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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】車両検査方法および車両検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/007 20060101AFI20240625BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G01M17/007 H
G05B19/418 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020212531
(22)【出願日】2020-12-22
(65)【公開番号】P2022098883
(43)【公開日】2022-07-04
【審査請求日】2023-02-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 立寛
(72)【発明者】
【氏名】釜田 裕充
(72)【発明者】
【氏名】古志 悟
(72)【発明者】
【氏名】猪上 和希
(72)【発明者】
【氏名】田本 徹也
(72)【発明者】
【氏名】西村 透
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 清
(72)【発明者】
【氏名】今井 慎也
(72)【発明者】
【氏名】柴田 斉弥
【審査官】岩永 寛道
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-280012(JP,A)
【文献】特開2011-154463(JP,A)
【文献】特開2003-157108(JP,A)
【文献】国際公開第2006/013757(WO,A1)
【文献】特開平11-255224(JP,A)
【文献】特開2010-223834(JP,A)
【文献】特開2017-182838(JP,A)
【文献】特開2002-362336(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0052456(US,A1)
【文献】国際公開第2014/132903(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 17/007
G05B 19/418
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の生産ラインにおける車両検査方法であって、
前記車両の各部分を製造する工程において、それぞれ、検査装置によって製造後の前記部分を検査する1つ以上の検査項目を含む部分検査を実行する部分検査工程と、
記憶装置によって、前記部分検査の結果を、前記部分に対応付けて記憶する検査結果記憶工程と、
完成した前記車両である完成車両を検査する完成車両検査に用いられる表示装置によって、前記各部分のうち、少なくとも前記記憶装置に記憶されている前記部分検査の結果において合格判定ができなかった前記検査項目である不合格項目に対応する前記部分について、前記部分を示す情報と前記不合格項目を示す情報とを表示する検査結果表示工程と、
を備え
前記部分検査工程は、製造後の前記各部分を、撮像装置によって撮像する撮像工程と、前記各部分が正常に製造された場合に得られる前記各部分の画像であって予め用意されている基準画像と前記撮像工程により得られた撮像画像とを比較する工程と、を有し、
前記検査結果記憶工程は、前記記憶装置によって、前記撮像工程により得られた撮像画像を、前記部分に対応付けて記憶する工程を有し、
前記検査結果表示工程は、前記表示装置によって、前記各部分のうちの少なくとも前記不合格項目に対応する部分について、前記部分を示す情報と前記不合格項目を示す情報とを表示することに加えて、前記記憶装置に記憶されている前記撮像画像と、前記不合格項目に対応する部分の前記基準画像と、を並べて表示する工程を有する、車両検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載の車両検査方法において、
前記検査結果表示工程は、前記表示装置によって、前記各部分のうち、前記記憶装置に記憶されている前記部分検査の結果において前記不合格項目に対応する前記部分についてのみ、前記部分を示す情報と前記不合格項目を示す情報とを表示する、車両検査方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両検査方法において、
前記検査結果表示工程は、
検査結果判断装置によって、前記記憶装置に記憶されている前記各部分についての前記部分検査の結果を取得する工程と、
前記検査結果判断装置によって、前記部分検査の結果を利用して、前記不合格項目に対応する部分を特定する工程と、
表示制御装置によって、特定された前記不合格項目に対応する部分を示す情報と、前記不合格項目を示す情報と、を前記表示装置に表示させる工程と、
を有する、車両検査方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の車両検査方法において、
前記撮像工程は、
撮像制御装置において、前記生産ラインを搬送される前記車両の位置を取得する工程と、
前記撮像制御装置において、前記車両の位置が、前記撮像装置による撮像のために予め設定されている位置と一致したときに、前記撮像装置に撮像を実行させる工程と、
を有する、車両検査方法。
【請求項5】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の車両検査方法において、
前記不合格項目は、検査未完了の前記検査項目と、予め定められた基準を満たしていない前記検査項目と、の少なくとも一方を含む、車両検査方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の車両検査方法において、
前記検査結果表示工程は、前記各部分のすべての前記検査項目が合格であった場合に、前記表示装置によって、前記各部分のすべての前記検査項目が合格であったことを示す情報を表示する工程を含む、車両検査方法。
【請求項7】
車両の生産ラインにおいて前記車両を検査する車両検査システムであって、
前記車両の各部分を製造する工程において、それぞれ製造後の前記部分を検査する1つ以上の検査項目を含む部分検査を実行する部分検査実行部と、
前記部分検査の結果を、前記部分に対応付けて記憶する記憶部と、
完成した前記車両である完成車両を検査する完成車両検査に用いられる表示装置と、
前記各部分のうち、少なくとも前記記憶部に記憶されている前記部分検査の結果において合格判定ができなかった前記検査項目である不合格項目に対応する前記部分について、前記部分を示す情報と前記不合格項目を示す情報とを、前記表示装置に表示させる表示制御部と、
を備え
前記部分検査実行部は、製造後の前記各部分を、撮像装置によって撮像することと、前記各部分が正常に製造された場合に得られる前記各部分の画像であって予め用意されている基準画像と前記撮像装置による撮像により得られた撮像画像とを比較することとを実行し、
前記記憶部は、前記撮像画像を、前記部分に対応付けて記憶し、
前記表示制御部は、前記表示装置に、前記各部分のうちの少なくとも前記不合格項目に対応する部分について、前記部分を示す情報と前記不合格項目を示す情報とを表示させることに加えて、前記記憶部に記憶されている前記撮像画像と、前記不合格項目に対応する部分の前記基準画像と、を並べて表示させる、車両検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の生産ラインにおける車両の検査に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の生産ラインでは、車両の各部分の組み立てを含む製造工程ごとに、作業完了後に検査が行われることがある。また、工数不足等に起因して製造工程ごとの検査が行われない場合が起こり得るので、各部分の確実な検査を担保するため、各部分の製造が完了した完成車両の状態での検査も行われる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-223834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、各部分の製造工程における検査(以下、「部分検査」と呼ぶ)と、完成車両での検査(以下、「完成車両検査」と呼ぶ)とで検査項目が重複して無駄な検査が行われることにより、生産性が低下するという問題がある。そこで、完成車両検査を省略してしまうと、上述のように確実な検査が担保できなくなるという問題がある。また、完成車両の状態では検査し難い部分、例えば、他の部分により覆われてしまい、検査のために他の部分を取り外す必要がある部分の検査については、部分検査において検査することが望ましく、部分検査における検査項目を任意に省略してしまうことも問題がある。このため、検査項目をいたずらに省略することなく、部分検査と完成車両検査とで検査項目が重複することを抑制可能な技術が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
