(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】車両用表示制御装置
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20240625BHJP
B60K 35/22 20240101ALI20240625BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
B60R11/02 C
B60K35/22
G09G5/00 510A
G09G5/00 510V
G09G5/00 530T
(21)【出願番号】P 2020188562
(22)【出願日】2020-11-12
【審査請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【氏名又は名称】原田 卓治
(72)【発明者】
【氏名】倉石 友也
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 幸朗
(72)【発明者】
【氏名】羽取 正浩
(72)【発明者】
【氏名】神保 瑞翔
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-93473(JP,A)
【文献】特開2008-213753(JP,A)
【文献】特開2007-153116(JP,A)
【文献】特開2014-034374(JP,A)
【文献】特開2013-121804(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0103000(US,A1)
【文献】中国実用新案第208630510(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
B60K 35/22
G09G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示器の表示制御を行う表示制御手段と、
車両の状態を報知する報知画像の表示に関する条件であって、法規を満たすように予め定められた表示条件を記憶する記憶手段と、を備え、
前記表示制御手段は、
前記複数の表示器のうち少なくとも1つの表示器が他の表示器に変更された場合、当該変更後の複数の表示器のうち前記表示条件を満たす表示器が存在するか否かを判別する判別処理を実行し、
前記表示条件を満たす表示器が存在する場合は、当該表示器に前記報知画像を表示
し、
前記表示条件は、前記報知画像を表示する表示器が満たすべき、当該表示器の配置レベル及び表示性能レベルを示す、
車両用表示制御装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記表示条件を満たす表示器が複数存在する場合、前記表示条件を満たす複数の表示器のうち前記配置レベルが最も高いものに前記報知画像を表示する、
請求項1に記載の車両用表示制御装置。
【請求項3】
前記報知画像として、第1報知画像と、前記第1報知画像とは異なる態様で前記第1報知画像と共通の内容を示す第2報知画像とがあり、
前記記憶手段は、前記表示条件として、前記第1報知画像に応じた第1条件と、前記第2報知画像に応じた条件であって前記第1条件よりも前記表示性能レベルが低い第2条件とを記憶し、
前記表示制御手段は、
前記変更後の複数の表示器のうち、前記第1条件を満たす表示器が存在しない場合には前記第2条件を満たす表示器に前記第2報知画像を表示する、
請求項
1又は2に記載の車両用表示制御装置。
【請求項4】
前記表示性能レベルは、表示器の解像度、画面サイズ及び色数の少なくともいずれかに基づいて予め定められている、
請求項
1乃至3のいずれか1項に記載の車両用表示制御装置。
【請求項5】
前記車両が存在する地域を特定する地域特定手段をさらに備え、
前記記憶手段は、地域別に前記表示条件を記憶し、
前記表示制御手段は、前記地域特定手段が特定した前記地域に応じた前記表示条件に基づいて前記判別処理を実行する、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両用表示制御装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、前記表示条件とともに、前記報知画像の表示必要性の有無を地域別に記憶し、
前記表示制御手段は、
前記地域が第1の地域から第2の地域に変更された場合には、前記複数の表示器に変更が生じていなくとも、前記地域の変更後の複数の表示器のうち、前記第2の地域に応じた前記表示条件を満たす表示器が存在するか否かを判別し、
前記第2の地域に応じた前記表示条件を満たす表示器が存在しない場合であって、前記第2の地域において前記報知画像の表示必要性がある場合には、前記地域の変更後の複数の表示器の少なくともいずれかにエラー画像を表示する、
請求項5に記載の車両用表示制御装置。
【請求項7】
複数の表示器の表示制御を行う表示制御手段と、
車両の状態を報知する報知画像の表示に関する条件であって、法規を満たすように予め定められた表示条件、及び、前記報知画像の表示必要性の有無を地域別に記憶する記憶手段と、
前記車両が存在する地域を特定する地域特定手段と、を備え、
前記表示制御手段は、
前記地域が第1の地域から第2の地域に変更された場合、前記地域の変更後の複数の表示器のうち、前記第2の地域に応じた前記表示条件を満たす表示器が存在するか否かを判別し、
