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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】車両の異常対処支援装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240625BHJP
   B60W 40/08 20120101ALI20240625BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20240625BHJP
【FI】
G08G1/16 F
B60W40/08
B60W50/14
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021172327
(22)【出願日】2021-10-21
(65)【公開番号】P2023062387
(43)【公開日】2023-05-08
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永江 元
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-166024(JP,A)
【文献】特開2019-206339(JP,A)
【文献】国際公開第2015/147150(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
B60W 40/08
B60W 50/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示するように構成される表示装置と、
車両の走行中に前記車両の運転者に異常が発生したことを示す第一異常条件および前記車両がかかわる事故が発生したことを示す第二異常条件のいずれかの成立を含む提示条件が成立したか否かを判定し、前記提示条件が成立したと判定した場合、前記第一異常条件および前記第二異常条件のいずれかに予め対応付けられており、かつ、予め記憶されている対処方法に関する情報を示す第一画像を、前記第一異常条件および前記第二異常条件の何れが成立したか応じて前記表示装置に表示させるように構成される制御装置と、
を備え
前記制御装置には、前記第一異常条件に対応付けられている対処方法に関する前記第一画像として、自動体外式除細動器の使用方法を示す動画、心肺蘇生法の手順を示す動画、および前記運転者に関する情報を提示する画像を含む複数の画像が予め記憶されており、前記第二異常条件に対応付けられている対処方法に関する前記第一画像として、AEDの使用方法を示す動画、心肺蘇生法の手順を示す動画、前記運転者に関する情報を提示する画像、止血方法を示す動画、骨折の応急処置方法を示す動画、および人工呼吸の手順を示す動画が予め記憶されており、
前記制御装置は、前記第一異常条件の成立により前記提示条件が成立したと判定した場合、前記予め記憶されている複数の前記第一画像のうち、前記第一異常条件の成立により前記提示条件が成立したと判定された場合に表示するようにあらかじめ設定されている1つまたは複数の前記第一画像を前記表示装置に表示し、前記第二異常条件の成立により前記提示条件が成立したと判定した場合、前記予め記憶されている複数の前記第一画像のうち、前記第二異常条件の成立により前記提示条件が成立したと判定された場合に表示するようにあらかじめ設定されている1つまたは複数の画像を前記第一画像として前記表示装置に表示するように構成される、
車両の異常対処支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の異常対処支援装置であって、
前記制御装置は、前記車両の走行中に前記第一異常条件が成立したと判定した場合、前記車両を自動的に停止させる自動停止制御を実行し、前記自動停止制御によって前記車両が停止した場合、前記提示条件が成立したと判定するように構成される、
車両の異常対処支援装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両の異常対処支援装置であって、
前記制御装置は、前記車両の走行中に前記第一異常条件が成立したと判定してから前記車両が停止するまでの間、前記車両の停止後に前記第一画像を前記表示装置に表示することを報知する第二画像を、前記表示装置に表示させるように構成される、
車両の異常対処支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の異常対処支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、非特許文献1に記載のようなドライバー異常時対応システムが知られている。非特許文献1に開示されているドライバー異常時対応システムは、運転者の体調急変等により、運転者が車両の運転中に急に安全運転を継続できなくなった場合に、緊急措置として運転者に代わって車両を停止させるシステムである。特許文献1には、上記のようなシステムを備える車両の緊急退避支援装置が開示されている。特許文献1に記載の緊急退避支援装置は、車両が緊急停止した場合にドアをロックし、その後車両の周囲に存在する人を検出した場合にドアロックを解除するように構成されている。特許文献1に記載の緊急退避支援装置によれば、車両が緊急停止した後、車両の周辺に存在する人は、車両のドアを開放して運転者に対する救護作業を行うことができる。しかしながら、車両の周辺に存在する人は、適切な救護方法が分からないと、運転者を救護できないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-24368号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】ドライバー異常時対応システム(減速停止型)基本設計書 国土交通省自動車局 先進安全自動車推進検討会
【発明の概要】
【0005】
(発明が解決しようとする課題)
本発明は、上述した課題に対処するためになされたものである。すなわち、本発明の目的の1つは、車両の運転者に異常が発生した場合に、車両の乗員および/または乗員以外の人に対して、発生した異常への適切な対処方法を報知することができる車両の異常対処支援装置を提供することである。
【0006】
(課題を解決するための手段)
前記目的を達成するため、本発明に係る車両の異常対処支援装置(11)は、
画像を表示するように構成される表示装置(36)と、
車両(10)の走行中に前記車両(10)の運転者に異常が発生したことを示す第一異常条件および前記車両(10)がかかわる事故が発生したことを示す第二異常条件のいずれかの成立を含む提示条件が成立したか否かを判定し、前記提示条件が成立したと判定した場合、前記第一異常条件および前記第二異常条件のいずれかに予め対応付けられており、かつ、予め記憶されている対処方法に関する情報を示す第一画像を、前記第一異常条件および前記第二異常条件の何れが成立したか応じて前記表示装置に表示させるように構成される制御装置(21)と、
を備え
前記制御装置(21)には、前記第一異常条件に対応付けられている対処方法に関する前記第一画像として、自動体外式除細動器の使用方法を示す動画、心肺蘇生法の手順を示す動画、および前記運転者に関する情報を提示する画像を含む複数の画像が予め記憶されており、前記第二異常条件に対応付けられている対処方法に関する前記第一画像として、AEDの使用方法を示す動画、心肺蘇生法の手順を示す動画、前記運転者に関する情報を提示する画像、止血方法を示す動画、骨折の応急処置方法を示す動画、および人工呼吸の手順を示す動画が予め記憶されており、
前記制御装置(21)は、前記第一異常条件の成立により前記提示条件が成立したと判定した場合、前記予め記憶されている複数の前記第一画像のうち、前記第一異常条件の成立により前記提示条件が成立したと判定された場合に表示するようにあらかじめ設定されている1つまたは複数の前記第一画像を前記表示装置に表示し、前記第二異常条件の成立により前記提示条件が成立したと判定した場合、前記予め記憶されている複数の前記第一画像のうち、前記第二異常条件の成立により前記提示条件が成立したと判定された場合に表示するようにあらかじめ設定されている1つまたは複数の画像を前記第一画像として前記表示装置に表示するように構成される
