を実行しうる。このような構成によれば、出庫時に通路方向を検出する必要が無いので、より迅速に出庫を開始することができる。
【0104】
また、実施形態において、支援処理部503は、駐車領域内における車両1の前後方向と上記の通路方向との間の角度(図6に示されるθ)に基づいて、出庫支援を実行しうる。このような構成によれば、通路方向を利用して求められる角度に基づいて、適切な出庫支援を実行することができる。なお、実施形態において、支援処理部503は、路面標示が駐車領域に駐車中の車両1の左右の端部に沿った直線を含む場合は、当該直線が延びる方向と上記の通路方向との間の角度に基づいて、出庫支援を実行してもよい。
【0105】
なお、実施形態にかかる車両制御装置310において実行される出庫支援プログラムは、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布されてもよい。すなわち、実施形態にかかる車両制御装置310において実行される出庫支援プログラムは、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納された状態で、ネットワーク経由でのダウンロードを受け付ける、といった形で提供されてもよい。
【0106】
<変形例>
上述した実施形態では、路面標示の一例として、通路と交差する方向に延びる区画線が例示されている。しかしながら、本開示の技術は、次の図11図14に示されるような、他の態様の路面標示にも適用可能である。
【0107】
図11は、変形例にかかる路面標示の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【0108】
図11に示される変形例では、路面標示としての区画線の上述した実施形態とは異なる態様の一例として、駐車領域としての領域R1100の出口E1100に接続された通路P1100と直交する方向に延びることで領域R1100を他の駐車領域としての領域R1101およびR1102と区画する細長い矩形の白線L1100が例示されている。このような白線L1100からも、上述した実施形態と同様の発想で、通路P1100の方向を示す通路方向を適切に検出し、出庫経路を適切に算出することが可能である。
【0109】
すなわち、図11に示される変形例では、通路方向の検出にあたり、まず、撮像画像に対する画像認識処理により、領域R1100を区画する2本の白線L1100の通路P1100側の端部E1111またはE1112の位置が、領域R1100の出口E1100の両端に対応した位置として検出される。そして、当該端部E1111またはE1112の位置を通る直線L1110が、通路方向として検出される。そして、出庫経路は、出口E1100を進出した車両1が直線L1110から領域R1100~R1102側に進入しないような経路として算出される。
【0110】
このように、図11に示される変形例によっても、上述した実施形態と同様に、駐車領域としての領域R1100の出口E1100の両端に対応した位置の検出結果に基づいて、通路方向の検出および出庫経路の算出を適切に実行することができる。
【0111】
なお、図11に示される変形例では、区画線が通路方向と交差している上述した実施形態と異なり、端部E1111およびE1112のいずれも通路P1100に対する近さは同等である。したがって、この変形例では、通路方向を検出する基準として、端部E1111およびE1112のうちいずれの位置を用いてもよい。
【0112】
図12は、変形例にかかる路面標示の図11とは異なる他の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【0113】
図12に示される変形例では、路面標示としての区画線の他の一例として、先端がU字状に構成された白線L1200が例示されている。白線L1200は、駐車領域としての領域R1200の出口E1200に接続された通路P1200と直交する方向に対して傾いた斜め方向に延びることで、領域R1200を他の駐車領域としての領域R1201およびR1202と区画するように構成されている。このような白線L1200からも、上述した実施形態と同様の発想で、通路P1200の方向を示す通路方向を適切に検出し、出庫経路を適切に算出することが可能である。
【0114】
すなわち、図12に示される変形例では、通路方向の検出にあたり、まず、撮像画像に対する画像認識処理により、領域R1200を区画する2本の白線L1200の通路P1200側の端部E1210の位置が、領域R1200の出口E1200の両端に対応した位置として検出される。そして、当該端部E1210の位置を通る直線L1210が、通路方向として検出される。そして、出庫経路は、出口E1200を進出した車両1が直線L1210から領域R1200~R1202側に進入しないような経路として算出される。
【0115】
このように、図12に示される変形例によっても、上述した実施形態と同様に、駐車領域としての領域R1200の出口E1200の両端に対応した位置の検出結果に基づいて、通路方向の検出および出庫経路の算出を適切に実行することができる。
【0116】
図13は、変形例にかかる路面標示の図11および図12とは異なる他の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【0117】
図13に示される変形例では、区画線以外の路面標示の一例として、駐車領域としての領域R1300、R1301、およびR1302が路面とは異なる色に着色されることで構成される着色領域M1300が例示されている。なお、着色領域M1300は、駐車領域の外形(特に出口の両端)を判別可能であれば、駐車領域の全体を着色するものであってもよいし、駐車領域の一部のみを着色するものであってもよい。このような着色領域M1200からも、上述した実施形態と同様の発想で、領域R1300の出口E1300に接続された通路P1300の方向を示す通路方向を適切に検出し、出庫経路を適切に算出することが可能である。
【0118】
