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特許7508956画像生成装置、画像生成方法、画像生成プログラム、及び、画像形成システム
<図1>
  • 特許-画像生成装置、画像生成方法、画像生成プログラム、及び、画像形成システム 図1
  • 特許-画像生成装置、画像生成方法、画像生成プログラム、及び、画像形成システム 図2
  • 特許-画像生成装置、画像生成方法、画像生成プログラム、及び、画像形成システム 図3
  • 特許-画像生成装置、画像生成方法、画像生成プログラム、及び、画像形成システム 図4
  • 特許-画像生成装置、画像生成方法、画像生成プログラム、及び、画像形成システム 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】画像生成装置、画像生成方法、画像生成プログラム、及び、画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   A41H 43/00 20060101AFI20240625BHJP
   D06H 1/04 20060101ALI20240625BHJP
   A41H 3/00 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
A41H43/00 Z
D06H1/04
A41H3/00 D
A41H3/00 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020149355
(22)【出願日】2020-09-04
(65)【公開番号】P2022043862
(43)【公開日】2022-03-16
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉村 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】金谷 信明
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-002488(JP,A)
【文献】特開2013-199714(JP,A)
【文献】特開2015-048556(JP,A)
【文献】特開2016-186133(JP,A)
【文献】特開2003-113577(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0257027(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41H 43/00
D06H 1/04
A41H 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各パーツのパターンデータ、及び、それぞれのパーツを識別するための識別コードを記憶する記憶部と、
前記パターンデータから、各パーツの外形線、及び、前記外形線よりもパーツの内側に存在する内側線の位置を検出する演算処理部と、
前記演算処理部で検出された外形線と、該外形線に対して一定間隔を有して配置される内側線との間の領域を、前記識別コードを配置する配置領域として特定する領域特定部と、を備え、
各パーツには、それぞれのパーツの名称を含む固有データが付されており、
前記領域特定部は、前記配置領域のうち、前記固有データの座標から最も近い領域を配置領域として特定する
画像生成装置。
【請求項2】
各パーツのパターンデータ、及び、それぞれのパーツを識別するための識別コードを記憶する記憶部と、
前記パターンデータから、各パーツの外形線、及び、前記外形線よりもパーツの内側に存在する内側線の位置を検出する演算処理部と、
前記演算処理部で検出された外形線と、該外形線に対して一定間隔を有して配置される内側線との間の領域を、前記識別コードを配置する配置領域として特定する領域特定部と、を備え、
前記記憶部は、生地の縮率を含む生地情報を記憶しており、
前記領域特定部は、前記生地の縮率に基づいて、前記識別コードの大きさを調整する
画像生成装置。
【請求項3】
前記領域特定部は、特定した前記配置領域に各パーツに対応した識別コードを配置した識別コード付パターンデータの画像を生成する
請求項1又は2に記載の画像生成装置。
【請求項4】
前記領域特定部は、前記配置領域のうち、外形線と内側線との間の幅が最も広い領域を配置領域として特定する
請求項1又は2に記載の画像生成装置。
【請求項5】
前記識別コードは、非接触型の読取端末によって読取可能な画像で構成されている
請求項1又は2に記載の画像生成装置。
