(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20240625BHJP
G03G 15/23 20060101ALI20240625BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G03G21/00 310
G03G15/23
G03G21/16 195
G03G21/00 530
(21)【出願番号】P 2020109082
(22)【出願日】2020-06-24
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩川 康夫
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-222286(JP,A)
【文献】特開2003-095475(JP,A)
【文献】特開2001-183880(JP,A)
【文献】特開2018-049115(JP,A)
【文献】特開2016-212339(JP,A)
【文献】特開2005-250335(JP,A)
【文献】特開2011-190074(JP,A)
【文献】実開昭63-071160(JP,U)
【文献】特開2013-257383(JP,A)
【文献】特開2013-148740(JP,A)
【文献】特開平07-196188(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0084116(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/23
G03G 21/16
G03G 15/20
B65H 9/00- 9/20
B65H 13/00-15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
離型材を含有するトナー用いて記録材に画像を形成する画像形成装置であって、
前記記録材に形成されたトナー像を前記記録材に定着させる定着部と、
前記定着部の記録材搬送方向における下流側に配置され、定着後の前記記録材を反転させて搬送するための反転搬送経路と、
前記反転搬送経路に設けられ、前記記録材を逆送することによって該記録材を反転させて送り出す反転ローラと、
前記反転搬送経路の前記定着部と前記反転ローラとの間に設けられた搬送手段と、
前記トナー像が形成された記録材を搬送することで前記反転ローラに付着した前記離型材を除去する離型材除去部と、を備え、
前記搬送手段は、前記離型材の該搬送手段への付着を抑制する離型材付着抑制手段を有
し、
前記離型材除去部は、前記反転ローラに当接して該反転ローラに付着した前記離型材を除去する、画像形成装置。
【請求項2】
前記離型材付着抑制手段は、フッ素系樹脂製の表層を有するローラである、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記離型材付着抑制手段は、発泡シリコーン製の表層を有するローラである、請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記反転搬送経路の前記反転ローラの記録材搬送方向における上流側から前記反転ローラへエアを流して前記記録材を冷却する冷却部を備える、請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記冷却部は、前記反転搬送経路の機外側の側面に対向して設けられたファン装置を有する、請求項
4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ファン装置は、記録材幅方向における中央に配置され、機内に向けて送風する中央ファンと、記録材幅方向における両端部側に配置され、機外に向けて送風する端部ファンと、を有する、請求項
5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記冷却部は、前記反転ローラの前記定着部とは反対側に配置され、前記エアを抜くためのエア抜き部を有する、請求項5から請求項
6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記冷却部は、前記記録材を前記反転ローラへの到達時に前記離型材の結晶化温度以下に冷却する、請求項
4から請求項
7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記冷却部は、前記記録材の種類によって前記エアの風量を変える、請求項
4から請求項
8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記冷却部は、前記記録材の坪量が所定値よりも小さい薄紙である場合、前記記録材の坪量が前記所定値以上である場合よりも前記エアの風量を小さくする、請求項
9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記冷却部は、前記記録材への画像形成時の環境条件によって前記エアの風量を変える、請求項
4から請求項
10のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
離型材を含有するトナー用いて記録材に画像を形成する画像形成装置であって、
前記記録材に形成されたトナー像を前記記録材に定着させる定着部と、
前記定着部の記録材搬送方向における下流側に配置され、定着後の前記記録材を反転させて搬送するための反転搬送経路と、
前記反転搬送経路に設けられ、前記記録材を逆送することによって該記録材を反転させて送り出す反転ローラと、
前記反転搬送経路の前記定着部と前記反転ローラとの間に設けられた搬送手段と、
前記反転ローラに付着した前記離型材を除去する離型材除去部と、を備え、
前記搬送手段は、前記離型材の該搬送手段への付着を抑制する離型材付着抑制手段を有し、
