(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】車両および充電システム
(51)【国際特許分類】
B60L 53/30 20190101AFI20240625BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240625BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20240625BHJP
【FI】
B60L53/30
H02J7/00 P
B60L53/14
(21)【出願番号】P 2021154001
(22)【出願日】2021-09-22
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木野村 茂樹
【審査官】上野 力
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-125933(JP,A)
【文献】特開2014-155411(JP,A)
【文献】特開2016-149872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 53/30
H02J 7/00
B60L 53/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に設けられた充電装置から電力を受電可能な車両であって、
前記充電装置に設けられた充電コネクタが接続されるインレット部と、
前記充電装置と通信する制御部と、
前記充電コネクタを通して供給される電力で充電される蓄電装置と、
ユーザが入力する入力部と、
を備え、
前記制御部は、充電中において前記入力部に充電停止要求が入力されたと判断すると、
充電を停止し
、
前記入力部は、ハザードスイッチ、ドアアンロックボタンおよびドアロックボタンの少なくとも1つを含み、
前記制御部は、前記入力部において、予め設定された充電停止操作がなされたと判断すると、前記入力部に前記充電停止要求が入力されたと判断し、
前記充電停止操作は、前記入力部へ予め定められた連続操作である、車両。
【請求項2】
前記充電停止操作は、
前記ドアアンロックボタンを複数回、操作することである、請求項
1に記載の車両。
【請求項3】
前記入力部は、ユーザが操作可能な充電停止スイッチである、請求項1に記載の車両。
【請求項4】
充電コネクタを含む充電装置と、
前記充電装置から電力を受電可能な車両と、を備え、
前記車両は、
前記充電装置に設けられた充電コネクタが接続されるインレット部と、
前記充電装置と通信する制御部と、
前記充電コネクタを通して供給される電力で充電される蓄電装置と、
ユーザが入力する入力部と、
を含み、
前記制御部は、充電中において前記入力部に充電停止要求が入力されたと判断すると、
充電を停止する要求を前記充電装置に送信し
、
前記入力部は、ハザードスイッチ、ドアアンロックボタンおよびドアロックボタンの少なくとも1つを含み、
前記制御部は、前記入力部において、予め設定された充電停止操作がなされたと判断すると、前記入力部に前記充電停止要求が入力されたと判断し、
前記充電停止操作は、前記入力部へ予め定められた連続操作である、充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両および充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から充電装置に設けられた充電コネクタを車両に接続して、車両に搭載された蓄電装置を充電システムについて各種提案されている。
【0003】
たとえば、特開2013-085346号公報に記載された充電システムにおいては、充電装置に緊急停止ボタンが設けられている。そして、ユーザは、充電中において緊急停止ボタンを押すことで、充電を停止させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような充電システムにおいては、充電装置を使いなれていないユーザにとって、充電中に充電を停止させる際に、どこに充電停止ボタンが設けられているのか分からない場合がある。
【0006】
本開示は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ユーザにとって、充電中に充電停止操作を簡単に実施することができる車両および充電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る車両は、外部に設けられた充電装置から電力を受電可能な車両であって、充電装置に設けられた充電コネクタが接続されるインレット部と、充電装置と通信する制御部と、充電コネクタを通して供給される電力で充電される蓄電装置と、ユーザが入力する入力部と、を備え、制御部は、充電中において入力部に充電停止要求が入力されたと判断すると、充電を停止する。
【0008】
上記入力部は、アクセルペダル、ブレーキペダル、イグニッションスイッチ、ハザードスイッチおよびドアロックボタンの少なくとも1つを含み、制御部は、入力部において、予め設定された充電停止操作がなされたと判断すると、入力部に充電停止要求が入力されたと判断する。上記充電停止操作は、入力部へ予め定められた連続操作である。上記充電停止操作は、ドアアンロックボタンを複数回、操作することである。上記入力部は、ユーザが操作可能な充電停止スイッチである。
【0009】
本開示に係る充電システムは、充電コネクタを含む充電装置と、充電装置から電力を受電可能な車両とを備え、車両は、充電装置に設けられた充電コネクタが接続されるインレット部と、充電装置と通信する制御部と、充電コネクタを通して供給される電力で充電される蓄電装置と、ユーザが入力する入力部と、を含み、制御部は、充電中において入力部に充電停止要求が入力されたと判断すると、充電を停止する要求を充電装置に送信する。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る車両および充電システムによれば、ユーザにとって、充電中に充電停止操作を簡単に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施の形態に係る充電システム1を模式的に示す模式図である。
【
図3】車両2の蓄電装置12を充電する際の充電フローを示すフロー図である。
【
図5】充電停止要件が発生したかを判断する制御フローである。
【
図6】終了前段階(S70)を示す制御フローである。
【
図7】充電終了段階(S80)を示すフロー図である。
【
図9】表示部25に表示された停止アイコン75を模式的に示す模式図である。
【
図10】充電システム1Aを模式的に示す模式図である。
【
図12】充電段階(S305)を示すフロー図である。
【
図13】充電停止要件が発生したかを判断する制御フローである。
【
図14】実施の形態3に係る充電システム1Bを模式的に示すブロック図である。
【
図15】充電設備203および車両202における充電関係に関する構成を示す模式図である。
【
図17】各コネクタが接続されてから充電開始までの充電フローを示すフロー図である。
【
図18】各コネクタが接続されてから充電開始までの充電フローを示すフロー図である。
【
図19】充電段階における制御フローを示すフロー図である。
【
図20】制御部255の充電停止要件が発生したかを判断する具体的なフローである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1から
図20を用いて、本実施の形態に係る充電システムおよび車両について説明する。
図1から
図20に示す構成のうち、同一または実質的に同一の構成については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。なお、明細書および図などにおいて、「S」は「Step」を意味する。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態に係る充電システム1を模式的に示す模式図である。
【0013】
充電システム1は、車両2と、充電装置3とを備える。
車両2は、通信装置9と、インレット部10と、充電リレー11と、蓄電装置12と、制御部13と、駆動装置14と、ボディ15と、電力配線16A,16Bと、接地線41と、CP配線42と、PP配線43と、駆動輪18と、入力部19とを備える。
【0014】
通信装置9は、図示されていない外部のサーバや後述する鍵29などと通信可能に構成されている。通信装置9は、受信した情報を制御部13に送信する。
【0015】
蓄電装置12は、充放電可能な二次電池や大型キャパシタなどである。駆動装置14は蓄電装置12に接続されている。蓄電装置12には、電流センサ46および電圧センサ47が設けられている。電流センサ46は、蓄電装置12からの出力電流および蓄電装置12への充電電流を測定し、制御部13に出力する。電圧センサ47は、蓄電装置12の電圧を測定して、制御部13に出力する。駆動装置14は蓄電装置12から供給される電力によって駆動輪18を駆動する駆動力を発生させる。駆動装置14は、たとえば、コンバータ30と、インバータ31と、回転電機32とを含む。コンバータ30と蓄電装置12との間にはSMR(システムメインリレー)33が設けられている。
【0016】
車両2は、複数の入力部19が設けられている。複数の入力部19は、たとえば、アクセルペダル20と、IGスイッチ21と、ブレーキペダル22と、ハザードスイッチ23と、ドアロックボタン24Aと、ドアアンロックボタン24Bと、表示部25と、鍵29とを含む。
【0017】
ユーザは車両2を起動させるときには、ブレーキペダル22を踏み込んだ状態でIGスイッチ21を押す。制御部13はブレーキペダル22が踏み込まれた状態でIGスイッチ21が押されると、駆動装置14などを起動させる。
【0018】
ユーザは車両2を走行させるときはアクセルペダル20を踏み込む。制御部13はアクセルペダル20のアクセル開度に応じた加速度にて車両2が加速するように、駆動装置14の駆動を制御する。
【0019】
