IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-配車装置 図1
  • 特許-配車装置 図2
  • 特許-配車装置 図3
  • 特許-配車装置 図4
  • 特許-配車装置 図5
  • 特許-配車装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】配車装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
G08G1/123 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021003770
(22)【出願日】2021-01-13
(65)【公開番号】P2022108657
(43)【公開日】2022-07-26
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】津下 聖悟
(72)【発明者】
【氏名】八谷 健吾
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 京子
(72)【発明者】
【氏名】日比野 仁
(72)【発明者】
【氏名】千葉 寛也
【審査官】佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-135187(JP,A)
【文献】特開2020-138612(JP,A)
【文献】特開2022-107345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G06Q 50/00-50/20
G06Q 50/26-99/00
G16Z 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの位置情報と前記ユーザが所望する目的地とを取得し、
前記目的地が水濡れする場所であるか否かを判定し、
前記目的地が水濡れする場所であると判定した場合、充電方式が非接触式である車両を前記位置情報が示す位置に配車するように構成されるプロセッサを備える配車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電源装置に接続されて受電する接触式充電器と電源装置から非接触で受電する非接触式充電器とを備える車両が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-230439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両が備える接続式充電器等の接触式の充電設備は、接続部分に設けられている接続端子が水に濡れると、接続端子が錆びて故障する場合があった。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、車両が備える接触式の充電設備が故障することを防止することができる配車装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る配車装置は、ユーザの位置情報と前記ユーザが所望する目的地とを取得し、前記目的地が水濡れする場所であるか否かを判定し、前記目的地が水濡れする場所であると判定した場合、充電方式が非接触式である車両を前記位置情報が示す位置に配車するように構成されるプロセッサを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、車両が備える接触式の充電設備が故障することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る配車装置を含む配車システムの構成を概略的に示す図である。
図2図2は、非接触式の車両の詳細を示すブロック図である。
図3図3は、接触式の車両の詳細を示すブロック図である。
図4図4は、モバイル端末の詳細を示すブロック図である。
図5図5は、サーバの詳細を示すブロック図である。
図6図6は、サーバが実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態に係る配車装置について、図面を参照しながら説明する。なお、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
(配車システム)
本実施形態に係る配車装置を含む配車システムの構成について、図1図5を参照しながら説明する。図1に示すように、配車システム1は、車両10と、モバイル端末20と、配車装置としてのサーバ30と、を有する。配車システム1は、車両10に含まれるいずれかの車両を、モバイル端末20を所持するユーザに配車する配車システムであり、サーバ30によって管理されている。
【0011】
車両10、モバイル端末20およびサーバ30は、ネットワークNWを通じて相互に通信可能に構成されている。このネットワークNWは、例えば、インターネット等の公衆通信網であって、WAN(Wide Area Network)、携帯電話等の電話通信網、および、WiFi(登録商標)等の無線通信網等のその他の通信網を含んでもよい。
【0012】
(車両)
車両10は、運転者による運転によって走行する車両、または、与えられた走行指令に従って自律走行可能に構成された自律走行車両である。車両10は、充電方式が非接触式である車両10Aと、充電方式が接触式である車両10Bとを含む。
【0013】
車両10Aは、図2に示すように、制御部(プロセッサ)11と、通信部12と、記憶部13と、非接触式受電部14Aと、非接触式給電部15Aと、蓄電部16と、を備える。充電方式が非接触式であるとは、車両10Aが非接触式受電部14Aおよび非接触式給電部15Aを含む非接触式の充電設備を備えることを指す。
【0014】