前記搬送手段は、第1搬送手段と、該第1搬送手段よりも記録材搬送方向における下流側に設けられた第2搬送手段と、を備え、
前記第1搬送手段の前記離型材付着抑制手段は、フッ素系樹脂製の表層を有するローラであり、
前記第2搬送手段の前記離型材付着抑制手段は、発泡シリコーン製の表層を有するローラである
、画像形成装置。
【請求項13】
離型材を含有するトナー用いて記録材に画像を形成する画像形成装置であって、
前記記録材に形成されたトナー像を前記記録材に定着させる定着部と、
前記定着部の記録材搬送方向における下流側に配置され、定着後の前記記録材を反転させて搬送するための反転搬送経路と、
前記反転搬送経路に設けられ、前記記録材を逆送することによって該記録材を反転させて送り出す反転ローラと、
前記反転搬送経路の前記定着部と前記反転ローラとの間に設けられた搬送手段と、
前記反転ローラに付着した前記離型材を除去する離型材除去部と、を備え、
前記搬送手段は、前記離型材の該搬送手段への付着を抑制する離型材付着抑制手段を有し、
前記搬送手段は、第1搬送手段と、該第1搬送手段よりも記録材搬送方向における下流側に設けられた第2搬送手段と、を備え、
前記第1搬送手段の前記離型材付着抑制手段は、フッ素系樹脂製の表層を有するローラであり、
前記第2搬送手段の前記離型材付着抑制手段は、発泡シリコーン製の表層を有するローラであり、
前記離型材除去部は、前記反転ローラの外周面に当接して該反転ローラに付着した前記離型材をかき取ることにより除去するスクレーパを備え、
前記スクレーパは、前記記録材の前記反転搬送経路への引込み時に先端部が前記反転ローラの外周面にカウンタ方向に当接するメインスクレーパと、前記引込み時に先端部が前記反転ローラの外周面にトレール方向に当接するサブスクレーパと、を有する
、画像形成装置。
【請求項14】
離型材を含有するトナー用いて記録材に画像を形成する画像形成装置であって、
前記記録材に形成されたトナー像を前記記録材に定着させる定着部と、
前記定着部の記録材搬送方向における下流側に配置され、定着後の前記記録材を反転させて搬送するための反転搬送経路と、
前記反転搬送経路に設けられ、前記記録材を逆送することによって該記録材を反転させて送り出す反転ローラと、
前記反転搬送経路の前記定着部と前記反転ローラとの間に設けられた搬送手段と、
前記反転ローラに付着した前記離型材を除去する離型材除去部と、を備え、
前記搬送手段は、前記離型材の該搬送手段への付着を抑制する離型材付着抑制手段を有し、
前記搬送手段は、第1搬送手段と、該第1搬送手段よりも記録材搬送方向における下流側に設けられた第2搬送手段と、を備え、
前記第1搬送手段の前記離型材付着抑制手段は、フッ素系樹脂製の表層を有するローラであり、
前記第2搬送手段の前記離型材付着抑制手段は、発泡シリコーン製の表層を有するローラであり、
前記離型材除去部は、前記反転ローラの外周面に当接して該反転ローラに付着した前記離型材をかき取ることにより除去するスクレーパを備え、
前記スクレーパは、前記記録材の前記反転搬送経路への引込み時に先端部が前記反転ローラの外周面にカウンタ方向に当接するメインスクレーパと、前記引込み時に先端部が前記反転ローラの外周面にトレール方向に当接するサブスクレーパと、を有し、
前記反転ローラは、前記記録材が間を通る一対のローラを有し、
前記スクレーパは、前記一対のローラのうちの従動ローラに当接されており、該従動ローラは、記録材幅方向における前記記録材の全領域に対して同一の外径を有する
、画像形成装置。
【請求項15】
離型材を含有するトナー用いて記録材に画像を形成する画像形成装置であって、
前記記録材に形成されたトナー像を前記記録材に定着させる定着部と、
前記定着部の記録材搬送方向における下流側に配置され、定着後の前記記録材を反転させて搬送するための反転搬送経路と、
前記反転搬送経路に設けられ、前記記録材を逆送することによって該記録材を反転させて送り出す反転ローラと、
前記反転搬送経路の前記定着部と前記反転ローラとの間に設けられた搬送手段と、
前記反転ローラに付着した前記離型材を除去する離型材除去部と、を備え、
前記搬送手段は、前記離型材の該搬送手段への付着を抑制する離型材付着抑制手段を有し、
前記搬送手段は、第1搬送手段と、該第1搬送手段よりも記録材搬送方向における下流側に設けられた第2搬送手段と、を備え、
前記第1搬送手段の前記離型材付着抑制手段は、フッ素系樹脂製の表層を有するローラであり、
前記第2搬送手段の前記離型材付着抑制手段は、発泡シリコーン製の表層を有するローラであり、
前記離型材除去部は、前記反転ローラの外周面に当接して該反転ローラに付着した前記離型材をかき取ることにより除去するスクレーパを備え、
前記スクレーパは、前記記録材の前記反転搬送経路への引込み時に先端部が前記反転ローラの外周面にカウンタ方向に当接するメインスクレーパと、前記引込み時に先端部が前記反転ローラの外周面にトレール方向に当接するサブスクレーパと、を有し、
前記反転ローラは、前記記録材が間を通る一対のローラを有し、
前記スクレーパは、前記一対のローラのうちの従動ローラに当接されており、該従動ローラは、記録材幅方向における前記記録材の全領域に対して同一の外径を有し、
前記従動ローラおよび前記スクレーパは、前記反転搬送経路に対して前記記録材の画像形成面側に配置されている