ユーザは車両2を減速させる際にはブレーキペダル22を踏み込む。制御部13は、ブレーキペダル22の踏込量に対応する制動力が生じるように、駆動装置14を駆動したり、駆動輪18などに設けられたブレーキを駆動したりする。ユーザがハザードスイッチ23を押すと、ハザードランプ26が点滅する。
【0020】
ユーザは、ドア27をロックするときには、ドアロックボタン24Aを押す。ドアロックボタン24Aが押されると、ドアロックボタン24Aから制御部13にロック信号が送信される。制御部13は、ロック信号を受信すると、各ドア27に設けられたドアロック28を駆動して、ドア27をロックする。
【0021】
ユーザは、ドア27をアンロックするときには、ドアアンロックボタン24Bを押す。ドアアンロックボタン24Bが押されると、ドアアンロックボタン24Bからアンロック信号が制御部13に送信される。制御部13はアンロック信号を受信すると、制御部13を駆動して、ドアロック28によるドア27のロックを解除する。
【0022】
表示部25にはユーザへ伝達する各種の情報が表示されると共に、ユーザは表示部25に各種の情報を入力することができる。たとえば、表示部25には地図情報が表示されたり、ユーザによって操作されるボタンなどが表示されたりする。
【0023】
図2は、鍵29を模式的に示す斜視図である。鍵29は、本体70と、通信部71と、バッテリ72と、処理部73とを含む。通信部71は、車両2に設けられた通信装置9と通信する。バッテリ72は、通信部71および処理部73に駆動電力を供給する。
【0024】
本体70には、ユーザが操作することができる解錠ボタン29Aと、ロックボタン29Bとが設けられている。鍵29には、解錠ボタン29Aと、ロックボタン29Bとが設けられている。
【0025】
図1に戻って、ユーザが解錠ボタン29Aを押すと、通信部71からロック解錠信号が通信装置9に送信される。通信装置9がロック解除信号を受信すると、制御部13はドアロック28によるロックを解除する。ユーザがロックボタン29Bを押すと、通信部71からロック信号が通信装置9に送信される。通信装置9がロック信号を受信すると、制御部13はドアロック28にドア27をロックさせる。
【0026】
インレット部10は、ロック装置34と、筐体35と、DC端子36Aと、DC端子36Bと、PE端子37と、CP(Control Pilot)端子38と、PP(Proximity Pilot)端子39と、電圧センサ45とを含む。
【0027】
ロック装置34は、インレット部10に接続された充電コネクタ50をインレット部10にロックするための装置である。
【0028】
DC端子36A,36Bには、電力配線16A,16Bが接続されている。電力配線16A,16Bには、充電リレー11が設けられている。DC端子36A,36Bは、電力配線16A,16Bと、充電リレー11と、SMR33とを通して、蓄電装置12に接続されている。
【0029】
PE端子37には接地線41が接続されている。CP端子38にはCP配線42が接続されており、PP端子39にはPP配線43が接続されている。CP配線42およびPP配線43は、制御部13に接続されている。
【0030】
電圧センサ45は電力配線16Aおよび16Bの間の電圧を測定し、電圧センサ45は測定した結果を制御部13に送信する。
【0031】
充電装置3は、充電コネクタ50と、充電ケーブル51と、通信装置52と、変換器53と、制御装置54と、リレー55と、絶縁チェック回路56と、電圧センサ57とを含む。
【0032】
充電コネクタ50は、筐体60と、DC端子61A,DC端子61Bと、PE端子62と、CP端子63と、PP端子64とを含む。DC端子61A,61Bには、電力配線65A,65Bが接続されており、電力配線65A,65Bはリレー55に接続されており、リレー55は変換器53に接続されている。
【0033】
電圧センサ57は電力配線65Aおよび電力配線65Bに接続されている。電圧センサ57は電力配線65Aおよび電力配線65Bの間の電圧を測定し、電圧センサ57は、検知結果を制御装置54に送信している。
【0034】
変換器53は、外部に設けられた電源に接続されている。変換器53は電源からの供給される交流電力を直流電力に変換して出力する。
【0035】
絶縁チェック回路56は、電力配線65Aおよび電力配線65Bに接続されており、絶縁性のチェックをする回路である。
【0036】
PE端子62にはPE配線66が接続されている。CP端子63にはCP配線67が接続されている。PP端子64にはPP配線68が接続されている。PE配線66は接地されている。CP配線67およびPP配線68は、制御装置54に接続されている。
【0037】
図3は、車両2の蓄電装置12を充電する際の充電フローを示すフロー図である。
充電フローは、未接続状態(S10)と、接続確認段階(S20)と、初期段階(S30)と、ケーブルロック段階(S40)と、プリチャージ段階(S50)と、充電段階(S60)と、終了前段階(S70)と、充電終了段階(S80)とを含む。
【0038】
図3および
図1を参酌して、未接続状態(S10)は、インレット部10に充電コネクタ50が接続されていない状態である。この際、充電リレー11はOFFであり、リレー55もOFFである。
【0039】
接続確認段階(S20)は、インレット部10が充電コネクタ50に接続された状態である。この際、PE端子37とPE端子62とが接続される。CP端子38とCP端子63とが接続される。PP端子39とPP端子64とが接続される。DC端子36A,36BとDC端子61A,61Bとが接続される。
【0040】
ここで、CP端子38およびCP端子63が接続されることで、制御部13および制御装置54がパルス幅変調(PWM)によるPWM通信が開始される。
【0041】
そして、制御部13および制御装置54は、PWM信号の電圧およびデューティなどに基づいて、インレット部10が充電コネクタ50に接続されたことを検出する。たとえば、インレット部10および充電コネクタ50が接続されていない状態では、PWM信号の電圧は12Vであり(State A)、インレット部10および充電コネクタ50が接続されると電圧は9Vになる(State B)。
【0042】
インレット部10および充電コネクタ50が接続されると電圧は9Vになると、初期段階(S30)になる。
【0043】
初期段階(S30)は、データリンク確立(S31)と、セッション確立(S32)と、充電パラメータ情報段階(S33)と、初期絶縁性チェック段階(S34)とを含む。
【0044】
データリンク確立(S31)においては、上記のPWM信号のデューティ比が5%となり、CP端子38およびCP端子63を通して制御部13および制御装置54の間でハイレベル通信(PLC通信)が開始される。このようにして、制御部13および制御装置54の間でデータリンクが確立される。データリンクが確立した後、制御部13は充電装置3のIPアドレスを取得する。
【0045】
セッション確立(S32)においては、制御部13は制御装置54にV2Gセッションの開始要求(Session Setup Req)を送信し、制御装置54はV2Gセッションの開始応答(Session Setup Res)を返信する。これにより、制御部13および制御装置54のV2Gセッションが確立される。
【0046】
充電パラメータ情報段階(S33)においては、制御部13および制御装置54の間で、充電サービス情報に関する情報が授受される。
【0047】
たとえば、制御部13は制御装置54に充電パラメータ要求を送信する。充電パラメータ要求には、充電状態、充電方式、許容できる充電電流値、電力量、電圧値などの要求情報が含まれる。制御装置54は、充電パラメータ応答を制御部13に送信する。この充電パラメータ応答には、最大供給電流値、電圧値、最大電力量などを示す応答情報が含まれる。そして、制御部13はロック装置34を駆動して、インレット部10に充電コネクタ50をロックする。なお、制御部13および制御装置54は、充電パラメータ要求および充電パラメータ応答に基づいて、充電パラメータを設定する。
【0048】
初期絶縁性チェック段階(S34)においては、制御部13は制御装置54にチェック要求を送信する。制御装置54はチェック要求を受信すると、制御装置54は、電圧センサ57からの測定値に基づいて、電力配線65A,65Bなどが絶縁されているかを判断する。この際、充電リレー11およびリレー55はOFFとなっている。この状態で制御装置54は電力配線65A,65B間の電圧が60Vよりも小さい場合には、絶縁が確保されていると判断する。そして、制御装置54は制御部13にチェック応答を送信する。
【0049】
制御装置54は絶縁性が確保されていないと判断すると、チェック応答に絶縁性が確保されていないことを示す情報が格納される。この場合には、V2Gセッションが終了し、充電フローが終了する。
【0050】
そして、制御装置54にて絶縁性が確保されていると判断すると、制御部13は、CP端子38,63に印加されているPWM信号の電圧が9V(state B)から6V(state C)に変化させる。
【0051】
ケーブルロック段階(S40)においては、制御部13は、制御装置54にケーブルロック要求を送信する。ケーブルロック要求を制御装置54が受信すると、制御装置54は、絶縁チェック回路56を用いて、充電リレー11およびリレー55によって、絶縁性が確保されているかをチェックする。
【0052】
制御装置54は制御部13にケーブルチェック応答を送信する。制御装置54は、絶縁性が確保されていないと判断すると、ケーブルチェック応答に絶縁性が確保されていないことを示す情報を格納する。この場合には、2Gセッションが終了し、充電フローが終了する。その一方で、制御装置54は、絶縁性が確保されていると判断すると、ケーブルチェック応答には、絶縁性が確保されていることを示す情報を格納する。
【0053】
プリチャージ段階(S50)においては、制御部13は充電リレー11をONにする。制御装置54はリレー55をONにする。そして、制御部13は制御装置54にプリチャージ要求を送信する。プリチャージ要求は、要求電圧および要求電流を示す情報が格納されている。制御装置54はプリチャージ要求を受信すると、変換器53を駆動させる。これにより、充電装置3から車両2に直流電力が供給される。