【0007】
本発明によれば、第一異常条件および第二異常条件の何れかが成立したことにより提示条件が成立した場合、制御装置は、前記第一異常条件および前記第二異常条件のいずれかに予め対応付けられており、かつ、予め記憶されている対処方法に関する情報を提示装置に提示させる。したがって、車両の乗員は、第一異常条件および第二異常条件の何れが成立したかに応じて適切な処置を実行できる。また、車両の運転者に所定の異常が発生したことを示す第一異常条件の成立を含む提示条件が成立した場合、制御装置は、所定の異常への対処方法に関する情報を提示装置に提示させる。このため、車両の乗員および/または乗員以外の人は、提示装置に提示された異常への対処方法に関する情報に基づいて、運転者の異常に対して適切な処置を施すこと(例えば救護活動を行うこと)ができる。
【0008】
本発明の一側面において、
前記制御装置(21)は、前記車両(10)の走行中に前記第一異常条件が成立したと判定した場合、前記車両(10)を自動的に停止させる自動停止制御を実行し、前記自動停止制御によって前記車両(10)が停止した場合、前記提示条件が成立したと判定するように構成されてもよい。
【0009】
このような構成によれば、車両の同乗者等は、発生した異常への適切な対処方法を、車両が停止した後に知ることができる。したがって、車両の同乗者が車両の停止前に運転者の異常に対する処置を施すために移動したり体を動かしたりすることを防止または抑制でき、これにより同乗者の安全を確保する効果を高めることができる。
【0010】
本発明の一側面において、
前記提示装置(36)は画像を表示する表示装置(361)であり、
前記制御装置(21)は、前記提示条件が成立したと判定した場合、予め記憶されている前記異常への対処方法に関する画像であって前記異常に対応付けられている第一画像(61)を前記表示装置(361)に表示させるように構成されてもよい。
【0011】
このような構成によれば、車両の同乗者等は、発生した異常への適切な対処方法を、表示装置に表示された第一画像によって視覚的に把握することができる。従って、運転者の異常に対してより適切な処置(例えば救護活動)を行うことができる。なお、第一画像は動画であっても良いし静止画であっても良い。第一画像が動画である場合、提示条件が成立したときに表示装置は第一画像としての動画を再生する。なお、第一画像が動画であれば、発生した異常への適切な対処方法を、よりわかりやすく車両の同乗者等(救護者等)に知らせることができる。
【0012】
本発明の一側面において、
前記制御装置(21)は、前記車両(10)の走行中に前記第一異常条件が成立したと判定してから前記車両(10)が停止するまでの間、前記車両(10)の停止後に前記第一画像を前記表示装置(361)に表示することを報知する第二画像を、前記表示装置(361)に表示するように構成されてもよい。
【0013】
このような構成によれば、車両の同乗者は、「発生した異常への適切な対処方法を、車両が停止した後に知ることができる」ことを認識できる。したがって、車両の同乗者が車両の停止前に運転者の異常に対する処置を施すために移動したり体を動かしたりすることを防止または抑制する効果を高めることができる。
【0014】
本発明の一側面において、
前記制御装置(21)には、前記異常への対処方法に関する画像として、自動体外式除細動器の使用方法を示す動画、心肺蘇生法の手順を示す動画、および前記運転者に関する情報を提示する画像を含む複数の画像が予め記憶されており、前記提示条件が成立したと判定した場合、前記予め記憶されている複数の画像のうち、前記提示条件が成立したと判定された場合に表示するようにあらかじめ設定されている1つまたは複数の画像を前記第一画像として前記表示装置に表示するように構成されてもよい。
【0015】
このような構成によれば、運転者に異常が生じた場合に、車両の乗員および/または車両の周辺に存在する人に対して、運転者の異常への適切な処置方法を報知することができる。
【0016】
上記説明においては、本発明の理解を助けるために、後述する実施形態に対応する発明の構成に対し、その実施形態で用いた名称および/または符号を括弧書きで添えている。しかしながら、本発明の各構成要素は、前記名称および/または符号によって規定される実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、車両の異常対処支援装置の構成を示す図である。
図2図2は、支援画像である運転者情報画像の例を示す図である。
図3図3は、支援画像の例を示す図である。
図4図4は、第一メニュー画像の例を示す図である。
図5図5は、第二メニュー画像の例を示す図である。
図6図6は、異常対処支援ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。以下の説明では、車両の異常対処支援装置を「支援装置」と略して記すことがある。なお、支援装置は、ドライバー異常時対応システム(減速停止型)基本設計書(平成28年3月 国土交通省自動車局 先進安全自動車推進検討会)に記載の技術的要件を充足するように構成されている。換言すると、支援装置は、このドライバー異常時対応システムを包含している。以下、このドライバー異常時対応システムを「EDSS」と記すことがある。EDSSは、Emergency Driving Stop Systemの略である。
【0019】
(装置構成)
図1は、車両10に搭載される支援装置11の構成例を示す図である。支援装置11は、運転支援ECU21、エンジンECU22、SBW・ECU23、ブレーキECU24、およびEPS・ECU25を備える。なお、「ECU」は電子制御装置(Electronic Control Unit)を意味する。これらのECUはマイクロコンピュータを含む。マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、読み書き可能な不揮発性メモリおよびインターフェース等を含む。特に、運転支援ECU21のインターフェースは、記憶装置(USBメモリ装置、HDD、SSDなど)または車両10の外部のコンピュータと接続可能に構成されている。また、運転支援ECU21は、無線通信によって外部のコンピュータとデータの送受信を可能に構成されていてもよい。CPUはROMまたは読み書き可能な不揮発性メモリに格納されたインストラクション(プログラム、ルーチン)を実行することにより各種機能を実現する。これらのECUは、CAN(Controller Area Network)を介してデータ交換可能(通信可能)に互いに接続されている。従って、ある1つのECUに接続されたセンサによる検出結果およびスイッチ等に対する操作は、別のECUも取得できる。
【0020】
運転支援ECU21は、後述する異常対処支援制御を行う中枢となる制御装置である。運転支援ECU21は、本発明の制御装置の例である。運転支援ECU21には、EDSSスイッチ31、周囲センサ32、車速センサ33、ステアリングタッチセンサ34、ドライバーモニタカメラ35、およびHMI36が接続されている。
【0021】
EDSSスイッチ31は、乗員が運転支援ECU21に対してEDSSの制御の実行を指示するために操作されるスイッチである。「EDSSの制御」は、「運転者が安全運転を継続できなくなったことを示す条件が成立したか否かを判定し、この条件が成立したと判定した場合、運転者に代わって車両10を自動的に停止させる制御」である。EDSSスイッチ31は、運転者(運転席に着座している乗員)が操作可能な位置に配置される。EDSSスイッチ31には、例えば押し釦スイッチが適用される。運転支援ECU21は、EDSSスイッチ31が操作されたか否かを検出できるように構成される。なお、EDSSの制御の実行と停止の切り替えは、後述するHMI36のタッチパネル表示器361へのタッチ操作によって切り替えられるように構成されてもよい。
【0022】
