(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】調整機構
(51)【国際特許分類】
G02B 7/00 20210101AFI20240625BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20240625BHJP
【FI】
G02B7/00 B
G02B7/00 J
G02B7/02 C
(21)【出願番号】P 2020120954
(22)【出願日】2020-07-14
【審査請求日】2023-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100188307
【氏名又は名称】太田 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100202326
【氏名又は名称】橋本 大佑
(72)【発明者】
【氏名】横山 耕徳
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-105398(JP,A)
【文献】実開昭56-035609(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第104597578(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/00 - 7/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学部品の基準点を通過する光の進行方向を調整する調整機構であって、
前記光学部品を保持し、第1軸回りに、及び前記第1軸に交差する第2軸回りに前記光学部品を回転させる可動部材と、
前記可動部材を支持する固定部材と、
第1調整部及び第2調整部と、
を備え、
前記可動部材は、
前記光学部品を保持し、かつ前記第1軸回りに回転する第1可動ベースと、
前記第1可動ベースを支持し、かつ前記第2軸回りに回転する第2可動ベースと、
を有し、
前記固定部材は、前記第2可動ベースを支持し、
前記第1可動ベースと前記第2可動ベースとは、前記第1軸上に延在する第1シャフトに基づいて連結され、
前記第2可動ベースと前記固定部材とは、前記第2軸上に延在する第2シャフトに基づいて連結され、
前記第1調整部は、前記第2可動ベースの後面に螺合されている第1調整ネジと、前記第1調整ネジと前記第1可動ベースとを連結する第1連結部を有し、
前記第2調整部は、前記固定部材の後面に螺合されている第2調整ネジと、前記第2調整ネジと前記第2可動ベースとを連結する第2連結部を有し、
前記基準点が前記第1軸と前記第2軸との交点に位置する、
調整機構。
【請求項2】
前記固定部材は、U字状の枠として形成され、枠内に位置する前記可動部材を上下左方向から囲み、
前記第2可動ベースは、矩形の枠として形成され、枠内に位置する前記第1可動ベースを上下左右方向から囲む、
請求項1に記載の調整機構。
【請求項3】
前記第1連結部は、前記第1調整ネジと前記第1可動ベースとを連結するL字状の部材であり、
前記第2連結部は、前記第2調整ネジと前記第2可動ベースとを連結するL字状の部材である、
請求項2に記載の調整機構。
【請求項4】
前記第1軸と前記第2軸とは互いに直交する、
請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の調整機構。
【請求項5】
前記基準点は、前記光学部品の出射端を含み、
前記調整機構は、前記出射端から出射する光の出射方向を調整する、
請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の調整機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、調整機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば光ファイバ、レーザダイオード、及びミラー等を含む光学部品の基準点を通過する光の進行方向を調整する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ミラー等の光学素子とベースへの取付部とのオフセットを解消し、装置の設定時における光学素子の固定位置の割出しが不要、かつ設置時の調整工数の少なく、小型・安定性の高い光学素子ホルダが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の光学素子ホルダでは、例えば光学部品を保持する可動部材を2つの調整ネジにより回転させることで、光の進行方向が調整される。