(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/74 20060101AFI20240625BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
H01R13/74 J
H01R13/52 301F
H01R13/52 301H
(21)【出願番号】P 2021029811
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】筒居 良平
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/123703(WO,A1)
【文献】特開2018-147846(JP,A)
【文献】特開2009-066858(JP,A)
【文献】特開2017-069116(JP,A)
【文献】国際公開第2020/009004(WO,A1)
【文献】特開2017-045514(JP,A)
【文献】特開2020-047403(JP,A)
【文献】特開2021-005478(JP,A)
【文献】特開平08-096897(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40-13/533
H01R 13/73-13/74
H01R 43/027-43/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースに取り付けられるコネクタであって、
相手側コネクタと嵌合可能なフード部を有するハウジングと、前記ハウジングに保持された端子金具と、前記ケースの内側において前記端子金具に接続される内側ハーネスと、前記ハウジングの外周面に装着されたCリングと、を備え、
前記ハウジングは、前記ケースに形成された取付穴を貫通し、
前記ハウジングの外周面は、外周側に突出したフランジと、前記Cリングが装着されるCリング装着溝とを有し、
前記フランジと前記Cリングとは、前記ケースのうち前記取付穴の周縁部を挟み込むようになっており、
前記端子金具は、前記内側ハーネスに接続される内側接続部と、前記フード部の奥面から突出する外側接続部とを有し、
前記フード部の奥面には、前記フード部の奥面を覆うようにポッティング材が配置され、
前記ハウジングは、前記端子金具が保持された一次成形部と、前記一次成形部の外周に配置された二次成形部とを有し、
前記フード部は、前記二次成形部に設けられて
おり、
前記ハウジングのうち複数の前記内側接続部が突出する内側端子保持面は、リブを有し、前記リブは、前記内側端子保持面から突出し、前記内側端子保持面に沿って延びており、前記Cリング装着溝及び前記リブは前記一次成形部に形成され、前記Cリング装着溝は、前記リブの延び方向と同じ方向に開放されているコネクタ。
【請求項2】
ケースに取り付けられるコネクタであって、
相手側コネクタと嵌合可能なフード部を有するハウジングと、前記ハウジングに保持された端子金具と、前記ケースの内側において前記端子金具に接続される内側ハーネスと、前記ハウジングの外周面に装着されたCリングと、を備え、
前記ハウジングは、前記ケースに形成された取付穴を貫通し、
前記ハウジングの外周面は、外周側に突出したフランジと、前記Cリングが装着されるCリング装着溝とを有し、
前記フランジと前記Cリングとは、前記ケースのうち前記取付穴の周縁部を挟み込むようになっており、
前記端子金具は、前記内側ハーネスに接続される内側接続部と、前記フード部の奥面から突出する外側接続部とを有し、
前記フード部の奥面には、前記フード部の奥面を覆うようにポッティング材が配置され、
前記ハウジングは、前記端子金具が保持された一次成形部と、前記一次成形部の外周に配置された二次成形部とを有し、
前記フード部は、前記二次成形部に設けられ、
前記ハウジングの外周面に、周方向に延びたOリング装着溝が形成され、
前記一次成形部の外周面には、前記Oリング装着溝の内周側に位置して、周方向に延びたくびれ部が形成され、
前記くびれ部の幅は、前記Oリング装着溝の幅よりも大きく、
前記Oリング装着溝は、上下方向において、前記くびれ部と重なる位置に形成されているコネクタ。
【請求項3】
