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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】コネクタユニット
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/58 20060101AFI20240625BHJP
   H01R 13/648 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
H01R4/58 D
H01R13/648
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020193484
(22)【出願日】2020-11-20
(65)【公開番号】P2022082118
(43)【公開日】2022-06-01
【審査請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】宮本 長
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-022264(JP,A)
【文献】特開2015-207399(JP,A)
【文献】特開2015-153591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R4/58-4/72
H01R13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタと、
前記コネクタから延びる複数の電線と、
導体にてシート状に構成され、前記複数の電線の側方に配置される電磁シールド部材と、
前記電磁シールド部材の一端部に固定される固定部材と、を備えたコネクタユニットであって、
前記固定部材は、第1プレートと、第2プレートと、を有し、
前記第1プレート及び前記第2プレートは、板厚方向に互いに重ねられ、
前記電磁シールド部材の一端部は、前記第1プレートと前記第2プレートとに挟まれることで固定されており、
前記第1プレートは、位置決め用の位置決め孔を有し、
前記位置決め孔は、前記第1プレートを板厚方向に貫通しており、
前記第2プレートは、前記第2プレートの端部に切り欠き部を有し、
前記位置決め孔の幅と前記切り欠き部の幅とは、互いに等しく、
前記第2プレートの板厚方向から見て、前記切り欠き部の領域内に、前記位置決め孔の全体又は一部と、前記電磁シールド部材の一部とが位置しており、
前記位置決め孔は、前記第1プレートの板厚方向に対して垂直な第1方向に沿って複数並んで設けられ、
前記切り欠き部は、前記複数の位置決め孔の各々に対応して、前記第1方向に沿って複数並んで設けられている、コネクタユニット。
【請求項2】
前記切り欠き部を第1切り欠き部として、前記第2プレートは、前記第2プレートの前記第1方向の端部に第2切り欠き部を有し、
前記第1プレートは、板厚方向において前記第2切り欠き部に重なる孔または切り欠きにて構成された位置決め部を有し、
前記第1プレートの板厚方向及び前記第1方向の双方に対して垂直な第2方向において、前記第2切り欠き部の幅と、前記位置決め部の幅とが等しい、請求項に記載のコネクタユニット。
【請求項3】
前記コネクタは、第1コネクタと、第2コネクタとを含み、
前記複数の電線は、前記第1コネクタと前記第2コネクタとを電気的に接続し、
前記電磁シールド部材の一端部には、前記固定部材としての電磁シールドカバーが固定され、
前記電磁シールド部材の他端部には、前記固定部材としてのブラケットが固定され、
前記電磁シールドカバー及び前記ブラケットの各々は、導体にて構成され、
前記電磁シールドカバーは、前記第1コネクタを覆う態様で前記第1コネクタに固定され、
前記ブラケットは、前記第2コネクタから分離され前記第2コネクタとは一体化されていない、請求項1又は請求項2に記載のコネクタユニット。
【請求項4】
前記電磁シールドカバーが有する前記第2プレートと、前記ブラケットが有する前記第2プレートとは、同一形状をなしている、請求項に記載のコネクタユニット。
【請求項5】
前記第2コネクタは、前記電線に接続される端子と、前記端子を保持する合成樹脂製の保持部材と、車載機器に取り付けられる合成樹脂製の端子台と、を備えている、請求項又は請求項に記載のコネクタユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に、車両などに用いられるコネクタユニットが開示されている。このコネクタユニットは、コネクタと、コネクタから延びる複数の電線と、複数の電線を覆う電磁シールド部材と、を備える。電磁シールド部材は、導体にてシート状に構成されている。また、電磁シールド部材は、複数の電線の側方に配置される。電磁シールド部材の端部には、導体にて構成された固定部材が固定されている。固定部材は、電磁シールド部材の接続相手となる導電部材に接続される。上記のようなコネクタユニットでは、電磁シールド部材によって、例えば、電線からの外部への電磁波の放射が抑えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-57758号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
固定部材と電磁シールド部材との固定構造において、固定部材が2枚のプレートを備え、それら2枚のプレートで電磁シールド部材の端部を挟んで固定する構造が考えられる。その場合、2枚のプレートと電磁シールド部材との固定作業において、2枚のプレートの間に配置した電磁シールド部材の位置合わせが容易ではない。
【0005】