このとき、光が通過する光学部品の基準点の位置が変化する。このような基準点の位置ずれを補正するために、任意の位置調整機構によって、光学部品の基準点の位置を調整する必要があった。すなわち、従来技術では、光の進行方向の調整と光学部品の基準点の位置調整とが互いに独立していなかった。これにより、光の経路に関する調整が煩雑になるという問題があった。
【0006】
本開示は、光の経路に関する調整が容易になる調整機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
幾つかの実施形態に係る調整機構は、光学部品の基準点を通過する光の進行方向を調整する調整機構であって、前記光学部品を保持し、第1軸回りに、及び前記第1軸に交差する第2軸回りに前記光学部品を回転させる可動部材と、前記可動部材を支持する固定部材と、を備え、前記基準点が前記第1軸と前記第2軸との交点に位置する。
【0008】
これにより、光の経路に関する調整が容易になる。例えば、調整機構では、光学部品の基準点が第1軸と第2軸との交点に位置することで、可動部材によって第1軸回り及び第2軸回りに光学部品が回転したとしても、光学部品の基準点の位置は変化しない。したがって、従来技術のように基準点の位置ずれを補正する必要がない。調整機構では、光の進行方向の調整と光学部品の基準点の位置調整とは互いに独立している。調整機構では、光の進行方向の調整に伴って光学部品の基準点の位置調整を行う必要がなく、光の経路に関する調整が簡便になる。
【0009】
一実施形態における調整機構では、前記可動部材は、前記光学部品を保持し、かつ前記第1軸回りに回転する第1可動ベースと、前記第1可動ベースを支持し、かつ前記第2軸回りに回転する第2可動ベースと、を有し、前記固定部材は、前記第2可動ベースを支持してもよい。
【0010】
これにより、2つの異なる部材によって2つの軸回りの回転が実現可能である。例えば、第1可動ベースは、第1軸回りの回転以外の動きが制限された状態で第2可動ベースに連結されていることで、第1軸回りの動きを精度良く実現可能である。例えば、第2可動ベースは、第2軸回りの回転以外の動きが制限された状態で固定部材に連結されていることで、第2軸回りの動きを精度良く実現可能である。以上により、2つの軸回りの回転が精度良く実現可能である。
【0011】
一実施形態における調整機構では、前記第1可動ベースと前記第2可動ベースとは、前記第1軸上に延在する第1シャフトに基づいて連結され、前記第2可動ベースと前記固定部材とは、前記第2軸上に延在する第2シャフトに基づいて連結されていてもよい。
【0012】
これにより、第1可動ベースは、第1シャフトを含むシャフト構造に基づいて第1軸回りの回転を可能にする。同様に、第2可動ベースは、第2シャフトを含むシャフト構造に基づいて第2軸回りの回転を可能にする。以上により、調整機構は、シャフト構造に基づいて滑らかな回転の動きを実現可能である。
【0013】
一実施形態における調整機構では、前記可動部材は、球面状に形成されている凸部を有し、前記固定部材は、前記凸部を受け入れる球面状の凹部を有し、前記交点は、前記凸部の球面を含む球体の中心に位置してもよい。
【0014】
これにより、調整機構では、可動部材は、1つの部材によって簡易に構成される。このとき、可動部材が凸部を有し、固定部材が凹部を有することで、調整機構は、可動部材に関する簡易的な構成を有していても、2つの軸回りの回転を実現可能である。以上により、調整機構を構成する部材の数が低減し、製造コストが低減する。
【0015】
一実施形態における調整機構では、前記第1軸と前記第2軸とは互いに直交してもよい。これにより、調整機構は、光学部品の基準点を通過する光の進行方向を、2つの直交する方向に調整可能である。したがって、光の経路に関する調整が容易になる。
【0016】
