(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】運転診断装置、運転診断システム及び運転診断方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240625BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240625BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240625BHJP
G16Y 20/40 20200101ALI20240625BHJP
G16Y 40/20 20200101ALI20240625BHJP
【FI】
G08G1/16 F
G08G1/00 D
G16Y10/40
G16Y20/40
G16Y40/20
(21)【出願番号】P 2021038773
(22)【出願日】2021-03-10
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】亀崎 康之
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 周平
(72)【発明者】
【氏名】長谷 高明
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 雅人
【審査官】佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-191935(JP,A)
【文献】特開2008-097376(JP,A)
【文献】特開2011-034430(JP,A)
【文献】特開2017-033125(JP,A)
【文献】特開2019-105929(JP,A)
【文献】特開2014-075035(JP,A)
【文献】特開2014-071621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G16Y 10/40
G16Y 20/40
G16Y 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、車両の加速度及び操舵角と、先行車両との車間距離と、車線に対する走行位置と、運転者の視線方向に関する情報とを取得する取得部と、
取得された前
記情報に基づいて、予め設定された運転に関する評価項目の条件に該当した回数を計測する計測部と、
前記評価項目のそれぞれにおける計測回数が所定の警告回数に達した場合、警告情報を出力する警告部と、
前記計測回数が前記警告回数に達する前に所定の通知条件を満たした場合、運転者に対して事前通知を行う事前通知部と、
を有
し、
前記評価項目は、急加速、急ブレーキ、急操舵、車線はみ出し、及び脇見運転を含んでおり、
前記事前通知部は、前記計測回数が前記警告回数よりも所定の回数だけ少ない注意回数に達した場合、及び、前記計測回数が当該注意回数に達する前に予め設定していた休憩予定時刻になった場合に、運転者に対して事前通知を行う、運転診断装置。
【請求項2】
前記通知条件は、前記計測回数が前記注意回数に達する前に所定の走行距離になった場合を含む請求項1に記載の運転診断装置。
【請求項3】
前記事前通知部は、前記評価項目のうち、特定の評価項目に対してのみ事前通知を行う請求項
1又は2に記載の運転診断装置。
【請求項4】
車両の管理者が保有するサーバと、
車両に設けられた通知装置と、
請求項1~3の何れか1項に記載の運転診断装置と、
を有し、
前記警告部は、前記サーバへ警告情報を出力し、
前記事前通知部は、前記通知装置によって運転者へ事前通知を行う運転診断システム。
【請求項5】
少なくとも、車両の加速度及び操舵角と、先行車両との車間距離と、車線に対する走行位置と、運転者の視線方向に関する情報とを取得し、
取得された前記情報に基づいて、予め設定された運転に関する複数の評価項目の内容に該当した回数を計測し、
前記評価項目のそれぞれの内容における計測回数が所定の警告回数に達した場合、警告情報を出力し、
前記計測回数が前記警告回数に達する前に所定の通知条件を満たした場合、運転者に対して事前通知を行う、
運転診断方法であって、
前記評価項目は、急加速、急ブレーキ、急操舵、車線はみ出し、及び脇見運転を含んでおり、