前記第2の地域に応じた前記表示条件を満たす表示器が存在しない場合であって、前記第2の地域において前記報知画像の表示必要性がある場合には、前記地域の変更後の複数の表示器の少なくともいずれかにエラー画像を表示
し、
前記表示条件は、前記報知画像を表示する表示器が満たすべき、当該表示器の配置レベル及び表示性能レベルを示す、
車両用表示制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、車両に搭載された、計器、HUD(Head-Up Display)、CID(Center Information Display)等の複数の表示器の表示制御を行う表示制御装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、車両に搭載された表示器に表示される、車速、各種警報などを示す報知画像には、法規によってその視認性に関する条件が課される場合がある。例えば、カスタマイズによって一部の表示器が性能の異なる他の表示器に物理的に組み替えられたり、車両の使用地域が法規の要件が異なる地域に変更されたりして、表示器の置かれた状況が変わると、法規を満たしつつ報知画像を表示することができない虞がある。
【0005】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、報知画像を表示する表示器の状況が変更された後の安全を担保できる車両用表示制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の第1の観点に係る車両用表示制御装置は、
複数の表示器の表示制御を行う表示制御手段と、
車両の状態を報知する報知画像の表示に関する条件であって、法規を満たすように予め定められた表示条件を記憶する記憶手段と、を備え、
前記表示制御手段は、
前記複数の表示器のうち少なくとも1つの表示器が他の表示器に変更された場合、当該変更後の複数の表示器のうち前記表示条件を満たす表示器が存在するか否かを判別する判別処理を実行し、
前記表示条件を満たす表示器が存在する場合は、当該表示器に前記報知画像を表示し、
前記表示条件は、前記報知画像を表示する表示器が満たすべき、当該表示器の配置レベル及び表示性能レベルを示す。
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の第2の観点に係る車両用表示制御装置は、
複数の表示器の表示制御を行う表示制御手段と、
車両の状態を報知する報知画像の表示に関する条件であって、法規を満たすように予め定められた表示条件、及び、前記報知画像の表示必要性の有無を地域別に記憶する記憶手段と、
前記車両が存在する地域を特定する地域特定手段と、を備え、
前記表示制御手段は、
前記地域が第1の地域から第2の地域に変更された場合、前記地域の変更後の複数の表示器のうち、前記第2の地域に応じた前記表示条件を満たす表示器が存在するか否かを判別し、
前記第2の地域に応じた前記表示条件を満たす表示器が存在しない場合であって、前記第2の地域において前記報知画像の表示必要性がある場合には、前記地域の変更後の複数の表示器の少なくともいずれかにエラー画像を表示し、
前記表示条件は、前記報知画像を表示する表示器が満たすべき、当該表示器の配置レベル及び表示性能レベルを示す。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、報知画像を表示する表示器の状況が変更された後の安全を担保できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係る車両用表示システムのブロック図。
【
図2】同上実施形態に係る判別用情報の構成例を示す図。
【
図3】同上実施形態に係る報知態様適切化処理を示すフローチャート。
【
図4A】具体例1に係る組み替え前の各表示器を示す図。
【
図4B】具体例1に係る組み替え後の各表示器を示す図。
【
図4C】具体例1に係る組み替え前の各表示器のパフォーマンス情報を示す図。
【
図4D】具体例1に係る組み替え後の各表示器のパフォーマンス情報を示す図。
【
図5A】具体例2に係る組み替え前の各表示器を示す図。
【
図5B】具体例2に係る組み替え後の各表示器を示す図。
【
図5C】具体例2に係る組み替え前の各表示器のパフォーマンス情報を示す図。
【
図5D】具体例2に係る組み替え後の各表示器のパフォーマンス情報を示す図。
【
図6A】具体例3に係る地域変更前の各表示器を示す図。
【
図6B】具体例3に係る地域変更後の各表示器を示す図。
【
図6C】具体例3に係る地域変更前後で共通の各表示器のパフォーマンス情報を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1に示す車両用表示システム1は、車両に搭載され、車両の運転者に各種の情報を表示するものであり、第1表示器X、第2表示器Y及び第3表示器Zと、これらの動作を制御する車両用表示制御装置10(以下、表示制御装置10と略することがある。)と、を備える。
【0012】
第1表示器Xは、車速、エンジン回転数などを表示する計器であり、車両のダッシュボードにおけるステアリングホイールの近傍に配置される。第1表示器Xは、例えばTFT(Thin Film Transistor)型のLCD(Liquid Crystal Display)から構成され、表示制御装置10の制御の下で画像を表示する。
