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特許7508959情報処理装置、情報処理方法、および制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20240625BHJP
【FI】
G06Q50/04
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020153196
(22)【出願日】2020-09-11
(65)【公開番号】P2022047336
(43)【公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】藤本 慎也
【審査官】橘 均憲
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-160015(JP,A)
【文献】特開2016-070707(JP,A)
【文献】特開2010-277452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の作業者が写る撮像画像に基づいて特定された、前記複数の作業者の識別コード及び時刻毎の位置を取得する位置取得部と、
前記複数の作業者の位置から時刻毎の互いの距離を算出する距離算出部と、
前記距離が短いほど大きくなる重みで重みづけをした重み付き期間が閾値以上か否かを判定する判定部と、を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記距離が第1距離未満である期間と、前記距離が第1距離より長い第2距離未満である期間と、を算出する期間算出部を備え、
前記判定部は、前記距離が第1距離未満の状態が第1期間より長いと、前記重み付き期間が前記閾値以上であると判定し、かつ、前記距離が第2距離未満の状態が第1期間より長い第2期間より長いと、前記重み付き期間が前記閾値以上であると判定する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記期間算出部は、前記期間の算出において、前記距離が所定値未満である状態が断続する場合に、累積時間を前記期間として算出する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記期間算出部は、前記期間の算出において、前記距離が所定値未満である状態が連続する継続時間を前記期間として算出する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記情報処理装置は、前記距離が短いほど大きくなる指標を時間で積分した積分値を、前記重み付き期間として算出する積分算出部をさらに備え、
前記判定部は、前記積分値が前記閾値以上であるか否かを判定する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記情報処理装置は、前記距離および前記距離に対応する期間を互いに対応付けて記憶する記憶部をさらに備える請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
特定領域における、前記複数の作業者の人数と、当該作業者の識別コードと、当該作業者に対する他の作業者の距離と、を時刻毎に記憶する記憶部をさらに備える請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
特定領域における、前記複数の作業者の人数と、前記複数の作業者を含む画像と、を時刻毎に記憶する記憶部をさらに備える請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記識別コードが印字された帽子を、前記複数の作業者のうち少なくとも何れかが被っており、
前記位置取得部は、前記帽子が写る撮像画像に基づいて検出された、前記帽子を被った作業者の識別コードを取得する請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記複数の作業者のうち少なくとも何れかの作業者の前記識別コードが特定できなかった場合に、前記識別コードの入力を促すための警告を発する通知部を更に備える請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記複数の作業者のうち少なくとも何れかの作業者の顔又は外観の特徴を示す情報を記憶する記憶部を更に備え、
当該情報と前記撮像画像とから、前記作業者の識別コードが特定される請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記情報処理装置は、前記距離と前記距離に対応する期間との関係を表示させる表示制御部をさらに備える請求項1から11のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
時刻毎の前記距離の統計値を得る統計解析部と、
前記統計値に基づいて、局所的な工程変更が必要か、全体的な工程変更が必要かを判定する工程判定部と、を備える請求項1から12のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記距離算出部は、特定領域に、3人以上の作業者がいる場合、前記3人以上の作業者の中の最近接距離を前記距離として用いる請求項1から13のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項15】
情報処理装置によって実行される情報処理方法であって、
複数の作業者が写る撮像画像に基づいて特定された、前記複数の作業者の識別コード及び時刻毎の位置を取得する位置取得ステップと、
前記複数の作業者の位置から時刻毎の互いの距離を算出する距離算出ステップと、