[形態1]車両の生産ラインにおける車両検査方法であって、前記車両の各部分を製造する工程において、それぞれ、検査装置によって製造後の前記部分を検査する1つ以上の検査項目を含む部分検査を実行する部分検査工程と、記憶装置によって、前記部分検査の結果を、前記部分に対応付けて記憶する検査結果記憶工程と、完成した前記車両である完成車両を検査する完成車両検査に用いられる表示装置によって、前記各部分のうち、少なくとも前記記憶装置に記憶されている前記部分検査の結果において合格判定ができなかった前記検査項目である不合格項目に対応する前記部分について、前記部分を示す情報と前記不合格項目を示す情報とを表示する検査結果表示工程と、を備え、前記部分検査工程は、製造後の前記各部分を、撮像装置によって撮像する撮像工程と、前記各部分が正常に製造された場合に得られる前記各部分の画像であって予め用意されている基準画像と前記撮像工程により得られた撮像画像とを比較する工程と、を有し、前記検査結果記憶工程は、前記記憶装置によって、前記撮像工程により得られた撮像画像を、前記部分に対応付けて記憶する工程を有し、前記検査結果表示工程は、前記表示装置によって、前記各部分のうちの少なくとも前記不合格項目に対応する部分について、前記部分を示す情報と前記不合格項目を示す情報とを表示することに加えて、前記記憶装置に記憶されている前記撮像画像と、前記不合格項目に対応する部分の前記基準画像と、を並べて表示する工程を有する、車両検査方法。
[形態2]車両の生産ラインにおいて前記車両を検査する車両検査システムであって、前記車両の各部分を製造する工程において、それぞれ製造後の前記部分を検査する1つ以上の検査項目を含む部分検査を実行する部分検査実行部と、前記部分検査の結果を、前記部分に対応付けて記憶する記憶部と、完成した前記車両である完成車両を検査する完成車両検査に用いられる表示装置と、前記各部分のうち、少なくとも前記記憶部に記憶されている前記部分検査の結果において合格判定ができなかった前記検査項目である不合格項目に対応する前記部分について、前記部分を示す情報と前記不合格項目を示す情報とを、前記表示装置に表示させる表示制御部と、を備え、前記部分検査実行部は、製造後の前記各部分を、撮像装置によって撮像することと、前記各部分が正常に製造された場合に得られる前記各部分の画像であって予め用意されている基準画像と前記撮像装置による撮像により得られた撮像画像とを比較することとを実行し、前記記憶部は、前記撮像画像を、前記部分に対応付けて記憶し、前記表示制御部は、前記表示装置に、前記各部分のうちの少なくとも前記不合格項目に対応する部分について、前記部分を示す情報と前記不合格項目を示す情報とを表示させることに加えて、前記記憶部に記憶されている前記撮像画像と、前記不合格項目に対応する部分の前記基準画像と、を並べて表示させる、車両検査システム。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、車両の生産ラインにおける車両検査方法が提供される。この車両検査方法は、前記車両の各部分を製造する工程において、それぞれ、検査装置によって製造後の前記部分を検査する1つ以上の検査項目を含む部分検査を実行する部分検査工程と、記憶装置によって、前記部分検査の結果を、前記部分に対応付けて記憶する検査結果記憶工程と、完成した前記車両を検査する完成車両検査に用いられる表示装置によって、前記各部分のうち、少なくとも前記記憶装置に記憶されている前記部分検査の結果において合格判定ができなかった前記検査項目である不合格項目に対応する前記部分について、少なくとも前記部分を示す情報と前記不合格項目を示す情報とを表示する検査結果表示工程と、を備える。
この形態の車両検査方法によれば、完成車両検査に用いられる表示装置によって、少なくとも不合格項目に対応する部分について、部分を示す情報と不合格項目を示す情報とが表示されるので、完成車両検査を行う検査員は、不合格項目に対応する部分と不合格項目とを容易に確認できる。このため、完成車両検査として、不合格項目に対応する部分についてのみ、その不合格項目を検査でき、その他の部分について部分検査と重複した検査項目を検査することを回避でき、また、各部分の検査を漏れなく行うことができる。したがって、上記形態の車両検査方法によれば、検査項目をいたずらに省略することなく、部分検査と完成車両検査とで検査項目が重複することを抑制できる。
(2)上記形態の車両検査方法において、前記検査結果表示工程は、前記表示装置によって、前記各部分のうち、前記記憶装置に記憶されている前記部分検査の結果において前記不合格項目に対応する前記部分についてのみ、前記部分を示す情報と前記不合格項目を示す情報とを表示してもよい。
この形態の車両検査方法によれば、表示装置によって、各部分のうち、記憶装置に記憶されている部分検査の結果において不合格項目に対応する部分についてのみ、部分を示す情報と不合格項目を示す情報とが表示されるので、完成車両検査を行う検査員は、不合格項目に対応する部分と不合格項目とを、より容易に確認できる。
(3)上記形態の車両検査方法において、前記検査結果表示工程は、検査結果判断装置によって、前記記憶装置に記憶されている前記各部分についての前記部分検査の結果を取得する工程と、前記検査結果判断装置によって、前記部分検査の結果を利用して、前記不合格項目に対応する部分を特定する工程と、表示制御装置によって、特定された前記不合格項目に対応する部分を示す情報と、前記不合格項目を示す情報と、を前記表示装置に表示させる工程と、を有してもよい。
この形態の車両検査方法によれば、記憶装置に記憶されている各部分についての部分検査の結果が取得され、その部分検査の結果を利用して不合格項目に対応する部分が特定され、特定された不合格項目に対応する部分を示す情報と、不合格項目とが表示装置に表示されるので、特定された不合格項目に対応する部分を示す情報および不合格項目を示す情報として正確な情報を表示装置に表示させることができる。加えて、不合格項目に対応する部分および不合格項目が検査結果判断装置によって特定されるので、かかる特定を検査員が行う構成に比べて作業負担を軽減できる。
(4)上記形態の車両検査方法において、前記部分検査工程は、製造後の前記各部分を、撮像装置によって撮像する撮像工程を有し、前記検査結果記憶工程は、前記記憶装置によって、前記撮像工程により得られた撮像画像を、前記部分に対応付けて記憶する工程を有し、前記検査結果表示工程は、前記表示装置によって、前記各部分のうちの少なくとも前記不合格項目に対応する部分について、前記部分を示す情報と前記不合格項目を示す情報とに加えて、前記記憶装置に記憶されている前記撮像画像を表示する工程を有してもよい。
この形態の車両検査方法によれば、表示装置によって、不合格項目に対応する部分を示す情報と不合格項目を示す情報とに加えて、不合格項目に対応する部分の撮像画像が表示されるので、不合格項目が検査未完了の検査項目である場合には、表示された撮像画像に基づき該当部分の検査を補完的に行うことができる。また、該当部分が他の部分で隠れてしまう様な部分であっても、撮像画像に基づき検査を行うことができるので、他の部分を取り外す等を行わずに効率的に検査を行うことができ、生産性をより向上できる。また、不合格項目が予め定められた基準を満たしていない検査項目である場合には、表示された撮像画像により部分検査の実行時における該当部分の状況を確認できると共に、その状況から完成車両検査の実行時における状況が変わっていることを確認することによって部分検査実行後に回復措置(手直し)が行われたことを容易に確認できる。
(5)上記形態の車両検査方法において、前記撮像工程は、撮像制御装置において、前記生産ラインを搬送される前記車両の位置を取得する工程と、前記撮像制御装置において、前記車両の位置が、前記撮像装置による撮像のために予め設定されている位置と一致したときに、前記撮像装置に撮像を実行させる工程と、を有してもよい。
この形態の車両検査方法によれば、車両の位置を取得し、取得された位置が撮像装置による撮像のために予め設定されている位置と一致したときに撮像が実行されるので、予定されている撮像に適したタイミングで検査対象となる部分を撮像できる。このため、検査に適した位置において適した方向から検査対象となる部分を撮像して、検査に適した撮像画像を得ることができ、検査精度を向上できる。
(6)上記形態の車両検査方法において、前記不合格項目は、検査未完了の前記検査項目と、予め定められた基準を満たしていない前記検査項目と、の少なくとも一方を含んでもよい。
この形態の車両検査方法によれば、不合格項目は、検査未完了の検査項目と、予め定められた基準を満たしていない検査項目と、の少なくとも一方を含んでいるので、検査未完了の検査項目または予め定められた基準を満たしていない検査項目について、完成車両検査において容易に特定できる。