、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、離型材を含有するトナー用いて記録材に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機やプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置においては、一様に帯電した感光体(例えば感光ドラム)に対して、入力画像データに基づく光が照射(露光)されることにより、感光体表面に静電潜像が形成される。そして、静電潜像が形成された感光体に現像部からトナーが供給されることにより、静電潜像が可視化されてトナー像が形成される。このトナー像が、直接又は中間転写体(例えば、中間転写ベルト)を介して間接的に記録材に転写された後、定着部で加熱、加圧されることにより、記録材に画像が形成される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、画像形成装置には、記録材の両面に画像を形成するために、定着後の記録材を反転させて搬送するための反転搬送経路が配置されている。そして、反転搬送経路に設けられた反転ローラにより記録材を逆送することによって、定着後の記録材が反転させられて送り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような画像形成装置では、トナー粒子に離型材を含有させたワックス含有トナーを使用することにより、定着部の定着面側部材と記録材との剥離性が確保されている。
【0006】
しかしながら、このような画像形成装置においては、定着部から排出された記録材上の離型材が反転ローラに付着して搬送力が低下し、反転ローラによる記録材の搬送不良を引き起こすおそれがある。このため、安定した出力画像が得られなくなる。
【0007】
一方、近年では、環境負荷低減対応として、定着部の低消費電力化が要求されており、かかる要求に対して、低温定着性に優れた低融点のトナーが開発されている。しかしながら、低融点トナーにおいては、離型材の融点(凝固点)も低温になるため、定着後に離型材を十分に冷却して固化させることができず、定着部の下流側に配置された搬送手段に未だ固化していない状態の離型材が付着するおそれがある。そして、搬送手段に付着した離型材が後続の記録材に転写されると、光沢が不均一になる等の画像不良が生じ、安定した出力画像が得られなくなる。
【0008】
本発明は、前記した事情に鑑みてなされたものであり、安定した出力画像を得ることができる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記課題は、下記の手段によって解決される。
【0010】
(1)離型材を含有するトナー用いて記録材に画像を形成する画像形成装置であって、前記記録材に形成されたトナー像を前記記録材に定着させる定着部と、前記定着部の記録材搬送方向における下流側に配置され、定着後の前記記録材を反転させて搬送するための反転搬送経路と、前記反転搬送経路に設けられ、前記記録材を逆送することによって該記録材を反転させて送り出す反転ローラと、前記反転搬送経路の前記定着部と前記反転ローラとの間に設けられた搬送手段と、前記トナー像が形成された記録材を搬送することで前記反転ローラに付着した前記離型材を除去する離型材除去部と、を備え、前記搬送手段は、前記離型材の該搬送手段への付着を抑制する離型材付着抑制手段を有し、前記離型材除去部は、前記反転ローラに当接して該反転ローラに付着した前記離型材を除去する、画像形成装置。
【0011】
(2)前記離型材付着抑制手段は、フッ素系樹脂製の表層を有するローラである、(1)に記載の画像形成装置。
【0012】
(3)前記離型材付着抑制手段は、発泡シリコーン製の表層を有するローラである、(1)または(2)に記載の画像形成装置。
【0014】
(4)前記反転搬送経路の前記反転ローラの記録材搬送方向における上流側から前記反転ローラへエアを流して前記記録材を冷却する冷却部を備える、(1)から(3)のいずれか一つの画像形成装置。
【0015】
(5)前記冷却部は、前記反転搬送経路の機外側の側面に対向して設けられたファン装置を有する、(4)に記載の画像形成装置。
【0016】
(6)前記ファン装置は、記録材幅方向における中央に配置され、機内に向けて送風する中央ファンと、記録材幅方向における両端部側に配置され、機外に向けて送風する端部ファンと、を有する、(5)に記載の画像形成装置。
【0017】
(7)前記冷却部は、前記反転ローラの前記定着部とは反対側に配置され、前記エアを抜くためのエア抜き部を有する、(4)から(6)のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【0018】
(8)前記冷却部は、前記記録材を前記反転ローラへの到達時に前記離型材の結晶化温度以下に冷却する、(4)から(7)のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【0019】
(9)前記冷却部は、前記記録材の種類によって前記エアの風量を変える、(4)から(8)のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【0020】
(10)前記冷却部は、前記記録材の坪量が所定値よりも小さい薄紙である場合、前記記録材の坪量が前記所定値以上である場合よりも前記エアの風量を小さくする、(9)に記載の画像形成装置。
(11)前記冷却部は、前記記録材への画像形成時の環境条件によって前記エアの風量を変える、(4)から(10)のいずれか一つに記載の画像形成装置。
(12)離型材を含有するトナー用いて記録材に画像を形成する画像形成装置であって、前記記録材に形成されたトナー像を前記記録材に定着させる定着部と、前記定着部の記録材搬送方向における下流側に配置され、定着後の前記記録材を反転させて搬送するための反転搬送経路と、前記反転搬送経路に設けられ、前記記録材を逆送することによって該記録材を反転させて送り出す反転ローラと、前記反転搬送経路の前記定着部と前記反転ローラとの間に設けられた搬送手段と、前記反転ローラに付着した前記離型材を除去する離型材除去部と、を備え、前記搬送手段は、前記離型材の該搬送手段への付着を抑制する離型材付着抑制手段を有し、前記搬送手段は、第1搬送手段と、該第1搬送手段よりも記録材搬送方向における下流側に設けられた第2搬送手段と、を備え、前記第1搬送手段の前記離型材付着抑制手段は、フッ素系樹脂製の表層を有するローラであり、前記第2搬送手段の前記離型材付着抑制手段は、発泡シリコーン製の表層を有するローラである、画像形成装置。