【0013】
第2表示器Yは、HUD(Head-Up Display)であり、車両のウインドシールドに画像を表す表示光を投射する。ウインドシールドで反射した表示光によって、車両の運転者は、ウインドシールドの前方において表示光が表す画像の虚像を視認可能である。つまり、HUDは、車両の前方風景と重なって運転者に視認される虚像を表示する。第2表示器Yは、例えば、ダッシュボードの内部に設けられる。例えば、第2表示器Yは、表示制御装置10の制御の下で画像を表示することで当該画像を表す表示光を放射するLCDと、LCDから放射される当該画像を表す表示光をウインドシールドへ導く任意の枚数のミラーとを備える。
【0014】
第3表示器Zは、CID(Center Information Display)であり、車両のダッシュボードにおけるセンターコンソール近傍に設けられる。第3表示器Zは、例えばTFT型のLCDから構成され、表示制御装置10の制御の下で画像を表示する。
【0015】
なお、第1表示器X、第2表示器Y及び第3表示器Zは、LCDを用いた表示器に限られず、OLED(Organic Light Emitting Diodes)を用いて画像を表示するものであってもよい。また、HUDである第2表示器Yは、透過型スクリーンと、当該スクリーンに表示光Lを投射するプロジェクタとを備えて構成されてもよい。プロジェクタとしては、DMD(Digital Micromirror Device)、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)などの反射型表示デバイスを用いることができる。
【0016】
以下では、第1表示器X、第2表示器Y及び第3表示器Zのそれぞれにつき、用途が同じであるが表示性能が異なるものを、共通のアルファベットに異なる数字を加えた符号で表す場合がある。例えば、第1表示器X1と第1表示器X2は、計器としての用途が同じであるが、互いに表示性能が異なる。また、第2表示器Y1と第2表示器Y2は、HUDとしての用途が同じであるが、互いに表示性能が異なる。また、第3表示器Z1と第3表示器Z2は、CIDとしての用途が同じであるが、互いに表示性能が異なる。
【0017】
なお、
図4A、
図4Bで、HUDである第2表示器Y1,Y2の符号が付された枠は、HUDの画像表示領域(つまり、ウインドシールドの前方に設定された虚像表示領域)を模式的に示したものである。一方、
図4A、
図4Bで、第1表示器X1,X2の符号が付された枠や、第3表示器Z1の符号が付された枠は、各表示器の画面を模式的に示したものである。後述の
図5A、
図5B、
図6A、
図6Bの各図においてもこの示し方は、同様である。
【0018】
表示制御装置10は、第1表示器X、第2表示器Y及び第3表示器Z(以下、複数の表示器とも言う。)の各々の動作を制御するマイクロコンピュータからなる。表示制御装置10は、制御部11と、記憶部12と、を備える。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、CPUと協働して複数の表示器の各々に対する画像の表示制御を実行するGPU(Graphics Processing Unit)等からなる。記憶部12は、後述の報知態様適切化処理を実行するためのプログラムDPのデータ、車両の状態を報知する報知画像を表示する際の条件を判別する際に用いられる判別用情報DTのデータ、複数の表示器に表示される画像のデータなどを予め記憶するROM(Read Only Memory)、各種の演算結果などを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等からなる。記憶部12は、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)等を含んで構成されてもよい。
【0019】
また、表示制御装置10は、車載LAN(Local Area Network)等からなるバスを介して車両内の他の機器と通信可能である。例えば、表示制御装置10は、図示しないカーナビゲーション装置と通信を行う。カーナビゲーション装置は、GNSS(Global Navigation Satellite System)によって人工衛星などから受信した信号と、予め記憶した地図データベースとに基づき、車両用表示システム1が搭載された車両が存在する地域を特定し、特定した地域を示す地域情報を表示制御装置10に供給する。
【0020】
なお、表示制御装置10の構成は、後に説明する機能を充足する限りにおいては任意である。表示制御装置10は、1つのマイクロコンピュータから構成されてもよいし、互いに通信を行う複数のマイクロコンピュータから構成されてもよい。
【0021】
制御部11は、主に、地域特定手段及び表示制御手段として機能する。以下、各機能を順に説明する。
【0022】
地域特定手段は、前述のカーナビゲーション装置から取得した地域情報を参照し、車両用表示システム1が搭載された車両が存在する地域を特定し、記憶部12に記憶する。なお、カーナビゲーション装置の機能は、車両用表示システム1に含まれていてもよいし、表示制御装置10に含まれていてもよい。また、カーナビゲーション装置は、車両に搭載されたものに限られず、ナビゲーション機能を有する携帯端末であってもよい。当該携帯端末は、表示制御装置10との間で有線又は無線により通信可能なスマートフォン、スマートウォッチ、タブレットPC(Personal Computer)等であればよい。