前記計測回数が前記警告回数よりも所定の回数だけ少ない注意回数に達した場合、及び、前記計測回数が当該注意回数に達する前に予め設定していた休憩予定時刻になった場合に、運転者に対して事前通知を行う、運転診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転診断装置、運転診断システム及び運転診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ドライバによる運転内容が安全運転及び低燃費運転の少なくとも一方から乖離した回数を違反回数として計測し、違反回数が閾値以上になった場合に管理端末へ送信する運転診断管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、違反回数が警告に必要な回数になった場合にしか管理端末に送信されない。このため、運転者が違反回数の情報を事前に把握することができず、効果的に運転の改善を促す観点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、運転者に対して効果的に運転の改善を促すことができる運転診断装置、運転診断システム及び運転診断方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る運転診断装置は、少なくとも、車両の加速度及び操舵角と、先行車両との車間距離と、車線に対する走行位置と、運転者の視線方向に関する情報とを取得する取得部と、取得された前記情報に基づいて、予め設定された運転に関する評価項目の条件に該当した回数を計測する計測部と、前記評価項目のそれぞれにおける計測回数が所定の警告回数に達した場合、警告情報を出力する警告部と、前記計測回数が前記警告回数に達する前に所定の通知条件を満たした場合、運転者に対して事前通知を行う事前通知部と、を有し、前記評価項目は、急加速、急ブレーキ、急操舵、車線はみ出し、及び脇見運転を含んでおり、前記事前通知部は、前記計測回数が前記警告回数よりも所定の回数だけ少ない注意回数に達した場合、及び、前記計測回数が当該注意回数に達する前に予め設定していた休憩予定時刻になった場合に、運転者に対して事前通知を行う。
【0007】
請求項1に係る運転診断装置では、取得部は、車両情報及び運転情報の少なくとも1つを取得する。また、計側部は、取得部で取得された車両情報及び運転情報に基づいて、評価項目の条件に該当した回数を計測する。そして、評価項目のそれぞれの内容における計測回数が所定の警告回数に達した場合、警告部によって警告情報が出力される。これにより、警告情報を参照することで、評価項目どの項目に対して運転の改善を行う必要があるか把握することができる。
【0008】
また、計測回数が警告回数に達する前に所定の通知条件を満たした場合、事前通知部によって運転者に事前通知が行われる。これにより、運転者は、計測回数が警告回数に達する前に、計測回数に関する情報を知ることができ、警告回数に達する前に運転の改善を促すことができる。
【0010】
さらに、計測回数が注意回数に達した時点で運転者に通知される。これにより、運転者が警告回数に達するまでの回数を把握することができる。
【0012】
さらにまた、計測回数が注意回数に達する前の状態であっても、予め決められた所定の時刻に通知を行うことで、運転者が運転状況について把握することができる。
【0013】
請求項2に係る運転診断装置は、請求項1において、前記通知条件は、前記計測回数が前記注意回数に達する前に所定の走行距離になった場合を含む。
【0014】
請求項2に係る運転診断装置では、計測回数が注意回数に達する前の状態であっても、予め決められた所定の走行距離に達した場合に通知を行うことで、運転者が運転状況について把握することができる。
【0015】
請求項3に係る運転診断装置は、請求項1又は2において、前記事前通知部は、前記評価項目のうち、特定の評価項目に対してのみ事前通知を行う。
【0016】
請求項3に係る運転診断装置では、複数の評価項目のうち、特定の評価項目に対してのみ事前通知が行われることで、評価項目の全てに対して事前通知が行われる場合と比較して、運転者が煩わしく感じるのを抑制することができる。
【0017】
請求項4に係る運転診断システムは、車両の管理者が保有するサーバと、車両に設けられた通知装置と、請求項1~3の何れか1項に記載の運転診断装置と、を有し、前記警告部は、前記サーバへ警告情報を出力し、前記事前通知部は、前記通知装置によって運転者へ事前通知を行う。
【0018】
請求項4に係る運転診断システムでは、警告部によって管理者のサーバへ警告情報が出力される。これにより、管理者が警告情報を一元管理することができる。また、事前通知部が車両に設けられた通知装置によって運転者へ事前通知を行うことで、運転者に対して効果的に通知することができる。
【0019】
