(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】車両用記録装置、車両用記録制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G07C 5/00 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
G07C5/00 Z
(21)【出願番号】P 2020160168
(22)【出願日】2020-09-24
【審査請求日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】P 2020106238
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 康利
(72)【発明者】
【氏名】林 啓太
(72)【発明者】
【氏名】谷山 紘史
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-091421(JP,A)
【文献】特開2004-192277(JP,A)
【文献】特開2017-220065(JP,A)
【文献】特開2019-160221(JP,A)
【文献】特開2018-148325(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0161952(US,A1)
【文献】国際公開第2018/138983(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 1/00-15/00
G08G 1/00
B60R 25/00-99/00
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺を撮影する撮影部が撮影した撮影データを取得する撮影データ取得部と、
前記車両に対するイベントを検出するイベント検出部と、
前記撮影データ取得部が取得した前記撮影データを、前記イベントに基づかない通常記録データと、前記イベントに基づくイベント記録データとして保存する記録制御部と、
通信端末との接続を確立する通信制御部と、
前記通信制御部によって接続が確立された前記通信端末が、予め登録された前記通信端末である登録端末である場合は、前記登録端末による前記通常記録データおよび前記イベント記録データへのアクセスを可能とし、前記通信制御部によって接続が確立された前記通信端末が、予め登録されていない前記通信端末である未登録端末である場合は、前記未登録端末による前記通常記録データへのアクセスを不可とし、前記イベント記録データへのアクセスを可能とするアクセス制御部と、
を備え
、
前記アクセス制御部は、前記未登録端末から接続要求を受けた場合は、前記未登録端末に対して直近の前記イベント記録データへのアクセスを許可する、車両用記録装置。
【請求項2】
車両の周辺を撮影する撮影部が撮影した撮影データを取得する撮影データ取得部と、
前記車両に対するイベントを検出するイベント検出部と、
前記撮影データ取得部が取得した前記撮影データを、前記イベントに基づかない通常記録データと、前記イベントに基づくイベント記録データとして保存する記録制御部と、
通信端末との接続を確立する通信制御部と、
前記通信制御部によって接続が確立された前記通信端末が、予め登録された前記通信端末である登録端末である場合は、前記登録端末による前記通常記録データおよび前記イベント記録データへのアクセスを可能とし、前記通信制御部によって接続が確立された前記通信端末が、予め登録されていない前記通信端末である未登録端末である場合は、前記未登録端末による前記通常記録データへのアクセスを不可とし、前記イベント記録データへのアクセスを可能とするアクセス制御部と、
を備え
、
前記アクセス制御部は、前記イベント検出部によって前記イベントを検出した後、所定期間内に前記未登録端末から接続要求を受けた場合は、前記未登録端末に対して直近の前記イベント記録データへのアクセスを許可する、車両用記録装置。
【請求項3】
車両の周辺を撮影する撮影部が撮影した撮影データを取得する撮影データ取得部と、
前記車両に対するイベントを検出するイベント検出部と、
前記撮影データ取得部が取得した前記撮影データを、前記イベントに基づかない通常記録データと、前記イベントに基づくイベント記録データとして保存する記録制御部と、
通信端末との接続を確立する通信制御部と、
前記通信制御部によって接続が確立された前記通信端末が、予め登録された前記通信端末である登録端末である場合は、前記登録端末による前記通常記録データおよび前記イベント記録データへのアクセスを可能とし、前記通信制御部によって接続が確立された前記通信端末が、予め登録されていない前記通信端末である未登録端末である場合は、前記未登録端末による前記通常記録データへのアクセスを不可とし、前記イベント記録データへのアクセスを可能とするアクセス制御部と、
を備え
、
前記通信制御部は、第1通信方式による前記登録端末との接続と、第2通信方式による少なくとも前記未登録端末との接続とを確立し、
前記アクセス制御部は、前記通信制御部によって前記第2通信方式により接続が確立された前記通信端末が前記登録端末である場合は、前記登録端末による前記通常記録データおよび前記イベント記録データへのアクセスを可能とする、車両用記録装置。
【請求項4】
前記アクセス制御部は、前記イベント検出部が前記イベントを検出してから所定期間、前記第2通信方式により接続が確立された前記通信端末による前記イベント記録データへのアクセスを可能とする請求項
3に記載の車両用記録装置。
【請求項5】
前記通信制御部は、前記イベント検出部がイベントを検出してから所定期間、前記第2通信方式による前記通信端末との接続の確立を有効とする請求項
3に記載の車両用記録装置。
【請求項6】
前記アクセス制御部は、前記第2通信方式によって接続が確立された前記通信端末に対しては、直近の前記イベント記録データへのアクセスを許可する請求項
3から
5のいずれか1項に記載の車両用記録装置。
【請求項7】
車両の周辺を撮影する撮影部が撮影した撮影データを取得する撮影データ取得ステップと、
前記車両に対するイベントを検出するイベント検出ステップと、
前記撮影データ取得ステップで取得した前記撮影データを、前記イベントに基づかない通常記録データと、前記イベントに基づくイベント記録データとして保存する記録制御ステップと、
通信端末との接続を確立する通信制御ステップと、
前記通信制御ステップによって接続が確立された前記通信端末が、予め登録された前記通信端末である登録端末である場合は、前記登録端末による前記通常記録データおよび前記イベント記録データへのアクセスを可能とし、前記通信制御ステップによって接続が確立された前記通信端末が、予め登録されていない前記通信端末である未登録端末である場合は、前記未登録端末による前記通常記録データへのアクセスを不可とし、前記イベント記録データへのアクセスを可能とするアクセス制御ステップと、
を含
み、
前記アクセス制御ステップでは、前記未登録端末から接続要求を受けた場合は、前記未登録端末に対して直近の前記イベント記録データへのアクセスを許可する、
車両用記録制御装置が実行する車両用記録制御方法。
【請求項8】
車両の周辺を撮影する撮影部が撮影した撮影データを取得する撮影データ取得ステップと、
前記車両に対するイベントを検出するイベント検出ステップと、
前記撮影データ取得ステップで取得した前記撮影データを、前記イベントに基づかない通常記録データと、前記イベントに基づくイベント記録データとして保存する記録制御ステップと、
通信端末との接続を確立する通信制御ステップと、
前記通信制御ステップによって接続が確立された前記通信端末が、予め登録された前記通信端末である登録端末である場合は、前記登録端末による前記通常記録データおよび前記イベント記録データへのアクセスを可能とし、前記通信制御ステップによって接続が確立された前記通信端末が、予め登録されていない前記通信端末である未登録端末である場合は、前記未登録端末による前記通常記録データへのアクセスを不可とし、前記イベント記録データへのアクセスを可能とするアクセス制御ステップと、
を
含み、
前記アクセス制御ステップでは、前記未登録端末から接続要求を受けた場合は、前記未登録端末に対して直近の前記イベント記録データへのアクセスを許可する処理を車両用記録制御装置として動作するコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項9】
車両の周辺を撮影する撮影部が撮影した撮影データを取得する撮影データ取得ステップと、
前記車両に対するイベントを検出するイベント検出ステップと、
前記撮影データ取得ステップで取得した前記撮影データを、前記イベントに基づかない通常記録データと、前記イベントに基づくイベント記録データとして保存する記録制御ステップと、
通信端末との接続を確立する通信制御ステップと、
前記通信制御ステップによって接続が確立された前記通信端末が、予め登録された前記通信端末である登録端末である場合は、前記登録端末による前記通常記録データおよび前記イベント記録データへのアクセスを可能とし、前記通信制御ステップによって接続が確立された前記通信端末が、予め登録されていない前記通信端末である未登録端末である場合は、前記未登録端末による前記通常記録データへのアクセスを不可とし、前記イベント記録データへのアクセスを可能とするアクセス制御ステップと、
を含
み、
前記アクセス制御ステップでは、前記イベント検出ステップで前記イベントを検出した後、所定期間内に前記未登録端末から接続要求を受けた場合は、前記未登録端末に対して直近の前記イベント記録データへのアクセスを許可する、
車両用記録制御装置が実行する車両用記録制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用記録装置、車両用記録制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に取り付けられて車両の周辺を撮影するドライブレコーダは、車両のフロントガラス付近やリアガラス付近に取り付けられることが多いため、ドライブレコーダの中には、車両の搭乗者の視界確保等の観点から、表示画面を有さないものがある。また、このような表示画面を有さないドライブレコーダの中には、ユーザによって予め登録された携帯端末とドライブレコーダとの間で通信を行うことにより、ドライブレコーダによって取得した情報を、携帯端末で参照することを可能としているものがある。例えば、特許文献1では、衝突等のイベントを車両用機器で検出した場合に、イベントに関する情報を無線通信によって携帯端末に送信し、携帯端末でイベントに関する情報を確認可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両の衝突等のイベントが発生した場合、ドライブレコーダと通信を行う携帯端末は車両の運転者が所有する携帯端末であることが多く、イベント発生による運転者の状態によっては、運転者の携帯端末を利用してイベントの状況を確認出来なくなる虞がある。
【0005】
しかし、予め登録された携帯端末等の機器とドライブレコーダとの通信を制限無く行うことができるようにした場合、イベントに関する情報以外の情報も外部の機器によって確認することが可能になり、ユーザのプライバシーを損なう場合も発生する場合もある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、プライバシーの保護を確保しつつ、イベントに関する情報の確認を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る車両用記録装置は、車両の周辺を撮影する撮影部が撮影した撮影データを取得する撮影データ取得部と、前記車両に対するイベントを検出するイベント検出部と、前記撮影データ取得部が取得した前記撮影データを、前記イベントに基づかない通常記録データと、前記イベントに基づくイベント記録データとして保存する記録制御部と、通信端末との接続を確立する通信制御部と、前記通信制御部によって接続が確立された前記通信端末が、予め登録された前記通信端末である登録端末である場合は、前記登録端末による前記通常記録データおよび前記イベント記録データへのアクセスを可能とし、前記通信制御部によって接続が確立された前記通信端末が、予め登録されていない前記通信端末である未登録端末である場合は、前記未登録端末による前記通常記録データへのアクセスを不可とし、前記イベント記録データへのアクセスを可能とするアクセス制御部と、を備える。