【0023】
表示制御手段は、複数の表示器の表示制御を行う。また、表示制御手段は、現在、電気的に接続されている複数の表示器のそれぞれのパフォーマンスを特定する。例えば、表示制御装置10が
図4Aに示す第1表示器X1、第2表示器Y1及び第3表示器Z1と接続されている場合、表示制御手段は、
図4Cの表に示すように、表示器毎にα、β1、β2の各レベルを特定する。本例では、各レベルは、自然数で表され、値が低い程、レベルが高いことを示す。つまり、α=1は最高レベルであり、α=2よりもレベルが高い。
【0024】
αは、表示器の配置に応じて予め設定される配置レベルを示し、車両の運転席からの距離(つまり、運転席に着座した運転者からの距離)に応じている。つまり、「α=1」である第1表示器X1は、「α=2」である第2表示器Y1よりも運転席に近いことを示す。
β1及びβ2は、表示器の表示性能に応じたレベルである。β1は、表示器の解像度及び画面サイズに応じたレベルである。つまり、「β1=1」である第1表示器X1は、「β1=3」である第2表示器Y1よりも表示画像を明瞭に表示できることを示す。β2は、表示器が表示可能な色数に応じたレベルである。つまり、「β2=2」である第1表示器X1は、「β2=3」である第2表示器Y1よりも色数が多いことを示す。なお、ここでの色数は、例えば1600万色といった色数そのものに限られず、色深度を示すものであってもよい。
表示制御手段は、接続されている複数の表示器の各々のα、β1、β2のレベルを特定し、表示器に応じたα、β1、β2のレベルをパフォーマンス情報(
図4Cの例では、パフォーマンス情報P1a)として記憶部12に記憶する。このように、表示器に応じたα、β1、β2を特定するための動作プログラムは、プログラムDPに含まれる。
【0025】
また、表示制御手段は、複数の表示器のうち少なくとも1つの表示器が他の表示器に変更された場合、当該変更後の複数の表示器の中に、判別用情報DTに規定された表示条件を満たす表示器が存在するか否かを判別する判別処理を実行する。
【0026】
判別用情報DTは、
図2に示すように、地域(Region)別に、報知画像のタイプ(Type)、内容(Contents)、表示条件(α,β1,β2)、各地域における法規での表示必要性(Necessity)が規定されたテーブルのデータである。判別用情報DTにおける表示条件(α,β1,β2)の各レベルは、内容(Contents)に示された報知画像を表示する表示器が満たすべき最低限のレベルであり、該当地域の法規を満たすように予め設定されている。ここで、地域とは、例えば、国、州、連合などであればよい。そして、判別用情報DTにおいて設定された複数の地域は、互いに車両関連法規の内容が異なるものであればよい。
【0027】
例えば、地域が日本(Japan)の場合で、報知画像の分類が車速(Speed)、且つ、内容が指針式計器を模した画像(Pointer)である場合は、当該報知画像を表示する表示器は、配置レベルαが2以下(つまり、最高レベルの「1」か、次に高いレベルの「2」)で、且つ、表示条件のうち表示器の解像度及び画面サイズに応じたβ1が1(つまり、最高レベルの「1」)を満たす必要がある。判別用情報DTの構成例を示す表のうち、「-」は、本例では、表示条件として課されていないことを示す。なお、該当地域の法規を満たす限りにおいては、「-」の箇所にも任意のレベルを規定してもよい。
【0028】
表示制御手段は、表示器のパフォーマンス情報と判別用情報DTとに基づき、判別処理を実行し、複数の表示器の中に表示条件を満たす表示器が存在する場合は、当該表示器に報知画像を表示する。なお、判別処理は、車両が存在する地域に変更があった場合にも実行可能である。当該判別処理の実行条件や、報知画像の具体例については、後述する。
【0029】
続いて、制御部11がプログラムDPに従って実行する報知態様適切化処理の一例を、
図3を参照して説明する。報知態様適切化処理の実行契機は、表示制御装置10の動作中であれば任意である。例えば、報知態様適切化処理は、所定の期間毎に自動的に実行されてもよいし、カーディーラー、カー用品販売業者等での店員による操作に応じて実行されてもよい。当該操作は、図示しない操作部であって、受け付けた操作内容を示す信号を表示制御装置10に供給する操作部によって行われればよい。
【0030】
(報知態様適切化処理)
まず、制御部11は、接続されている複数の表示器を起動し、各表示器のパフォーマンス情報(α、β1、β2)を特定する(ステップS1)。
【0031】
続いて、制御部11は、車両が存在する地域を特定する(ステップS2)。なお、報知態様適切化処理におけるステップS2以外の処理は、制御部11の表示制御手段としての機能で実行される。
【0032】
続いて、制御部11は、記憶部12に前回の処理で記憶されたパフォーマンス情報と、ステップS1で特定したパフォーマンス情報とに基づき、複数の表示器の組み合わせが変更されたか(具体的には、複数の表示器の少なくとも1つの表示器が他の表示器に変更されたか)否かを判別する(ステップS3)。
【0033】
