(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】センサ素子およびそれを備えたセンサ装置
(51)【国際特許分類】
H04R 17/02 20060101AFI20240625BHJP
H04R 1/42 20060101ALI20240625BHJP
H01L 29/84 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
H04R17/02
H04R1/42
H01L29/84 Z
H01L29/84 A
(21)【出願番号】P 2021053403
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 和明
【審査官】毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-250665(JP,A)
【文献】特開2007-124449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00 - 31/00
H01L 29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定媒体の圧力に応じた検出信号を出力するセンシング部(30)が形成されたセンサ素子であって、
凹部(10a)が形成された支持体(10)と、
前記支持体上に配置され、前記凹部によって構成された浮遊領域(21b)を有する前記センシング部(30)と、を備え、
前記センシング部は、前記測定媒体に晒される部分に前記測定媒体が通過可能なスリット(40)が形成され、
前記スリットには、前記測定媒体が通過可能な状態を維持しつつ、前記センシング部よりも撥液性が高い材料で構成された保護膜(80)が配置されて
おり、
前記凹部は、前記測定媒体に晒される側面(10b)を有し、
前記保護膜は、前記側面にも配置されているセンサ素子。
【請求項2】
測定媒体の圧力に応じた検出信号を出力するセンシング部(30)が形成されたセンサ素子であって、
凹部(10a)が形成された支持体(10)と、
前記支持体上に配置され、前記凹部によって構成された浮遊領域(21b)を有する前記センシング部(30)と、を備え、
前記センシング部は、前記測定媒体に晒される部分に前記測定媒体が通過可能なスリット(40)が形成され、
前記スリットには、前記測定媒体が通過可能な状態を維持しつつ、前記センシング部よりも親液性が高い材料で構成された保護膜(80)が配置されて
おり、
前記凹部は、前記測定媒体に晒される側面(10b)を有し、
前記保護膜は、前記側面にも配置されているセンサ素子。
【請求項3】
前記凹部は、前記側面に凹凸部(10c)が形成されており、
前記保護膜のうちの前記側面に配置されている部分は、前記凹凸部に起因した凹凸構造(80a)を有している請求項
1または2に記載のセンサ素子。
【請求項4】
前記凹部は、前記支持体と前記センシング部との積層方向に沿って、対向する前記側面の間隔が変化するテーパ状とされている請求項
1ないし3のいずれか1つに記載のセンサ素子。
【請求項5】
前記支持体上に配置され、圧電膜(30)と前記圧電膜と電気的に接続される電極膜(40)とを有し、前記支持体に支持される支持領域(21a)と、一端部側が前記支持領域に支持されていると共に前記一端部と反対側の他端部側が前記支持体から浮遊した浮遊領域(21b)と、を有する振動部(20)と、を備え、
前記浮遊領域は、前記スリットにて分割された複数の振動領域(22)を有し、
前記センシング部は、前記複数の振動領域を有する構成とされている請求項1ないし
4のいずれか1つに記載のセンサ素子。
【請求項6】
測定媒体の圧力に応じた検出信号を出力するセンシング部(30)が形成されたセンサ素子であって、
凹部(10a)が形成された支持体(10)と、
前記支持体上に配置され、前記凹部によって構成された浮遊領域(21b)を有する前記センシング部(30)と、を備え、
前記センシング部は、前記測定媒体に晒される部分に前記測定媒体が通過可能なスリット(40)が形成され、
前記スリットには、前記測定媒体が通過可能な状態を維持しつつ、前記センシング部よりも撥液性が高い材料で構成された保護膜(80)が配置されて
おり、
前記支持体上に配置され、圧電膜(30)と前記圧電膜と電気的に接続される電極膜(40)とを有し、前記支持体に支持される支持領域(21a)と、一端部側が前記支持領域に支持されていると共に前記一端部と反対側の他端部側が前記支持体から浮遊した浮遊領域(21b)と、を有する振動部(20)と、を備え、
前記浮遊領域は、前記スリットにて分割された複数の振動領域(22)を有し、
前記センシング部は、前記複数の振動領域を有する構成とされているセンサ素子。
【請求項7】
測定媒体の圧力に応じた検出信号を出力するセンシング部(30)が形成されたセンサ素子であって、
凹部(10a)が形成された支持体(10)と、
前記支持体上に配置され、前記凹部によって構成された浮遊領域(21b)を有する前記センシング部(30)と、を備え、