すなわち、図13に示される変形例では、通路方向の検出にあたり、まず、撮像画像に対する画像認識処理により、着色領域M1300の通路P1300側の端部E1310の位置が、領域R1300の出口E1300の両端に対応した位置として検出される。そして、当該端部E1310の位置を通る直線L1310が、通路方向として検出される。そして、出庫経路は、出口E1300を進出した車両1が直線L1310から領域R1300~R1302側に進入しないような経路として算出される。
【0119】
このように、図13に示される変形例によっても、上述した実施形態と同様に、駐車領域としての領域R1300の出口E1300の両端に対応した位置の検出結果に基づいて、通路方向の検出および出庫経路の算出を適切に実行することができる。
【0120】
図14は、変形例にかかる路面標示の図11図13とは異なる他の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【0121】
図14に示される変形例では、路面標示としての区画線のさらに他の一例として、駐車領域としての領域R1400を他の駐車領域としてのR1401およびR1402と区画する白線L1401に加えて、領域R1400の出口E1400側で通路P1400と同じ方向に延びる白線L1402をさらに備えた白線L1400が例示されている。このような白線L1400からは、上述した実施形態と同一ではないが類似の発想で、通路P1400の方向を示す通路方向を適切に検出し、出庫経路を適切に算出することが可能である。
【0122】
すなわち、図14に示される変形例では、通路方向の検出にあたり、まず、撮像画像に対する画像認識処理により、領域R1400の出口E1400を示す線分S1400が検出される。そして、当該線分S1400が延びる方向が、通路方向として検出される。そして、出庫経路は、出口E1400を進出した車両1が線分S1400に沿った直線L1410から領域R1400~R1402側に進入しないような経路として算出される。
【0123】
このように、図14に示される変形例によれば、領域R1400の出口E1400に対応した線分S1400の検出結果に基づいて、通路方向の検出および出庫経路の算出を適切に実行することができる。
【0124】
また、上述した実施形態において検出される通路方向は、出庫支援に利用されるのみならず、次の図15に示される変形例のように、車両1の乗員に視覚的に通知されうる。
【0125】
図15は、変形例において通路方向を視覚的に通知するための方法の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【0126】
図15に示される画像1500は、たとえば車両1の表示部8(図3参照)に表示される。表示部8への画像1500の表示は、通路方向検出装置の一例としての出庫支援装置500(図5参照)の機能の一つとして実現されうる表示処理部(不図示)の制御のもとで実行されうる。なお、表示処理部は、図5に示される機能モジュール群とは別個の機能として実現されてもよいし、支援処理部503(図5参照)の機能の一つとして含まれていてもよい。つまり、表示部8への画像1500の表示は、出庫支援の一環として支援処理部503により実行されてもよい。
【0127】
図15に示されるように、画像1500は、車載カメラ15a~15d(図2および図3参照)参照の撮像結果に基づいて生成される、車両1の周辺の状況を上方からの視点で表した俯瞰画像1511と、車両1の後方の状況を撮像する車載カメラ15d(図2参照)から得られる後方画像1512と、を含んでいる。
【0128】
図15に示される例では、俯瞰画像1511および後方画像1512のいずれにも、津検出処理部502により検出された通路方向が表示されている。より具体的に、俯瞰画像1511には、車両1と、当該車両1の左右に並列に駐車している他の車両1501および1502と、車両1の駐車領域を区画する白線L1500と、当該白線L1500を基準として上述した実施形態と同様の方法で検出された通路方向を俯瞰画像1511の視点で示す直線状の標示L1510と、が表示されている。また、後方画像1512にも、車両1の駐車領域を区画する白線L1500と、当該白線L1500を基準として上述した実施形態と同様の方法で検出された通路方向を後方画像1512の視点で示す直線状の標示L1520と、が表示されている。
【0129】
図15に示される例によれば、表示部8を見ることで通路方向を視覚的に分かりやすく認識することができる。
【0130】
なお、上述した説明では、路面標示の例として、白線および着色領域のような路面の塗装が例示されている。しかしながら、本開示において、路面標示は、車両の駐車領域を示すように路面に設けられるものであれば、路面の塗装のような平面的な標示だけでなく、ブロック、植え込み、および紐などのような立体的な標示も含みうる。
【0131】
以上、本開示の実施形態および変形例を説明したが、上述した実施形態および変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した新規な実施形態および変形例は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上述した実施形態および変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0132】
1 車両
8 表示部
310b ROM(不揮発性の記憶装置)
310d SSD(不揮発性の記憶装置)
500 出庫支援装置(通路方向検出装置)
502 検出処理部
503 支援処理部(表示処理部)
E600、E800、E1100、E1200、E1300、E1400 出口
L600、L800、L1100、L1200、L1400 白線(区画線)
M1300 着色領域
R600、R800、R1100、R1200、R1300、R1400 領域(駐車領域)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15