前記距離が短いほど大きくなる重みで重みづけをした重み付き期間が閾値以上であるか否かを判定する判定ステップと、を含む情報処理方法。
【請求項16】
請求項1に記載の情報処理装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、前記位置取得部、前記距離算出部、および前記判定部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、カメラを用いて作業人数の認識および作業者を特定する生産管理システムが開示されている。当該生産管理システムでは、作業遅延発生時に、作業遅延に気が付いた応援作業者が駆け付けるが、当該応援作業者の熟練度が低い場合、作業遅延が解消されないため警告を発し、熟練度が高い作業者を派遣する。対して、熟練度が高い作業者がいた場合は、警告を発しない。すなわち、生産管理システムは、作業者の人数および作業者の熟練度に応じて、作業遅延発生時に警告を発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-125013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来技術は、作業人数の増加に伴い警告を発することはできるが、作業者に熟練者が含まれた状態で、作業遅延が続いた場合には警告を発することはできない。すなわち、作業者の人数および作業者の熟練度によっては警告に繋がるが、作業遅延の期間では警告に繋がらないといえる。
【0005】
複数の作業者が近接する度合いは、感染症予防のための指標または工程改善の検討などに有用である。複数の作業者が近接する度合いとしては、作業者間の距離の近さおよび期間の長さの両方を考慮する必要がある。上述の従来技術では、複数の作業者が近接する度合いを適切に判定することができない。
【0006】
本発明の一態様は、複数の作業者が近接する度合いを適切に判定することができる情報処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、複数の作業者の時刻毎の位置を取得する位置取得部と、前記複数の作業者の位置から時刻毎の互いの距離を算出する距離算出部と、前記距離が短いほど大きくなる重みで重みづけをした重み付き期間が閾値以上か否かを判定する判定部と、を備える。
【0008】
上記の構成によれば、作業者間の距離の近さを考慮した期間の長さを判定することができる。それゆえ、複数の作業者が近接する度合いを適切に判定することができる。例えば、ユーザまたは情報処理装置は、この判定結果を、濃厚接触者の有無の判定または工程改善の検討に用いることができる。
【0009】
前記情報処理装置は、前記距離が第1距離未満である期間と、前記距離が第1距離より長い第2距離未満である期間と、を算出する期間算出部を備え、前記判定部は、前記距離が第1距離未満の状態が第1期間より長いと、前記重み付き期間が前記閾値以上であると判定し、かつ、前記距離が第2距離未満の状態が第1期間より長い第2期間より長いと、前記重み付き期間が前記閾値以上であると判定する構成であってもよい。
【0010】
上記の構成によれば、作業者間の距離の近さを考慮して、期間の長さを段階的に判定することができる。
【0011】
前記情報処理装置では、前記期間算出部は、前記期間の算出において、前記距離が所定値未満である状態が断続する場合に、累積時間を前記期間として算出する構成であってもよい。
【0012】
前記情報処理装置では、前記期間算出部は、前記期間の算出において、前記距離が所定値未満である状態が連続する継続時間を前記期間として算出する構成であってもよい。
【0013】
上記の構成によれば連続する継続時間の長さに意味がある場合に適切な判定を行うことができる。
【0014】
前記情報処理装置は、前記距離が短いほど大きくなる指標を時間で積分した積分値を、前記重み付き期間として算出する積分算出部をさらに備え、前記判定部は、前記積分値が前記閾値以上であるか否かを判定する構成であってもよい。
【0015】
上記の構成によれば、作業者間の距離の近さを考慮して、期間の長さを連続的に判定することができる。
【0016】
前記情報処理装置は、前記距離および前記距離に対応する期間を互いに対応付けて記憶する記憶部をさらに備える構成であってもよい。
【0017】
上記の構成によれば、ユーザは後から濃厚接触者の有無を確認することができる。
【0018】
前記情報処理装置は、特定領域における、前記複数の作業者の人数と、当該作業者の識別コードと、当該作業者に対する他の作業者の距離と、を時刻毎に記憶する記憶部をさらに備える構成であってもよい。
【0019】
上記の構成によれば、ユーザは後から濃厚接触者の有無を確認し、対象の作業者を特定することができる。
【0020】
前記情報処理装置は、特定領域における、前記複数の作業者の人数と、前記複数の作業者を含む画像と、を時刻毎に記憶する記憶部をさらに備える構成であってもよい。
【0021】
上記の構成によれば、ユーザは後から濃厚接触者の有無を確認し、対象の作業者を特定することができる。
【0022】
前記情報処理装置は、前記距離と前記距離に対応する期間との関係を表示させる表示制御部をさらに備える構成であってもよい。
【0023】
上記の構成によれば、ユーザは視覚的に作業者間の距離が近いまたは作業者数が多い等の異常が発生するタイミングを認識することができる。
【0024】
前記情報処理装置は、時刻毎の前記距離の統計値を得る統計解析部と、前記統計値に基づいて、局所的な工程変更が必要か、全体的な工程変更が必要かを判定する工程判定部と、を備える構成であってもよい。
【0025】
上記の構成によれば、統計値に基づいて、工程変更の方針を判定することができる。
【0026】
前記情報処理装置では、前記距離算出部は、特定領域に、3人以上の作業者がいる場合、前記3人以上の作業者の中の最近接距離を前記距離として用いる構成であってもよい。