前記内側ハーネスは、前記内側接続部から前記ハウジングの前記取付穴への貫通方向と交差する方向に延びている請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記一次成形部の外面に、前記リブの延び方向に沿った方向に開口する穴部が形成され、前記穴部に、前記二次成形部の一部が入り込んでいる請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記端子金具は、前記内側接続部、前記外側接続部、及び前記内側接続部と前記外側接続部との間のつなぎ部を有するバスバーであり、
前記外側接続部は、前記フード部の奥面において間隔をあけて複数並べられ、
前記つなぎ部は、前記外側接続部の並び方向に屈曲した屈曲部を備えている請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トランスミッションのミッションケース等に取り付けられるコネクタが知られている。例えば下記特許文献1に記載されたコネクタは、取付フランジを備えている。取付フランジは、ミッションケースにボルト締結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなコネクタは、ミッションケースにボルト締結用の穴が必要である。しかしながら、ケース側のレイアウトの都合により、ボルト締結用の穴をケースに設けられない場合がある。
【0005】
そこで、本開示は、ボルト締結することなく、ケースに取り付けることが可能なコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、ケースに取り付けられるコネクタであって、相手側コネクタと嵌合可能なフード部を有するハウジングと、前記ハウジングに保持された端子金具と、前記ケースの内側において前記端子金具に接続される内側ハーネスと、前記ハウジングの外周面に装着されたCリングと、を備え、前記ハウジングは、前記ケースに形成された取付穴を貫通し、前記ハウジングの外周面は、外周側に突出したフランジと、前記Cリングが装着されるCリング装着溝とを有し、前記フランジと前記Cリングとは、前記ケースのうち前記取付穴の周縁部を挟み込むようになっており、前記端子金具は、前記内側ハーネスに接続される内側接続部と、前記フード部の奥面から突出する外側接続部とを有し、前記フード部の奥面には、前記フード部の奥面を覆うようにポッティング材が配置され、前記ハウジングは、前記端子金具が保持された一次成形部と、前記一次成形部の外周に配置された二次成形部とを有し、 前記フード部は、前記二次成形部に設けられているものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ボルト締結することなく、ケースに取り付けることが可能なコネクタを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態にかかるコネクタであって、ケースに取り付けた状態を示す側面図である。
【
図4】
図4は、コネクタを示す断面図であって、
図3のA-A位置における断面に相当する断面図である。
【
図5】
図5は、端子金具、一次成形部及び二次成形部を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、端子金具が埋め込まれた状態の一次成形部を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、端子金具が埋め込まれた状態の一次成形部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示のコネクタは、
(1)ケースに取り付けられるコネクタであって、相手側コネクタと嵌合可能なフード部を有するハウジングと、前記ハウジングに保持された端子金具と、前記ケースの内側において前記端子金具に接続される内側ハーネスと、前記ハウジングの外周面に装着されたCリングと、を備え、前記ハウジングは、前記ケースに形成された取付穴を貫通し、前記ハウジングの外周面は、外周側に突出したフランジと、前記Cリングが装着されるCリング装着溝とを有し、前記フランジと前記Cリングとは、前記ケースのうち前記取付穴の周縁部を挟み込むようになっており、前記端子金具は、前記内側ハーネスに接続される内側接続部と、前記フード部の奥面から突出する外側接続部とを有し、前記フード部の奥面には、前記フード部の奥面を覆うようにポッティング材が配置され、前記ハウジングは、前記端子金具が保持された一次成形部と、前記一次成形部の外周に配置された二次成形部とを有し、前記フード部は、前記二次成形部に設けられているものである。