(13)離型材を含有するトナー用いて記録材に画像を形成する画像形成装置であって、前記記録材に形成されたトナー像を前記記録材に定着させる定着部と、前記定着部の記録材搬送方向における下流側に配置され、定着後の前記記録材を反転させて搬送するための反転搬送経路と、前記反転搬送経路に設けられ、前記記録材を逆送することによって該記録材を反転させて送り出す反転ローラと、前記反転搬送経路の前記定着部と前記反転ローラとの間に設けられた搬送手段と、前記反転ローラに付着した前記離型材を除去する離型材除去部と、を備え、前記搬送手段は、前記離型材の該搬送手段への付着を抑制する離型材付着抑制手段を有し、前記搬送手段は、第1搬送手段と、該第1搬送手段よりも記録材搬送方向における下流側に設けられた第2搬送手段と、を備え、前記第1搬送手段の前記離型材付着抑制手段は、フッ素系樹脂製の表層を有するローラであり、前記第2搬送手段の前記離型材付着抑制手段は、発泡シリコーン製の表層を有するローラであり、前記離型材除去部は、前記反転ローラの外周面に当接して該反転ローラに付着した前記離型材をかき取ることにより除去するスクレーパを備え、前記スクレーパは、前記記録材の前記反転搬送経路への引込み時に先端部が前記反転ローラの外周面にカウンタ方向に当接するメインスクレーパと、前記引込み時に先端部が前記反転ローラの外周面にトレール方向に当接するサブスクレーパと、を有する、画像形成装置。
(14)離型材を含有するトナー用いて記録材に画像を形成する画像形成装置であって、前記記録材に形成されたトナー像を前記記録材に定着させる定着部と、前記定着部の記録材搬送方向における下流側に配置され、定着後の前記記録材を反転させて搬送するための反転搬送経路と、前記反転搬送経路に設けられ、前記記録材を逆送することによって該記録材を反転させて送り出す反転ローラと、前記反転搬送経路の前記定着部と前記反転ローラとの間に設けられた搬送手段と、前記反転ローラに付着した前記離型材を除去する離型材除去部と、を備え、前記搬送手段は、前記離型材の該搬送手段への付着を抑制する離型材付着抑制手段を有し、前記搬送手段は、第1搬送手段と、該第1搬送手段よりも記録材搬送方向における下流側に設けられた第2搬送手段と、を備え、前記第1搬送手段の前記離型材付着抑制手段は、フッ素系樹脂製の表層を有するローラであり、前記第2搬送手段の前記離型材付着抑制手段は、発泡シリコーン製の表層を有するローラであり、前記離型材除去部は、前記反転ローラの外周面に当接して該反転ローラに付着した前記離型材をかき取ることにより除去するスクレーパを備え、前記スクレーパは、前記記録材の前記反転搬送経路への引込み時に先端部が前記反転ローラの外周面にカウンタ方向に当接するメインスクレーパと、前記引込み時に先端部が前記反転ローラの外周面にトレール方向に当接するサブスクレーパと、を有し、前記反転ローラは、前記記録材が間を通る一対のローラを有し、前記スクレーパは、前記一対のローラのうちの従動ローラに当接されており、該従動ローラは、記録材幅方向における前記記録材の全領域に対して同一の外径を有する、画像形成装置。
(15)離型材を含有するトナー用いて記録材に画像を形成する画像形成装置であって、前記記録材に形成されたトナー像を前記記録材に定着させる定着部と、前記定着部の記録材搬送方向における下流側に配置され、定着後の前記記録材を反転させて搬送するための反転搬送経路と、前記反転搬送経路に設けられ、前記記録材を逆送することによって該記録材を反転させて送り出す反転ローラと、前記反転搬送経路の前記定着部と前記反転ローラとの間に設けられた搬送手段と、前記反転ローラに付着した前記離型材を除去する離型材除去部と、を備え、前記搬送手段は、前記離型材の該搬送手段への付着を抑制する離型材付着抑制手段を有し、前記搬送手段は、第1搬送手段と、該第1搬送手段よりも記録材搬送方向における下流側に設けられた第2搬送手段と、を備え、前記第1搬送手段の前記離型材付着抑制手段は、フッ素系樹脂製の表層を有するローラであり、前記第2搬送手段の前記離型材付着抑制手段は、発泡シリコーン製の表層を有するローラであり、前記離型材除去部は、前記反転ローラの外周面に当接して該反転ローラに付着した前記離型材をかき取ることにより除去するスクレーパを備え、前記スクレーパは、前記記録材の前記反転搬送経路への引込み時に先端部が前記反転ローラの外周面にカウンタ方向に当接するメインスクレーパと、前記引込み時に先端部が前記反転ローラの外周面にトレール方向に当接するサブスクレーパと、を有し、前記反転ローラは、前記記録材が間を通る一対のローラを有し、前記スクレーパは、前記一対のローラのうちの従動ローラに当接されており、該従動ローラは、記録材幅方向における前記記録材の全領域に対して同一の外径を有し、前記従動ローラおよび前記スクレーパは、前記反転搬送経路に対して前記記録材の画像形成面側に配置されている、画像形成装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、安定した出力画像を得ることができる画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置を模式的に示す構成図である。
【
図2】画像形成装置の反転搬送経路の周辺を模式的に示す拡大図である。
【
図3】冷却部のファン装置を模式的に示す拡大斜視図である。
【
図4】反転ローラの周辺を模式的に示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
各図において、同一のまたは同質の構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を適宜省略する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置100を模式的に示す構成図である。