【0008】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る車両用記録制御方法は、車両の周辺を撮影する撮影部が撮影した撮影データを取得する撮影データ取得ステップと、前記車両に対するイベントを検出するイベント検出ステップと、前記撮影データ取得ステップで取得した前記撮影データを、前記イベントに基づかない通常記録データと、前記イベントに基づくイベント記録データとして保存する記録制御ステップと、通信端末との接続を確立する通信制御ステップと、前記通信制御ステップによって接続が確立された前記通信端末が、予め登録された前記通信端末である登録端末である場合は、前記登録端末による前記通常記録データおよび前記イベント記録データへのアクセスを可能とし、前記通信制御ステップによって接続が確立された前記通信端末が、予め登録されていない前記通信端末である未登録端末である場合は、前記未登録端末による前記通常記録データへのアクセスを不可とし、前記イベント記録データへのアクセスを可能とするアクセス制御ステップと、を含む。
【0009】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るプログラムは、車両の周辺を撮影する撮影部が撮影した撮影データを取得する撮影データ取得ステップと、
前記車両に対するイベントを検出するイベント検出ステップと、前記撮影データ取得ステップで取得した前記撮影データを、前記イベントに基づかない通常記録データと、前記イベントに基づくイベント記録データとして保存する記録制御ステップと、通信端末との接続を確立する通信制御ステップと、前記通信制御ステップによって接続が確立された前記通信端末が、予め登録された前記通信端末である登録端末である場合は、前記登録端末による前記通常記録データおよび前記イベント記録データへのアクセスを可能とし、前記通信制御ステップによって接続が確立された前記通信端末が、予め登録されていない前記通信端末である未登録端末である場合は、前記未登録端末による前記通常記録データへのアクセスを不可とし、前記イベント記録データへのアクセスを可能とするアクセス制御ステップと、を車両用記録制御装置として動作するコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る車両用記録装置、車両用記録制御方法およびプログラムは、プライバシーの保護を確保しつつ、イベントに関する情報の確認を可能とする、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る車両用記録装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、撮影データのループ記録についての概念図である。
【
図3】
図3は、撮影データを通常記録データまたはイベント記録データとして保存する際の概念図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る車両用記録制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、通信端末での撮影データへのアクセスに関する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、イベント記録データが複数保存される場合の概念図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る車両用記録装置において、通信端末での撮影データへのアクセスに関する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、第3実施形態に係る車両用記録装置において、通信端末での撮影データへのアクセスに関する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第4実施形態に係る車両用記録装置の構成例を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、第5実施形態に係る車両用記録装置の構成例を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、第5実施形態に係る車両用記録装置において、通信端末での撮影データへのアクセスに関する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、第5実施形態の変形例に係る車両用記録装置において、通信端末での撮影データへのアクセスに関する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、第6実施形態に係る車両用記録装置において、通信端末での撮影データへのアクセスに関する処理の流れを示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、第7実施形態に係る車両用記録装置において、通信端末での撮影データへのアクセスに関する処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る車両用記録装置、車両用記録制御方法およびプログラムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0013】
[第1実施形態]
<車両用記録装置>
図1は、第1実施形態に係る車両用記録装置10の構成例を示すブロック図である。車両用記録装置10は、いわゆるドライブレコーダであり、車両の室内におけるフロントガラス付近やリアガラス付近に取り付けられ、通常は車両から供給される電力により駆動する。また、車両用記録装置10は、バッテリ(図示省略)を内蔵しており、車両の事故等により車両からの電力の供給が途絶えた際には、内蔵したバッテリにより駆動することも可能になっている。車両用記録装置10は、車両に載置されているものに加えて、可搬型で車両において利用可能な装置であってもよい。
【0014】
車両用記録装置10は、撮影部210と、記録部220と、操作部230と、センサ240と、通信部250と、GNSS(Global Navigation Satellite System:全地球航法衛星システム)受信部260と、車両用記録制御装置(以下、「制御装置」という。)100とを有する。
【0015】
撮影部210は、車両用記録装置10が搭載される車両の周辺を撮影し、電気信号として出力可能なカメラになっている。第1実施形態では、撮影部210は、車両の車室内のフロントガラス付近に前方を向いて配置され、車両の前方を中心とした周辺を撮影する。撮影部210は、広角、例えば、水平方向に180°程度の撮影範囲を撮影する。撮影部210は、撮影した撮影データ300(
図2参照)を制御装置100の撮影データ取得部120へ出力する。
【0016】
記録部220は、車両用記録装置10におけるデータの一時記憶や保存などに用いられる。記録部220は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、メモリカードなどの記録部である。または、図示しない通信装置を介して無線接続される外部記録部であってもよい。記録部220は、制御装置100の記録制御部123から出力された制御信号に基づいて、撮影データ取得部120によって取得した撮影データ300を記録する。
【0017】
操作部230は、車両用記録装置10に対する各種操作を受付可能な入力部になっている。操作部230は、例えば、撮影データ300を動画データとして記録部220で記録する際における、1つの動画データの時間の設定、即ち、どれくらいの時間の間隔で動画データを生成するかの設定の受付が可能になっている。また、操作部230は、手動によるイベント記録を行う操作の受付が可能になっている。操作部230は、入力された操作情報を、制御装置100の操作制御部124に出力する。
【0018】
センサ240は、車両用記録装置10が搭載される車両に対するイベントを検出することが可能なイベント検出部になっており、検出結果を制御装置100のイベント検出部125に出力する。センサ240は、加速度を検出する、いわゆる加速度センサになっており、例えば3軸方向の加速度を検出する。3軸方向とは、車両の前後方向、左右方向、および上下方向である。センサ240は、3軸方向の加速度によって、車両に対する衝撃が検出可能になっている。
【0019】
通信部250は、外部の通信端末400との間で通信可能な通信ユニットである。通信部250は、Wi-Fi(登録商標)や、Bluetooth(登録商標)などの手法により、車両用記録装置10の外部の通信端末400との間で、無線通信を行うことが可能になっている。この場合における通信端末400は、例えば、スマートフォンやタブレット、ノート型パーソナルコンピュータ等の携帯型情報端末装置が挙げられる。
【0020】
GNSS受信部260は、GNSSが有する複数の測位衛星から発射される電波を受信する。GNSS受信部260は、受信した電波の信号を制御装置100の位置情報取得部128へ出力する。
【0021】
制御装置100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などで構成された演算処理装置(制御装置)である。制御装置100は、記憶されているプログラムをメモリにロードして、プログラムに含まれる命令を実行する。制御装置100には図示しない内部メモリが含まれ、内部メモリは制御装置100におけるデータの一時記憶などに用いられる。制御装置100は、バス110に接続された、撮影データ取得部120と、バッファメモリ121と、撮影データ処理部122と、記録制御部123と、操作制御部124と、イベント検出部125と、通信制御部126と、アクセス制御部127と、位置情報取得部128とを有する。
【0022】
撮影データ取得部120は、車両の周辺を撮影した撮影データ300を取得する。より詳しくは、撮影データ取得部120は、車両の周辺を撮影する撮影部210が出力した撮影データ300を取得する。
【0023】
バッファメモリ121は、撮影データを一時的に記憶するメモリになっている。バッファメモリ121は、例えば、撮影データ取得部120が取得した一定時間分の撮影データ300を、更新しながら一時的に記録するメモリである。
【0024】
撮影データ処理部122は、バッファメモリ121が一時的に記憶している撮影データ300(以下、「一時撮影データ」という。)を、例えばH.264やMPEG-4(Moving Picture Experts Group)などの任意の方式のコーデックで符号化された、例えばMP4形式などの任意のファイル形式に変換する。撮影データ処理部122は、一時撮影データから、一定時間分の動画データを1つのファイルとした撮影データ300を生成する。詳しくは、撮影データ処理部122は、一時撮影データより、記録順に所定の時間の撮影データ300を1ファイルとして生成し、所定の時間の撮影データ300からなるファイルを、撮影部210での撮影時間に応じて複数生成する。この場合における所定の時間は、操作部230への入力操作により設定された時間(例えば、60秒間)が用いられる。撮影データ処理部122は、このように生成した撮影データ300を記録制御部123へ出力する。なお、1つのファイルとして生成される撮影データ300の時間は、一例として60秒としたが、これには限定されない。また、ここで言う撮影データ300とは、撮影した映像に加えて音声が含まれたデータであってもよい。