このような構成によれば、フランジ及びCリングによって、ハウジングを取付穴に保持できるから、ボルト締結することなく、コネクタをケースに取り付けることができる。また、ハウジングのうち外側接続部が突出するフード部の奥面には、ポッティング材が配置されているから、ケース内の液体が、端子金具とハウジングとの間の境界を伝ってハウジングの外部に漏れ出ることを防ぐことができる。端子金具をインサートしてフード部を成形する場合、射出圧によって外側接続部の位置がずれたりしないように、外側接続部を金型で強固に支持する必要がある。このような場合、金型が外側接続部に接して固定されるため、金型をフード部の開口側に開く際、外側接続部を傷つけないようにすることが難しい。本開示のコネクタの端子金具は一次成形部に埋め込まれ、フード部は、二次成形部に設けられているから、フード部を成形するときに、一次成形部を金型で支持できるので、外側接続部を金型で強固に支持しなくてよい。したがって、フード部を成形する金型が端子金具を傷付けることを防ぐことができる。
(2)前記内側ハーネスは、前記内側接続部から前記ハウジングの前記取付穴への貫通方向と交差する方向に延び、前記ハウジングのうち複数の前記内側接続部が突出する内側端子保持面は、前記貫通方向に突出し、前記内側端子保持面に沿って延びるリブを有し、前記Cリング装着溝は、前記リブの延び方向と同じ方向に開放されていることが好ましい。このような構成によれば、内側ハーネスは、内側接続部からハウジングの貫通方向と交差する方向に延びるから、内側ハーネスがハウジングの貫通方向に延びる場合よりも、コネクタを低背化できる。また、リブによって、内側ハーネスの配索方向を制限できる。Cリング装着溝及びリブは、同じ方向に移動する金型によって成形できる。
(3)前記一次成形部の外面に、前記リブの延び方向に沿った方向に開口する穴部が形成され、前記穴部に、前記二次成形部の一部が入り込んでいると良い。このような構成によれば、同じ方向に移動する金型を用いて、Cリング装着溝、リブ及び穴部を成形できる。穴部に二次成形部の一部が形成されることによって、一次成形部と二次成形部との一体化を強化できる。
(4)前記ハウジングの外周面に、周方向に延びたOリング装着溝が形成され、前記一次成形部の外周面には、前記Oリング装着溝の内周側に位置して、周方向に延びたくびれ部が形成され、前記くびれ部の幅は、前記Oリング装着溝の幅よりも大きく、前記Oリング装着溝は、上下方向において、前記くびれ部と重なる位置に形成されていると良い。このような構成によれば、一次成形部のくびれ部に二次成形部が重なることによって、一次成形部と二次成形部との一体化を強化できる。また、Oリング装着溝をくびれ部の幅内に設けることによって、くびれ部内の二次成形部を肉抜きできる。
(5)前記端子金具は、前記内側接続部、前記外側接続部、及び前記内側接続部と前記外側接続部との間のつなぎ部を有するバスバーであり、前記外側接続部は、前記フード部の奥面において間隔をあけて複数並べられ、前記つなぎ部は、前記外側接続部の並び方向に屈曲した屈曲部を備えていると良い。このような構成によれば、複数の外側接続部の間隔を相手側コネクタの端子金具の間隔にあわせて配置し、一次成形部の内部では、つなぎ部の間隔を、外側接続部の間隔よりも小さくできる。したがって、ハウジングの外径寸法を小さくできる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0011】
コネクタCは、
図1に示すように、ケース100の蓋に取り付けられる。ケース100は、車両のトランスミッションのミッションケース等である。コネクタCは、ケース100の外部に配置された図示しないワイヤハーネスと、ケース100の内部に配置された図示しない電気部品とを中継接続する。コネクタCは、ケース100の内部からケース100の外部に油が漏れ出ることを防ぐ。コネクタCは、図示しない相手側コネクタと嵌合可能なフード部18を有している(
図2参照)。
【0012】
図1において、X軸方向は、ケース100の外面に沿った一方向であり、相手側コネクタとの嵌合方向である。Y軸方向は、X軸方向に直交する一方向であり、ハウジング10の取付穴101への貫通方向である。
