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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】電子回路及び半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/00 20070101AFI20240625BHJP
   H02M 1/08 20060101ALI20240625BHJP
   H03K 17/08 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
H02M1/00 H
H02M1/08 A
H03K17/08 C
H03K17/08 Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020118251
(22)【出願日】2020-07-09
(65)【公開番号】P2022015427
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 忠彦
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-130909(JP,A)
【文献】国際公開第2017/098849(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/125366(WO,A1)
【文献】特開2015-179705(JP,A)
【文献】特開2013-059190(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0062626(US,A1)
【文献】特開2016-225695(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0358512(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0153900(US,A1)
【文献】特開2018-170414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00
H02M 1/08
H03K 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のバンドギャップを有する半導体を用いた第1のスイッチング素子と、
前記第1のスイッチング素子に並列に接続され、前記第1のバンドギャップよりも小さい第2のバンドギャップを有する半導体を用いており、前記第1のスイッチング素子に流れる電流を検出する第2のスイッチング素子と、
を備え、
前記第1のスイッチング素子の制御電極は、前記第2のスイッチング素子の制御電極に接続された、
電子回路。
【請求項2】
前記第1のスイッチング素子の閾値電圧は、前記第2のスイッチング素子の閾値電圧と同じかそれよりも大きい、
請求項1に記載の電子回路。
【請求項3】
前記第1のスイッチング素子の耐圧は、前記第2のスイッチング素子の耐圧よりも高い、
請求項1又は2に記載の電子回路。
【請求項4】
一端が前記第1のスイッチング素子の接地側の電極に接続され、他端が前記第2のスイッチング素子の接地側の電極に接続された抵抗を更に備える、
請求項1~3のいずれか一項に記載の電子回路。
【請求項5】
前記第1のスイッチング素子の制御電極と、前記第2のスイッチング素子の制御電極と、に前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子を駆動するための駆動信号を出力する駆動回路と、
前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子をオンするための前記駆動信号が出力されてから、所定の時間経過した際の前記第2のスイッチング素子の接地側の電極の電圧に基づいて、前記第1のスイッチング素子に過電流が流れているか否かを検出する過電流検出回路と、
を備える、
請求項1~4のいずれか一項に記載の電子回路。
【請求項6】
前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子をオフするための前記駆動信号が出力されている際の前記第2のスイッチング素子の接地側の電極の電圧に基づいて、前記第1のスイッチング素子に過電圧が印加されているか否か検出する過電圧検出回路を備える、
請求項5に記載の電子回路。
【請求項7】
前記第1のバンドギャップを有する半導体は、SiCであり、
前記第2のバンドギャップを有する半導体は、Siである、
請求項1~6のいずれか一項に記載の電子回路。
【請求項8】
前記第1のスイッチング素子と、前記第2のスイッチング素子とは、MOSFETである、
請求項1~7のいずれか一項に記載の電子回路。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の電子回路を含む半導体モジュール。
【請求項10】
前記第1のスイッチング素子が設けられた第1の半導体チップと、
前記第2のスイッチング素子が設けられた第2の半導体チップと、
前記第1のスイッチング素子と、前記第2のスイッチング素子とを制御する信号が出力される端子と、
を備え、
前記第1の半導体チップの前記制御電極と前記第2の半導体チップの前記制御電極はワイヤを介して接続され、前記第2の半導体チップの前記制御電極と前記端子はワイヤを介して接続される、
請求項9に記載の半導体モジュール。
【請求項11】
前記第1のスイッチング素子が設けられた第1の半導体チップと、
前記第2のスイッチング素子が設けられた第2の半導体チップと、
前記第1のスイッチング素子と、前記第2のスイッチング素子とを制御する信号が出力される端子と、
を備え、
前記端子から前記第2のスイッチング素子の制御電極までの距離が、前記端子から前記第1のスイッチング素子の制御電極までの距離より短くなるよう、前記第1の半導体チップ及び前記第2の半導体チップは配置される、
請求項9に記載の半導体モジュール。
【請求項12】
請求項1~4のいずれか一項に記載の電子回路を含む半導体モジュールであって、
前記第1のスイッチング素子が設けられた第1の半導体チップと、
前記第2のスイッチング素子が設けられた第2の半導体チップと、
前記第1の半導体チップと、前記第2の半導体チップと、を収納する筐体と、
前記第1のスイッチング素子の接地側の電極に接続されたソース端子と、
前記第1のスイッチング素子の電源側の電極に接続されたドレイン端子と、
前記第1のスイッチング素子と、前記第2のスイッチング素子と、の制御端子に接続されたゲート端子と、
前記第2のスイッチング素子の接地側の電極に接続されたセンス端子と、
前記第1のスイッチング素子の接地側の電極に接続された端子と、
を備え、
前記ソース端子と、前記ドレイン端子と、は前記筐体の一側面から延出し、
前記ゲート端子と、前記センス端子と、前記端子と、は前記筐体の前記一側面の反対側の他側面から延出し、
前記第1の半導体チップは、前記第1の半導体チップから前記一側面までの距離が、前記第2の半導体チップから前記一側面までの距離より短くなるよう配置され、
前記第2の半導体チップは、前記第2の半導体チップから前記他側面までの距離が、前記第1の半導体チップから前記他側面までの距離より短くなるよう配置される、
半導体モジュール。
【請求項13】
請求項4に記載の電子回路を含む半導体モジュールであって、
前記第1のスイッチング素子が設けられた第1の半導体チップと、
前記第2のスイッチング素子と、前記抵抗と、が設けられた第2の半導体チップと、
を備えた半導体モジュール。
【請求項14】
請求項5に記載の電子回路を含む半導体モジュールであって、
前記第1のスイッチング素子が設けられた第1の半導体チップと、
前記第2のスイッチング素子が設けられた第2の半導体チップと、
前記駆動回路が設けられた第3の半導体チップと
を備えた半導体モジュール。
【請求項15】
前記第3の半導体チップは、前記過電流検出回路が更に設けられた
