(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】計測装置ユニット
(51)【国際特許分類】
G01S 7/03 20060101AFI20240625BHJP
G01S 13/931 20200101ALI20240625BHJP
G01S 17/931 20200101ALI20240625BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G01S7/03 240
G01S7/03 242
G01S13/931
G01S17/931
H05K5/02 V
(21)【出願番号】P 2020200778
(22)【出願日】2020-12-03
【審査請求日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】P 2020014741
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福本 晴継
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10302744(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0003895(US,A1)
【文献】特開2007-132808(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0093538(US,A1)
【文献】特開2018-136230(JP,A)
【文献】特開2018-096942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 - 7/64
13/00 - 17/95
B60R 9/00 - 11/06
21/00 - 21/13
21/34 - 21/38
H05K 5/00 - 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(50)に搭載されて用いられる計測装置ユニット(10)であって、
基台(13)と、
前記基台に装着される複数の検出モジュール(30)とを備え、
各前記検出モジュールは、
前記検出モジュールを前記基台に対して脱着可能に装着するための装着部(311)であって、前記各検出モジュールにおいて共通する形状の装着部を有する筐体(31)と、
前記筐体に収容されている検出器(40)
であって、前記検出モジュール毎に種別または形状の異なる検出器と、を有
し、
前記基台は、中空フレーム構造を有し、前記検出モジュールとの通信に用いられる配線(SCV)および前記検出モジュールに対する給電に用いられる配線(SCV)の少なくともいずれか一方を中空フレーム構造の内部に備える、計測装置ユニット。
【請求項2】
請求項
1に記載の計測装置ユニットにおいて、
前記基台は、前記検出モジュールの前記装着部が装着される被装着部(131)と、
前記被装着部に備えられ、少なくとも前記検出モジュールに内包されている検出器の種類毎に共通の接続構造を有し、前記配線と接続されている被接続部(132)と、を備える、計測装置ユニット。
【請求項3】
請求項
1に記載の計測装置ユニットにおいて、
前記基台は、前記検出モジュールの前記装着部が装着される被装着部(131)と、
前記被装着部に備えられ、前記検出モジュールに内包されている全ての検出器の種類に共通の接続構造を有し、前記配線と接続されている被接続部(132)と、を備える、計測装置ユニット。
【請求項4】
請求項
2または
3に記載の計測装置ユニットはさらに、
前記検出モジュールに内包されている前記検出器の光軸を規定する光軸規定部(60、36、136)を備える、計測装置ユニット。
【請求項5】
請求項
2から請求項
4のいずれか一項に記載の計測装置ユニットにおいて、
前記被接続部は、防水および防塵構造を備える、計測装置ユニット。
【請求項6】
請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載の計測装置ユニットはさらに、
前記基台からの前記検出モジュールの取り外しを防止するロック機構(61、38、138)であって、前記車両から送信される制御信号によりロック解除されるロック機構を備えている、計測装置ユニット。
【請求項7】
請求項
2から
4のいずれか一項に記載の計測装置ユニットにおいて、
前記検出モジュールは、内包されている検出器の種類毎に共通する構造を有する接続部であって、前記被接続部に対応する防水および防塵構造を備える接続部(32)を備える、計測装置ユニット。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか一項に記載の計測装置ユニットにおいて、