請求項5に係る運転診断方法は、少なくとも、車両の加速度及び操舵角と、先行車両との車間距離と、車線に対する走行位置と、運転者の視線方向に関する情報とを取得し、取得された前記情報に基づいて、予め設定された運転に関する複数の評価項目の内容に該当した回数を計測し、前記評価項目のそれぞれの内容における計測回数が所定の警告回数に達した場合、警告情報を出力し、前記計測回数が前記警告回数に達する前に所定の通知条件を満たした場合、運転者に対して事前通知を行う運転診断方法であって、前記評価項目は、急加速、急ブレーキ、急操舵、車線はみ出し、及び脇見運転を含んでおり、前記計測回数が前記警告回数よりも所定の回数だけ少ない注意回数に達した場合、及び、前記計測回数が当該注意回数に達する前に予め設定していた休憩予定時刻になった場合に、運転者に対して事前通知を行う。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明に係る運転診断装置、運転診断システム及び運転診断方法では、運転者に対して効果的に運転の改善を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態に係る運転診断システムの全体構成を示す概略図である。
【
図2】実施形態に係る運転診断装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態におけるサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】実施形態に係る運転診断装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図5】実施形態における評価項目の一例を示す表である。
【
図6】実施形態における運転診断処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態における事前通知処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】実施形態における事前通知処理の流れの他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施形態に係る運転診断装置12を含む運転診断システム10について、図面を参照して説明する。
【0023】
図1に示されるように、本実施形態の運転診断システム10は、運転診断装置12、サーバ14及び車両Vを含んで構成されている。そして、運転診断装置12、サーバ14及び車両Vは、ネットワークNによって接続されている。なお、ネットワークNには複数の車両Vが接続されているが、
図1では説明の便宜上、一台の車両Vのみが図示されている。
【0024】
本実施形態の運転診断装置12は一例として、車両Vに搭載された車載器とされているが、これに限定されない。例えば、運転診断装置12は、車両Vの外部に設けられた制御装置などでもよい。
【0025】
サーバ14は、複数の車両Vの管理者が保有するサーバである。すなわち、複数の車両Vを管理する管理者がサーバ14を保有しており、本実施形態では一例として、車両Vは利用者を乗せて走行するタクシーとして用いられる車両である。また、サーバ14は、タクシー会社が保有している。
【0026】
ここで、本実施形態の運転診断装置12は、各車両Vを運転する運転者に対して運転診断を行い、運転診断結果に基づいて注意又は警告を行う。
【0027】
(運転診断装置12のハードウェア構成)
図2は、運転診断装置12のハードウェア構成を示すブロック図である。この
図1に示されるように、運転診断装置12は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)20、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)24、ストレージ26、通信インタフェース28及び入出力インタフェース30を含んで構成されている。各構成は、バス32を介して相互に通信可能に接続されている。
【0028】
CPU20は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU20は、ROM22又はストレージ26からプログラムを読み出し、RAM24を作業領域としてプログラムを実行する。CPU20は、ROM22又はストレージ26に記録されているプログラムに従って、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。
【0029】
ROM22は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM24は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ26は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。本実施形態では、ROM22又はストレージ26には、運転診断処理を行うためのプログラム、事前通知処理を行うためのプログラム、及び各種データなどが格納されている。
【0030】