制御部11は、具体的には、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等からなるプロセッサと、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等からなるメモリ(主記憶部)と、を備えている。
【0015】
制御部11は、記憶部13に格納されたプログラムを主記憶部の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等を制御することにより、所定の目的に合致した機能を実現する。
【0016】
通信部12は、例えばLAN(Local Area Network)インターフェースボード、無線通信のための無線通信回路等から構成される。通信部12は、公衆通信網であるインターネット等のネットワークNWに接続されている。そして、通信部12は、当該ネットワークNWに接続することにより、モバイル端末20およびサーバ30との間で通信を行う。
【0017】
記憶部13は、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)およびリムーバブルメディア等の記録媒体から構成される。リムーバブルメディアとしては、例えば光ディスク(CD(Compact Disc)-RまたはCD-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-RまたはDVD-ROM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)等)、フラッシュメモリ(USB(Universal Serial Bus)メモリ、メモリカード等)等の記録媒体が挙げられる。記憶部13には、オペレーティングシステム(Operating System:OS)、各種プログラム、各種テーブル、各種データベース等が格納可能である。
【0018】
非接触式受電部14Aは、車両10Aの外部の非接触式給電装置40から非接触で電力を受電する。具体的には、非接触式受電部14Aは、受電コイルを含む。受電コイルは、非接触式給電装置40の送電コイルから非接触で(すなわち、非接触式受電部14Aと非接触式給電装置40との間で接点を介さずに)受電した交流電力を直流電力に変換し、電圧を所望の電圧に変換した上で蓄電部16に蓄電する。
【0019】
非接触式給電部15Aは、非接触でモバイル端末20を充電する。具体的には、非接触式給電部15Aは、送電コイルを有し、送電コイルに近接して配置されたモバイル端末20の受電コイルに電力を供給する。
【0020】
蓄電部16は、充放電可能な直流電源であり、例えば、ニッケル水素やリチウムイオン等の二次電池からなり、車両10Aの駆動装置に電力を供給する。
【0021】
車両10Bは、図3に示すように、制御部(プロセッサ)11と、通信部12と、記憶部13と、接触式受電部14Bと、接触式給電部15Bと、蓄電部16と、を備える。充電方式が接触式であるとは、車両10Bが接触式受電部14Bおよび接触式給電部15Bを含む接触式の充電設備を備えることを指す。
【0022】
接触式受電部14Bは、車両10Bの外部の接触式給電装置50に接続されて電力を受電する。具体的には、接触式受電部14Bは、充電インレットを含む。充電インレットは、接触式給電装置50の充電コネクタが接続可能な形状を有しており、充電コネクタの接続端子に電気的に接続される接続端子が内蔵されている。充電インレットに充電コネクタが接続されると、充電インレット内の接続端子と充電コネクタに内蔵される接続端子とが接触する。これにより、充電インレットは、接触式給電装置50から電力を受電する。充電インレットにおいて受電された電力は蓄電部16に蓄電される。
【0023】
接触式給電部15Bは、接続されたモバイル端末20を充電する。具体的には、接触式給電部15Bは、一端が車両10Bの蓄電部16に接続されているケーブルと、ケーブルの他端に位置する接続端子とを有し、接続端子に接続されたモバイル端末20に電力を供給する。
【0024】
(モバイル端末)
モバイル端末20は、ユーザが用いる持ち運び可能なコンピュータ端末である。モバイル端末20としては、例えばユーザが所有するスマートフォン、携帯電話、タブレット端末、ウェアラブルコンピュータ、パーソナルコンピュータ等が挙げられる。モバイル端末20は、サーバ30と情報のやりとりが可能であれば、どのような端末であってもよい。
【0025】
モバイル端末20は、制御部(プロセッサ)21と、通信部22と、記憶部23と、操作・表示部24と、を備えている。制御部21、通信部22および記憶部23は、物理的には制御部11、通信部12および記憶部13と同様である。
【0026】
制御部21は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を通信部22により受信して、モバイル端末20を所持するユーザの位置情報を検出する。また、制御部21は、例えばLiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)と3次元デジタル地図とを組み合わせた方法等を用いてユーザの位置情報を検出してよく、ユーザの位置情報の検出方法は特に限定されない。
【0027】
通信部22は、ユーザの位置情報とユーザが所望する目的地とを通信部32に出力する。
【0028】
操作・表示部24は、例えばタッチパネルディスプレイにより構成されており、ユーザの指またはペン等による操作を受け付ける入力機能と、制御部21の制御に基づいて各種情報を表示する表示機能と、を有している。具体的には、操作・表示部24は、ユーザが所望する目的地の入力を受け付ける。
【0029】
(サーバ)