前記基台は、閉構造または開構造を有しており、更に、平面構造または立体構造を有している、計測装置ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は車両に搭載して用いられる計測装置ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される各種検出器、すなわち、センサは、コネクタ部を介して電力供給を受け、また、検出信号を出力する(特許文献1)。また、各種センサの配置位置に応じて外観意匠を変更するための技術も提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-209234号公報
【文献】特開2012-181147号公報
【0004】
しかしながら、運転支援システムには、複数のセンサが用いられるため、センサ筐体の形状やコネクタ形状は多岐にわたる。この結果、車種や用途に応じた種類のセンサを容易に装着できないという問題や、メンテナンス時や故障時といったセンサの脱着を要する際に、各センサの脱着が容易でないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、検出器の形状や種類によらず車両に対して検出器を装着可能にすることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、以下の態様として実現することが可能である。
【0007】
第1の態様は、車両に搭載されて用いられる計測装置ユニットを提供する。第1に態様に係る計測装置ユニットは、基台と、前記基台に装着される複数の検出モジュールとを備える。各前記検出モジュールは、前記検出モジュールを前記基台に対して脱着可能に装着するための装着部であって、前記各検出モジュールにおいて共通する形状の装着部を有する筐体と、前記筐体に収容されている検出器であって、前記検出モジュール毎に種別または形状の異なる検出器と、を有し、前記基台は、中空フレーム構造を有し、前記検出モジュールとの通信に用いられる配線および前記検出モジュールに対する給電に用いられる配線の少なくともいずれか一方を中空フレーム構造の内部に備える。
【0008】
第1の態様に係る計測装置ユニットによれば、検出器の形状や種類によらず車両に対して検出器を装着可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係る計測装置ユニットが搭載された車両の一例を示す説明図。
【
図2】車両の屋根に搭載された第1の実施形態に係る計測装置ユニットを模式的に示す平面図。
【
図3】第1の実施形態における基台と検出モジュールを模式的に示す斜視図。
【
図4】第1の実施形態における基台と検出モジュールを模式的に示す側面図。
【
図5】第1の実施形態における基台の他の形態を模式的に示す説明図。
【
図6】第1の実施形態における検出モジュールの他の形態を模式的に示す説明図。
【
図7】第2の実施形態における第1の例に係る光軸規定部を模式的に示す説明図。
【
図8】第2の実施形態における第2の例に係る光軸規定部を模式的に示す説明図。
【
図9】第2の実施形態における第3の例に係るロック機構を模式的に示す説明図。
【
図10】第2の実施形態における第4の例に係るロック機構を模式的に示す説明図。
【
図11】他の実施形態における被接続部を模式的に示す説明図。
【
図12】他の実施形態における基台の構成を示すために、車両の側方からみた基台を模式的に示す説明図。
【
図13】
図12に示す他の実施形態における基台の構成を示すために、車両の上方からみた基台を模式的に示す説明図。
【
図14】他の実施形態における基台の構成を示すために、車両の上方からみた基台を模式的に示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示に係る車載に搭載されて用いられる計測装置ユニットについて、いくつかの実施形態に基づいて以下説明する。
【0011】
第1の実施形態:
図1に示すように、第1の実施形態に係る計測装置ユニット10は、車両50の屋根51に搭載されて用いられる。計測装置ユニット10は、少なくとも、基台13および複数の検出モジュール30を備えている。計測装置ユニット10は、本体20と、基台13、本体20および検出モジュール30の少なくとも一部を覆う外板11とを備えていても良い。本体20は、
図2に示すように、内部にデータ処理装置21を備えている。データ処理装置21は、各検出モジュール30から入力される検出データを統合して統合データを生成するデータ処理を実行する。データ処理装置21は、車両50の内部に備えられている車両制御装置55と配線CVを介して接続されている。計測装置ユニット10はさらに、基台13を屋根51に固定するための固定機構12を備えていても良い。固定機構12は、例えば、屋根51に備えられているルーフレールに装着するための装着機構であっても良く、あるいは、屋根51とドアの上部との間に装着される装着機構であっても良い。基台13は、例えば、ルーフレールのように屋根51に直接固定されていても良い。外板11および本体20は、強化樹脂やカーボンファイバーといった非金属材により一部または全体が形成されても良く、あるいは、アルミニウム材やステンレス鋼といった金属材によって一部または全体が形成されても良い。外板11は、検出モジュール30の検出面が露出する開口部あるいは検出光または検出波が透過可能な樹脂またはガラスからなる窓部を備えている。