【0027】
上記の構成によれば、特定領域のどこかで密な状況が発生していることを判定に反映させることができる。
【0028】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、複数の作業者の時刻毎の位置を取得する位置取得ステップと、前記複数の作業者の位置から時刻毎の互いの距離を算出する距離算出ステップと、前記距離が短いほど大きくなる重みで重みづけをした重み付き期間が閾値以上であるか否かを判定する判定ステップと、を含む。
【0029】
本発明の各態様に係る情報処理装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記情報処理装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記情報処理装置をコンピュータにて実現させる情報処理装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一態様によれば、複数の作業者が近接する度合いを適切に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】一実施形態に係る情報システムの要部の構成を示す図である。
図2】情報システムのカメラが撮像する画像を示す模式図である。
図3】一実施形態に係る情報システムの動作を示すフローチャートである。
図4】一実施形態に係る情報システムの要部の構成を示す図である。
図5】一実施形態に係る情報システムの動作を示すフローチャートである。
図6】一実施形態に係る管理システムの要部の構成を示す図である。
図7】入力したログの一例である。
図8】作業者の人数の時間変化の一例である。
図9】作業者間の距離の時間変化の一例である。
図10】一実施形態に係る工程改善が必要か否かの判断を行うフローチャートである。
図11】統計解析部によって導出される、ある作業者の、作業者間の距離に対する作業者間の近接期間のヒストグラムの一例である。
図12】工程改善方法を導く、ある作業者の、作業者間の距離に対する作業者間の近接期間のヒストグラムの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0033】
§1.適用例
図2は、情報システムのカメラが撮像する画像を示す模式図である。図2に示すように、情報システムは作業現場WSに作業者Peが存在するか否かを判定し、作業現場WSに作業者Peが存在すると判定した場合、当該作業者PeのIDを特定する。また、情報システムは作業者Peの位置も特定する。
【0034】
情報システムは、作業現場WSに複数の作業者Peがいた場合、それぞれを、Pe(1)、Pe(2)にように個別の作業者Peと認定する。その上で、情報システムは、作業者Peの位置を用いて、作業者間の距離および、作業者間の近接期間(所定距離内に他の作業者Peがいる期間)を算出し、所定の条件に従い、濃厚接触者を特定し、通知を出す。濃厚接触者とは、ある作業者Peに対し、別の作業者Peが所定の距離内に所定の期間いたと判定された作業者Peのことである。
【0035】
感染症予防のために、作業者間の接触を制限した作業環境の構築が求められている。感染症予防のためには、作業者間の距離を所定以上に保つこと、および、仮に作業者間の距離が近づいた場合でも、短期間での接触に制限することが求められる。つまり、作業者間の距離の近さおよび期間の長さの両方を考慮する必要がある。
【0036】
§2.構成例
図1は、実施形態1に係る情報システム100の要部の構成を示す図である。情報システム100は、情報処理装置1と、カメラ20と、外部装置41と、キーボード42と、ディスプレイ43と、を備える。情報システム100は、カメラ20で画像を撮像し、作業者Peを認識し、情報処理装置1に通知する。その上で、情報処理装置1は、作業者Peの位置を含めた所定の条件を基に判定を行い、警告を外部装置41に発する。
【0037】
カメラ20は、画像取得部21と、位置検出部22と、を備える。ここでは、カメラ20に位置検出部22がある構成を説明するが、これに限定されず、情報処理装置1に位置検出部22があってもよい。
【0038】
画像取得部21は、撮像によって作業現場WSの画像を取得し、位置検出部22に画像を送信する。撮像方法としては、例えば作業現場WSの上方から鉛直下向きに、作業現場WS(特定領域)が映るように撮像するが、この撮像方法に限定されない。図2は、カメラ20による撮像画像の一例である。撮像した画像は、カメラ20の図示しない記憶部に記憶されてもよいし、または、情報処理装置1に送信され、情報処理装置1で記憶されてもよい。
【0039】
位置検出部22は、受信した画像を基に、画像内の作業者Peの位置を検出する。また、位置検出部22は、作業者PeのID(識別コード)を特定する。位置検出部22は、画像内(作業現場WS内)に複数の作業者Peが存在する場合、各作業者Peの位置およびIDを特定する。位置検出部22は、情報処理装置1に各作業者Peの位置および各作業者PeのIDを送信する。作業者PeのIDの特定は任意の方法をとってもよいが、例えば、作業者PeはIDが印字された帽子を被り、位置検出部22は、当該IDを認識してもよい。また、作業現場WSで常時作業をする作業者Peに加え、メンテナンスなどで作業現場WSにて作業する臨時の作業者Peは、IDが印字されていない帽子を被ってもよい。このように、IDが認識できない作業者Peも作業現場WSでは作業するが、当該IDが特定できない作業者Peであっても、位置検出部22は、作業者Peの位置を検出する。
【0040】
情報処理装置1は、制御部10と、記憶部31と、入力部32と、出力制御部33と、を備える。制御部10は、情報処理装置1の各部を統括して制御する機能を持ち、位置取得部11と、距離算出部12と、期間算出部13と、判定部14と、通知部15とを備える。