【0054】
制御装置54は制御部13にプリチャージ応答を送信する。プリチャージ応答には変換器53からの出力電流および出力電圧を示す情報が含まれる。
【0055】
そして、制御部13は、プリチャージ要求に含まれる情報に基づいてプリチャージが良好に実行されているかを判断する。なお、制御部13はプリチャージが良好に実行されていないと判断すると、V2Gセッションが終了し、充電フローが終了する。
【0056】
充電段階(S60)においては、制御部13および制御装置54の間で各種情報の授受がなされる。そして、充電装置3から車両2に直流電力が供給され、蓄電装置12が充電される。制御部13は、蓄電装置12に設けられた電流センサ46および電圧センサ47から取得した情報に基づいて、蓄電装置12のSOCを算出しており、蓄電装置12のSOCが目標SOCになると、充電を終了する。たとえば、目標SOCは、満SOC、または、ユーザが設定した設定SOCである。なお、この充電段階(S60)では、充電リレー11およびリレー55の絶縁診断が実施されている。充電リレー11およびリレー55の溶着が検出されると、充電が停止される。さらに、ユーザからの充電停止要求が車両2に入力されたと判断すると、制御部13は充電を停止する。
【0057】
図4は、充電段階(S60)を示すフロー図である。
なお、充電段階(S60)は、充電装置3から車両2へ直流電力が供給されて蓄電装置12が充電される段階である。
【0058】
制御部13は制御装置54に電力供給要求(power delivery request)を送信する(S100)。電力供給要求には、充電プログレス(Charge Progress)情報が含まれる。充電プログレスには、充電開始・継続を示す「start」と、充電の終了を示す「stop」とを含む。
【0059】
制御装置54は制御部13から電力供給要求を受信すると、制御装置54は電力供給応答(Power Delivery Res)を返信する(S110)。
【0060】
電力供給応答には、充電装置3の駆動状態を示す状態情報が含まれる。状態情報は、電力供給中であるのか、停止しているのかなどの状態を示す情報である。
【0061】
制御部13は、電力供給要求を送信した後に、制御部13は制御装置54に電流要求リクエスト(Current_Demand_Req)を送信する(S120)。電流要求リクエストには、要求目標電力(EV_Target_Energy_Request)と、最大電力要求と、最少電力要求と、最大充電電力と、最大充電電流と、最大電圧との少なくとも1つを示す情報が格納されている。制御部13は、充電を停止する際には、要求目標電力は「0」に設定される。
【0062】
制御装置54は、変換器53から出力される出力電力が要求目標電力となるように変換器53の駆動を制御する(S125)。
【0063】
制御装置54は、電流要求リクエストを受信すると、電流要求応答を返信する(S130)。この電流要求応答(Current_Demand_Res)には、制御装置54からの出力電圧および出力電流に関する情報が含まれる。
【0064】
制御部13および制御装置54は、充電停止要件が発生したかを判断する(S140)。
【0065】
図5は、充電停止要件が発生したかを判断する制御フローである。充電停止要件には、「充電完了」と、「溶着検知(Welding Detection)」と、「ユーザ停止」とを含む。
【0066】
充電完了は、蓄電装置12のSOCが目標SOCに達したことを示す。溶着検知は充電リレー11またはリレー55の溶着を検知したことを示す。ユーザ停止は、ユーザによる充電停止要求が入力部19に入力されたことを示す。
【0067】
制御部13は、蓄電装置12のSOCが目標SOCに達したかを判断する(S142)。制御部13は、蓄電装置12のSOCが目標SOCに達したと判断すると(S142にてYes)、制御部13は、電力供給要求を送信する(S147)。この電力供給要求の充電プログレスには充電の終了を示す「stop」が格納されている。そして、制御部13は、電流要求リクエストを送信する(S148)。この電流要求リクエストの要求目標電力は「0」に設定されている。そして、制御部13は、後述する終了前段階(S70)に移行する。
【0068】
制御部13は蓄電装置12のSOCが目標SOCに達していないと判断すると(S142にてNo)、制御部13は溶着検知要求(Welding Detection Req)を制御装置54に送信する(Step143)。そして、制御装置54が溶着検知要求を受信すると、制御装置54は溶着検知応答(Welding Detection Response)を制御部13に送信する(S144)。溶着検知応答には、出力電圧を示す情報などが含まれている。なお、絶縁チェック回路56による絶縁チェック結果を含めるようにしてもよい。制御部13は、受信した溶着検知応答に基づいて、充電リレー11およびリレー55の溶着の有無を判断することができる。制御部13は溶着が検知されたかを判断する(S146)。
【0069】
制御部13は溶着を検知すると(S146にてYes)、制御部13は、制御部13は、電力供給要求を送信する(S147)。この電力供給要求の充電プログレスには充電の終了を示す「stop」が格納されている。そして、制御部13は、電流要求リクエストを送信する(S148)。この電流要求リクエストの要求目標電力は「0」に設定されている。そして、制御部13は、後述する終了前段階(S70)に移行する。
【0070】
制御部13は溶着していないと判断すると(S146にてNo)、制御部13はユーザによる充電停止要求が入力部19に入力されたかを判断する(S150)。なお、ユーザによる充電停止要求が入力部19に入力されたとの具体的な内容については後述する。
【0071】
制御部13は入力部19に充電停止要求が入力されたと判断すると(S150にてYes)、制御部13は、電力供給要求を送信する(S147)。この電力供給要求の充電プログレスには充電の終了を示す「stop」が格納されている。そして、制御部13は、電流要求リクエストを送信する(S148)。この電流要求リクエストの要求目標電力は「0」に設定されている。そして、制御部13は、後述する終了前段階(S70)に移行する。
【0072】
制御部13はユーザによる充電停止要求が入力部19に入力されていないと判断すると(S150にてNo)、制御部13は、電力供給要求を送信する(S154)。この電力供給要求の充電プログレスには充電の終了を示す「start」が格納されている。
【0073】
そして、制御部13は、電流要求リクエストを送信する(S156)。この電流要求リクエストの要求目標電力には、「0」以外の数値が格納される。具体的には、蓄電装置12を充電するために、制御部13が設定した電力値が格納される。そして、制御部13は、充電段階のS100に戻る。
【0074】
制御装置54は、受信した電力供給要求の充電プログレスに「stop」が格納されているかを判断する(S160)。
【0075】
制御装置54は、充電プログレスに「stop」が格納されていると判断すると(S160にてNo)、制御装置54は、電力供給応答を制御部13に送信し(S161)、終了前段階(S70)に移行する。
【0076】
制御装置54は、「stop」が格納されていないと判断すると(S160にてNO)、制御装置54は、電力供給応答を制御部13に送信する(S162)。そして、制御装置54は、受信した電流要求リクエストの要求目標電力が「0」に設定されているかを判断する(S164)。
【0077】
制御装置54は、要求目標電力は「0」に設定されると判断すると(S164にてYes)、制御装置54は、終了前段階(S70)に移行する。制御装置54は、要求目標電力は「0」に設定されていないと判断すると(S164にてNo)、電流要求応答を返信して(S168)、充電段階のS110に戻る。
【0078】
図6は、終了前段階(S70)を示す制御フローである。
終了前段階(S70)において、制御装置54は、変換器53の駆動を停止する(S180)。そして、電流要求応答を返信する(S182)。この電流要求応答には、出力電流を示す情報が格納されており、たとえば、0Aが格納されている。またこの電流要求応答には、出力電圧を示す情報が含まれており、たとえば、0Vが格納されている。
【0079】
制御部13は、電流要求応答を受信した後、制御部13は、充電リレー11をOFFにする(S190)。制御部13は、切断要求(disconnect charging device request)を送信する(S192)。この切断要求には、たとえば、充電リレー11の状態(ON/OFF)を示す情報が含まれる。
【0080】
制御装置54は、制御部13から切断要求を受信すると、リレー55を切断する(S184)。そして、制御装置54は制御部13に切断応答(Disconnect Charging Device Res)を送信する(S186)。この切断応答には、たとえば、リレー55の状態(ON/OFF)を示す情報が含まれる。
【0081】
そして、制御部13は、切断応答を受信すると、ロック装置34による充電コネクタ50のロックを解除する(S194)。
【0082】
図7は、充電終了段階(S80)を示すフロー図である。
制御部13はセッション停止要求(Session Stop Request)を送信する(S200)。制御装置54は、セッション停止要求を受信すると、セッション停止応答(Session Stop Res)を制御部13に送信する(S202)。
【0083】
これにより、制御部13および制御装置54の間の通信が終了し、充電フローが終了する。
【0084】
上記の実施の形態において、
図5において、ユーザによる充電停止要求が入力部19に入力された場合(S150にてYes)においては、制御部13および制御装置54は、終了前段階(S70)に移行し、結果として、充電が終了する。このように、充電中においても、ユーザの意思によって、充電を停止させることができる。
【0085】
ここで、ユーザによる入力部へ充電停止要求とは、ユーザが入力部に予め定められた操作をすることで、充電停止を車両2に要求することである。「入力部に予め定められた操作」としては、下記に例示する各種の操作の少なくとも1つを採用することができる。