前記センシング部は、前記測定媒体に晒される部分に前記測定媒体が通過可能なスリット(40)が形成され、
前記スリットには、前記測定媒体が通過可能な状態を維持しつつ、前記センシング部よりも親液性が高い材料で構成された保護膜(80)が配置されて
おり、
前記支持体上に配置され、圧電膜(30)と前記圧電膜と電気的に接続される電極膜(40)とを有し、前記支持体に支持される支持領域(21a)と、一端部側が前記支持領域に支持されていると共に前記一端部と反対側の他端部側が前記支持体から浮遊した浮遊領域(21b)と、を有する振動部(20)と、を備え、
前記浮遊領域は、前記スリットにて分割された複数の振動領域(22)を有し、
前記センシング部は、前記複数の振動領域を有する構成とされているセンサ素子。
【請求項8】
前記センシング部は、前記測定媒体の圧力に応じた振動する受圧面(22b)を有し、
前記保護膜は、前記受圧面(22b)にも配置されている請求項1ないし
7のいずれか1つに記載のセンサ素子。
【請求項9】
前記保護膜は、前記センシング部よりも低弾性率な材料で構成されている請求項1ないし
8のいずれか1つに記載のセンサ素子。
【請求項10】
測定媒体の圧力に応じた検出信号を出力するセンシング部(30)が形成されたセンサ素子(S1、S2)を備えるセンサ装置であって、
請求項1ないし
9のいずれか1つに記載のセンサ素子と、
前記センサ素子を搭載する被実装部材(101)と、前記センサ素子を収容する状態で前記被実装部材に固定される蓋部(102)と、を有し、外部と連通して前記測定媒体が導入される貫通孔(101b)が形成されたケーシング(100)と、を備え、
前記保護膜は、前記貫通孔の壁面にも配置されているセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定媒体が通過可能なスリットが形成されたセンシング部を有するセンサ素子およびそれを備えたセンサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、スリットが形成されたセンシング部を有するセンサ素子が提案されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、このセンサ素子は、圧電素子とされており、支持体と、支持体上に配置された圧電膜および当該圧電膜と電気的に接続される電極膜とを有する構成とされている。また、センサ素子は、支持体に凹部が形成されており、圧電膜および電極膜の一部が支持体から浮遊した浮遊領域とされている。そして、浮遊領域は、スリットによって複数の振動領域に分割されている。
【0003】
このようなセンサ素子は、印加される測定媒体の圧力に応じて振動領域が振動することで当該圧力に応じた検出信号を出力する。このため、このようなセンサ素子は、振動領域を含んでセンシング部が構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようなセンサ素子では、スリットに異物が付着する可能性がある。そして、このような圧電素子では、スリットに異物が付着することにより、検出精度が低下する可能性がある。
【0006】
本発明は上記点に鑑み、検出精度が低下することを抑制できるセンサ素子およびそれを備えたセンサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための請求項1および6は、測定媒体の圧力に応じた検出信号を出力するセンシング部(30)が形成されたセンサ素子であって、凹部(10a)が形成された支持体(10)と、支持体上に配置され、凹部によって構成された浮遊領域(21b)を有するセンシング部(30)と、を備え、センシング部は、測定媒体に晒される部分に測定媒体が通過可能なスリット(40)が形成され、スリットには、測定媒体が通過可能な状態を維持しつつ、センシング部よりも撥液性が高い材料で構成された保護膜(80)が配置されている。
そして、請求項1では、凹部は、測定媒体に晒される側面(10b)を有し、
保護膜は、側面にも配置されている。請求項6では、支持体上に配置され、圧電膜(30)と圧電膜と電気的に接続される電極膜(40)とを有し、支持体に支持される支持領域(21a)と、一端部側が支持領域に支持されていると共に一端部と反対側の他端部側が支持体から浮遊した浮遊領域(21b)と、を有する振動部(20)と、を備え、浮遊領域は、スリットにて分割された複数の振動領域(22)を有し、センシング部は、複数の振動領域を有する構成とされている。
【0008】
これによれば、撥液性が高い材料で構成された保護膜が配置されているため、測定媒体が気体である場合には、スリットに水等の異物が付着することを抑制でき、検出精度が低下することを抑制できる。
【0009】
請求項2および7は、測定媒体の圧力に応じた検出信号を出力するセンシング部(30)が形成されたセンサ素子であって、凹部(10a)が形成された支持体(10)と、支持体上に配置され、凹部によって構成された浮遊領域(21b)を有するセンシング部(30)と、を備え、センシング部は、測定媒体に晒される部分に測定媒体が通過可能なスリット(40)が形成され、スリットには、測定媒体が通過可能な状態を維持しつつ、センシング部よりも親液性が高い材料で構成された保護膜(80)が配置されている。