図2において、Z軸方向は、X軸およびY軸と直交する方向である。以下、コネクタCの各構成部材において、X軸方向を前後方向とし、
図2におけるX軸の正方向側(相手側コネクタとの嵌合側であって、フード部18が開口する側)を前側、X軸の負方向側を後側、Y軸の正方向側(ケース100の外側)を上側、Y軸の負方向側(ケース100の内側)を下側、Z軸の正方向側を左側、Z軸の負方向側(内側ハーネス60が延出する側)を右側として説明する。本実施形態において、「直交」は、厳密に直交している状態に加えて、概ね直交、例えば二つの方向の成す角度が90度未満85度以上である状態を含む。
【0013】
コネクタCは、
図1及び
図2に示すように、ハウジング10と、端子金具40と、内側ハーネス60とを備えている。端子金具40及び内側ハーネス60は、2本ずつ設けられている。内側ハーネス60は、ケース100の内側において端子金具40に接続される。
【0014】
ハウジング10は、ケース100の取付穴101に挿入される。取付穴101は、円筒状をなしてケース100を内外方向に貫通している。ハウジング10は、内側配置部15と、外側配置部16と、中間部17とを有している。内側配置部15は、ケース100の内側に配置される。外側配置部16は、ケース100の外側に配置される。中間部17は、取付穴101に配置される。
【0015】
端子金具40は、ハウジング10に成形保持されている。端子金具40は、大電流用(許容電流値が60アンペア以上)のバスバーである。端子金具40は、銅または銅合金で形成されている。各端子金具40は、内側接続部41と、外側接続部42と、つなぎ部43とを有している(
図3参照)。内側接続部41は、ケース100の内側に配置される。外側接続部42は、ケース100の外側に配置される。つなぎ部43は、内側接続部41と外側接続部42との間を繋いでいる。内側接続部41及び外側接続部42は、ハウジング10の外部に露出している。つなぎ部43は、ハウジング10の内部に埋設されている。
【0016】
内側配置部15は、
図1に示すように、2つの内側接続部41が突出する内側端子保持面19を有している。内側端子保持面19は、ケース100の内面102と平行に配置される。
【0017】
外側配置部16は、フード部18を有している(
図2参照)。フード部18は、
図3に示すように、正面側から見ると、上下方向よりも左右方向に長い四角形状をなしている。外側配置部16は、2つの外側接続部42が突出する外側端子保持面21を有している。外側端子保持面21は、フード部18の奥面である。外側端子保持面21は、内側端子保持面19と直交する。外側端子保持面21には、ポッティング材22が配置されている。ポッティング材22は、
図4に示すように、外側端子保持面21に形成された凹部23に充填されている。ポッティング材22は、2つの外側接続部42の根元の全体を覆っている。ポッティング材22は、各端子金具40と、ハウジング10を形成する樹脂との間の隙間を封止している。ポッティング材22によって、ケース100内の油が、各端子金具40とハウジング10との間の境界を伝ってハウジング10の外部に漏れ出ることを防ぐことができる。
【0018】
中間部17の外周面は、円筒状である。中間部17には、
図1に示すように、Oリング装着溝11が形成されている。Oリング装着溝11に装着されたOリング12は、取付穴101の内周面に密着する。Oリング装着溝11は、ハウジング10の全周に連続して延びている。
【0019】
ハウジング10の外周面には、フランジ13が設けられている。フランジ13は、ハウジング10の外周面から突出している。フランジ13は、取付穴101の周縁部の外側に係止する。ハウジング10の外周面には、Cリング装着溝14が設けられている。Cリング装着溝14は、
図3に示すように、左右方向に延びている。Cリング装着溝14には、Cリング70が装着される。Cリング70は、金属製の線材を略C字状に曲げ加工したものである。Cリング70は、取付穴101の周縁部の内側に係止する。フランジ13及びCリング70によって、ハウジング10はケース100に保持される。
【0020】
ハウジング10は、