一実施形態における調整機構では、前記基準点は、前記光学部品の出射端を含み、前記調整機構は、前記出射端から出射する光の出射方向を調整してもよい。これにより、調整機構は、光の出射方向の調整を、光学部品の出射端の位置調整と独立して行うことができる。したがって、光学部品の出射端から出射する光の経路に関する調整が容易になる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、光の経路に関する調整が容易になる調整機構を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】光学部品を保持した第1実施形態に係る調整機構を後方から見たときの外観斜視図である。
【
図4】
図2のIV-IV矢線に沿った断面図である。
【
図6】光学部品を保持した第2実施形態に係る調整機構を後方から見たときの外観斜視図である。
【
図9】
図7のIX-IX矢線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら本開示の一実施形態について詳細に説明する。以下の説明中の前後、左右、及び上下の方向は、図中の矢印の方向を基準とする。各矢印の方向は、
図1乃至
図5において、異なる図面同士で互いに整合している。各矢印の方向は、
図6乃至
図10において、異なる図面同士で互いに整合している。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、光学部品2を保持した第1実施形態に係る調整機構1を後方から見たときの外観斜視図である。
図2は、
図1の調整機構1の背面図である。
図3は、
図1の調整機構1の正面図である。
【0021】
調整機構1は、光学部品2の基準点Pを通過する光の進行方向を調整する。本明細書では、「光学部品2」は、例えば、光が出射する出射端を有する任意の部品を含む。例えば、光学部品2は、光ファイバ等の任意の光伝送路を含む。例えば、光学部品2は、レーザダイオード等の任意の発光素子を含む。以下では、一例として、光学部品2は光ファイバであるとして説明する。
【0022】
本明細書では、「光学部品2の基準点P」は、例えば、光学部品2の出射端を含む。このとき、調整機構1は、光学部品2の出射端から出射する光の出射方向を調整する。
【0023】
調整機構1は、後面側で光学部品2を保持した状態で、光学部品2の基準点Pとしての出射端を前面側で露出させる。光学部品2の内部を伝搬してきた光は、調整機構1により保持された光学部品2の基準点Pから光学部品2の外部へと出射する。
【0024】
調整機構1は、大きな構成要素として、可動部材11と、固定部材12と、第1調整部13と、第2調整部14と、を有する。調整機構1は、全体的に矩形状となるように形成されている。
【0025】
可動部材11は、光学部品2を保持し、第1軸A1回りに、及び第1軸A1に交差する第2軸A2回りに光学部品2を回転させる。本明細書において、「第1軸A1」は、例えば、左右方向に平行であり、光学部品2の基準点Pを通る。本明細書において、「第2軸A2」は、例えば、上下方向に平行であり、光学部品2の基準点Pを通る。一例として、第1軸A1と第2軸A2とは互いに直交する。
【0026】
可動部材11は、光学部品2を後面側で保持し、かつ第1軸A1回りに回転する第1可動ベース111を有する。第1可動ベース111は、矩形状に形成されている。第1可動ベース111は、光学部品2が取り付けられる取付部111aと、取付部111aに取り付けられた光学部品2の出射端が前面側で露出するように形成されている開口部111bと、を有する。取付部111aは、例えば、FCコネクタ等の光ファイバ挿入口を含む。
【0027】
第1可動ベース111は、後面側に形成されている取付部111aに対して光学部品2が後面側から取り付けられることで、光学部品2を保持する。これにより、光学部品2の基準点Pの位置が固定されている。第1可動ベース111が光学部品2を保持した状態で第1軸A1回りに回転することで、光学部品2は、第1軸A1回りに回転する。これにより、光学部品2の基準点Pから出射する光の出射方向が上下に変化する。
【0028】
可動部材11は、第1可動ベース111を支持し、かつ第2軸A2回りに回転する第2可動ベース112を有する。第2可動ベース112は、矩形の枠として形成され、枠内に位置する第1可動ベース111を上下左右方向から囲む。
図2に示すとおり、第1可動ベース111と第2可動ベース112とは、第1軸A1上に延在する一対の第1シャフト15に基づいて連結されている。