【請求項6】
各パーツのパターンデータ、及び、それぞれのパーツを識別するための識別コードを記憶する記憶部と、前記パターンデータから必要なデータを検出する演算処理部と、前記演算処理部で検出されたデータに基づいて識別コードの配置領域を特定する領域特定部と、を備える画像生成装置における画像生成方法であって、
前記演算処理部が、前記記憶部のパターンデータから、各パーツの外形線、及び、前記外形線よりもパーツの内側に存在する内側線の位置を検出し、
前記領域特定部が、前記外形線と該外形線に対して一定間隔を有して配置される内側線との間の領域を、前記識別コードを配置する配置領域として特定し、
前記領域特定部が、前記配置領域に、各パーツに対応する識別コードを配置した識別コード付パターンデータを生成し、
各パーツには、それぞれのパーツの名称を含む固有データが付されており、
前記領域特定部は、前記配置領域のうち、前記固有データの座標から最も近い領域を配置領域として特定する
画像生成方法。
【請求項7】
各パーツのパターンデータ、及び、それぞれのパーツを識別するための識別コードを記憶する記憶部と、前記パターンデータから必要なデータを検出する演算処理部と、前記演算処理部で検出されたデータに基づいて識別コードの配置領域を特定する領域特定部と、を備える画像生成装置における画像生成方法であって、
前記演算処理部が、前記記憶部のパターンデータから、各パーツの外形線、及び、前記外形線よりもパーツの内側に存在する内側線の位置を検出し、
前記領域特定部が、前記外形線と該外形線に対して一定間隔を有して配置される内側線との間の領域を、前記識別コードを配置する配置領域として特定し、
前記領域特定部が、前記配置領域に、各パーツに対応する識別コードを配置した識別コード付パターンデータを生成し、
前記記憶部は、生地の縮率を含む生地情報を記憶しており、
前記領域特定部は、前記生地の縮率に基づいて、前記識別コードの大きさを調整する
画像生成方法。
【請求項8】
各パーツのパターンデータに基づいて画像を生成する画像生成装置で実行させる画像生成プログラムであって、
パターンデータから、各パーツの外形線、及び、前記外形線よりもパーツの内側に存在する内側線の位置を検出する手順と、
前記外形線と該外形線に対して一定間隔を有して配置される内側線との間の領域を、識別コードを配置する配置領域として特定する手順と、
前記特定された配置領域に、各パーツに対応する識別コードを配置した識別コード付パターンデータを生成する手順と、を前記画像生成装置に実行させ、
各パーツには、それぞれのパーツの名称を含む固有データが付されており、
前記配置領域のうち、前記固有データの座標から最も近い領域を配置領域として特定させる
画像生成プログラム。
【請求項9】
各パーツのパターンデータに基づいて画像を生成する画像生成装置で実行させる画像生成プログラムであって、
パターンデータから、各パーツの外形線、及び、前記外形線よりもパーツの内側に存在する内側線の位置を検出する手順と、
前記外形線と該外形線に対して一定間隔を有して配置される内側線との間の領域を、識別コードを配置する配置領域として特定する手順と、
前記特定された配置領域に、各パーツに対応する識別コードを配置した識別コード付パターンデータを生成する手順と、を前記画像生成装置に実行させ、
記憶部は、生地の縮率を含む生地情報を記憶しており、
記生地の縮率に基づいて、前記識別コードの大きさを調整させる
画像生成プログラム。
【請求項10】
各パーツのパターンデータ、及び、それぞれのパーツを識別するための識別コードを記憶する記憶部と、前記パターンデータから、各パーツの外形線、及び、前記外形線よりもパーツの内側に存在する内側線の位置を検出する演算処理部と、前記演算処理部で検出された外形線と、該外形線に対して一定間隔を有して配置される内側線との間の領域を、前記識別コードを配置する配置領域として特定すると共に、前記配置領域に各パーツに対応した識別コードを配置した識別コード付パターンデータの画像を生成する領域特定部とを備える画像生成装置と、
前記画像生成装置で生成された識別コード付パターンデータに基づいて、各パーツの画像及び、各パーツの配置領域に配置される識別コードの画像を、所望の記録材に形成する画像形成装置と、を備え、
各パーツには、それぞれのパーツの名称を含む固有データが付されており、
前記領域特定部は、前記配置領域のうち、前記固有データの座標から最も近い領域を配置領域として特定する
画像形成システム。
【請求項11】