図4に示すように、一次成形部24と二次成形部25とを有している。一次成形部24及び二次成形部25は、絶縁性の合成樹脂を射出成形することによって得られる。一次成形部24及び二次成形部25については、後ほど詳しく説明する。2つの端子金具40は、一次成形部24にインサート成形されている。二次成形部25は、一次成形部24の外周に樹脂成形されている。二次成形部25は、フード部18、フランジ13、及びOリング装着溝11を有している。
【0021】
端子金具40は、
図5に示すように、第一端子金具40Fと第二端子金具40Sとを備えている。両端子金具40F,40Sの外側接続部42は、つなぎ部43の上端部から前方に延びている。2つの外側接続部42は、
図3に示すように、外側端子保持面21において左右方向に所定の間隔をあけて配置されている。外側接続部42の板面は、左右両側を向いている。第一端子金具40Fの外側接続部42の板面と、第二端子金具40Sの外側接続部42の板面とは、平行に配置される。第一端子金具40Fの外側接続部42と第二端子金具40Sの外側接続部42とは、上下方向の位置が揃っている。
【0022】
両端子金具40F,40Sの内側接続部41は、
図4及び
図5に示すように、延出部44とナット設置部45とを備えている。延出部44は、内側端子保持面19から下方に垂下している。ナット設置部45は、延出部44の下端から屈曲している。延出部44とナット設置部45とは直角をなしている。ナット設置部45の板面は、上下両側を向いている。第一端子金具40Fのナット設置部45と、第二端子金具40Sのナット設置部45とは、上下方向の位置が揃っている。ナット設置部45は、貫通穴46を有している。
【0023】
内側接続部41は、内側ハーネス60を締結する圧入ナット47を有している。圧入ナット47は、鉄、鉄合金またはステンレスによって形成されている。圧入ナット47は、剛性が高いため締結時に変形しにくいものである。圧入ナット47は、アルミニウムまたはアルミニウム合金によって形成されているものと比べて、端子金具40との自然電位の差が小さい。したがって、異種金属間腐食を起こりにくくできる。圧入ナット47は、ナット設置部45の貫通穴46に圧入されている。ナット設置部45に固定された状態の圧入ナット47の軸線Lは、上下方向(取付穴101へのハウジング10の貫通方向)に延びている。
【0024】
第一端子金具40Fのつなぎ部43は、
図5に示すように、屈曲部48とストレート部49とを備えている。屈曲部48は、外側接続部42の後端から左側(外側接続部42の並び方向)に屈曲している。屈曲部48の左側の縁は、ストレート部49の前側の縁に連なっている。屈曲部48の板面は、前後両側を向いている。ストレート部49の板面は、左右両側を向いている。ストレート部49の板面と外側接続部42の板面とは平行である。ストレート部49は、外側接続部42の左側にずれて配置されている。第二端子金具40Sのつなぎ部43は、外側接続部42と同一平面上に配置されている。
【0025】
第一端子金具40F及び第二端子金具40Sのつなぎ部43は、傾斜部51を備えている。傾斜部51は、つなぎ部43の下端部に設けられている。傾斜部51は、一次成形部24に埋め込まれている(
図4参照)。第一端子金具40Fの傾斜部51と第二端子金具40Sの傾斜部51とは、反対向きに傾斜している。具体的には、第一端子金具40Fの傾斜部51は、下方に向かって斜め後側に延びている。第二端子金具40Sの傾斜部51は、下方に向かって斜め前側に延びている。これによって、2つの内側接続部41は、2つのつなぎ部43よりも前後方向に離れて配置されている。
【0026】
内側端子保持面19は、
図6に示すように、第一リブ26及び第二リブ27を備えている。第一リブ26及び第二リブ27は、内側端子保持面19から下方に突出している(
図4参照)。第一リブ26及び第二リブ27の上下方向の寸法は等しい。第一リブ26及び第二リブ27の下端は、ナット設置部45の下面よりも下側に位置している。
【0027】
第一リブ26は、隣接する内側接続部41の間に配置されている。第一リブ26によって、隣接する内側接続部41の間の沿面距離を増すことができる。第二リブ27は、内側端子保持面19の周縁部に設けられている。第二リブ27と第一リブ26とは、一つの内側接続部41を挟む位置に配置されている。第二リブ27は、第二端子金具40Sの内側接続部41の前側に位置している。