周囲センサ32は、車両周辺情報を取得するように構成されている。車両周辺情報は、車両10の周辺領域(車両10の位置から所定距離範囲内)に存在する立体物についての情報および車両10の周囲の路面上の区画線についての情報を含む。立体物は、例えば、自動車、歩行者および自転車などの移動物、並びに、ガードレールおよびフェンスなどの固定物を表す。周囲センサ32は、複数のレーダセンサ321、複数の超音波センサ322および複数のカメラ323を含む。なお、図1においては、簡略化のため、レーダセンサ321、超音波センサ322およびカメラ323を1つずつ記す。
【0023】
各レーダセンサ321は、図略のレーダ送受信部および信号処理部を備えている。レーダ送受信部は、ミリ波帯の電波(以下、「ミリ波」と記す)を車両10の周辺領域に放射するとともに、車両10の周辺領域に存在する立体物によって反射されたミリ波(即ち、反射波)を受信する。信号処理部は、送信したミリ波と受信した反射波との位相差、反射波の減衰レベルおよびミリ波を送信してから反射波を受信するまでの時間等に基いて、車両10と立体物との距離、車両10と立体物との相対速度、車両10に対する立体物の相対位置(方向)等を表す情報を取得する。そして、各レーダセンサ321は、取得した情報を運転支援ECU21に出力する。
【0024】
各超音波センサ322は、超音波をパルス状に車両10の周辺領域に送信し、立体物によって反射された反射波を受信する。各超音波センサ322は、超音波の送信から受信までの時間に基いて、「送信した超音波が反射された立体物上の点である反射点」および「各超音波センサ322との距離」等を表す情報を取得する。各超音波センサ322は、取得した情報を運転支援ECU21に出力する。
【0025】
各カメラ323は、例えば、CCD(charge coupled device)或いはCIS(CMOS image sensor)の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。各カメラ323は、所定のフレームレートで車両10の周辺領域の画像データを生成し、生成した画像データを運転支援ECU21に出力する。複数のカメラ323には、車両10の前方の領域を撮影する前方カメラ、車両10の後方の領域を撮影する後方カメラ、車両10の右側の領域を撮影する右側方カメラ、および車両10の左側の領域を撮影する左側方カメラが含まれる。
【0026】
車速センサ33は車両10の速度(車速)を検出し、その車速を示す信号を運転支援ECU21に出力する。
【0027】
ステアリングタッチセンサ34は、運転者がステアリングホイール50を把持しているか否かを検出するためのセンサである。ステアリングタッチセンサ34は、物体が接触したことを検出できるセンサであり、ステアリングホイール50のうちの運転者が把持する部分に設けられている。運転支援ECU21は、ステアリングタッチセンサ34による検出結果を取得し、取得した検出結果に基づいて運転者がステアリングホイール50を把持しているか否かを判定する。
【0028】
ドライバーモニタカメラ35は、車内に配置されており、運転者の顔を撮影できるように構成されている。運転支援ECU21は、ドライバーモニタカメラ35により撮影された運転者の顔の画像を取得し、取得した画像に対して所定の画像処理を施すことにより、運転者の顔の向きおよび運転者の視線の向きを計算する。
【0029】
HMI36(Human Machine Interface)は、車両10の運転者が視認可能かつ操作可能な箇所に配置されている。HMI36は、タッチパネル表示器361およびスピーカ362を備える。タッチパネル表示器361は、画像を表示できるとともにタッチ操作などを受け付けることができるように構成される。HMI36は、本発明の提示装置および表示装置の例である。なお、提示する情報が画像(静止画、動画)である場合には、HMI36に含まれるタッチパネル表示器361が、本発明の提示装置および表示装置の例である、ということもできる。運転支援ECU21は、HMI36のタッチパネル表示器361に各種の画像を表示すること、タッチパネル表示器361に対する操作(たとえばタッチ操作)を検出すること、およびスピーカ362に音声を発生させることができる。HMI36は、画像(静止画および動画を含む)および音声の少なくとも一方によって車両10の乗員および/または車外の人に対して各種の情報を提示することができる提示装置である、ということもできる。
【0030】
エンジンECU22には、アクセルペダル操作量センサ37およびエンジンアクチュエータ38が接続されている。アクセルペダル操作量センサ37は、アクセルペダル39の操作量を検出し、検出したアクセルペダル39の操作量を表す信号を出力する。エンジンECU22は、アクセルペダル39の操作量に基いてエンジンアクチュエータ38を駆動する。これにより、エンジンECU22は、車両10の駆動力源であるエンジン40が発生するトルク(エンジン発生トルク)を制御できる。エンジン発生トルクは、トランスミッション44を介して駆動輪に伝達される。従って、エンジンECU22は、エンジンアクチュエータ38を制御することによって、車両10の駆動力を制御できる。
【0031】
なお、車両10がハイブリッド車両である場合、エンジンECU22は、車両10の走行用の駆動力源としての「内燃機関および電動機」の何れか一方または両方によって発生する車両10の駆動力を制御することができる。車両10が電気自動車である場合、エンジンECU22は、車両10の走行用の駆動力源としての電動機によって発生する車両10の駆動力を制御できる。
【0032】
運転支援ECU21は、エンジンECU22に対して、車両10の目標駆動力が含まれる駆動力制御指令を送信できる。エンジンECU22は、運転支援ECU21から駆動力制御指令を受信すると、車両10の駆動力が受信した駆動力制御指令に含まれる目標駆動力になるように、エンジンアクチュエータ38を自動的に(すなわち、乗員によるアクセルペダル39の操作を必要とせずに)制御する。
【0033】
SBW・ECU23には、シフトレバー位置センサ41およびSBWアクチュエータ42が接続されている。シフトレバー位置センサ41は、シフトレバー43の位置を検出する。SBW・ECU23は、シフトレバー43の位置をシフトレバー位置センサ41から取得するとともに、取得したシフトレバー43の位置に基いてSBWアクチュエータ42を制御するように構成されている。SBWアクチュエータ42は、SBW・ECU23からの指示に基づいてトランスミッション44のシフトレンジを、複数のシフトレンジのうちの所定の一つへと切り替える。
【0034】
運転支援ECU21は、SBW・ECU23に対して、目標シフトレンジが含まれるシフト制御指令を送信できる。SBW・ECU23は、運転支援ECU21からシフト制御指令を受信すると、トランスミッション44のシフトレンジがシフト制御指令に含まれる目標シフトレンジになるように、SBWアクチュエータ42を自動的に(すなわち、乗員によるシフトレバー43の操作を必要とせずに)制御する。
【0035】
ブレーキECU24は、ブレーキペダル操作量センサ45およびブレーキアクチュエータ46に接続されている。ブレーキペダル操作量センサ45は、ブレーキペダル47の操作量を検出できるように構成される。ブレーキアクチュエータ46は、ブレーキECU24からの指示に基づいて摩擦ブレーキ機構の図示しないホイールシリンダに供給する油圧を調整することにより、車輪に対する摩擦制動力を発生させる。そして、ブレーキECU24は、ブレーキペダル47の操作量に応じてブレーキアクチュエータ46を動作させることにより、ブレーキペダル47の操作量に応じた制動力を車輪に付与する。
【0036】
運転支援ECU21は、ブレーキECU24に対して、目標制動力が含まれる信号である制動力制御指令を送信できる。ブレーキECU24は、運転支援ECU21から制動力制御指令を受信すると、車両10の制動力が受信した制動力制御指令に含まれる目標制動力になるように、ブレーキアクチュエータ46を制御する。このように、ブレーキECU24は、運転支援ECU21からの制動力制御指令に基づいてブレーキアクチュエータ46を駆動することによって、車両10の制動力を自動的に(すなわち、乗員によるブレーキペダル47の操作を必要とせずに)制御できる。