各パーツのパターンデータ、及び、それぞれのパーツを識別するための識別コードを記憶する記憶部と、前記パターンデータから、各パーツの外形線、及び、前記外形線よりもパーツの内側に存在する内側線の位置を検出する演算処理部と、前記演算処理部で検出された外形線と、該外形線に対して一定間隔を有して配置される内側線との間の領域を、前記識別コードを配置する配置領域として特定すると共に、前記配置領域に各パーツに対応した識別コードを配置した識別コード付パターンデータの画像を生成する領域特定部とを備える画像生成装置と、
前記画像生成装置で生成された識別コード付パターンデータに基づいて、各パーツの画像及び、各パーツの配置領域に配置される識別コードの画像を、所望の記録材に形成する画像形成装置と、を備え、
前記記憶部は、生地の縮率を含む生地情報を記憶しており、
前記領域特定部は、前記生地の縮率に基づいて、前記識別コードの大きさを調整する
画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像生成装置、画像生成方法、画像生成プログラム、及び、画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
アパレルの製造においては、各パーツを縫製して最終商品として組み立てる前に、生地を必要なパーツへ裁断する工程が存在する。従来の一般的なサイズ展開(S,M,L等)では、効率化のために、生地を何層にも重ねてから裁断する多層裁断が行われている。一方、マスカスタマイゼーションによって1点1点異なるサイズの衣服を製造する場合には、同一パーツ間において、サイズの判別がつきにくいなどの問題が発生する。その結果、裁断工程において、裁断データの選択ミスなどが発生する恐れがある。
【0003】
裁断データの選択間違いを防止したり、裁断データの確認などの手間を解消したりする方法として、データ読み出し用の情報を持つバーコード等を印刷したラベルを生地に貼付しておく方法が採られている。この場合、裁断工程の開始時に、作業者がそのラベルをバーコードリーダーで読み取り、データベースから裁断データを読み出すという方法が利用されている。
【0004】
また、特許文献1では、生地上に配置される各パーツパターンの外周部に、各パーツパターンの特定情報を非接触で読み取り可能にするデータ表示部を配置する例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-199714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1では、パーツパターンに対するデータ表示部の配置位置については、除去予定位置か、あるいは、接合予定位置であることを前提とすることが記載されており、パーツパターンに対するデータ表示部の配置位置は特に決められていない。このため、データ表示部が除去予定位置である場合には、裁断後にデータ表示部を確認することができないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、各パーツの裁断後においても各パーツの識別情報を確認することができる識別コードを各パーツに形成するための画像生成装置、画像生成方法、画像生成プログラム、及び、画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の画像生成装置は、各パーツのパターンデータ、及び、それぞれのパーツを識別するための識別コードを記憶する記憶部と、パターンデータから、各パーツの外形線と、外形線よりもパーツの内側に存在する内側線を検出する演算処理部と、演算処理部で検出された外形線と、該外形線に対して一定間隔を有して配置される内側線との間の領域を識別コードの配置領域として特定する領域特定部と、を備える。
【0009】
また、本発明の画像生成方法は、各パーツのパターンデータから、各パーツの外形線と、外形線よりもパーツの内側に存在する内側線を検出し、外形線と該外形線に対して一定間隔を有して配置される内側線との間の領域を識別コードの配置領域として特定し、特定された配置領域に、各パーツに対応する識別コードを配置した識別コード付パターンデータを生成する。
【0010】
また、本発明の画像生成プログラムは、各パーツのパターンデータに基づいて、画像を生成する画像生成装置で実行させる画像生成プログラムであって、型紙情報が有するパターンデータから、各パーツの外形線と、外形線よりもパーツの内側に存在する内側線を検出する手順と、外形線と該外形線に対して一定間隔を有して配置される内側線との間の領域を識別コードの配置領域として特定する手順と、特定された配置領域に、各パーツに対応する識別コードを配置した識別コード付パターンデータを生成する手順と、を画像生成装置に実行させるためのプログラムである。