本開示は、種々の形態で実現することも可能である。例えば、車両の製造方法、車両検査システム、これらの方法またはシステムを実現するためのコンピュータプログラム、かかるコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体等の形態で実現することができる。なお、車両の製造方法として実現される場合、例えば、下記(7)の形態によって実現され得る。
(7)車両の製造方法であって、
予め用意した複数の部品を用い、前記車両の製造を、複数の工程に分けて行う車両製造工程と、
前記車両製造工程を経て製造された製造車両の検査を実行する車両検査工程と、
前記検査によって、全ての検査項目が合格判定された前記製造車両を、完成車として出荷する出荷工程と、
を備え、
前記車両製造工程のそれぞれは、
予め定められた部分を、指令に基づき製造する工程と、
製造後の前記部分を検査する1つ以上の検査項目を含む部分検査を実行する部分検査工程と、
前記部分検査の結果を、前記部分に対応付けて、読み出し可能に記憶する検査結果記憶工程と、
を有し、
前記車両検査工程は、
前記部分検査の結果を読み出し、前記部分検査において、合格判定ができなかった検査項目について、前記部分を示す情報と前記合格判定できなかった検査項目を示す情報とを表示する検査結果表示工程と、
前記合格判定できなかった検査項目について対処し、検査を実行して、合否を判定する合否判定工程と、
を有し、
前記合否判定によって、すべての検査項目が合格判定された場合、検査の対象となった前記製造車両を完成車として出荷の対象とする、車両の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の一実施形態としての車両検査システムの概略構成を示す説明図である。
図2】部分検査装置の詳細構成を示すブロック図である。
図3】部分検査結果記憶装置の構成を示すブロック図である。
図4】検査結果データベースの記録内容の一例を示す説明図である。
図5】完成車両検査端末の構成を示すブロック図である。
図6】車両の製造および検査の処理シーケンスを示すシーケンス図である。
図7】ステップS305の詳細手順を示すフローチャートである。
図8】部分検査の方法を説明するための説明図である。
図9】部分検査の方法を説明するための説明図である。
図10】ステップS315において、部分検査装置の表示部に表示される部分検査結果表示ウィンドウの一例を示す説明図である。
図11】完成検査ガイド処理の手順を示すフローチャートである。
図12】検査ガイド用ウィンドウの一例を示す説明図である。
図13】検査OK確認用ウィンドウの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.実施形態:
A1.システム構成:
図1は、本開示の一実施形態としての車両検査システム10の概略構成を示す説明図である。車両検査システム10は、工場内に設けられた車両900の生産ラインPLにおいて、生産対象となる車両900の検査を行う。生産ラインPLでは、搬送装置810により車両900が搬送されつつ、部分製造工程P11と、部分検査工程P12と、完成車両検査工程P2とが行われる。なお、図1では、生産ラインPLの一部のみを表している。本実施形態において「車両900」とは、完成車両、すなわち製造および検査がすべて完了して出荷可能な状態の車両の他、製造途中の車両、および、製造は完了したものの検査(後述の完成車両検査)が未完了の車両を含む広い意味を有する。
【0009】
搬送装置810は、搬送制御装置812の制御の下、ハンガ811を所定の経路に沿って移動させることによりハンガ811に吊り下げられた車両900を搬送する。搬送制御装置812は、工場生産システム用の制御装置700からの指示に従って車両900の搬送を制御する。工場生産システムとは、工場内における車両900の生産を全体制御するシステムである。車両検査システム10は、この工場生産システムの一部として組み込まれている。工場生産システム用の制御装置700は、各車両900が生産ラインPL内のどの位置に存在するかを特定し、生産ラインPLにおいてその位置に応じた処理の指示を、かかる処理を制御する制御装置に対して送信する。上述の搬送制御装置812および制御装置700は、工場内ネットワーク790に接続されている。工場内ネットワーク790は、例えば、有線LAN(Local Area Network)や無線LAN等により構成してもよい。生産ラインPLにおける車両900の位置は、ハンガ811の送り量に基づき搬送制御装置812が把握している。また、車両900には無線タグが取り付けられており、部分製造工程P11や部分検査工程P12において、生産ラインPLに沿って配置されている図示しないセンサによって無線タグの情報を読み取ることにより、車両900の詳細な位置を特定することができる。
【0010】
部分製造工程P11では、車両900の各部分の組み付けや溶接などの処理が行われて各部分が製造される。例えば、燃料タンクの搭載などの内装および外装を構成する各部分の組み付けや、フレームやサスペンション等のシャーシや、エンジン、ブレーキ、トランスミッション等のエンジン駆動系の各装置の組み付けなどが行われる。図1に示す部分製造工程P11には、車両900における或る部分を加工するための加工装置600と、加工装置600を制御する加工制御装置601とが配置されている。加工装置600は、例えば、所定の部位をレーザ溶接するためのレーザ装置やロボットなどが該当する。また、加工制御装置601は、加工装置600を制御し、例えば、加工装置600におけるレーザ出力を制御する。加工制御装置601は、工場内ネットワーク790に接続されており、工場内ネットワーク790を介して制御装置700から受信する生産指令に応じて加工装置600の制御、例えばレーザ出力の制御を行う。制御装置700は、車両900の車両IDと、車両900の位置情報と、加工実行の指令を意味する情報とを工場内ネットワーク790を介して加工制御装置601に送信する。加工制御装置601は、制御装置700から受領する位置情報に基づき、車両900が所定の加工位置に至ったことを特定すると、センサの検知結果から車両900の詳細位置を特定しつつ、加工実行の指令に従って例えば、レーザ光を照射するといった加工のための動作を行う。
【0011】
部分検査工程P12では、部分製造工程P11で製造された部分を対象とした検査(以下、「部分検査」と呼ぶ)が行われる。部分製造工程P11と部分検査工程P12とはセットで実行される。具体的には、各部分について、部分製造工程P11が実行され、その直ぐ下流の工程として、部分検査工程P12(部分検査)が実行される。そして、部分検査工程P12が完了すると、別の部分について部分製造工程P11および部分検査工程P12が実行されることとなる。部分検査工程P12では、後述の部分検査装置500において、各部品ごとに予め設定されている検査項目が検査される。このとき、画像を利用して検査が行われる。部分検査の詳細は後述する。
【0012】
完成車両検査工程P2では、各部分の製造が完了した完成車両としての車両900を対象とした検査(以下、「完成車両検査」と呼ぶ)が行われる。完成車両検査は、検査員の目視にて実行される。このとき、後述の完成車両検査端末100において完成検査ガイド処理が実行される。これにより、検査員は、完成検査を効率的に行うことができる。完成検査ガイド処理の詳細については、後述する。
【0013】
図1に示すように、車両検査システム10は、複数の部分検査装置500と、各部分検査装置に接続されている撮像装置501と、部分検査結果記憶装置200と、完成車両検査端末100とを備える。
【0014】
図2は、部分検査装置500の詳細構成を示すブロック図である。部分検査装置500は、撮像装置501による撮像の制御や、部分検査を行う。部分検査における検査項目として、各部分に対して予め1つ以上の検査項目が設定されている。例えば、「組み付けるべき正しい部品が組み付けられているか(誤品検査)」、「部品はしっかりと組み付けられているか」、「部品に傷が付いていないか」といった検査項目が挙げられる。
【0015】
本実施形態において、部分検査装置500は、コンピュータにより構成されている。図2に示すように、部分検査装置500は、CPU510と、ROM540と、RAM550と、表示部520と、ハードディスク530と、操作部560と、入出力I/F部570とを備える。これらの各構成要素は、互いに内部バス590を介してデータのやりとりが可能に構成されている。CPU510は、ハードディスク530に予め記憶されている制御プログラムをRAM550に展開して実行することにより、撮像制御部511、部分検査実行部512、表示制御部513、記憶制御部514、および協調制御部515として機能する。
【0016】
撮像制御部511は、入出力I/F部570において接続されている撮像装置501を制御して、部分製造工程P11において製造された部分を含むように撮像を行い、撮像画像を取得する。
【0017】
撮像装置501は、生産ラインPLにおける部分検査工程P12が実行される領域において所定位置に所定の向きで固定設置されている。撮像装置501は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子を有し、撮像制御部511からの指示に従って撮像を行い、撮像画像データを取得する。撮像装置501の設置台数は1台以上であり、図1では、模式的に1台のみが設置されているように描かれている。