通信インタフェース28は、運転診断装置12が図示しないサーバ及び他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、CAN(Controller Area Network)、イーサネット(登録商標)、LTE(Long Term Evolution)、FDDI(Fiber Distributed Data Interface)、Wi-Fi(登録商標)などの規格が用いられる。
【0031】
入出力インタフェース30には、前方カメラ40、室内カメラ42、加速度センサ44、舵角センサ46、通知装置としてのセンタディスプレイ48、及び通知装置としてのスピーカ50が電気的に接続されている。
【0032】
前方カメラ40は、車両の前部に設けられており、車両前方を撮像する。前方カメラ40で撮像された画像は、例えば、前方を走行する先行車両との車間距離、車線、及び信号機などを認識するために用いられる。
【0033】
室内カメラ42は、車両Vの車室内に設けられており、運転者へ向けられている。そして、この室内カメラ42で撮像された画像は、例えば、運転者の視線方向を検知するために用いられる。
【0034】
加速度センサ44は、車両の加速度を検出する。舵角センサ46は、車両の操舵角を検出する。加速度センサ44で検知された加速度のデータは、例えば、車両Vの急加減速の有無を判定するために用いられる。また、舵角センサ46で検知された操舵角のデータは、例えば、急操舵やUターンの有無を判定するために用いられる。
【0035】
センタディスプレイ48は、例えば、車室の前部において運転者から見える位置に設けられており、種々の情報が表示される。また、センタディスプレイ48には、後述する事前通知の内容が表示される。スピーカ50は、車室に設けられており、運転者に対して音声を出力する。
【0036】
(サーバ14のハードウェア構成)
図3は、サーバ14のハードウェア構成を示すブロック図である。この
図3に示されるように、サーバ14は、CPU52、ROM54、RAM56、ストレージ58、通信インタフェース60及び入出力インタフェース62を含んで構成されている。各構成は、バス64を介して相互に通信可能に接続されている。
【0037】
CPU52は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU52は、ROM54又はストレージ58からプログラムを読み出し、RAM56を作業領域としてプログラムを実行する。CPU52は、ROM54又はストレージ58に記録されているプログラムに従って、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。
【0038】
ROM54は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM56は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ58は、HDD又はSSDにより構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。本実施形態では、ROM54又はストレージ58には、複数の車両Vを管理するためのプログラム、及び各種データなどが格納されている。
【0039】
通信インタフェース60は、サーバ14が運転診断装置12などの機器と通信するためのインタフェースである。
【0040】
入出力インタフェース62には、表示装置66及び入力装置68が電気的に接続されている。表示装置66は、サーバ14が取得した各種の情報を表示するためのモニタである。入力装置68は、管理者が必要な情報を取得するためにサーバ14へ指示を入力するための装置であり、例えば、キーボード及びマウスなどである。
【0041】
(運転診断装置12の機能構成)
運転診断装置12は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。運転診断装置12が実現する機能構成について
図4を参照して説明する。
【0042】
図4に示されるように、運転診断装置12は、機能構成として、取得部70、計測部72、警告部74及び事前通知部76を含んで構成されている。なお、各機能構成は、CPU20がROM22又はストレージ26に記憶されたプログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0043】
取得部70は、車両状態に関する車両情報、及び運転者の運転状態に関する運転情報の少なくとも1つを取得する。本実施形態の取得部70は一例として、車両情報及び運転情報の両方を取得する。具体的には、取得部70は、車両情報として、加速度センサ44及び舵角センサ46によって検知された車両Vの加速度及び操舵角を取得する。また、取得部70は、運転情報として、前方カメラ40で撮像された画像に基づく先行車両との車間距離、車線に対する走行位置などを取得する。さらに、取得部70は、運転情報として、室内カメラ42で撮像された運転者の画像から運転者の視線方向を取得する。