そして、請求項2では、凹部は、測定媒体に晒される側面(10b)を有し、
保護膜は、側面にも配置されている。請求項7では、支持体上に配置され、圧電膜(30)と圧電膜と電気的に接続される電極膜(40)とを有し、支持体に支持される支持領域(21a)と、一端部側が支持領域に支持されていると共に一端部と反対側の他端部側が支持体から浮遊した浮遊領域(21b)と、を有する振動部(20)と、を備え、浮遊領域は、スリットにて分割された複数の振動領域(22)を有し、センシング部は、複数の振動領域を有する構成とされている。
【0010】
これによれば、親液性が高い材料で構成された保護膜が配置されているため、測定媒体が液体である場合には、スリットに埃等の異物が付着することを抑制でき、検出精度が低下することを抑制できる。
【0011】
請求項10は、測定媒体の圧力に応じた検出信号を出力するセンシング部(30)が形成されたセンサ素子(S1、S2)を備えるセンサ装置であって、請求項1ないし9のいずれか1つに記載のセンサ素子と、センサ素子を搭載する被実装部材(101)と、センサ素子を収容する状態で被実装部材に固定される蓋部(102)と、を有し、外部と連通して測定媒体が導入される貫通孔(101b)が形成されたケーシング(100)と、を備え、保護膜は、貫通孔の壁面にも配置されている。
【0012】
これによれば、貫通孔の壁面に異物が付着することも抑制できるため、貫通孔を通じた測定媒体の導入が阻害されることを抑制できる。
【0013】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態における圧電装置の構成である。
【
図4】第2実施形態における圧電素子の断面図である。
【
図5】第2実施形態の変形例における圧電素子の断面図である。
【
図6】第3実施形態における圧電装置の断面図である。
【
図7】第4実施形態における静電式圧力センサの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0016】
(第1実施形態)
第1実施形態について、
図1~
図3を参照しつつ説明する。本実施形態では、測定媒体の圧力に応じた圧力検出信号を出力するセンサ素子として、圧電素子S1を例に挙げて説明する。また、本実施形態では、センサ装置として、圧電素子S1を備えた圧電装置S10について説明する。なお、本実施形態の圧電装置S10は、例えば、可聴域である1~20000Hzの音圧等の圧力を検出するのに用いられると好適であり、スマートフォンやAI(artificial intelligenceの略)スピーカ等に搭載されて用いられると好適である。また、本実施形態の圧電装置S10は、例えば、電源無しで変位に応じた出力を得られるウェイクアップ機能を発揮する電子機器等に搭載され、当該変位を検出するのに利用されると好適である。
【0017】
本実施形態の圧電装置S10は、
図1に示されるように、圧電素子S1および回路基板2を備え、これら圧電素子S1および回路基板2がケーシング100に収容されて構成されている。まず、本実施形態の圧電素子S1の構成について説明する。
【0018】
圧電素子S1は、
図2および
図3に示されるように、支持体10と、振動部20とを備え、平面形状が矩形状とされている。支持体10は、一面11aおよび他面11bを有する支持基板11と、支持基板11の一面11a上に形成された絶縁膜12とを有している。なお、支持基板11は、例えば、シリコン基板等で構成され、絶縁膜12は、酸化膜等で構成されている。
【0019】
振動部20は、圧力としての音圧等に応じた圧力検出信号を出力するセンシング部30を構成するものであり、支持体10上に配置されている。そして、支持体10には、振動部20における内縁側を浮遊させるための凹部10aが形成されている。このため、振動部20は、支持体10上に配置された支持領域21aと、支持領域21aと繋がっていると共に凹部10a上で浮遊する浮遊領域21bとを有する構成となっている。なお、本実施形態の凹部10aは、振動部20側の開口端(以下では、単に凹部10aの開口端ともいう)の形状が平面矩形状とされている。したがって、浮遊領域21bの全体は、平面矩形状とされている。
【0020】
ここで、本実施形態の凹部10aは、支持基板11を異方性ドライエッチングで除去した後、絶縁膜12を等方性ウェットエッチングで除去することで構成される。このため、凹部10aの側面10bは、微小な凹凸部10cが形成された状態となっている。なお、この凹凸部10cは、例えば、表面粗さRaが50~10000nm程度とされている。なお、
図2では、凹凸部10cを理解し易くするために誇張して示してある。また、対応する他の図においても、凹凸部10cを誇張して示してある。
【0021】