そこで、電磁シールド部材の位置合わせを容易にしたコネクタユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタユニットは、コネクタと、前記コネクタから延びる複数の電線と、導体にてシート状に構成され、前記複数の電線の側方に配置される電磁シールド部材と、前記電磁シールド部材の一端部に固定される固定部材と、を備えたコネクタユニットであって、前記固定部材は、第1プレートと、第2プレートと、を有し、前記第1プレート及び前記第2プレートは、板厚方向に互いに重ねられ、前記電磁シールド部材の一端部は、前記第1プレートと前記第2プレートとに挟まれることで固定されており、前記第1プレートは、位置決め用の位置決め孔を有し、前記位置決め孔は、前記第1プレートを板厚方向に貫通しており、前記第2プレートは、前記第2プレートの端部に切り欠き部を有し、前記位置決め孔の幅と前記切り欠き部の幅とは、互いに等しく、前記第2プレートの板厚方向から見て、前記切り欠き部の領域内に、前記位置決め孔の全体又は一部と、前記電磁シールド部材の一部とが位置している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電磁シールド部材の位置合わせを容易にしたコネクタユニットを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態のコネクタユニットの斜視図である。
図2図2は、同実施形態のコネクタユニットの側面図である。
図3図3は、同実施形態におけるシールドユニットの斜視図である。
図4図4は、同実施形態におけるシールドユニットの分解斜視図である。
図5図5は、同実施形態のシールドユニットにおける電磁シールドカバー付近を拡大して示す正面図。
図6図6は、同実施形態のシールドユニットにおけるブラケット付近を拡大して示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタユニットは、
[1]コネクタと、前記コネクタから延びる複数の電線と、導体にてシート状に構成され、前記複数の電線の側方に配置される電磁シールド部材と、前記電磁シールド部材の一端部に固定される固定部材と、を備えたコネクタユニットであって、前記固定部材は、第1プレートと、第2プレートと、を有し、前記第1プレート及び前記第2プレートは、板厚方向に互いに重ねられ、前記電磁シールド部材の一端部は、前記第1プレートと前記第2プレートとに挟まれることで固定されており、前記第1プレートは、位置決め用の位置決め孔を有し、前記位置決め孔は、前記第1プレートを板厚方向に貫通しており、前記第2プレートは、前記第2プレートの端部に切り欠き部を有し、前記位置決め孔の幅と前記切り欠き部の幅とは、互いに等しく、前記第2プレートの板厚方向から見て、前記切り欠き部の領域内に、前記位置決め孔の全体又は一部と、前記電磁シールド部材の一部とが位置している、コネクタユニット。
【0010】
この構成によれば、固定部材と電磁シールド部材との組付時において、第1プレートの位置決め孔と第2プレートの切り欠き部とを重ね合わせることで、第1プレートに対する第2プレートの位置決めが可能である。また、電磁シールド部材を第1プレートと第2プレートとで挟んだ際、電磁シールド部材の縁部が第2プレートの切り欠き部が設けられた端部付近に位置していることを、切り欠き部を介して視認できる。このため、切り欠き部を介して電磁シールド部材を見ながら電磁シールド部材の位置合わせを行うことが可能となる。従って、電磁シールド部材の位置合わせが容易となる。その結果、固定部材と電磁シールド部材とを互いに固定する際の作業性を向上させることが可能となる。
【0011】
[2]前記位置決め孔は、前記第1プレートの板厚方向に対して垂直な第1方向に沿って複数並んで設けられ、前記切り欠き部は、前記複数の位置決め孔の各々に対応して、前記第1方向に沿って複数並んで設けられている。
【0012】
この構成によれば、固定部材と電磁シールド部材との組付時において、第1プレートの位置決め孔と第2プレートの切り欠き部とを重ね合わせることで、第2プレートを第1プレートに対してより好適に位置決めすることが可能である。
【0013】
[3]前記切り欠き部を第1切り欠き部として、前記第2プレートは、前記第2プレートの前記第1方向の端部に第2切り欠き部を有し、前記第1プレートは、板厚方向において前記第2切り欠き部に重なる孔または切り欠きにて構成された位置決め部を有し、前記第1プレートの板厚方向及び前記第1方向の双方に対して垂直な第2方向において、前記第2切り欠き部の幅と、前記位置決め部の幅とが等しい。
【0014】
この構成によれば、固定部材と電磁シールド部材との組付時において、第1プレートの位置決め部と第2プレートの第2切り欠き部とを重ね合わせることで、第1プレートに対する第2プレートの第1方向及び第2方向における位置決めが可能となる。
【0015】
[4]前記コネクタは、第1コネクタと、第2コネクタとを含み、前記複数の電線は、前記第1コネクタと前記第2コネクタとを電気的に接続し、前記電磁シールド部材の一端部には、前記固定部材としての電磁シールドカバーが固定され、前記電磁シールド部材の他端部には、前記固定部材としてのブラケットが固定され、前記電磁シールドカバー及び前記ブラケットの各々は、導体にて構成され、前記電磁シールドカバーは、前記第1コネクタを覆う態様で前記第1コネクタに固定され、前記ブラケットは、前記第2コネクタから分離され前記第2コネクタとは一体化されていない。
【0016】
この構成によれば、電磁シールドカバーにおける第1プレートと第2プレートとに電磁シールド部材の一端部が挟まれて固定される。これにより、電磁シールドカバーに開口を設けずに電磁シールド部材を電磁シールドカバーに固定することが可能となる。また、電磁シールド部材の他端部に固定されたブラケットが第2コネクタから分離されているため、ブラケットを例えば車載機器の筐体に取り付けて接地することが可能となる。
【0017】
[5]前記電磁シールドカバーが有する前記第2プレートと、前記ブラケットが有する前記第2プレートとは、同一形状をなしている。