【0029】
第2可動ベース112は、一対の第1シャフト15に基づいて第1可動ベース111を支持する。第2可動ベース112が第1可動ベース111を支持した状態で第2軸A2回りに回転することで、第1可動ベース111に保持されている光学部品2は、第2軸A2回りに回転する。これにより、光学部品2の基準点Pから出射する光の出射方向が左右に変化する。
【0030】
固定部材12は、可動部材11を支持する。固定部材12は、U字状の枠として形成され、枠内に位置する可動部材11を上下左方向から囲む。
図2に示すとおり、固定部材12と第2可動ベース112とは、第2軸A2上に延在する一対の第2シャフト16に基づいて連結されている。
【0031】
固定部材12は、一対の第2シャフト16に基づいて可動部材11のうち第2可動ベース112を支持する。これにより、固定部材12は、第1可動ベース111及び第2可動ベース112を含む可動部材11を支持する。固定部材12は、可動部材11を支持した状態で固定されている。すなわち、固定部材12は、可動部材11が第1軸A1回りに、及び第2軸A2回りに回転してもその配置及び向きを一定に維持する。
【0032】
第1調整部13は、第2可動ベース112の後面に螺合されている第1調整ネジ131を有する。第1調整部13は、第1調整ネジ131の周囲を前後方向の略全体にわたって囲むように配置されている第1ばね132を有する。第1調整部13は、第1調整ネジ131及び第1ばね132と第1可動ベース111とを連結するL字状の第1連結部133を有する。
【0033】
第2調整部14は、固定部材12の後面に螺合されている第2調整ネジ141を有する。第2調整部14は、第2調整ネジ141の周囲を前後方向の略全体にわたって囲むように配置されている第2ばね142を有する。第2調整部14は、第2調整ネジ141及び第2ばね142と第2可動ベース112とを連結するL字状の第2連結部143を有する。
【0034】
図4は、
図2のIV-IV矢線に沿った断面図である。
【0035】
調整機構1は、可動部材11の右端部に位置する第1付勢部17を有する。第1付勢部17は、引張ばね及びネジを含む。第1付勢部17は、第2可動ベース112の右側面から第1可動ベース111の右端部にまで至る。第1可動ベース111は、第1付勢部17により、第1軸A1に沿って第2可動ベース112へと付勢されている。例えば、第1可動ベース111は、第1付勢部17により、第2可動ベース112に向けて右方向に付勢されている。
【0036】
第1可動ベース111は、第1調整部13、第1シャフト15、及び第1付勢部17によって、第1軸A1回りの回転以外の動きが制限された状態で、第2可動ベース112に連結されている。このとき、光学部品2の基準点Pは、第1軸A1上に位置する。光学部品2の基準点P及び第1シャフト15の両方が、第1軸A1上に位置している。
【0037】
第1調整部13の第1調整ネジ131が押し込まれると、第1シャフト15を軸として第1可動ベース111が上方へと回転する。より具体的には、第1可動ベース111において第1調整部13と接続している部分が前方へと押し込まれ、第1可動ベース111の取付部111aが第1シャフト15を軸として上方へと回転する。これにより、光学部品2は、第1軸A1回りに上方へと回転する。より具体的には、光学部品2において取付部111aにより保持されている部分が第1軸A1回りに上方へと回転する。すなわち、光学部品2は、後述の
図5において、基準点Pを通り紙面に対して直交する第1軸A1を中心として時計回りに回転する。より具体的には、光学部品2において取付部111aにより保持されている部分が取付部111aと共に第1軸A1を中心として時計回りに回転する。このとき、光学部品2の基準点Pから出射する光の出射方向は、下方へと変化する。
【0038】
逆に、第1調整部13の第1調整ネジ131が緩められると、第1シャフト15を軸として第1可動ベース111が下方へと回転する。より具体的には、第1可動ベース111において第1調整部13と接続している部分が後方へと倒れ、第1可動ベース111の取付部111aが第1シャフト15を軸として下方へと回転する。これにより、光学部品2は、第1軸A1回りに下方へと回転する。より具体的には、光学部品2において取付部111aにより保持されている部分が第1軸A1回りに下方へと回転する。すなわち、光学部品2は、後述の