【0025】
図2は、撮影データ300のループ記録についての概念図である。記録制御部123は、撮影データ処理部122でファイル化された撮影データ300を、記録部220に記録させる制御を行う。記録制御部123は、ループ記録を行うことが設定されている場合は、ループ記録処理を実行し、撮影データ処理部122でファイル化された撮影データ300を、上書き可能な撮影データ300として、記録部220に記録する。より詳しくは、記録制御部123は、ループ記録処理の実行中は、撮影データ処理部122が生成した撮影データ300を記録部220に記録し続け、記録部220の容量が一杯になった場合、最も古い撮影データ300に新しい撮影データ300を上書きして記録する。
【0026】
操作制御部124は、操作部230が受け付けた操作の操作情報を取得する。操作制御部124は、例えば、撮影データ300を所定の時間間隔ごとに動画データのファイルとして保存する際における時間間隔の設定情報や、手動によるイベント記録を行うか否かの操作情報等を取得して、これらの制御信号を出力する。
【0027】
イベント検出部125は、車両に対するイベントを検出する。イベント検出部125が車両に対するイベントを検出する方法は任意であるが、一例としてイベント検出部125は、センサ240の検出結果に基づいて、イベントを検出する。この場合、イベント検出部125は、センサ240が検出した加速度における閾値以上の加速度が検出されると、イベントとして検出する。イベント検出部125がイベントとして検出する加速度は、車両に対する衝撃が検出されるような閾値が予め設定される。
【0028】
図3は、撮影データ300を通常記録データ310またはイベント記録データ320として保存する際の概念図である。上記記録制御部123は、イベント検出部125がイベントを検出した場合、撮影データ処理部122が生成した撮影データ300から、少なくともイベントを検出した時点を含む所定期間の撮影データ300を、上書きが禁止されたイベント記録データ320として記録部220に保存する。
【0029】
換言すると、記録制御部123は、撮影データ取得部120が取得した撮影データ300を、イベントに基づかない通常記録データ310と、イベントに基づくイベント記録データ320として記録部220に保存する。即ち、記録制御部123は、撮影データ取得部120が取得した撮影データ300のうち、イベントに基づかない撮影データ300を、上書きが可能な通常記録データ310として保存し、イベントに基づく撮影データ300を、上書きが禁止されたイベント記録データ320として保存する。
【0030】
撮影データ300が、イベントに基づかない撮影データ300であるか、イベントに基づく撮影データ300であるかの判断の基準となる、イベントの検出に起因した所定期間とは、例えば、イベント検出時点から所定の期間、または、イベント検出時点を含むイベント検出時点の前後の期間である。記録制御部123は、撮影データ300が、イベント検出時点から所定の期間、または、イベント検出時点を含むイベント検出時点の前後の期間に撮影されたものである場合は、イベントに基づくイベント記録データ320として保存し、これらの期間以外に撮影されたものである場合は、イベントに基づかない通常記録データ310として保存する。
【0031】
イベントに基づかない撮影データ300であるか、イベントに基づく撮影データ300であるかの判断は、記録部220に記録される記録エリアに基づいて判断されてもよい。例えば、イベントに基づく撮影データ300は、イベントに基づかない撮影データ300とは異なる上書禁止エリアに保存される。
【0032】
通信制御部126は、通信部250との間で通信を行う外部の通信端末400との接続を確立し、通信部250を介した通信端末400との間の通信を制御する。即ち、通信制御部126は、通信部250を介して外部の通信端末400との間で通信を行うことができる状態にすることにより、通信端末400との接続を確立し、通信端末400との間で信号やデータの送受信を行う際の通信の制御を行う。
【0033】
通信端末400との接続の確立は、例えば、通信部250が通信端末400との間でNFC(Near Field Communication)による通信を行うことが可能な装置を備え、通信端末400のNFC認証を行うことにより、認証した通信端末400と通信部250との間でWi-Fiによって通信可能な状態にしてもよい。また、例えば、通信部250がBluetoothを用いた通信が可能に構成され、通信端末400との間でBluetooth接続によってペアリングを行うことにより、同じ通信端末400との次回以降の接続の確立を容易に行うことができるようにしてもよい。
【0034】
アクセス制御部127は、通信制御部126によって接続が確立された通信端末400が、予め登録された通信端末400であるか否かに応じて、記録部220に保存された撮影データ300への通信端末400によるアクセスの可否を制御する。つまり、車両用記録装置10は、通信端末400の登録を行うことが可能になっており、アクセス制御部127は、通信端末400が登録されたものか否かに応じて、記録部220に保存された撮影データ300へのアクセスの態様を異ならせる。
【0035】
具体的には、アクセス制御部127は、通信制御部126によって接続が確立された通信端末400が、予め登録された通信端末400である登録端末410である場合は、登録端末410による通常記録データ310およびイベント記録データ320へのアクセスを可能とする制御を行う。一方、アクセス制御部127は、通信制御部126によって接続が確立された通信端末400が、予め登録されていない通信端末400である未登録端末420である場合は、未登録端末420による通常記録データ310へのアクセスを不可とし、イベント記録データ320へのアクセスを可能とする制御を行う。
【0036】
通信端末400の登録は、操作部230に対して通信端末400の登録に関する入力操作を行うことにより登録する。例えば、通信制御部126によって通信端末400の接続が確立されている状態で、操作部230に対して登録に関する入力操作を行うことにより、現在接続が確立されている通信端末400を登録端末410として登録する。または、操作部230に対して登録に関する入力操作を行うことによって通信端末400の登録を行うモードにした状態で、通信端末400の接続を確立することにより、接続が確立された通信端末400を登録端末410として登録する。
【0037】
これらのように登録端末410として登録される通信端末400についての情報は、制御装置100の内部メモリに記憶される。通信端末400についての情報としては、例えばシリアル番号等の、通信端末400を特定することのできる、通信端末400に付された個別の情報が登録される。アクセス制御部127は、通信制御部126によって接続が確立された通信端末400についての情報を、内部メモリに記憶されている登録端末410の情報と照合することにより、接続が確立された通信端末400が登録端末410であるか否かを判断する。
【0038】
位置情報取得部128は、GNSS受信部260が受信した電波に基づいて、車両の現在の位置情報を公知の方法によって算出する。位置情報取得部128が算出した位置情報は、イベント検出部125がイベントを検出した場合、イベント記録データ320とともに保存される。
【0039】
<車両用記録装置における処理>
次に、
図4を用いて、制御装置100における処理の流れについて説明する。
図4は、第1実施形態に係る車両用記録制御装置100における処理の流れを示すフローチャートである。ここでは、ループ記録処理を行う場合について説明する。
【0040】
車両用記録装置10の使用を開始した場合、制御装置100は、通常記録を開始する(ステップS101)。つまり、車両の周辺を撮影する撮影部210が撮影した撮影データ300を撮影データ取得部120によって取得し、通常記録データ310として記録部220に保存される。詳しくは、制御装置100は、撮影データ取得部120によって取得してバッファメモリ121に記録された撮影データ300から、撮影データ処理部122によって所定の時間間隔ごとのファイルを生成し、記録制御部123によって通常記録データ310として記録部220にループ記録をする。
【0041】
次に、制御装置100は、イベント検出部125によって、車両に対するイベントを検出したか否かを判定する(ステップS102)。詳しくは、イベント検出部125は、センサ240で検出した加速度が、予め設定された閾値以上であるか否かに基づいて、イベントの発生を検出する。即ち、イベント検出部125は、センサ240が検出した加速度が閾値未満である場合は、車両に対するイベントは検出しない。一方、イベント検出部125は、センサ240が検出した加速度が閾値以上である場合は、車両に対して大きな衝撃が発生し、車両に対してイベントが発生したことを検出する。
【0042】
制御装置100は、このようにセンサ240で検出した加速度に基づいてイベントを検出するイベント検出部125が、車両に対してイベントが発生したことを検出した場合(ステップS102:Yes判定)は、イベント記録データ320を保存する(ステップS103)。詳しくは、制御装置100は、車両に対してイベントが発生したことをイベント検出部125で検出した場合は、少なくともイベントの発生時点を含む所定期間の撮影データ300を、上書きが禁止されたイベント記録データ320として記録制御部123によって記録部220に保存する。
【0043】
制御装置100は、イベント記録データ320を保存したら、車両用記録装置10による撮影データ300の記録処理を終了するか否かを判定する(ステップS104)。また、制御装置100は、イベント検出部125が、車両に対するイベントを検出しない場合(ステップS102:No判定)も同様に、撮影データ300の記録処理を終了するか否かを判定する(ステップS104)。
【0044】
詳しくは、制御装置100は、操作部230が受けた操作の操作情報を取得する操作制御部124から、終了操作が行われたことについての情報が出力されたか否かに基づいて、車両用記録装置10による撮影データ300の記録処理を終了するか否かを判定する。または、車両の利用終了によって、車両からの電力の供給が停止することで、車両用記録装置10による撮影データ300の記録処理を終了する。制御装置100は、操作制御部124から、終了操作が行われたことについての情報が出力されていない場合(ステップS104:No判定)は、ステップS102に戻り、車両用記録装置10による撮影データ300の記録処理を継続する。即ち、制御装置100による撮影データ300のループ記録処理を継続する。
【0045】
これに対し、撮影データ300の記録処理を終了すると判断された場合(ステップS104:Yes判定)は、車両用記録装置10による撮影データ300の記録処理を終了する。
【0046】
なお、車両用記録装置10は、通常時は車両から供給される電力により駆動するため、車両の運転を終了すること等によって車両用記録装置10への電力の供給が停止した際にも、車両用記録装置10による撮影データ300の記録処理は、実質的に終了する。一方、車両の事故により、車両からの電力供給が途絶えた際には、車両用記録装置10は、内蔵するバッテリにより駆動を継続し、撮影データ300の記録処理を継続する。
【0047】