図1に示す画像形成装置100は、例えば複写機といった電子写真方式の画像形成装置である。この画像形成装置100は、複数の感光体を一本の中間転写ベルトに対面させて縦方向に配列することによりフルカラーの画像を形成する、いわゆる、タンデム型カラー画像形成装置である。
【0025】
画像形成装置100は、原稿読取装置12と、4組の画像形成部10Y,10M,10C,10Kと、定着部50と、制御部11とを主に備えて構成されており、これらが一つの筐体内に収められている。
【0026】
原稿読取装置12は、走査露光装置の光学系により原稿の画像を走査露光し、その反射光をラインイメージセンサーにより読み取り、これにより、画像信号を得る。この画像信号は、A/D変換、シェーディング補正、圧縮等の処理が施された後、画像データとして制御部11に入力される。なお、制御部11に入力される画像データは、原稿読取装置12で読み取ったものに限らず、例えば、画像形成装置100に接続されたパーソナルコンピューターや他の画像形成装置から受信したものであってもよい。
【0027】
画像形成部10Yはイエロー(Y)の画像を形成し、画像形成部10Mはマゼンダ(M)の画像を形成し、画像形成部10Cはシアン(C)の画像を形成し、画像形成部10Kはブラック(K)の画像を形成する。
【0028】
画像形成部10Yは、感光体ドラム1Y、及びその周辺に配置された帯電部2Y、光書込部3Y、現像装置4Y及びドラムクリーナー5Yで構成されている。同様に、画像形成部10M,10C,10Kは、感光体ドラム1M,1C,1K、及びその周辺に配置された帯電部2M,2C,2K、光書込部3M,3C,3K、現像装置4M,4C,4K及びドラムクリーナー5M,5C,5Kで構成されている。
【0029】
感光体ドラム1Y~1Kは、帯電部2Y~2Kによりその表面が一様に帯電させられ、光書込部3Y~3Kによる走査露光により、感光体ドラム1Y~1Kには潜像が形成される。さらに、現像装置4Y~4Kは、トナーで現像することによって感光体ドラム1Y~1K上の潜像を顕像化する。トナーとしては、トナー粒子に離型材を含有させたワックス含有トナーが用いられる。これにより、感光体ドラム1Y~1K上には、イエロー、マゼンダ、シアン及びブラックのいずれかに対応する所定色のトナー画像が形成される。感光体ドラム1Y~1K上に形成されたトナー画像は、1次転写ローラ7Y,7M,7C,7Kにより、回転する中間転写ベルト6上の所定位置へと逐次転写される。
【0030】
中間転写ベルト6上に転写された各色よりなるトナー画像は、後述する給紙装置20により所定のタイミングで供給される記録材としての用紙Pに対して、2次転写ローラ9によって転写される。2次転写ローラ9は中間転写ベルト6と圧接するように配置されている。
【0031】
用紙Pは給紙装置20の給紙トレイ21に収容されており、当該給紙トレイ21に収容された用紙Pは、給紙部22により取り込まれ、搬送経路へと送り出される。あるいは、用紙Pは、画像形成装置100と接続された外部給紙装置(図示せず)が有する給紙トレイに収容されており、外部給紙装置が保有する用紙Pは、当該外部給紙装置から画像形成装置100へと供給されることで、主搬送経路41へと送り出される。
【0032】
主搬送経路41において、用紙Pにトナー画像を転写する転写位置(すなわち、中間転写ベルト6と2次転写ローラ9との圧接位置)よりも上流側には、用紙Pを搬送する複数の搬送手段が設けられている。個々の搬送手段は、圧接された一対のローラによって構成されており、例えば電動モーター等の駆動手段を通じて少なくとも一方のローラが回転駆動することにより用紙Pを搬送する。具体的には、用紙搬送方向の上流側から下流側にかけて、中間搬送ローラ23~25、ループローラ26及びレジストローラ27が搬送手段として設けられている。
【0033】
定着部50は、2次転写ローラ9によりトナー画像が転写された用紙Pに、当該トナー画像を定着させる。定着部50は、例えば、定着ニップ部を形成する一対の定着部材51,52(例えば一対のローラ)と、当該定着部材51,52の一方又は双方を加熱するヒータとで構成されている。この定着部50は、用紙Pの搬送過程において当該用紙Pが定着ニップ部を通過することより、一対の定着部材51,52による加圧と、定着部材51,52の有する熱との作用を通じて、用紙Pへのトナー画像の定着を行う。
【0034】
定着部50により定着処理が施された用紙Pは、排紙ローラ28により、画像形成装置100の筐体の外部側面に取り付けられた排紙トレイ29に排出される。
【0035】
用紙Pの裏面にも画像形成を行う場合、用紙Pの表面に対する画像形成を終えた用紙Pは、切換ゲート55により、下方にある反転搬送経路42へと搬送される。反転搬送経路42は、定着部の記録材搬送方向における下流側に配置されており、定着後の用紙Pを反転させて搬送するための搬送経路である。反転搬送経路42には、反転ローラ(スイッチバックローラ)33が設けられている。
【0036】
反転ローラ33は、搬送されて来た用紙Pを挟持した後、用紙Pを逆送することによって該用紙Pを反転させて再給紙搬送経路43に送り出す。再給紙搬送経路43へと送り出された用紙Pは、複数の再給紙用の搬送手段によって搬送され、転写位置へと回帰させられる。
【0037】
図2は、画像形成装置100の反転搬送経路42の周辺を模式的に示す拡大図である。
図2に示すように、反転搬送経路42の定着部50と反転ローラ33との間には、搬送手段30が設けられている。搬送手段30は、第1搬送手段31と、第1搬送手段31よりも用紙搬送方向における下流側に設けられた第2搬送手段32とを備えている。
【0038】