【0086】
たとえば、
図2において、「入力部に予め定められた操作」の一例として、「解錠ボタン29Aを複数回連続して押す操作」を挙げることができる。また、「入力部に予め定められた操作」の一例として、「ロックボタン29Bを複数回連続して押す操作」を挙げることができる。なお、数回とは、たとえば、3回である。
【0087】
ここで、解錠ボタン29Aは、ドアロック28による解除をする際に使用される入力部19である。そのため、ロック装置34のロックを解除するときのイメージと結びつきやすい。そのため、「入力部に予め定められた操作」として、「解錠ボタン29Aを複数回連続して押す操作」を採用した場合には、ユーザにとって覚えやすい操作である。
【0088】
図1において、「入力部に予め定められた操作」の一例として、「ドアロックボタン24Aを複数回連続して押す操作」を挙げることができる。また、「入力部に予め定められた操作」の一例として、「ドアアンロックボタン24Bを複数回連続して押す操作」を挙げることができる。
【0089】
ここで、ドアアンロックボタン24Bは、ドアロック28による解除をする際に使用される入力部19である。そのため、ロック装置34のロックを解除するときのイメージと結びつきやすい。そのため、「入力部に予め定められた操作」として、「ドアアンロックボタン24Bを複数回連続して押す操作」を採用した場合には、ユーザにとって覚えやすい操作である。
【0090】
このように、「入力部に予め定められた操作」として、複数の操作がなされることにした場合、ユーザが誤って、充電停止の操作をしてしまうことを抑制することができる。
【0091】
なお、上記の例は、1つの入力部に複数の操作を加える操作であり、操作自体は比較的簡単である。このため、緊急時などのように、ユーザが焦っている場合においても、ユーザにとって上記の操作を実行することができる。
【0092】
さらに、ユーザは車両2に設けられた入力部19によって充電を停止させることができるため、充電装置3に充電対停止ボタンなどが設けられていない場合においても、充電を停止させることができる。
【0093】
「入力部に予め定められた操作」の一例として、「アクセルペダル20と、IGスイッチ21と、ブレーキペダル22と、ハザードスイッチ23と、ドアロックボタン24Aと、ドアアンロックボタン24Bとの少なくとも1つを複数回連続して押し込む操作」を挙げることができる。
【0094】
具体的には、「IGスイッチ21を押してON」にし、「IGスイッチ21を押してOFF」にし、「IGスイッチ21を押してON」にし、「IGスイッチ21を押してOFF」にし、「IGスイッチ21を押してON」し、「アクセルペダル20を2回踏み込む操作」をし、「IGスイッチ21を押してOFF」にするとの一連操作を「入力部に予め定められた操作」とすることができる。
【0095】
上記の例においては、誤って、停止操作をユーザが実行することを抑制することができる。
【0096】
また、「入力部に予め定められた操作」として、充電停止ボタンをユーザが押すことで、充電を停止させるようにしてもよい。
【0097】
図8は、充電停止ボタン74を示す模式図である。この充電停止ボタン74は、たとえば、車室内のダッシュボードなどに取り付けられている。そして、充電停止ボタン74が押されることで、制御部13は、「入力部に予め定められた操作」が実施されたと判断する。
【0098】
図9は、表示部25に表示された停止アイコン75を模式的に示す模式図である。表示部25は表示画面78を含む。停止アイコン75は表示画面78に表示されている。
【0099】
停止アイコン75は、表示ボタン76と、表示ボタン77とを含む。そして、表示ボタン76をユーザが押すと、制御部13は、「入力部に予め定められた操作」が実施されたと判断する。上記の例においては、ユーザにとって非常に簡単な操作であるため、ユーザは容易に充電を停止させることができる。
(実施の形態2)
図10などを用いて、実施の形態2に係る充電システム1Aについて説明する。
【0100】
図10は、充電システム1Aを模式的に示す模式図である。充電システム1Aは、車両102と、充電装置103とを備える。
【0101】
車両102は、蓄電装置110と、充電インレット113と、制御部13とを備える。
充電インレット113は、DC(+)端子150と、DC(-)端子151と、PE端子152と、S(+)端子153と、S(-)端子154と、CC1端子155と、CC2端子156と、筐体157とを含む。各端子150~156は、筐体157内に収容されており、各端子は絶縁されている。
【0102】
車両102は、制御部13と、DC(+)配線130と、DC(-)配線131と、PE線132と、S(+)信号線133と、S(-)信号線134と、CC1通信線135と、CC2通信線136と、制御部13と、接触器K5,K6と、スイッチSW2,SWvとを含む。
【0103】
DC(+)配線130およびDC(-)配線131は、蓄電装置110に接続されている。DC(+)配線130はDC(+)端子150に接続されており、DC(-)配線131はDC(-)端子151に接続されている。PE線132はアース線であり、PE端子152に接続されている。
【0104】
S(+)信号線133と、S(-)信号線134と、CC1通信線135と、CC2通信線136とは、制御部13に接続されている。S(+)信号線133は、S(+)端子153に接続されており、S(-)信号線134はS(-)端子154に接続されている。CC1通信線135はCC1端子155に接続されており、CC2通信線136はCC2端子156に接続されている。
【0105】
接触器K5はDC(+)配線130に設けられており、接触器K6はDC(-)配線131に設けられている。CC1通信線135には抵抗R4が接続されており、スイッチSW2は、抵抗R4と直列的にCC1通信線135に接続されている。スイッチSWvはCC2通信線136に設けられている。制御部13は、接触器K5,K6と、スイッチS2,SvのON/OFFの切替制御をする。
【0106】
制御部13には、BMS(battery management system)138が設けられている。車両102は、実施の形態1に係る車両2と同様に、複数の入力部19を含む。なお、車両102においても、複数の入力部19は、たとえば、アクセルペダル20と、IGスイッチ21と、ブレーキペダル22と、ハザードスイッチ23と、ドアロックボタン24Aと、ドアアンロックボタン24Bと、表示部25と、鍵29とを含む。
【0107】
充電装置103は、充電器122と、DC(+)配線160と、DC(-)配線161と、PE線162と、S(+)信号線163と、S(-)信号線164と、CC1通信線165と、CC2通信線166と、接触器K1と、接触器K2と、スイッチS1と、電圧測定装置145と、ブリーダ回路146と、IMD(絶縁監視装置:Insulation monitoring device)147と、充電器コントローラ173と、停止ボタン174とを含む。
【0108】
プラグ(充電コネクタ)120は、DC(+)端子180と、DC(-)端子181と、PE端子182と、S(+)端子183と、S(-)端子184と、CC1端子185と、CC2端子186と、筐体187とを含む。各端子は、筐体187内に収容されている。
【0109】
DC(+)配線160とDC(-)配線161とは、充電器122に接続されている。DC(+)配線160は、DC(+)端子180に接続されており、DC(-)配線161はDC(-)端子181に接続されている。PE線162は、アース線であり、PE線162はPE端子182に接続されている。
【0110】
S(+)信号線163と、S(-)信号線164と、CC1通信線165とは、充電器コントローラ173に接続されている。S(+)信号線163は、S(+)端子183に接続されており、S(-)信号線164はS(-)端子184に接続されている。
【0111】
CC1通信線165はCC1端子185に接続されている。CC2通信線166は一端がPE線162に接続されており、他端がCC2端子186に接続されている。
【0112】
接触器K1は、DC(+)配線160に設けられており、接触器K2はDC(-)配線161に設けられている。CC1通信線165には抵抗R1が設けられており、スイッチSW1は抵抗R1と並行になるようにCC1通信線165に接続されている。
【0113】
電圧測定装置145は、DC(+)配線160およびDC(-)配線161を接続するように設けられている。具体的には、DC(+)配線160のうちDC(+)端子180および接触器K1の間と、DC(-)配線161のうちDC(-)端子181および接触器K2の間とに接続されている。
【0114】
IMD47は、充電器122および接触器K1,K2の間であって、DC(+)配線160およびDC(-)配線161を接続するように設けられている。さらに、IMD147はPE線162にも接続されている。ブリーダ回路146は、充電器122および接触器K1,K2の間であって、DC(+)配線160およびDC(-)配線161を接続するように設けられている。
【0115】
プラグ120が充電インレット113に接続された状態においては、DC(+)端子150とDC(+)端子180とが接続され、DC(-)端子151とDC(-)端子181とが接続されている。PE端子152はPE端子182に接続され、S(+)端子153はS(+)端子183に接続される。S(-)端子154はS(-)端子184に接続され、CC1端子155はCC1端子185に接続される。CC2端子156はCC2端子186に接続される。
【0116】
制御部13は検出ポイントP2,P3を周期的に監視しており、充電器コントローラ173は検出ポイントP1を周期的に監視している。
【0117】
充電器コントローラ173は、充電器122と、スイッチSW1のON/OFF切替制御と、接触器K1,K2のON/OFF切替制御とを行う。停止ボタン174は充電装置103に設けられており、たとえば、ユーザが充電を停止させるときに押すボタンである。停止ボタン174が押されると、充電器コントローラ173は充電を停止させる。