請求項14に記載の半導体モジュール。
【請求項16】
請求項6に記載の電子回路を含む半導体モジュールであって、
前記第1のスイッチング素子が設けられた第1の半導体チップと、
前記第2のスイッチング素子が設けられた第2の半導体チップと、
前記駆動回路と、前記過電流検出回路と、前記過電圧検出回路と、が設けられた第3の半導体チップと
を備えた半導体モジュール。
【請求項17】
請求項1416のいずれか一項に記載の半導体モジュールであって、
前記第1の半導体チップと、前記第2の半導体チップと、前記第3の半導体チップと、を収納する筐体と、
前記第1のスイッチング素子の接地側の電極に接続されたソース端子と、
前記第1のスイッチング素子の電源側の電極に接続されたドレイン端子と、
前記駆動回路に電源電圧を供給するための電源端子と、
前記駆動回路の入力側に接続された入力端子と、
前記駆動回路に接地側に接続された接地端子と、
を備え、
前記ソース端子と、前記ドレイン端子と、は、前記筐体の一側面から延出し、
前記電源端子と、前記入力端子と、接地端子と、は、前記筐体の前記一側面の反対側の他側面から延出し、
前記第1の半導体チップは、前記第1の半導体チップから上記一側面までの距離が、前記第2の半導体チップから前記一側面までの距離より短くなるよう配置され、
前記第2の半導体チップは、前記第2の半導体チップから前記第3の半導体チップまでの距離が、前記第1の半導体チップから前記第3の半導体チップまでの距離より短くなるよう配置される、
半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路及び半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
SiCを用いたパワー半導体の技術分野において、並列に接続された複数のスイッチング素子のうちの一のスイッチング素子に、他のスイッチング素子に流れる電流をセンスさせる電子回路がある(例えば特許文献1)。
【0003】
また、SiCを用いたスイッチング素子と、Siを用いたスイッチング素子が並列に接続された電子回路が知られている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-225695号公報
【文献】特開2018-170414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、SiCを用いた特許文献1に記載された電子回路では、電流をセンスさせるスイッチング素子の寄生ダイオードに、通電による欠陥が生じた場合がある。また、電流センスのためのスイッチング素子が占める分だけSiCチップが大型化するため、低コスト化の妨げとなる。
【0006】
また、特許文献2に記載された電子回路は、SiCを用いたスイッチング素子と、Siを用いたスイッチング素子は、異なる2つのドライバによって独立に駆動されため、半導体装置の面積が増加し、また、制御が複雑になり低コスト化の妨げとなる。
【0007】
本発明の目的は、安価な構成で、スイッチング素子に流れる電流をセンスすることができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための一の発明は、第1のバンドギャップを有する半導体を用いた第1のスイッチング素子と、前記第1のスイッチング素子に並列に接続され、前記第1のバンドギャップよりも小さい第2のバンドギャップを有する半導体を用いた第2のスイッチング素子と、を備え、前記第1のスイッチング素子の制御電極は、前記第2のスイッチング素子の制御電極に接続された、電子回路である。本発明の他の特徴については、本明細書の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、安価な構成で、スイッチング素子に流れる電流をセンスすることができる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】電子回路1の一例を示す図である。
図2】半導体モジュール2の構成の一例を示す図である。
図3】電子回路3の一例を示す図である。
図4】半導体モジュール4の構成の一例を示す図である。
図5】電子回路5の一例を示す図である。
図6】過電流検出回路52の一例を示す図である。
図7】過電圧検出回路53の一例を示す図である。
図8】半導体モジュール6の構成の一例を示す図である。
図9】電子回路7の一例を示す図である。
図10】半導体モジュール8の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
==第1実施形態==
<電子回路>
[回路構成]
図1は、本実施形態の電子回路1の一例を示す図である。電子回路1は、例えばパワーエレクトロニクスの分野のハーフブリッジ回路やフルブリッジ回路に用いられる回路である。電子回路1は、n個の第1のスイッチング素子SW1~SW1と、第2のスイッチング素子SW2と、抵抗Rと、ゲート端子GTと、ソース端子STと、ドレイン端子DTと、端子SSと、センス端子CSとを備えている。なお、ここで、「n」は、1以上の整数である。したがって、電子回路1は、少なくとも1つの第1のスイッチング素子SWを含む。
【0012】
第1のスイッチング素子SW1~SW1は、並列に接続されている。本実施形態では、第1のスイッチング素子SW1と、他の第1のスイッチング素子SW1~SW1とは、同様の構成であるため、以下、第1のスイッチング素子SW1を中心に説明する。
【0013】
第1のスイッチング素子SW1は、第1のバンドギャップを有する半導体を用いたスイッチング素子である。第1のバンドギャップを有する半導体は、所謂ワイドバンドギャップ半導体である。ワイドバンドギャップ半導体としては、例えば、炭化シリコン(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、ダイヤモンド(C)等を挙げることができる。本実施形態の第1のバンドギャップを有する半導体は、SiCである。
【0014】
第1のスイッチング素子SW1としては、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、バイポーラトランジスタ等を用いることができる。本実施形態の第1のスイッチング素子SW1は、nチャネルMOSFETである。
【0015】
第1のスイッチング素子SW1は、ゲート電極GE1と、ソース電極SE1と、ドレイン電極DE1とを有している。第1のスイッチング素子SW1のゲート電極GE1はゲート端子GTに接続され、ソース電極SE1はソース端子STに接続され、ドレイン電極DE1はドレイン端子DTに接続されている。また、前述のように第1のスイッチング素子SW1はMOSFETであることにより、寄生ダイオード(つまり、ボディダイオード)BD1を含む。
【0016】
なお、第1のスイッチング素子SW1~SW1は、第1のスイッチング素子SW1と同様に、ゲート端子GT、ソース端子ST、ドレイン端子DTに接続されているため、ここでは詳細な説明は省略する。また、本実施形態において、「接続」とは、ノード間が電気的にワイヤ等で接続されること以外に、抵抗やダイオード、インダクタ等の素子を介して接続されることを含む。
【0017】
第2のスイッチング素子SW2は、第1のスイッチング素子SW1~SWのソース・ドレイン間に流れる電流を検出するために設けられたスイッチング素子である。なお、詳細は後述するが、第2のスイッチング素子SW2を設けることによって、第1のスイッチング素子SW1のソース・ドレイン間に過電流が流れているか否かを検出することができる。更に、第2のスイッチング素子SW2を設けることによって、第1のスイッチング素子SW1のソース・ドレイン間に過電圧が印加されているか否かを検出することができる。
【0018】
なお、以下の説明では、特に断らない限り、n個の第1のスイッチング素子SW~SWを、「第1のスイッチング素子SW1」と総称して説明する。この場合、第1のスイッチング素子SW1は、ゲート電極GE1と、ソース電極SE1と、ドレイン電極DE1とを有し、寄生ダイオードBD1を含んでいるとして説明する。