そして、上記のように支持体10に凹部10aを形成した場合には、支持基板11よりも絶縁膜12の方が除去され易い。このため、凹部10aの側面10bのうちの支持基板11と絶縁膜12との境界部には、絶縁膜12が削れたことによる段差部10dが形成される。
【0022】
浮遊領域21bは、4つの振動領域22が構成されるように、スリット40によって分割されている。本実施形態では、スリット40は、浮遊領域21bの中心部Cを通り、浮遊領域21bの相対する角部に向かって延設されるように、2本形成されている。言い換えると、スリット40は、平面矩形状とされた浮遊領域21bの各角部から中心部Cに向かって延設されると共に、中心部Cにて各スリット40が交差するように形成されている。これにより、浮遊領域21bは、略平面三角形状とされた4つの振動領域22に分離されている。特に限定されるものではないが、本実施形態では、各振動領域22同士の間隔(すなわち、スリット40の幅)が1μm程度とされている。
【0023】
そして、各振動領域22は、上記のように浮遊領域21bが分割されて構成されるため、一端部が支持体10(すなわち、支持領域21a)に支持された固定端とされ、他端部が自由端とされたカンチレバーとされている。つまり、各振動領域22は、支持領域21aと繋がった状態となっていると共に、片持ち支持された状態となっている。そして、本実施形態のセンシング部30は、各振動領域22を有する構成とされており、スリット40が形成された状態となっている。以下では、振動領域22における支持体10と反対側の面を振動領域22の一面22aとし、振動領域22における支持体10側の面を振動領域22の他面22bとして説明する。
【0024】
振動部20は、圧電膜50および圧電膜50と接続される電極膜60を有する構成とされている。具体的には、圧電膜50は、下層圧電膜51と、下層圧電膜51上に積層される上層圧電膜52とを有している。電極膜60は、下層圧電膜51の下方に配置された下層電極膜61、下層圧電膜51と上層圧電膜52との間に配置された中間電極膜62、および上層圧電膜52上に配置された上層電極膜63を有している。つまり、振動部20は、下層圧電膜51が下層電極膜61と中間電極膜62とで挟み込まれており、上層圧電膜52が中間電極膜62と上層電極膜63とで挟み込まれたバイモルフ構造とされている。
【0025】
なお、下層圧電膜51および上層圧電膜52は、窒化スカンジウムアルミニウム(ScAlN)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸ジルコン酸鉛等を用いて構成されている。そして、下層圧電膜51および上層圧電膜52は、圧電特性を示す結晶配向方位が同じとされている。下層電極膜61、中間電極膜62、上層電極膜63は、モリブデン(Mo)、プラチナ(Pt)、チタン(Ti)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)等を用いて構成される。
【0026】
また、本実施形態の各振動領域22は、振動領域22が振動した際に固定端となる支持領域21a側の部分が第1領域R1とされ、中心部C側が第2領域R2とされている。そして、下層電極膜61、中間電極膜62、上層電極膜63は、それぞれ第1領域R1および第2領域R2に形成されている。但し、第1領域R1に形成された下層電極膜61、中間電極膜62、上層電極膜63と、第2領域R2に形成された下層電極膜61、中間電極膜62、上層電極膜63とは、分離されており、絶縁された状態となっている。
【0027】
なお、下層電極膜61、中間電極膜62、および上層電極膜63は、スリット40に達しないように形成されている。つまり、下層電極膜61、中間電極膜62、および上層電極膜63は、振動領域22のうちのスリット40から露出する側面よりも内側で終端するように形成されている。言い換えると、下層電極膜61、中間電極膜62、および上層電極膜63は、一面22aおよび他面22bに対する法線方向において、スリット40よりも内側に配置されている。
【0028】
そして、各電極膜60は、振動部20のうちの支持領域21aに形成された図示しない配線と適宜接続され、支持領域21aに形成された図示しない電極部を介して回路基板2と接続される。なお、図示しない配線や電極部は、例えば、アルミニウム(Al)、金(Au)、銅等を用いて構成される。また、第2領域R2に形成された下層電極膜61、中間電極膜62、および上層電極膜63は、電極部と電気的に接続されておらず、フローティング状態となっている。このため、第2領域R2に形成される下層電極膜61、中間電極膜62、および上層電極膜63は、必ずしも必要ではないが、本実施形態では、下層圧電膜51および上層圧電膜52のうちの第2領域R2に位置する部分を保護するために設けてある。
【0029】
さらに、本実施形態の振動部20は、下層圧電膜51および下層電極膜61が配置される下地膜70を有している。つまり、支持体10上には、下地膜70を介して圧電膜50および電極膜60が配置されている。そして、スリット40は、下地膜70も貫通するように形成されている。下地膜70は、必ずしも必要なものではないが、下層圧電膜51等を成膜する際の結晶成長をし易くするために備えられている。なお、本実施形態では、下地膜70は窒化アルミニウム等で構成される。また、圧電膜50は、厚さが1μm程度とされており、下地膜70は、厚さが数十nm程度とされている。つまり、下地膜70は、圧電膜50に対して極めて薄くされている。