【0018】
部分検査実行部512は、撮像装置501により得られた撮像画像を用いて部分検査を実行する。具体的には、部分検査実行部512は、ハードディスク530に予め記憶されている基準画像531と、撮像画像とを比較し、両方の画像の一致の度合い(以下、「一致度」と呼ぶ)が予め定められた範囲内である場合に、かかる部分の部分検査は合格であると判断する。他方、両方の画像の一致度が予め定められた範囲から外れている場合に、かかる部分の部分検査は不合格であると判断する。基準画像531は、部分検査工程P12において製造される部分が正常に製造された場合に得られる画像であり、各部分ごとに用意されている。部分検査のより詳細な例については、後述する。
【0019】
表示制御部513は、表示部520における表示を制御する。表示制御部513は、部分検査の検査結果を示す後述の専用のウィンドウ(以下、「部分検査結果表示ウィンドウ」と呼ぶ)を、表示部520に表示させる。
【0020】
記憶制御部514は、撮像装置501により得られた撮像画像と、部分検査の検査結果を、工場内ネットワーク790を介して部分検査結果記憶装置200に記憶させる。
【0021】
協調制御部515は、部分検査装置500を、工場生産システムと協調して動作させるために、工場内ネットワーク790を介して制御装置700とデータのやりとりを行う。具体的には、制御装置700から送信される車両900の位置情報や、作業指示等の指令を受信し、受信した指令に従って、撮像制御部511、部分検査実行部512、表示制御部513および記憶制御部514を制御する。なお、このような協調制御部515は、部分検査装置500に限らず、上述の搬送制御装置812および加工制御装置601も備えている。また、後述の完成車両検査端末100も同様に備えている。
【0022】
表示部520は、上述の部分検査結果表示ウィンドウを表示する。ハードディスク530は、上述の基準画像531を予め記憶している。操作部560は、例えば、キーボードからなり、ユーザによる入力を受け付ける。入出力I/F部570は、撮像装置501との接続インターフェイス、および工場内ネットワーク790との接続インターフェイスを有する。
【0023】
図3は、部分検査結果記憶装置200の構成を示すブロック図である。部分検査結果記憶装置200は、部分検査装置500において実行された部分検査の結果と、撮像装置501により得られた撮像画像とを記憶する。このとき、部分検査結果記憶装置200は、検査結果および撮像画像を、車両IDおよび検査対象の部分に対応付けて記憶する。
【0024】
本実施形態において、部分検査結果記憶装置200は、コンピュータにより構成されている。図3に示すように、部分検査結果記憶装置200は、CPU210と、ROM230と、RAM240と、ハードディスク220と、ネットワークI/F部250と、を備える。これらの各構成要素は、互いに内部バス290を介してデータのやりとりが可能に構成されている。CPU210は、ハードディスク220に予め記憶されている制御プログラムをRAM240に展開して実行することにより、記憶制御部211および協調制御部212として機能する。
【0025】
記憶制御部211は、ハードディスク220に記憶されている検査結果データベース221へのデータの書き込みおよび検査結果データベース221からのデータの読み出しを行う。協調制御部212は、上述の部分検査装置500の協調制御部515と同じ機能を有する機能部であるので、その詳細な説明を省略する。
【0026】
ハードディスク220には、検査結果データベース221が記憶されている。検査結果データベース221は、部分検査に関する情報、具体的には、車両IDや、検査対象部分、検査結果および撮画像が互いに対応付けて記憶されている。
【0027】
図4は、検査結果データベース221の記録内容の一例を示す説明図である。検査結果データベース221の各レコードは、車両IDフィールド、検査項目フィールド、生産指令フィールド、検査結果フィールド、および使用画像フィールドを有する。車両IDフィールドには、車両900を特定する車両IDが記憶される。検査項目フィールドには、部分検査において行われた検査項目が記憶される。生産指令フィールドには、当該検査項目を実行する契機となった制御装置700から受信した生産指令が記憶されている。検査結果フィールドには、部分検査の結果が、「OK」(合格)または「NG」(不合格)として記憶されている。使用画像フィールドには、部分検査において用いられた画像データのファイル名が記憶されている。なお、かかる画像データ自体もハードディスク220に記憶されている。図4に示す2つのレコードにおける具体的な記憶内容については、後述する。
【0028】
図3に示すハードディスク220は、上述の制御プログラムおよび検査結果データベース221を記憶する。ネットワークI/F部250は、工場内ネットワーク790との接続インターフェイスを有する。
【0029】
図5は、完成車両検査端末100の構成を示すブロック図である。完成車両検査端末100では、後述の完成検査ガイド処理が実行され、完成検査を行う検査員に検査すべき車両および検査項目を表示することにより検査をガイドする。本実施形態において、完成車両検査端末100は、コンピュータにより構成されている。図5に示すように、完成車両検査端末100は、CPU110と、ROM140と、RAM150と、表示部120と、ハードディスク130と、操作部160と、入出力I/F部170とを備える。これらの各構成要素は、互いに内部バス190を介してデータのやりとりが可能に構成されている。CPU110は、ハードディスク130に予め記憶されている制御プログラムをRAM150に展開して実行することにより、検査結果取得部111、不合格部分特定部112、表示制御部113、および協調制御部114として機能する。
【0030】
検査結果取得部111は、部分検査の検査結果に関わるデータ、具体的には、検査結果データベース221に記憶されているデータと撮像画像データとを、工場内ネットワーク790を介して部分検査結果記憶装置200から取得する。不合格部分特定部112は、検査結果取得部111により取得されたデータに基づき不合格部分を特定する。「不合格部分」とは、車両900の各部分のうち、予め定められた基準を満たしていない検査項目に対応する部分を意味する。表示制御部113は、表示部120における表示を制御する。表示制御部113は、完成車両検査において検査員に対して検査をガイドするためのウィンドウ(以下、「検査ガイド用ウィンドウ」と呼ぶ)を、表示部120に表示させる。協調制御部114は、上述の部分検査装置500の協調制御部515と同じ機能を有する機能部であるので、その詳細な説明を省略する。
【0031】
上述の部分検査装置500は、本開示における「検査装置」に相当する。また、部分検査結果記憶装置200は本開示における「記憶装置」および「記憶部」に、完成車両検査端末100における表示部120は本開示における「表示装置」に、完成車両検査端末100における表示制御部113は本開示における「表示制御装置」に、完成車両検査端末100における検査結果取得部111および不合格部分特定部112は、本開示における「検査結果判断装置」に、部分検査装置500における撮像制御部511は本開示における「撮像制御装置」に、それぞれ相当する。
【0032】
A2.車両の製造および検査の処理シーケンス:
図6は、車両900の製造および検査の処理シーケンスを示すシーケンス図である。図6において、最も左は工場生産システムの処理手順を示し、左から2番目は製造実行部の手順を示し、左から3番目は部分検査実行部の手順を示し、最も右は完成検査実行部の手順を示す。図6における「工場生産システム」とは、例えば、図1に示す搬送制御装置812や制御装置700が該当する。また、「製造実行部」とは、例えば、図1に示す加工制御装置601および加工装置600が該当する。「部分検査実行部」とは、例えば、図1に示す部分検査装置500が該当する。「完成検査実行部」とは、例えば、図1に示す完成車両検査端末100が該当する。
【0033】
図6に示すように、工場生産システムにおいて制御装置700は、各車両900について、車両IDを含む生産指令を製造実行部に送信する(ステップS105)。例えば、上述のように、加工装置600がレーザ溶接を行う装置である場合、制御装置700は、加工装置600の制御装置である加工制御装置601に対して、車両IDと共に、「レーザ溶接せよ」との意味を有する指令を送信する。
【0034】
製造実行部は、工場内ネットワーク790を介して生産指令を受信すると、製造を実行する(ステップS205)。工場生産システムにおいて制御装置700は、ステップS105における生産指令の送信先である加工制御装置601に対応する部分検査を行う部分検査装置500に対して、車両IDを含む生産指令を送信する(ステップS110)。
【0035】