複数の表示器の組み合わせが変更されていない場合(ステップS3;No)、制御部11は、記憶部12に前回の処理で記憶された地域と、ステップS2で特定した地域とに基づき、車両が存在する地域が変更されたか否かを判別する(ステップS4)。地域が変更されていない場合(ステップS4;No)、制御部11は、前回の処理と同様に複数の表示器の表示制御を継続する(ステップS5)。
【0034】
複数の表示器の組み合わせが変更されている場合(ステップS3;Yes)、又は、車両が存在する地域が変更されている場合(ステップS4;Yes)、制御部11は、判別用情報DTと、ステップS1で特定した各表示器のパフォーマンス情報とに基づき、接続されている複数の表示器のうち、対象の報知画像の表示条件を満たす表示器が存在するか否かを判別する(ステップS6)。
【0035】
対象の報知画像の表示条件を満たす表示器が存在する場合(ステップS6;Yes)、制御部11は、当該表示器の対象の報知画像を表示する(ステップS7)。なお、制御部11は、表示条件を満たす表示器が複数存在する場合、配置レベルαが最も高いものに報知画像を表示する。
【0036】
対象の報知画像の表示条件を満たす表示器が存在しない場合(ステップS6;No)、制御部11は、判別用情報DTを参照し、対象の報知画像と共通のタイプ(Type)で、先の表示条件である第1条件よりも表示性能レベル(β1,β2)が低い第2条件が課された内容(Contents)の報知画像があるか否かを判別する(ステップS8)。第2条件の具体例については後述する。
【0037】
第2条件が課された内容の報知画像がある場合(ステップS8;Yes)、制御部11は、第2条件を満たす表示器が存在するか否かを判別する(ステップS9)。第2条件を満たす表示器が存在する場合(ステップS9;Yes)、制御部11は、当該表示器の対象の報知画像を表示する(ステップS7)。
【0038】
判別用情報DTに第2条件が課された内容の報知画像がない場合(ステップS8;No)、又は、第2条件を満たす表示器が存在しない場合(ステップS9;No)、制御部11は、判別用情報DTを参照し、ステップS2で特定した地域の法規により、対象の報知画像の表示必要性(Necessity)があるか否かを判別する(ステップS10)。
【0039】
表示必要性がない場合(ステップS10;No)、制御部11は、対象の報知画像を表示せずに、複数の表示器の表示制御を継続する(ステップS11)。一方で、表示必要性がある場合(ステップS10;Yes)、制御部11は、現在の地域の法規を満たさない旨を示すエラー画像を、複数の表示器の少なくともいずれかに表示する(ステップS12)。
【0040】
制御部11は、ステップS5、S7、S11又はS12の処理を実行後、報知態様適切化処理を終了する。ステップS12以外の処理を経て報知態様適切化処理を終了した場合、制御部11は、複数の表示器のうち表示条件を満たしたものに報知画像を表示する制御を継続して実行する。以上に説明した報知態様適切化処理は、報知画像の内容に応じて実行される。以下、具体例について述べる。
【0041】
(具体例1)
具体例1は、報知画像が車両の走行速度(車速)を示す車速画像の例である。例えば、日本の法規では、車速の表示に関して、次の要件を満たす必要がある。
要件1:走行速度の表示領域は運転者が頭部移動をしないで視認可能なこと。
要件2:速度計の表示は、運転者の直接視界内にあり、昼間及び夜間において明瞭に判読できるものとする。
図2に示すように、判別用情報DTでは、地域(Region)が日本(Japan)における報知画像のタイプ(Type)が車速(Speed)である場合、要件1に応じたα≦2、要件2に応じたβ1≦2が予め設定されている。具体的には、報知画像の内容(Contents)が文字表示(Character)の場合には、α≦2、β1≦2が設定され、報知画像の内容(Contents)が指針式計器を模した画像(Pointer)の場合には、α≦2、β1=1が設定されている。
【0042】
具体例1では、日本国内において、表示制御装置10と電気的に接続された複数の表示器が、
図4Aに示す第1表示器X1、第2表示器Y1及び第3表示器Z1から、
図4Bに示す第1表示器X2、第2表示器Y2及び第3表示器Z1に組み替えられた場合を考える。
図4Cは、組み替え前の各表示器のパフォーマンス情報P1aを示す。
図4Dは、組み替え後の各表示器のパフォーマンス情報P1bを示す。組み替え前では、第1表示器X1のパフォーマンスは、(Pointer)の表示条件を満たしているため、表示制御装置10は、第1表示器X1に、指針式計器を模した車速画像2aを表示する。ここから
図4Bに示す状態に組み替えられた後の報知態様適切化処理のフローを説明する。
【0043】
まず、制御部11は、
図4Bに示す第1表示器X2、第2表示器Y2及び第3表示器Z1を起動し、各表示器のパフォーマンス情報P1b(
図4D参照)を特定する(ステップS1)。続いて、制御部11は、車両が存在する地域が日本であると特定する(ステップS2)。
【0044】
続いて、制御部11は、記憶部12に前回(組み替え前)の処理で記憶されたパフォーマンス情報P1a(
図4C参照)と、ステップS1で特定したパフォーマンス情報P1bとに基づき、複数の表示器の組み合わせが変更されたか否かを判別する(ステップS3)。具体例1では、複数の表示器の組み合わせが変更されているため(ステップS3;Yes)、制御部11は、判別用情報DTと、ステップS1で特定したパフォーマンス情報P1bとに基づき、接続されている複数の表示器のうち、車速画像2aの表示条件を満たす表示器が存在するか否かを判別する(ステップS6)。