【0019】
また、以下の説明では、「第1のスイッチング素子SW1のソース・ドレイン間に流れる電流」を、単に「第1のスイッチング素子SW1に流れる電流」と称する。第2のスイッチング素子SW2についても同様である。
【0020】
第2のスイッチング素子SW2は、第1のバンドギャップよりも小さい第2のバンドギャップを有する半導体を用いたスイッチング素子である。第2のバンドギャップを有する半導体は、例えば、シリコン(Si)系半導体である。Si系半導体としては、単結晶Si、多結晶Si、アモルファスSi等が挙げられる。本実施形態の第2のバンドギャップを有する半導体は、単結晶Siである。
【0021】
第2のスイッチング素子SW2についても、第1のスイッチング素子SW1と同様に、MOSFET、IGBT等を用いることができる。本実施形態の第2のスイッチング素子SW2は、nチャネルMOSFETであり、ゲート電極GE2と、ソース電極SE2と、ドレイン電極DE2とを有している。ゲート電極GE2はゲート端子GTに接続され、ソース電極SE2はソース端子STに接続され、ドレイン電極DE2はドレイン端子DTに接続されている。また、第2のスイッチング素子SW2はMOSFETであることにより、寄生ダイオード(つまり、ボディダイオード)BD2を含む。第2のスイッチング素子SW2は、第1のスイッチング素子SW1に並列に接続されている。
【0022】
ここで、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2とのデバイス特性の関係について説明する。本実施形態では、第1のスイッチング素子SW1の閾値電圧Vth1は、第2のスイッチング素子SW2の閾値電圧Vth2と同じかそれよりも大きくなるように設計されている。なお、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2との夫々の閾値電圧は、夫々の半導体層の不純物濃度、ゲート絶縁層の誘電率、厚み、ゲート電極の仕事関数等に基づいて調整することができる。
【0023】
また、第1のスイッチング素子SW1の耐圧は、第2のスイッチング素子SW2の耐圧よりも高くなるように設計されている。ここで「耐圧」とは、スイッチング素子が、オフ状態のときのソース・ドレイン間のオフ耐圧、つまり、アバランシェ降伏に対する耐圧である。なお、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2との耐圧は、夫々の半導体層の不純物濃度、厚み、チャネルの長さ等に基づいて調整することができる。
【0024】
抵抗Rは、第1のスイッチング素子SW1のソース・ドレイン間に流れる電流を検出するために設けられる抵抗である(詳細は後述)。抵抗Rは、本実施形態では第2のスイッチング素子SW2に設けられた多結晶Siで形成されている。
【0025】
抵抗Rは、一端が第1のスイッチング素子SW1のソース電極SE1に接続され、他端が第2のスイッチング素子SW2のソース電極SE2に接続されている。
【0026】
ゲート端子GTは、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2とを駆動するための駆動信号が出力される端子である。駆動信号は、電子回路1の外部の駆動回路(不図示)から、ゲート端子GTに出力される。
【0027】
第1のスイッチング素子SW1のゲート電極GE1は、第2のスイッチング素子SW2のゲート電極GE2に接続されている。つまり、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2とは、同一の駆動回路からの駆動信号によって駆動されるのであって、異なる駆動回路からの駆動信号によって夫々が独立に駆動されるのではない。このため、電子回路1の制御は複雑にならない。
【0028】
ソース端子STは、第1のスイッチング素子SW1のソース電極SE1に接続されている。また、本実施形態では、ソース端子STは、接地されている。
【0029】
ドレイン端子DTは、第1のスイッチング素子SW1のドレイン電極DE1と、第2のスイッチング素子SW2のドレイン電極DE2とに、接続されている。
【0030】
端子SSは、駆動信号を出力する駆動回路の接地側の端子である。端子SSは、第1のスイッチング素子SW1のソース電極SE1と、抵抗Rの一端に接続されている。このため、駆動回路は、端子SSの電圧を基準とする駆動信号で、第1のスイッチング素子SW1を駆動することができる。ただし、電子回路1において端子SSを設けず、駆動回路の接地側の端子を、端子STとしても良い。なお、本実施形態で所定のノードの「電圧」とは、特に言及しない限り接地(0V)を基準とした際の所定のノードの電圧レベルである。
【0031】
センス端子CSは、第2のスイッチング素子SW2のソース電極SE1の電圧、すなわち、抵抗Rnに流れる電流を検出するための端子である。センス端子CSは、第2のスイッチング素子SW2のソース電極SE1と、抵抗Rとの間に接続されている。
【0032】
なお、上述したように本実施形態では、第1のスイッチング素子SW1と第2のスイッチング素子SW2とは、nチャネルMOSFETである。ただし、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2をIGBTとする場合、本実施形態における「ソース」は「エミッタ」に相当し、「ドレイン」は「コレクタ」に相当する。また、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2をバイポーラトランジスタとする場合、本実施形態における「ゲート」は「ベース」に相当し、「ソース」は「エミッタ」に相当し、「ドレイン」は「コレクタ」に相当する。
【0033】
また、本実施形態における「ゲート電極」は「制御電極」と相当し、「ソース電極」は「接地側の電極」と相当し、「ドレイン」は「電源側の電極」に相当する。なお、本実施形態では、スイッチング素子として寄生ダイオードを含むMOSFETが用いられたが、寄生ダイオードを含まない素子(例えば、IGBT)を用いる場合、還流ダイオードをスイッチング素子に接続すればよい。
【0034】
[第2のスイッチング素子SW2に流れる電流の検出]
ここで、第2のスイッチング素子SW2に流れる電流を検出する方法について説明する。第2のスイッチング素子SW2に流れる電流は、抵抗Rに流れる電流に等しい。抵抗Rに流れる電流は、抵抗R間の電圧と、抵抗Rの抵抗値から検出することができる。具体的には、センス端子CSの電圧を検出することにより、抵抗R間の電圧を検出することができる。
【0035】
ここで、端子SS,STは、接地されている。従って、抵抗Rを流れる電流は、センス端子CSの電圧、つまり、第2のスイッチング素子SW2のソース電極SE2の電圧に基づいて検出することができる。従って、第2のスイッチング素子SW2に流れる電流は、センス端子CSの電圧、つまり、第2のスイッチング素子SW2のソース電極SE2の電圧に基づいて検出することができる。
【0036】
[過電流の検出]
ところで、電子回路1が、例えば、フルブリッジ回路(不図示)の下アームに用いられた場合、負荷の状態や電源の状態によっては、上アームから下アームへと過電流が流れることがある。以下、本実施形態において、例えば、第1のスイッチング素子SW1のソース・ドレイン間に、過電流が流れているか否かを検出する方法について説明する。ここで、過電流の検出は、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2とがオンのときに行う。なお、以下の説明では、「過電流」とは、第1のスイッチング素子SW1に流れる電流が、予め設定された過電流の目安である所定の電流Io(例えば、第1のスイッチング素子SW1の定格電流)を超えることとする。
【0037】