【0037】
EPS・ECU25は、電動パワーステアリングシステムの制御装置である。EPS・ECU25は、操舵トルクセンサ48および転舵モータドライバ49に接続されている。操舵トルクセンサ48は、運転者によるステアリングホイール50の回転操作のトルクを検出できるように構成されている。転舵モータドライバ49は、転舵モータ51を駆動する。転舵モータ51は、操舵アシストトルク(運転者によるステアリングホイール50の回転操作をアシストするトルク)を発生したり、左右の操舵輪を転舵したりすることができる。すなわち、転舵モータ51は、車両10の舵角を変更できる。
【0038】
運転支援ECU21は、目標舵角が含まれる舵角制御指令をEPS・ECU25に送信できる。EPS・ECU25は、運転支援ECU21から舵角制御指令を受信すると、操舵輪の舵角が受信した舵角制御指令に含まれる目標転舵角になるように、転舵モータドライバ49を制御する。このように、運転支援ECU21は、EPS・ECU25を介して車両10の操舵輪の舵角を自動的に(すなわち、運転者によるステアリングホイール50の操作を必要とせずに)変更できる。
【0039】
このほか、支援装置11が搭載される車両10はエアバッグ装置52を備える。エアバッグ装置52は、エアバッグと、エアバッグ制御装置とを備える。エアバッグ制御装置は、予め設定されているレベル以上の衝撃を検知した場合にエアバッグを展開させるように構成されている。エアバッグ装置52は、例えばステアリングホイール50、ダッシュボード、車両ドアなどに配置されている。なお、エアバッグ装置52の数および配置位置は特に限定されるものではない。車両10は、車両10にあらかじめ設定されているレベル以上の衝撃が加わった場合に展開するように構成されるエアバッグを備えていればよい。そして、運転支援ECU21は、エアバッグ制御装置がエアバッグを展開したことを検出できる。
【0040】
(EDSSの制御)
前述のとおり、支援装置11はEDSSを備えている。そして、運転支援ECU21は、EDSSスイッチ31の操作(EDSSの制御の実行を指示する操作)を検出すると、EDSSの制御を実行する。ここで、支援装置11によるEDSSの制御について簡単に説明する。運転支援ECU21は、車両10の走行中、運転者が安全運転を継続できなくなったことを示す条件が成立したか否かを継続して判定する。具体的には、運転支援ECU21は、次に示す処理A~処理Cを並行して実行する。なお、「運転者が安全運転を継続できなくなったことを示す条件」を、「EDSS条件」と記すことがある。
【0041】
処理A:運転支援ECU21は、ステアリングタッチセンサ34から、ステアリングホイール50に対するタッチがあるか否かの検出結果を継続して取得する。そして、運転支援ECU21は、車両10の走行中にステアリングホイール50へのタッチが検出されない状態が第一時間継続した場合、EDSS条件が成立したと判定する。なお、第一時間の長さは具体的に限定されるものではなく、適宜設定可能である。
【0042】
処理B:運転支援ECU21は、車両10の走行中に、「ドライバーモニタカメラ35により撮影された運転者の顔の画像を取得し、取得した運転者の顔の画像に対して画像処理を施すことにより、運転者の視線の方向および運転者の顔の向きを特定する」という処理を継続して実行する。そして、運転支援ECU21は、特定した運転者の視線の方向が所定の範囲外である状態が第二時間継続した場合、または、運転者の顔の向きが所定の範囲外である状態が第三時間継続した場合、EDSS条件が成立したと判定する。なお、「所定の範囲」は、運転者が車両10の前方を見ている場合の方向が含まれる範囲である。また、第二時間、第三時間、および所定の範囲は、具体的に限定されるものではなく、適宜設定可能である。運転者が車両10を安全に運転できる状態にあるか否か運転者の顔を撮影した画像を用いて判定する方法は公知であり(例えば、特開2013-152700号公報参照)、本実施形態の処理Bには公知の方法が適用できる。
【0043】
処理C:運転支援ECU21は、アクセルペダル39の操作量、ブレーキペダル47の操作量、およびステアリングホイール50の操舵角度を継続して取得する。そして、運転支援ECU21は、車速が所定車速以上である場合に、アクセルペダル39の操作量、ブレーキペダル47の操作量、およびステアリングホイール50の操舵角度がいずれも変化しない状態が第四時間継続した場合、EDSS条件が成立したと判定する。なお、運転支援ECU21は、ステアリングホイール50の操舵角度が変化しない状態が第四時間継続したか否かの判定に代えて(またはステアリングホイール50の操舵角度が変化しない状態が第四時間継続したか否かの判定に加えて)、操舵トルクセンサ48により検出される操舵トルクが変化しない状態が第五時間継続したか否かを判定してもよい。第四時間および第五時間の具体的な長さは限定されるものではなく、適宜設定可能である。
【0044】
運転支援ECU21は、上記処理A~処理CのいずれかによりEDSS条件が成立したと判定した場合、自動停止制御を開始する。自動停止制御はEDSSの制御の一部であり、運転者のブレーキペダル47の操作によらずに車両10を所定の減速度(以下、「自動減速度」と記すことがある)で減速させて停止させる制御である。自動減速度の値はあらかじめ運転支援ECU21に登録されている。このように、運転支援ECU21は、EDSS条件が成立したと判定した場合、自動停止制御を実行することにより車両10を停止させる。
【0045】
なお、運転支援ECU21は、自動停止制御の開始後にアクセルペダル39の操作を検出しても、アクセルペダル39の操作量にかかわらず自動停止制御を継続する(すなわち車両10の減速を継続して停止させる)。運転支援ECU21は、自動停止制御の開始後にブレーキペダル47の操作を検出した場合、ブレーキペダル47の操作量に基づく車両10の減速度が自動減速度よりも大きいときにはブレーキペダル47の操作量に基づく減速度にて車両10を減速させる。一方、運転支援ECU21は、ブレーキペダル47の操作量に基づく車両10の減速度が自動減速度よりも小さいときには自動減速度にて車両10を減速させる。
【0046】
運転支援ECU21は、自動減速制御の開始から車両10が停止するまでの間に、EDSSの制御の一部として、車線維持制御(LKA:レーンキープアシスト制御)を実行してもよい。車線維持制御は、車両10の位置を「車両10が走行しているレーン(走行車線)」内の目標走行ライン付近(例えば路側帯付近)に維持する制御である。なお、車線維持制御自体は周知である(例えば、特開2008-195402号公報、特開2009-190464号公報、特開2010-6279号公報、及び特許第4349210号明細書等を参照。)。
【0047】
(異常対処支援制御)
次に、異常対処支援制御について説明する。異常対処支援制御は、「車両10の走行中に車両10または車両10の運転者に異常が発生したことを示す異常条件の成立を含む表示条件が成立したか否かを判定し、表示条件が成立したと判定した場合、所定の異常への対処方法を提示するための支援画像をHMI36のタッチパネル表示器361に表示する」制御である。なお、支援画像が音声を含む動画である場合には、HMI36のスピーカ362に音声を発話させる。「車両10の異常」には、車両10の事故(衝突事故など)および車両10に搭載される装置の異常(不具合)が含まれる。「異常条件の成立を含む表示条件が成立したか否かを判定する」には、「異常条件が成立した場合、表示条件が成立したと判定する」、および「異常条件が成立し、かつ、異常条件とは異なる他の条件が成立した場合、表示条件が成立する」が含まれる。支援画像は、異常への対処方法に関する画像であってその異常に対応付けられている画像であり、本発明の第一画像の例である。なお、支援画像には、「所定の異常への対処方法を直接的に提示する画像」のみならず、「所定の異常への対処のための情報(例えば、対処の際に使用することが予測される情報)を提示する画像」も含まれる。
【0048】