【0028】
内側ハーネス60は、導電性金属によって形成された芯線を、絶縁樹脂によって形成された絶縁被覆で被覆した被覆電線である。内側ハーネス60は、径寸法が比較的大きい太物電線である。内側ハーネス60の芯線の断面積は、8mm2(所謂8sq)以上である。内側ハーネス60の端末部には、圧着端子61が接続されている。
【0029】
一次成形部24は、
図5に示すように、頭部80と、第一胴部81と、第二胴部82と、第三胴部83とを備えている。一次成形部24には、Cリング装着溝14、第一リブ26及び第二リブ27が設けられている。Cリング装着溝14は、第一リブ26及び第二リブ27の延びる方向に沿って延びている。
【0030】
頭部80は、四角いブロック状である。頭部80は、互いに平行な前面84及び後面85と、互いに平行な左右の側面86とを備えている。前面84、後面85及び左右の側面86は、それぞれ四角形状である。
【0031】
第一胴部81、第二胴部82及び第三胴部83の外周面は円筒状である。第二胴部82の外径寸法は第一胴部81及び第三胴部83の外径寸法よりも小さい。
【0032】
第一胴部81は、円盤状である。第一胴部81は、頭部80の下面に連なっている。第一胴部81の上面は、頭部80の下面から外周側に張り出している。
【0033】
第二胴部82は、第一胴部81の下面に連なっている。第二胴部82の上下方向の寸法は、第一胴部81の上下方向の寸法よりも大きい。
【0034】
第三胴部83は、第二胴部82の下面に連なっている。第三胴部83の上下方向の寸法は、第二胴部82の上下方向の寸法よりも大きい。第三胴部83の外周面には、Cリング装着溝14が形成されている。第三胴部83の下面には、第一リブ26及び第二リブ27が突出している。第三胴部83は、内側配置部15を構成する。
【0035】
第一胴部81と第三胴部83との間はくびれ部87である。第二胴部82の外周面は、くびれ部87の底面を構成する。くびれ部87は、一次成形部24の全周に延びている。くびれ部87の幅(上下方向の寸法)は、Oリング装着溝11の幅(上下方向の寸法)よりも大きい(
図4参照)。なお、くびれ部87の幅は、くびれ部87の延び方向に対して直交する方向の寸法である。Oリング装着溝11の幅は、Oリング装着溝11の延び方向に対して直交する方向の寸法である。本実施形態において、Oリング装着溝11の延び方向に対して直交する方向は、貫通方向に沿った方向である。
【0036】
一次成形部24には、
図6に示すように、2つの端子金具40F,40Sが埋め込まれている。2つの端子金具40F,40Sの外側接続部42は、頭部80の前面84から前方に突出している。頭部80の前側には、二次成形によってフード部18が形成される。
【0037】
一次成形部24の外面には、
図7に示すように、複数の穴部88が形成されている。穴部88は、頭部80及び第二胴部82の左右両面に設けられている。複数の穴部88は、上下方向及び前後方向に分散して配置されている。一次成形部24の左面に設けられた穴部88は、左方に開口している。一次成形部24の右面に設けられた穴部88は、右方向に開口している。穴部88の開口方向は、Cリング装着溝14、第一リブ26及び第二リブ27の延び方向に沿った方向である(
図6参照)。各穴部88の軸線は、左右方向に延びている。全ての穴部88には、二次成形部25の樹脂が充填されている。二次成形部25のうち穴部88に充填された部分は、穴部88に流入し、穴部88の内周面に密着している。
【0038】
二次成形部25は、
図4に示すように、フード部18と、外面部89とを備えている。フード部18は、一次成形部24の頭部80の前面84に形成されている。フード部18は、前方に突出する筒状である。外面部89は、一次成形部24の頭部80、第一胴部81及び第二胴部82を満遍なく覆う。外面部89の厚さ寸法は、概ね一定である。外面部89の下端面は、第三胴部83の上面に被覆されている。
【0039】
Oリング装着溝11は、一次成形部24のくびれ部87の外周側に位置している。Oリング装着溝11は、くびれ部87の幅内、つまり上下方向においてくびれ部87と重なる位置に形成されている。具体的には、Oリング装着溝11の上面は、くびれ部87の上面(第一胴部81の下面)よりも下側に位置している。Oリング装着溝11の下面は、くびれ部87の下面(第三胴部83の上面)よりも上側に位置している。