これらのように、撮影部210で撮影した撮影データ300を記録部220に保存する車両用記録装置10は、通信端末400と通信が可能になっており、通信制御部126により接続が確立された通信端末400は、保存されている撮影データ300に対してアクセス可能になっている。このため、車両用記録装置10の記録部220に保存される撮影データ300は、接続が確立された通信端末400によって、確認することができる。例えば、記録部220に保存される撮影データ300が動画データである場合は、撮影データ300は、接続が確立された通信端末400によって動画として視認することが可能になっている。
【0048】
ここで、撮影データ300は、通常記録データ310、またはイベント記録データ320として保存されるが、接続が確立された通信端末400は、当該通信端末400が車両用記録装置10に対して予め登録されているか否かに応じて、撮影データ300へのアクセスの態様が異なっている。
【0049】
つまり、接続が確立された通信端末400が、予め登録された登録端末410である場合は、登録端末410は、通常記録データ310およびイベント記録データ320へのアクセスが可能になっている。これにより、登録端末410は、記録部220の保存された通常記録データ310およびイベント記録データ320を確認することができる。
【0050】
一方、接続が確立された通信端末400が、予め登録されていない未登録端末420である場合は、未登録端末420は、通常記録データ310に対してはアクセス不可で、イベント記録データ320へのアクセスは可能になっている。これにより、未登録端末420は、記録部220の保存された通常記録データ310の確認をすることはできないものの、イベント記録データ320を確認することは可能になっている。
【0051】
次に、
図5を用いて、車両用記録装置10と通信を行う通信端末400による撮影データ300へのアクセスについての処理の流れについて説明する。
図5は、通信端末400での撮影データ300へのアクセスに関する処理の流れを示すフローチャートである。車両用記録装置10の使用中は、制御装置100は、通信端末400からの接続要求を継続的に受け付けており、通信端末400からの接続要求があった場合に、接続を確立する。このため、制御装置100は、車両用記録装置10の使用中は、通信端末400との接続に関するサブルーチン、或いはプログラムを継続的に呼び出し、通信端末400との接続に関する処理を行う。
【0052】
通信端末400との接続に関する処理では、まず、通信端末400からの接続要求があるか否かを判定する(ステップS201)。詳しくは、制御装置100は、通信部250を介した通信端末400との間の通信を制御する通信制御部126に対して、通信端末400から接続要求が有るか否かを判定する。即ち、通信部250が、通信端末400からの接続要求の信号を受けたか否かを判定する。
【0053】
この判定により、通信制御部126に対して、或いは通信部250に対して、通信端末400からの接続要求が無いと判定された場合(ステップS201:No判定)は、通信端末400との接続に関する処理を終了し、当該処理が再度呼び出された際に、ステップS201から再び開始する。
【0054】
これに対し、通信制御部126に対して、或いは通信部250に対して、通信端末400からの接続要求が有ると判定された場合(ステップS201:Yes判定)は、通信制御部126は、通信部250を介する通信端末400との接続を確立する。
【0055】
通信制御部126により、通信端末400との接続を確立したら、次に、制御装置100は、接続を確立した通信端末400が、予め登録された通信端末400であるか否かを判定する(ステップS202)。詳しくは、制御装置100は、通信制御部126によって接続が確立された通信端末400が、予め登録された登録端末410であるか、予め登録されていない未登録端末420であるか否かを判定する。
【0056】
この判定により、接続を確立した通信端末400が、予め登録された通信端末400である登録端末410と判定された場合(ステップS202:Yes判定)は、通常記録データ310およびイベント記録データ320へのアクセスを許可する(ステップS203)。つまり、接続が確立された通信端末400が、予め登録された通信端末400である登録端末410である場合は、記録部220に保存された撮影データ300への当該登録端末410によるアクセスを、アクセス制御部127により全ての撮影データ300に対して許可する。これにより、接続が確立された登録端末410によって、通常記録データ310およびイベント記録データ320へアクセスすることが可能になるため、登録端末410により、通常記録データ310およびイベント記録データ320の確認を行うことが可能になる。
【0057】
接続を確立した通信端末400が登録端末410である場合は、例えば、登録端末410側には、通常記録データ310とイベント記録データ320の一覧や、車両用記録装置10の設定メニュー等が表示される。登録端末410は、通常記録データ310やイベント記録データ320の一覧から、任意の撮影データ300を選択して再生したり、撮影データ300を取得(ダウンロード)したりすることができる。これにより、登録端末410は、通常記録データ310およびイベント記録データ320の確認を行うことができる。
【0058】
これに対し、接続を確立した通信端末400が、予め登録された登録端末410ではないと判定された場合(ステップS202:No判定)は、イベント記録データ320へのアクセスを許可する(ステップS204)。つまり、接続が確立された通信端末400が、予め登録されていない通信端末400である未登録端末420である場合は、記録部220に保存された撮影データ300への当該未登録端末420によるアクセスを、アクセス制御部127により通常記録データ310に対して不可とし、イベント記録データ320に対しては許可する。これにより、接続が確立された未登録端末420により、通常記録データ310へはアクセスできず、イベント記録データ320へはアクセスすることが可能になるため、未登録端末420により、イベント記録データ320のみ確認を行うことが可能になる。
【0059】
接続を確立した通信端末400が未登録端末420である場合は、例えば、未登録端末420側には、イベント記録データ320の一覧のみが表示され、選択したイベント記録データ320を再生できるようにすることにより、イベント記録データ320のみ確認を行うことが可能になる。なお、接続を確立した通信端末400が未登録端末420である場合は、未登録端末420では撮影データ300のダウンロードはできないように設定されるのが好ましい。
【0060】
これらのように、接続を確立した通信端末400に応じて撮影データ300へのアクセスを制限したら、次に、通信端末400の接続は終了したか否かを判定する(ステップS205)。詳しくは、制御装置100は、通信部250を介して通信端末400と通信制御部126との接続の確立が継続されているか否かを判定する。
【0061】
この判定により、通信端末400と通信制御部126との接続の確立が継続されており、通信端末400の接続が終了していないと判定された場合(ステップS205:No判定)は、ステップS203またはステップS204でのアクセス許可された状態を維持し、通信端末400の接続は終了したか否かの判定を繰り返す。
【0062】
これに対し、通信端末400と通信制御部126との接続が終了し、通信端末400の接続が終了したと判定された場合(ステップS205:Yes判定)は、通信端末400との接続に関する処理を終了し、当該処理が再度呼び出された際に、ステップS201から再び開始する。
【0063】
<効果>
上述したように、第1実施形態では、車両用記録装置10との接続が確立された通信端末400が、登録端末410である場合は、登録端末410による通常記録データ310およびイベント記録データ320へのアクセスが可能になっている。このため、車両用記録装置10との接続が確立された通信端末400が、例えば、ユーザが所有するスマートフォンのような、運転者が使用する通信端末400を登録端末410として登録することにより、登録端末410によって撮影データ300を容易に確認することができる。
【0064】
また、車両用記録装置10との接続が確立された通信端末400が、未登録端末420である場合は、未登録端末420による通常記録データ310へのアクセスを不可としている。このため、車両用記録装置10との接続が確立された通信端末400が、車両用記録装置10に未登録の通信端末400である場合は、通常記録データ310を確認することができないため、通常記録データ310を、第三者が未登録端末420によって確認可能になることを抑制できる。これにより、通常記録データ310が確認され、車両によって訪れた場所の情報などが不用意に第三者に知られることを抑制でき、ユーザのプライバシーを保護することができる。
【0065】
一方、車両用記録装置10との接続が確立された通信端末400が、車両用記録装置10に未登録の通信端末400である場合でも、未登録端末420によるイベント記録データ320へのアクセスは可能になっている。このため、車両の事故のようなイベントの発生時に記録されたイベント記録データ320を、第三者が未登録端末420によって容易に確認することができる。これにより、事故等のイベントが発生することにより、車両の運転者が所有する登録端末410を用いて、イベント記録データ320の確認ができない場合であっても、イベント記録データ320の確認を第三者が所有する未登録端末420で行うことができ、イベントの状況の確認を、未登録端末420によって容易に確認することができる。この結果、プライバシーの保護を確保しつつ、イベントに関する情報の確認を可能とすることができる。
【0066】
[第2実施形態]
第2実施形態に係る車両用記録装置10は、第1実施形態に係る車両用記録装置10と略同様の構成であるが、未登録端末420に対しては直近のイベント記録データ320aへのアクセスを許可する点に特徴がある。他の構成は第1実施形態と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。
【0067】
図6は、イベント記録データ320が複数保存される場合の概念図である。車両用記録装置10は、イベントを検出して撮影データ300をイベント記録データ320として保存した後、車両用記録装置10を搭載した車両に事故が発生してイベントを検出することにより、撮影データ300を再びイベント記録データ320として保存することがある。また、イベント記録データ320は、上書きが禁止されて記録部220に保存されるため、ループ記録によって通常記録データ310が上書きされる場合でも、イベント記録データ320は記録部220に保存され続けることになる。このため、車両用記録装置10が、イベントを複数回検出した場合は、記録部220にはイベント記録データ320が複数保存されることになる。
【0068】
第2実施形態に係る車両用記録装置10では、制御装置100のアクセス制御部127は、未登録端末420から接続要求を受けた場合は、未登録端末420に対して直近のイベント記録データ320aへのアクセスを許可する。このため、記録部220にイベント記録データ320が保存されている場合は、接続が確立された未登録端末420は、古いイベント記録データ320にはアクセスすることができず、最も新しいイベント記録データ320aに対してのみ、アクセスすることが可能になる。
【0069】
例えば、車両用記録装置10と未登録端末420との接続が確立された場合は、未登録端末420側には、直近のイベント記録データ320aの有無が表示され、未登録端末420では、直近のイベント記録データ320aを再生できるようにする。これにより、車両用記録装置10との接続が確立された未登録端末420では、直近のイベント記録データ320aのみ、確認を行うことが可能になる。なお、未登録端末420では、直近のイベント記録データ320aの再生のみが許可され、直近のイベント記録データ320aのダウンロードはできないように設定されるのが好ましい。
【0070】