異常条件には、第一異常条件、第二異常条件、および第三異常条件がある。第一異常条件、第二異常条件、および第三異常条件は、互いに内容が異なる異常の発生を示す条件である。以下に、異常対処支援制御の内容(具体的には、各異常条件の内容、各異常条件が成立したか否かの判断方法、および表示条件が成立した場合にHMI36のタッチパネル表示器361に表示する支援画像)について、異常条件ごとに説明する。
【0049】
(第一異常条件)
第一異常条件は、運転者に異常が発生したことを示す条件である。本実施形態では、第一異常条件として、運転者が安全運転を継続できなくなったことを示す条件である前述のEDSS条件を用いる。すなわち、運転支援ECU21は、車両10の走行中、前述の処理A~処理Cを並行して実行することにより、第一異常条件が成立したか否かを判定する。この第一異常条件が、本発明の異常条件に相当する。運転支援ECU21は、第一異常条件が成立したと判定した場合(EDSS条件が成立したと判定した場合)、表示条件が成立したと判定する。この表示条件が本発明の提示条件に相当する。そして、運転支援ECU21は、表示条件が成立したと判定した場合、HMI36のタッチパネル表示器361にそれまで表示していた画像の表示を終了して(表示条件が成立するまで表示していた画像を消去して)支援画像の表示を開始する。
【0050】
なお、第一異常条件(EDSS条件)が成立した場合、運転者は意識を喪失している可能性がある。このため、運転支援ECU21には、車両10の運転者以外の乗員や乗員以外の人に対して発生した異常への対処方法を提示するための支援画像として、自動体外式除細動器(以下、AEDと記す。AEDはAutomated External Defibrillatorの略である)の使用方法を示す動画、心肺蘇生法の手順を示す動画、および運転者に関する情報を提示する画像61(以下、「運転者情報画像61」と記す)があらかじめ記憶(登録)されている。AEDの使用方法を示す動画、および心肺蘇生法の手順を示す動画が、前述の「所定の異常への対処方法を直接的に提示する画像」の例であり、運転者情報画像61が、前述の「所定の異常への対処のための情報を提示する画像」の例である。
【0051】
図2は、運転者情報画像61の例を示す図である。図2に示すように、運転者情報画像61には、運転者の緊急連絡先、運転者の基礎疾患、および運転者が使用できない薬品の情報が含まれる。ただし、運転者情報画像61に含まれる運転者に関する情報は、図2に示す情報に限定されない。例えば運転者の氏名や住所に関する情報が、運転者情報画像61に含まれていても良い。
【0052】
運転支援ECU21は、第一異常条件の成立により表示条件が成立したと判定した場合、運転支援ECU21に記憶(登録)されている複数の支援画像のうち、第一異常条件に対応付けられている1つの支援画像を表示する。「第一異常条件に対応付けられている支援画像」は、「第一異常条件の成立により表示条件が成立した場合にHMI36のタッチパネル表示器361に表示するようにあらかじめ設定されている支援画像」ということもできる。
【0053】
なお、運転支援ECU21は、第一異常条件が成立したと判定し、かつ、第一異常条件の成立に起因して実行した自動停止制御により車両10が停止した場合に表示条件が成立したと判定してもよい。この場合、運転支援ECU21は、自動停止制御により車両10が停止した場合にタッチパネル表示器361に支援画像の表示を開始させる。さらにこの場合、運転支援ECU21は、自動停止制御の開始から車両10が停止するまでの間(すなわち、自動停止制御の実行中)、「車両の停止後に支援画像の表示を開始する」旨を乗員に報知するための画像をタッチパネル表示器361に表示してもよい。この画像を、以下「予告画像」と記す。予告画像は本発明の第二画像の例である。予告画像には、「車両の停車後にAEDの使用方法を示す動画を再生します」というような、車両10の停車後に支援画像を表示することを報知(予告)するメッセージが含まれる。そして、運転支援ECU21は、自動停止制御により車両10が停止すると、タッチパネル表示器361の予告画像の表示を終了し(予告画像を消去し)、支援画像の表示を開始する。
【0054】
そして、運転支援ECU21は、支援画像の表示の開始後、所定の終了条件が成立したか否かを判定する。例えば、運転支援ECU21は、HMI36に設けられている特定のスイッチへの操作を検出した場合、終了条件が成立したと判定し、支援画像の表示を終了する。そして、運転支援ECU21は、支援画像の表示前に表示していた画像、または予告画像の表示前に表示していた画像の表示を再開する。
【0055】
(第二異常条件)
第二異常条件は、車両10に異常が発生したこと(事故が発生したこと)を示す条件である。本実施形態では、運転支援ECU21は、エアバッグ装置52のエアバッグが展開した場合に第二異常条件が成立したと判定する。運転支援ECU21は、第二異常条件が成立したと判定すると、表示条件が成立したと判定する。そして、運転支援ECU21は、表示条件が成立したと判定した場合、HMI36のタッチパネル表示器361にそれまで表示していた画像の表示を終了して(表示条件が成立するまで表示していた画像を消去して)、支援画像の表示を開始する。
【0056】
第二異常条件が成立した場合には、乗員に衝撃が加わっている可能性があるため、乗員が意識を喪失している可能性があるほか、外傷を受けている可能性がある。このため、運転支援ECU21には、発生した異常への対処方法を提示するための支援画像として、AEDの使用方法を示す動画、心肺蘇生法の手順を示す動画、運転者情報画像61、止血方法を示す動画、骨折の応急処置方法を示す動画、および人工呼吸の手順を示す動画が、あらかじめ記憶(登録)されている。なお、AEDの使用方法を示す動画、心肺蘇生法の手順を示す動画、止血方法を示す動画、骨折の応急処置方法を示す動画、および人工呼吸の手順を示す動画が、前述の「所定の異常への対処方法を直接的に提示する画像」であり、運転者情報画像61が、前述の「所定の異常への対処のための情報を提示する画像」である。
【0057】
運転支援ECU21は、第二異常条件の成立により表示条件が成立したと判定した場合、上記の支援画像のうち、第二異常条件に対応付けられている1つの支援画像をHMI36のタッチパネル表示器361に表示する。「第二異常条件に対応付けられている支援画像」は、「第二異常条件の成立により表示条件が成立した場合にHMI36のタッチパネル表示器361に表示するようにあらかじめ設定されている支援画像」ということもできる。そして、運転支援ECU21は、支援画像の表示の開始後、終了条件が成立したか否かの判定を継続して実行する。なお、終了条件および終了条件が成立した場合の動作には、第一異常条件による場合と同じ条件および動作が適用できる。
【0058】
(第三異常条件)
第三異常条件は、車両10に異常が発生したこと(車両10に搭載される装置に異常が生じたこと)を示す条件である。本実施形態では、車両10に搭載される装置が周囲センサ32であり、車両10に搭載される装置の異常が「周囲センサ32のセンサ面の汚れ」である例を示す。なお、センサ面は、周囲センサ32のレンズ、周辺センサが発する電磁波または超音波を透過するカバー、周辺センサが受信する電磁波または超音波を透過するガラスなどのうち、車両10の外部に露出している部分の表面である。運転支援ECU21は、次に示すセンサ面汚れ指標値を用いて第三異常条件が成立したか否かを判定する。
【0059】
センサ面汚れ指標値は、センサ面の汚れの程度を表すパラメータである。具体的には、レーダセンサ321のセンサ面汚れ指標値は、以下のように規定される「センサ面の汚れによるミリ波の減衰の大きさ」である。
センサ面汚れ指標値=(ミリ波の出射強度)/(ミリ波(反射波)の入射強度)
ミリ波の出射強度は、レーダセンサ321から車外に向けて出射されるミリ波の強度である。ミリ波の入射強度は、レーダセンサ321により検出されるミリ波の強度である。そして、運転支援ECU21は、このセンサ面汚れ指標値が所定の汚れ閾値以上である場合、第三異常条件が成立したと判定する。なお、汚れ閾値の具体的な値は特に限定されるものではなく、適宜設定可能である。また、超音波センサ322のセンサ面汚れ指標値も、レーダセンサ321のセンサ面汚れ指標値と同様の方法で計算できる。すなわち、上記の式において「ミリ波」を「超音波」に置換すればよい。