この構成によれば、電磁シールドカバーの第2プレートとブラケットの第2プレートとを同一部品として扱うことが可能となる。このため、コネクタユニットの部品管理が煩雑になることを抑制することが可能となる。
【0018】
[6]前記第2コネクタは、前記電線に接続される端子と、前記端子を保持する合成樹脂製の保持部材と、車載機器に取り付けられる合成樹脂製の端子台と、を備えている。
この構成によれば、端子台を金属で構成する場合などに比べてコネクタユニットの軽量化を図ることができる。なお、ブラケットが第2コネクタから分離されていることで、第2コネクタの端子台を介してブラケットを接地させる構成とはならない。これにより、端子台を導体で構成する必要がなくなり、端子台の構成材料の選定自由度が向上されている。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタユニットの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。また、本明細書における「垂直」は、厳密に垂直の場合のみでなく、本実施形態における作用ならびに効果を奏する範囲内で概ね垂直の場合も含まれる。
【0020】
また、本明細書における「平板状」には、角部や稜線部が面取りされた形状、角部や稜線部が丸められた形状、形状を構成する面の一部又は全部に凹凸などが形成されている形状も含まれる。また、本明細書の説明で使用される「筒状」は、周方向全周にわたって連続して周壁が形成されたものだけではなく、複数の部品を組み合わせて筒状をなすものや、C字状のように周方向の一部に切り欠きなどを有するものも含む。また、「筒状」の形状には、円形、楕円形、及び、尖ったまたは丸い角を有する多角形が含まれる。
【0021】
(コネクタユニット10の構成)
図1及び図2に示すように、本実施形態のコネクタユニット10は、第1コネクタ11と、第2コネクタ12と、第1コネクタ11と第2コネクタ12とを電気的に接続する複数の電線13と、シールドユニット14と、を備えている。
【0022】
図1に示すように、第1コネクタ11は、複数の第1端子21を備えている。第2コネクタ12は、複数の第2端子31を備えている。各電線13の一端部は、各第1端子21にそれぞれ接続されている。各電線13の他端部は、各第2端子31にそれぞれ接続されている。第1コネクタ11及び第2コネクタ12は、例えば高電圧用のコネクタである。
【0023】
図2に示すように、第1コネクタ11は、第1車載機器M1に組み付けられる。第1車載機器M1は、例えばインバータである。複数の第1端子21は、第1車載機器M1に設けられた図示しない複数の端子にそれぞれ接続される。第2コネクタ12は、第2車載機器M2に組み付けられる。第2車載機器M2は、例えば、電気自動車やハイブリッド車などにおける走行駆動用モータである。図1に示す複数の第2端子31は、第2車載機器M2に設けられた図示しない複数の端子にそれぞれ接続される。
【0024】
(第1コネクタ11の構成)
第1コネクタ11は、複数の第1端子21と、複数の第1端子21を保持する第1保持部材22と、を備えている。
【0025】
図1及び図2に示すように、第1保持部材22は、例えば、金属製のベース部材23と、ベース部材23と一体をなす樹脂部材24とを有している。ベース部材23は、例えば、金属板材をプレス加工することによって形成されている。ベース部材23は、例えば、図示しないボルトなどによって第1車載機器M1の筐体の外側面に固定される。当該第1車載機器M1の筐体は、導体にて構成されている。また、当該第1車載機器M1の筐体は接地されている。
【0026】
樹脂部材24は、複数の第1端子21をインサート品としたインサート成形により形成されている。各第1端子21は、部分的に樹脂部材24の内部に位置するように樹脂部材24に埋設されている。なお、電線13は、樹脂部材24の内部で第1端子21に接続されている。
【0027】
樹脂部材24は、図1に示す開口部25を有している。各第1端子21は、開口部25の内側で視認できる。第1端子21と第1車載機器M1の端子との接続作業は、開口部25を介して行われる。
【0028】
(第2コネクタ12の構成)
第2コネクタ12は、複数の第2端子31と、第2端子31を保持する第2保持部材32と、端子台33と、を備えている。
【0029】
図1及び図2に示すように、第2保持部材32は、例えば合成樹脂にて構成されている。第2保持部材32は、複数の第2端子31をインサート品としたインサート成形により形成されている。なお、電線13は、第2保持部材32の内部で第2端子31に接続されている。第2保持部材32は、端子台33に組み付けられている。
【0030】
端子台33は、例えば、図示しないボルトなどによって第2車載機器M2の筐体の外側面に固定される。当該第2車載機器M2の筐体は、導体にて構成されている。また、当該第2車載機器M2の筐体は接地されている。
【0031】
端子台33は、例えば、主として合成樹脂にて構成されている。具体的には、端子台33は、合成樹脂製の台本体34を有している。台本体34には、図示しない固定用のボルトが挿通される筒状のカラー35が埋設されている。台本体34においてカラー35以外の部位が合成樹脂で構成されている。そして、カラー35は、台本体34の主部分を構成する合成樹脂よりも剛性の高い例えば金属などの材料にて形成されている。
【0032】
端子台33は、図示しない複数の端子を保持している。当該端子台33の端子の一端部は、第2端子31に接続されている。当該端子台33の端子の他端部は、第2車載機器M2に設けられた図示しない端子に接続される。
【0033】
(シールドユニット14の構成)