【0118】
制御部13は、スイッチSW2およびスイッチSWvのON/OFF切替制御と、接触器K5,K6のON/OFF切替制御を行う。
【0119】
上記のように充電インレット113にプラグ120が接続されると、充電を実施するための各種制御が実行される。
【0120】
図11は、充電フローの概要を示すフロー図である。
図11において、充電フローは、接続確認段階(S300)と、粘着チェック段階(S301)と、絶縁試験段階(S302)と、充電ハンドシェーク段階(S303)と、充電諸元配置段階(S304)と、充電段階(S305)と、充電終了段階(S306)とを含む。
【0121】
ここで、接続確認段階においては、充電インレット113およびプラグ120が接続されているかを確認する。
【0122】
図10において、未接続状態T0(充電インレット113およびプラグ120が接続されていない状態)においては、スイッチSW1、SW2,SWvと、接触器K1、K2と、接触器K5,K6は、開状態である。この際、検出ポイントP1の電圧は、たとえば、12Vである。検出ポイントP2の電圧は0Vである。
【0123】
接続状態T1(プラグ120が充電インレット113に差し込まれた状態)においては、スイッチSW1、SW2,SWvと、接触器K1、K2と、接触器K5,K6は、開状態である。検出ポイントP1は2.95V、検出ポイントP2は2.25V、検出ポイントP3は0Vである。すなわち、プラグ120が充電インレット113に嵌合されることで、検出ポイントP1の電圧は、12Vから2.95Vに変化し、検出ポイントP2の電圧は、0Vから2.25Vになる。
【0124】
そして、充電器コントローラ173は検出ポイントP1の電圧変動を検知することでプラグ120が充電インレット113にはめ込まれたことを検知することができる。制御部13は、検出ポイントP2の電圧変動を検知することで、プラグ120が充電インレット113にはめ込まれたことを検知することができる。
【0125】
接続状態T1後のウェイクアップT2は、スイッチSW1が閉状態となる。そして、充電器コントローラ173は、検出ポイントP1の電圧が8.98Vとなると、充電ハンドシェークメッセージの送信を開始する。なお、各種メッセージは、S(+)信号線163およびS(+)信号線133と、S(-)信号線164およびS(-)信号線134を通して実行される。
【0126】
制御部13は検出ポイントP2が8.28Vであることを検出し、CC1通信線136とCC1通信線166とが接続されていることを確認する。そして、制御部13は充電器コントローラ173とメッセージの送受信を開始する。
【0127】
ウェイクアップT2後のウェイクアップT3においては、充電器コントローラ173は、スイッチSWvを閉状態にする。その後、制御部13は検出ポイントP3の電圧を検出して、検出ポイントP3の電圧に基づいて、接続された充電装置のバージョンを判断する。たとえば、検出ポイントP3の電圧が6Vである場合には、制御部13は、所定の充電器に接続されたと判断する。
【0128】
制御部13は、充電インレット113に接続された充電装置のバージョンを判断した後、制御部13はスイッチSWvを開状態にする。
【0129】
ウェイクアップT3後のウェイクアップT4において、制御部13は、電子ロックをONにして、充電インレット113とプラグ120とをロックする。このようにして、接続確認段階(S300)が完了する。
【0130】
次に、粘着チェック段階(S301)について説明する。粘着チェック段階においては、接触器K5,K6が粘着していないかを検出する。具体的には、接触器K5および接触器K6は、開状態(OFF)の状態であり、充電器コントローラ173は接触器K1および接触器K2を開状態(OFF)として、電圧測定装置145が電圧測定する。そして、電圧測定装置145が測定した電圧が、たとえば、10Vを超えていない場合には、充電器コントローラ173は接触器K5および接触器K6が粘着していないと判断する。
【0131】
次に、絶縁試験段階(S302)について説明する。
制御部13は接触器K1,K2を閉状態(ON)にする。なお、接触器K5および接触器K6は開状態(OFF)である。そして、充電器コントローラ173は、充電器122から電力を出力して、IMD147を用いて絶縁試験を実施する。たとえば、DC(+)配線160およびPE線162の間の絶縁と、DC(-)配線161およびPE線162の間の絶縁とを確認する。
【0132】
そして、充電器コントローラ173は、各絶縁状態が問題ないことを確認すると、充電器コントローラ173は、ブリーダ回路146を駆動させて、その後に、接触器K1および接触器K2を開状態(OFF)にする。このようにして、絶縁試験段階を終了する。なお、この絶縁性試験は、後述する充電段階においても継続的に実施される。
【0133】
図11に戻って、ハンドシェーク段階(S303)においては、BMS138および充電器コントローラ173はバージョンメッセージ、放電互換性情報、識別メッセージを交換する。
【0134】
次に、充電諸元配置段階(S304)について説明する。充電ハンドシェーク段階が完了した後、充電器コントローラ173およびBMS38は、各種の充電諸元メッセージを送受信して、双方に充電可能かを判断する。たとえば、BMS138は、充電器コントローラ173に動力蓄電池の充電諸元メッセージBCPを送信する。
【0135】
充電諸元メッセージBCPには、蓄電装置の充電電圧上限値(最高許容充電総電圧)V2と、最高許容充電電流値と、最高許容温度などを示す情報が含まれている。
【0136】
充電器コントローラ173は、充電諸元メッセージBCPを受信すると、充電器コントローラ173は、充電器時間同期情報メッセージCTSと、充電器最大出力能力メッセージCMLと、充電器充放電方向請求メッセージCCDとを送信する。
【0137】
充電器時間同期情報メッセージCTSには、充電器コントローラ173がBMS138に送信する時間同期情報が含まれている。充電器最大出力能力メッセージCMLには、最低出力電圧値と、最大出力電流値と、最小出力電流値とを示す情報が含まれている。
【0138】
充電器充放電方向請求メッセージCCDには、充電装置103からの充放電方向を示す情報が含まれている。たとえば、「00」は充電を示し、「01」は放電を示す。
【0139】
そして、BMS138は、充電器時間同期情報メッセージCTSなどを受信すると、BMS138は充放電が可能であるかを判断する。BMS138は、充放電できないと判断すると、エラーメッセージを送信して、終了する。
【0140】
その一方で、BMS138は、充放電可能であると判断すると、充電準備完了メッセージBROを充電器コントローラ173に送信する。充電準備完了メッセージBROは、BMS38は充電装置103に充電のスタンバイが完了したことを示すメッセージである。BMS138は、スタンバイ状態となると、接触器K5,K6を閉状態(ON)とする。そして、BMS138は充電諸元配置段階S714を終了する。
【0141】
充電器コントローラ173は、充電諸元メッセージBCPを受信すると、充放電可能であるかを判断する。そして、充電器コントローラ173は充放電可能であると判断すると、充電器出力準備完了メッセージCROをBMS138に送信する。そして、充電器コントローラ173は、接触器K1,K2をONにする。
【0142】
その一方で、充電器コントローラ173は、充放電できないと判断すると、エラーメッセージを送信して終了する。
【0143】
図12は、充電段階(S305)を示すフロー図である。
BMS138は、充電器コントローラ173に電池充電需要メッセージBCLを送信する(S310)。電池充電需要メッセージBCLは、電圧需要値(V)と需要電流値(A)とを含む。
【0144】
また、BMS138は、充電器コントローラ173に、電池充電総状態メッセージBCSを送信する(S320)。電池充電総状態メッセージBCSは、充電電圧の測定値と、充電電流の測定値と、蓄電装置110の現在のSOCなどを示す情報を含む。
【0145】
充電器コントローラ173は、電池充電需要メッセージBCLおよび電池充電総状態メッセージBCSに含まれる情報に基づいて充電器122の駆動を制御する(S325)。
【0146】
たとえば、充電電圧の測定値が電圧需要値になると共に充電電流の測定値が電流需要値となるように、充電器コントローラ173は充電器122から出力する出力電力、出力電圧、および出力電流などを調整する。
【0147】
充電器コントローラ173はBMS138に充電器充電状態メッセージCCSを送信する(S330)。充電器充電状態メッセージCCSは、充電装置103が現在出力している電圧出力値と、電流出力値などを示す情報を含む。
【0148】
そして、BMS138は充電器コントローラ173に動力蓄電池状態情報のメッセージBSMを送信する(S340)。
【0149】
動力蓄電池状態情報のメッセージBSMは、蓄電装置110の温度と、蓄電装置110のSOC状態と、蓄電装置110の充電電流状態と、蓄電装置110の温度状態と、蓄電装置110の絶縁状態などを示す情報を含む。
【0150】
蓄電装置110のSOC状態は、蓄電装置110のSOCが高すぎるのか正常であるかを示す情報である。蓄電装置110の充電電流状態は、充電電流が正常であるのか、充電電流が過電流であるかを示す情報である。蓄電装置110の温度状態は、蓄電装置110の温度が高すぎるのか、正常な温度であるかを示す情報である。
【0151】
充電器コントローラ173は、充電停止要件が発生したかを判断する(S350)。ここで、充電器コントローラ173が判断する充電停止要件には、絶縁故障を検知した場合と、充電中止メッセージBSTを受信した場合と、停止ボタン174が押された場合とを含む。
【0152】
充電器コントローラ173が判断する絶縁故障は、DC(+)配線160およびPE線162の間の絶縁と、DC(-)配線161およびPE線162の間との間の絶縁性に異常が発生したことを意味する。なお、充電器コントローラ173は、IMD147からの入力値によって判断する。充電中止メッセージBSTは、車両102において充電停止要件が発生した場合にBMS138から送信されるメッセージである。