【0030】
そして、本実施形態では、スリット40を含む箇所に保護膜80が形成されている。本実施形態では、振動領域22の他面22bを凹部10aの底面10eとすると、保護膜80は、凹部10aの側面10b、凹部10aの底面10e、およびスリット40に保護膜80が形成されている。但し、スリット40に配置される保護膜80は、測定媒体が通過可能な状態を維持するように配置される。言い換えると、スリット40に配置される保護膜80は、スリット40を埋め込まないように配置される。また、保護膜80は、凹部10aの側面10bと底面10eとの境界部では、段差部11dを埋め込みつつ、側面10b上に位置する部分と底面10e上に位置する部分とが段差部11dよりも滑らかに連結されるように配置されている。なお、本実施形態では、具体的には後述するが、凹部10aの底面10e(すなわち、振動領域22の他面22b)が受圧面に相当する。さらに、保護膜80のうちの凹部10aの側面10bに形成される部分は、側面10bの凹凸部10cに起因した凹凸構造80aが構成されるように配置されている。
【0031】
保護膜80は、圧電素子S1が検出する圧力の測定媒体に応じて選択される。具体的には、保護膜80は、測定媒体が気体である場合、気体に含まれる水等の液体が振動領域22に付着し難くなるように、センシング部30(すなわち、下地膜70や圧電膜50)よりも撥液性が高い材料で構成される。また、保護膜80は、測定媒体がオイル等の液体である場合、埃等の異物よりも液体が付着し易くなるように、センシング部30(すなわち、下地膜70や圧電膜50)よりも親液性の高い材料で構成される。
【0032】
なお、保護膜80は、撥液性が高い材料で構成される場合、液体(例えば、水)との接触角が90°以上となる材料で構成される。また、保護膜80は、新液性が高い材料で構成される場合、液体(例えば、水)との接触角が90°未満となる材料で構成される。
【0033】
さらに、保護膜80は、センシング部30(すなわち、下地膜70や圧電膜50)よりも低弾性率の材料で構成される。すなわち、圧電素子S1は、後述するように、振動領域22が振動することで圧力の検出を行う。このため、保護膜80は、振動領域22の振動を阻害し難い材料で構成され、振動領域22よりも低弾性率の材料で構成されることが好ましい。
【0034】
以上より、保護膜80は、撥液性が高い材料で構成される場合、例えば、有機フッ素化合物膜等で構成される。また、保護膜80は、新液性が高い材料で構成される場合、例えば、シリカ系コーティング膜、有機系親水化剤等によるコーティング膜、またはDLC(すなわち、ダイヤモンドライクカーボン)等のコーティング膜等で構成される。
【0035】
そして、これらの保護膜80は、次のように、凹部10aの側面10b、底面10e、スリット40に配置される。例えば、保護膜80を有機フッ素化合物膜で構成する場合には、有機フッ素化合物を溶質とすると共に、エタノールや塩酸等を溶媒として溶液を構成する。そして、凹部10aの側面10b、底面10e、スリット40に溶液を塗布した後に乾燥させることにより、凹部10aの側面10b、底面10e、スリット40に保護膜80を形成する。この場合、保護膜80の厚さは、溶質の量によって適宜変更可能である。具体的には、保護膜80の厚さは、溶質を多くするほど厚くなり、溶質を少なくするほど薄くなる。なお、保護膜80は、別の方法によって形成されてもよく、プラズマ処理によるコーティングや、スパッタ、蒸着等によって形成されてもよい。
【0036】
以上が本実施形態における圧電素子S1の構成である。
【0037】
回路基板2は、所定の処理を行うものであり、例えば、CPUや、ROM、RAM、不揮発性RAM等の記憶部を備えたマイクロコンピュータ等で構成される制御部等を備えている。そして、回路基板2は、CPUがROM、または不揮発性RAMからプログラムを読み出して実行することで各種の制御作動を実現する。具体的には、回路基板2は、圧力検出信号に基づいて測定媒体の圧力を検出する。なお、ROM、または不揮発性RAMには、プログラムの実行の際に用いられる各種のデータ(例えば、初期値、ルックアップテーブル、マップ等)が予め格納されている。また、ROM等の記憶媒体は、非遷移的実体的記憶媒体である。CPUは、Central Processing Unitの略であり、ROMは、Read Only Memoryの略であり、RAMは、Random Access Memoryの略である。
【0038】
ケーシング100は、
図1に示されるように、圧電素子S1および回路基板2が搭載されるプリント基板101と、圧電素子S1および回路基板2を収容するようにプリント基板101に固定される蓋部102とを有している。なお、本実施形態では、プリント基板101が被実装部材に相当する。
【0039】