【0045】
具体例1では、パフォーマンス情報P1bを参照しても、判別用情報DTに規定された(Pointer)の表示条件である、α≦2、β1=1を満たす表示器がない(ステップS6;No)。このため、制御部11は、判別用情報DTを参照し、タイプ(Type)が車速(Speed)で、先の表示条件である第1条件よりも表示性能レベル(β1,β2)が低い第2条件が課された内容(Contents)の報知画像があるか否かを判別する(ステップS8)。
【0046】
具体例1では、第2条件(α≦2、β1≦2)が課された内容の報知画像(Character)があるため(ステップS8;Yes)、制御部11は、第2条件を満たす表示器が存在するか否かを判別する(ステップS9)。
図4Dを参照すると、組み替え後の第1表示器X2は、第2条件を満たすため(ステップS9;Yes)、制御部11は、
図4Bに示すように、第1表示器X2に、文字で車速を示す車速画像2bを表示する(ステップS7)。以上が具体例1である。
【0047】
(具体例2)
具体例2は、報知画像が油圧に関する警報を示す油圧警報画像の例である。例えば、日本の法規では、油圧の表示に関して、次の要件を満たす必要がある。
要件1:計測値が危険な状態に近い時の表示状態を運転者が頭部移動しないで視認可能なこと。
要件2:異常時は赤色で点灯。
図2に示すように、判別用情報DTでは、地域(Region)が日本(Japan)における報知画像のタイプ(Type)が警報(Warning)で、内容(Contents)が油圧(Hydraulic)である場合、要件1に応じたα≦2、要件2に応じたβ2≦3が予め設定されている。
【0048】
具体例2では、日本国内において、表示制御装置10と電気的に接続された複数の表示器が、
図5Aに示す第1表示器X1、第2表示器Y1及び第3表示器Z1から、
図5Bに示す第1表示器X2、第2表示器Y3及び第3表示器Z2に組み替えられた場合を考える。
図5Cは、組み替え前の各表示器のパフォーマンス情報P2aを示す。なお、本例では、HUDである第2表示器Y3の色数に応じたレベルβ2が「4」であることは、HUDが単色で画像表示を行う性能であることを表す。
図5Dは、組み替え後の各表示器のパフォーマンス情報P2bを示す。組み替え前では、第2表示器Y1のパフォーマンスは、(Hydraulic)の表示条件を満たしているため、表示制御装置10は、第2表示器Y2に、赤色の油圧警報画像3を表示する。ここから
図5Bに示す状態に組み替えられた後の報知態様適切化処理のフローを説明する。
【0049】
まず、制御部11は、
図5Bに示す第1表示器X2、第2表示器Y3及び第3表示器Z2を起動し、各表示器のパフォーマンス情報P2b(
図5D参照)を特定する(ステップS1)。続いて、制御部11は、車両が存在する地域が日本であると特定する(ステップS2)。
【0050】
続いて、制御部11は、記憶部12に前回(組み替え前)の処理で記憶されたパフォーマンス情報P2a(
図5C参照)と、ステップS1で特定したパフォーマンス情報P2bとに基づき、複数の表示器の組み合わせが変更されたか否かを判別する(ステップS3)。具体例2では、複数の表示器の組み合わせが変更されているため(ステップS3;Yes)、制御部11は、判別用情報DTと、ステップS1で特定したパフォーマンス情報P2bとに基づき、接続されている複数の表示器のうち、油圧警報画像3の表示条件を満たす表示器が存在するか否かを判別する(ステップS6)。
【0051】
具体例2では、パフォーマンス情報P2bを参照すると、組み替え後のHUDである第2表示器Y3は、判別用情報DTに規定された(Hydraulic)の表示条件であるα≦2、β2≦3を満たさないものの、組み替え後の計器である第1表示器X2が当該条件を満たす(ステップS6;Yes)。したがって、制御部11は、
図5Bに示すように、第1表示器X2に、赤色の油圧警報画像3を表示する(ステップS7)。以上が具体例2である。
【0052】
(具体例3)
具体例3は、報知画像がブレーキ(サイドブレーキを含む。)に関する警報を示すブレーキ警報画像の例である。例えば、日本の法規では、ブレーキの表示に関して、次の要件を満たす必要がある。
要件1:警報装置は日中でも確認でき、運転者が容易に確認できるものであること。
要件2:赤色で表示。ただし、電気的故障又はセンサーに異常があった場合は黄色の警報により表示。
図2に示すように、判別用情報DTでは、地域(Region)が日本(Japan)における報知画像のタイプ(Type)が警報(Warning)で、内容(Contents)がブレーキ(Brake)である場合、要件1に応じたα≦2、β1≦2と、要件2に応じたβ2≦3とが予め設定されている。また、これらを考慮して、報知画像の内容がブレーキである場合、日本の法規での表示必要性(Necessity)は有り(Yes)に設定されている。一方、インドの法規では、ブレーキの表示は任意である。これを考慮して、判別用情報DTでは、地域(Region)がインド(India)における報知画像の内容がブレーキである場合、インドの法規での表示必要性(Necessity)は無し(No)に設定されている。
【0053】
具体例3では、表示制御装置10と電気的に接続された複数の表示器である第1表示器X3、第2表示器Y3及び第3表示器Z1が変更されないまま、車両用表示システム1が搭載された車両が存在する地域が、