【0012】
図2を参照して、計測装置ユニット10の車両50に対する具体的な搭載例について説明する。基台13は、車両前方、後方、左方および右方にそれぞれ対応する、屋根51の前辺、後辺、左辺および右辺に沿って四角形状に配置されている。なお、屋根51の左辺および右辺は屋根51の側辺ということもできる。基台13は、例えば、前辺部、後辺部、左辺部および右辺部の4辺のサブ基台が直接接続されることによって構成されても良く、あるいは、各サブ基台がコーナー部によって間接的に接続されることによって構成されても良い。さらには、サブ基台を用いることなく、前辺、後辺、左辺および右辺が一体に形成されていても良い。基台13の前後左右、すなわち、前辺、後辺、左辺および右辺には複数の検出モジュール30が装着されている。基台13の中央部には、本体20が配置されている。本体20は、各検出モジュール30と同様にして基台13に搭載・固定されていても良く、あるいは、基台13とは別体であって基台13と接続されている本体用基台に搭載・固定されていても良い。
【0013】
図3および
図4を参照して基台13および検出モジュール30の詳細構成について説明する。検出モジュール30は、筐体31、接続部32、筐体31内部に収容されている検出器40を備えている。筐体31は、直方体、六面体といった多面体の概略形状を有している。筐体31は、強化樹脂やカーボンファイバーといった非金属材、アルミニウム材やステンレス鋼といった金属材、あるいは、非金属材と金属材との組み合わせによって形成されて良い。なお、非金属材が用いられる際には、検出器40に対する電磁波の影響を低減または防止するために、表面に金属コーティングが施されていることが望ましい。筐体31は、予め用意されている形状や寸法の筐体31の中から、内包する検出器40の大きさに応じて選択され得る。検出器40は、予め定められた姿勢にて検出モジュール30が基台13に対して装着された場合に、所望の光軸が実現されるように筐体31内部に配置されている。姿勢とは、検出モジュール30の搭載位置や上下左右の向きを意味し、光軸とは、光を用いない検出器の場合には検出データの中心に対応する検出軸を意味する。
【0014】
筐体31は、基台13と対向する1または複数の面と連続する面にかけて検出モジュール30を基台13に対して脱着可能に装着するための装着部311としての凹部を有している。なお、装着部311は、凹部空間を規定する筐体31の複数の面、あるいは、筐体31の部位または凹部空間を意味する。例えば、筐体31が略直方体形状を有する場合、基台13に対向する1の対向面と、対向面と連続する2の側面にわたって、装着部311が形成される。すなわち、筐体31の側面は、略C字形状を有している。筐体31における基台13と平行な方向を幅と呼ぶとき、筐体31、すなわち、対向面は幅寸法W1を有している。本実施形態において、装着部311は、各検出モジュール30間において共通する形状を有している。すなわち、各検出モジュール30に内包されている検出器40の種類や筐体31の形状や寸法に相違がある場合であっても、装着部311は共通形状を有している。形状とは、寸法および外形を意味し、共通形状とは寸法および外形が共通することを意味し、換言すれば、後述する基台13の被装着部131の外形や寸法に対して、互換性を有する形状であることを意味する。検出器40の種類とは、測定方式の種類や同一測定方式間における製品種類を意味する。この結果、個別の検出器40の種別や種類の相違を吸収して、基台13における任意の被装着部131に対して任意の検出モジュール30が装着され得る。なお、装着部311に加えて、筐体31の形状も各検出モジュール30間において共通していても良い。この場合には、計測装置ユニット10の外観を統一することが可能となり、意匠性が向上するのみならず、検出モジュール30の形状相違による凹凸が抑制される結果、計測装置ユニット10の空力性能や計測性能を向上させることができる。
【0015】
接続部32は、装着部311における基台13との対向面から基台13に向かって延出し、基台13に対して検出モジュール30の位置を規定するための構成である。装着部311の幅方向と直交する奥行方向の寸法や高さ方向の寸法は、基台13における装着位置に合わせて適宜決定され得るが、装着後のガタつきを低減または防止するためには、基台13における装着位置の寸法に近似する寸法であることが望ましい。接続部32は、本実施形態においては、略板状の形状を用いているが、他の形状、例えば、略柱状であっても良い。接続部32は、さらに検出モジュール30を基台13に対して固定するための機構や構成を備えていても良い。接続部32はまた、検出器40と電気的に接続されている1または複数の導電性材料からなる端子321を備えている。接続部32が板状形状を有している場合、端子321は、平面または底面に配置され得る。なお、端子321は、複数の接続ピン、複数の接続バネ、あるいは、複数の接続面の少なくともいずれかの形状を有し得る。