【0060】
カメラ323のセンサ面汚れ指標値は、次のように規定される「カメラ323により撮影された画像(撮影画像)の面積に対する汚れている領域の面積の比」である。
センサ面汚れ指標値=(撮影画像中の汚れている領域の面積)/(撮影画像の全面積)
撮影画像中の汚れている領域は、所定の期間(時間)以上にわたって輝度が殆ど変化しない領域(すなわち、輝度の変化が閾値以下の領域)である。運転支援ECU21は、各カメラ323から画像データを取得し、取得した画像データを用いてセンサ面汚れ指標値を計算する。
【0061】
第三異常条件が成立した場合、複数の周囲センサ32のうちのいずれかのセンサ面が汚れている。また、運転支援ECU21には、支援画像として、図3に示すような画像62と、車両10の整備工場などの連絡先を提示する画像とが記憶(登録)されている。図3は、第三異常条件に対応付けられている支援画像の例である。図3に示すように、この画像62には、汚れているセンサ面の位置を示す画像および汚れているセンサ面の洗浄を促すメッセージが含まれる。図3に示す画像62が前述の「所定の異常への対処方法を直接的に提示する画像」であり、車両10の整備工場などの連絡先を提示する画像が、前述の「所定の異常への対処のための情報を提示する画像」である。
【0062】
運転支援ECU21は、第三異常条件の成立により表示条件が成立したと判定した場合、HMI36のタッチパネル表示器361にそれまで表示していた画像を消去し、上記の支援画像のうち、第三異常条件に対応付けられている1つの支援画像を表示する。そして、運転支援ECU21は、支援画像の表示の開始後、終了条件が成立したか否かの判定を継続して実行する。例えば、運転支援ECU21は、各周囲センサ32のセンサ面汚れ指標値が汚れ閾値以上であるか否かの判定を継続して実行し、すべての周囲センサ32のセンサ面汚れ指標値が汚れ閾値未満であると判定した場合、終了条件が成立したと判定する。また、第一異常条件の場合と同様に、運転支援ECU21は、HMI36に設けられている特定のスイッチへの操作を検出した場合、終了条件が成立したと判定してもよい。終了条件が成立した後の動作は、第一異常条件の場合と同じである。
【0063】
(表示態様の変形例)
前記説明では、運転支援ECU21は、表示条件が成立したと判定した場合に1つの支援画像をHMI36のタッチパネル表示器361に表示する構成を示したが、複数の支援画像を表示してもよい。例えば、運転支援ECU21は、第一異常条件の成立により表示条件が成立したと判定した場合、AEDの使用方法を示す動画および運転者情報画像61を同時に表示してもよく、心肺蘇生法の手順を示す動画および運転者情報画像を同時に表示してもよい。同様に、運転支援ECU21は、第二異常条件の成立により表示条件が成立したと判定した場合、AEDの使用方法を示す動画、心肺蘇生法の手順を示す動画、運転者情報画像61、止血方法を示す動画、骨折の応急処置方法を示す動画、および人工呼吸の手順を示す動画のうちの2つ以上を同時に表示してもよい。更に、運転支援ECU21は、第三異常条件の成立により表示条件が成立したと判定した場合、汚れているセンサ面の位置を示す画像およびセンサ面が汚れていることを示すメッセージが含まれる画像と、車両10の整備工場などの連絡先を提示する画像とを、同時に表示してもよい。
【0064】
(表示する支援画像の設定)
支援装置11は、各異常条件の成立によって表示条件が成立した場合にHMI36のタッチパネル表示器361に表示する支援画像を、使用者の操作によって設定可能に構成されている。図4および図5は、表示条件が成立した場合に表示する支援画像を設定するための画像である。これらの画像はタッチパネル表示器361に表示される。説明の便宜上、図4に示す画像を第一メニュー画像71と記し、図5に示す画像を第二メニュー画像72と記す。
【0065】
運転支援ECU21は、HMI36に対して所定の操作(第一メニュー画像71を表示するための操作)を検出すると、図4に示す第一メニュー画像71をHMI36のタッチパネル表示器361に表示する。第一メニュー画像71には、現在第一異常条件に対応付けられている支援画像の名称を表示する領域711、現在第二異常条件に対応付けられている支援画像の名称を表示する領域712、および現在第三異常条件に対応付けられている支援画像の名称を表示する領域713が含まれる。運転支援ECU21は、これらの領域711,712,713のいずれかに対するタッチ操作を検出すると、第一メニュー画像71を消去し、図5に示す第二メニュー画像72を表示する。なお、図5は、現在第一異常条件に対応付けられている支援画像の名称を表示する領域711がタッチ操作された場合に表示される第二メニュー画像72の例を示す。
【0066】
図5に示すように、第二メニュー画像72には、第一領域721、第二領域722、および画像追加ボタン画像723が含まれる。第一領域721は、第一異常条件に対応付けられている支援画像の名称を表示する領域である。第二領域722は、第一異常条件に対応付け可能な支援画像として運転支援ECU21に記憶(登録)されている支援画像の名称が列挙される領域である。画像追加ボタン画像723は、新たに支援画像を追加する際にタッチ操作する画像である。
【0067】
運転支援ECU21は、第二領域722に列挙されている複数の支援画像の名称のいずれかに対するタッチ操作を検出すると、当該タッチ操作された支援画像の名称に対応する支援画像を、各異常条件に対応付けられた支援画像に設定するとともに、設定した支援画像の名称を第一領域721に表示する。このように、車両10の使用者等は、運転支援ECU21に記憶(登録)されている複数の支援画像のうちから、各異常条件に対応付けられた支援画像を選択することができる。
【0068】
さらに、運転支援ECU21は、使用者等によって支援画像を追加的に記憶可能(登録可能)に構成されている。具体的には、運転支援ECU21のインターフェースに記憶装置が接続されており(または、外部のコンピュータとの無線通信が確立されており)、かつHMI36のタッチパネル表示器361に第二メニュー画像72を表示している間に画像追加ボタン画像723へのタッチ操作を検出すると、接続された記憶装置(または、無線通信が確立している外部のコンピュータ)に記憶されている動画(動画ファイル)を検索して検出された動画のファイル名をHMI36のタッチパネル表示器361に表示する。そして、運転支援ECU21は、当該動画のファイル名に対するタッチ操作を検出すると、当該ファイル名に対応する動画(動画のファイル)を記憶装置から読み出して運転支援ECU21の読み書き可能な不揮発性メモリに記憶する。そして、運転支援ECU21は、その後に第一メニュー画像71を表示する際に、前記操作によって記憶された支援画像のファイル名を、第二領域722に表示する。したがって、使用者は、前記操作によって記憶された動画を、第一異常条件に対応付けられた支援画像に設定することができる。
【0069】
なお、運転支援ECU21は、支援装置11の初期状態(設定を変更する操作がまだ行われていない状態)では、AEDの使用方法を示す動画、心肺蘇生法の手順を示す動画、および運転者情報画像61のうちの所定の1つの画像が、第一異常条件が成立した場合に表示する支援画像として設定されている。例えば、初期状態では、第一異常条件および第二異常条件には、AEDの使用方法を示す動画が対応付けられており、第三異常条件には、汚れているセンサ面の位置を示す画像およびセンサ面が汚れていることを示すメッセージが含まれる画像(図3参照)が対応付けられている。
【0070】
また、運転支援ECU21は、運転者情報画像61の各項目を車両10の使用者等により登録可能に構成されている。第一メニュー画像71には、図4に示すように運転者情報の各項目を表示する領域714が含まれる。そして、運転支援ECU21は、この領域714に含まれる各項目へのタッチ操作を検出すると、タッチ操作された項目に文字および数字を入力するための画像を表示する。したがって、車両10の使用者等は、この画像をタッチ操作することにより、各項目に文字および数字を入力することができる。そして、運転支援ECU21は、入力された文字および数字を、各項目の内容として記憶(登録)する。なお、初期状態では、運転者情報画像61の各項目は空白である。