ソース端子STと、ドレイン端子DTとの間を流れる電流は、第1のスイッチング素子SW1に流れる電流と、第2のスイッチング素子SW2に流れる電流との総量である。第1のスイッチング素子SW1に流れる電流と、第2のスイッチング素子SW2に流れる電流との関係は、予め把握されている。従って、第2のスイッチング素子SW2に流れる電流に基づいて、第1のスイッチング素子SW1に流れる電流を特定することができる。
【0038】
第2のスイッチング素子SW2に流れる電流は、前述のように、第2のスイッチング素子SW2のソース電極SE2の電圧に基づいて検出することができる。従って、第1のスイッチング素子SW1に流れる電流も、第2のスイッチング素子SW2のソース電極SE2の電圧に基づいて検出することができる。
【0039】
ここで、第1のスイッチング素子SW1に電流Ioが流れるときの、第2のスイッチング素子SW2のソース電極SE2の電圧を第1の基準電圧Vref1とする。そして、センス端子CSで検出された電圧が、第1の基準電圧Vref1を超えたときに、第1のスイッチング素子SW1に過電流が流れたと判定することができる。
【0040】
なお、本実施形態では、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2とをオンするための駆動信号(例えば、ハイレベルの駆動信号)が出力されてから、それらをオフするための駆動信号が出力されるまで、全期間に亘って過電圧を検出するわけではない。以下、詳細に説明する。
【0041】
前述のように、第1のスイッチング素子SW1の閾値電圧Vth1は、第2のスイッチング素子SW2の閾値電圧Vth2よりも大きい。従って、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2とをオンするための駆動信号が出力されてから(時刻t=0とする)、第1のスイッチング素子SW1がオンになるまでの時間(時刻t=tとする)と、第2のスイッチング素子SW2がオンになるまでの時間(時刻t=tとする)とは異なる。
【0042】
具体的には、オンするための駆動信号が出力されてから、先ず、時刻t=tで第2のスイッチング素子SW2がオンになり、その後、時刻t=t(t>t)で第1のスイッチング素子SW1がオンになる。
【0043】
以下では時刻tについて場合分けをして、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2とをオンするための駆動信号が出力されてからの、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2との挙動について説明する。そして、この説明に基づいて、過電流を検出する期間について詳細に説明する。
【0044】
・0≦t<t
この期間は、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2とは、ともにオフである。従って、第1のスイッチング素子SW1には過電流は流れていない。
【0045】
・t≦t<t
この期間は、第1のスイッチング素子SW1はオフであり、第2のスイッチング素子SW2はオンである。従って、第1のスイッチング素子SW1には電流が流れていないが、第2のスイッチング素子SW2には、電流が流れている。
【0046】
この期間は、第1のスイッチング素子SW1に電流は流れていないため、第2のスイッチング素子SW2の挙動に関わらず、第1のスイッチング素子SW1に流れる過電流の検出を行う必要はない。また、仮に、この期間に第2のスイッチング素子SW2のソース電極SE2の電圧に基づいて過電流の検出を行った場合、誤検知となる可能性がある。
【0047】
・t≦t
この期間は、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2とは、ともにオンである。従って、第2のスイッチング素子SW2のソース電極SE2の電圧に基づいて、第1のスイッチング素子SW1に流れる電流を検出することにより、第1のスイッチング素子SW1に過電流が流れているか否かを検出することができる。
【0048】
以上説明したように、第1のスイッチング素子SW1がオフのとき(t<tのとき)には、第2のスイッチング素子SW2のソース電極SE2の電圧に基づいて、過電流の検出を行わないことが好ましい。
【0049】
従って、所定の時間間隔tを予め設定しておき、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2とをオンするための駆動信号が出力されてからtの期間は、過電流の検出を行わないこととする。ここでtは、例えばt<tとなるように設定すればよい。
【0050】
[過電圧の検出]
電子回路1が、例えば、モータコイル等の誘導性の負荷を駆動するフルブリッジ回路(不図示)の下アームに用いられた場合、第1のスイッチング素子SW1及び第2のスイッチング素子SW2がオフした際に、端子DTの電圧が大きく上昇することがある。以下、本実施形態において、第1のスイッチング素子SW1のソース・ドレイン間に、過電圧が印加されているか否かを検出する方法について説明する。過電圧の検出は、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2とがオフのときに行う。以下の説明では、「過電圧」とは、第1のスイッチング素子SW1のソース・ドレイン間の電圧が、予め設定された過電圧の目安である所定の電圧Voを超えることとする。
【0051】
ソース端子STの電圧をVs、ドレイン端子DTの電圧をVd、ソース端子ST・ドレイン端子DT間の電圧をVds(=Vd-Vs)と置く。以下、Vdsの値について場合分けをして、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2とが示す挙動について説明する。そして、この説明に基づいて、過電圧を検出する方法について説明する。
【0052】
・Vdsが、Voよりも十分小さいとき
このとき、第1のスイッチング素子SW1のソース・ドレイン間に印加される電圧は、過電圧よりも十分小さい。
【0053】
・Vdsが、Voの近傍であり、Voを超えないとき
このとき、第1のスイッチング素子SW1のソース・ドレイン間に印加される電圧は、過電圧に近い。
【0054】
一方、第2のスイッチング素子SW2においては、Voに近い電圧がソース・ドレイン間に印加されている。このとき、第2のスイッチング素子SW2の内部において、ドレイン側のpn接合部の空乏層内では、衝突電離が発生しており、電子正孔対が生成されている。
【0055】
・Vdsが、Voのとき
このとき、第1のスイッチング素子SW1のソース・ドレイン間に印加される電圧は、Voであり、過電圧である。
【0056】
一方、第2のスイッチング素子SW2においては、衝突電離による電子正孔対の生成が活発化し、アバランシェ降伏が発生する。つまり、Vdsが、過電圧の目安である電圧Voのときに、第2のスイッチング素子SW2においてアバランシェ降伏が発生するように、第2のスイッチング素子SW2の耐圧が調整されている。
【0057】
なお、前述のように、第1のスイッチング素子SW1の耐圧は第2のスイッチング素子SW2の耐圧よりも大きいため、このときに第1のスイッチング素子ではアバランシェ降伏は発生していない。
【0058】
このときに第2のスイッチング素子SW2で発生したアバランシェ降伏で生成された多量の電子正孔対により、正孔による電流が抵抗Rを流れる。この正孔による電流を検出することによって、第1のスイッチング素子SW1に過電圧が印加されていることを検出することができる。この正孔による電流は、前述のように、第2のスイッチング素子SW2のソース電極SE2の電圧に基づいて検出することができる。
【0059】
ここで、アバランシェ降伏が発生するときの、第2のスイッチング素子SW2のソース電極SE2の電圧を第2の基準電圧Vref2とする。そして、センス端子CSで検出された電圧が、第2の基準電圧Vref2を超えたときに、第1のスイッチング素子SW1に過電圧が印加されたと判定することができる。
【0060】