プリント基板101は、特に図示しないが、配線部やスルーホール電極等が適宜形成された構成とされており、必要に応じて図示しないコンデンサ等の電子部品等も搭載されている。そして、圧電素子S1は、支持基板11の他面11bが接着剤等の接合部材3を介してプリント基板101の一面101aに搭載されている。回路基板2は、導電性部材で構成される接合部材4を介してプリント基板101の一面101aに搭載されている。そして、圧電素子S1と回路基板2とは、ボンディングワイヤ110を介して電気的に接続されている。なお、蓋部102は、金属、プラスチック、または樹脂等で構成されており、圧電素子S1および回路基板2を収容するように、図示しない接着剤等の接合部材を介してプリント基板101に固定されている。
【0040】
また、本実施形態では、プリント基板101のうちの振動領域22と対向する部分に、ケーシング100の内部と外部とを連通させる貫通孔101bが形成されている。つまり、プリント基板101には、測定媒体を凹部10a内に導入させるための貫通孔101bが形成されている。具体的には、貫通孔101bは、略円筒状とされており、プリント基板101の一面101aに対する法線方向において、中心軸が振動部20の中心部と一致するように形成されている。
【0041】
以上が本実施形態における圧電装置S10の構成である。このような圧電装置S10では、貫通孔101bから凹部10a内に測定媒体が導入されると、振動領域22の他面22bを受圧面として振動領域22に測定媒体が印加され、振動領域22は、圧力に応じて振動する。そして、圧電素子S1は、振動領域22の振動に応じて圧電膜50が変形するため、電荷の変化を圧力検出信号として出力する。本実施形態の圧電素子S1は、各振動領域22における電荷の変化を1つの圧力検出信号として出力する。具体的には、各振動領域22は、上記のようにバイモルフ構造とされており、各振動領域22に形成される各下層電極膜61、各中間電極膜62、各上層電極膜63がそれぞれ並列に接続されつつ、各振動領域22間が直列に接続されて1つの圧力検出信号を出力する。そして、圧電装置S10は、この圧力検出信号に基づいて圧力の検出を行う。
【0042】
この際、振動領域22(すなわち、圧電膜50)に発生する応力は、自由端側(すなわち、他端部側)では応力が解放されるため、固定端側の方が自由端側より大きくなる。つまり、自由端側は、電荷の発生が少なくなり、信号とノイズの比であるSN比が小さくなり易い。このため、本実施形態の圧電素子S1では、上記のように、各振動領域22は、応力が大きくなり易い第1領域R1と、応力が小さくなり易い第2領域R2とに分けられている。そして、圧電素子S1では、第1領域R1に配置されている下層電極膜61、上層電極膜63、中間電極膜62から圧力検出信号が出力される。これにより、ノイズの影響が大きくなることを抑制できる。
【0043】
なお、圧電素子S1の振動領域22は、固有振動数が励起したときに大きな振幅で振動する。そして、固有振動数は、支持領域21a側の一端部から自由端側の他端部までの長さ、圧電膜50および電極膜60の厚さ、材料等によって変化する。このため、振動領域22の長さや詳細な材料等は、使用される用途に応じて適宜設定されることが好ましい。
【0044】
以上説明した本実施形態によれば、スリット40には、保護膜80が配置されている。また、保護膜80は、センシング部30よりも撥液性が高い材料、またはセンシング部30よりも親液性の高い材料で構成される。このため、測定媒体が気体である場合には、保護膜80を撥液性が高い材料で構成することにより、スリット40に水等の異物が付着することを抑制でき、検出精度が低下することを抑制できる。また、測定媒体が液体である場合には、保護膜80を親液性の高い材料で構成することにより、スリット40に埃等の異物が付着することを抑制でき、検出精度が低下することを抑制できる。
【0045】
また、スリット40に保護膜80を配置することにより、隣合う振動領域22の間の隙間をスリット40より狭くできる。ここで、本実施形態の圧電素子S1では、振動領域22の間の隙間から圧力が抜け出ることによって検出精度が低下し易くなる。したがって、スリット40に保護膜80を形成することにより、隣合う振動領域22の間の隙間を狭くでき、検出精度が低下することを抑制できる。
【0046】
(1)本実施形態では、凹部10aの側面10bにも保護膜80が配置されている。このため、凹部10aの側面に異物が付着することを抑制できる。さらに、凹部10aは、側面10bに凹凸部10cが形成されている。このため、保護膜80と凹凸部10cとの密着性を向上できる。そして、保護膜80は、凹凸部10cに起因した凹凸構造80aが構成されるように配置されている。このため、保護膜80が平坦に配置されている場合と比較して、ロータス効果を発揮させることができ、さらに異物が付着することを抑制できる。
【0047】
(2)本実施形態では、振動領域22の他面22b(すなわち、凹部10aの底面10e)にも保護膜80が形成されている。このため、振動領域22の他面22bにも異物が付着することを抑制でき、振動領域22の振動が異物によって阻害されることを抑制できる。