図7は、第2実施形態に係る車両用記録装置10において、通信端末400での撮影データ300へのアクセスに関する処理の流れを示すフローチャートである。第2実施形態に係る車両用記録装置10においても、通信端末400との接続に関する処理では、まず、通信端末400からの接続要求があるか否かを判定する(ステップS201)。この判定により、通信端末400からの接続要求が無いと判定された場合(ステップS201:No判定)は、通信端末400との接続に関する処理を終了し、当該処理が再度呼び出された際に、ステップS201から再び開始する。
【0071】
これに対し、通信端末400からの接続要求が有ると判定された場合(ステップS201:Yes判定)は、通信部250を介する通信端末400との接続を確立し、接続を確立した通信端末400が、予め登録された通信端末400であるか否かを判定する(ステップS202)。
【0072】
この判定により、接続を確立した通信端末400が、予め登録された通信端末400である登録端末410と判定された場合(ステップS202:Yes判定)は、通常記録データ310およびイベント記録データ320へのアクセスを許可する(ステップS203)。
【0073】
これに対し、接続を確立した通信端末400が、予め登録された登録端末410ではないと判定された場合(ステップS202:No判定)は、直近のイベント記録データ320aへのアクセスを許可する(ステップS211)。つまり、接続が確立された通信端末400が、予め登録されていない通信端末400である未登録端末420である場合は、記録部220に保存された撮影データ300への当該未登録端末420によるアクセスを、アクセス制御部127により通常記録データ310および直近のイベント記録データではないイベント記録データ320に対して不可とし、直近のイベント記録データ320aに対しては許可する。
【0074】
イベント記録データ320が複数保存される場合とは、事故によるイベントに加えて、事故ではない状態であっても急ブレーキなどによって生じる加速度に対しイベント検出部125がイベントとして検出することもある。また、第三者が未登録端末420を用いてイベント記録データ320の確認を要する場合は、事故の発生直後に、その事故に基づくイベント記録データを確認する場合である。このため、例えば、記録部220にイベント記録データ320が複数保存されている場合は、アクセス制御部127は、直近のイベント記録データ320a以外のイベント記録データ320への未登録端末420のアクセスは不可とし、直近のイベント記録データ320aに対してのみ許可する。これにより、接続が確立された未登録端末420により、通常記録データ310に加えて直近のイベント記録データ320aではないイベント記録データ320へはアクセスできず、直近のイベント記録データ320aへはアクセスすることが可能になる。このため、車両用記録装置10と未登録端末420との接続が確立された場合は、接続が確立された未登録端末420により、直近のイベント記録データ320aのみ確認を行うことが可能になる。
【0075】
これらのように、接続を確立した通信端末400に応じて撮影データ300へのアクセスを制限したら、通信端末400の接続は終了したか否かを判定する(ステップS205)。この判定により、通信端末400の接続が終了していないと判定された場合(ステップS205:No判定)は、ステップS203またはステップS211でのアクセス許可された状態を維持し、通信端末400の接続は終了したか否かの判定を繰り返す。これに対し、通信端末400の接続が終了したと判定された場合(ステップS205:Yes判定)は、通信端末400との接続に関する処理を終了し、当該処理が再度呼び出された際に、ステップS201から再び開始する。
【0076】
<効果>
上述したように、第2実施形態では、アクセス制御部127は、未登録端末420から接続要求を受けた場合は、未登録端末420に対して、通常記録データ310に加えて直近のイベント記録データ320aではないイベント記録データ320へのアクセスは許可せず、直近のイベント記録データ320aへのアクセスを許可する。これにより、記録部220にイベント記録データ320が複数保存されている場合でも、直近のイベント記録データ320a以外のイベント記録データ320を、第三者が未登録端末420によって確認可能になることを抑制できる。従って、過去に車両に発生したイベントが不用意に第三者に知られることを抑制でき、より確実にユーザのプライバシーを保護することができる。
【0077】
一方、未登録端末420による、直近のイベント記録データ320aへのアクセスは可能になっているため、車両の事故のようなイベントの発生時に記録された直近のイベント記録データ320aを、第三者が未登録端末420によって容易に確認することができる。これにより、直近の事故等のイベントに対しては、イベントが発生した原因を、未登録端末420によって容易に確認することができる。この結果、プライバシーの保護を確保しつつ、イベントに関する情報の確認を可能とすることができる。
【0078】
[第3実施形態]
第3実施形態に係る車両用記録装置10は、第2実施形態に係る車両用記録装置10と略同様の構成であるが、イベントを検出した後、所定期間内にのみ、未登録端末420に対して直近のイベント記録データ320aへのアクセスを許可する点に特徴がある。他の構成は第2実施形態と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。
【0079】
第3実施形態に係る車両用記録装置10では、制御装置100のアクセス制御部127は、イベント検出部125によってイベントを検出した後、所定期間内に未登録端末420から接続要求を受けた場合は、未登録端末420に対して直近のイベント記録データ320aへのアクセスを許可する。また、アクセス制御部127は、イベント検出部125によってイベントを検出した後、所定期間を超えている場合は、未登録端末420から接続要求を受けた場合に、未登録端末420に対して直近のイベント記録データ320aへのアクセスを許可しない。この場合における所定期間は、予め設定され、例えば制御装置100の内部メモリに記憶される。
【0080】
つまり、第3実施形態では、第2実施形態とは異なり、未登録端末420による直近のイベント記録データ320aへのアクセスに対して、アクセスが可能な期間について制限が設けられている。このため、第3実施形態では、未登録端末420は、イベント検出部125によってイベントを検出した後、所定期間内にのみ、直近のイベント記録データ320aに対してアクセスすることが可能になっている。換言すると、イベント検出部125によってイベントを検出した後、所定期間を超えている場合は、未登録端末420は、直近のイベント記録データ320aを含む、記録部220に保存されているいずれの撮影データ300に対しても、アクセスすることができなくなる。
【0081】
例えば、車両用記録装置10と未登録端末420との接続が確立された場合は、車両用記録装置10と未登録端末420との接続が、イベント検出部125でのイベントの検出から所定期間内である場合は、直近のイベント記録データ320aの有無が表示され、未登録端末420では、直近のイベント記録データ320aを再生できるようにする。一方、車両用記録装置10と未登録端末420との接続が、イベント検出部125でのイベントの検出から所定期間を超えている場合は、直近のイベント記録データ320aを含む、撮影データ300に対する未登録端末420でのアクセスは許可されない。
【0082】
つまり、所定期間が、例えば5分で設定される場合は、イベント検出部125でのイベントの検出から5分以内である場合は、アクセス制御部127は、未登録端末420による直近のイベント記録データ320aへのアクセスを許可し、5分を超えている場合は、未登録端末420による撮影データ300へのアクセスは不可にする。
【0083】
なお、イベント検出部125でのイベントの検出から所定期間内である場合でも、未登録端末420では、直近のイベント記録データ320aの再生のみが許可され、直近のイベント記録データ320aのダウンロードはできないように設定されるのが好ましい。
【0084】
図8は、第3実施形態に係る車両用記録装置10において、通信端末400での撮影データ300へのアクセスに関する処理の流れを示すフローチャートである。第3実施形態に係る車両用記録装置10では、接続を確立した通信端末400が、予め登録された登録端末410ではないと判定された場合(ステップS202:No判定)は、イベント検出から所定期間内であるか否かを判定する(ステップS221)。詳しくは、接続が確立された通信端末400が、予め登録されていない通信端末400である未登録端末420である場合は、制御装置100は、まず、イベント検出部125でのイベントの検出から、予め設定された所定期間内であるか否かを判定する。
【0085】
この判定により、イベント検出から所定期間内であると判定された場合(ステップS221:Yes判定)は、直近のイベント記録データ320aへのアクセスを許可する(ステップS222)。つまり、イベント検出部125でのイベントの検出から、予め設定された所定期間内であると判定された場合は、アクセス制御部127は、記録部220に保存された撮影データ300への未登録端末420によるアクセスを、直近のイベント記録データ320aに対してのみ許可する。
【0086】
これに対し、イベント検出から所定期間内ではないと判定された場合(ステップS221:No判定)は、未登録端末420によるアクセスを許可しない(ステップS223)。つまり、アクセス制御部127は、記録部220に保存された撮影データ300への未登録端末420によるアクセスを、直近のイベント記録データ320aを含むいずれの撮影データ300に対しても許可しない。
【0087】
これらのように、接続を確立した通信端末400に応じて撮影データ300へのアクセスを制限したら、通信端末400の接続が終了したと判定(ステップS205:Yes判定)されるまで、ステップS203またはステップS222でのアクセス許可された状態、または、ステップS223でアクセスが許可されない状態を維持し、通信端末400の接続は終了したか否かの判定(ステップS205)を繰り返し行う。
【0088】
<効果>
上述したように、第3実施形態では、アクセス制御部127は、イベント検出部125によってイベントを検出した後、所定期間内に未登録端末420から接続要求を受けた場合は、未登録端末420に対して直近のイベント記録データ320aへのアクセスを許可し、所定期間を超えた場合は、直近のイベント記録データ320aへのアクセスを許可しない。これにより、車両の事故等のイベントの発生から長い時間が経過している場合は、直近のイベント記録データ320aについても、第三者が未登録端末420によって確認可能になることを抑制できる。従って、イベントの発生後、時間が経過したイベントが不用意に第三者に知られることを抑制でき、より確実にユーザのプライバシーを保護することができる。
【0089】
また、イベント検出部125によってイベントを検出した後、所定期間内に第三者が未登録端末420によって直近のイベント記録データ320aを確認した後、別の第三者が、未登録端末420によって直近のイベント記録データ320aを確認することを抑制できる。つまり、イベントを検出した後、所定期間を超えた場合は、未登録端末420での直近のイベント記録データ320aへのアクセスを許可しないため、複数の第三者が、未登録端末420によって異なるタイミングで直近のイベント記録データ320aにアクセスし、直近のイベント記録データ320aの確認が可能になることを抑制できる。これにより、未登録端末420を用いて直近のイベント記録データ320aを確認することができる第三者の数を制限することができ、車両の事故等のイベントが、多くの第三者に知られることを抑制できるため、より確実にユーザのプライバシーを保護することができる。