【0153】
充電器コントローラ173は、上記の絶縁故障が発生したと判断すると、充電器コントローラ173は、充電停止要件が発生したと判断する(S350にてYes)。そして、充電器コントローラ173は、充電中止メッセージCSTをBMS138に送信する(S360)。また、充電器コントローラ173は、充電中止メッセージBSTを受信したと判断した場合においても、充電器コントローラ173は、充電停止要件が発生したと判断する(S350にてYes)。そして、充電器コントローラ173は、充電中止メッセージCSTをBMS138に送信する(S360)。充電器コントローラ173は、充電中止メッセージCSTを送信した後、充電器コントローラ173は充電終了段階(S306)に移行する。
【0154】
その一方で、充電器コントローラ173は充電停止要件が発生していないと判断すると(S350にてNo)、充電段階を継続する。
【0155】
BMS138は、充電停止要件が発生したかを判断する(S380)。
図13は、充電停止要件が発生したかを判断する制御フローである。BMS138が判断する充電停止要件には、「充電完了」と、「絶縁故障」と、「ユーザ停止」と、「充電中止メッセージCSTの受信」とが含まれる。
【0156】
充電完了とは、蓄電装置110のSOCが目標値になった場合である。絶縁故障は、たとえば、蓄電装置110内の絶縁故障である。ユーザ停止は、上記実施の形態1と同様に、ユーザによる充電停止要求が入力部19に入力された場合である。
【0157】
充電中止メッセージCSTの受信は、充電器コントローラ173から送信された充電中止メッセージCSTを受信しているかである。
【0158】
BMS138は充電が完了したか否かを判断する(S400)。BMS138は充電が完了していないと判断すると(S400にてNo)、BMS138は絶縁故障しているかを判断する(S402)。
【0159】
BMS138は絶縁故障していないと判断すると(S402にてNo)、BMS138はユーザによる充電停止要求が入力部19に入力されたかを判断する(S404)。なお、本実施の形態2においても、上記の実施の形態1と同様に、ユーザによる入力部へ充電停止要求とは、ユーザが入力部に予め定められた操作をすることで、充電停止を車両に要求することである。
【0160】
BMS138は、BMS138はユーザによる充電停止要求が入力部19に入力されていないと判断すると(S404にてNo)、BMS138は、充電中止メッセージCSTを受信したかを判断する(S406)。
【0161】
そして、BMS138は、「充電完了」と、「絶縁故障」と、「ユーザ停止」と、「充電中止メッセージCSTの受信」とのいずれの充電停止要件にも該当しないと判断すると(S406にてNo)、BMS138は、充電停止要件は発生していないと判断する(S408)。そして、
図12に示すS310に戻る。
【0162】
その一方で、BMS138は、充電が完了したと判断した場合(S400にてNo)と、絶縁故障していると判断した場合と(S402にてNo)、ユーザによる入力部への充電停止要求があったと判断した場合(S404にてYes)と、充電中止メッセージCSTを受信した場合(S406にてNo)とにおいては、BMS138は、充電停止要件が発生したと判断する(S410)。そして、
図12において、充電器コントローラ173に充電中止メッセージBSTを送信する(S420)。
【0163】
図12において、充電中止メッセージBSTには、中止原因を示す情報が含まれる。中止原因を示す情報は、正常中止と、エラー中止と、緊急停止と区別する情報とが含まれる。
【0164】
正常中止としては、蓄電装置110のSOCが目標SOCとなった場合が該当する。エラー中止には、絶縁故障が発生した場合と、充電中止メッセージCSTを受信した場合とが該当する。緊急中止には、ユーザによる入力部への充電停止要求があった場合が該当する。そして、BMS138は充電中止メッセージBSTを送信した後、充電終了段階(S306)に移行する。BMS138および充電器コントローラ173は、充電終了段階(S306)に移行すると、充電を終了する。
【0165】
なお、本実施の形態2においても、上記の実施の形態1と同様に、ユーザによる入力部へ充電停止要求とは、ユーザが入力部に予め定められた操作をすることで、充電停止を車両102に要求することである。「入力部に予め定められた操作」としては、下記に例示する各種の操作の少なくとも1つを採用することができる。
【0166】
たとえば、
図10において、「入力部に予め定められた操作」の一例として、「解錠ボタン29Aを複数回連続して押す操作」を挙げることができる。また、「入力部に予め定められた操作」の一例として、「ロックボタン29Bを複数回連続して押す操作」を挙げることができる。なお、数回とは、たとえば、3回である。
【0167】
また、
図10において、「入力部に予め定められた操作」の一例として、「ドアロックボタン24Aを複数回連続して押す操作」を挙げることができる。また、「入力部に予め定められた操作」の一例として、「ドアアンロックボタン24Bを複数回連続して押す操作」を挙げることができる。
【0168】
さらに、「入力部に予め定められた操作」の一例として、「アクセルペダル20と、IGスイッチ21と、ブレーキペダル22と、ハザードスイッチ23と、ドアロックボタン24Aと、ドアアンロックボタン24Bとの少なくとも1つ所定の手順で押し込む操作」を挙げることができる。
【0169】
上記の実施の形態2においても、ユーザは充電を停止させることができる。さらに、停止ボタン174が設けられていない充電装置103においても、ユーザは車両102に設けられた入力部19を用いて充電を停止させることができる。
(実施の形態3)
図14は、実施の形態3に係る充電システム1Bを模式的に示すブロック図である。充電システム1は、車両202および充電設備203を備える。
【0170】
車両202は、上記の実施形態1,2と同様に、車両202においても、複数の入力部19を含む。複数の入力部19は、たとえば、アクセルペダル20と、IGスイッチ21と、ブレーキペダル22と、ハザードスイッチ23と、ドアロックボタン24Aと、ドアアンロックボタン24Bと、表示部25と、鍵29とを含む。
【0171】
本実施の形態3においても、上記の実施の形態1,2と同様に、ユーザによる入力部へ充電停止要求とは、ユーザが入力部に予め定められた操作をすることで、充電停止を車両202に要求することである。「入力部に予め定められた操作」としては、下記に例示する各種の操作の少なくとも1つを採用することができる。
【0172】
たとえば、「入力部に予め定められた操作」の一例として、「解錠ボタン29Aを複数回連続して押す操作」を挙げることができる。また、「入力部に予め定められた操作」の一例として、「ロックボタン29Bを複数回連続して押す操作」を挙げることができる。なお、数回とは、たとえば、3回である。
【0173】
また、「入力部に予め定められた操作」の一例として、「ドアロックボタン24Aを複数回連続して押す操作」を挙げることができる。また、「入力部に予め定められた操作」の一例として、「ドアアンロックボタン24Bを複数回連続して押す操作」を挙げることができる。
【0174】
さらに、「入力部に予め定められた操作」の一例として、「アクセルペダル20と、IGスイッチ21と、ブレーキペダル22と、ハザードスイッチ23と、ドアロックボタン24Aと、ドアアンロックボタン24Bとの少なくとも1つ所定の手順で押し込む操作」を挙げることができる。
【0175】
上記のような操作がなされると、充電中においても、制御部255から充電停止信号S8が制御部216に送信され、充電設備203による充電が停止される。
【0176】
図15は、充電設備203および車両202における充電関係に関する構成を示す模式図である。充電設備203は、充電ケーブル211と、設備側コネクタ212と、変換器213と、ELB(漏電遮断器)214と、通信部215と、制御部216と、制御電源217と、リレー218,219と、フォトカプラ220と、ユーザインターフェース221とを含む。
【0177】
充電ケーブル211は、一対の充電用ライン231と、一対の通信用ライン232と、制御用ライン233とを有する。
【0178】
充電用ライン231,231は、車両202に充電電力を供給する電力線である。通信用ライン232、232は、車両202と通信をするための通信線である。制御用ライン233は、一対の充電開始停止ライン234、234と、コネクタ接続確認ライン235と、充電禁止許可ライン236と、グランドライン237とを含む。
【0179】
設備側コネクタ212は、充電ケーブル211の先端に設けられている。設備側コネクタ212には、充電用ライン231に接続された端子と、通信用ライン232に接続された端子と、制御用ライン233に接続された端子と、充電開始停止ライン234に接続された端子と、コネクタ接続確認ライン235に接続された端子と、充電禁止許可ライン236に接続された端子と、グランドライン237に接続された端子とを含む。
【0180】
設備側コネクタ212には、ラッチ245と、ラッチホールド回路244とが設けられている。ラッチ245は、設備側コネクタ212が車両側コネクタ252に接続されることで、車両側コネクタ252に係合して、設備側コネクタ212が車両側コネクタ252から外れないようにする。ラッチホールド回路244は、充電中において、設備側コネクタ212が車両側コネクタ252から外れないように、ラッチ245による係合状態をホールドする。
【0181】
変換器213はAC入力電源240に接続されている。AC入力電源240は、AC/DC整流器と、DC/ACインバータと、絶縁トランスと、AC/DC整流器とを備える。
【0182】
電圧計241は、設備側コネクタ212の端子とAC入力電源240との間に設けられており、充電用ライン231同士の間の電圧を測定する。電圧計241は、測定した電圧値を制御部216に送信している。電流計242は、一方の充電用ライン231に設けられている。電圧計241は、測定した電圧値を制御部216に送信している。地絡検知器243は、各充電用ライン231と、グランドライン237とに接続されている。地絡検知器243は、検知結果を制御部216に送信している。