【0040】
次に、コネクタCの製造方法の一例を説明する。まず、一次成形部24を成形する。具体的には、左右方向に移動する図示しない金型の間に2つの端子金具40F,40Sをセットし、金型の隙間に樹脂を流し込む。左右の金型は、端子金具40F,40Sの板面を強固に支持する。これによって、端子金具40F,40Sは精度よく位置決めされる。金型に流し込まれた樹脂は、端子金具40F,40Sのまわりに充填される。こうして、一次成形部24は成形される。左右方向に移動する金型によって、Cリング装着溝14、第一リブ26、第二リブ27、及び穴部88は形成される。左右方向に移動する金型は、端子金具40F,40Sの板面を擦ることなく型開きされるから、端子金具40F,40Sを傷つけることを防ぐことができる。
【0041】
次に、二次成形部25を成形する。具体的には、前後方向に移動する図示しない金型の間に、一次成形部24をセットし、金型の隙間に樹脂を流し込む。2つの端子金具40F,40Sは一次成形部24に保持されているから、金型は、端子金具40F,40Sの板面を強固に支持しなくてよい。したがって、前後方向に金型を開く際に、前側の金型が端子金具40F,40Sの板面を擦ることを防ぐことができる。こうして、二次成形部25は、一次成形部24のまわりに適切な厚さ寸法で成形される。前後方向に移動する金型によって、フード部18及び外面部89は形成される。以上により、コネクタCの製造が完了する。
【0042】
次に、上記のように構成された実施形態の作用および効果について説明する。コネクタCは、ケース100に取り付けられる。コネクタCは、ハウジング10と、端子金具40と、内側ハーネス60と、Cリング70と、を備えている。ハウジング10は、相手側コネクタと嵌合可能なフード部18を有する。ハウジング10は、ケース100に形成された取付穴101を貫通する。ハウジング10の外周面は、外周側に突出したフランジ13と、Cリング70が装着されるCリング装着溝14とを有している。フランジ13とCリング70とは、取付穴101の周縁部を挟み込むようになっている。端子金具40は、ハウジング10に保持されている。端子金具40は、内側接続部41と、外側接続部42とを有している。内側接続部41は、内側ハーネス60に接続される。外側接続部42は、フード部18の奥面から突出する。フード部18の奥面には、フード部18の奥面を覆うようにポッティング材22が配置されている。ハウジング10は、一次成形部24と、二次成形部25とを有している。一次成形部24には、端子金具40F,40Sが保持されている。二次成形部25は、一次成形部24の外周に配置されている。フード部18は、二次成形部25に設けられている。この構成によれば、フランジ13とCリング70とによって、ハウジング10を取付穴101に保持できるから、ボルト締結することなく、コネクタCをケース100に取り付けることができる。また、コネクタCは、ケース100に締結される部分を備えなくてよいから、コネクタCを小型化できる。
【0043】
ハウジング10のうち外側接続部42が突出するフード部18の奥面には、ポッティング材22が配置されているから、ケース100内の油が、各端子金具40とハウジング10との間の境界を伝ってハウジング10の外部に漏れ出ることを防ぐことができる。
【0044】
端子金具をインサートしてフード部を成形する場合、射出圧によって外側接続部の位置がずれたりしないように、外側接続部を金型で強固に支持する必要がある。このような場合、金型をフード部の開口側に開く際、外側接続部を傷つけないようにすることが難しい。コネクタCによれば、端子金具40F,40Sは一次成形部24に埋め込まれ、フード部18は、二次成形部25に設けられているから、フード部18を成形するときに、外側接続部42を金型で強固に支持しなくてよい。したがって、フード部18を成形する金型が端子金具40F,40Sを傷付けることを防ぐことができる。
【0045】