接続部32はさらに、検出モジュール30を基台13に係合し、固定するための係合部317を備えている。係合部317の配置位置は、例えば、基台13の平面および底面に対応する接続部32の各面である。検出器40としては、計測方式が異なる複数種類の検出器、例えば、カメラ、Lidar(Light detection and ranging)、ミリ波レーダあるいは超音波センサが用いられ得る。検出器40は、接続部32を介して給電を受け、接続部32を介して検出データを出力する。本実施形態において、接続部32は、検出モジュール30に内包されている検出器40の種類毎に共通する構造を有している。共通する構造とは、接続部32の形状や寸法を含み、さらには、端子133の種類、形状や配置位置を含む。接続部32はさらに、全ての検出器40の種類に対して共通の構造を有していても良い。この場合には、検出モジュール30において、検出器40の種類の相違に伴う接続構造の相違を吸収し、検出モジュール30の共通モジュール化、すなわち、規格化が実現され得る。
【0016】
基台13は、中実または中空で多角形断面または円形断面のフレーム構造を有している。本実施形態においては、
図3および
図4に示すように、中空で矩形断面の中空フレーム構造を有する基台13が用いられている。
図3においては、基台13は1ユニットの一部が示されている。基台13は、被装着部131、被接続部132、被係合部137を備えている。被装着部131は、検出モジュール30、すなわち、検出モジュール30の装着部311が装着されるための部位であり、
図3および
図4の例においては、装着される検出モジュール30の幅寸法W1に対応する幅寸法W2を有する凹部として形成されている。被装着部131が凹部形状を有することによって、検出モジュール30の一次的な位置決めが容易となり、また、検出モジュール30が有する凹状の装着部311と相まって、検出モジュール30装着時における装着方向D1における寸法を小さくすることができる。なお、被装着部131は、検出モジュール30の装着位置を概ね示すことができれば良く、幅寸法W2は検出モジュール30の幅寸法W1よりも十分に大きくても良い。また、被装着部131の幅方向と直交する奥行方向の寸法や高さ方向の寸法は、基台13に要求される強度や、計測装置ユニット10の配置スペースの大きさに合わせて適宜決定され得る。基台13の内部、すなわち、中空部には、検出モジュール30との通信および検出モジュール30に対する給電の少なくともいずれか一方に用いられる配線SCVが配置されている。配線SCVは、計測装置ユニット10として、基台13と共に本体20が備えられている場合には、本体20内のデータ処理装置21と接続され、本体20が備えられていない場合には、車両50が備える車両制御装置55に接続され得る。基台13は、強化樹脂やカーボンファイバーといった非金属材、アルミニウム材やステンレス鋼といった金属材、あるいは、非金属材と金属材との組み合わせによって形成されて良い。なお、非金属材が用いられる際には、配線SCVに対する電磁波の影響を低減または防止するために、表面に金属コーティングが施されていることが望ましい。
【0017】
被接続部132は、検出モジュール30の接続部32が接続される構成であり、接続部32の形状に対応する凹状部である。被接続部132は、配線SCVと接続されている導電性材料からなる端子133を有している。端子133は、検出モジュール30の装着方向D1と平行な内壁面のうち少なくとも1つの内壁面に配置されていれば良く、例えば、被接続部132の天井面および底面の少なくともいずれか一方に配置され得る。被接続部132は、端子133と、接続部32の端子321との電気的接続を提供するために、接続部32をきつく保持可能、あるいは、嵌合可能な各寸法、特には、端子133の法線方向の寸法を有している。なお、接続部32における端子321の位置、並びに被接続部132における端子133の位置は、互いに対応していれば良く、接続部32および被接続部132の形状に応じて適宜決定され得る。端子133は、端子321が備える複数の接続ピン、複数の接続バネ、あるいは、複数の接続面と接続または係合される、複数の接続孔、複数の接続面、あるいは、複数の接続バネまたは接続ピンであって良い。被接続部132はさらに、検出モジュール30の装着位置、より具体的には、検出モジュール30の光軸を規定するために用いられても良い。本実施形態においては、被接続部132は、検出器40の種類毎に共通の接続構造を有しており、同一種類の検出器40を内包する検出モジュール30は、基台13の任意の被装着部131に装着され得る。さらに、被接続部132は、全ての検出器40に共通の接続構造を有していても良く、この場合、内包されている検出器40の種類によらず、検出モジュール30は、基台13の任意の被装着部131に装着され得る。なお、接続構造とは、被接続部132の寸法の他、端子133の形状や配置位置、電源端子およびデータ端子といった端子種類を意味する。端子133については、接続部32が検出器40に応じて異なる位置に端子321を有している場合、各端子321に対応して複数の端子133が配置されていても良い。この場合には、検出モジュール30が種類の異なる検出器40に対して異なる端子配列を有する接続部32を有していても基台13側にて相違を吸収し、検出モジュール30を基台13の任意の被装着部131に装着することが可能となる。