【0183】
変換器213は、AC入力電源240から供給される交流電力を直流電力に変換する。ELB214は、変換器213とAC入力電源240との間に配置されており、変換器213およびAC入力電源240を電気的に接続したり、切断したりする。
【0184】
通信部215は、CAN(Controller Area Network)などの通信プロトコルに基づいて、車両202と通信する。
【0185】
制御部216は、変換器213と、ELB214と、通信部215と、リレー218,219と、フォトカプラ220などの制御を行う。
【0186】
制御部216は記憶部222を含む。記憶部222には、出力可能電圧値V0などが格納されている。
【0187】
制御電源217は、通信部215と、制御部216と、リレー218,219と、フォトカプラ220などに駆動電力を供給する電源である。
【0188】
リレー218は、制御電源217の正極側と、充電開始停止ライン234との間に接続されており、制御部216からの制御信号に基づいて、制御電源217の正極と充電開始停止ライン234との接続および切断とを行う。
【0189】
リレー219は、制御電源217の負極(接地電圧)と、充電開始停止ライン234との間に接続されており、制御部216からの制御信号に基づいて、制御電源217の負極と充電開始停止ライン234との接続および切断とを行う。
【0190】
フォトカプラ220は、コネクタ接続確認ライン235の導通可否に応じた事前準備確認信号S7を制御部216に伝達する。フォトカプラ220は、入力側の発光素子にオン電流が流れると、出力側の受光素子が事前準備確認信号S7を制御部216に出力する。
【0191】
ユーザインターフェース221は、ユーザが操作するインターフェースであり、たとえば、タッチパネルなどである。ユーザはユーザインターフェース221に表示される充電開始ボタンを押すことで、充電を開始させることができる。ユーザインターフェース221において充電開始ボタンが押されると、充電開始トリガーS0が制御部216に送信される。ユーザインターフェース221には、充電を停止させるための充電停止ボタン229が設けられている。充電停止ボタン229が押されると、充電設備203による充電が停止され、車両202には充電停止信号S9が送信される。
【0192】
次に、車両202について説明する。
車両202は、車両側コネクタ252と、蓄電装置253と、通信部254と、制御部255と、制御系電源256と、リレー257,258と、フォトカプラ259,260と、スイッチ261と、検知回路262と、センサ280とを含む。
【0193】
車両202は、一対の充電用ライン271と、一対の通信用ライン272と、制御ライン273とを含む。制御ライン273は、一対の充電開始停止ライン274A,274Bと、コネクタ接続ライン275と、コネクタ接続ライン275と、グランドライン277とを含む。車両側コネクタ252には各ラインに対応する端子が設けられている。
【0194】
設備側コネクタ212が車両側コネクタ252に接続されると、設備側コネクタ212および車両側コネクタ252に設けられた各端子が接続される。これにより、充電用ライン231と充電用ライン271と、通信用ライン232と通信用ライン272と、充電開始停止ライン234と充電開始停止ライン274と、コネクタ接続確認ライン235とコネクタ接続ライン275と、充電禁止許可ライン236と充電許可禁止ライン276と、グランドライン237とグランドライン277とが電気的に接続される。
【0195】
蓄電装置253は、車両202を走行させる駆動用モータおよびインバータを含む駆動装置に電力を供給する二次バッテリである。蓄電装置253には、センサ280が設けられており、センサ280は、蓄電装置253の温度を測定し、蓄電装置253の温度情報を蓄電装置253に送信する。通信部254は、CANなどの通信プロトコルに基づいて、充電設備203と通信する。
【0196】
制御部255は、通信部254と、制御系電源256と、リレー257,258と、フォトカプラ259などの駆動を制御する。制御系電源256は、通信部254と、制御部255と、制御系電源256などの各機器に電力を供給する電源である。
【0197】
制御部255は、記憶部267を含み、記憶部267には、蓄電装置253の電池最大電圧値V1と、電池耐力上限値V4とを含む情報が格納されている。電池最大電圧値V1とは、たとえば、満充電時における蓄電装置253の電圧である。なお、電池最大電圧値V1は、たとえば、SOCが80%であるときの蓄電装置253の電圧値であってもよい。
【0198】
電池耐力上限値V4は、車両202が蓄電装置253を保護するために充電を停止する電圧である。
【0199】
リレー257は、充電用ライン271と蓄電装置253との間の接続および切断を行う。リレー257は、通常の状態において開放されている。リレー258、リレー218およびリレー219が閉状態となると、充電設備203の制御電源217から駆動電力がリレー257に供給される。
【0200】
リレー257に駆動電力が供給されると、リレー257が閉状態となり、蓄電装置253および充電用ライン271が接続される。
【0201】
リレー258の一端は、リレー218に接続された一方の充電開始停止ライン274Aに接続されており、リレー258の他端は、リレー219に接続された他方の充電開始停止ライン274Bに接続されている。そして、リレー218,219およびリレー258が閉状態となることで、リレー257に駆動電力が供給され、リレー257が閉状態となる。
【0202】
フォトカプラ259は、コネクタ同士が接続された状態において、リレー218が閉状態となると、制御部255に事前準備合図信号S1を送信する。具体的には、フォトカプラ259は、充電開始停止ライン274Aおよび接地電位に接続された発光素子と、制御部255および制御系電源256の間に接続された受光素子とを含む。
【0203】
コネクタが接続された状態において、リレー218が閉状態となると発光素子が発光し、受光素子が受光する。そして、受光素子が制御部255に事前準備合図信号S1を送信する。
【0204】
フォトカプラ260は、各コネクタが接続された状態において、リレー218,219の開閉状態に応じて、充電開始合図信号S2を制御部255に送信する。具体的には、充電開始停止ライン274Aおよび充電開始停止ライン274Bに接続された発光素子と、制御系電源256および接地電位に接続された受光素子とを含む。
【0205】
そして、各コネクタが接続された状態において、リレー218,219が閉状態となると、発光素子が発光し、受光素子が受光する。そして、受光素子は、充電開始合図信号S2を制御部255に送信する。
【0206】
スイッチ261は、各コネクタが接続された状態において、制御部255からオン電流が供給されると、コネクタ接続ライン275を電気的に導通させる。
【0207】
具体的には、スイッチ261は、コネクタ接続ライン275および接地電位の間に接続されている。スイッチ261に制御部255からオン電流が供給されると、スイッチ261はコネクタ接続ライン275を接地電位に接続する。
【0208】
図16は、検知回路262を示すブロック図である。検知回路262は、設備側コネクタ212および車両側コネクタ252が接続された状態において、コネクタ接続確認信号S3を制御部255に送信する。検知回路262は、スイッチ263と、フォトカプラ264と、スイッチ265とを含む。車両202のイグニッションスイッチがONとなると、スイッチ263に制御部255からオン電流が供給され、スイッチ263がONとなる。フォトカプラ263がONとなると、スイッチ265は閉状態となり、スイッチ265はコネクタ接続ライン275およびフォトカプラ264を電気的に接続する。フォトカプラ264は、発光素子および受光素子を含む。
【0209】
スイッチ265が閉状態となると、発光素子には、制御電源217からの駆動電力が供給され、発光する。受光素子は、発光素子からの光を受光して、制御部255にコネクタ接続確認信号S3を送信する。
【0210】
図17および
図18は、各コネクタが接続されてから充電開始までの充電フローを示すフロー図である。
【0211】
設備側コネクタ212および車両側コネクタ252が接続された状態で、制御部216が充電開始トリガーS0を受信する(S1010)と、制御部216は、リレー218を閉状態にする(S1012)。リレー218が閉状態となると、フォトカプラ259から事前準備合図信号S1が制御部255に送信される。なお、充電開始トリガーS0は、ユーザの操作によって、ユーザインターフェース221から制御部216に送信される。
【0212】
制御部255は、事前準備合図信号S1を受信すると、制御部255は、コネクタ接続確認信号S3を受信したかを判断する(S912)。
【0213】
制御部255は、コネクタ接続確認信号S3を受信していないと判断すると(S912にてNo)、制御部255は、異常通知を充電設備203に通知する(S913)。
【0214】
制御部255はコネクタ接続確認信号S3を受信したと判断すると(S912にてYes)、制御部255は、通信用ライン272および通信用ライン232を通して、コネクタ接続完了信号S4を制御部216に送信する(S914)。
【0215】
制御部216はコネクタ接続完了信号S4を所定期間内に受信したかを判断している(S1014)。制御部216はコネクタ接続完了信号S4を所定期間内に受信したと判断すると(S1014にてYes)、制御部216は、通信用ライン232および通信用ライン272を通して、制御部255に充電器CANデータD0を送信する。充電器CANデータD0には、充電設備203の出力可能電圧値V0を含む。
【0216】
制御部255は、出力可能電圧値V0が電池最大電圧値V1以上であるかを判断する(S916)。制御部255は、出力可能電圧値V0が電池最大電圧値V1以上であると判断すると(S916にてYes)、制御部255は制御部216に、充電電圧上限値V2および電池耐力上限値V4を送信する(S918)。この際、充電電圧上限値V2は、電池最大電圧値V1である。なお、充電電圧上限値V2は、蓄電装置253の最大電圧値として、制御部255から制御部216に送信される値である。