第1搬送手段31は、用紙Pが間を通る一対のローラ31a,31bを有している。一対のローラ31a,31bは、互いに圧接させられる。一対のローラ31a,31bのうち、反転搬送経路42に対して用紙Pの画像形成面側に配置されているローラ31aは、フッ素系樹脂製の表層を有するローラである。ローラ31aは、離型材の第1搬送手段31への付着を抑制する離型材付着抑制手段として機能する。
【0039】
フッ素系樹脂としては、例えば、PFA:パーフルオロアルコキシアルカン(四フッ化エチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体)、PTFE:ポリテトラフルオロエチレン、PVDF:ポリビニリデンフルオライド等が使用され得る。ローラ31aの表層は、フッ素系樹脂チューブに芯金を挿通することにより形成されてもよいし、芯金の表面にフッ素系樹脂をコーティングすることによって形成されてもよい。
【0040】
第1搬送手段31は、定着によって生じるカールを除去する機能を有していてもよい。用紙Pのカールは、主に定着部材51と定着部材52の硬度差や加熱温度差によって生じる。この場合、第1搬送手段31は、用紙Pに生じたカールに対して、逆方向のカールを付与するように構成される。
【0041】
第2搬送手段32は、用紙Pが間を通る一対のローラ32a,32bを有している。一対のローラ32a,32bは、互いに圧接させられる。一対のローラ32a,32bのうち、反転搬送経路42に対して用紙Pの画像形成面側に配置されているローラ32aは、発泡シリコーン製の表層を有するローラである。ローラ32aは、離型材の第2搬送手段32への付着を抑制する離型材付着抑制手段として機能する。
【0042】
発泡シリコーンは、離型材を吸収し得る機能を有している。したがって、用紙P上で溶融状態となっている離型材の一部は、ローラ32aの発泡シリコーン製の表層によって吸収される。このため、ローラ32aの表層の表面には離型材がたまりにくくなる。なお、第2搬送手段32のローラ32aは、離型材の吸収機能が確保されるように、定期的に交換されることが望ましい。
【0043】
また、画像形成装置100は、反転搬送経路42の反転ローラ33の用紙搬送方向における上流側から反転ローラ33へエアを流して用紙Pを冷却する冷却部60を備えている。冷却部60は、反転搬送経路42の
図2中左側の側面に対向して設けられたファン装置61を有している。反転搬送経路42の
図2中左側は、画像形成装置100の外部側、つまり機外側に相当する。
【0044】
また、冷却部60は、反転ローラ33の、定着部50とは反対側(ここでは下側)に配置されたエア抜き部62を有している。エア抜き部62は、ファン装置61から送られるエアを抜くための開口等のエアが流出する部分である。冷却部60は、用紙Pを反転ローラ33への到達時に離型材の結晶化温度以下に冷却するように構成されている。
【0045】
図3は、冷却部60のファン装置61を模式的に示す拡大斜視図である。
図3に示すように、ファン装置61は、中央ファン61aと、端部ファン61bとを有している。中央ファン61aは、用紙幅方向における中央に配置されており、機内に向けて送風する。端部ファン61bは、用紙幅方向における両端部側にそれぞれ配置されており、機外に向けて送風する。
【0046】
図4は、反転ローラ33の周辺を模式的に示す拡大図である。
図4に示すように、反転ローラ33は、用紙Pが間を通る一対のローラ33a,33bを有している。一対のローラ33a,33bは、互いに圧接させられる。一対のローラ33a,33bのうち、反転搬送経路42に対して用紙Pの画像形成面側に配置されているローラ33aは従動ローラである。一対のローラ33a,33bのうち、ローラ33bは図示しない駆動手段によって回転駆動させられる駆動ローラである。
【0047】
用紙Pを定着部50から反転搬送経路42へ引き込む際には、
図4において、反転ローラ33のローラ33bは反時計回りに回転し、ローラ33aは時計回りに回転する。一方、用紙Pを逆送して再給紙搬送経路43に送り出す際には、反転ローラ33は、用紙Pを反転搬送経路42へ引き込む際とは逆方向に回転する。
【0048】
従動ローラであるローラ33aは、用紙幅方向における用紙の全領域に対して同一の外径を有している。すなわち、ローラ33aは、いわゆる通しローラであり、該ローラ33aの軸方向に沿って連続した、一定の径を持つ外周面を有している。
【0049】
反転ローラ33には、該反転ローラ33に付着した離型材を除去する離型材除去部34が付設されている。離型材除去部34は、反転ローラ33の一対のローラ33a,33bのうちの従動ローラであるローラ33aの外周面に当接して該ローラ33aに付着した離型材をかき取ることにより除去するスクレーパ35を備えている。従動ローラあるローラ33aおよびスクレーパ35は、反転搬送経路42に対して用紙Pの画像形成面側に配置されている。
【0050】
スクレーパ35は、メインスクレーパ36と、サブスクレーパ37とを有している。メインスクレーパ36は、用紙Pの反転搬送経路42への引込み時に先端部が反転ローラ33のローラ33aの外周面にカウンタ方向(先端部が突っ張ることとなる方向)に当接する。サブスクレーパ37は、用紙Pの反転搬送経路42への引込み時に先端部が反転ローラ33のローラ33aの外周面にトレール方向(先端部が引きずられることとなる方向)に当接する。
【0051】
図1に示すように、制御部11は、CPU、ROMやRAM等のメモリ、補助記憶装置としてのHDD、通信I/F部などを備えるコンピューターであり、これらの要素はバスを介して相互に接続されている。制御部11は、画像形成装置100を統合的に制御する機能を担っている。
【0052】
操作部13は、ユーザーによって設定される種々の情報を制御部11に出力する。操作部13としては、例えば、ディスプレイ上に表示される情報に従い、入力操作を行うことが可能なタッチパネルを用いることができる。かかる操作部13を通じて、ユーザーは、印刷条件、すなわち、用紙Pの種類(例えば、坪量やサイズ)、画像の濃度や倍率などを設定することができる。また、制御部11は、操作部13を制御することにより、当該操作部13を介してユーザーに種々のメッセージを表示することができる。