【0044】
計測部72は、取得された車両情報及び運転情報に基づいて、予め設定された運転に関する評価項目の条件に該当した回数を計測する。ここで、
図5を参照して評価項目の一例について説明する。本実施形態では、評価項目として、急加速、急ブレーキ、急操舵、車線はみ出し、脇見運転及び車間距離の項目を含んでいる。また、
図5に示されたデータは、RAM24又はストレージ26に記憶されており、適宜更新できるようになっている。
【0045】
急加速及び急ブレーキは、加速度センサ44からの信号に基づいて判定される。例えば、計測部72は、加速度センサ44によって所定値以上の加速度が検知された場合に急加速としてカウントする。また、計測部72は、速度センサによって単位時間当たりの速度の変化量が所定値以上であった場合に急加速としてカウントしてもよい。急操舵は、舵角センサ46からの信号に基づいて判定される。例えば、計測部72は、単位時間当たりの操舵角の変化量が所定値以上であった場合に急操舵としてカウントする。
【0046】
車線はみ出しは、前方カメラ40で撮像された車両前方の画像に対して車両Vの位置がずれている場合に車線をはみ出したと判定する。例えば、計測部72は、車両Vが所定時間以上車線をはみ出して走行している場合に、車線はみ出しとしてカウントする。
【0047】
脇見運転は、運転者が進行方向から視線を外して走行している場合に計測される。例えば、計測部72は、室内カメラ42からの信号に基づいて、運転者の視線方向が所定時間以上進行方向から外れていた場合に、脇見運転としてカウントする。車間距離が狭いとは、前方カメラ40又は図示しないセンサからの信号に基づいて、先行車両との車間距離が所定の距離以下になった場合の評価項目である。例えば、計測部72は、先行車両との車間距離が狭くなっている状態が所定時間以上継続した場合にカウントする。
【0048】
図4に示される警告部74は、評価項目のそれぞれにおける計測回数が所定の警告回数に達した場合、警告情報を出力する。
図5に示されるように、各評価項目には、警告回数が設定されている。本実施形態では一例として、急加速の警告回数が5回に設定されている。このため、警告部74は、所定の期間内に急加速の計測回数が5回に達した場合、警告情報を出力する。本実施形態の警告部74は、警告情報をサーバ14へ送信する。また、警告情報には、運転者又は車両Vを特定する情報、警告回数に達した評価項目、警告回数に達した時間などの情報が含まれている。
【0049】
図4に示される事前通知部76は、計測回数が警告回数に達する前に所定の通知条件を満たした場合、運転者に対して事前通知を行う。
図5に示されるように、本実施形態では、警告回数よりも所定の回数だけ少ない注意回数に達した場合に、運転者に対して事前通知を行う。
【0050】
ここで、各評価項目には、運転者への通知を行うか否かを決定する通知有無のパラメータが設定されている。このため、通知有りとして設定された評価項目については運転者へ通知が行われ、通知無しとして設定された評価項目については、運転者へ通知が行われない。すなわち、本実施形態では、複数の評価項目のうち、特定の評価項目に対してのみ通知が行われる。
【0051】
例えば、
図5において、急加速の注意回数は3回に設定されている。このため、急加速の計測回数が3回に達した場合に運転者へ通知を行う。事前通知部76は、センタディスプレイ48へ情報を表示することで運転者へ通知する。例えば、事前通知部76は、急加速をあと2回計測すると警告情報が出力される旨の情報をセンタディスプレイ48に表示させる。また、事前通知部76は、スピーカ50を用いて音声で運転者へ事前通知を行うようにしてもよい。なお、通知無しのパラメータが設定されている評価項目については、運転者への通知が行われない。
【0052】
なお、事前通知部76は、計測回数が注意回数に達する前に所定の時刻になった場合に運転者へ通知を行うようにしてもよい。さらに、事前通知部76は、計測回数が注意回数に達する前に所定の走行距離になった場合に運転者へ通知を行うようにしてもよい。
【0053】
(作用)
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0054】
(運転診断処理の一例)
図6は、運転診断装置12による運転診断処理の流れの一例を示すフローチャートである。この運転診断処理は、CPU20がROM22又はストレージ26からプログラムを読み出して、RAM24に展開することによって実行される。
【0055】
図6に示されるように、CPU20は、ステップS102で車両情報を取得する。また、CPU20は、ステップS104でカメラ情報を取得する。具体的には、CPU20は、取得部70の機能によって前方カメラ40、室内カメラ42、加速度センサ44及び舵角センサ46を含むセンサ類から情報を取得する。
【0056】