<半導体モジュール>
図2は、本実施形態の半導体モジュール2の構成の一例を示す図である。半導体モジュール2は、上述の電子回路1を含む半導体モジュールである。尚、図1では、電子回路1がn個の第1のスイッチング素子SW1~SWを備える態様を示したが、ここでは1つの第1のスイッチング素子SW1を備える態様を示している。
【0061】
半導体モジュール2は、絶縁板21と、導電パターン22と、第1の半導体チップ23と、第2の半導体チップ24と、ゲート端子GTと、ソース端子STと、ドレイン端子DTと、端子SSと、センス端子CSと、筐体25と、を備えている。
【0062】
絶縁板21は、例えばセラミックス、樹脂等で構成される。導電パターン22は、絶縁板21の表面に形成され、例えば銅、アルミニウムまたはこれらを含む合金で構成される。
【0063】
第1の半導体チップ23は、第1のスイッチング素子SW1が設けられる半導体チップである。第1の半導体チップ23は、導電パターン22上に設けられる。
【0064】
第1の半導体チップ23は、SiC基板を用いて形成されている。第1のスイッチング素子SW1は、縦型のnチャネルMOSFETである。
【0065】
第1の半導体チップ23のおもて面には、ゲート電極GE1と、ソース電極SE1とが設けられている。裏面には、ドレイン電極DE1が設けられている(図示せず)。第1の半導体チップ23のゲート電極GE1と、ソース電極SE1と、ドレイン電極DE1とは、MOSFETである第1のスイッチング素子SW1の電極である。
【0066】
第2の半導体チップ24は、第2のスイッチング素子SW2が設けられる半導体チップである。第2の半導体チップ24は、導電パターン22上に設けられる。
【0067】
第2の半導体チップ24は、Si基板を用いて形成されている。第2のスイッチング素子SW2は、縦型のnチャネルMOSFETである。
【0068】
第2の半導体チップ24のおもて面には、ゲート電極GE2と、ソース電極SE2と、センス電極CSEと、抵抗Rとが設けられている。第2の半導体チップ24のおもて面において、ソース電極SE2は、抵抗Rを介してセンス電極CSEと接続されている。裏面には、ドレイン電極DE2が設けられている(図示せず)。第2の半導体チップ24のゲート電極GE2と、ソース電極SE2と、ドレイン電極DE2とは、MOSFETである第2のスイッチング素子SW2の電極である。
【0069】
ゲート端子GTと、ソース端子STと、ドレイン端子DTと、端子SSと、センス端子CSとは、夫々の一端が半導体モジュール2から延出している。これらの端子は、例えば、銅、アルミニウムまたはこれらを含む合金で構成される。ゲート端子GTと、端子SSと、センス端子CSとは、図示しない駆動回路に電気的に接続される。ソース端子STは、接地される。ドレイン端子DTは、電源に接続される。
【0070】
以下、半導体モジュール2における、前述した複数の電極及び複数の端子の接続関係について説明する。
【0071】
ゲート端子GTは、ワイヤを介して第2の半導体チップ24のゲート電極GE2に接続されている。ゲート電極GE2は、ワイヤを介して第1の半導体チップ23のゲート電極GE1に接続されている。センス端子CSは、ワイヤを介して第2の半導体チップ24のソース電極SE2に接続されている。ソース電極SE2は、抵抗Rを介してセンス電極CSEに接続されている。端子SSは、ワイヤを介して第2の半導体チップ24のセンス電極CSEに接続されている。センス電極CSEは、ワイヤを介して第1の半導体チップ23のソース電極SEに接続されている。
【0072】
ドレイン端子DTは、ワイヤを介して導電パターン22に接続されている。導電パターン22は、はんだ等の接合材を介して第1の半導体チップ23のドレイン電極DE1と、第2の半導体チップ24のドレイン電極DE2とに接合されている。ソース端子STは、ワイヤを介して第1の半導体チップ23のソース電極SE1に接続されている。
【0073】
ところで、第1の半導体チップ23及び第2の半導体チップ24は、ゲート端子GTから第2のスイッチング素子SW2のゲート電極GE2までの距離が、ゲート端子GTから第1のスイッチング素子SW1のゲート電極GE1までの距離より短くなるよう、配置される。このような配置にすることで、ゲート端子GTから、ゲート電極GE2までのワイヤの抵抗値、及びインダクタンスは、ゲート端子GTから、ゲート電極GE1までのワイヤの抵抗値、及びインダクタンスより小さくなる。これによって、第2のスイッチング素子SW2を、第1のスイッチング素子SW1よりも確実に早くオンさせることができる。
【0074】
筐体25は、樹脂等で形成され、絶縁板21と、導電パターン22と、第1の半導体チップ23と、第2の半導体チップ24とを収納する。本実施形態の筐体25は、図2に示す上面視において、おもて面に開口を有する略矩形の箱状部材である。本実施形態の筐体25において、ドレイン端子DTと、ソース端子STとは、筐体25の一側面から延出している。また、筐体25において、ゲート端子GTと、センス端子CSと、端子SSとは、上記一側面とは反対側の他側面から延出している。
【0075】
第1の半導体チップ23は、第1の半導体チップ23から上記一側面までの距離が、第2の半導体チップ24から上記一側面までの距離より短くなるよう配置される。第2の半導体チップ24は、第2の半導体チップ24から上記他側面までの距離が、第1の半導体チップ23から上記他側面までの距離より短くなるよう配置される。
【0076】
以上説明した電子回路1又は半導体モジュール2の構成を有することによって、高価な材料である第1のバンドギャップを有する半導体を用いた第1のスイッチング素子SW1のサイズを小さくすることができるため、安価な構成で、スイッチング素子に流れる電流をセンスすることができる技術が提供される。
【0077】
==第2実施形態==
<電子回路>
図3は、本実施形態の電子回路3の一例を示す図である。電子回路3は、第1実施形態の電子回路1と比べると、抵抗Rを備えていない点で異なっている。電子回路3は、別途設けられた外付けの抵抗Rex(不図示)を、端子SSと、センス端子CSとの間に接続することにより、第1実施形態で説明した過電圧検出及び過電流検出の機能を実現することができる。
【0078】
<半導体モジュール>
図4は、本実施形態の半導体モジュール4の構成の一例を示す図である。尚、図3では、電子回路1がn個の第1のスイッチング素子SW1~SWを備える態様を示したが、ここでは1つの第1のスイッチング素子SW1を備える態様を示している。本実施形態の半導体モジュール4は、第1実施形態の半導体モジュール2に比べると、第2の半導体チップ44の構成が異なっている。
【0079】
第2の半導体チップ44は、Si基板を用いて形成されている。第1のスイッチング素子SW1は、縦型のnチャネルMOSFETである。第2の半導体チップ44は、第1実施形態の第2の半導体チップに24比べると、センス電極CSEと、抵抗Rとが設けられていない点で異なっている。
【0080】
第2の半導体チップ44の表面側には、ゲート電極GE2と、ソース電極SE2とが設けられている。裏面側には、ドレイン電極DE2が設けられている(図示せず)。第2の半導体チップ44のゲート電極GE2と、ソース電極SE2と、ドレイン電極DE2とは、MOSFETである第2のスイッチング素子SW2の電極である。
【0081】
半導体モジュール4は、別途用意される外付けの抵抗Rex(不図示)を、半導体モジュール4の外部に延出する、端子SSとセンス端子CSとの間に接続することにより、第1実施形態で説明した過電圧検出及び過電流検出の機能を実現することができる。
【0082】
==第3実施形態==
<電子回路>
図5図7は、本実施形態の電子回路5の一例を示す図である。電子回路5は、第1実施形態の電子回路1と比べると、駆動回路51と、過電流検出回路52と、過電圧検出回路53を備える点で異なっている。また、電子回路5は、第1実施形態の電子回路1と比べると、電源端子VCCと、入力端子INと、接地端子GNDとを備える点で異なっている。