【0090】
一方、イベントの検出後、所定期間内は、未登録端末420による、直近のイベント記録データ320aへのアクセスは可能になっているため、所定期間内であれば、イベントの発生時に記録された直近のイベント記録データ320aを、第三者が未登録端末420によって容易に確認することができる。これにより、車両の事故等のイベントの発生後、所定期間内であれば、イベントが発生した原因を、未登録端末420によって容易に確認することができる。この結果、プライバシーの保護を確保しつつ、イベントに関する情報の確認を可能とすることができる。
【0091】
[第4実施形態]
第4実施形態に係る車両用記録装置10は、第1実施形態に係る車両用記録装置10と略同様の構成であるが、通信端末400は、記録部220の保存されている撮影データ300に対して、車両が停止している際にアクセスが許可される点に特徴がある。他の構成は第1実施形態と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。
【0092】
図9は、第4実施形態に係る車両用記録装置10の構成例を示すブロック図である。第4実施形態に係る車両用記録装置10の制御装置100は、撮影データ取得部120、バッファメモリ121、撮影データ処理部122、記録制御部123、操作制御部124、イベント検出部125、通信制御部126、アクセス制御部127、位置情報取得部128に加えて、車両状態判断部129を有している。
【0093】
車両状態判断部129は、車両用記録装置10が搭載される車両の状態を判断することが可能になっており、具体的には、車両が停止しているか否かを判断することが可能になっている。車両状態判断部129は、例えば、GNSS受信部260からの出力に基づいて車両の位置情報を取得する位置情報取得部128から出力される、車両の位置情報の変化に基づいて、車両が停止しているか否かを判断する。つまり、車両状態判断部129は、位置情報取得部128から出力される車両の位置情報が変化し続けている際には、車両は走行中であると判断する。一方、位置情報取得部128から出力される車両の位置情報が、一定期間変化しない場合は、車両状態判断部129は、車両は停止していると判断する。
【0094】
このように、車両状態判断部129を有する第4実施形態に係る車両用記録装置10では、アクセス制御部127は、車両状態判断部129によって車両が停止していると判断した場合に、記録部220に保存されたイベント記録データ320への、未登録端末420によるアクセスを許可する。一方、車両は停止していないと車両状態判断部129で判断した場合は、アクセス制御部127は、未登録端末420によるイベント記録データ320へのアクセスを許可しない。
【0095】
なお、車両状態判断部129による、車両が停止しているか否かの判断は、位置情報取得部128から出力される車両の位置情報以外を用いて行ってもよい。車両状態判断部129は、例えば、車両が備えるCAN(Controller Area Network)より取得される、車両の走行に関する情報に基づいて、車両が停止しているか否かの判断を行ってもよい。
【0096】
<効果>
上述したように、第4実施形態では、アクセス制御部127は、車両が停止していると車両状態判断部129で判断した場合に、未登録端末420によるイベント記録データ320へのアクセスを許可するため、大きなイベントの発生時のみ、未登録端末420によってイベント記録データ320に対してアクセス可能にすることができる。
【0097】
つまり、イベント検出部125は、センサ240で検出する加速度に基づいてイベントを検出するため、車両の走行中の急ブレーキ等、事故以外の事象もイベントとして検出する虞がある。この場合、車両は停止せずに走行を継続するが、車両の走行中に、未登録端末420によってイベント記録データ320に対してアクセス可能である場合、このような事故以外のイベントに関するイベント記録データ320を、車両の運転者以外の同乗者が、未登録端末420によって確認することが可能になる。これにより、第三者が車両の事故等の大きなイベント以外のイベント記録データ320を、第三者が未登録端末420によって確認することが可能になるため、ユーザのプライバシーを保護し難くなる虞がある。
【0098】
これに対し、車両が停止していると車両状態判断部129で判断した場合に、未登録端末420によるイベント記録データ320へのアクセスを許可する場合は、事故によって走行が困難になったり、車両を停止させたりする必要がある大きなイベントの発生時のみ、未登録端末420によってイベント記録データ320を確認することが可能になる。これにより、小さなイベントの検出時には第三者はイベント記録データ320を確認することができず、車両の事故等の大きなイベントの発生時のみ、未登録端末420によってイベント記録データ320の確認が可能になることにより、イベントが発生した原因を、未登録端末420によって確認することができる。この結果、より確実にプライバシーの保護を確保しつつ、イベントに関する情報の確認を可能とすることができる。
【0099】
[第5実施形態]
第5実施形態に係る車両用記録装置10は、第1実施形態に係る車両用記録装置10と略同様の構成であるが、通信部250が、通信端末400との通信に複数の通信方式によって通信を行うことができ、通信方式に応じて制御を異ならせている点に特徴がある。他の構成は第1実施形態と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。
【0100】
図10は、第5実施形態に係る車両用記録装置10の構成例を示すブロック図である。第5実施形態に係る車両用記録装置10では、通信部250は、外部の通信端末400との間で互いに異なる通信方式で通信を行う第1通信部251と第2通信部252とを有している。第1通信部251は、第1通信方式により通信端末400と通信を行うことが可能になっており、第2通信部252は、第1通信方式とは異なる通信方式である第2通信方式により通信端末400と通信を行うことが可能になっている。
【0101】
第1通信部251で用いられる通信方式である第1通信方式は、通信を行うことの認証が行われた通信端末400とのみ、通信の接続を確立することが可能になっている。通信を行うことの認証は、例えば、パスワード等を用いて行われ、本第5実施形態では、第1通信方式は、認証付きのWi-Fi(登録商標)になっており、Wi-Fiのアドホックモードによる通信が用いられる。一方、第2通信方式は、第2通信方式による通信を行う通信端末400であれば、通信の接続を確立することが可能になっている。本第5実施形態では、第2通信方式は、Bluetooth(登録商標)になっており、例えばNFC(Near Field Communication)を用いてペアリングを行う。なお、第1通信方式は、Wi-Fi以外の通信方式が用いられてもよく、第2通信方式は、Bluetooth以外の通信方式が用いられてもよい。
【0102】
第1通信方式は、通信を行うことの認証が行われた通信端末400とのみ、通信を行う通信方式になっているため、第1通信方式によって通信端末400と車両用記録装置10とで通信を行うためには、任意の通信端末400を、第1通信方式による接続を確立する認証のための操作が必要になる。本第5実施形態では、第1通信方式による接続を確立する認証のための操作は、任意の通信端末400で1回行われれば、その通信端末400は、次回以降の第1通信方式による接続を確立する認証は、自動的に行われる。
【0103】
ここで、登録端末410は、操作部230に対して登録に関する入力操作を行うことにより登録された通信端末400になっている。このため、車両の運転者が使用する通信端末400を登録端末410として登録する場合は、登録端末410は、第1通信方式による接続を確立する認証のための操作が行われることが想定される。即ち、登録端末410は、第1通信方式により通信を行うことができる通信端末400として用いられることが想定される。このため、以降の説明では、登録端末410は、第1通信方式により通信を行うことができる通信端末400でもあるとして説明する。つまり、登録端末410は、車両用記録装置10、または車両用記録装置10が備えられている車両の所有者や利用者が保有する端末である。
【0104】
一方、第2通信部252で用いられる通信方式である第2通信方式は、第2通信方式による通信を行う通信端末400であれば、通信の接続を確立することが可能になっているため、未登録端末420が、第2通信方式による通信を行う通信端末400である場合には、当該未登録端末420は、第2通信方式による通信の接続を確立することができる。また、登録端末410が、第2通信方式による通信を行う通信端末400である場合には、登録端末410も、第2通信方式による通信の接続を確立することができる。つまり、未登録端末420は、任意の第三者が保有する端末であり、登録端末410以外の端末である。
【0105】
これらのため、通信部250との間で通信を行う通信端末400との接続を確立する通信制御部126は、第1通信部251での第1通信方式による登録端末410との接続と、第2通信部252での第2通信方式による少なくとも未登録端末420との接続とを確立する。
【0106】
図11は、第5実施形態に係る車両用記録装置10において、通信端末400での撮影データ300へのアクセスに関する処理の流れを示すフローチャートである。第5実施形態に係る車両用記録装置10では、まず、通信端末400から、第1通信方式による接続要求があるか否かを判定する(ステップS301)。詳しくは、制御装置100は、第1通信部251を介した通信端末400との間の通信を制御する通信制御部126に対して、通信端末400から第1通信方式による接続要求が有るか否かを判定する。即ち、第1通信部251が、通信端末400からの接続要求の信号を受けたか否かを判定する。
【0107】
この判定により、通信制御部126に対して、或いは第1通信部251に対して、通信端末400から第1通信方式による接続要求が有ると判定された場合(ステップS301:Yes判定)は、通信制御部126は、第1通信方式による通信端末400との接続を確立する。さらに、この場合、アクセス制御部127は、第1通信方式による接続が確立された通信端末400に対して、通常記録データ310およびイベント記録データ320へのアクセスを許可する(ステップS302)。つまり、第1通信方式による接続が確立された通信端末400は、登録端末410であるものとして、アクセス制御部127は、記録部220に保存された全ての撮影データ300に対するアクセスを、当該通信端末400に対して許可する。これにより、第1通信方式による接続が確立された通信端末400は、通常記録データ310およびイベント記録データ320の確認を行うことができる。
【0108】
これに対し、通信制御部126に対して、或いは第1通信部251に対して、通信端末400から第1通信方式による接続要求が無いと判定された場合(ステップS301:No判定)は、通信端末400から、第2通信方式による接続要求があるか否かを判定する(ステップS303)。詳しくは、制御装置100は、第2通信部252を介した通信端末400との間の通信を制御する通信制御部126に対して、通信端末400から第2通信方式による接続要求が有るか否かを判定する。即ち、第2通信部252が、通信端末400からの接続要求の信号を受けたか否かを判定する。
【0109】