図5において、基準点Pを通り紙面に対して直交する第1軸A1を中心として反時計回りに回転する。より具体的には、光学部品2において取付部111aにより保持されている部分が取付部111aと共に第1軸A1を中心として反時計回りに回転する。このとき、光学部品2の基準点Pから出射する光の出射方向は、上方へと変化する。
【0039】
【0040】
調整機構1は、可動部材11及び固定部材12の上端部に位置する第2付勢部18を有する。第2付勢部18は、引張ばね及びネジを含む。第2付勢部18は、固定部材12の上面から第2可動ベース112の上端部にまで至る。第2可動ベース112は、第2付勢部18により、第2軸A2に沿って固定部材12へと付勢されている。例えば、第2可動ベース112は、第2付勢部18により、固定部材12に向けて上方向に付勢されている。
【0041】
第2可動ベース112は、第2調整部14、第2シャフト16、及び第2付勢部18によって、第2軸A2回りの回転以外の動きが制限された状態で、固定部材12に連結されている。このとき、光学部品2の基準点Pは、第2軸A2上に位置する。光学部品2の基準点P及び第2シャフト16の両方が、第2軸A2上に位置している。
【0042】
第2調整部14の第2調整ネジ141が押し込まれると、第2シャフト16を軸として第2可動ベース112が左方へと回転する。より具体的には、第2可動ベース112において第2調整部14と接続している部分が前方へと押し込まれ、第1可動ベース111の取付部111aが第2シャフト16を軸として左方へと回転する。これにより、光学部品2は、第2軸A2回りに左方へと回転する。より具体的には、光学部品2において取付部111aにより保持されている部分が第2軸A2回りに左方へと回転する。すなわち、光学部品2は、
図4において、基準点Pを通り紙面に対して直交する第2軸A2を中心として反時計回りに回転する。より具体的には、光学部品2において取付部111aにより保持されている部分が取付部111aと共に第2軸A2を中心として反時計回りに回転する。このとき、光学部品2の基準点Pから出射する光の出射方向は、右方へと変化する。
【0043】
逆に、第2調整部14の第2調整ネジ141が緩められると、第2シャフト16を軸として第2可動ベース112が右方へと回転する。より具体的には、第2可動ベース112において第2調整部14と接続している部分が後方へと倒れ、第1可動ベース111の取付部111aが第2シャフト16を軸として右方へと回転する。これにより、光学部品2は、第2軸A2回りに右方へと回転する。より具体的には、光学部品2において取付部111aにより保持されている部分が第2軸A2回りに右方へと回転する。すなわち、光学部品2は、
図4において、基準点Pを通り紙面に対して直交する第2軸A2を中心として時計回りに回転する。より具体的には、光学部品2において取付部111aにより保持されている部分が取付部111aと共に第2軸A2を中心として時計回りに回転する。このとき、光学部品2の基準点Pから出射する光の出射方向は、左方へと変化する。
【0044】
図4及び
図5に示すとおり、光学部品2の基準点Pは、第1軸A1と第2軸A2との交点に位置する。光学部品2の基準点Pは、左右方向の両側から一対の第1シャフト15によって挟まれ、第1シャフト15の中心軸としての第1軸A1上にある。加えて、光学部品2の基準点Pは、上下方向の両側から一対の第2シャフト16によって挟まれ、第2シャフト16の中心軸としての第2軸A2上にある。
【0045】
以上のような第1実施形態に係る調整機構1によれば、光の経路に関する調整が容易になる。例えば、調整機構1では、光学部品2の基準点Pが第1軸A1と第2軸A2との交点に位置することで、可動部材11によって第1軸A1回り及び第2軸A2回りに光学部品2が回転したとしても、光学部品2の基準点Pの位置は変化しない。したがって、従来技術のように基準点の位置ずれを補正する必要がない。調整機構1では、光の進行方向の調整と光学部品2の基準点Pの位置調整とは互いに独立している。調整機構1では、光の進行方向の調整に伴って光学部品2の基準点Pの位置調整を行う必要がなく、光の経路に関する調整が簡便になる。
【0046】