【0071】
(本実施形態の作用および効果)
以上説明した通り、運転支援ECU21は、第一異常条件~第三異常条件のいずれかの成立を含む表示条件が成立したと判定した場合、成立した異常条件に対応付けられている支援画像をHMI36のタッチパネル表示器361に表示する。各異常発生条件に対応付けられている支援画像は、異常条件の成立の原因となった異常への対処方法を提示するための画像であり、異常への直接的な対処方法または異常のための情報を提示する画像である。したがって、車両10の乗員および/または車両10の周辺に存在する人は、発生した異常への適切な対処方法を知ることができるから、発生した異常に対して直ちに適切な処置を施すことができる。
【0072】
特に、第一異常条件が成立した場合、運転者が意識を喪失している可能性がある。このため、本実施形態によれば、車両10の運転者以外の乗員、および/または車両10の周辺に存在する人は、この支援画像を見ることによって、運転者の異常に対して適切な処置を施すこと(例えば、運転者に対して適切な救護活動を行うこと)ができる。
【0073】
また、運転支援ECU21が自動停止制御による車両10の停止後に支援画像の表示を開始するので、車両10が停止するまでは運転者以外の乗員が運転者に対して救護処置を行うために車内を移動したり体を動かしたりすることを防止または抑制できる。すなわち、運転支援ECU21が車両10の停止前に支援画像の表示を開始すると、支援画像を見た運転者以外の乗員が車両10の停止前に処置を施すために車内を移動したり体を動かしたりすることがある。本実施形態によれば、車両10が停止するまでは支援画像が表示されないから、運転者以外の乗員が運転者に対する救護処置を行うために車内を移動したり体を動かしたりすることを防止または抑制できる。そのため車両10の乗員の安全性を高めることができる。
【0074】
さらに、第一異常条件が成立した場合に車両10が停止するまでの間に予告画像を表示する構成であると、車両10の乗員は、「発生した異常への適切な対処方法を車両の停止後に知ることができる」ことを認識できる。したがって、車両10の運転者以外の乗員が車両10の停止前に運転者の異常に対する処置を施すために移動したり体を動かしたりすることを防止または抑制する効果を高めることができる。
【0075】
そして、第一異常条件の成立により表示条件が成立したと判定した場合に、AEDの使用方法を示す動画、心肺蘇生法の手順を示す動画、および運転者に関する情報を提示する画像のいずれかを表示するように構成されると、運転者に異常が生じた場合に、車両10の運転者以外の乗員および/または車両10の周辺に存在する人に対して、運転者の異常への適切な処置方法を報知することができる。
【0076】
(運転支援ECUの具体的な動作)
次に、運転支援ECU21の具体的な動作について、図6を参照して説明する。図6は運転支援ECU21のCPUが実行する異常対処支援ルーチンを示すフローチャートである。なお、運転支援ECU21がEDSSの制御を実行中である場合の動作を示す。この異常対処支援ルーチンは、あらかじめ運転支援ECU21のコンピュータのROMまたは読み書き可能な不揮発性メモリに格納されている。CPUは、この異常対処支援ルーチンをROMまたは読み書き可能な不揮発性メモリから読み出し、RAMに展開して実行する。また、運転支援ECU21のCPUは、この異常対処支援ルーチンを所定の周期で繰り返し実行する。なお、以下の説明では、運転支援ECU21のCPUを、単に「CPU」と略して記すことがある。
【0077】
ステップS101において、CPUは第一異常条件が成立したか否かを判定する。CPUは、第一異常条件が成立していないと判定した場合、処理をステップS102に進める。一方、CPUは、第一異常条件が成立したと判定した場合、処理をステップS104に進める。
【0078】
ステップS102において、CPUは第二異常条件が成立したか否かを判定する。CPUは、第二異常条件が成立していないと判定した場合、処理をステップS103に進める。一方、CPUは、第二異常条件が成立したと判定した場合、処理をステップS111に進める。
【0079】
ステップS103において、CPUは第三異常条件が成立したか否かを判定する。CPUは、第三異常条件が成立していないと判定した場合、処理をステップS101に戻す。このように、CPUは、第一異常条件~第三異常条件のいずれも成立していない間は、第一異常条件~第三異常条件の何れかが成立したか否かの判定を繰り返す。一方、CPUは、第三異常条件が成立したと判定した場合、処理をステップS115に進める。
【0080】
ステップS104において、CPUは、車速センサ33による車速の検出結果に基づいて、車両10が停止中であるか否かを判定する。車両10が停止中ではない場合、CPUは処理をステップS105に進める。一方、車両10が停止中である場合、CPUは、表示条件が成立したと判定する。そして、CPUは、処理をステップS106に進める。
【0081】
ステップS105において、CPUは、HMI36のタッチパネル表示器361に現在表示している画像を消去し(現在表示している画像の表示を終了し)、予告画像の表示を開始する。なお、CPUは、既に予告画像の表示を開始している場合、予告画像の表示を継続する。そしてCPUは、処理をステップS104に戻す。
【0082】
ステップS106において、CPUは、第一異常条件に特定の支援画像を対応付ける操作が既に行われているか(換言すると、使用者による支援画像の対応付けの設定が有るか否か)を判定する。CPUは、第一異常条件に特定の支援画像を対応付ける操作がまだ行われていない場合(使用者による支援画像の対応付けの設定がない場合)、処理をステップS107に進める。一方、CPUは、第一異常条件に特定の支援画像を対応付ける操作が既に行われている場合(使用者による支援画像の対応付けの設定がある場合)、処理をステップS108に進める。
【0083】
ステップS107において、CPUは、HMI36のタッチパネル表示器361に現在表示している画像を消去し、初期状態において第一異常条件に対応付けられている支援画像(初期設定の支援画像)を、HMI36のタッチパネル表示器361に表示する。本実施形態では、CPUは、AEDの使用方法を示す動画を、HMI36のタッチパネル表示器361に表示する。そして、CPUは、処理をステップS109に進める
【0084】
ステップS108において、CPUは、HMI36のタッチパネル表示器361に現在表示している画像を消去し、使用者の設定により第一異常条件に対応付けられている支援画像(使用者設定の支援画像)を、HMI36のタッチパネル表示器361に表示する。そして、CPUは、処理をステップS109に進める。
【0085】
ステップS109において、CPUは、表示終了条件が成立したか否かを判定する。CPUは、表示終了条件が成立していないと判定した場合、このステップS109の処理を繰り返す。一方、CPUは、表示終了条件が成立したと判定した場合、処理をステップS110に進める。
【0086】
ステップS110において、CPUは、支援画像の表示を終了し、第一異常条件の成立前(換言すると、予告画像の表示前)に表示していた画像の表示を再開する。そして、CPUは異常対処支援ルーチンをいったん終了する。
【0087】
第二異常条件が成立した場合に行われるステップS111~S114の処理、および第三異常条件が成立した場合に行われるステップS115~ステップS118の処理の内容は、表示する支援画像が相違することがあるほかは、第一異常条件が成立した場合に行われるステップS106~S109の処理の内容とほぼ同じである。したがって、説明は省略する。
【0088】