【0041】
記憶部31は、情報処理装置1の各部で用いるデータおよびプログラムを記憶する。各部で用いるデータとしては、作業者PeのIDと、作業者間の距離と、作業者間の近接期間と、を含み、作業現場WSの撮像画像を含んでもよい。
【0042】
位置取得部11は、カメラ20から時刻毎の複数の作業者Peの位置、および複数の作業者PeのIDを受信する。位置取得部11は、時刻毎の複数の作業者Peの位置および複数の作業者PeのIDを互いに紐づけた情報を、距離算出部12に送信し、また、記憶部31にて記憶させる。位置取得部11に作業者Peの位置および作業者PeのIDを送信する装置はカメラ20に限定されず、任意の屋内位置測位装置でもよく、例えば、UWB(Ultra Wide Band)または、Quuppa(登録商標)による屋内位置測位を行う装置でもよい。これらの屋内位置測位技術では、画像処理によるID認識と異なり、IDの誤認識が発生しないのが利点である。
【0043】
距離算出部12は、位置取得部11から取得した複数の作業者Peの位置の情報を基に、作業者間の距離を算出する。この時、距離算出部12は、IDが認識できない作業者Peも含めて、距離の算出を行う。その後、距離算出部12は、算出された作業者間の距離を記憶部31に記憶させる。IDが認識できている場合、距離算出部12は、対象の2人の作業者のIDと、該作業者間の距離と、時刻とを対応付けて記憶部31に記憶させる。なお、3人以上の作業者が存在する場合、距離算出部12は、各作業者間(作業者Pe(1)-Pe(2)間、作業者Pe(1)-Pe(3)間)、作業者Pe(2)-Pe(3)間、…)について個別に距離を算出する。
【0044】
期間算出部13は、記憶部31に記憶されている作業者間の距離の時間変化の情報(時系列データ)を基に、作業者間の近接期間を算出する。作業者間の近接期間は、2人の作業者Peの間の距離が所定の距離範囲内であった期間である。作業者間の近接期間は、距離範囲毎に個別にカウントアップしていくものとする。例えば、実施形態1では、(第1範囲)0.5m未満、(第2範囲)1m未満、(第3範囲)1.5m未満、(第4範囲)2m未満、の4区間でカウントアップする場合に関して考える。第1範囲から第4範囲は、下限は同じ0mで、上限が異なる範囲である。期間算出部13は、複数の距離範囲に対応する複数の近接期間を判定部14に送信し、また、記憶部31で記憶する。なお、3人以上の作業者が存在する場合、期間算出部13は、各作業者間(作業者Pe(1)-Pe(2)間、作業者Pe(1)-Pe(3)間、作業者Pe(2)-Pe(3)間、…)について個別に近接期間を算出する。
【0045】
また、期間算出部13は、作業者間の距離が変化しており、作業者間の距離が断続的に、第1範囲内と第1範囲外との間で変化する場合、作業者間の距離が第1範囲であった累積時間を、第1範囲の近接期間としてもよい。期間算出部13は、作業者間の距離が第2範囲であった累積時間を、第2範囲の近接期間としてもよい。
【0046】
例えば、期間算出部13は、作業者間の距離が第1範囲である状態が連続している最長の継続時間を第1範囲の近接期間としてもよい。
【0047】
判定部14は、作業者間の距離範囲および作業者間の近接期間を基に、作業者Pe同士が濃厚接触者であるか否かを判定する。濃厚接触者の判定に用いる所定の距離範囲および所定の期間は、複数段階で設定される。判定部14は、通知部15に判定結果を送信する。判定結果は、濃厚接触者が生じたこと、および、濃厚接触者である複数の作業者PeのIDを含む。
【0048】
通知部15は、入力された判定結果を基に、外部装置41に警告を通知する。外部装置41としては、ブザー、シグナルタワーまたは回転灯などの警報装置に加え、生産管理サーバなどの生産管理を行う任意の装置を含んでもよい。また、通知部15は、作業者PeのIDが特定できなかった場合に、作業者Peが操作可能な端末(例えば作業現場WSにある端末)にIDを入力させることを促す通知をしてもよい。
【0049】
入力部32は、キーボード42またはタッチパネルなどの外部入力装置の操作を入力し、IDが特定できなかった作業者Peに対し、IDを紐づけることができる。入力部32は、外部入力装置から、IDが特定できなかった作業現場WSの作業者PeのIDの入力を受け付ける。入力部32は、入力されたIDを、作業現場WSのIDが特定できなかった作業者PeのIDとして記憶部31に記憶する。外部入力装置としては、キーボード42に限定されず、ポインティングデバイス、タッチパネルなどの任意の外部入力装置でもよい。
【0050】
出力制御部33(表示制御部)は、ディスプレイ43に各種情報の表示の制御を行う。また、出力制御部33は、記憶部31に記憶されている情報を任意の記憶メディアにログデータとして出力をすることもできる。ユーザは、記憶メディアに記憶したログデータを基に、濃厚接触者の判定をすることもできる。
【0051】
§3.動作例
図3は、実施形態1に係る情報システム100の動作を示すフローチャートである。
【0052】
S11において、カメラ20は、画像取得部21によって、作業現場WSの画像を撮像する。また、画像取得部21は、撮像した作業現場WSの画像を、図示しないカメラ20の記憶部または、情報処理装置1の記憶部31に記憶してもよい。撮像間隔は所定の値であり、例えば1分間隔などでよい。
【0053】
S12において、カメラ20は、位置検出部22によって、作業現場WSの画像から、作業者Peの位置を検出し、作業者PeのIDを特定する。位置検出部22は、位置取得部11に時刻毎の作業者Peの位置および作業者PeのIDを送信する。位置取得部11は、位置検出部22から、時刻毎の作業者Peの位置および作業者PeのIDを取得する。
【0054】