【0011】
また、本発明の画像形成システムは、各パーツのパターンデータ、及び、それぞれのパーツを識別するための識別コードを記憶する記憶部と、パターンデータから、各パーツの外形線と、外形線よりもパーツの内側に存在する内側線を検出する演算処理部と、演算処理部で検出された外形線と、該外形線に対して一定間隔を有して配置される内側線との間の領域を識別コードの配置領域として特定すると共に、配置領域に各パーツに対応した識別コードを配置した識別コード付パターンデータの画像を生成する領域特定部とを備える画像生成装置と、画像生成装置で生成された識別コード付パターンデータに基づいて、各パーツの画像及び、各パーツの配置領域に配置される識別コードの画像を、所望の記録材に形成する画像形成装置と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、裁断後においても各パーツの識別情報を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る画像生成装置で生成された画像を記録材に形成するための画像形成装置1の概略構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置1を上面から見た図である。
図3】本発明の一実施形態に係る画像形成システムの制御系を示すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態の識別コード生成処理に係る画像生成方法及びプログラムの一例を示すフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態において、識別コードが付される右前身頃パーツのパターンデータの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る画像生成装置、画像生成方法、画像生成プログラム、及び画像形成システムの一例を、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下の例に限定されるものではない。以下で説明する各図において、共通の部材には同一の符号を付している。
【0015】
<画像形成装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る画像生成装置で生成された画像を記録材に形成するための画像形成装置1の概略構成図である。また、図2は、本実施形態に係る画像形成装置1を上面から見た図である。図1及び図2では、後述する画像形成システム100(図3参照)を構成する画像形成装置1の主要な一部を図示し、その概要を説明する。
【0016】
本実施形態の画像形成装置1は、記録材の記録面にインクを吐出して、画像を記録するインクジェット記録装置で構成されている。以下の説明では、記録材の搬送方向について直交する方向について記録ヘッド8を備える画像形成部6を複数回往復し描画を行うスキャン方式の例について説明する。さらに、図1に示す画像形成装置1では、記録材の一例として布帛Rを適用した例を用いて説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置1は、搬送部2と、画像形成部6とを備える。
【0018】
搬送部2は、例えば、駆動ローラ4と、従動ローラ3と搬送ベルト5とを備える。駆動ローラ4及び従動ローラ3は、布帛Rの搬送方向に直交する方向(記録材の幅方向)に延在する円柱状の部材で構成されており、互いに所定の間隔を介して平行に配置されている。駆動ローラ4は、図示を省略する駆動モータによって回転駆動される。
【0019】
搬送ベルト5は、駆動ローラ4及び従動ローラ3に巻き架けられる無端状のベルトである。搬送部2では、駆動ローラ4が駆動モータによって回転駆動されることによって搬送ベルト5が駆動ローラ4と従動ローラ3との間を周回し、搬送ベルト5の上面に載置された布帛Rを搬送方向(図1の矢印方向)に沿って搬送する。
【0020】
搬送ベルト5の上部には、後述するキャリッジ7が配置される。また、搬送ベルト5の上面部において、キャリッジ7よりも搬送方向の上流側には、押し付け部材14が配置されている。
【0021】
押し付け部材14は、ローラ状に形成されている。そして、押し付け部材14は、図示を省略する支持部により回転可能に支持されている。押し付け部材14はその軸方向を幅方向と平行にして配置される。また、押し付け部材14の軸方向の長さは、搬送ベルト5の幅方向の長さよりも長く設定されている。そのため、押し付け部材14は搬送ベルト5の幅方向の一端から他端にかけて延在している。そして、押し付け部材14は後述する送り出し部11よって搬送部2に搬送された布帛Rを搬送ベルト5の上面部に向けて押し付ける。