部分検査実行部、すなわち、部分検査装置500において、撮像制御部511は、制御装置700から生産指令を受信すると、撮像装置501を制御して、検査対象となる部分を撮像する(ステップS305)。撮像対象となる部分とは、すなわち、その直ぐ直前の部分製造工程P11のステップS205において製造された部分を意味する。
【0036】
図7は、ステップS305の詳細手順を示すフローチャートである。撮像制御部511は、受信した生産指令に含まれる車両IDの車両900の位置を取得する(ステップS505)。具体的には、撮像制御部511は、工場内ネットワーク790を介して搬送制御装置812に対して該当の車両IDの車両900の位置を問い合わせて取得すると共に、図示しないセンサによる検知結果を受信することにより、より詳細な車両900の位置を取得する。撮像制御部511は、取得した車両900の位置が所定の撮像位置と一致したか否かを判定する(ステップS510)。所定の撮像位置とは、部分検査に適した撮像画像を得ることができる位置および向きとして予め特定されて設定されている。「部分検査に適した撮像画像」とは、すなわち、基準画像が撮像されたときの車両900の位置と同じ位置を意味する。
【0037】
取得した車両900の位置が所定の撮像位置と一致したと判定された場合(ステップS510:YES)、撮像制御部511は、撮像装置501を制御して撮像を実行する(ステップS515)。これに対して、取得した車両900の位置が所定の撮像位置と一致しないと判定された場合(ステップS510:NO)、処理は上述のステップS505に戻る。
【0038】
図6に示すように、ステップS305の完了後、部分検査装置500において部分検査実行部512は、ステップS305で得られた撮像画像と、ハードディスク530に記憶されている基準画像531とを用いて部分検査を行う(ステップS310)。
【0039】
図8および図9は、部分検査の方法を説明するための説明図である。図8は、部分検査の結果、合格(OK)となった場合を示し、図9は、部分検査の結果、不合格(NG)となった場合を示す。
【0040】
図8の左側には、ステップS305において得られた撮像画像Fc1が表されている。また、図8の右側には、基準画像531の一例としての基準画像Fsが表されている。この基準画像Fsは、撮像画像Fc1と同じ部分の基準画像である。
【0041】
撮像画像Fc1には、燃料タンクt1の一部と、給油口と燃料タンクt1とを接続する燃料パイプp1とを含む領域とが写っている。かかる領域において燃料タンクt1の表面には、表示タグTg1が貼り付けられている。表示タグTg1には、燃料タンクt1の種類を示す文字列n1と、燃料タンクt1の種類等の情報を含むバーコードb1とが記載されている。
【0042】
基準画像Fsには、基準となる燃料タンクtsの一部と、給油口と燃料タンクtsとを接続する燃料パイプpsとを含む領域とが写っている。かかる領域において燃料タンクt1の表面には、表示タグTgsが貼り付けられている。表示タグTgsには、燃料タンクtsの種類を示す文字列nsと、燃料タンクtsの種類等の情報を含むバーコードbsとが記載されている。
【0043】
本実施形態において、部分検査実行部512は、撮像画像Fc1に写っている表示タグTg1に記載された文字列n1と、基準画像Fsに写っている表示タグTgsに記載された文字列nsとを比較して一致度を特定し、一致度が予め定められた範囲内である場合に、合格であると判定し、かかる範囲から外れている場合に不合格であると判定する。本実施形態において、上述の「予め定められた範囲」とは、完全一致した場合の一致度が100%とし、まったく一致しない場合の一致度が0%である構成において、「97%以上」の範囲を意味する。なお、97%以上に限らず、50%よりも大きい任意の数値範囲としてもよい。
【0044】
図8の例では、撮像画像Fc1に写っている表示タグTg1に記載された文字列n1と、基準画像Fsに写っている表示タグTgsに記載された文字列nsとは、互いに「V1」で一致するため、「合格」(OK)と判定される。なお、文字列の特定、および文字列同士を比較して一致度を算出する手法として、既知のパターンマッチング手法の他、ディープラーニングなどの学習アルゴリズムを利用した人工知能(AI)による算出手法を採用してもよい。
【0045】
図9の左側には、ステップS305において得られた撮像画像Fc2が表されている。また、図9の右側には、基準画像531の一例としての基準画像Fsが表されている。この基準画像Fsは、図8右側の基準画像Fsと同じである。
【0046】
撮像画像Fc2には、燃料タンクt2の一部と、給油口と燃料タンクt2とを接続する燃料パイプp2とを含む領域とが写っている。かかる領域において燃料タンクt2の表面には、表示タグTg2が貼り付けられている。表示タグTg2には、燃料タンクt2の種類を示す文字列n2と、燃料タンクt2の種類等の情報を含むバーコードb2とが記載されている。
【0047】
撮像画像Fc2に写っている燃料タンクt2は、燃料タンクt1とは異なる種類のタンクである。このため、撮像画像Fc2に写っている表示タグTg2に記載された文字列n2である「W2」と、基準画像Fsに写っている表示タグTgsに記載された文字列nsである「V1」とは、互いに異なる。このため、図9の例では、「不合格」(NG)と判定される。
【0048】
図6に示すように、部分検査装置500において、記憶制御部514は、部分検査の結果と、検査に用いられた画像とを工場内ネットワーク790を介して部分検査結果記憶装置200に送信し、部分検査結果記憶装置200のハードディスク220に記憶させる(ステップS315)。このとき、表示制御部513は、ステップS305において得られた画像と、ステップS310の部分検査の結果とを利用して部分検査装置500の表示部520に部分検査結果表示ウィンドウを表示させる。
【0049】
図4に表示されている2つのレコードのうち、上側のレコードには、図9に示す部分検査の結果が記録されている。すなわち、車両ID「12345」の車両900について、「燃料タンク誤品検査」が行われ、このとき、制御装置700から「V1」との生産指令を受け、検査の結果「不合格(NG)」と判定され、図9に示す撮像画像Fc2の画像ファイル名「AAAA.jpg」が記録されている。上述の「燃料タンク誤品検査」とは、誤った種類の燃料タンクが取り付けられていないか、換言すると、正しい種類の燃料タンクが取り付けられているかを特定するための検査を意味する。また、生産指令の「V1」とは、対応する製造工程P11が「燃料タンクの取り付け」の工程であるので、「正しい種類の「V1」のタンクが取り付けられているか、を検査せよ」との指令に相当する。
【0050】
なお、図4の下側のレコードには、同じ車両ID「12345」の車両900に対して、「コネクタ取付検査」が行われ、このとき、制御装置700から「220L」との生産指令を受け、検査の結果「合格(OK)」と判定され、そのとき使用された撮像画像の画像ファイル名「BBBB.jpg」が記録されている。「220L」の生産指令とは、直前の部分製造工程P11において種類が「220L」のコネクタにおいて、ケーブルが正しく取り付けられているか否かを検査せよ、との指令を意味する。
【0051】
図10は、ステップS315において、部分検査装置500の表示部520に表示される部分検査結果表示ウィンドウW1の一例を示す説明図である。
【0052】
部分検査結果表示ウィンドウW1は、車両ID表示部a1、検査結果表示部a2、および撮像画像表示部a3を備える。車両ID表示部a1には、車両IDが表示される。検査結果表示部a2には、部分検査の結果が表示される。撮像画像表示部a3には、部分検査で用いられた撮像画像が表示される。
【0053】
図10では、図8に示す部分検査の結果に応じた内容が部分検査結果表示ウィンドウW1に表示されている。すなわち、車両ID表示部a1には、車両ID「12345」が、検査結果表示部a2には、「OK(合格)」が、撮像画像表示部a3には、撮像画像Fc1がそれぞれ表示されている。また、撮像画像表示部a3には、一致度を表す一致度表示部a31が表示されている。一致度表示部a31には、燃料タンクの種類を示す文字列である「V1」と、部分検査の際に特定された一致度が表示されている。図示は省略しているが、例えば、図9に示すように、部分検査の結果がNG(不合格)の場合には、部分検査結果表示ウィンドウW1において、車両ID表示部a1には、車両ID「12345」が、検査結果表示部a2には、「NG(不合格)」が、撮像画像表示部a3には、図9に示す撮像画像Fc2が表示され、一致度表示部a31には、所定の一致度よりも低い、例えば「15%」が表示される。
【0054】
図6に示すように、部分検査の結果、不合格であった場合には、原則として手直し(回復措置)が実行される(ステップS320)。作業員は、部分検査装置500に表示された部分検査結果表示ウィンドウW1の内容を見て、手直しが必要か否かを容易に理解できる。すなわち、検査結果が「NG(不合格)」であれば、手直しが必要であることが分かる。加えて、撮像画像表示部a3に表示された撮像画像を見ることにより、現状、異なる種類のタンクが取り付けられていることが分かる。なお、手直しするために生産ラインPLを止める場合には、部分検査装置500から制御装置700に生産ラインPLを止めた旨の通知を行うようにしてもよい。