S13において、情報処理装置1の制御部10は、IDが特定できない作業者Peがいるかを判定する。IDが特定できない作業者Peがいた場合(S13においてYes)、S14に遷移する。S14において、通知部15により、外部装置41(例えばブザーまたは作業現場WSにある端末)を用いて、IDが特定できない作業者Peに警告を発し、キーボード42を用いてIDの登録を促す。作業者PeのIDが入力された場合、入力部32は、記憶部31に作業者PeのIDを記憶する。ここで、作業者PeのIDの入力がなかった場合であっても、情報処理装置1は、処理を継続し、S15に処理を遷移する。
【0055】
S15において、距離算出部12は、時刻毎の複数の作業者Peの位置および複数の作業者PeのIDから、各作業者間の距離を算出する。算出した作業者間の距離は、時刻および複数の作業者PeのIDと対応付けて記憶部31に記憶する。
【0056】
S16において、期間算出部13は、記憶部31を参照し、作業者間の距離毎に、作業者間の近接期間をカウントアップする(足し合わせる)。この時、例えば、作業者間の距離が0.8mであった場合、該当する(第2範囲)1m未満、(第3範囲)1.5m未満、および(第4範囲)2m未満の3つの区間での作業者間の近接期間をカウントアップする。すなわち、カウントアップする作業者間の近接期間の区間は複数あってもよい。
【0057】
S17において、判定部14は、作業者間の距離が(1)0.5m(第1距離)未満である作業者間の近接期間が5分(第1期間)以上であるという条件を満たすかを判定する。条件を満たす場合(S17においてYes)、S21に遷移し、条件を満たさない場合(S17においてNo)、S18に遷移する。
【0058】
S18において、判定部14は、作業者間の距離が(2)1m(第2距離)未満である作業者間の近接期間が15分(第2期間)以上であるという条件を満たすかを判定する。条件を満たす場合(S18においてYes)、S21に遷移し、条件を満たさない場合(S18においてNo)、S19に遷移する。
【0059】
S19において、判定部14は、作業者間の距離が(3)1.5m(第3距離)未満である作業者間の近接期間が30分(第3期間)以上であるという条件を満たすかを判定する。条件を満たす場合(S19においてYes)、S21に遷移し、条件を満たさない場合(S19においてNo)、S20に遷移する。
【0060】
S20において、判定部14は、作業者間の距離が(4)2m(第4距離)未満である作業者間の近接期間が60分(第4期間)以上であるという条件を満たすかを判定する。条件を満たす場合(S20においてYes)、S21に遷移し、条件を満たさない場合(S20においてNo)、S11に戻りループする。
【0061】
S17~S20における判定条件は任意の作業者間の距離および任意の作業者間の近接期間を用いてもよく、判定する段数(図3では4段階)は任意に設定してもよい。ただし、作業者間の距離が短いほど互いに与える影響が大きい。そのため、第1距離<第2距離として、第1距離未満である作業者間の近接期間を判定するための閾値(第1期間)は、第2距離未満である作業者の近接期間を判定するための閾値(第2期間)より、小さい。
【0062】
S21において、判定部14は、距離と近接期間との関係がいずれかの条件を満たした作業者Pe同士を濃厚接触者と判定する。
【0063】
S22において、通知部15は、濃厚接触者が少なくとも1人以上いることを、外部装置41に通知する。外部装置41(例えばブザーまたは表示装置)は作業者Peに濃厚接触者がいることを通知する。
【0064】
撮像画像に3人以上の作業者Peが含まれる場合、情報処理装置1は、各作業者間(作業者の各ペア)について、S15~S22の処理を行う。
【0065】
§4.作用・効果
情報処理装置1により、複数の作業者Peの位置を取得し、作業者間の距離および作業者間の近接期間を算出することができるようになる。情報処理装置1は、作業者間の距離および作業者間の近接期間を指標として、濃厚接触者を判定することができる。
【0066】
判定に際し、作業者間の距離が近い第1距離未満の場合は、短い期間である第1期間以上の期間の接触で濃厚接触者と判定する。また、作業者間の距離が、第1距離より長い第2距離未満の場合は、第1期間より長い第2期間以上の期間での接触で濃厚接触者と判定する。このように、情報処理装置1は、作業者間の距離および作業者間の近接期間を複数の段階で判定し、濃厚接触者を判定することができる。したがって、作業者間の距離が遠くても、より長い期間同じ空間にいた作業者Peを濃厚接触者として特定することができる。これにより、作業者間の距離に応じて適切な近接期間で濃厚接触者の有無を判定することができる。
【0067】
なお、判定部14は、作業者間の距離に応じた重み(距離が短いほど大きくなる重み)で重みづけをした重み付き期間が閾値を超えるか否かを判定しているとも言える。例えば、判定部14は、作業者間の距離が(1)0.5m(第1距離)未満である作業者間の近接期間に重み1で重みづけする。判定部14は、作業者間の距離が(2)1m(第2距離)未満である作業者間の近接期間に重み1/3で重みづけする。判定部14は、作業者間の距離が(3)1.5m(第3距離)未満である作業者間の近接期間に重み1/6で重みづけする。判定部14は、作業者間の距離が(4)2m(第4距離)未満である作業者間の近接期間に重み1/12で重みづけする。判定部14は、求めた重み付き期間が5(分)を超えるか否かを判定する。このように処理をしてもS17~S20と同様の結果が得られる。
【0068】
また、情報処理装置1は、作業者間の近接期間の算出に際し、作業者間の距離が同じ範囲で連続している場合、最大の継続時間で作業者間の近接期間を算出してもよい。または、情報処理装置1は、作業者間の距離が断続している場合、累積時間で作業者間の近接期間を算出してもよい。これにより、濃厚接触者の可能性がある人を漏れなく特定することができるようになる。