【0083】
駆動回路51は、第1のスイッチング素子SW1のゲート電極GE1と、第2のスイッチング素子SW2のゲート電極GE2と、に第1のスイッチング素子SW1及び第2のスイッチング素子SW2を駆動するための駆動信号を出力する回路である。駆動回路51の入力側は入力端子INに接続され、出力側は第1のスイッチング素子SW1のゲート電極GE1と、第2のスイッチング素子SW2のソース電極SE2とに接続されている。
【0084】
図6は、過電流検出回路52の詳細を示す図である。過電流検出回路52は、第2のスイッチング素子SW2のソース電極SE2の電圧に基づいて、第1のスイッチング素子SW1に過電流が流れているか否かを検出する回路である。ここでの第2のスイッチング素子SW2のソース電極SE2の電圧とは、第1のスイッチング素子SW1及び第2のスイッチング素子SW2をオンするための駆動信号が出力されてから、所定の時間経過した際の電圧である。
【0085】
ここで、第1のスイッチング素子SW1及び第2のスイッチング素子SW2をオンするための駆動信号とは、ハイレベルの信号である。また、第1のスイッチング素子SW1及び第2のスイッチング素子SW2をオフするための駆動信号は、ローレベルの信号である。また、「所定の時間」とは、第1実施形態で説明した時間間隔tである。本実施形態の過電流検出回路52は、比較回路520と、タイマ回路521と、AND回路522とを備えている。
【0086】
比較回路520は、+入力端子が第2のスイッチング素子SW2のソース電極SE2に接続され、-入力端子が第1の基準電圧Vref1に接続され、出力端子がAND回路522の一方の入力端子に接続されている。つまり、比較回路520は、第2のスイッチング素子SW2のソース電極SE2の電圧が、第1の基準電圧Vref1を超えたときに、出力をハイレベルに切り替える。
【0087】
タイマ回路521は、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2とをオンするための駆動信号が出力されてからの時間を計測する。タイマ回路521は、計測された時間が、時間間隔tを経過したときに、出力をハイレベルに切り替える。タイマ回路521の入力側は入力端子INに接続され、出力側はAND回路522の他方の入力側に接続されている。
【0088】
AND回路522は、一方の入力側が比較回路520の出力側に接続され、他方の入力側がタイマ回路521の出力側に接続され、出力側が駆動回路51に接続されている。つまり、AND回路522は、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2とをオンするための駆動信号が出力されてからの時間が時間間隔tを超え、且つ第2のスイッチング素子SW2のソース電極SE2の電圧が、第1の基準電圧Vref1を超えたときに、出力をハイレベルに切り替える。このときは、過電流が検出されたことを意味する。
【0089】
図7は、過電圧検出回路53の詳細を示す図である。過電圧検出回路53は、第2のスイッチング素子SW2のソース電極SE2の電圧に基づいて、第1のスイッチング素子SW1に過電圧が印加されているか否か検出する回路である。ここでの第2のスイッチング素子SW2のソース電極SE2の電圧とは、第1のスイッチング素子SW1及び第2のスイッチング素子SW2をオフするための駆動信号が出力されている際の電圧である。本実施形態の過電流検出回路52は、比較回路530と、NOT回路531と、AND回路532とを備えている。
【0090】
比較回路530は、+入力側が第2のスイッチング素子SW2のソース電極SE2に接続され、-入力側が第2の基準電圧Vref2に接続され、出力側がAND回路532の一方の入力側に接続されている。つまり、比較回路530は、第2のスイッチング素子SW2のソース電極SE2の電圧が、第2の基準電圧Vref2を超えたときに、出力をハイレベルに切り替える。
【0091】
NOT回路531は、入力側が入力端子INに接続され、出力側がAND回路532の他方の入力側に接続されている。NOT回路531には、ローレベルが入力され、ハイレベルが出力されている。
【0092】
AND回路532は、一方の入力側が比較回路530の出力側に接続され、他方の入力側がNOT回路531の出力側に接続され、出力側が駆動回路51に接続されている。
【0093】
つまり、AND回路532は、第2のスイッチング素子SW2のソース電極SE2の電圧が、第2の基準電圧Vref2を超えたときに、出力をハイレベルに切り替える。このときは、過電圧が検出されたことを意味する。
【0094】
駆動回路51と、過電流検出回路52と、過電圧検出回路53とは、電源端子VCCに印加される電源が供給されることによって動作する。
【0095】
以上説明した回路構成を有することによって、電子回路5は、過電流又は過電圧を検出することができる。そして、過電流又は過電圧が検出されると、駆動回路51は、例えば、第1のスイッチング素子SW1及び第2のスイッチング素子SW2の駆動を停止する。これにより、電子回路5は、過電流又は過電圧から保護されることになる。なお、本実施形態では、過電流又は過電圧が検出されると、駆動回路51の動作が停止されることとしたが、例えば、電子回路5を制御するマイコン(不図示)に検出結果を出力することとしても良い。
【0096】
<半導体モジュール>
図8は、本実施形態の半導体モジュール6の構成の一例を示す図である。半導体モジュール6は、上述の電子回路5を含む半導体モジュールである。本実施形態の半導体モジュール6は、第1実施形態の半導体モジュール2に比べると、第3の半導体チップ61を備えている点で異なっている。
【0097】
第3の半導体チップ61は、駆動回路51と、過電流検出回路52と、過電圧検出回路53とが設けられた半導体チップである。第3の半導体チップは、6つの電極E1~E6を有している。
【0098】
電極E1は、駆動回路51の出力側に接続するための電極である。電極E2は、比較回路520の+入力側と、比較回路530の+入力側とに接続するための電極である。電極E3は、接地電圧を供給するための電極である。電極E4は、電子回路5に電源電圧を供給するための電極である。電極E5は、駆動回路51に入力信号を供給するための電極である。電極E6は、接地端子GNDに接続するための電極である。
【0099】
電源端子VCCは、ワイヤを介して電極E4に接続されている。入力端子INは、ワイヤを介して電極E5に接続されている。接地端子GNDは、ワイヤを介して電極E6に接続されている。ドレイン端子DTは、ワイヤを介して導電パターン22に接続されている。導電パターン22は、はんだ等の接合材を介して第1の半導体チップ23のドレイン電極DE1と、第2の半導体チップ24のドレイン電極DE2とに接合されている。
【0100】
ソース端子STは、ワイヤを介して第1の半導体チップ23のソース電極SE1に接続されている。ソース電極SE1は、ワイヤを介して第2の半導体チップ24のセンス電極CSEに接続されている。センス電極CSEは、ワイヤを介して電極E3に接続されている。センス電極CSEはまた、抵抗Rを介して第2の半導体チップ24のソース電極SE2に接続されている。ソース電極SE2は、ワイヤを介して電極E2に接続されている。
【0101】
電極E1は、ワイヤを介して第2の半導体チップ24のゲート電極GE2に接続されている。ゲート電極GE2は、ワイヤを介して第1の半導体チップ23のゲート電極GE1に接続されている。
【0102】
本実施形態の筐体25において、ドレイン端子DTと、ソース端子STとは、筐体25の一側面から延出している。また、筐体25において、電源端子VCCと、入力端子INと、接地端子GNGとは、上記一側面とは反対側の他側面から演出している。
【0103】
第1の半導体チップ23は、第1の半導体チップ23から上記一側面までの距離が、第2の半導体チップ24から上記一側面までの距離より短くなるよう配置される。第2の半導体チップ24は、第2の半導体チップ24から第3の半導体チップ61までの距離が、第1の半導体チップ23から第3の半導体チップ61までの距離より短くなるよう配置される。