図6Aに示すインドから、
図6Bに示す日本に変更された場合を考える。
図6Cは、地域変更前後で共通の各表示器のパフォーマンス情報P3を示す。車両がインドに存在していた時は、各表示器のパフォーマンスは、(Brake)の表示条件を満たしておらず、且つ、インドの法規では表示が任意であるため、日本では表示の必要性がある
図6Bに示すようなブレーキ警報画像4は各表示器のいずれにも表示されない。ここから
図6Bに示すように、車両が存在する地域が日本に変更された後の報知態様適切化処理のフローを説明する。
【0054】
まず、制御部11は、
図6Bに示す第1表示器X3、第2表示器Y3及び第3表示器Z1を起動し、各表示器のパフォーマンス情報P3(
図6C参照)を特定する(ステップS1)。続いて、制御部11は、車両が存在する地域が日本であると特定する(ステップS2)。
【0055】
続いて、制御部11は、記憶部12に前回(地域変更前)の処理で記憶されたパフォーマンス情報P3と、ステップS1で特定したパフォーマンス情報P3とが同じであるため、複数の表示器の組み合わせが変更されていないと判別する(ステップS3;No)。
【0056】
続いて、制御部11は、記憶部12に前回の処理で記憶された地域であるインドと、ステップS2で特定した地域である日本とに基づき、車両が存在する地域が変更されたと判別する(ステップS4;Yes)。
【0057】
続いて、制御部11は、判別用情報DTと、ステップS1で特定したパフォーマンス情報P3とに基づき、接続されている複数の表示器のうち、ブレーキ警報画像4の表示条件を満たす表示器が存在するか否かを判別する(ステップS6)。
【0058】
具体例3では、パフォーマンス情報P3を参照しても、判別用情報DTに規定された、日本での(Brake)の表示条件である、α≦2、β1≦2、β2≦3を満たす表示器がない(ステップS6;No)。また、判別用情報DTを参照しても、先の表示条件である第1条件よりも表示性能レベル(β1,β2)が低い第2条件が課された内容(Contents)でブレーキに関する警報を行う報知画像は存在しない(ステップS8:No)。したがって、制御部11は、判別用情報DTを参照し、ステップS2で特定した日本の法規により、ブレーキ警報画像4の表示必要性(Necessity)があるか否かを判別する(ステップS10)。
【0059】
日本では、ブレーキ警報画像4の表示必要性があるため(ステップS10;Yes)、制御部11は、現在の地域(日本)の法規を満たさない旨を示すエラー画像5を、複数の表示器の少なくともいずれかに表示する(ステップS12)。
図6Bは、第1表示器X3にエラー画像5を表示する例である。なお、エラー画像5の表示態様は任意であり、文字画像、アイコン、これらの組み合わせ等であればよい。例えば、エラー画像5は、「該当地域の法規を満たしていないため、表示器の選定を見直してください。」といったメッセージを示すものであってもよい。以上が具体例3である。
【0060】
なお、本開示は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本開示の要旨を変更しない範囲で、実施形態に適宜の変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【0061】
具体例1~3に限らず、制御部11は、
図3に示す報知態様適切化処理のフローで実現可能な種々の表示制御を実行可能である。また、報知態様適切化処理を構成する各処理を組み替えたり、一部の処理を変更又は削除したりしてもよい。また、表示制御装置10が複数の表示器の少なくともいずれかに表示可能な報知画像の種別、表示態様などは、具体例1~3に限られず、法規を満たす限りにおいては任意に設定可能である。
【0062】
表示制御装置10に接続される複数の表示器は、2つ以上であればよい。また、複数の表示器は、車両内で互いに異なる位置にあり、運転者に視認可能な位置にあるものであればその種別は限られず任意である。但し、複数の表示器は、計器である第1表示器Xを含んでいることが好ましい。
【0063】
以上では、地域特定手段として機能する制御部11が、GNSSによって受信した信号に基づいて地域を特定する例を示したが、地域の特定手法はこれに限られず任意である。例えば、制御部11は、インターネット通信や、路側のインフラストラクチャーとの通信に基づき、車両の現在の地域を特定してもよい。
【0064】
以上では、判別用情報DTが、日本とインドの各地域に応じた表示条件及び表示必要性の有無が設定されて構成される例を示したが、より多い数の地域に応じた表示条件及び表示必要性の有無が設定されてもよいことは勿論である。
【0065】
車両用表示システム1が搭載される車両の種類は限定されず任意である。車両用表示システム1は、自動四輪車、自動二輪車など種々の車両に搭載可能である。また、HUDが表示光を投射する対象は、車両のウインドシールドに限定されず任意であり、ハーフミラー、ホログラム素子等により構成されるコンバイナであってもよい。
【0066】
(1)以上に説明した車両用表示制御装置10は、表示制御手段(制御部11の機能)と、車両の状態を報知する報知画像の表示に関する条件であって、法規を満たすように予め定められた表示条件を記憶する記憶手段(記憶部12の機能)と、を備える。