【0069】
さらに、情報処理装置1は、記憶部31と出力制御部33とを備え、作業者PeのIDと、作業者間の距離と、作業者間の近接期間とをログとして保存することができる。実施形態3に示す方法により、ログを解析することで、ログを様々に利用することができる。
【0070】
〔変形例1〕
実施形態1では、カメラ20が位置検出部22を備える場合に関して示したが、位置検出部22は、情報処理装置1が備えてもよい。この場合、位置検出部22は、画像取得部21で取得した画像を基に、位置を算出する。位置検出部22は、作業者PeのIDを特定するに際し、作業者Peが被る帽子からIDを特定するのではなく、記憶部31に記憶されている、作業者Peに関する情報(例えば、顔/外観などの特徴)から作業者PeのIDを特定してもよい。この場合、ID付きの帽子を持たない作業者Peであっても、作業者Peの情報が記憶されていれば(もしくは通信で取得することができれば)、作業者PeのIDを特定できる利点がある。
【0071】
〔変形例2〕
実施形態1では、情報処理装置1が記憶部31を備える場合に関して示したが、この場合に限定されない。例えば、情報システム100は図示されない管理サーバを備え、複数の情報処理装置1が記憶すべき情報を、管理サーバが代表して管理してもよい。この場合、複数の情報処理装置1の情報を統合して管理することができる。そのため、1台の情報処理装置1で管理できない範囲の作業現場WSに対して、濃厚接触者の判定をすることができるようになる。
【0072】
〔変形例3〕
通知部15は、生産管理サーバを通して、作業者Peの管理者に通知を出してもよい。通知の手段としては、メールであってもよい。作業者Peが作業現場WSにある外部装置41(例えばブザー)の通知に気が付いていても、作業工程上、作業者間の距離が小さくなる作業工程がある場合、作業者Pe自身では対応することができない。そこで、作業者Peの管理者によって工程改善を行い、濃厚接触者を出さないように改善することを促してもよい。
【0073】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0074】
§1.適用例
実施形態1では、作業者間の距離および作業者間の近接期間を用いて、数段階の指標と比較することで濃厚接触者を特定した。そのため、実施形態1での手法では、比較作業が数段階にわたる為煩雑になり、また、どの程度濃厚接触していたかのレベル付けが行われていない。
【0075】
そこで、実施形態2では、作業者間の距離および作業者間の近接期間を合わせて別の指標に置き換え、1つの指標を1段階の閾値で判定できるようにする。また、指標が1つになるため、濃厚接触者のレベル付けが可能になり、仮に感染病が発生した時に、濃厚接触者である作業者Peに対し、優先順位を付けて検査を行うことが容易になる。
【0076】
§2.構成
図4は、実施形態2に係る情報システム100sの要部の構成を示す図である。情報システム100sは、情報システム100と異なり、情報処理装置1が情報処理装置1sに代わる。情報処理装置1sは、情報処理装置1と異なり、制御部10が制御部10sに代わる。制御部10sは、制御部10と異なり、期間算出部13を備えず、積分算出部16sを更に備え、判定部14に代わり判定部14sを備える。
【0077】
積分算出部16sは、記憶部31と通信し、時刻毎の作業者間の距離を取得する。積分算出部16sは、作業者間の距離から近接指標を求める。近接指標は、作業者間の距離が短いほど大きくなる指標(距離の関数)である。例えば、距離の逆数、または、所定値から距離を減算した値を、近接指標としてもよい。所定値はカメラで撮像できる範囲における作業者間の最大距離でもよい。積分算出部16sは、近接指標を時間で積分した積分値を算出する。この積分値は、作業者間の近接度合いを表す指標である。この積分値は、前記距離が短いほど大きくなる重みで重みづけをした重み付き期間に対応する。
【0078】
判定部14sは、作業者間の距離および作業者間の近接期間によって濃厚接触者を判定するのではなく、上記積分値を基に濃厚接触者を判定する。
【0079】
§3.動作例
図5は、実施形態2に係る情報システム100sの動作を示すフローチャートである。情報システム100sの動作は、情報システム100と異なり、判定部の動作(S16~S19)が、S30~S31に代わっている。
【0080】
S30において、積分算出部16sは、各作業者間について、近接指標を時間で積分した積分値を算出する。
【0081】
S31において、判定部14sは、上記積分値が、所定の閾値以上であるか否かを判定する。上記積分値が、所定の閾値以上であった場合(S31においてYes)、処理はS21に遷移する。また、上記積分値が所定の閾値未満である場合(S31においてNo)、処理はS11に戻りループする。すなわち、実施形態2では、実施形態1と異なり、作業者間の距離および作業者間近接期間によって場合分けすることなく、1つの指標(積分値)で判定できる。
【0082】
なお、S22において、通知部15は、作業者間についての積分値(近接度合い)に対応する指標を外部装置41に通知してもよい。外部装置41は、該指標をユーザに提示(表示)してもよい。
【0083】
撮像画像に3人以上の作業者Peが含まれる場合、情報処理装置1sは、各作業者間(作業者の各ペア)について、S15~S31の処理を行う。
【0084】
§4.作用効果
情報処理装置1sにより、作業者間の距離および作業者間の近接期間を用いた積分値を指標にすることができ、積分値が所定の閾値を超す場合、濃厚接触者と判定することができる。
【0085】
また、ただ濃厚接触者と判定するだけではなく、積分値を用いて、どの程度濃厚接触していたかを認識することができる。そのため、例えば、多数の濃厚接触者がいた場合に、優先付けをして感染者の検査などを行うことができる。