CPU20は、ステップS106で車両Vに対して所定の挙動が有ったか否かについて判定する。具体的には、CPU20は、計測部72の機能によって車両Vに所定の挙動が検知された場合には、所定の挙動が有ったと判定し、ステップS112の処理へ移行する。ステップS112の処理については後述する。なお、ここでいう所定の挙動とは、急加速、急ブレーキ、急操舵及び車線のはみ出しなどの挙動である。
【0057】
CPU20は、ステップS106で車両Vに対して所定の挙動が無かったと判定した場合は、ステップS108の処理へ移行し、先行車両との車間距離が狭いか否かについては判定する。具体的には、CPU20は、計測部72の機能によって、前方カメラ40又は図示しないセンサからの信号に基づいて先行車両との車間距離を計測し、先行車両との車間距離が所定の距離よりも狭くなっている状態が所定時間以上継続した場合に車間距離が狭いと判定する。そして、CPU20は、ステップS108で車間距離が狭いと判定した場合は、ステップS112の処理へ移行する。
【0058】
CPU20は、ステップS108で車間距離が狭いと判定されなかった場合は、ステップS110の処理へ移行する。先行車両が検知されなかった場合も同様に、ステップS110の処理へ移行される。CPU20は、ステップS110で脇見運転をしているか否かについて判定する。具体的には、CPU20は、計測部72の機能によって、室内カメラ42からの信号に基づいて運転者の視線方向が所定時間以上進行方向から外れていた場合に、脇見運転をしている判定する。そして、CPU20は、ステップS110で脇見運転をしていると判定した場合は、ステップS112の処理へ移行する。一方、CPU20は、ステップS110で脇見運転をしていないと判定した場合、運転診断処理を終了する。
【0059】
CPU20は、ステップS106で肯定判定となった場合、ステップS108で肯定判定となった場合、及びステップS110で肯定判定となった場合は、ステップS112の処理に移行して、計測回数を増やす。具体的には、CPU20は、評価項目のうち、該当する評価項目の計測回数を1つ増やす。例えば、ステップS110で脇見運転をしていると判定された場合、CPU20は、ステップS112で計測部72の機能によって脇見運転の計測回数を1つ増やす。そして、CPU20は、運転診断処理を終了する。
【0060】
(事前通知処理の一例)
図7は、運転診断装置12による事前通知処理の流れの一例を示すフローチャートである。この事前通知処理は、CPU20がROM22又はストレージ26からプログラムを読み出して、RAM24に展開することによって実行される。また、事前通知処理は、所定の周期で繰り返し実行される。
【0061】
図7に示されるように、CPU20は、ステップS202で計測回数を取得する。具体的には、CPU20は、複数の評価項目のそれぞれに対して計測回数を取得する。続いて、CPU20は、ステップS204で警告回数及び注意回数を取得する。すなわち、CP
【0062】
CPU20は、ステップS206で計測回数が注意回数以上であるか否かについて判定する。本実施形態では、CPU20は、評価項目のそれぞれに対して、計測回数と注意回数の比較を行う。なお、通知無しのパラメータが設定されている評価項目については、注意回数が設定されていないため、計測回数と注意回数の比較は行われない。
【0063】
CPU20は、ステップS206で計測回数が注意回数以上と判定された場合、ステップS208の処理へ移行する。また、CPU20は、ステップS206で計測回数が注意回数よりも少ない場合は、事前通知処理を終了する。
【0064】
CPU20は、ステップS208で計測回数が警告回数以上であるか否かについて判定する。本実施形態では、CPU20は、評価項目のそれぞれに対して、計測回数と注意回数の比較を行う。
【0065】
CPU20は、ステップS208で計測回数が警告回数以上と判定された場合、ステップS212の処理へ移行し、警告部74の機能によってサーバ14へ計測情報を送信(出力)する。そして、CPU20は、事前通知処理を終了する。
【0066】
一方、CPU20は、ステップS208で計測回数が警告回数よりも少ない場合、ステップS210の処理へ移行する。CPU20は、ステップS210で運転者に事前通知を行う。具体的には、CPU20は、事前通知部76の機能によって、センタディスプレイ48へ情報を表示することで運転者へ通知を行う。また、CPU20は、スピーカ50からの音声によって運転者へ通知を行ってもよい。さらに、CPU20は、一度事前通知を行った評価項目については、事前通知を行わないようにしてもよい。
【0067】
(事前通知処理の他の例)
図8は、運転診断装置12による事前通知処理の流れの他の例を示すフローチャートである。この事前通知処理は、CPU20がROM22又はストレージ26からプログラムを読み出して、RAM24に展開することで実行される。