シールドユニット14は、電磁シールド部材40と、電磁シールド部材40の一端部に固定された電磁シールドカバー41と、電磁シールド部材40の他端部に固定されたブラケット51と、を備えている。電磁シールドカバー41及びブラケット51の各々は、導体にて構成されている。電磁シールドカバー41は、第1コネクタ11に一体化されている。一方、ブラケット51は、第2コネクタ12から分離され第2コネクタ12とは一体化されていない。そして、ブラケット51は、例えば第2車載機器M2の筐体を介して接地されている。なお、ここで言う「ブラケット51が第2コネクタ12に一体化されていない」という記載は、ブラケット51が、第2コネクタ12を構成する部品のいずれにも固定されていないことを意味する。すなわち、第2コネクタ12及びブラケット51が共に第2車載機器M2の筐体に固定された構成は、ブラケット51が第2コネクタ12には一体化されていない構成である。
【0034】
(電磁シールド部材40の構成)
電磁シールド部材40は、導体にてシート状に構成されている。電磁シールド部材40は可撓性を有している。電磁シールド部材40は、例えば、導体からなる複数の素線が編み込まれてシート状に形成された編組シートである。また、電磁シールド部材40を構成する複数の素線の形成材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。電磁シールド部材40は、例えば長方形状のシートである。
【0035】
電磁シールド部材40の少なくとも一部は、複数の電線13の側方に配置されている。電磁シールド部材40は、複数の電線13が並ぶ方向に対して垂直な方向における複数の電線13の一方側のみを覆っている。すなわち、複数の電線13は、電磁シールド部材40が設けられた側の反対側においては、電磁シールド部材で覆われていない。
【0036】
電磁シールド部材40の一端部は、第1コネクタ11に固定された電磁シールドカバー41に固定されている。すなわち、電磁シールド部材40は、電磁シールドカバー41を介して第1コネクタ11に一体化されている。
【0037】
(電磁シールドカバー41の構成)
図3及び図4に示すように、電磁シールドカバー41は、カバー本体42と、第1固定プレート43とを有している。カバー本体42は、第1コネクタ11を覆っている。カバー本体42は、プレート状をなしている。カバー本体42は、例えば、金属板材をプレス加工することによって形成されている。
【0038】
カバー本体42は、第1保持部材22に固定されている。カバー本体42は、例えば、図示しないボルトなどによってベース部材23に固定されている。カバー本体42は、第1保持部材22において第1車載機器M1に対面する側とは反対側の側面を覆っている。また、カバー本体42は、第1保持部材22において少なくとも樹脂部材24の開口部25を覆っている。
【0039】
カバー本体42は、電磁シールド部材40の一端部が固定される固定部44を有している。固定部44は、略平板状をなしている。固定部44には、第1固定プレート43が固定されている。
【0040】
第1固定プレート43は、略平板状をなしている。第1固定プレート43は、例えば金属板にて構成されている。第1固定プレート43は、板厚方向から見て略長方形をなしている。
【0041】
固定部44と第1固定プレート43とは、板厚方向に互いに重ねられている。電磁シールド部材40の端部は、固定部44と第1固定プレート43とに挟まれることで固定されている。なお、第1固定プレート43は、第1保持部材22における第1端子21と電線13との接続部分を内蔵する部位に対し、自身の板厚方向において対面している。
【0042】
図4及び図5に示すように、カバー本体42は、固定部44を板厚方向に貫通する第1位置決め孔45を有している。第1位置決め孔45は、固定部44の板厚方向から見て、例えば略長方形をなしている。第1位置決め孔45は、例えば、固定部44の板厚方向に対して垂直な第1方向D1に沿って複数並んで設けられている。複数の第1位置決め孔45は、例えば、略長方形をなす第1固定プレート43の一方の長辺に沿って並んでいる。なお、以下の説明では、固定部44の板厚方向及び第1方向D1の双方に対して垂直な第2方向D2とする。本実施形態では、第1固定プレート43の長辺が第1方向D1に沿っており、第1固定プレート43の短辺が第2方向D2に沿っている。
【0043】
カバー本体42は、固定部44を板厚方向に貫通する第2位置決め孔46を有している。第2位置決め孔46は、固定部44の板厚方向から見て、例えば略長方形をなしている。第2位置決め孔46は、例えば2つ設けられている。第2位置決め孔46は、例えば、第1固定プレート43の第1方向D1の両端縁、すなわち第1固定プレート43の両短辺の各々に対応する位置に設けられている。
【0044】
図5に示すように、第1固定プレート43は、第1固定プレート43における第2方向D2の一端部に第1切り欠き部47を有している。第1切り欠き部47は、第1固定プレート43の板厚方向から見て、第1固定プレート43の端部から第2方向D2に窪む切り欠きである。第1切り欠き部47は、例えば、第1方向D1に沿って複数並んで設けられている。各第1切り欠き部47は、例えば、互いに同一形状、かつ、互いに同一サイズをなしている。
【0045】
複数の第1切り欠き部47は、複数の第1位置決め孔45の各々に対応している。すなわち、第1固定プレート43が固定部44に固定された状態において、各第1切り欠き部47と各第1位置決め孔45とは、第1方向D1において同位置にある。また、第1方向D1において第1位置決め孔45の幅と第1切り欠き部47の幅とは、互いに等しく形成されている。
【0046】
第1切り欠き部47は、第1位置決め孔45に対して第2方向D2にずれている。また、第1固定プレート43の板厚方向から見て、第1切り欠き部47の領域内に、第1位置決め孔45の一部と、電磁シールド部材40の一部とが位置している。同領域内において、例えば、第1位置決め孔45の一部と電磁シールド部材40の一部とは、第2方向D2に並んでいる。
【0047】