【0086】
〔実施形態3〕
§1.適用例
実施形態1における情報システム100は、濃厚接触者の有無を判定し、作業者Peおよび外部装置41に通知することができる。濃厚接触者がいた場合、作業現場WSの工程自体が密集しており、作業者Peが密集し易い配置になっている場合もある。そこで、工程改善の必要性の有無の判断を行う方法を示す。作業者Peが不必要に密集している場合、濃厚接触者が出やすいだけではなく、作業者Peが作業中に他の作業者Peの邪魔をすることもあり、作業性が悪くなる一因となる。
【0087】
§2.構成例
図6は、実施形態3に係る管理システム101の要部の構成を示す図である。管理システム101は、情報処理装置2と、ディスプレイ43とを備える。管理システム101は、上述の実施形態の情報処理装置1によって取得されたログを解析し、工程改善を支援するシステムであり、情報処理装置2は、実際にログを解析する部分である。情報処理装置2が情報処理装置1を含んでもよい。
【0088】
情報処理装置2は、制御部50と、記憶部31と、出力制御部34とを備える。制御部50は、ログ入力部51と、ログ判定部52と、統計解析部53と、工程判定部54と、を備える。
【0089】
ログ入力部51は、情報処理装置1から情報処理装置1で生成されたログを読みこみ、記憶部31で使用できるデータに変換し記憶する。ログ入力部51が入力するのはログファイルに限定されず、情報処理装置1からログを通信にて取得しても構わない。ログ入力部51にて入力したログは、出力制御部34にてディスプレイ43に表示できる。
【0090】
図7は、入力したログの一例である。図7に示すように、ログには、時刻と、作業現場WSにいる人数と、各作業者間(A-B,A-C,B-C)の距離(m)と、作業者PeのID(「作業者」A,B,C)とが対応付けて記されている。また、各時刻に関連づく撮像画像のリンク、または撮像画像ファイルの名称を合わせて保存していても構わない。
【0091】
ログ判定部52は、記憶部31に記憶されているデータに基づき、作業現場WSの工程改善が必要か否かを判定する。判定に際しては、ログに記された作業者間の距離および作業者間の近接期間を用いる。ログ判定部52は、工程改善が必要か否かを、統計解析部53に出力する。
【0092】
統計解析部53は、記憶部31に記憶されているデータに基づき、作業者間の距離および作業者間の近接期間に対し、統計解析を実施する。統計解析部53は、ある作業者Peに対する、作業者間の距離を基準とした作業者間の近接期間のヒストグラムと、作業者間の距離の時間変化と作業現場WSにいる作業者Peの人数とを解析することができる。また、ログを統計解析した結果は、出力制御部34にてディスプレイ43に表示できる。
【0093】
工程判定部54は、ログの統計解析した結果を基にして、作業現場WSの工程改善の方針を決定する。工程判定部54は、決定した方針を出力制御部34に出力する。
【0094】
出力制御部34は、各部から入力された情報をディスプレイ43に表示させる。また、記憶部31から作業者Peの人数の時間変化および、作業者間の距離の時間変化を取得し表示させる。出力制御部34は、決定した方針をディスプレイ43に表示させる。
【0095】
図8は、作業現場WSにおける作業者Peの人数の時間変化の一例である。図9は、作業者間の距離の時間変化の一例である。図9のグラフでは、3人以上の作業者が存在する場合、そのうちの最近接距離を示す。図8または図9に示す時間変化を示すグラフにおいて、ユーザはグラフ上の一点を選択することで、その時間での作業現場WSでの状況(撮像画像)をディスプレイ43に表示することができる。出力制御部34は、ユーザの選択に応じて、対応する時刻の撮像画像をディスプレイ43に表示させる。これにより、例えば作業者Peの人数が増減したタイミングまたは、作業者間の距離が急変化した(例えば短くなった)時点の状況を目視で確認することができる。
【0096】
§3.動作例
図10は、工程改善が必要か否かの判断を行うフローチャートである。工程改善が必要か否かの判断は、オンタイムでの判断に加え、ログデータを用いて後から工程改善が必要か否かを判断してもよい。ここでは、情報処理装置2は、ログデータを用いて工程改善が必要か否かを判断し、どのように改善するかの方針提示を行う。
【0097】
(工程改善の必要性判断)
S41において、ログ入力部51は、情報処理装置1にて作成されたログを情報処理装置2に読み込む。情報処理装置1は、実施形態1または実施形態2に記載の情報処理装置に限定されず、管理サーバまたは、情報処理装置からアウトラインに設けられた汎用コンピュータでもよい。
【0098】
S42において、ログ判定部52は、作業者間の距離が(1)0.5m(第1距離)未満である作業者間の近接期間が5分(第1期間)以上であるという条件を満たすかを判定する。条件を満たす場合(S42においてYes)、S44に遷移し、条件を満たさない場合(S42においてNo)、S43に遷移する。
【0099】
S43において、ログ判定部52は、作業者間の距離が(2)1m(第2距離)未満である作業者間の近接期間が15分(第2期間)以上であるという条件を満たすかを判定する。条件を満たす場合(S43においてYes)、S44に遷移し、条件を満たさない場合(S43においてNo)、S45に遷移する。
【0100】
ログ判定部52は、ここでは、S42およびS43において、2段階で判定したが、2段階に限定されず、1以上の任意段数での判定を行ってもよい。また、距離範囲および期間は一例であり、実施形態1と異なっていてもよい。
【0101】
S44において、ログ判定部52は、当該ログデータの作業現場WSには、工程改善が必要と判断する。この場合、処理はS46に進む。対して、S45において、ログ判定部52は、当該ログデータの作業現場WSには、工程改善が不要と判断し、処理を終了する。