この判定により、通信制御部126に対して、或いは第2通信部252に対して、通信端末400から第2通信方式による接続要求が有ると判定された場合(ステップS303:Yes判定)は、通信制御部126は、第2通信方式による通信端末400との接続を確立する。さらに、この場合、アクセス制御部127は、第2通信方式による接続が確立された通信端末400に対して、イベント記録データ320へのアクセスを許可する(ステップS304)。つまり、第2通信方式による接続が確立された通信端末400は、未登録端末420であるものとして、アクセス制御部127は、記録部220に保存された撮影データ300のうち、通常記録データ310に対してはアクセスを不可とし、イベント記録データ320に対してはアクセスを許可する。これにより、第2通信方式による接続が確立された通信端末400は、イベント記録データ320のみ確認を行うことが可能になる。
【0110】
これらのように、接続が確立される際の通信方式に応じて、通信端末400による撮影データ300へのアクセスを制限したら、次に、通信端末400の接続は終了したか否かを判定する(ステップS305)。詳しくは、制御装置100は、通信部250を介して通信端末400と通信制御部126との接続の確立が継続されているか否かを判定する。
【0111】
この判定により、通信端末400と通信制御部126との接続の確立が継続されており、通信端末400の接続が終了していないと判定された場合(ステップS305:No判定)は、ステップS302またはステップS304でのアクセス許可された状態を維持し、通信端末400の接続は終了したか否かの判定を繰り返す。
【0112】
これに対し、通信端末400と通信制御部126との接続が終了し、通信端末400の接続が終了したと判定された場合(ステップS305:Yes判定)は、通信端末400との接続に関する処理を終了し、当該処理が再度呼び出された際に、ステップS301から再び開始する。
【0113】
また、これらに対し、通信制御部126に対して、或いは第2通信部252に対して、通信端末400から第2通信方式による接続要求が無いと判定された場合(ステップS303:No判定)は、終了するか否かを判定する(ステップS306)。つまり、車両用記録装置10の動作、または、通信端末400との通信制御が終了するか否かを判定する。この判定により、車両用記録装置10の動作や、通信端末400との通信制御が終了しないと判定された場合(ステップS306:No判定)は、ステップS301に戻り、再び、第1通信方式による接続要求があるか否かの判定を行う。
【0114】
これに対し、車両用記録装置10の動作、または通信端末400との通信制御を終了すると判定された場合(ステップS306:Yes判定)は、少なくとも通信端末400との接続に関する処理を終了し、当該処理が再度呼び出された際に、ステップS301から再び開始する。
【0115】
<効果>
上述したように、第5実施形態では、通信端末400との接続が確立される際の通信方式に応じて、通信端末400による撮影データ300へのアクセス制御を行うため、より確実に、アクセス制御を行うことができる。つまり、通信制御部126で、第1通信方式による登録端末410との接続と、第2通信方式による少なくとも未登録端末420との接続とを確立し、通信方式に応じてアクセス制御を行うことにより、より確実に、未登録端末420に対して通常記録データ310へのアクセスは不可とし、イベント記録データ320へのアクセスは可能とすることができる。この結果、プライバシーの保護を確保しつつ、イベントに関する情報の確認を可能とすることができる。
【0116】
[第5実施形態の変形例]
なお、第5実施形態では、登録端末410は、第1通信方式のみでなく、第2通信方式によっても接続の確立が可能であるため、第2通信方式によっても接続が確立してしまうことが考えられる。このため、第2通信方式により接続された通信端末400が、登録端末410であるか、未登録端末420であるかの判定を行ってもよい。
【0117】
図12は、第5実施形態の変形例に係る車両用記録装置10において、通信端末400での撮影データ300へのアクセスに関する処理の流れを示すフローチャートである。第5実施形態の変形例では、通信制御部126に対して、或いは第2通信部252に対して、通信端末400から第2通信方式による接続要求が有ると判定された場合(ステップS303:Yes判定)は、通信制御部126は、第2通信方式による通信端末400との接続を確立する。さらに、制御装置100は、第2通信方式による接続を確立した通信端末400が、予め登録された通信端末400であるか否かを判定する(ステップS311)。詳しくは、制御装置100は、通信制御部126によって第2通信方式による接続が確立された通信端末400が、予め登録された登録端末410であるか、予め登録されていない未登録端末420であるか否かを判定する。
【0118】
この判定により、第2通信方式による接続を確立した通信端末400が、予め登録された登録端末410であると判定された場合(ステップS311:Yes判定)は、登録端末410による、通常記録データ310およびイベント記録データ320へのアクセスを許可する(ステップS302)。つまり、アクセス制御部127は、通信制御部126によって第2通信方式により接続が確立された通信端末400が登録端末410である場合は、登録端末410による通常記録データ310およびイベント記録データ320へのアクセスを可能とする。
【0119】
これに対し、第2通信方式による接続を確立した通信端末400が、予め登録された登録端末410ではないと判定された場合(ステップS311:No判定)は、アクセス制御部127は、第2通信方式による接続が確立された通信端末400に対して、通常記録データ310に対してはアクセスを不可とし、イベント記録データ320に対してはアクセスを許可する(ステップS304)。
【0120】
<効果>
上述したように、第5実施形態の変形例では、第2通信方式により接続が確立された通信端末400が登録端末410である場合は、登録端末410による通常記録データ310およびイベント記録データ320へのアクセスを可能とするため、使い勝手を向上させることができる。つまり、登録端末410は、第1通信方式のみでなく、第2通信方式によっても通信部250と接続することができるため、第2通信方式によって接続が確立されてしまうこともある。このような場合でも、第2通信方式により接続が確立された通信端末400が登録端末410であるか否かの判定を行うことにより、登録端末410が、通常記録データ310に対してアクセス出来なくなるような事態を回避することができる。この結果、プライバシーの保護を確保しつつ、イベントに関する情報の確認を可能とする際における使い勝手を向上させることができる。
【0121】
[第6実施形態]
第6実施形態に係る車両用記録装置10は、第5実施形態に係る車両用記録装置10と略同様の構成であるが、第2通信方式による接続要求があったあと、イベントを検出から所定期間内にのみ、イベント記録データ320へのアクセスを許可する点に特徴がある。他の構成は第5実施形態と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。
【0122】
第6実施形態に係る車両用記録装置10では、制御装置100のアクセス制御部127は、イベント検出部125がイベントを検出してから所定期間、第2通信方式により接続が確立された通信端末400によるイベント記録データ320へのアクセスを可能とする許可を行う。アクセス制御部127は、イベント検出部125がイベントを検出してから所定期間を超えている場合は、第2通信方式により接続が確立された通信端末400に対して、イベント記録データ320へのアクセスを許可しない。この場合における所定期間は、予め設定され、例えば制御装置100の内部メモリに記憶される。
【0123】
つまり、第6実施形態では、第5実施形態とは異なり、第2通信方式によって接続が確立された通信端末400によるイベント記録データ320へのアクセスに対して、アクセスが可能な期間について制限が設けられている。このため、第6実施形態では、第2通信方式によって接続が確立された通信端末400は、イベント検出部125によってイベントを検出した後、所定期間内にのみ、イベント記録データ320に対してアクセスすることが可能になっている。換言すると、イベント検出部125によってイベントを検出した後、所定期間を超えている場合は、第2通信方式によって接続が確立された通信端末400は、イベント記録データ320を含む、記録部220に保存されているいずれの撮影データ300に対しても、アクセスすることができなくなる。
【0124】
図13は、第6実施形態に係る車両用記録装置10において、通信端末400での撮影データ300へのアクセスに関する処理の流れを示すフローチャートである。第6実施形態では、通信制御部126に対して、或いは第2通信部252に対して、通信端末400から第2通信方式による接続要求が有ると判定された場合(ステップS303:Yes判定)は、イベント検出から所定期間内であるか否かを判定する(ステップS321)。詳しくは、第2通信方式により第2通信部252と通信端末400とで接続が確立された場合は、制御装置100は、まず、イベント検出部125でのイベントの検出から、予め設定された所定期間内であるか否かを判定する。
【0125】
この判定により、イベント検出から所定期間内であると判定された場合(ステップS321:Yes判定)は、アクセス制御部127は、第2通信方式による接続が確立された通信端末400に対して、イベント記録データ320へのアクセスを許可する(ステップS304)。つまり、イベント検出から所定期間内であると判定された場合は、アクセス制御部127は、第2通信方式による接続が確立された通信端末400が未登録端末420であるものとして、当該通信端末400に対して、通常記録データ310に対してはアクセスを不可とし、イベント記録データ320に対してはアクセスを許可する。
【0126】
これに対し、イベント検出から所定期間内ではないと判定された場合(ステップS321:No判定)は、終了するか否かを判定する(ステップS306)。つまり、車両用記録装置10の動作、または、通信端末400との通信制御が終了するか否かの判定を行う。
【0127】
<効果>
上述したように、第6実施形態では、第2通信方式による通信端末400との接続が確立された後、アクセス制御部127は、イベント検出部125によってイベントを検出してから所定期間内にのみ、イベント記録データ320へのアクセスを許可し、所定期間を超えた場合は、イベント記録データ320へのアクセスを許可しない。これにより、車両の事故等のイベントの発生から長い時間が経過している場合は、第2通信方式により接続が確立された通信端末400、即ち、未登録端末420によって、第三者がイベント記録データ320に対してアクセスすることを抑制することができる。従って、イベントの発生後、時間が経過したイベントが不用意に第三者に知られることを抑制でき、より確実にユーザのプライバシーを保護することができる。
【0128】
一方、イベントの検出後、所定期間内は、第2通信方式により接続が確立された未登録端末420による、イベント記録データ320へのアクセスは可能になっているため、所定期間内であれば、イベントの発生時に記録されたイベント記録データ320を、第三者が未登録端末420によって容易に確認することができる。これにより、車両の事故等のイベントの発生後、所定期間内であれば、イベントが発生した原因を、第2通信方式により接続が確立された未登録端末420によって容易に確認することができる。この結果、プライバシーの保護を確保しつつ、イベントに関する情報の確認を可能とすることができる。
【0129】
[第6実施形態の変形例]