【0022】
搬送部2の搬送方向の上流側には、送り出し部11が配置されている。送り出し部11はローラ状に形成されており、図示を省略する支持部に回転可能に支持されている。そして、送り出し部11によって搬送部2に搬送された布帛Rを搬送ベルト5の上面部に向けて押し付ける。
【0023】
また、搬送部2の搬送方向の下流側には、巻き取り部12が配置されている。巻き取り部12は、キャリッジ7によって画像が形成された布帛Rを搬送ベルト5から離反させ、回収する。
【0024】
画像形成部6は、ガイドレール9と、キャリッジ7と、記録ヘッド8とを備える。ガイドレール9は布帛Rの搬送方向に直交する方向に延在する棒状部材で構成されている。そしてガイドレール9は、搬送ベルト5の布帛Rを載置する面に対向する上側において、搬送ベルト5の搬送面から所定の空間を介して配置されている。ガイドレール9は、後述するキャリッジ7を、搬送ベルト5の上面において、搬送ベルト5の搬送方向に直交する方向(以下、走査方向)に沿って移動可能に支持する。また、ガイドレール9は、搬送ベルト5の上面において、キャリッジ7を往復移動可能に支持する。
【0025】
キャリッジ7は、例えばシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)のそれぞれのインクカートリッジを搭載した箱状の部材であり、図示を省略する駆動部により、ガイドレール9に移動可能に支持されている。記録ヘッド8は、キャリッジ7の搬送ベルト5に対向する面側に設けられており、キャリッジ7内部に搭載されたインクカートリッジのそれぞれのインクを搬送ベルト5側に吐出するノズル面8aを有する。
【0026】
本実施形態では、キャリッジ7がガイドレール9によって走査方向に沿って往復移動する間に、記録ヘッド8から所望のインクが吐出され、図1の二点鎖線で示した布帛Rの画像形成領域S内に所望の画像が形成される。
【0027】
<画像形成システムの制御系の構成>
図3は、本実施形態の画像形成システム100の制御系を示すブロック図である。図3に示すように、本実施形態の画像形成システム100は、外部記憶装置20と、外部装置30と、画像形成装置1とで構成されている。
【0028】
[外部記憶装置]
外部記憶装置20は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)で構成されており、型紙情報21、プリント情報24、及び、生地情報27が格納されている。外部記憶装置20は、パーソナルコンピューター等の端末に組み込まれたものでもよく、種々の形態が可能である。
【0029】
型紙情報21としては、パターンデータ22及びマーキングデータ23を有している。パターンデータ22は、衣類の定型の情報であり、衣類を構成する各パーツの外形情報、地の目方向情報、縫い合わせ位置(仕上がり線)情報を含むデータである。マーキングデータ23は、布帛Rの画像形成領域S内に製品の型紙を構成する複数のパーツを配置するためのデータである。
【0030】
プリント情報24としては、絵柄情報25及び識別コード情報26を有している。絵柄情報25は、各パーツに付される絵柄の画像情報を含むデータである。識別コード情報26は、各パーツに付される識別コードのデータである。識別コードは、パーツのサイズ情報、裁断情報、及び縫い合わせ情報等を、各パーツ事に識別するための識別子である。識別コードとしては、例えば、QRコード(登録商標)、バーコード、文字列、記号等の非接触型読取機で読み取り可能なIDを適用することができる。その他、識別コードとしては、数字、ドットの集合体、所定の色及びパターンで形成される記号等を利用することができ、作業者が視認して確認できる識別子であれば種々の形態をとることができる。
【0031】
[外部装置]
外部装置30は、例えば、パーソナルコンピューターで構成されるものであり、画像生成装置31と表示操作装置40とを備える。
【0032】
〔画像生成装置〕
画像生成装置31は、記憶部33と、演算処理部32と、領域特定部34とを備える。
【0033】
記憶部33は、外部記憶装置20から取得したパターンデータ22及びマーキングデータ23に加えて、後述する領域特定部34で生成される識別コード付パターンデータ35の情報を有する型紙情報28が記憶される。また、記憶部は、外部記憶装置20から取得したプリント情報24を記憶する
【0034】