【0104】
第1実施形態の半導体モジュール2は、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2とを制御する駆動回路を備えていない。このような場合、第1の半導体チップ23及び第2の半導体チップ24は、ゲート端子GTから第2のスイッチング素子SW2のゲート電極GE2までの距離が、ゲート端子GTから第1のスイッチング素子SW1のゲート電極GE1までの距離より短くなるよう、配置される。
【0105】
一方、本実施形態のように、半導体モジュール6が、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2とを制御する駆動回路51を備えている場合、第1の半導体チップ23及び第2の半導体チップ24の配置については、第1実施形態の「ゲート端子GT」は「駆動回路51の電極E1」に相当する。前述のように、電極E1は、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2とを制御する信号が駆動回路51から出力される電極である。
【0106】
つまり、第1の半導体チップ23及び第2の半導体チップ24は、電極E1から第2のスイッチング素子SW2のゲート電極GE2までの距離が、電極E1から第1のスイッチング素子SW1のゲート電極GE1までの距離より短くなるよう、配置される。
【0107】
これによって、第2のスイッチング素子SW2を、第1のスイッチング素子SW1よりも確実に早くオンさせることができる。
【0108】
==第4実施形態==
<電子回路>
図9は、本実施形態の電子回路7の一例を示す図である。電子回路7は、第3実施形態の電子回路5と比べると、抵抗Rを備えていない点で異なっている。電子回路7は、別途用意される外付けの抵抗Rex(不図示)を、センス端子CSと、接地端子との間に接続することにより、第1実施形態で説明した過電圧検出及び過電流検出の機能を実現することができる。
【0109】
<半導体モジュール>
図10は、本実施形態の半導体モジュール8の構成の一例を示す図である。本実施形態の半導体モジュール8は、第3実施形態の半導体モジュール6に比べると、第2の半導体チップ44の構成が異なっている。本実施形態の第2の半導体チップは、第2実施形態の第2の半導体チップ44の構成に等しい。
【0110】
半導体モジュール8は、別途用意される外付けの抵抗Rex(不図示)を、半導体モジュール8の外部に延出する端子SSと接地端子GNDとの間に接続することにより、第1実施形態で説明した過電圧検出及び過電流検出の機能を実現することができる。
【0111】
==まとめ==
以上、第1~第4実施形態の電子回路1,3,5,7は、第1のバンドギャップを有する半導体を用いた第1のスイッチング素子SW1と、第1のスイッチング素子SW1に並列に接続され、第1のバンドギャップよりも小さい第2のバンドギャップを有する半導体を用いた第2のスイッチング素子SW2と、を備え、第1のスイッチング素子SW1の制御電極は、第2のスイッチング素子SW2の制御電極に接続された、電子回路である。
【0112】
これによって、高価な材料である第1のバンドギャップを有する半導体を用いた第1のスイッチング素子SW1のサイズを小さくすることができるため、安価な構成で、スイッチング素子に流れる電流をセンスすることができる電子回路を提供することができる。
【0113】
また、上記電子回路1,3,5,7において、第1のスイッチング素子SW1の閾値電圧は、第2のスイッチング素子SW2の閾値電圧よりも大きい。これによって、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2とをオンするための駆動信号が出力されてから、第2のスイッチング素子SW2の方が第1のスイッチング素子SW1よりも早くオンになる。そのため、第1のスイッチング素子SW1がオンのときに、第2のスイッチング素子SW2がオフであるために第1のスイッチング素子SW1に流れる電流を検出できないといった問題を回避することができる。
【0114】
また、上記電子回路1,3,5,7において、第1のスイッチング素子SW1の耐圧は、第2のスイッチング素子SW2の耐圧よりも高い。これによって、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2とがオフのとき、第2のスイッチング素子SW2で発生するアバランシェ降伏による電流を検出することにより、第1のスイッチング素子SW1に印加された過電圧を検出することができる。
【0115】
また、第1及び第3実施形態の電子回路1,5は、一端が第1のスイッチング素子SW1の接地側の電極に接続され、他端が第2のスイッチング素子SW2の接地側の電極に接続された抵抗Rを更に備える。抵抗R間の電圧に基づいて、第1のスイッチング素子SW1に流れる電流を検出することができる。
【0116】
また、第3及び第4実施形態の電子回路5,7は、第1のスイッチング素子SW1の制御電極と、第2のスイッチング素子SW2の制御電極と、に第1のスイッチング素子SW1及び第2のスイッチング素子SW2を駆動するための駆動信号を出力する駆動回路51と、第1のスイッチング素子SW1及び第2のスイッチング素子SW2をオンするための駆動信号が出力されてから、所定の時間経過した際の第2のスイッチング素子SW2の接地側の電極の電圧に基づいて、第1のスイッチング素子SW1に過電流が流れているか否かを検出する過電流検出回路52と、を備える。これによって、第1の半導体チップ23の性能に応じた駆動回路51と、過電流検出回路52とを用いることができる。
【0117】
また、第3及び第4実施形態の電子回路5,7は、第1のスイッチング素子SW1及び第2のスイッチング素子SW2をオフするための駆動信号が出力されている際の第2のスイッチング素子SW2の接地側の電極の電圧に基づいて、第1のスイッチング素子SW1に過電圧が印加されているか否か検出する過電圧検出回路53を備える。これによって、第1の半導体チップ23の性能に応じた過電圧検出回路53を用いることができる。
【0118】
また、第1~第4実施形態の電子回路1,3,5,7において、第1のバンドギャップを有する半導体は、SiCであり、第2のバンドギャップを有する半導体は、Siである。これによって、高価な材料であるSiCを用いた第1のスイッチング素子SW1のサイズを小さくすることができるため、安価な構成で、スイッチング素子に流れる電流をセンスすることができる電子回路を提供することができる。
【0119】
また、第1~第4実施形態の電子回路1,3,5,7において、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2とは、MOSFETである。これによって、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2とに対して、別途還流ダイオードを設けることを省略することができる。また、オン時の電流電圧特性が線形であるため、短絡電流に対処するための設計精度が向上する。
【0120】
第1~第4実施形態の半導体モジュール2,4,6,8は夫々、第1~第4実施形態の電子回路1,3,5,7を含む半導体モジュールである。これによって、高価な材料である第1のバンドギャップを有する半導体を用いた第1のスイッチング素子SW1のサイズを小さくすることができるため、安価な構成で、スイッチング素子に流れる電流をセンスすることができる半導体モジュールを提供することができる。
【0121】