可動部材11が、第1軸A1回りに回転する第1可動ベース111と第2軸A2回りに回転する第2可動ベース112とを有することで、2つの異なる部材によって2つの軸回りの回転が実現可能である。例えば、第1可動ベース111は、第1軸A1回りの回転以外の動きが制限された状態で第2可動ベース112に連結されていることで、第1軸A1回りの動きを精度良く実現可能である。例えば、第2可動ベース112は、第2軸A2回りの回転以外の動きが制限された状態で固定部材12に連結されていることで、第2軸A2回りの動きを精度良く実現可能である。以上により、第1実施形態では、2つの軸回りの回転が精度良く実現可能である。
【0047】
第1可動ベース111と第2可動ベース112とが、第1軸A1上に延在する第1シャフト15に基づいて連結されていることで、第1可動ベース111は、第1シャフト15を含むシャフト構造に基づいて第1軸A1回りの回転を可能にする。同様に、第2可動ベース112と固定部材12とが、第2軸A2上に延在する第2シャフト16に基づいて連結されていることで、第2可動ベース112は、第2シャフト16を含むシャフト構造に基づいて第2軸A2回りの回転を可能にする。以上により、調整機構1は、シャフト構造に基づいて滑らかな回転の動きを実現可能である。
【0048】
第1軸A1と第2軸A2とが互いに直交することで、調整機構1は、光学部品2の基準点Pを通過する光の進行方向を、2つの直交する方向に調整可能である。これにより、光の経路に関する調整が容易になる。
【0049】
調整機構1は、光学部品2の出射端から出射する光の出射方向を調整することで、光の出射方向の調整を、光学部品2の出射端の位置調整と独立して行うことができる。これにより、光学部品2の出射端から出射する光の経路に関する調整が容易になる。
【0050】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る調整機構1は、可動部材11が1つの可動ベースによって構成されている点で第1実施形態と相違する。以下では、第1実施形態と同様の構成部については同一の符号を付し、その説明を省略する。第1実施形態と異なる点について主に説明する。
【0051】
図6は、光学部品2を保持した第2実施形態に係る調整機構1を後方から見たときの外観斜視図である。
図7は、
図6の調整機構1の背面図である。
図8は、
図6の調整機構1の正面図である。
図9は、
図7のIX-IX矢線に沿った断面図である。
図10は、
図7のX-X矢線に沿った断面図である。
【0052】
可動部材11は、光学部品2を後面側で保持し、かつ第1軸A1回り及び第2軸A2回りに回転する。可動部材11は、矩形状に形成されている。可動部材11は、光学部品2が取り付けられる取付部11aと、取付部11aに取り付けられた光学部品2の出射端が前面側で露出するように形成されている開口部11bと、を有する。取付部11aは、例えば、FCコネクタ等の光ファイバ挿入口を含む。可動部材11は、球面状に形成されている凸部11cを有する。
【0053】
固定部材12は、可動部材11を支持する。固定部材12は、可動部材11と同様に矩形状に形成されている。固定部材12は、可動部材11の凸部11cを受け入れる球面状の凹部12aを有する。凹部12aの球面の半径は、可動部材11の凸部11cの球面の半径と同一か、又は凸部11cの球面の半径よりも若干大きい。固定部材12は、可動部材11の取付部11aに取り付けられた光学部品2の出射端が前面側で露出するように形成されている開口部12bを有する。
【0054】
第1調整部13は、可動部材11の後面の上端において、可動部材11及び固定部材12に螺合されている第1調整ネジ131を有する。
【0055】
第2調整部14は、可動部材11の後面の右端において、可動部材11及び固定部材12に螺合されている第2調整ネジ141を有する。
【0056】
第1付勢部17は、光学部品2に対して第1調整ネジ131と上下方向の反対側に位置する。第1付勢部17は、押付ばね及びネジを含む。第1付勢部17は、可動部材11の後面から固定部材12の内部にまで至る。
【0057】
第2付勢部18は、光学部品2に対して第2調整ネジ141と左右方向の反対側に位置する。第2付勢部18は、押付ばね及びネジを含む。第2付勢部18は、可動部材11の後面から固定部材12の内部にまで至る。
【0058】