演算処理部32は、記憶部33に記憶された型紙情報28に含まれるパターンデータ22から、各パーツの外形線と、その外形線に類似する内側線とを検出する。外形線は、パーツの外形を示す線であり、裁断時において裁断される線である。また、内側線は、外形線よりもパーツの内側に存在する線であり、縫い合わせ線となる線である。内側線は、最終的な仕上がり線でもある。
【0035】
演算処理部32では、例えば、外形線に一定間隔で存在する内側線を、外形線に類似する内側線として検出するように構成してもよいし、外形線と傾きのデータが同一の内側線を、外形線に類似する内側線として検出するように構成してもよい。
【0036】
領域特定部34は、演算処理部32で検出された外形線と内側線との間の領域を識別コードの配置領域として特定すると共に、特定した配置領域に識別コードを追加した識別コート付パターンデータ35を生成する。領域特定部34で生成された識別コード付パターンデータ35は記憶部33に記憶される。本実施形態における、識別コードの配置領域の特定方法については、後で詳述する。
【0037】
〔表示操作装置〕
表示操作装置40は、表示部44と、操作部43とを備える。
【0038】
表示部44は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成されている。表示部44は、例えば、記憶部33に記憶されているパターンデータ22やマーキングデータ23の画像を表示する画像表示部41としての機能、及び、パターンデータ22やマーキングデータ23のデータ情報を表示するデータ表示部42としての機能を有する。
【0039】
操作部43は、キーボード及びマウスで構成されてもよく、また、画像表示部41やデータ表示部42と一体に構成されたタッチパネルで構成されるものであってもよい。本実施形態では、操作部43からの指示に基づいて、画像生成装置31における識別コードの配置領域の特定が為される。例えば、表示部44では、画像表示部41に表示された複数のパターンデータ22から、所望のパターンデータ22を選択し、その選択したパターンデータ22に対して識別コードの配置領域の特定するための指示を出すことができる。
【0040】
[画像形成装置]
画像形成装置1は、図示を省略する通信部により外部装置30と接続されている。画像形成装置1では、外部装置30から送信されてくる信号に基づいて、布帛Rに画像を印刷する。画像形成装置1は、制御部54、画像形成部6、搬送部2、裁断部59、入力部61、出力部62を備える。
【0041】
〔制御部〕
制御部54は、演算処理部55及び記憶部56で構成されており、画像形成装置の全体動作を統括制御する。演算処理部55は、図示を省略するが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)で構成されている。演算処理部55では、各種制御用のプログラムや設定データを随時読み出して、当該プログラムを実行し、各種演算処理を行う。
【0042】
制御部54は、バスライン64を介して、画像形成部6、搬送部2、裁断部59、入力部61、出力部62に電気的に接続されている。
【0043】
記憶部56は、図示を省略するが、HDD(Hard Disk Drive)や、HDDと併用されるDRAM(Dynamic Random Access Memory)で構成されている。記憶部56には、図示を省略する通信部を介して外部装置30から入力された画像データや画像データの記録動作に係る操作設定を含むジョブデータ等が記憶される。
【0044】
〔画像形成部〕
画像形成部6は、キャリッジ駆動部52と、ヘッド駆動部53とを備える。キャリッジ駆動部52は、図1に示したように、キャリッジ7を搬送ベルト5の上面において、走査方向に沿って移動させる。また、ヘッド駆動部53により、キャリッジ7内部に搭載されたインクカートリッジのインクを布帛Rに吐出して布帛R上に型紙を構成する複数のパーツの裁断線となるマーキング画像を記録する。
【0045】
〔搬送部〕
搬送部2は、ベルト駆動部58を備える。ベルト駆動部58により搬送ベルト5の上面に載置された布帛Rを搬送方向に沿って搬送する。
【0046】
〔裁断部〕
裁断部59は、カッター駆動部60を備える。カッター駆動部60により、布帛R上に形成された型紙(パーツ)を裁断する。
【0047】
〔入力部〕
入力部61は、例えば、物理キーや、表示部と一体に形成されたタッチパネルで構成されている。ユーザーは、必要に応じて、入力部61から各種入力を行う。入力部61から入力された入力信号は、制御部54に出力される。
【0048】
〔出力部〕