第1固定プレート43は、第1固定プレート43の第1方向D1の端部に第2切り欠き部48を有している。第2切り欠き部48は、第1固定プレート43の板厚方向から見て、第1固定プレート43の端部から第1方向D1に窪む切り欠きである。
【0048】
第2切り欠き部48は、固定部44及び第1固定プレート43の板厚方向において第2位置決め孔46に重なっている。そして、第2方向D2において第2切り欠き部48の幅と第2位置決め孔46の幅とは互いに等しい。これにより、電磁シールドカバー41と電磁シールド部材40との組付時において、第2位置決め孔46と第2切り欠き部48とを重ね合わせることで、固定部44に対する第1固定プレート43の第1方向D1及び第2方向D2における位置決めが可能となっている。
【0049】
なお、固定部44と第1固定プレート43とは、例えばかしめにより互いに固定されている。例えば、固定部44と第1固定プレート43とは、それらの間に電磁シールド部材40が介在された状態で、図示しないパンチによって互いに固定される。前記パンチによるプレス箇所は、第1方向D1に沿って複数設定されている。つまり、固定部44及び第1固定プレート43には、第1方向D1に沿って複数のプレス痕A1が形成されている。プレス痕A1は、前記パンチのプレスによって形成された窪みである。
【0050】
(ブラケット51の構成)
図3及び図4に示すように、ブラケット51は、ブラケット本体52と、第2固定プレート53とを有している。ブラケット本体52は、プレート状をなしている。ブラケット本体52は、例えば、金属板材をプレス加工することによって形成されている。
【0051】
ブラケット本体52には、第2固定プレート53が固定されている。第2固定プレート53は、略平板状をなしている。第2固定プレート53は、例えば金属板にて構成されている。第2固定プレート53は、板厚方向から見て略長方形をなしている。本実施形態では、第2固定プレート53は、第1固定プレート43と同一形状、かつ同一サイズをなしている。すなわち、第1固定プレート43と第2固定プレート53とは、同一の部品として扱われる。
【0052】
ブラケット本体52と第2固定プレート53とは、板厚方向に互いに重ねられている。電磁シールド部材40の端部は、ブラケット本体52と第2固定プレート53とに挟まれることで固定されている。
【0053】
図4及び図6に示すように、ブラケット本体52は、ブラケット本体52を板厚方向に貫通する第1位置決め孔54を有している。第1位置決め孔54は、ブラケット本体52の板厚方向から見て、例えば略長方形をなしている。第1位置決め孔54は、例えば、ブラケット本体52の板厚方向に対して垂直な第1方向D3に沿って複数並んで設けられている。複数の第1位置決め孔54は、例えば、略長方形をなす第2固定プレート53の一方の長辺に沿って並んでいる。なお、以下の説明では、ブラケット本体52の板厚方向及び第1方向D3の双方に対して垂直な第2方向D4とする。本実施形態では、第2固定プレート53の長辺が第1方向D3に沿っており、第2固定プレート53の短辺が第2方向D4に沿っている。
【0054】
ブラケット本体52は、位置決め凹部55を有している。位置決め凹部55は、例えば切り欠きにて構成されている。位置決め凹部55は、ブラケット本体52の板厚方向から見て、ブラケット本体52の端部から第1方向D3に窪む切り欠きである。また、第2位置決め孔46は、例えば2つ設けられている。位置決め凹部55は、例えば、ブラケット本体52の第1方向D3の両端部にそれぞれ設けられている。位置決め凹部55は、例えば、第2固定プレート53の第1方向D3の両端縁、すなわち第2固定プレート53の両短辺の各々に対応する位置に設けられている。
【0055】
図6に示すように、第2固定プレート53は、第2固定プレート53における第2方向D4の一端部に第1切り欠き部56を有している。第1切り欠き部56は、第2固定プレート53の板厚方向から見て、第2固定プレート53の端部から第2方向D4に窪む切り欠きである。第1切り欠き部56は、例えば、第1方向D3に沿って複数並んで設けられている。各第1切り欠き部56は、例えば、互いに同一形状、かつ、互いに同一サイズをなしている。
【0056】
複数の第1切り欠き部56は、複数の第1位置決め孔54の各々に対応している。すなわち、第2固定プレート53がブラケット本体52に固定された状態において、各第1切り欠き部56と各第1位置決め孔54とは、第1方向D3において同位置にある。また、第1方向D3において第1位置決め孔54の幅と第1切り欠き部56の幅とは、互いに等しく形成されている。
【0057】
第1切り欠き部56は、第1位置決め孔54に対して第2方向D4にずれている。また、第2固定プレート53の板厚方向から見て、第1切り欠き部56の領域内に、第1位置決め孔54の一部と、電磁シールド部材40の一部とが位置している。同領域内において、例えば、第1位置決め孔54の一部と電磁シールド部材40の一部とは、第2方向D4に並んでいる。
【0058】
第2固定プレート53は、第2固定プレート53の第1方向D3の端部に第2切り欠き部57を有している。第2切り欠き部57は、第2固定プレート53の板厚方向から見て、第2固定プレート53の端部から第1方向D3に窪む切り欠きである。
【0059】
第2切り欠き部57は、ブラケット本体52及び第2固定プレート53の板厚方向において位置決め凹部55に重なっている。そして、第2方向D4において第2切り欠き部57の幅と位置決め凹部55の幅とは互いに等しい。これにより、ブラケット51と電磁シールド部材40との組付時において、位置決め凹部55と第2切り欠き部57とを重ね合わせることで、ブラケット本体52に対する第2固定プレート53の第1方向D3及び第2方向D4における位置決めが可能となっている。
【0060】