【0053】
冷却部60は、制御部11からの指令に基づいて、用紙Pの種類によってファン装置61によるエアの風量を変える。これは、用紙Pの種類によって用紙P上の離型剤の冷え易さが異なることに対応させるためである。用紙Pの種類としては、例えば薄紙、厚紙、普通紙、塗工紙等が挙げられる。
【0054】
冷却部60は、用紙Pが該用紙Pの坪量が所定値よりも小さい薄紙である場合、用紙Pの坪量が所定値以上である場合よりもエアの風量を小さくする。例えば用紙Pが該用紙Pの坪量が64gsm(g/m2)以下の薄紙の場合、用紙Pは定着直後において既に冷却されているため、通常よりもエアの風量が小さくされて冷却能力が下げられる。あるいは、薄紙にエアを当てると用紙Pが変形してジャムを起こすことを防止すべく通紙性を優先させて、ファン装置61が停止させられてもよい。一方、例えば用紙Pが該用紙Pの坪量が300gsm(g/m2)以上の厚紙の場合、用紙Pは熱を蓄え易いため、通常よりもエアの風量が大きくされて冷却能力が上げられる。あるいは、用紙Pの搬送速度を下げることで、冷却能力が上げられてもよい。
【0055】
また、冷却部60は、用紙Pが該用紙Pの表面がコーティングされた塗工紙である場合、用紙Pが該用紙Pの表面がコーティングされていない普通紙よりもエアの風量を大きくする。これは、用紙Pが普通紙の場合には用紙Pの内部に離型材が吸収されやすい一方で、用紙Pが塗工紙である場合には用紙Pの表面にコート成分があることから離型材が表面に出やすい傾向があるためである。
【0056】
また、冷却部60は、制御部11からの指令に基づいて、用紙Pへの画像形成時の環境条件によってファン装置61によるエアの風量を変える。これは、環境条件によって機内の温度が変わり、用紙P上の離型剤の冷え易さが異なることに対応させるためである。環境条件としては、例えば季節、温度等が挙げられる。
【0057】
前記したように、本実施形態に係る画像形成装置100は、定着部50の用紙搬送方向における下流側に配置された反転搬送経路42と、反転搬送経路42に設けられた反転ローラ33とを備える。また、画像形成装置100は、反転搬送経路42の定着部50と反転ローラ33との間に設けられた搬送手段30と、反転ローラ33に付着した離型材を除去する離型材除去部34とを備える。搬送手段30は、離型材の搬送手段30への付着を抑制する離型材付着抑制手段を有している。
本実施形態では、定着部50の下流側かつ反転ローラ33の上流側において、用紙P上の離型材は未だ固化していない状態にある。しかし、定着部50と反転ローラ33との間に設けられた搬送手段30は離型材付着抑制手段を有するため、搬送手段30に離型材が付着することを抑制できる。一方、用紙P上の離型材は、反転ローラ33に来るまでに冷えて殆ど固化し、反転ローラ33上に付着する。そして、反転ローラ33上に付着した離型材は離型材除去部34によって除去される。
このように、定着後の用紙P上の離型材を、定着部50と反転ローラ33との間に設けられた搬送手段30には付着させることなく反転ローラ33上に付着させ、反転ローラ33上に付着した離型材を除去できる。
これにより、搬送手段30に付着した離型材が後続の用紙Pに転写されて画像不良が生じることを抑制できる。また、反転ローラ33に付着した離型材によって反転ローラ33による搬送力が低下して用紙Pの搬送不良が生じることを抑制できる。
すなわち、本実施形態によれば、安定した出力画像を得ることができる画像形成装置100を提供できる。
【0058】
また、本実施形態では、離型材付着抑制手段は、フッ素系樹脂製の表層を有するローラ31aである。この構成では、非粘着性の表面特性を持つフッ素系樹脂製の表層によって離型材をはじくことができるため、搬送手段30に離型材が付着することを抑制できる。
【0059】
また、本実施形態では、離型材付着抑制手段は、発泡シリコーン製の表層を有するローラ32aである。この構成では、発泡シリコーン製の表層の表面には離型材がたまりにくくなるため、搬送手段30に離型材が付着することを抑制できる。
【0060】
また、本実施形態では、搬送手段30は、第1搬送手段31と、該第1搬送手段31よりも用紙搬送方向における下流側に設けられた第2搬送手段32とを備える。第1搬送手段31の離型材付着抑制手段は、フッ素系樹脂製の表層を有するローラ31aであり、第2搬送手段32の離型材付着抑制手段は、発泡シリコーン製の表層を有するローラ32aである。この構成では、第1搬送手段31のフッ素系樹脂製の表層を有するローラ31aは、高い耐熱性を有しているため、定着部50に近い側に配置されていて用紙Pの温度が高い状態にあっても十分対応できる。一方、第2搬送手段32の発泡シリコーン製の表層を有するローラ32aは、発砲材料でクッション性を有しているため、記録材の搬送力を高めることができる。このような発泡シリコーン製の表層を有するローラ32aは、用紙Pの搬送力を必要とする本実施形態のような反転搬送経路42の屈曲部に配置されて使用されるのに適している。
【0061】
また、本実施形態は、反転搬送経路42の反転ローラ33の用紙搬送方向における上流側から反転ローラ33へエアを流して用紙Pを冷却する冷却部60を備える。この構成では、定着部50から排出された用紙Pを、該用紙Pが反転ローラ33へ到達するまでに十分冷却することができる。これにより、用紙P上の離型材を、反転ローラ33に来るまでに殆ど固化して反転ローラ33上に付着させた上で、離型材除去部34によって効率よく除去することができる。
【0062】
また、本実施形態では、冷却部60は、反転搬送経路42の機外側の側面に対向して設けられたファン装置61を有する。この構成では、反転搬送経路42を通過する用紙Pの表面に向けてエアを送るファン装置61を、用紙Pの搬送経路のレイアウトに影響を与えることなく配置することができる。