【0048】
(3)本実施形態では、凹部10aの側面10bから底面10eに渡って保護膜80が配置されている。そして、保護膜80は、支持基板11と絶縁膜12との境界に発生する段差部10dを埋め込むように配置されている。このため、保護膜80が配置されていない場合と比較して、振動領域22における固定端側での応力が大きくなり過ぎることを抑制でき、振動領域22が破壊されることを抑制できる。
【0049】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、凹部10aの形状を変更したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0050】
本実施形態の圧電素子S1では、
図4に示されるように、凹部10aの側面10bがテーパ状とされている。本実施形態では、凹部10aの側面10bは、振動領域22側から支持基板11の他面11b側に向かって対向する側面10bの間隔が広くなるテーパ状とされている。なお、振動領域22側から支持基板11の他面11b側に向かってとは、言い換えると、支持体10とセンシング部30との積層方向に沿ってということである。
【0051】
以上説明した本実施形態によれば、圧電素子S1に保護膜80が配置されているため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0052】
(1)本実施形態では、側面10bがテーパ状とされている。このため、例えば、側面10bに異物としての液体が付着した場合には、側面10bと振動領域22の他面20bとの成す角度が略垂直とされている場合と比較して、液体と側面10bとの接触面積が大きくなる。したがって、本実施形態によれば、異物としての液体を排出し易くできる。
【0053】
(第2実施形態の変形例)
第2実施形態の変形例について説明する。上記第2実施形態において、
図5に示されるように、凹部10aの側面10bは、振動領域22側から支持基板11の他面11b側に向かって対向する側面10bの間隔が狭くなるテーパ状とされていてもよい。このような構成としても、上記第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0054】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、保護膜80をケーシング100にも配置したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0055】
本実施形態の圧電装置S10では、
図6に示されるように、保護膜80が凹部10aの側面10bから、プリント基板101における貫通孔101bの壁面および貫通孔101bの周囲に形成されている。
【0056】
以上説明した本実施形態によれば、圧電素子S1に保護膜80が配置されているため、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0057】
(1)本実施形態では、測定媒体を導入する貫通孔101bの壁面にも保護膜80が配置されている。このため、貫通孔101bの壁面にも異物が付着することを抑制でき、貫通孔101bを通じた測定媒体の導入が阻害されることも抑制できる。また、このような圧電装置S10は、次のように製造することにより、製造工程が増加することを抑制できる。すなわち、まず、保護膜80が形成されていない圧電素子S1をプリント基板101に配置する。その後、圧電素子S1の保護膜80を配置する部分および貫通孔101bの壁面に溶液を塗布して乾燥させることにより、圧電素子S1および貫通孔101bの壁面に同時に保護膜80を形成でき、製造工程が増加することを抑制できる。
【0058】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、センサ素子を変更したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0059】
本実施形態のセンサ素子は、
図7に示されるように、静電式圧力センサS2とされている。具体的には、静電式圧力センサS2は、支持体10と、支持体10上に配置され、センシング部30が構成される構成層200を有している。なお、支持体10には、上記第1実施形態と同様に、凹部10aが形成されている。
【0060】
構成層200は、第1構成層210、第1絶縁膜220、第2構成層230、第2絶縁膜240、第3構成層250が積層されて構成されている。そして、構成層200は、凹部10a上の部分が浮遊領域21bとされ、当該浮遊領域21bによってセンシング部30が構成されている。なお、第1~第3構成層210、230、250は、例えば、シリコン基板で構成され、第1、第2絶縁膜220、240は、酸化膜等で構成される。
【0061】
第2構成層230は、凹部10a上で浮遊する部分において、圧力に応じて変位可能なダイヤフラム部230aを構成するように厚さが調整されている。