なお、第6実施形態では、第2通信方式により接続が確立された通信端末400に対しては、イベント検出部125がイベントを検出してから所定期間のみ、イベント記録データ320へのアクセスを許可しているが、この場合、アクセスを許可するイベント記録データ320は、直近のイベント記録データ320aであってもよい。つまり、第2通信方式により接続が確立された通信端末400に対しては、イベント検出部125がイベントを検出してから所定期間内であっても、直近のイベント記録データ320aではないイベント記録データ320へのアクセスは許可せず、直近のイベント記録データ320aのみアクセスを許してもよい。これにより、記録部220にイベント記録データ320が複数保存されている場合でも、直近のイベント記録データ320a以外のイベント記録データ320を、第2通信方式によって接続が確立された通信端末400より第三者が確認可能になることを抑制できる。従って、過去に車両に発生したイベントが不用意に第三者に知られることを抑制でき、より確実にユーザのプライバシーを保護することができる。
【0130】
[第7実施形態]
第7実施形態に係る車両用記録装置10は、第6実施形態に係る車両用記録装置10と略同様の構成であるが、イベントを検出から所定期間内にのみ、第2通信方式による接続を許容する点に特徴がある。他の構成は第6実施形態と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。
【0131】
第7実施形態に係る車両用記録装置10では、通信制御部126は、イベント検出部125がイベントを検出していない間は、第2通信方式による通信端末400との接続を行わず、イベント検出部125がイベントを検出してから所定期間、第2通信方式による通信端末400との接続の確立を有効とする。この場合、この場合における所定期間は、予め設定され、例えば制御装置100の内部メモリに記憶される。
【0132】
つまり、通信制御部126は、イベント検出部125がイベントを検出していない間は、通信端末400との接続は、第1通信方式での接続のみ許容する。このため、イベント検出部125がイベントを検出していない間は、通信制御部126は、実質的に登録端末410の接続のみを許容し、未登録端末420の接続は許容しない。
【0133】
図14は、第7実施形態に係る車両用記録装置10において、通信端末400での撮影データ300へのアクセスに関する処理の流れを示すフローチャートである。第7実施形態に係る車両用記録装置10では、まず、第1通信方式による接続を許容する(ステップS401)。これにより、実質的に、未登録端末420の接続は許容せず、予め登録された登録端末410のみ、接続が許容される。
【0134】
次に、イベント検出部125によって、車両に対するイベントを検出したか否かを判定する(ステップS402)。即ち、イベント検出部125は、センサ240で検出した加速度が、予め設定された閾値以上であるか否かに基づいて、イベントの発生を検出する。
【0135】
制御装置100は、このようにセンサ240で検出した加速度に基づいてイベントを検出するイベント検出部125が、車両に対してイベントが発生したことを検出した場合(ステップS402:Yes判定)は、イベント検出から所定期間、第2通信方式による接続を許容する(ステップS403)。これにより、未登録端末420も含め、第2通信方式による接続が可能な通信端末400が、第2通信方式による接続を行うことが出来る状態にする。
【0136】
次に、通信端末400から、第2通信方式による接続要求があるか否かを判定する(ステップS404)。つまり、第2通信方式により通信端末400との通信を行う第2通信部252が、通信端末400からの接続要求の信号を受けたか否かを判定する。
【0137】
この判定により、通信端末400から第2通信方式による接続要求が有ると判定された場合(ステップS404:Yes判定)は、通信制御部126は、第2通信方式による通信端末400との接続を確立する。さらに、制御装置100は、第2通信方式による接続を確立した通信端末400が、予め登録された通信端末400であるか否かを判定する(ステップS405)。即ち、制御装置100は、第2通信方式による接続が確立された通信端末400が、予め登録された登録端末410であるか、予め登録されていない未登録端末420であるか否かを判定する。
【0138】
この判定により、第2通信方式による接続を確立した通信端末400が、予め登録された登録端末410であると判定された場合(ステップS405:Yes判定)は、アクセス制御部127は、登録端末410による、通常記録データ310およびイベント記録データ320へのアクセスを許可する(ステップS406)。
【0139】
これに対し、第2通信方式による接続を確立した通信端末400が、予め登録された登録端末410ではないと判定された場合(ステップS405:No判定)は、アクセス制御部127は、第2通信方式による接続が確立された通信端末400に対して、通常記録データ310に対してはアクセスを不可とし、イベント記録データ320に対してはアクセスを許可する(ステップS407)。
【0140】
これらのように、第2通信方式による接続を確立した通信端末400が、予め登録された登録端末410であるか否かに応じて、通信端末400による撮影データ300へのアクセスを制限したら、次に、通信端末400の接続は終了したか否かを判定する(ステップS408)。詳しくは、制御装置100は、通信部250を介して通信端末400と通信制御部126との接続の確立が継続されているか否かを判定する。
【0141】
この判定により、通信端末400と通信制御部126との接続の確立が継続されており、通信端末400の接続が終了していないと判定された場合(ステップS408:No判定)は、ステップS406またはステップS407でのアクセス許可された状態を維持し、通信端末400の接続は終了したか否かの判定を繰り返す。
【0142】
これに対し、通信端末400と通信制御部126との接続が終了し、通信端末400の接続が終了したと判定された場合(ステップS408:Yes判定)は、通信端末400との接続に関する処理を終了し、当該処理が再度呼び出された際に、ステップS401から再び開始する。
【0143】
また、これらに対し、イベント検出部125が、車両に対してイベントが発生したことを検出しない場合(ステップS402:No判定)や、通信端末400から第2通信方式による接続要求が無いと判定された場合(ステップS404:No判定)は、終了するか否かを判定する(ステップS409)。つまり、車両用記録装置10の動作、または、通信端末400との通信制御が終了するか否かを判定する。この判定により、車両用記録装置10の動作や、通信端末400との通信制御が終了しないと判定された場合(ステップS409:No判定)は、ステップS402に戻り、車両に対するイベントを検出したか否かの判定を行う。
【0144】
これに対し、車両用記録装置10の動作、または通信端末400との通信制御を終了すると判定された場合(ステップS409:Yes判定)は、少なくとも通信端末400との接続に関する処理を終了し、当該処理が再度呼び出された際に、ステップS401から再び開始する。
【0145】
<効果>
上述したように、第7実施形態では、イベント検出部125がイベントを検出してから所定期間にのみ、第2通信方式による通信端末400との接続の確立を有効とするため、イベントを検出していない場合は、第2通信方式により通信端末400との接続が確立されることを抑制できる。換言すると、イベント検出部125がイベントを検出していない場合は、実質的に、第1通信方式による登録端末410との接続の確立のみ有効とし、第2通信方式による未登録端末420との接続の確立は禁止にすることができる。これにより、車両の事故等のイベントが発生していない状況では、第2通信方式により未登録端末420の接続が確立され、未登録端末420によって、第三者がイベント記録データ320に対してアクセスすることを抑制することができる。従って、イベントが発生していない状況では、イベント記録データ320が不用意に第三者に確認されることを抑制でき、より確実にユーザのプライバシーを保護することができる。
【0146】
一方、イベントの検出後、所定期間内は、第2通信方式による通信端末400との接続の確立を有効とするため、イベントの検出後、所定期間内であれば、第2通信方式により未登録端末420の接続を確立し、イベントの発生時に記録されたイベント記録データ320を、第三者が未登録端末420によって確認することができる。これにより、車両の事故等のイベントの発生後、所定期間内であれば、イベントが発生した原因を、未登録端末420によって容易に確認することができる。この結果、プライバシーの保護を確保しつつ、イベントに関する情報の確認を可能とすることができる。
【0147】
なお、上述した第1実施形態~第7実施形態では、イベント検出時にイベント記録データ320として保存される撮影データ300は、1回のイベント検出時に1つの撮影データ300がイベント記録データ320として保存される形態を図示しているが、1回のイベント検出時に、複数の撮影データ300がイベント記録データ320として保存されてもよい。
【0148】
[他の実施形態]
上述した実施形態に加えて、本発明に係る車両用記録装置10は、様々な異なる形態で実施される。例えば、制御装置100のアクセス制御部127は、未登録端末420との接続が確立された場合は、例えば接続が確立される前の5分間などの直近に保存されたイベント記録データのうち、イベント検出時の加速度が所定値以上のイベント記録データに対してアクセス可能としてもよい。この場合の所定値とは、明らかに車両の衝突によって発生するような値が設定される。制御装置100のアクセス制御部127は、未登録端末420との接続が確立された場合は、例えば接続が確立される前の5分間などの直近に保存されたイベント記録データのうち、イベント検出時の加速度が最大のイベント記録データに対してアクセス可能としてもよい。このような処理を行うことで、事故の前後に車両に加速度が加わることで、イベント記録データが保存された場合であっても、第三者が未登録端末420を用いて、事故に関するイベント記録データを確認することができる。
【0149】
これまで本発明に係る車両用記録装置10について説明したが、上述した第1実施形態~第7実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。
【0150】
図示した車両用記録装置10の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。即ち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。
【0151】
車両用記録装置10の構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
【0152】
上記した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
【0153】
上記では、ループ記録処理を行う場合について説明したが、イベントが検出されてから撮影を開始する場合についても同様である。
【0154】
上記では、撮影部210は、車両の車室内のフロントガラス付近に配置され、車両の前方を中心とした周辺を撮影するものとして説明したが、撮影部210は、これに限定されず、車両のリアガラス付近に後方を向いて配置され、車両の後方を中心とした周辺を撮影するものであってもよい。または、撮影部210は、360°の全天周を撮影可能なカメラ、または、各方向をそれぞれ撮影する複数のカメラ群であってもよい。
【符号の説明】
【0155】
10 車両用記録装置
100 車両用記録制御装置
110 バス
120 撮影データ取得部
121 バッファメモリ
122 撮影データ処理部
123 記録制御部
124 操作制御部
125 イベント検出部
126 通信制御部
127 アクセス制御部
128 位置情報取得部
129 車両状態判断部
210 撮影部
220 記録部
230 操作部
240 センサ
250 通信部
251 第1通信部
252 第2通信部
260 GNSS受信部
300 撮影データ
310 通常記録データ
320 イベント記録データ
400 通信端末
410 登録端末
420 未登録端末