出力部62は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイで構成された表示部63で構成されており、表示部63において、各種設定や、情報を表示する。入力部61が出力部62に重ねて配置されたタッチパネルである場合には、表示部63に入力部61に係る操作画面を表示する。
【0049】
〈画像生成方法、プログラム〉
本実施形態における識別コード生成処理を実現するためのプログラムは、外部装置30において、操作部43からの操作によって実行される。以下に、本実施形態の画像形成システム100における画像生成方法及びプログラムの一例を説明する。
【0050】
図4は、本実施形態の識別コード生成処理に係る画像生成方法及びプログラムの一例を示すフローチャートである。また、図5は、本実施形態において、識別コード72が付される右前身頃パーツ70のパターンデータ22の一例である。本実施形態では、右前身頃パーツ70における識別コード72の配置領域を特定する場合を例に説明する。
【0051】
パターンデータ22の記憶形態は特に限定されないが、例えば、CAD(Computer-Aided Design)データとして記憶されている。識別コード72の生成処理を行う場合、まず、画像生成装置31において、演算処理部32は、記憶部33に記憶されている型紙情報28から所望のパターンデータ22を読み込むと共に、プリント情報24から識別コード情報26を読み込む(ステップS1)。ここでは、右前身頃パーツ70のパターンデータ22と、それに対応する識別コード情報26が読み込まれる。ここで、識別コード情報26は、右前身頃パーツ70のデータを保持する識別コード72の画像情報である。
【0052】
次に、演算処理部32は、該当するパターンデータ22のCADデータから、外形線を検出する(ステップS2)。ここでは、例えば、図5に示すように、外形の頂点間で分けられる区間毎に外形線A1~A5の情報が検出される。
【0053】
次に、演算処理部32は、該当するパターンデータ22のCADデータから、ステップS2で検出された各外形線A1~A5の内側で、各外形線A1~A5に類似する内側線B1~B5を検出する(ステップS3)。例えば、外形線A1に対しては、内側線B1が検出される。また、外形線A2に対しては、内側線B2が検出される。また、外形線A3に対しては、内側線B3が検出される。また、外形線A4に対しては、内側線B4が検出される。また、外形線A5に対しては、内側線B5が検出される。
【0054】
次に、領域特定部34は、演算処理部32で検出されたそれぞれの外形線A1~A2及び内側線B1~B2から、それぞれの外形線A1~A5と、その外形線A1~A5に対応する内側線B1~B2で囲まれる領域(すなわち、縫い代)を配置領域として特定する(ステップS4)。ここでは、外形線A1~A5と、各外形線A1~A5に対して一定間隔を有して配置された内側線B1~B5との間の領域が配置領域として特定される。外形線A1と内側線B1で囲まれる領域C1を配置領域としてもよい。また、外形線A2と内側線B2で囲まれる領域C2を配置領域としてもよい。また、外形線A3と内側線B3で囲まれる領域C3を配置領域としてもよい。また、外形線A4と内側線B4で囲まれる領域C4を配置領域としてもよい。また、外形線A5と内側線B5で囲まれる領域C5を配置領域としてもよい。
【0055】
ここで、領域特定部34によって特定される配置領域は、設定する条件によってさらに特定することもできる。例えば、外形線A1~A5及び内側線B1~B5で囲まれる領域C1~C5のうち、外形線と内側線との間の幅が一番大きい領域を配置領域として特定する条件を設定してもよい。また、外形線A1~A5及び内側線B1~B5で囲まれる領域C1~C5のうち、固有データ71が付された領域に一番近い領域を配置領域として特定する条件を設定してもよい。ここで固有データ71とは、各パーツの名称等で構成され、各パーツに付されているデータであり、実際に布帛Rに記録されるデータであっても記録されないデータであってもよい。なお、固有データ17は、各パーツに必ず付されているものではないが、付されている場合に、識別コード72の配置領域の特定に用いることができる。
【0056】
その他、生地情報27から得られる生地の縦方向及び横方向の縮率を考慮し、外形線A1~A5及び内側線B1~B5で囲まれる領域C1~C5のうち、生地が縮んだ後において、一番幅が大きい領域を配置領域として特定する条件を設定してもよい。以上、配置領域の特定の条件の一例について説明したが、外形線A1~A5及び内側線B1~B5で囲まれる領域であれば、種々の変更が可能である。
【0057】