【0063】
また、本実施形態では、ファン装置61は、用紙幅方向における中央に配置され、機内に向けて送風する中央ファン61aと、用紙幅方向における両端部側に配置され、機外に向けて送風する端部ファン61bとを有する。この構成では、機内の圧が高くなり過ぎてエアが機内に入りにくくなることを防止できる。つまり、中央ファン61aによるエアの流入、および端部ファン61bによるエアの流出のバランスを取ることで、エアを効率よく流して用紙Pを冷却することができる。
【0064】
また、本実施形態では、冷却部60は、反転ローラ33の定着部50とは反対側に配置され、エアを抜くためのエア抜き部62を有する。この構成では、エアは、反転ローラ33の上流側から反転ローラ33を経てエア抜き部62を通って抜かれるように流れる。これにより、エアを反転搬送経路42に沿って流すことができるため、用紙Pを効率よく冷却することができる。また、反転ローラ33も効率よく冷やせるので、離型材の回収率が上がる。なお、軸流ファン等のファンをエア抜き部62の
図2における下方(反転ローラ33とは反対側)に配置することで、積極的に機内の内圧を低減して、ファン装置61からエア抜き部62への風の流れを確保してもいい。
【0065】
また、本実施形態では、冷却部60は、用紙Pを反転ローラ33への到達時に離型材の結晶化温度以下に冷却する。この構成では、用紙P上の離型材を、反転ローラ33に来るまでに固化して反転ローラ33上に付着させた上で離型材除去部34によって効率よく除去できる。このため、反転ローラ33の下流側、例えば再給紙搬送経路43に配置されたローラに離型材を付着させて汚損させることがないようにできる。
【0066】
また、本実施形態では、前記冷却部60は、用紙Pの種類によってエアの風量を変える。用紙Pの種類によって用紙P上の離型剤の冷え易さが異なるが、この構成では、用紙Pの種類に応じて適切な風量のエアで用紙Pを冷却することができる。
【0067】
また、本実施形態では、冷却部60は、用紙Pの坪量が所定値よりも小さい薄紙である場合、用紙Pの坪量が前記所定値以上である場合よりもエアの風量を小さくする。この構成では、用紙Pが薄紙である場合、エアの風量を小さくしても十分冷却可能であるとともに、エアの風量が大き過ぎるために記録材が変形してジャムを起こすことを防止することで通紙性を確保できる。
【0068】
また、本実施形態では、冷却部60は、用紙Pへの画像形成時の環境条件によってエアの風量を変える。季節や温度等の画像形成時の環境条件によって用紙Pの冷え易さが異なるが、この構成では、画像形成時の環境条件に応じて適切な風量のエアで用紙Pを冷却することができる。
【0069】
また、本実施形態では、離型材除去部34は、反転ローラ33の外周面に当接して該反転ローラ33に付着した離型材をかき取ることにより除去するスクレーパ35を備える。スクレーパ35は、用紙Pの反転搬送経路42への引込み時に先端部が反転ローラ33の外周面にカウンタ方向に当接するメインスクレーパ36と、引込み時に先端部が反転ローラ33の外周面にトレール方向に当接するサブスクレーパ37とを有する。この構成では、メインスクレーパ36によって、用紙Pの反転搬送経路42への引込み時に反転ローラ33に付着した離型材をかき取って効率よく除去できる。また、サブスクレーパ37によって、用紙Pの逆送時に離型材をかき取ることができるとともに、かき取った離型材が離型材除去部34から溢れないようにすることができる。
【0070】
また、本実施形態では、反転ローラ33は、用紙Pが間を通る一対のローラ33a,33bを有し、スクレーパ35は、一対のローラ33a,33bのうちの従動ローラであるローラ33aに当接されている。従動ローラであるローラ33aは、用紙幅方向における用紙Pの全領域に対して同一の外径を有する。この構成では、反転ローラ33の一対のローラ33a,33bのうちの従動ローラであるローラ33aを通しローラにすることで、軸方向に一様に通しローラと用紙Pとを接触させることができる。これにより、用紙P上の離型材を、通しローラに付着させて、スクレーパ35によって通しローラから効率よくかき取ることができる。
【0071】
また、本実施形態では、従動ローラであるローラ33aおよびスクレーパ35は、反転搬送経路42に対して用紙Pの画像形成面側に配置されている。この構成では、反転ローラ33の一対のローラ33a,33bのうちの従動ローラであるローラ33aに離型材を付着させて、該離型材をスクレーパ35によって従動ローラであるローラ33aから確実にかき取ることができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。また、前記した実施形態の構成の一部について、追加、削除、置換をすることができる。
【0073】
例えば、前記した実施形態では、画像形成装置100は、タンデム型カラー画像形成装置である。ただし、画像形成装置100は、これに限定されるものではなく、例えば、白黒対応の単純なドラム式画像形成装置であってもよい。
【0074】
また、前記した実施形態では、搬送手段30は、一対のローラを備えて構成されている。ただし、搬送手段30は、一対のローラで構成する以外にも、ベルト同士の組み合わせや、ベルト及びローラの組み合わせを採用することが可能である。
【符号の説明】
【0075】
30 搬送手段
31 第1搬送手段
32 第2搬送手段
31a ローラ(離型材付着抑制手段)
31b ローラ
32a ローラ(離型材付着抑制手段)
32b ローラ
33 反転ローラ
33a ローラ(従動ローラ)
33b ローラ
34 離型材除去部
35 スクレーパ
36 メインスクレーパ
37 サブスクレーパ
42 反転搬送経路
43 再給紙搬送経路
50 定着部
60 冷却部
61 ファン装置
62 エア抜き部
61a 中央ファン
61b 端部ファン
100 画像形成装置
P 用紙(記録材)