表示制御手段は、複数の表示器のうち少なくとも1つの表示器が他の表示器に変更された場合、当該変更後の複数の表示器のうち表示条件を満たす表示器が存在するか否かを判別する判別処理を実行し、表示条件を満たす表示器が存在する場合は、当該表示器に報知画像を表示する(例えば、具体例2で第1表示器X2に油圧警報画像3を表示することなど)。
この構成によれば、表示器の組み合わせが変更された後においても、法規を満たした態様で報知画像を表示できるため、安全を担保できる。
【0067】
(2)また、記憶手段に記憶された表示条件は、報知画像を表示する表示器が満たすべき、当該表示器の配置レベル(α)及び表示性能レベル(β1,β2)を示す。そして、表示制御手段は、表示条件を満たす表示器が複数存在する場合、表示条件を満たす複数の表示器のうち配置レベルが最も高いものに報知画像を表示する。
この構成によれば、運転者が視認し易い位置にある表示器に法規を満たした態様で報知画像を表示でき、より安全である。
【0068】
(3)報知画像として、第1報知画像(例えば、具体例1に係る車速画像2a)と、第1報知画像とは異なる態様で前記第1報知画像と共通の内容を示す第2報知画像(例えば、具体例1に係る車速画像2b)とがあり、記憶手段は、表示条件として、第1報知画像に応じた第1条件(例えば、判別用情報DTにおけるPointerに応じたα,β1,β2)と、第2報知画像に応じた条件であって第1条件よりも表示性能レベルが低い第2条件(例えば、判別用情報DTにおけるCharacterに応じたα,β1,β2)とを記憶する。
そして、表示制御手段は、変更後の複数の表示器のうち、第1条件を満たす表示器が存在しない場合には第2条件を満たす表示器に第2報知画像を表示する(例えば、具体例1で第1表示器X2に車速画像2bを表示することなど)。
この構成によれば、表示器の組み合わせが変更された後においても、法規を満たした態様で報知画像を表示できるため、安全を担保できる。
【0069】
(4)具体的に、表示性能レベルは、表示器の解像度、画面サイズ及び色数の少なくともいずれかに基づいて予め定められていればよい。
【0070】
(5)車両用表示制御装置10は、車両が存在する地域を特定する地域特定手段(制御部11の機能)をさらに備える。また、記憶手段は、地域別に表示条件を記憶する。そして、表示制御手段は、地域特定手段が特定した地域に応じた表示条件に基づいて前記の判別処理を実行する。
この構成によれば、表示器の組み合わせが変更された後において、該当地域の法規を満たした態様で報知画像を表示できるため、安全を担保できる。
【0071】
(6)記憶手段は、表示条件とともに、報知画像の表示必要性の有無を地域別に記憶する。表示制御手段は、車両が存在する地域が第1の地域から第2の地域に変更された場合(例えば、具体例3のようにインドから日本に変更された場合)には、複数の表示器に変更が生じていなくとも、地域の変更後の複数の表示器のうち、第2の地域に応じた表示条件を満たす表示器が存在するか否かを判別する。そして、表示制御手段は、第2の地域に応じた表示条件を満たす表示器が存在しない場合であって、第2の地域において報知画像の表示必要性がある場合には、地域の変更後の複数の表示器の少なくともいずれかにエラー画像を表示する(例えば、具体例3で第1表示器X3にエラー画像5を表示することなど)。
この構成によれば、該当地域の法規を満たした態様で報知画像を表示できない場合は、その旨を運転者等に伝えることができるため、現在の組み合わせの表示器で車両を運転することを回避させることができ、安全を担保できる。
【0072】
(7)また、車両用表示制御装置10において、表示制御手段は、車両が存在する地域が第1の地域から第2の地域に変更された場合、地域の変更後の複数の表示器のうち、第2の地域に応じた表示条件を満たす表示器が存在するか否かを判別する。そして、表示制御手段は、第2の地域に応じた表示条件を満たす表示器が存在しない場合であって、第2の地域において報知画像の表示必要性がある場合には、地域の変更後の複数の表示器の少なくともいずれかにエラー画像を表示する(例えば、具体例3で第1表示器X3にエラー画像5を表示することなど)。
この構成によれば、該当地域の法規を満たした態様で報知画像を表示できない場合は、その旨を運転者等に伝えることができるため、現在の組み合わせの表示器で車両を運転することを回避させることができ、安全を担保できる。
【0073】
以上の説明では、本開示の理解を容易にするために、公知の技術的事項の説明を適宜省略した。
【0074】
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。すなわち、本開示の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本開示の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0075】
1…車両用表示システム
2a,2b…車速画像(報知画像の一例)
3…油圧警報画像(報知画像の一例)
4…ブレーキ警報画像(報知画像の一例)
5…エラー画像
10…車両用表示制御装置
11…制御部
12…記憶部、DP…プログラム、DT…判別用情報
X,X1~X3…第1表示器
Y,Y1~Y3…第2表示器
Z,Z1,Z2…第3表示器
P1a,P1b…パフォーマンス情報(具体例1)
P2a,P2b…パフォーマンス情報(具体例2)
P3…パフォーマンス情報(具体例3)