【0062】
第1、第3構成層210、250は、ダイヤフラム部230aとの間の容量を出力する電極部210a、250aとしての機能を発揮しつつ、ダイヤフラム部230aに測定媒体を通過させることができるように、それぞれ複数のスリット40が形成されている。このため、本実施形態のセンシング部30もスリット40が形成された構成とされている。
【0063】
そして、第3構成層上には、第1~第3パッド部261~263が配置されている。具体的には、第1パッド部261は、第1構成層210と電気的に接続されるように、第1絶縁膜220、第2構成層230、第2絶縁膜240、第3構成層250を貫通して配置された第1貫通電極271と接続されるように配置されている。なお、第1貫通電極271の周囲には、第2構成層230および第3構成層250との絶縁性を図ることができるように、絶縁膜281が配置されている。第2パッド部262は、第2構成層230と電気的に接続されるように、第2絶縁膜240、第3構成層250を貫通して配置された第2貫通電極272と接続されるように配置されている。なお、第2貫通電極272の周囲には、第3構成層250との絶縁性を図ることができるように、絶縁膜282が配置されている。第3パッド部263は、第3構成層250上に配置されている。
【0064】
そして、本実施形態では、スリット40を構成する壁面を含むように、保護膜80が形成されている。本実施形態では、第1、第3構成層210、250において、スリット40が形成された部分の周囲に保護膜80が配置されている。なお、保護膜80は、スリット40を通じて測定媒体が通過可能となるように配置されている。つまり、保護膜80は、スリット40を埋め込まないように配置されている。
【0065】
以上が本実施形態における静電式圧力センサS2の構成である。このような静電式圧力センサS2は、特に図示しないが、上記第1実施形態と同様に、支持基板11の他面11bがプリント基板101に実装され、プリント基板101に凹部10aと連通する貫通孔101bが形成される。そして、貫通孔101bから凹部10a内に測定媒体が導入されると、測定媒体の圧力に応じてダイヤフラム部230aが変位し、ダイヤフラム部230aと第1電極部210aとの間隔およびダイヤフラム部230aと第2電極部250aとの間隔が変化する。つまり、測定媒体の圧力に応じ、ダイヤフラム部230aと第1電極部210aとの間の容量およびダイヤフラム部230aと第2電極部250aとの間の容量が変化する。したがって、静電式圧力センサS2は、容量の変化を圧力検出信号として出力する。
【0066】
以上説明した本実施形態のように、静電式圧力センサS2においても、スリット40に保護膜80を形成することにより、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、本実施形態においても、上記第1実施形態のように、凹部10aの側面10bを含む位置に保護膜80を形成するようにしてもよい。この場合、凹部10aの側面10bに凹凸部10cを形成することにより、保護膜80の密着力を向上させることができる。また、ダイヤフラム部230aのうちの一方の面を受圧面とし、当該受圧面に保護膜80を配置するようにしてもよい。さらに、凹部10aの側面10bは、上記第2実施形態のように、テーパ状とされていてもよい。
【0067】
(他の実施形態)
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0068】
例えば、上記各実施形態において、センサ素子は、平面形状が矩形状ではなく、五角形状や六角形状等の多角形状とされていてもよい
また、上記各実施形態において、ケーシング100は、蓋部102に貫通孔101bが形成されていてもよい。この場合、例えば、上記第1実施形態では、振動領域22の一面22a側が受圧面となり、振動領域22の一面22aに保護膜80が配置される。
【0069】
そして、上記各実施形態において、凹部10aの側面10bに凹凸部10cが形成されていなくてもよい。また、上記各実施形態において、凹部10aの側面10bは、ブラスト処理等が行われることにより、凹凸部10cが形成されたり、凹凸部10cの大きさが調整されたりしてもよい。
【0070】
また、上記第1~第3実施形態において、圧電素子S1は、浮遊領域21bの平面形状が矩形状ではなく、五角形状、六角形状、八角形状等の多角形状とされていてもよい。そして、浮遊領域21bに形成される振動領域22の数は適宜変更可能である。
【0071】
さらに、上記第1~第3実施形態において、振動部20は、少なくとも1層の圧電膜50と、1層の電極膜60とを有する構成とされていればよい。
【0072】
そして、上記各実施形態を組み合わせるようにしてもよい。例えば、上記第4実施形態に上記第3実施形態を組み合わせ、プリント基板101の貫通孔101bに保護膜80が配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10 支持体
10a 凹部
21b 浮遊領域
30 センシング部
40 スリット
80 保護膜