第1及び第2実施形態の半導体モジュール2,4は、第1のスイッチング素子SW1が設けられた第1の半導体チップ23と、第2のスイッチング素子SW2が設けられた第2の半導体チップ24,44と、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2とを制御する信号が出力されるゲート端子GTと、を備え、端子から第2のスイッチング素子SW2の制御電極までの距離が、ゲート端子GTから第1のスイッチング素子SW1の制御電極までの距離より短くなるよう、第1の半導体チップ23及び第2の半導体チップ24,44は配置される。ここで、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2とを制御する信号が、半導体モジュール2,4の外部の駆動回路から、ゲート端子GTに出力される。
【0122】
なお、第3及び第4実施形態のように、半導体モジュール6,8が、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2とを制御する駆動回路51を備えている場合、ここでの「ゲート端子GT」は「駆動回路51の電極E1」に相当する。電極E1は、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2とを制御する信号が駆動回路51から出力される電極である。
【0123】
これによって、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2とをオンするための駆動信号が出力されてから、第1のスイッチング素子SW1の方が第2のスイッチング素子SW2よりも早くオンになることを防止することができる。従って、第1のスイッチング素子SW1がオンのときに、第2のスイッチング素子SW2がオフであるために第1のスイッチング素子SW1に流れる電流を検出できないといった問題を防止することができる。
【0124】
第1及び第2実施形態の半導体モジュール2,4は夫々、第1及び第2実施形態の電子回路1,3を含む半導体モジュールであって、第1のスイッチング素子SW1が設けられた第1の半導体チップ23と、第2のスイッチング素子SW2が設けられた第2の半導体チップ24と、第1の半導体チップ23と、第2の半導体チップ24と、を収納する筐体25と、第1のスイッチング素子SW1の接地側の電極に接続されたソース端子STと、第1のスイッチング素子SW1の電源側の電極に接続されたドレイン端子DTと、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2と、の制御端子に接続されたゲート端子GTと、第2のスイッチング素子SW2の接地側の電極に接続されたセンス端子CSと、第1のスイッチング素子SW1の接地側の電極に接続された端子SSと、を備え、ソース端子STと、ドレイン端子DTと、は筐体25の一側面から延出し、ゲート端子GTと、センス端子CSと、端子SSと、は筐体の一側面の反対側の他側面から延出し、第1の半導体チップ23は、第1の半導体チップ23から一側面までの距離が、第2の半導体チップ24から一側面までの距離より短くなるよう配置され、第2の半導体チップ24は、第2の半導体チップ24から他側面までの距離が、第1の半導体チップ23から他側面までの距離より短くなるよう配置される。
【0125】
これによって、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2とをオンするための駆動信号が出力されてから、第1のスイッチング素子SW1の方が第2のスイッチング素子SW2よりも早くオンになることを防止することができる。従って、第1のスイッチング素子SW1がオンのときに、第2のスイッチング素子SW2がオフであるために第1のスイッチング素子SW1に流れる電流を検出できないといった問題を防止することができる。
【0126】
第1及び第3実施形態の半導体モジュール2,6は夫々、第1及び第3実施形態の電子回路1,5を含む半導体モジュールであって、第1のスイッチング素子SW1が設けられた第1の半導体チップ23と、第2のスイッチング素子SW2と、抵抗Rと、が設けられた第2の半導体チップ24と、を備える。
【0127】
これによって、抵抗Rを半導体モジュール2,6の外部に設ける必要がない。更に、半導体モジュール2,6の構成を単純にすることができる。
【0128】
第3及び第4実施形態の半導体モジュール6,8は夫々、第3及び第4実施形態の電子回路5,7を含む半導体モジュールであって、第1のスイッチング素子SW1が設けられた第1の半導体チップ23と、第2のスイッチング素子SW2が設けられた第2の半導体チップ24と、駆動回路51が設けられた第3の半導体チップ61と、を備える。これによって、第1の半導体チップ23の性能に応じた駆動回路51を用いることができる。
【0129】
第3及び第4実施形態の半導体モジュール6,8において、第3の半導体チップ61は、過電流検出回路52が更に設けられている。これによって、第1の半導体チップ23の性能に応じた過電流検出回路52を用いることができる。
【0130】
第3及び第4実施形態の半導体モジュール6,8は夫々、第3及び第4実施形態の電子回路5,7を含む半導体モジュールであって、第1のスイッチング素子SW1が設けられた第1の半導体チップ23と、第2のスイッチング素子SW2が設けられた第2の半導体チップ24と、駆動回路51と、過電流検出回路52と、過電圧検出回路53と、が設けられた第3の半導体チップ61とを備える。これによって、第1の半導体チップ23の性能に応じた駆動回路51と、過電流検出回路52と、過電圧検出回路53とを用いることができる。
【0131】
第3及び第4実施形態の半導体モジュール6,8は、第1の半導体チップ23と、第2の半導体チップ24と、第3の半導体チップ61と、を収納する筐体25と、第1のスイッチング素子SW1の接地側の電極に接続されたソース端子STと、第1のスイッチング素子SW1の電源側の電極に接続されたドレイン端子DTと、駆動回路51に電源電圧を供給するための電源端子VCCと、駆動回路51の入力側に接続された入力端子INと、駆動回路51に接地電圧を供給するための接地端子GNDと、を備え、ソース端子STと、ドレイン端子DTと、は、筐体25の一側面から延出し、電源端子VCCと、入力端子INと、接地端子GNDと、は、筐体25の一側面の反対側の他側面から延出し、第1の半導体チップ23は、第1の半導体チップ23から上記一側面までの距離が、第2の半導体チップ24から一側面までの距離より短くなるよう配置され、第2の半導体チップ24は、第2の半導体チップ24から第3の半導体チップ61までの距離が、第1の半導体チップ23から第3の半導体チップ61までの距離より短くなるよう配置される。
【0132】
これによって、第1のスイッチング素子SW1と、第2のスイッチング素子SW2とをオンするための駆動信号が出力されてから、第1のスイッチング素子SW1の方が第2のスイッチング素子SW2よりも早くオンになることを防止することができる。従って、第1のスイッチング素子SW1がオンのときに、第2のスイッチング素子SW2がオフであるために第1のスイッチング素子SW1に流れる電流を検出できないといった問題を防止することができる。
【0133】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。
【符号の説明】
【0134】
1,3,5,7 :電子回路
2,4,6,8 :半導体モジュール
21 :絶縁板
22 :導電パターン
23 :第1の半導体チップ
24 :第2の半導体チップ
25 :筐体
51 :駆動回路
52 :過電流検出回路
61 :第3の半導体チップ
520 :比較回路
521 :タイマ回路
522 :AND回路
53 :過電圧検出回路
530 :比較回路
531 :NOT回路
532 :AND回路
SW1 :第1のスイッチング素子
GE1,GE2 :ゲート電極
SE1,SE2 :ソース電極
DE1,DE2 ドレイン電極
SW2 :第2のスイッチング素子
GE2:ゲート電極
SE2:ソース電極
DE2:ドレイン電極
R :抵抗
GT :ゲート端子
ST :ソース端子
DT :ドレイン端子
SS :端子
CS :センス端子
図1
図2
図3
図4
図5
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図10