サーバ30は、車両10を含む複数の車両情報を管理し、ユーザに車両10を配車する配車システムを統括的に管理するサーバである。サーバ30は、制御部(プロセッサ)31と、通信部32と、記憶部33と、を備えている。制御部31、通信部32および記憶部33は、物理的には制御部11、通信部12および記憶部13と同様である。
【0030】
制御部31は、通信部22および通信部32を介して、ユーザの位置情報とユーザが所望する目的地とを取得する。そして、制御部31は、目的地が水濡れする場所であるか否かを判定する。具体的には、制御部31は、目的地が海やプールの場合、目的地が水濡れする場所であると判定する。一方、制御部31は、目的地が映画館や図書館の場合、目的地が水濡れする場所ではないと判定する。そして、制御部31は、目的地が水濡れする場所であると判定した場合、充電方式が非接触式である車両10Aを位置情報が示す位置に配車する。一方、制御部31は、目的地水濡れする場所ではないと判定した場合、充電方式を問わず、ユーザに最寄りの車両10を位置情報が示す位置に配車する。
【0031】
通信部32は、制御部31による制御のもと、モバイル端末20の通信部22からユーザの位置情報とユーザが所望する目的地とを取得する。
【0032】
記憶部33には、車両10に含まれる各車両の充電方式等の車両情報、通信部32が取得した情報等が記憶されている。
【0033】
(配車方法)
次に、以上のように構成された本実施形態に係るサーバ30が、車両10が備える接触式の充電設備が故障することを防止する方法について、図6を参照して説明する。以下で説明する配車方法は、目的地が水濡れする場所である場合、充電方式が非接触式である車両10Aを位置情報が示す位置に配車する処理であり、サーバ30において実行される。
【0034】
まず、制御部31は、ユーザの位置情報、および操作・表示部24によって入力された目的地を通信部22および通信部32を介して取得する(ステップS1)。
【0035】
続いて、制御部31は、取得した目的地が水濡れする場所であるか否かを判定する(ステップS2)。
【0036】
制御部31が、目的地が水濡れする場所であると判定した場合(ステップS2:Yes)、制御部31は、充電方式が非接触式である車両10Aを位置情報が示す位置に配車する(ステップS3)。
【0037】
一方、制御部31が、目的地が水濡れする場所ではないと判定した場合(ステップS2:No)、制御部31は、充電方式を問わず、ユーザに最寄りの車両10を位置情報が示す位置に配車する(ステップS4)。
【0038】
以上説明したサーバ30によれば、目的地が水濡れする場所であると判定した場合、充電方式が非接触式である車両10Aを位置情報が示す位置に配車する。その結果、海やプールで濡れた状態のユーザは、車両10Aが備える非接触式受電部14Aまたは非接触式給電部15Aを使用することになるため、濡れた状態のユーザが、車両10Bが備える接触式受電部14Bまたは接触式給電部15Bの接触端子を触ることを防止することができ、接触式受電部14Bおよび接触式給電部15Bを含む接触式の充電設備が故障することを防止することができる。
【0039】
なお、制御部31は、操作・表示部24に対する入力に応じて、目的地が水濡れする場所であるか否かを判定してもよい。この場合、ユーザが水濡れする場所に行くか否かをより正確に判定することができる。また、サーバ30は、目的地がプールを備えたホテルであるような場合であって、目的地が水濡れする場所を含むがユーザがその場所を利用するか否か不明な場合、ユーザが水濡れする場所を利用するか否かを選択する画面を操作・表示部24に表示させてもよい。この場合、ユーザの選択に応じて、より確実に車両10Bが備える接触式受電部14Bおよび接触式給電部15Bを含む接触式の充電設備が故障することを防止することができる。
【0040】
また、制御部31は、接触式の充電設備が故障した回数が多い場所が目的地である場合に、充電方式が非接触である車両10Aを位置情報が示す位置に配車してもよい。
【0041】
また、サーバ30の制御部31が実行する処理を、車両10の制御部11、またはモバイル端末20の制御部21が実行してもよい。
【0042】
また、実施形態に係るサーバ30に実行させるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルデータでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)、USB媒体、フラッシュメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0043】
また、実施形態に係るサーバ30に実行させるプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。
【0044】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。本開示のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施の形態に限定されるものではない。したがって、添付のクレームおよびその均等物によって定義される総括的な開示の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 配車システム
10、10A、10B 車両
11 制御部
12 通信部
13 記憶部
14A 非接触式受電部
14B 接触式受電部
15A 非接触式給電部
15B 接触式給電部
16 蓄電部
20 モバイル端末
21 制御部
22 通信部
23 記憶部
24 操作・表示部
30 サーバ
31 制御部
32 通信部
33 記憶部
40 非接触式給電装置
50 接触式給電装置
NW ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6