なお、ブラケット本体52と第2固定プレート53とは、例えばかしめにより互いに固定されている。例えば、ブラケット本体52と第2固定プレート53とは、それらの間に電磁シールド部材40が介在された状態で、図示しないパンチによって互いに固定される。前記パンチによるプレス箇所は、第1方向D3に沿って複数設定されている。つまり、ブラケット本体52及び第2固定プレート53には、第1方向D3に沿って複数のプレス痕A2が形成されている。プレス痕A2は、前記パンチのプレスによって形成された窪みである。
【0061】
次に、電磁シールド部材40を電磁シールドカバー41に固定する態様について説明する。
まず、カバー本体42の固定部44を、例えば、全体を図示しないかしめ治具のダイに載置する。このとき、図5に示すように、前記ダイから突出する複数の第1位置決めピンP1が、固定部44の複数の第1位置決め孔45にそれぞれ挿入される。また、前記ダイから突出する複数の第2位置決めピンP2が、固定部44の複数の第2位置決め孔46にそれぞれ挿入される。これにより、第1方向D1及び第2方向D2において、固定部44が前記ダイに対して位置決めされる。
【0062】
次に、前記ダイに載置されたカバー本体42の固定部44に、電磁シールド部材40の端部を載置する。このとき、第2方向D2における電磁シールド部材40の縁部を、各第1位置決め孔45から突出する各第1位置決めピンP1に突き当てることで、第2方向D2における電磁シールド部材40の端部の位置決めが可能である。
【0063】
次に、固定部44に載置された電磁シールド部材40に第1固定プレート43を載置する。このとき、複数の第2位置決めピンP2が、第1固定プレート43の複数の第2切り欠き部48に挿入される。これにより、第1方向D1及び第2方向D2において、第1固定プレート43が前記ダイ及び固定部44に対して位置決めされる。
【0064】
また、複数の第1位置決めピンP1が、第1固定プレート43の複数の第1切り欠き部47に挿入される。これにより、第1方向D1において、第1固定プレート43が前記ダイ及び固定部44に対して位置決めされる。また、第2方向D2において、第1位置決めピンP1と第1切り欠き部47の縁部との間には隙間がある。そして、当該隙間から電磁シールド部材40の縁部を視認可能である。これにより、固定部44と第1固定プレート43とで電磁シールド部材40を挟んだ状態で、第1切り欠き部47を介して電磁シールド部材40の縁部を見ながら、電磁シールド部材40の位置合わせを行うことが可能である。なお、電磁シールド部材40の位置合わせが完了した後、例えばかしめによって、固定部44と第1固定プレート43とを電磁シールド部材40とともに固定する。
【0065】
次に、電磁シールド部材40をブラケット51に固定する態様について説明する。
まず、ブラケット本体52を、例えば前記ダイに載置する。このとき、図6に示すように、複数の第1位置決めピンP1が、ブラケット本体52の複数の第1位置決め孔54にそれぞれ挿入される。また、複数の第2位置決めピンP2が、ブラケット本体52の複数の位置決め凹部55にそれぞれ挿入される。これにより、第1方向D3及び第2方向D4において、ブラケット本体52が前記ダイに対して位置決めされる。
【0066】
次に、前記ダイに載置されたブラケット本体52に、電磁シールド部材40の端部を載置する。このとき、第2方向D4における電磁シールド部材40の縁部を、各第1位置決め孔54から突出する各第1位置決めピンP1に突き当てることで、第2方向D4における電磁シールド部材40の端部の位置決めが可能である。
【0067】
次に、ブラケット本体52に載置された電磁シールド部材40に第2固定プレート53を載置する。このとき、複数の第2位置決めピンP2が、第2固定プレート53の複数の第2切り欠き部57に挿入される。これにより、第1方向D3及び第2方向D4において、第2固定プレート53が前記ダイ及びブラケット本体52に対して位置決めされる。
【0068】
また、複数の第1位置決めピンP1が、第2固定プレート53の複数の第1切り欠き部56に挿入される。これにより、第1方向D3において、第2固定プレート53が前記ダイ及びブラケット本体52に対して位置決めされる。また、第2方向D4において、第1位置決めピンP1と第1切り欠き部56の縁部との間には隙間がある。そして、当該隙間から電磁シールド部材40の縁部を視認可能である。これにより、ブラケット本体52と第2固定プレート53とで電磁シールド部材40を挟んだ状態で、第1切り欠き部56を介して電磁シールド部材40の縁部を見ながら、電磁シールド部材40の位置合わせを行うことが可能である。なお、電磁シールド部材40の位置合わせが完了した後、例えばかしめによって、ブラケット本体52と第2固定プレート53とを電磁シールド部材40とともに固定する。
【0069】
本実施形態の作用について説明する。
電磁シールド部材40は、複数の電線13の側方を覆っている。また、電磁シールド部材40は、第1車載機器M1の筐体及び第2車載機器M2の筐体を介して接地されている。これにより、電磁シールド部材40によって、例えば、電線13からの外部への電磁波の放射が抑えられている。
【0070】
本実施形態の効果について説明する。
(1)電磁シールドカバー41において、第1方向D1における第1位置決め孔45の幅と第1切り欠き部47の幅とは、互いに等しく形成されている。そして、第1固定プレート43の板厚方向から見て、第1切り欠き部47の領域内に、第1位置決め孔45の一部と、電磁シールド部材40の一部とが位置している。
【0071】
この構成によれば、電磁シールドカバー41と電磁シールド部材40との組付時において、第1位置決め孔45と第1切り欠き部47とを重ね合わせることで、固定部44に対する第1固定プレート43の位置決めが可能である。また、電磁シールド部材40を固定部44と第1固定プレート43とで挟んだ際、電磁シールド部材40の縁部が第1固定プレート43の端部付近に位置していることを、第1切り欠き部47を介して視認できる。このため、第1切り欠き部47を介して電磁シールド部材40を見ながら電磁シールド部材40の位置合わせを行うことが可能となる。従って、電磁シールド部材40の位置合わせが容易となる。その結果、電磁シールドカバー41と電磁シールド部材40とを互いに固定する際の作業性を向上させることが可能となる。