固定部材12は、凹部12aが可動部材11の凸部11cを受け入れることで可動部材11を支持する。固定部材12は、可動部材11を支持した状態で固定されている。すなわち、固定部材12は、可動部材11が第1軸A1回りに、及び第2軸A2回りに回転してもその配置及び向きを一定に維持する。このとき、固定部材12と可動部材11とは、第1付勢部17及び第2付勢部18のそれぞれに含まれる押付ばねにより、前後方向に沿って互いに付勢されている。
【0059】
可動部材11は、固定部材12の凹部12aに受け入れられている凸部11c、第1調整部13及び第2調整部14、並びに第1付勢部17及び第2付勢部18によって、第1軸A1回り及び第2軸A2回りの回転以外の動きが制限された状態で、固定部材12に連結されている。可動部材11は、後面側に形成されている取付部11aに対して光学部品2が後面側から取り付けられることで、光学部品2を保持する。これにより、光学部品2の基準点Pの位置が固定されている。
【0060】
このとき、光学部品2の基準点Pは、第1軸A1と第2軸A2との交点に位置する。また、第1軸A1と第2軸A2との交点は、凸部11cの球面を含む球体の中心に位置する。すなわち、光学部品2の基準点Pと凸部11cの球面を含む球体の中心とは、互いの位置が一致している。光学部品2の基準点Pとしての出射端は、可動部材11の開口部11b及び固定部材12の開口部12bによって前面側で露出する。
【0061】
可動部材11が光学部品2を保持した状態で第1軸A1回りに回転することで、光学部品2は、第1軸A1回りに回転する。これにより、光学部品2の基準点Pから出射する光の出射方向が上下に変化する。
【0062】
例えば、第1調整部13の第1調整ネジ131が押し込まれると、固定部材12の凹部12aの球面に沿って可動部材11が上方へと回転する。より具体的には、可動部材11において第1調整部13と接続している部分が前方へと押し込まれ、可動部材11の取付部11aが凹部12aの球面に沿って上方へと回転する。これにより、光学部品2は、第1軸A1回りに上方へと回転する。より具体的には、光学部品2において取付部11aにより保持されている部分が第1軸A1回りに上方へと回転する。すなわち、光学部品2は、
図10において、基準点Pを通り紙面に対して直交する第1軸A1を中心として時計回りに回転する。より具体的には、光学部品2において取付部11aにより保持されている部分が取付部11aと共に第1軸A1を中心として時計回りに回転する。このとき、光学部品2の基準点Pから出射する光の出射方向は、下方へと変化する。
【0063】
逆に、第1調整部13の第1調整ネジ131が緩められると、固定部材12の凹部12aの球面に沿って可動部材11が下方へと回転する。より具体的には、可動部材11において第1調整部13と接続している部分が後方へと倒れ、可動部材11の取付部11aが凹部12aの球面に沿って下方へと回転する。これにより、光学部品2は、第1軸A1回りに下方へと回転する。より具体的には、光学部品2において取付部11aにより保持されている部分が第1軸A1回りに下方へと回転する。すなわち、光学部品2は、
図10において、基準点Pを通り紙面に対して直交する第1軸A1を中心として反時計回りに回転する。より具体的には、光学部品2において取付部11aにより保持されている部分が取付部11aと共に第1軸A1を中心として反時計回りに回転する。このとき、光学部品2の基準点Pから出射する光の出射方向は、上方へと変化する。
【0064】
可動部材11が光学部品2を保持した状態で第2軸A2回りに回転することで、光学部品2は、第2軸A2回りに回転する。これにより、光学部品2の基準点Pから出射する光の出射方向が左右に変化する。
【0065】
例えば、第2調整部14の第2調整ネジ141が押し込まれると、固定部材12の凹部12aの球面に沿って可動部材11が右方へと回転する。より具体的には、可動部材11において第2調整部14と接続している部分が前方へと押し込まれ、可動部材11の取付部11aが凹部12aの球面に沿って右方へと回転する。これにより、光学部品2は、第2軸A2回りに右方へと回転する。より具体的には、光学部品2において取付部11aにより保持されている部分が第2軸A2回りに右方へと回転する。すなわち、光学部品2は、