【0102】
(工程改善の方針判断)
S46において、統計解析部53は、記憶部31に記憶されている作業者間の距離および作業者間の近接期間に基づき、統計解析を行う。図11は、統計解析部53によって導出される、ある作業者Peの、作業者間の距離に対する作業者間の近接期間のヒストグラムの一例である。例えば距離1(m)のビンは、作業者間の距離が0.5m以上1m未満の区間の近接期間の累積を表す。また、統計解析部53は、作業者間の距離および作業者間の近接期間に関し、最大値・最小値・平均値・最頻値・または中央値などの統計情報をも算出する。統計解析部53は、統計処理した情報(例えばヒストグラムおよび統計情報)を工程判定部54に出力する。
【0103】
S47において、工程判定部54は、上記ヒストグラムの最頻値または中央値が、所定の閾値以上であるかを判定する。所定の閾値は、濃厚接触者の有無を判断するときの距離(1m)よりも大きくてよい。所定の閾値は、例えば、該距離の2倍程度(2m)に設定してもよいが、これに限らない。条件を満たす場合(S47においてYes)、S48に遷移する。条件を満たさない場合(S47においてNo)、S49に遷移する。
【0104】
図12は、工程改善方法を導く、ある作業者Peの、作業者間の距離に対する作業者間の近接期間のヒストグラムの一例である。図12は、ヒストグラム61と、ヒストグラム62とを含む。作業者間の距離と作業者間の近接期間のヒストグラムは、幾つかの山を形成したヒストグラムとなる。
【0105】
山が2つ以上ある場合(図12におけるヒストグラム62)は、作業工程上、作業者間の距離がほぼ一定ではなく、作業者間の距離が縮まる工程があることを意味する。例えば、別の場所にある材料の投入取出しなどで、その作業者Pe固有の作業現場と別の作業現場で作業することがあり、そのため、他の作業者Peとの作業者間の距離が縮まることがある場合などが挙げられる。また、統計量に関していえば、最頻値はいずれかの山の中腹にあるが、中央値は、必ずしも、複数ある山のいずれかの中腹にあるとは限らない。この中央値を閾値との比較対象にすることで、山が複数あるかを把握することができる。最頻値および中央値の差が大きく、どちらかが、所定の閾値より小さい場合、山が複数あることを示しており、かつ、複数の山のうち一山が作業者間の距離が小さく、作業者Peが密集する可能性が高いことがわかる。複数の山ができる形で、作業者Peが密集していることから、特定の一部の工程において、作業者Peが密集し易いことがわかる。そのため、当該工程を局所的に改善する必要があると判定する。
【0106】
対して、山が1つである場合(図12におけるヒストグラム61)は、作業工程上、作業者間の距離がほぼ一定であることがわかる。また、統計量に関していえば、最頻値が、山のほぼ中腹にくる形になる。この最頻値を閾値との比較対象にすることで、山の全体的な位置を把握することができる。山が1つであるため、濃厚接触者が生じる状況がある場合、工程全体において、濃厚接触者が生じる可能性が高いといえる。そのため、工程全体において、作業者間の距離を拡張する必要があるといえる。
【0107】
S48において、工程判定部54は、作業現場WSに対し、濃厚接触者が生じやすい工程が一部にあると判断し、局所的な工程改善(工程変更)が必要と判定する。
【0108】
S49において、工程判定部54は、作業現場WSに対し、濃厚接触者が全工程において生じやすいと判断し、全体的に作業現場WSの拡張(工程変更)が必要と判定する。出力制御部34は、判定結果(工程改善の方針)をディスプレイ43に表示させる。
【0109】
§4.作用効果
情報処理装置2は、ログを基に、統計解析を行うことで、作業現場WSの工程改善の必要性を判断し、工程改善の方針を決定できる。また、統計解析された結果は、出力制御部34を経由して、ディスプレイ43に表示できる。
【0110】
濃厚接触者が生じた作業現場であるからといって、ただ闇雲に作業現場を拡張すると、作業現場が拡張されたため、歩行時間が延び、作業者Peの効率が低下することに繋がる。そのため、作業者Peに濃厚接触者が生じないように適度な作業者間の距離を担保しつつ、作業者Peの効率も担保するような調整が必要となる。情報処理装置2によれば、必要に応じて局所的な工程改善または全体的な拡張を提案することができる。
【0111】
なお、S47において、工程判定部54は、中央値または最頻値のいずれか一方の統計値のみを判定に使ってもよいし、他の統計値を判定に使ってもよい。
【0112】
〔ソフトウェアによる実現例〕
情報処理装置1の制御ブロック(特に位置取得部11と、距離算出部12と、期間算出部13と、判定部14、14sと、通知部15と、積分算出部16sと、入力部32と、出力制御部33と、ログ入力部51と、ログ判定部52と、統計解析部53と、工程判定部54と、位置検出部22)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0113】
後者の場合、情報処理装置1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0114】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0115】
1、1s、2 情報処理装置
10、10s、50 制御部
11 位置取得部
12 距離算出部
13 期間算出部
14、14s 判定部
15 通知部
16s 積分算出部
20 カメラ
21 画像取得部
22 位置検出部
31 記憶部
32 入力部
33、34 出力制御部(表示制御部)
41 外部装置
42 キーボード(入力装置)
43 ディスプレイ(表示装置)
51 ログ入力部
52 ログ判定部
53 統計解析部
54 工程判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12