このような異常対処支援ルーチンによれば、上述した異常対処支援制御が実現する。具体的には、CPUは、第一異常条件~第三異常条件の何れかが成立したと判定するまでは、この判定を繰り返し実行する(ステップS101~S103)。CPUは、車両10の走行中に第一異常条件が成立したと判定した場合(ステップS101において「Y」、かつ、ステップS104において「N」)、車両10が停車するまではHMI36のタッチパネル表示器361に予告画像を表示する(ステップS105)。CPUは、予告画像の表示の開始後に車両10が停止すると(ステップS104において「Y」)、表示条件が成立したと判定する。この場合、CPUは、予告画像の表示を終了して支援画像の表示を開始する(ステップS107またはS108)。なお、第一異常条件に支援画像を対応付ける操作が既に行われている場合(ステップS106において「Y」)、この操作により第一異常条件に対応付けられている支援画像を表示する(ステップS108)。一方、この操作がまだ行われていない場合(ステップS106において「N」)、初期状態において第一異常条件に対応付けられている支援画像を表示する(ステップS107)。
【0089】
CPUは、第二異常条件が成立したと判定した場合(ステップS102において「Y」)、表示条件が成立したと判定する。この場合、CPUは、第二異常条件に対応付けられている支援画像を、HMI36のタッチパネル表示器361に表示する(ステップS112またはS113)。同様に、CPUは、第三異常条件が成立したと判定した場合(ステップS103において「Y」)、表示条件が成立したと判定する。この場合、CPUは、第三異常条件に対応付けられている支援画像を、HMI36のタッチパネル表示器361に表示する(ステップS116またはS117)。
【0090】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形例を採用することができる。
【0091】
例えば、前記実施形態では、HMI36がタッチパネル表示器361を備え、運転支援ECUさは、タッチパネル表示器361に支援画像、予告画像、および支援画像を設定するための画像(第一メニュー画像および第二メニュー画像)を表示する構成を示したが、このような構成に限定されない。例えば、HMI36が画像を表示可能なメータ(例えばメータパネルなど)に接続されていてもよい(または、HMI36が画像を表示なメータを有していてもよい)。そして、運転支援ECU21は、メータに前記各画像を表示してもよい。さらに、支援装置11は、EDSSスイッチ31以外に、車両10の乗員が操作可能なスイッチ(例えば、ステアリングホイールなどに設けられた操作ボタン)を有していてもよい。この場合、運転支援ECU21は、各異常条件への支援画像の対応付け、支援画像の記憶、および運転者情報画像61の各項目の内容の登録などを、前記スイッチに対する操作に基づいて行ってもよい。このように、支援画像、予告画像、および支援画像を設定するための画像を表示する装置(本発明の提示装置(表示装置))は、タッチパネル表示器361に限定されるものではない。さらに、各異常条件への支援画像の対応付け、および運転者情報画像61の各項目の内容の登録などのために車両10の乗員が操作する装置も、タッチパネル表示器361に限定されるものではない。
【0092】
また、前記実施形態では、運転支援ECU21にHMI36が接続される構成を示したが、支援装置11はこのような構成に限定されない。支援装置11がGNSS装置を有しており、GNSS装置のECUにHMI36が接続されていてもよい。なお、GNSSはGlobal Navigation Satellite Systemの略称である。GNSS装置は、衛星から受信した電波に基づいて車両10の地理的な位置および向きを測定するように構成される装置である。このような構成では、通常は(具体的には、表示条件が成立していない間は)、GNSS装置のECUがHMI36を制御する。そして、GNSS装置のECUは、車両10のイグニッションスイッチがONである場合(または、車両10の主電源スイッチがONである場合)、HMI36のタッチパネル表示器361にナビゲーション画像を表示する。ナビゲーション画像は、車両10の地理的な位置および道路情報などを示す画像である。そして、運転支援ECU21は、表示条件が成立したと判定した場合、GNSS装置のECUからHMI36の制御権を取得してタッチパネル表示器361に支援画像(または予告画像)を表示する。
【0093】
また、前記実施形態では、処理A~処理Cの何れかにより運転者が車両10を安全に運転できる状態であるか否かを判定する構成を示したが、運転者が車両10を安全に運転できる状態であるか否かを判定する処理はこれら処理A~処理Cに限定されない。例えば、支援装置11が車両10の運転者により操作可能な確認スイッチを備え、運転支援ECU21は、前記処理A~処理Cに加え、処理Dとして、所定の時間が経過するごとに運転者に対して確認スイッチの操作を促すアナウンスを発するとともに、確認スイッチの操作があったか否かを判定する処理を行ってもよい。この場合、運転支援ECU21は、確認スイッチの操作が所定時間以上検出されない場合、運転者が車両10を安全に運転できる状態ではないと判定してもよい。
【0094】
また、前記実施形態では、運転支援ECU21が異常対処支援制御を実行する構成を示したが、運転支援ECU21以外の装置が異常対処支援制御を実行してもよい。このほか、支援装置11が、運転支援ECU21、エンジンECU22、SBW・ECU23、ブレーキECU24、およびEPS・ECU25以外の他のECUを有しており、当該他のECUが異常対処支援制御を実行してもよい。さらに、複数の装置が協働して異常対処支援制御を実行してもよい。このように、異常対処支援制御を実行する装置は限定されるものではない。
【0095】
また、前記実施形態では、異常対処支援制御が、「車両10の走行中に車両10または車両10の運転者に異常が発生したことを示す異常条件の成立を含む表示条件が成立したか否かを判定し、表示条件が成立したと判定した場合、所定の異常への対処方法を提示するための支援画像をHMI36のタッチパネル表示器361に表示する」制御である例を示したが、このような構成に限定されない。例えば、異常対処支援制御が、「車両10の走行中に車両10または車両10の運転者に異常が発生したことを示す異常条件の成立を含む発話条件が成立したか否かを判定し、発話条件が成立したと判定した場合、所定の異常への対処方法を提示するための音声をHMI36のスピーカ362から発話させる」制御であってもよい。この場合、発話条件が本発明の提示条件に相当する。すなわち、異常対処支援制御は、「車両10の走行中に車両10または車両10の運転者に異常が発生したことを示す異常条件の成立を含む提示条件が成立したか否かを判定し、提示条件が成立したと判定した場合、所定の異常への対処方法を含む情報を、提示装置を介して提示する」制御であればよい。
【0096】
また、前記実施形態では、車両10が走行用の駆動力源としてエンジン40(内燃機関)を有する構成を示したが、本発明が適用可能な車両10はこのような構成に限定されない。例えば、車両10は、ハイブリッド車両または電気自動車であってもよい。
【0097】
また、車両10は、周囲センサ32として、複数のレーダセンサ321、複数の超音波センサ322および複数のカメラ323の全てを備える必要はなく、レーダセンサ321、超音波センサ322およびカメラ323の少なくとも1つを備えればよい。また、前記実施形態では、第二異常条件が成立したか否かを判定するための車両10に搭載される装置の異常は、周囲センサ32のセンサ面の汚れに限定されない。
【0098】
また、本実施形態では、支援装置11がEDSSスイッチ31を備え、運転支援ECU21はEDSSスイッチ31の操作を検出した場合にEDSSの制御を実行する構成を示したが、本発明はこのような構成に限定されない。例えば、支援装置11がEDSSスイッチ31を備えておらず、運転支援ECU21は常時EDSSの制御を実行する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0099】
11…支援装置、21…運転支援ECU、36…HMI、361…タッチパネル表示器
図1
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図3
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図6