【0072】
また、ブラケット51において、第1方向D3における第1位置決め孔54の幅と第1切り欠き部56の幅とは、互いに等しく形成されている。そして、第2固定プレート53の板厚方向から見て、第1切り欠き部56の領域内に、第1位置決め孔54の一部と、電磁シールド部材40の一部とが位置している。
【0073】
この構成によれば、ブラケット51と電磁シールド部材40との組付時において、第1位置決め孔54と第1切り欠き部56とを重ね合わせることで、ブラケット本体52に対する第2固定プレート53の位置決めが可能である。また、電磁シールド部材40をブラケット本体52と第2固定プレート53とで挟んだ際、電磁シールド部材40の縁部が第2固定プレート53の端部付近に位置していることを、第1切り欠き部56を介して視認できる。このため、第1切り欠き部56を介して電磁シールド部材40を見ながら電磁シールド部材40の位置合わせを行うことが可能となる。従って、電磁シールド部材40の位置合わせが容易となる。その結果、ブラケット51と電磁シールド部材40とを互いに固定する際の作業性を向上させることが可能となる。
【0074】
(2)電磁シールドカバー41において、第1位置決め孔45は、固定部44の板厚方向に対して垂直な第1方向D1に沿って複数並んで設けられている。そして、第1切り欠き部47は、複数の第1位置決め孔45の各々に対応して、第1方向D1に沿って複数並んで設けられている。この構成によれば、電磁シールドカバー41と電磁シールド部材40との組付時において、固定部44の第1位置決め孔45と第1固定プレート43の第1切り欠き部47とを重ね合わせることで、第1固定プレート43を固定部44に対してより好適に位置決めすることが可能である。
【0075】
また、ブラケット51において、第1位置決め孔54は、ブラケット本体52の板厚方向に対して垂直な第1方向D3に沿って複数並んで設けられている。そして、第1切り欠き部56は、複数の第1位置決め孔54の各々に対応して、第1方向D3に沿って複数並んで設けられている。この構成によれば、ブラケット51と電磁シールド部材40との組付時において、ブラケット本体52の第1位置決め孔54と第2固定プレート53の第1切り欠き部56とを重ね合わせることで、第2固定プレート53をブラケット本体52に対してより好適に位置決めすることが可能である。
【0076】
(3)第1固定プレート43は、第1固定プレート43の第1方向D1の端部に第2切り欠き部48を有している。固定部44は、板厚方向において第2切り欠き部48に重なる第2位置決め孔46を有している。そして、固定部44の板厚方向及び第1方向D1の双方に対して垂直な第2方向D2において、第2切り欠き部48の幅と、第2位置決め孔46の幅とが等しい。この構成によれば、電磁シールドカバー41と電磁シールド部材40との組付時において、固定部44の第2位置決め孔46と第1固定プレート43の第2切り欠き部48とを重ね合わせることで、固定部44に対する第1固定プレート43の第1方向D1及び第2方向D2における位置決めが可能となる。
【0077】
また、第2固定プレート53は、第2固定プレート53の第1方向D3の端部に第2切り欠き部57を有している。ブラケット本体52は、板厚方向において第2切り欠き部57に重なる位置決め凹部55を有している。そして、ブラケット本体52の板厚方向及び第1方向D3の双方に対して垂直な第2方向D4において、第2切り欠き部57の幅と、位置決め凹部55の幅とが等しい。この構成によれば、ブラケット51と電磁シールド部材40との組付時において、ブラケット本体52の位置決め凹部55と第2固定プレート53の第2切り欠き部57とを重ね合わせることで、ブラケット本体52に対する第2固定プレート53の第1方向D3及び第2方向D4における位置決めが可能となる。
【0078】
(4)コネクタユニット10が備えるコネクタは、第1コネクタ11と、第2コネクタ12とを含んでいる。複数の電線13は、第1コネクタ11と第2コネクタ12とを電気的に接続している。電磁シールド部材40の一端部には、固定部材としての電磁シールドカバー41が固定されている。電磁シールド部材40の他端部には、固定部材としてのブラケット51が固定されている。電磁シールドカバー41及びブラケット51の各々は、導体にて構成されている。電磁シールドカバー41は、第1コネクタ11を覆う態様で第1コネクタ11に固定されている。ブラケット51は、第2コネクタ12から分離され第2コネクタ12とは一体化されていない。そして、ブラケット51は、例えば第2車載機器M2の筐体を介して接地されている。
【0079】
この構成によれば、電磁シールドカバー41において、カバー本体42と第1固定プレート43とに電磁シールド部材40の一端部が挟まれて固定される。これにより、電磁シールドカバー41に開口を設けずに電磁シールド部材40を電磁シールドカバー41に固定することが可能となる。また、電磁シールド部材40の他端部に固定されたブラケット51が第2コネクタ12から分離されているため、ブラケット51を例えば第2車載機器M2の筐体に取り付けて接地することが可能となる。
【0080】
(5)電磁シールドカバー41が有する第1固定プレート43と、ブラケット51が有する第2固定プレート53とは、同一形状をなしている。この構成によれば、第1固定プレート43と第2固定プレート53とを同一部品として扱うことが可能となる。このため、コネクタユニット10の部品管理が煩雑になることを抑制することが可能となる。
【0081】