次に、領域特定部34は、該当する右前身頃パーツ70のパターンデータ22上において、特定した配置領域に右前身頃パーツ70に対応する識別コード72の画像が追加されたパターンデータ(識別コード付パターンデータ35)を生成する。
【0058】
配置領域に生成される識別コード72は、生地情報27か得られる生地の縮率を考慮してその大きさが調整されるのが好ましい。生地の縮率が大きい場合、生成される識別コード72が読み取れない問題が発生する。したがって、領域特定部34は、生地の縮率を考慮して識別コード72の大きさを調整して、配置領域に識別コード72を配置する。これより、識別コード72が読み取れなくなる問題を解消することができる。そして、ここで生成された識別コード付パターンデータ35は、記憶部33に格納される。
【0059】
以上のようにして、右前身頃パーツ70のパターンデータ22に対して、識別コード72を付すことができる。本実施形態の画像生成装置31で生成された識別コード付パターンデータ35は、図示を省略する通信部を介して、画像形成装置1側に送信され、画像形成装置1の制御部54の記憶部56に格納される。
【0060】
本実施形態では、上述した画像生成プログラムで生成された識別コード付パターンデータ35に基づいて、画像形成装置1の画像形成部6により布帛Rに各パーツのマーキング画像(各パーツの外形線)が形成されると共に、各マーキング画像の識別コード72の配置領域に識別コード72の画像が形成される。また、必要に応じて、これらの画像印刷と同時に各パーツの絵柄画像も印刷される。
【0061】
図4を用いて説明した画像生成プログラムは、ユーザーが外部装置30において、所望の型紙情報21を選択し、その選択された型紙情報21について行われる構成であってもよく、画像生成装置31の記憶部33に型紙情報28及びプリント情報24が格納された際に自動的に行われてもよい。
【0062】
本実施形態では、識別コード72が、外形線と内側線との間の領域に形成されるため、布帛Rをパーツ毎に裁断した後も、識別コード72を確認することができる。このため、裁断後において、各パーツの情報を確認することができるため、パーツの取り違えを防ぐことができる。またQRコード等、非接触型の読取端末で読み取り可能な識別コードを形成しておくことで、各パーツの情報をパーソナルコンピューター等の端末で随時確認することができる。また、これにより、オンラインシステムにおいて生産情報をシステムプロバイダー等へ供給することができる。
【0063】
さらに、本実施形態では、識別コード72を外形線と内側線との間に設けることにより、別途識別コード72を配置するための余分なスペースを確保する必要がないため、布帛Rの無駄を省くことができる。
【0064】
上述した本実施形態の画像生成プログラムでは、領域特定部34が、識別コード72の配置領域を特定すると共に、識別コード付パターンデータ35を生成する例としたが、識別コード72の配置領域を特定するのみであってもよい。この場合には、特定された識別コード72の配置領域の情報とパターンデータ22の情報とに基づいて、画像形成装置1が識別コート付パターンデータを作成し、この識別コード付パターンデータに基づいて布帛Rにマーキング画像と識別コード画像とを形成する構成とする。これにより、領域特定部34によって特定された配置領域に識別コード72が形成されたマーキング画像を形成することができる。
【0065】
また、本実施形態では、画像生成装置31が外部装置30で構成される例としたが、画像形成装置1と一体に組み込まれる構成としてもよい。その場合には、画像形成装置1の入力部61からの入力操作によって、上述した画像生成処理が為される。
【0066】
また、本実施形態では、識別コード72はパーツの裁断後に各パーツの情報を確認するために用いられる例としたが、裁断時に識別コード72を読み取り、識別コード72の情報に基づいて裁断を行う例としてもよい。
【0067】
上述した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成について他の構成を加えることも可能である。また、実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0068】
1…画像形成装置、20…外部記憶装置、30…外部装置、31…画像生成装置、32…演算処理部、33…記憶部、34…領域特定部、35…識別コード付パターンデータ、40…表示操作装置、41…画像表示部、42…データ表示部、43…操作部、44…表示部、54…制御部、55…演算処理部、56…記憶部、57…搬送部、61…入力部、62…出力部、100…画像形成システム
図1
図2
図3
図4
図5