【0018】
被係合部137は、検出モジュール30の係合部317を受けるための凹状部であり、係合部317の形状に応じて、例えば、検出モジュール30の装着方向には係合部317の係合を容易とし、検出モジュール30の取り外し方向には係合部317の係合解除を規制する形状を有している。係合部317および被係合部137の位置は、検出モジュール30の幅方向におけるいずれの位置であっても良い。また、係合部317および被係合部137の数も任意であるが、装着方向と直交する水平方向における検出モジュール30の装着ずれを低減または防止するためには、2個以上であることが望ましい。
【0019】
図5を参照して、基台13の他の形態について説明する。
図3および
図4に示す基台13は、凹状に形成された被装着部131を有している。これに対して、他の態様においては、凹状に形成されていない被装着部131aを備えている点において相違する。なお、その他の構成については
図3および
図4に示す基台13と同様であるから、同一符号付すことにより説明を省略し、また、一部の構成については図示を省略する。例えば、装着時における、基台13に対する検出モジュール30の位置決め表示Mが基台13および検出モジュール30の双方に備えられている場合には、検出モジュール30の接続部32を被接続部132に対して円滑に接続させることができる。また、検出モジュール30の装着方向D1における寸法許容度が大きい場合には、基台13に凹状の被装着部131を形成しなくても良くなる。さらに、
図6に示すように、検出モジュール30の筐体31に凹状の装着部311を形成する代わりに、筐体31の側面に凸状の装着部311aが形成または配置されていても良い。さらには、凸状の装着部311aに代えて、筐体31の側面に凹状の装着部が形成されても良い。いずれの場合であっても、基台13に対する検出モジュール30の装着および位置決めは容易となる。
図5および
図6においては、基台13は1ユニットの一部が示されている。
【0020】
第1の実施形態に係る計測装置ユニット10によれば、検出モジュール30、すなわち、筐体31は、共通する形状の装着部311を備えているので、検出器40の形状や種類によらず車両50に対して検出器40を装着することができる。すなわち、検出器40は筐体31に内包され、また、検出モジュール30は、車両50に配置されている基台13に対して共通形状の装着部311を介して装着されるので、内包する検出器40に応じて筐体31の形状が異なる場合であっても、検出器40の形状や種類によらず車両50に対して検出器40を装着することができる。また、検出器40の種類の相違を問わず、同一の形状を有する筐体31が選択される場合には、計測装置ユニット10の意匠的および技術的特性が向上され得る。すなわち、共通する筐体31を備える検出モジュール30が用いられることにより、計測装置ユニット10の統一感が向上し、また、空力性能や計測性能が向上され得る。
【0021】
第1の実施形態に係る計測装置ユニット10によれば、基台13は内部に配線SCVを備えているので、紫外線、大気、水といった外界環境による配線SCVの劣化かを抑制または防止することができる。また、基台13が金属製である場合、あるいは、基台13の表面に金属コーティングが施されている場合には、電磁波の影響から配線SCVを守ることができる。また、端子133に対して配線SCVが直接接続され、被接続部132と接続部32を介して配線SCVと検出器40との電気的な接続が実現されるので、検出モジュール30の脱着時に配線SCVの脱着が不要となり、検出モジュール30の脱着を容易化することができる。
【0022】
検出モジュール30には、検出モジュール30が基台13に対して予め定められた姿勢にて装着された場合に、光軸が適当な向きを取るように検出器40が配置されている。したがって、第1の実施形態に係る計測装置ユニット10によれば、検出モジュール30を基台13に装着する操作によって、検出器40の光軸を適当な向きに設定することが可能となり、光軸調整を含めた検出器40の脱着の容易化を図ることができる。上記実施形態においては、専ら被接続部132と接続部32との係合によって適切な光軸調整が実現されている。光軸調整の精度をさらに向上させるために、基台13の被装着部131および検出モジュール30の装着部311には、互いに係合する被係合機構および係合機構が備えられていても良い。被係合機構および係合機構は、例えば、溝部と凸部、あるいは、被装着部131および装着部311自体の形状が相互に係合する形状に形成されることによって実現され得る。
【0023】
上記の説明においては、基台13は、車両50の屋根51に配置されている。これに対して、基台13は、屋根51以外の場所、例えば、車両50のボンネットフードやトランクリッドに配置されても良い。この場合であっても、第1の実施形態において得られる技術的効果と同様の技術的効果を得ることができる。