(6)第2コネクタ12は、電線13に接続される第2端子31と、第2端子31を保持する合成樹脂製の第2保持部材32と、第2車載機器M2に取り付けられる合成樹脂製の端子台33と、を備えている。この構成によれば、端子台33を金属で構成する場合などに比べてコネクタユニット10の軽量化を図ることができる。なお、ブラケット51が第2コネクタ12から分離されていることで、第2コネクタ12の端子台33を介してブラケット51を接地させる構成とはならない。これにより、端子台33を導体で構成する必要がなくなり、端子台33の構成材料の選定自由度が向上されている。
【0082】
(7)電磁シールド部材40は、複数の電線13が並ぶ方向に対して垂直な方向における複数の電線13の一方側のみを覆っている。この構成によれば、コネクタユニット10に使用する電磁シールド部材40の数の増加を抑制できる。
【0083】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・電磁シールド部材40の構成は、上記実施形態の編組シートに限定されるものではなく、それ以外に例えば、金属箔などで電磁シールド部材40を構成してもよい。
【0084】
・端子台33の構成材料は合成樹脂に限定されるものではなく、例えば金属などに変更可能である。その場合、ブラケット51を端子台33に固定することで、電磁シールド部材40のアースをとってもよい。
【0085】
・上記実施形態の電磁シールドカバー41では、第1固定プレート43の板厚方向から見て、第1切り欠き部47の領域内に、第1位置決め孔45の一部が位置する。しかしながら、これに限らず、第1固定プレート43の板厚方向から見て、第1切り欠き部47の領域内に第1位置決め孔45の全体が位置するように構成してもよい。
【0086】
・上記実施形態のブラケット51では、第2固定プレート53の板厚方向から見て、第1切り欠き部56の領域内に、第1位置決め孔54の一部が位置する。しかしながら、これに限らず、第2固定プレート53の板厚方向から見て、第1切り欠き部56の領域内に第1位置決め孔54の全体が位置するように構成してもよい。
【0087】
・上記実施形態の固定部44には、第2切り欠き部48に重なる位置決め部として第2位置決め孔46が設けられたが、これ以外に例えば、当該位置決め部を、固定部44の第1方向D1の端部に形成された切り欠きで構成してもよい。
【0088】
・上記実施形態のブラケット本体52には、第2切り欠き部57に重なる位置決め部として切り欠き状の位置決め凹部55が設けられたが、これ以外に例えば、当該位置決め部を、ブラケット本体52を貫通する孔で構成してもよい。
【0089】
・第1固定プレート43と第2固定プレート53とを、互いに異なる形状としてもよい。
・固定部44において、第1位置決め孔45の数、及び第2位置決め孔46の数は、上記実施形態に限定されるものではなく、電磁シールドカバー41の構成に応じて適宜変更してもよい。また、第1固定プレート43において、第1切り欠き部47の数、及び第2切り欠き部48の数は、上記実施形態に限定されるものではなく、電磁シールドカバー41の構成に応じて適宜変更してもよい。
【0090】
・ブラケット本体52において、第1位置決め孔54の数、及び位置決め凹部55の数は、上記実施形態に限定されるものではなく、ブラケット51の構成に応じて適宜変更してもよい。また、第2固定プレート53において、第1切り欠き部56の数、及び第2切り欠き部57の数は、上記実施形態に限定されるものではなく、ブラケット51の構成に応じて適宜変更してもよい。
【0091】
・上記実施形態では、電磁シールドカバー41及びブラケット51のそれぞれにおいて、電磁シールド部材40の端部が、互いに別体の2部材に挟まれて固定されている。しかしながら、電磁シールドカバー41及びブラケット51のいずれか一方において、第1固定プレート43または第2固定プレート53を省略し、カバー本体42の一部、またはブラケット本体52の一部を折返すように曲げ変形した折り曲げ固定部で電磁シールド部材40の端部を挟んで固定する構成としてもよい。
【0092】
・上記実施形態の電磁シールドカバー41では、固定部44と第1固定プレート43とがパンチによるかしめによって互いに固定される。しかしながら、これ以外に例えば、超音波溶着や溶接などによって固定部44と第1固定プレート43とを固定してもよい。
【0093】
・上記実施形態のブラケット51では、ブラケット本体52と第2固定プレート53とがパンチによるかしめによって互いに固定される。しかしながら、これ以外に例えば、超音波溶着や溶接などによってブラケット本体52と第2固定プレート53とを固定してもよい。
【0094】
・今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0095】
10 コネクタユニット
11 第1コネクタ(コネクタ)
12 第2コネクタ(コネクタ)
13 電線
14 シールドユニット
21 第1端子
22 第1保持部材
23 ベース部材
24 樹脂部材
25 開口部
31 第2端子
32 第2保持部材(保持部材)
33 端子台
34 台本体
35 カラー
40 電磁シールド部材
41 電磁シールドカバー(固定部材)
42 カバー本体(第1プレート)
43 第1固定プレート(第2プレート)
44 固定部
45 第1位置決め孔(位置決め孔)
46 第2位置決め孔(位置決め部)
47 第1切り欠き部(切り欠き部)
48 第2切り欠き部
51 ブラケット(固定部材)
52 ブラケット本体(第1プレート)
53 第2固定プレート(第2プレート)
54 第1位置決め孔(位置決め孔)
55 位置決め凹部(位置決め部)
56 第1切り欠き部(切り欠き部)
57 第2切り欠き部
A1 プレス痕
A2 プレス痕
D1 第1方向
D2 第2方向
D3 第1方向
D4 第2方向
M1 第1車載機器
M2 第2車載機器
P1 第1位置決めピン
P2 第2位置決めピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6