【0055】
図6においては図示が省略されているが、上述した工場生産システムによるステップS105およびS110、製造実行部によるステップS205、部分検査実行部によるステップS305-S320は、車両900の製造に必要なすべての部分についてそれぞれ実行される。その結果、各車両900の各部分について、部分検査の結果と撮像画像とが部分検査結果記憶装置200の検査結果データベース221に記録されることとなる。
【0056】
部分検査の結果が不合格(NG)であり、手直しが行われた場合、本実施形態では、作業員は、車両900に貼付されている伝票(以下、「車両伝票」と呼ぶ)に「手直し完了済み」を記入する。
【0057】
他方、部分製造工程P11(ステップS205)に予定よりも時間が掛かってしまい、部分検査工程P12の工数が不足してしまうことが起こり得る。この場合、部分検査装置500による撮像画像を用いた部分検査は実行されるものの、手直しが実行されず、生産ラインPLにおける次の部分製造工程P11に車両900が搬送されることが起こり得る。このような場合、本実施形態では、作業員は、車両伝票に「手直し未完了」を記入する。なお、かかる場合においても部分検査は実行されているため、検査結果データベース221には、検査結果や撮像画像のファイル名等が記録され、撮像画像がハードディスク220に記憶される。
【0058】
また、部分検査の結果が不合格(NG)であるために作業員が現物を確認したところ、検査結果が誤りであることが判明する場合も起こり得る。このような誤判定は、例えば、本来不合格であるにも関わらず「合格」と判定することを回避するため、一致度の閾値を非常に高い値(例えば、98.5%)に設定している場合などに起こり得る。かかる場合には、作業員(検査員)は手直しを行わない。しかし、作業員の誤認、すなわち部分検査装置500の判定が正しい可能性もある。そこで、部分検査の検査員は、完了検査の検査の検査員に対して、該当部分の検査項目について検査を依頼する内容を、車両伝票に記入する。このように、検査結果データベース221に「不合格」と記録されるケースには、部分検査において不合格と判定され、且つ、その後手直しが行われたケースと、部分検査において不合格と判定され、且つ、その後手直しが行われなかったケースと、部分検査において不合格と判定されたものの、かかる判定が誤りであったと作業員により判定されたケースとが含まれる。
【0059】
すべての工程P11および工程P12が完了すると、換言すると、すべての部分について製造および部分検査が完了すると、図6に示すように、工場生産システムにおいて制御装置700は、生産指令を完成検査実行部である完成車両検査端末100に送信する(ステップS115)。
【0060】
完成車両検査端末100では、工場内ネットワーク790を介して生産指令を受信すると、不合格部分特定部112は、生産指令に含まれる車両IDの車両900について、部分検査の検査結果を部分検査結果記憶装置200に問い合わせる(ステップS405)。部分検査結果記憶装置200において、協調制御部212は、ステップS405で送信された問い合わせを受信すると、記憶制御部211を制御して該当の車両IDについての部分検査にするレコードを検査結果データベース221から読みだして撮像画像と共に送信する(ステップS330)。
【0061】
完成車両検査端末100では、部分検査の結果を受信すると、かかる結果に応じた表示(ステップS410)、再検査の要否判定(ステップS420)、および後処理(ステップS430)を実行する。上述のステップS405、ステップS410、S420、S430は、完成検査ガイド処理の一部として実行される。以下、図11を用いて完成検査ガイド処理を説明する。
【0062】
図11は、完成検査ガイド処理の手順を示すフローチャートである。完成検査ガイド処理は、完成車両検査端末100の電源がオンすると開始される。検査結果取得部111は、制御装置700から生産指令を受信したか否かを判定し(ステップS402)、生産指令を受信していないと判定された場合(ステップS402:NO)、再度ステップS402を実行する。他方、生産指令を受信したと判定された場合(ステップS402:YES)、上述のステップS405が実行され、部分検査結果記憶装置200に対し部分検査の結果が問い合わせされる。
【0063】
不合格部分特定部112は、部分検査の検査結果を受信したか否かを判定する(ステップS411)。検査結果を受信していないと判定された場合、再度ステップS411が実行される。他方、検査結果を受信したと判定された場合(ステップS411:YES)、不合格部分特定部112は、受信した検査結果を解析して合格判定ができなかった部分、すなわち、検査結果フィールドに「不合格」が記録されている部分(以下、「不合格部分」と呼ぶ)を特定し、すべての検査結果が合格(OK)であるか否かを判定する(ステップS412)。
【0064】
すべての検査結果が合格(OK)である場合ではない、すなわち、いずれかひとつの検査結果において不合格(NG)の部分および検査項目が含まれている場合(ステップS412:NO)、不合格の部分および検査項目について、部分検査に用いた撮像画像と基準画像とを用いて検査ガイド用ウィンドウを表示部120に表示させる(ステップS414)。
【0065】
図12は、検査ガイド用ウィンドウW10の一例を示す説明図である。検査ガイド用ウィンドウW10は、不合格の検査項目に対応する部分について、検査員に該当検査項目の検査を促すためのウィンドウである。
【0066】
検査ガイド用ウィンドウW10は、車両ID表示部a11、検査項目表示部a12、撮像画像表示部a13、基準画像表示部a14、前ボタンa15、次ボタンa16、OKボタンa17、およぶNGボタンa18を備える。車両ID表示部a11には、部分検査の結果が不合格の車両IDが表示される。検査項目表示部a12には、不合格の検査項目が表示される。撮像画像表示部a13には、部分検査において用いられた撮像画像が表示される。基準画像表示部a14には、基準画像が表示される。前ボタンa15は、検査ガイド用ウィンドウW10に表示される部分および検査項目を1つ前のレコードに戻すためのボタンである。次ボタンa16は、検査ガイド用ウィンドウW10に表示される部分および検査項目を1つ次のレコードに進めるためのボタンである。OKボタンa17は、完成車両検査の検査員が完了検査の結果、合格(OK)であったことが確認された場合に検査員によって押される。NGボタンa18は、完成車両検査の検査員が完了検査の結果、不合格(NG)であったことが確認された場合に検査員によって押される。
【0067】
図12では、図9に示す部分検査の結果が不合格(NG)であった部分および検査項目について表示されている。すなわち、車両IDが「12345」の車両に対して、誤った種類の燃料タンクが取り付けられていたため部分検査が不合格であった場合には、検査項目表示部a12には、検査項目として「燃料タンク誤品検査」が表示され、撮像画像表示部a13には、図9に示す撮像画像Fc2が表示され、基準画像表示部a14には基準画像Fsが表示される。
【0068】
完了車両検査の検査員は、車両伝票に記入された内容を確認し、その内容に応じて検査ガイド用ウィンドウW10に表示された内容を利用して完了車両検査を行う。具体的には、車両伝票に「手直し完了済み」と記入されている場合、検査員は、検査ガイド用ウィンドウW10を見ることにより、どのような検査項目において部分検査において不合格になって手直し済みであるのかを簡単に理解できる。したがって、検査員は、該当部分における手直しの良否を実物において確認することにより、或いは、基準画像と実物を見比べることにより、検査項目について検査できる。また、車両伝票に「手直し未完了」が記入されている場合、検査員は、検査ガイド用ウィンドウW10を見ることにより、どのような検査項目において部分検査において不合格になっており、どのような手直しが必要であるかを容易に理解できる。したがって、その後手直しを行うことができる。また、車両伝票に「部分検査結果が誤判定であり、再判定を求む」旨が記入されている場合、検査員は、検査ガイド用ウィンドウW10の撮像画像表示部a13に表示された撮像画像と、基準画像表示部a14に表示された画像とを比較することにより、再検査を行うことができる。このとき、完成車両の状態では他の部分によって覆われていて現物を見て検査することが困難であるような部分についても検査を行うことができる。
【0069】
完了検査の結果が合格の場合、検査員は、操作部160を操作してOKボタンa17を押下する。他方、完了検査の結果が不合格の場合、検査員は、操作部160を操作してNGボタンa18を押下する。
【0070】
図11に示すように、ステップS414の完了後、完成車両検査端末100において表示制御部113は、OKボタンa17が押下されたか否かを判定し(ステップS422)、OKボタンa17が押下されたと判定された場合(ステップS422:YES)、協調制御部114は、部分検査結果記憶装置200に完了検査の結果である「合格(OK)」をハードディスク220に記録させる(ステップS432)。