【0068】
図8に示される事前通知処理では、
図7に示された事前通知処理に対して、ステップS214が追加された点で異なっている。具体的には、CPU20は、ステップS206で計測回数が注意回数よりも少ない場合は、ステップS214の処理へ移行する。
【0069】
CPU20は、ステップS214で所定時刻又は所定の走行距離であるか否かについて判定する。例えば、CPU20は、現在時刻を取得し、現在時刻が予め設定していた時刻であった場合、所定時刻であると判定する。また、CPU20は、車両Vの走行距離を取得し、走行距離が予め設定していた走行距離であった場合、所定の走行距離であると判定する。ここで、所定時刻とは、例えば、運転者が休憩を予定している時刻である。また、所定の走行距離とは、就業開始時点の走行距離をゼロとして、就業中に走行する平均的な走行距離よりも少ない距離に設定される。例えば、就業中に走行する平均的な走行距離の半分程度の距離に設定してもよい。
【0070】
以上のように、本実施形態では、評価項目のそれぞれの内容における計測回数が所定の警告回数に達した場合、警告部74によってサーバ14へ警告情報が送信される。これにより、管理者及び運転者が警告情報を参照することで、評価項目どの項目に対して運転の改善を行う必要があるか把握することができる。また、管理者が警告情報を一元管理することができる。
【0071】
また、本実施形態では、計測回数が警告回数に達する前に所定の通知条件を満たした場合、事前通知部76によって運転者に事前通知が行われる。これにより、運転者は、計測回数が警告回数に達する前に、計測回数に関する情報を知ることができ、警告回数に達する前に運転の改善を促すことができる。またこのとき、事前通知部76が車両に設けられたセンタディスプレイ48及びスピーカ50などによって運転者へ事前通知を行うことができる。
【0072】
特に、本実施形態では、計測回数が注意回数に達した時点で運転者に通知される。これにより、運転者が警告回数に達するまでの回数を把握することができる。
【0073】
さらに、本実施形態では、計測回数が注意回数に達する前の状態であっても、予め決められた所定の時刻又は走行距離に通知を行うことで、運転者が運転状況について把握することができる。
【0074】
さらにまた、本実施形態では、複数の評価項目のうち、通知有りとして設定された特定の評価項目に対してのみ事前通知が行われることで、評価項目の全てに対して事前通知が行われる場合と比較して、運転者が煩わしく感じるのを抑制することができる。
【0075】
以上、実施形態に係る運転診断システム10及び運転診断装置12について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。例えば、上記実施形態では、加速度センサ44からの信号に基づいて急加速及び急ブレーキを検知したが、これに限定されない。例えば、アクセルペダル及びブレーキペダルから入力された電気信号を取得し、この信号に基づいて急加速及び急ブレーキを検知してもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、評価項目のうち、特定の評価項目に対してのみ事前通知を行う構成としたが、これに限定されない。例えば、評価項目の全てに対して事前通知を行うようにしてもよい。この場合、評価項目のそれぞれに対して、事前通知を行う手段を変更してもよい。例えば、より注意を促したい場合には、センタディスプレイ48に表示すると共に、音声で通知を行い、注意の度合いが低い評価項目については、センタディスプレイ48へ表示することのみによって通知してもよい。
【0077】
さらに、上記実施形態でCPU20がプログラムを読み込んで実行した表示処理を、CPU20以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、運転診断処理及び事前通知処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせで実行してもよく、例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0078】
さらに、上記実施形態では、ストレージ26に種々のデータを記憶させる構成としたが、これに限定されない。例えば、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的記録媒体を記憶部としてもよい。この場合、これらの記録媒体に各種プログラム及びデータなどが格納されることとなる。
【符号の説明】
【0079】
10 運転診断システム
12 運転診断装置
14 サーバ
48 センタディスプレイ(通知装置)
50 スピーカ(通知装置)
70 取得部
72 計測部
74 警告部
76 事前通知部
V 車両