【0024】
上記の説明においては、被接続部132および接続部32はそれぞれ接触式の端子133および321を備えているが、被接続部132および接続部32とは、非接触方式によって接続されても良い。なお、この場合、接続とは、データ送受信や電力の供給が可能な状態にあることを意味する。非接触方式の接続には、例えば、無線、電磁カプラによる電磁的接続、フォトカプラによる光学的接続が含まれる。非接触方式が採用される場合には、被接続部132および接続部32の防水性および防塵性は容易に確保され得る。これに対して、接触式の端子133および321が用いられる場合には、被接続部132および接続部32は公知の防水性および防塵性の構造を備えることが望ましい。防水および防塵構造を備えることによって、基台13内部への雨水や大気中の粉塵等の侵入を防止することが可能となり、配線SCVの劣化を抑制することができ、また、電気的な短絡を防止することができる。
【0025】
第2の実施形態:
第2の実施形態に係る計測装置ユニットは、検出器40の光軸調整を容易に実現するための光軸規定部、並びに基台13からの検出モジュール30の取り外しを防止するロック機構をさらに備えている。第2の実施形態に係る計測装置ユニットのその他の構成は、第1の実施形態に係る計測装置ユニット10と同様であるから同一の符号を付して説明を省略する。第2の実施形態における光軸規定部およびロック機構のための構成は、第1の実施形態に係る計測装置ユニットに適用可能である。なお、以下の
図7~
図11においては、説明を容易にするため基台13の一部が示されている。
【0026】
図7に示す第1の例において、検出器40は光軸合わせに用いられる光軸ピン60を有している。より具体的には、検出器40を構成する受光部を有する受光基板または発光部を有する発光基板に光軸ピン60が配置されている。筐体31には光軸ピン60が貫通するための筐体位置決孔36が形成され、基台13には光軸ピン60の先端部を受ける基台位置決孔136が形成されている。筐体位置決孔36および基台位置決孔136は、検出器40が取るべき適切な光軸と一致するように形成されている。したがって、検出器40の光軸ピン60が筐体位置決孔36を貫通し、基台位置決孔136によって受け止められることによって、検出モジュール30内に備えられている検出器40の光軸は容易に適切な光軸に設定される。光軸ピン60、筐体位置決孔36および基台位置決孔136は、光軸規定部を構成する。
【0027】
図8に示す第2の例においては、既述の通り、接続部32と被接続部132との接続によって、検出器40の適切な光軸が設定される。接続部32は、検出器40の光軸と一致するように受光基板または発光基板と接続され、あるいは、受光基板または発光基板から延伸されている。この場合には、光軸ピン60を備えることなく、検出モジュール30を動作させるために必要な接続部32と被接続部132との接続を介して、検出モジュール30内に備えられている検出器40の光軸が容易に適切な光軸に設定される。
【0028】
図9に示す第3の例においては、検出モジュール30に、基台13からの検出モジュール30の容易に取り外しを防止するためのロックピン61が備えられている。基台13の被装着部131には、ロックピン61を受けるためのピン受孔138が備えられている。ロックピン61は、例えば、円柱状または角柱状の金属材料によって構成され、矢印AD方向に伸縮可能な構造を有している。伸縮可能な構造は、例えば、ばねを始めとする弾性体、モーター、電磁弁によって実現され得る。ロックピン61は、検出モジュール30における、検出モジュール30の装着方向D1と平行な面、例えば、側面に配置されている。ロックピン61の延伸方向は検出モジュール30の装着方向D1と交差する。ピン受孔138は、基台13の被装着部131における、ロックピン61と対向する位置に形成されている。
【0029】
図10に示す第4の例においては、基台13に、基台13からの検出モジュール30の容易に取り外しを防止するためのロックピン61が備えられている。検出モジュール30には、ロックピン61を受けるためのピン受孔38が備えられている。ロックピン61は、第3の例と同様の構成を備えている。ロックピン61は、検出モジュール30における、検出モジュール30の装着方向D1と平行な面、例えば、側面に対応して、基台13の被装着部131に配置されている。ロックピン61の延伸方向は検出モジュール30の装着方向D1と交差する。ピン受孔38は、検出モジュール30における、ロックピン61と対向する位置に形成されている。
【0030】