【0071】
OKボタンa17が押下されていないと判定された場合(ステップS422:NO)、表示制御部113は、NGボタンa18が押下されたか否かを判定する(ステップS423)。NGボタンa18が押下されていないと判定された場合(ステップS423:NO)、処理は上述のステップS422に戻る。他方、NGボタンa18が押下されたと判定された場合(ステップS423:YES)、協調制御部114は、部分検査結果記憶装置200に完了検査の結果である「不合格(NG)」をハードディスク220に記録させる(ステップS433)。表示制御部113は、検査ガイド用ウィンドウW10に「生産ラインPLから車両900を外す」旨の指示を表示する(ステップS434)。
【0072】
上述のステップS412において、すべての検査項目が合格(OK)であると判定された場合(ステップS412:YES)、表示制御部113は、表示部120に検査OK確認用ウィンドウを表示させる(ステップS413)。
【0073】
図13は、検査OK確認用ウィンドウW20の一例を示す説明図である。検査OK確認用ウィンドウW20は、車両ID表示部a21、検査項目表示部a22、メッセージ表示部a27、および確認済みボタンa29を備える。
【0074】
車両ID表示部a21には、車両IDが表示される。検査項目表示部a22には、特定の検査項目が表示されず、単に「-」が表示される。メッセージ表示部a27には、「全ての検査項目においてOK(合格)です。」との文字列が表示される。かかる文字列を見ることにより、検査員は、該当する車両IDの車両900を対象とするすべての検査項目について検査が完了しており、すべての検査項目について合格(OK)の結果が得られたことを理解できる。検査員は、メッセージ表示部a27に表示された文字列を確認したら、ボタンa29を押下する。
【0075】
図11に示すように、ステップS413の完了後、表示制御部113は、確認済みボタンa29が押下されたか否かを判定し(ステップS421)、押下されていないと判定された場合には(ステップS421:NO)、再びステップS421を実行する。これに対して、確認済みボタンa29が押下されたと判定された場合(ステップS421:YES)、協調制御部114は、部分検査結果記憶装置200に完了検査の結果である「合格(OK)」をハードディスク220に記録させる(ステップS431)。かかるステップS431は、上述のステップS432と同じである。
【0076】
上述のステップS431、S432、S434のいずれかが完了すると、完成検査ガイド処理は完了する。
【0077】
以上説明した本実施形態の車両検査システム10によれば、完成車両検査に用いられる完成車両検査端末100の表示部120によって、不合格項目に対応する部分についてのみ、部分を示す情報(例えば、「燃料タンク」)と不合格項目を示す情報(例えば、誤品検査)とが表示されるので、完成車両検査を行う検査員は、不合格項目に対応する部分を、その他の部分から容易に弁別できると共に不合格項目を容易に確認できる。このため、完成車両検査として、不合格項目に対応する部分についてのみ、その不合格項目を検査でき、その他の部分について部分検査と重複した検査項目を検査することを回避でき、また、各部分の検査を漏れなく行うことができる。したがって、上記本実施形態の車両検査方法によれば、検査項目をいたずらに省略することなく、部分検査と完成車両検査とで検査項目が重複することを抑制できる。
【0078】
また、部分検査結果記憶装置200のハードディスク220に記憶されている各部分についての部分検査の結果が取得され、その部分検査の結果を利用して不合格項目に対応する部分が特定され、特定された不合格項目に対応する部分を示す情報と、不合格項目とが完成車両検査端末100の表示部120に表示されるので、特定された不合格項目に対応する部分を示す情報(例えば、「燃料タンク」)および不合格項目を示す情報(例えば、「誤品検査」)として正確な情報を表示部120に表示させることができる。加えて、不合格項目に対応する部分および不合格項目が不合格部分特定部112によって特定されるので、かかる特定を検査員が行う構成に比べて作業負担を軽減できる。
【0079】
また、完成車両検査端末100の表示部120によって、不合格項目に対応する部分を示す情報と不合格項目を示す情報とに加えて、不合格項目に対応する部分の撮像画像が表示されるので、部分検査工程P12において工数不足等に起因して手直し(ステップS320)が未完了である場合には、完成車両検査の検査員は、表示された撮像画像に基づき手直しすべき部分および項目を容易に確認できる。また、部分検査の結果に疑義があり、完成車両検査において改めて検査を行う場合において、当該部分が他の部分で覆われてしまっていても、部分検査において得られた撮像画像を用いて検査できる。このため、他の部分を取り外す等を行わずに効率的に検査を行うことができ、生産性を向上できる。
【0080】
また、部分検査工程P12では、車両900の位置を取得し、取得された位置が撮像装置501による撮像のために予め設定されている位置と一致したときに撮像が実行されるので、予定されている撮像に適したタイミングで検査対象となる部分を撮像できる。このため、検査に適した位置において適した方向から検査対象となる部分を撮像して、検査に適した撮像画像を得ることができ、検査精度を向上できる。
【0081】
B.他の実施形態:
(B1)上記実施形態では、検査ガイド用ウィンドウW10には、不合格の部分および不合格の検査項目が表示されていたが、これらに加えて、合格の部分および合格の検査項目についても表示されてもよい。例えば、一部に不合格項目がある部分については、検査ガイド用ウィンドウW10の表示において、不合格検査項目に加えて、合格検査項目を表示してもよい。また、各部分を一覧表示する画面を新たに設け、かかる一覧において各部分が列挙されており、かつ、各部分の少なくとも1つの検査項目において不合格であったか否かを示す情報を、各部分に対応付けて表示させるようにしてもよい。また、例えば、検査OK確認用ウィンドウW20において、合格となった検査項目の内容を表示させるようにしてもよい。
【0082】
(B2)上記実施形態の生産ラインPLには、複数の部分に応じて部分製造工程P11および部分検査工程P12が複数含まれていたが、単一の部分製造工程P11および部分検査工程P12のみが含まれる構成であってもよい。かかる構成においては、不合格となる部分は単一であるので、かかる部分を示す情報(例えば、「燃料タンク」)を検査結果データベース221に記録しなくてもよい。同様に、かかる情報を、完成車両検査端末100の表示部120において、検査ガイド用ウィンドウW10に表示させなくてもよい。すなわち、かかる構成においては、検査結果データベース221の各レコードにおいて、車両IDと、「誤品検査」との検査項目と「不合格」または「合格」の検査結果と撮像画像とを記録してもよい。
【0083】
(B3)上記実施形態において、部分検査に用いた撮像画像を、検査結果と共にハードディスク220に記憶させなくてもよい。かかる構成においても、完成検査の検査員は、完成車両検査端末100の表示部120に表示された検査ガイド用ウィンドウW10における検査項目を見ることにより、どのような検査項目が不合格であったかを知ることができる。このため、かかる構成においても、部分検査において合格となった検査項目について重複して検査することを回避できる。
【0084】
(B4)上記実施形態では、部分検査実行部によって実行されるステップS305では、車両900の位置を取得し、かかる位置が所定の撮像位置と一致した場合に撮像を行っていたが、本開示はこれに限定されない。車両900の位置が所定の撮像位置に一致するタイミングを含む所定の時間範囲において複数回撮像を行って複数の撮像画像を得るようにしてもよい。かかる構成においては、得られた複数の撮像画像のうち、基準画像との一致度が最も高い撮像画像についての一致度に基づき、部分検査を実行してもよい。
【0085】
(B5)上記実施形態では、生産ラインPLは、工場内に設けられていたが、生産ラインPLを、工場外を含む構成としてもよい。例えば、部分製造工程P11において取り付けられる部品自体の製造ラインであって、搬送装置810により搬送されるラインとは異なる製造ラインを、生産ラインPLに含める構成としてもよい。かかる構成においては、部品自体の製造ラインにおける検査工程における検査結果を、図示しない社外ネットワークと、工場内ネットワーク790とを介して部分検査結果記憶装置200の検査結果データベース221に記録させるようにしてもよい。かかる構成においても、上記実施形態と同様な効果を奏する。
【0086】
(B6)上記実施形態において、検査ガイド用ウィンドウW10は、部分検査装置500の表示部520に表示されていたが、表示部520に代えて、部分検査装置500と通信可能に構成された表示装置に表示されてもよい。同様に、検査OK確認用ウィンドウW20は、完成車両検査端末100の表示部120に表示されていたが、表示部120に代えて、完成車両検査端末100と通信可能に構成された表示装置に表示されてもよい。かかる構成においても、上記実施形態と同様な効果を奏する。