【0217】
制御部255は、電池最大電圧値V1が出力可能電圧値V0よりも大きいと判断すると(S916にてNo)、制御部255は制御部216に充電電圧上限値V2と、電池耐力上限値V4とを送信する(S920)。この際、充電電圧上限値V2は、最大電圧値V3に設定されており、最大電圧値V3は出力可能電圧値V0以下の値である。なお、最大電圧値V3を出力可能電圧値V0として設定してもよい。
【0218】
制御部216は充電電圧上限値V2を受信すると、判定処理を行う(S1022)。具体的には、出力可能電圧値V0が充電電圧上限値V2以上であるかを判断する(S1022)。制御部216は、出力可能電圧値V0が充電電圧上限値V2以上である場合には、蓄電装置253を満充電まで充電することができると判断する。
【0219】
その一方で、制御部216は、充電電圧上限値V2が出力可能電圧値V0よりも大きい場合には、蓄電装置253を満充電まで充電することができないと判断する。
【0220】
そのため、制御部216は、充電電圧上限値V2が出力可能電圧値V0よりも大きい場合には、異常通知を制御部255に送信する(S1013)。この異常通知には、蓄電装置253を満充電まで充電することができないことを示す電池不適合通知を含めるようにしてもよい。そして、制御部216は、充電を開始しない。
【0221】
制御部216は、出力可能電圧値V0が充電電圧上限値V2以上であると判断すると(S1022にてYes)、制御部216は、出力可能電流値I0を算出する(S1026)。
【0222】
出力可能電流値I0は、電池耐力上限値V4および出力可能電圧値V0のう小さい電圧値に基づいて算出される。制御部216は、制御部255に出力可能電流値I0を送信する(S1028)。
【0223】
制御部255は、出力可能電流値I0を受信する(S922)と、スイッチ261をONにする(S924)。スイッチ261がONとなると、フォトカプラ220の発光素子が発光して、フォトカプラ220の受光素子が受光する。フォトカプラ220の受光素子は、制御部216に事前準備確認信号S7を送信する。これにより、制御部216は事前準備確認信号S7を受信する(S1030)。
【0224】
図18において、制御部216は、事前準備確認信号S7を受信すると、ラッチホールドを行う(S1032)。具体的には、ラッチホールド回路244を駆動させて、ラッチ245のロック状態をホールドする。
【0225】
そして、制御部216は、リレー257が開放状態であるかを確認する(S1034)。具体的には、電圧計241から取得した電圧値が所定電圧以下である場合には、リレー257が開放されていると判断し、電圧計241から取得した電圧値が所定電圧よりも大きいと判断すると、リレー257が閉状態であると判断する。
【0226】
制御部216は、リレー257が閉状態において、であると判断すると(S1034にてNo)、制御部216は、制御部255に異常通知を送信する(S1036)。
【0227】
制御部216は、リレー257が開放状態であると判断すると(S1034にてYes)、制御部216は、絶縁診断を実施する(S1038)。
【0228】
具体的には、変換器213を駆動して、所定電圧を出力する。そして、電流計242から取得した電流値と、地絡検知器243からの出力値とに基づいて、充電設備203側の絶縁診断を行う。
【0229】
制御部216は、絶縁診断の結果、異常があると判断すると(S1038にてNo)、制御部255に異常通知を送信する(S1036)。
【0230】
制御部216は、絶縁診断の結果、問題がないと判断すると(S1038にてYes)、リレー219を閉状態にする(S1040)。リレー218は既に閉状態であり、リレー219が閉状態となることで、フォトカプラ260の発光素子が発光し、フォトカプラ260の受光素子が受光する。そして、フォトカプラ260の受光素子は、充電開始合図信号S2を制御部255に送信する。これにより、制御部255は、充電開始合図信号S2を受信する(S926)。
【0231】
制御部216は、車両充電可能フラグS5を送信する(S1042)。車両充電可能フラグS5は、通信用ライン232と通信用ライン272とを通して、制御部216に送信される。
【0232】
制御部255は、充電開始合図信号S2および車両充電可能フラグS5を受信したかを判断している(S928)。制御部255は、車両充電可能フラグS5および充電開始合図信号S2を受信すると(S928にてYes)、リレー258を閉状態にする(S930)。
【0233】
ここで、リレー258が閉状態となると、制御電源217からリレー257に駆動電力が供給される。これにより、リレー257が閉状態となる(S932)。
【0234】
制御部216は、リレー257が閉状態であることを確認する(S1044)。具体的には、リレー257が閉状態となると、電圧計241には蓄電装置253の電圧が印加されることになる。そこで、制御部216は電圧計241から取得した電圧値が所定値以上である場合には、リレー257が閉状態であると判断する。
【0235】
制御部255は、充電指令値S6を制御部216に送信する(S1048)。制御部255は充電指令値S6を出力可能電流値I0よりも小さい値に設定する。制御部216は、リレー257が閉状態であると判断すると(S1044にてYes)、充電指令値S6に基づいて充電を開始する(S1050)。
【0236】
図19は、充電段階における制御フローを示すフロー図である。
制御部255は、制御部216に充電指令を送信する(S940)。この充電指令には、充電電流の指令値が含まれる。
【0237】
制御部216は、充電指令を受信すると、変換器213を駆動して変換器213から充電電流を出力させる(S1050)。
【0238】
制御部216は、充電停止ボタン229が押されたかを判断する(S1052)。充電停止ボタン229が押されたと判断すると(S1052にてYes)、制御部216は充電停止信号S9を制御部255に送信する(S1054)。その後、制御部216は充電制御を終了する。
【0239】
制御部216は、充電停止ボタン229が押されていないと判断すると、制御部216は、充電停止信号S8を受信したかを判断する(S1056)。制御部216は、充電停止信号S8を受信したと判断すると(S1056にてYes)、充電を終了する。
【0240】
その一方で、充電停止信号S8を受信していないと判断すると(S1056にてNo)、S1050に戻る。
【0241】
制御部255は、充電指令を送信した後、停止要件が発生したかを判断する(S950)。充電停止要件が発生したと判断すると(S950にてYes)、充電停止信号S8を制御部216に送信する(S960)。その一方で、充電停止要件が発生していないとア判断すると(S950にてNo)、S940に戻る。
【0242】
図20は、制御部255の充電停止要件が発生したかを判断する具体的なフローである。
【0243】
制御部255は、蓄電装置253の充電が完了したかを判断する(S1100)。充電が完了していないと判断すると(S1100にてNo)、制御部255は蓄電装置253の温度が所定温度よりも高いかを判断する(S1110)。制御部255は、蓄電装置253の温度が所定温度よりも低いと判断すると(S1110にてNo)、蓄電装置253の電圧が所定電圧(電池耐力上限値V4)よりも高いかを判断する(S1120)。
【0244】
制御部255は、蓄電装置253の温度が電池耐力上限値V4よりも低いと判断すると(S1120にてNo)、入力部19に充電停止要求が入力されたかを判断する(S
1130)。
【0245】
本実施の形態3においても、上記の実施の形態1,2と同様に、ユーザによる入力部へ充電停止要求とは、ユーザが入力部に予め定められた操作をすることで、充電停止を車両202に要求することである。「入力部に予め定められた操作」の一例として、「ドアアンロックボタン24Bを複数回連続して押す操作」を挙げることができる。
【0246】
さらに、「入力部に予め定められた操作」の一例として、「アクセルペダル20と、IGスイッチ21と、ブレーキペダル22と、ハザードスイッチ23と、ドアロックボタン24Aと、ドアアンロックボタン24Bとの少なくとも1つ所定の手順で押し込む操作」を挙げることができる。
【0247】
そして、充電停止要求が入力部19に入力されていないと判断すると(S1130にてNo)、充電停止信号S9を受信したかを判断する(S1140)。
【0248】
そいて、充電停止信号S9を受信していないと判断すると、制御部255は
図19に示すS940に戻る。
【0249】
その一方で、充電が完了したと判断した場合(S1100にてYes)と、蓄電装置253の温度が所定温度よりも高いと判断した場合(S1110にてYes)と、蓄電装置253の温度が電池耐力上限値V4以上であると判断した場合(S1120にてYes)と、充電停止要求が入力部19に入力されたと判断した場合(S1130にてYes)と、充電停止信号S9を受信したと判断した場合(S1140にてYes)とにおいては、制御部255は、充電停止要件が発生したと判断する(S1160)。そして、
図19に示すS960にて充電停止信号S8を送信する。
【0250】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0251】
1,1A,1B 充電システム、2,102,202 車両、3,103 充電装置、9,52 通信装置、10 インレット部、11 充電リレー、12,110,253 蓄電装置、13,216,255 制御部、14 駆動装置、15 ボディ、16A,16B,65A,65B 電力配線、18 駆動輪、19 入力部、20 アクセルペダル、22 ブレーキペダル、23 ハザードスイッチ、24A ドアロックボタン、24B ドアアンロックボタン、25 表示部、26 ハザードランプ、27 ドア、28 ドアロック、29 鍵、29A 解錠ボタン、29B ロックボタン、30 コンバータ、31 インバータ、32 回転電機、34 ロック装置。