図9において、基準点Pを通り紙面に対して直交する第2軸A2を中心として時計回りに回転する。より具体的には、光学部品2において取付部11aにより保持されている部分が取付部11aと共に第2軸A2を中心として時計回りに回転する。このとき、光学部品2の基準点Pから出射する光の出射方向は、左方へと変化する。
【0066】
逆に、第2調整部14の第2調整ネジ141が緩められると、固定部材12の凹部12aの球面に沿って可動部材11が左方へと回転する。より具体的には、可動部材11において第2調整部14と接続している部分が後方へと倒れ、可動部材11の取付部11aが凹部12aの球面に沿って左方へと回転する。これにより、光学部品2は、第2軸A2回りに左方へと回転する。より具体的には、光学部品2において取付部11aにより保持されている部分が第2軸A2回りに左方へと回転する。すなわち、光学部品2は、
図9において、基準点Pを通り紙面に対して直交する第2軸A2を中心として反時計回りに回転する。より具体的には、光学部品2において取付部11aにより保持されている部分が取付部11aと共に第2軸A2を中心として反時計回りに回転する。このとき、光学部品2の基準点Pから出射する光の出射方向は、右方へと変化する。
【0067】
以上のような第2実施形態に係る調整機構1によれば、第1実施形態と共通する構成によって第1実施形態と同様の効果を奏する。加えて、第2実施形態に係る調整機構1では、可動部材11は、1つの部材によって簡易に構成される。このとき、可動部材11が凸部11cを有し、固定部材12が凹部12aを有することで、第2実施形態に係る調整機構1は、可動部材11に関する簡易的な構成を有していても、2つの軸回りの回転を実現可能である。以上により、第2実施形態では、調整機構1を構成する部材の数が低減し、製造コストが低減する。
【0068】
本開示は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。したがって、先の記述は例示的であり、これに限定されない。開示の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含されるとする。
【0069】
例えば、上述した各構成部の形状、配置、向き、及び個数は、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の形状、配置、向き、及び個数は、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。
【0070】
上記第1実施形態では、第1可動ベース111と第2可動ベース112とは第1シャフト15に基づいて連結され、第2可動ベース112と固定部材12とは第2シャフト16に基づいて連結されていると説明したが、これに限定されない。調整機構1は、第1軸A1回りの第1可動ベース111の回転、及び第2軸A2回りの第2可動ベース112の回転の両方を実現できる任意の回転構造を上記のシャフト構造に代えて有してもよい。
【0071】
上記第1実施形態及び第2実施形態では、第1軸A1と第2軸A2とは互いに直交すると説明したが、これに限定されない。第1軸A1と第2軸A2とは、90°以外の任意の角度で互いに交差してもよい。
【0072】
例えば、第1実施形態及び第2実施形態に係る調整機構1に基づく光の進行方向の調整に加えて、光学部品2の基準点Pは、任意の位置調整機構に基づいて、第1軸A1に平行な方向に位置調整されてもよい。同様に、光学部品2の基準点Pは、任意の位置調整機構に基づいて、第2軸A2に平行な方向に位置調整されてもよい。同様に、光学部品2の基準点Pは、任意の位置調整機構に基づいて、光軸に平行な方向に位置調整されてもよい。同様に、光学部品2は、任意の回転調整機構に基づいて、光軸回りに回転調整されてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 調整機構
11 可動部材
111 第1可動ベース
111a 取付部
111b 開口部
112 第2可動ベース
11a 取付部
11b 開口部
11c 凸部
12 固定部材
12a 凹部
12b 開口部
13 第1調整部
131 第1調整ネジ
132 第1ばね
133 第1連結部
14 第2調整部
141 第2調整ネジ
142 第2ばね
143 第2連結部
15 第1シャフト
16 第2シャフト
17 第1付勢部
18 第2付勢部
2 光学部品
A1 第1軸
A2 第2軸
P 基準点