内側ハーネス60は、内側接続部41から右方に延びている。ハウジング10のうち2つの内側接続部41が突出する内側端子保持面19は、第一リブ26及び第二リブ27を有している。第一リブ26及び第二リブ27は、内側端子保持面19から下方に突出し、内側端子保持面19に沿って延びている。Cリング装着溝14は、第一リブ26及び第二リブ27の右方及び左方に開放されている。この構成によれば、内側ハーネス60は、内側接続部41からハウジング10の右方に延びるから、内側ハーネス60が下方に延びる場合よりも、コネクタCを低背化できる。ここで、内側ハーネス60が内側端子保持面19から下方に延出する場合には、内側ハーネス60を内側端子保持面19に平行な方向に配索しようとすると曲げ半径が大きくなりがちである。しかしながら、内側ハーネス60は、内側端子保持面19と平行な方向に延出するから、曲げ半径を小さくでき、ケース100内のスペース効率をよくできる。
【0046】
第一リブ26と第二リブ27とによって、内側ハーネス60の延び方向を制限できる。また、Cリング装着溝14、第一リブ26及び第二リブ27を、同じ方向に移動する金型によって成形できる。
【0047】
一次成形部24の外面に、第一リブ26及び第二リブ27の延び方向と同じ方向に開口する穴部88が形成されている。穴部88には、二次成形部25の一部が入り込んでいる。この構成によれば、同じ方向に移動する金型によって、Cリング装着溝14、第一リブ26、第二リブ27及び穴部88を成形できる。また、穴部88に二次成形部25の一部が嵌合することによって、一次成形部24と二次成形部25との一体化を強化できる。
【0048】
ハウジング10の外周面に、周方向に延びたOリング装着溝11が形成されている。一次成形部24の外周面には、くびれ部87が形成されている。くびれ部87は、Oリング装着溝11の内周側に位置して、周方向に延びている。くびれ部87の幅は、Oリング装着溝11の幅よりも大きく、くびれ部87の幅内にOリング装着溝11が設けられている。この構成によれば、一次成形部24のくびれ部87に二次成形部25が嵌合することによって、一次成形部24と二次成形部25との一体化を強化できる。
【0049】
端子金具40は、内側接続部41、外側接続部42、及び内側接続部41と外側接続部42との間のつなぎ部43を有するバスバーである。外側接続部42は、フード部18の奥面において間隔をあけて2つ並べられている。つなぎ部43は、外側接続部42の並び方向に屈曲した屈曲部48を備えている。この構成によれば、2つの外側接続部42の間隔を相手側コネクタの端子金具の間隔にあわせて配置し、一次成形部24の内部では、つなぎ部43の間隔を、外側接続部42の間隔よりも小さくできる。したがって、ハウジング10の外径寸法を小さくできる。
【0050】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
上記実施形態の場合、内側端子保持面19は、第一リブ26及び第二リブ27を備えているが、他の実施形態としては、第一リブ及び第二リブに加えて第三リブを設けてもよい。リブの数、配置、形状等は、端子金具の本数、内側接続部の形態等によって適宜変更できる。
上記実施形態の場合、一次成形部24の外面に、穴部88が形成されているが、必ずしも穴部を形成しなくてもよい。
上記実施形態の場合、一次成形部24にくびれ部87を設け、その外周側にOリング装着溝11を形成しているが、他の実施形態として、一次成形部にくびれ部を設けなくてもよい。
上記実施形態の場合、コネクタCは2つの端子金具40F,40Sを備えているが、他の実施形態として、コネクタは端子金具を1本、または3本以上を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0051】
C…コネクタ
L…軸線
10…ハウジング
11…Oリング装着溝
12…Oリング
13…フランジ
14…Cリング装着溝
15…内側配置部
16…外側配置部
17…中間部
18…フード部
19…内側端子保持面
21…外側端子保持面
22…ポッティング材
23…凹部
24…一次成形部
25…二次成形部
26…第一リブ
27…第二リブ
40…端子金具
40F…第一端子金具
40S…第二端子金具
41…内側接続部
42…外側接続部
43…つなぎ部
44…延出部
45…ナット設置部
46…貫通穴
47…圧入ナット
48…屈曲部
49…ストレート部
51…傾斜部
60…内側ハーネス
61…圧着端子
70…Cリング
80…頭部
81…第一胴部
82…第二胴部
83…第三胴部
84…前面
85…後面
86…側面
87…くびれ部
88…穴部
89…外面部
100…ケース
101…取付穴
102…内面