第3の例および第4の例によれば、ロック機構を構成する、ロックピン61、およびピン受孔138、38を備えている。ロックピン61の延伸方向は、検出モジュール30の装着方向D1と交差するので、基台13から検出モジュール30が容易に取り外されることを抑制または防止することができる。また、ロックピン61がばねによって付勢されている場合には、検出モジュール30の装着に伴いロックピン61がピン受孔138、38の位置に到来するとロックピン61はピン受孔138、38と係合するので、基台13に対して検出モジュール30を容易にロックすることができる。さらに、ロックピン61を伸縮させるアクチュエータとしてモーター、電磁弁が用いられる場合には、これらアクチュエータは、車両制御装置55から有線通信または無線通信を介して送信されるロック実行またはロック解除の制御信号によって制御される。したがって、車両制御装置55が起動された状態、一般的には、車両50のメインスイッチがオンされた状態においてのみ、基台13から検出モジュール30を取り外すことが可能となり、第三者による検出モジュール30の持ち去りを防止することができる。さらに、ロックピン61を非ロック位置、すなわち、ピン受孔138、38と非係合となる位置に駆動する際、車両制御装置55は、例えば、ナビゲーション機器やインフォーメーションディスプレイといった入力装置からの暗証コードの入力を求めることにより、検出モジュール30の持ち去りをさらに防止することができる。
【0031】
その他の実施形態:
(1)上記実施形態においては被接続部132および接続部32は、相互に係合する構成を備えていたが、
図11に示すように、係合構成を備えない被接続部132aおよび接続部32が用いられても良い。
図11においては、検出モジュール30と対向する、被装着部131の一の面の表面に配置されている被接続部132aのみを示している。また、端子133の数は、検出器40に応じて決定されれば良い。係合構成を備えない被接続部132および接続部32が用いられる場合には、被係合部137および係合部317、または、ロックピン61により検出モジュール30は基台13に固定され、さらには、光軸ピン60により検出モジュール30、すなわち、検出器40の光軸合わせが実行されることが望ましい。
【0032】
(2)上記実施形態においては、基台13として、開放端を有しない閉構造でありまた、車両50の上下方向において同一面内に配置されている平面構造を有する基台13が例示的に用いられた。これに対して、
図12および
図13に示すように、車両50の上下方向に段差構造、すなわち、立体構造を有する基台13が用いられても良い。
図12は車両50を側方から見た基台13を模式的に示しており、
図13は車両50を上方から見た基台13を模式的に示している。
図12および
図13に示す基台13は、段差構造、すなわち、階段状の立体構造を有し、第1段を成す基台13a並びに第2段を成す基台13bおよび第3段を成す基台13cを備えており、基台13a~基台13cの順に階段状に高さが高くなっている。なお、基台13の段数は2段であってもよく、4段以上であっても良い。基台13はさらに、全周にわたって階層的、すなわち、2層以上の層構造をなす立体構造を有していても良い。さらには、車両50の前方から中央または後方に向かって階層数または段数が増大する構成であっても良く、車両50の後方から中央または前方に向かって階層数または段数が増大する構成であっても良い。また、車両50の一側方から中央または他側方に向かって階層数または段数が増大する構成であっても良い。さらには、基台13の任意の箇所において任意の階層数または段数が採用されても良い。一般的に、車両50からより遠方または車両50の外周領域を検出するための検出モジュール30は、より高い階層位置または段位置に配置されることが望ましく、本実施形態における基台13によれば、この要求を実現することができる。加えて、
図13に示すように、開放端を有する開構造の基台13が用いられても良い。例えば、車両50の屋根51に配置される他の配置物との関係において、閉構造の基台13を用いることができない場合であっても、本実施形態における基台13によれば、この問題を解決することができる。なお、基台13の階層数または段数と閉構造または開構造とは任意の組み合わせを取り得る。
【0033】
(3)上記実施形態においては、配線SCVは、基台13内部に配置されているが、基台13外部に、または、基台13に沿って配置されていても良い。この場合には、配線SCVは、基台13内へ配線SCVを挿入するための防水性を有する挿入口を介して挿入され、被接続部132に電気的に接続される。この場合には、配線SCVの配線が容易となる。
【0034】
以上、実施形態、変形例に基づき本開示について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本開示の理解を容易にするためのものであり、本開示を限定するものではない。本開示は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本開示にはその等価物が含まれる。たとえば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0035】
10…計測装置ユニット、20…本体、13…基台、131…被接続部、132…被接続部、30…検出モジュール、31…筐体、311…装着部、32…接続部、50…車両。