【0087】
(B7)上記実施形態では、撮像装置501は、生産ラインPLにおいて所定位置に固定設置されていたが、本開示はこれに限定されない。部分製造工程P11および部分検査工程P12を実行する作業員がスマートフォンやポータブルのカメラ等の撮像装置を手で持って作業完了後に作業対象箇所を撮像するようにしてもよい。また、かかる作業員が予めヘッドセットのような形でウェアラブルカメラを身につけて、作業完了後に作業対象箇所を撮像するようにしてもよい。さらには、撮像カメラをロボットハンドの先端に取り付けて部分製造工程P11における作業用のロボットハンドと同様に動きを制御して、作業対象箇所を撮像するようにしてもよい。
【0088】
(B8)上記実施形態では、部分検査は必ず実行されていたが、工数不足により、部分の製造は完了したものの、撮像を含めて部分検査を行うことなく次の工程に車両900が搬送される場合も起こり得る。この場合、検査結果データベース221の検査結果フィールドに「検査未完了」を示す情報を記憶するようにしてもよい。そして、完成検査ガイド処理のステップS412においては、「検査未完了」との検査結果を、「不合格」の検査項目として判定を行ってもよい。すなわち、「検査未完了」の検査項目は、本開示における「不合格項目」すなわち、「合格判定できなかった検査項目」に相当する。なお、検査不合格の部分および検査項目に代えて、検査未完了の部分および検査項目を、検査結果データベース221に記憶し、また、検査ガイド用ウィンドウW10において表示させるようにしてもよい。
【0089】
(B9)上記実施形態では、部分検査における合否判定は、撮像画像と基準画像との一致度が予め定められた範囲、具体的には、所定の一致度(例えば、97%)以上の範囲内の値である場合に「合格」と判定し、かかる範囲から外れた値の場合に「不合格」と判定していたが、本開示はこれに限定されない。例えば、予め一致度の範囲として、低い方から順番に第1範囲、第2範囲、および第3範囲のように、3以上の範囲を設定しておき、実際に画像を比較して得られた一致度が第1範囲内の値である場合に「合格」と判定し、第2範囲内の値である場合に「みなし合格」と判定し、第3範囲内の値である場合に「不合格」と判定するようにしてもよい。そして、かかる例では、「合格」を除く他の「みなし合格」および「不合格」の部分および検査項目について完成車両検査端末100において表示させるようにしてもよい。
【0090】
(B10)上記実施形態では、部分検査における検査項目として、「組み付けるべき正しい部品が組み付けられているか(誤品検査)」、「部品はしっかりと組み付けられているか」、「部品に傷が付いていないか」が例示されていたが、本開示はこれらに限定されない。例えば、温度センサを組み付ける工程において、検査項目として「正しく温度を測定できるか」といった取り付け後の部品が所定の機能を実現するか否かを判定する項目(性能不足検査)を、部分検査における検査項目としてもよい。同様に、排ガス浄化装置の組み付け工程における「排ガス浄化率は所定の数値範囲内であるか」といった項目や、冷却水ポンプの組み付け工程における「冷却水の流量は所定の数値範囲内の値であるか」といった項目を、部分検査における検査項目としてもよい。
【0091】
(B11)上記実施形態の車両検査システム10は、一例に過ぎず、様々に変形してもよい。例えば、上記実施形態では、ステップS510において、車両900の位置の取得を、搬送制御装置812への問い合わせと、車両900に取り付けられている無線タグの情報のセンサによる検知結果の受信とにより実現していたが、搬送制御装置812への問い合わせと、センサによる検知結果の受信とのうちのいずれか一方を省略してもよい。また、部分検査が不合格である部分および検査項目の特定は、完成車両検査端末100が実行していたが、かかる特定を部分検査結果記憶装置200が実行してもよい。かかる構成においては、完成車両検査端末100は、部分検査結果記憶装置200に対して、部分検査において不合格であった車両900の車両ID、部分、検査項目を問い合わせるようにし、部分検査結果記憶装置200は、問い合わせに該当するレコードを検索して見つかったレコードに記録されている車両ID、部分、検査項目を完成車両検査端末100に回答するようにしてもよい。また、上記実施形態では、部分製造工程P11における作業対象となった部分を撮像していたが、かかる部分の撮像に代えて、または、かかる部分の撮像に加えて、かかる部分の作業の様子を静止画像または動画像として撮像するようにしてもよい。そして、得られた静止画像または動画像を用いて作業自体の良否(合格、不合格)を判断するようにしてもよい。例えば、部品を組み付ける際に正しい工具が使われているか、工具の作業量(例えば、ネジの回転数)が正しい作業量であるか否かといった判断を行うようにしてもよい。また、上記実施形態では、「手直し完了済み」、「手直し未完了」、「分検査結果が誤判定であり、再判定を求む」の情報は、車両900に貼付された車両伝票に記入されていたが、本開示はこれに限定されない。これらの情報を、部分検査装置500に入力し、部分検査結果記憶装置200の検査結果データベース221に記録するようにしてもよい。かかる構成においては、完成車両検査において、これらの情報を、検査ガイド用ウィンドウW10に表示させるようにしてもよい。
【0092】
(B12)上記実施形態において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、撮像制御部511、部分検査実行部512、表示制御部513、記憶制御部514、協調制御部515、記憶制御部211、協調制御部212、検査結果取得部111、不合格部分特定部112、表示制御部113、および協調制御部114のうちの少なくとも1つの機能部を、集積回路、ディスクリート回路、またはそれらの回路を組み合わせたモジュールにより実現してもよい。また、本開示の機能の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータプログラム)は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD-ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピュータに固定されている外部記憶装置も含んでいる。すなわち、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、データパケットを一時的ではなく固定可能な任意の記録媒体を含む広い意味を有している。
【0093】
本開示は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する各実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0094】
10…車両検査システム、100…完成車両検査端末、110…CPU、111…検査結果取得部、112…不合格部分特定部、113…表示制御部、114…協調制御部、120…表示部、130…ハードディスク、140…ROM、150…RAM、160…操作部、170…入出力I/F部、190…内部バス、200…部分検査結果記憶装置、210…CPU、211…記憶制御部、212…協調制御部、220…ハードディスク、221…検査結果データベース、230…ROM、240…RAM、250…ネットワークI/F部、290…内部バス、500…部分検査装置、501…撮像装置、510…CPU、511…撮像制御部、512…部分検査実行部、513…表示制御部、514…記憶制御部、515…協調制御部、520…表示部、530…ハードディスク、531…基準画像、540…ROM、550…RAM、560…操作部、570…入出力I/F部、590…内部バス、600…加工装置、601…加工制御装置、700…制御装置、790…工場内ネットワーク、810…搬送装置、811…ハンガ、812…搬送制御装置、900…車両、Fc1…撮像画像、Fc2…撮像画像、Fs…基準画像、P11…部分製造工程、P12…部分検査工程、P2…完成車両検査工程、PL…生産ライン、Tg1…表示タグ、Tg2…表示タグ、Tgs…表示タグ、W1…部分検査結果表示ウィンドウ、W10…検査ガイド用ウィンドウ、W20…検査OK確認用ウィンドウ、a1…車両ID表示部、a11…車両ID表示部、a12…検査項目表示部、a13…撮像画像表示部、a14…基準画像表示部、a15…前ボタン、a16…次ボタン、a17…OKボタン、a18…NGボタン、a2…検査結果表示部、a21…車両ID表示部、a22…検査項目表示部、a27…メッセージ表示部、a29…確認済みボタン、a3…撮像画像表示部、a31…一致度表示部、b1…バーコード、b2…バーコード、bs…バーコード、n1…文字列、n2…文字列、ns…文字列、p1…燃料パイプ、p2…燃料パイプ、ps…燃料パイプ、t1…燃料タンク、t2…燃料タンク、ts…燃料タンク
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