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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】報知装置及び報知方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
G08G1/09 D
G08G1/09 Q
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022002545
(22)【出願日】2022-01-11
(65)【公開番号】P2023102146
(43)【公開日】2023-07-24
【審査請求日】2023-11-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】依藤 大和
【審査官】佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-123613(JP,A)
【文献】特開2006-172215(JP,A)
【文献】特開2017-54343(JP,A)
【文献】特開2021-81294(JP,A)
【文献】国際公開第2016/002276(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60R 21/00-21/13
B60R 21/34-21/38
B60T 7/12- 8/1769
B60T 8/32- 8/96
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
B62D 6/00- 6/10
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G06T 7/00- 7/90
G06V 10/00-20/90
G06V 30/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の少なくとも前方を撮像する1又は複数のカメラと、
前記車両の運転者に対する注意喚起のための報知を行うHMI装置と、
を備える前記車両に適用される報知装置であって、
前記1又は複数のカメラによって前記車両の前方の転回禁止標識を検出し、且つ前記1又は複数のカメラによって前記車両の走行車線内に右折の路面標示を検出した場合、転回禁止に関する運転者への報知を行うように前記HMI装置を制御するプロセッサを備える
報知装置。
【請求項2】
請求項1に記載の報知装置であって、
前記1又は複数のカメラは、第1カメラと、前記第1カメラにより撮像される路面領域と比べて前記車両により近い路面領域を撮像可能な第2カメラと、を含み、
前記プロセッサは、前記第1カメラによって前記転回禁止標識を検出した後、前記第2カメラによって前記右折の路面標示を検出する処理を実行する
報知装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の報知装置であって、
前記プロセッサは、前記転回禁止標識が検出されない場合であっても、前記1又は複数のカメラによって前記車両の走行車線内に転回禁止の路面標示を検出した場合には、転回禁止に関する運転者への報知を行うように前記HMI装置を制御する
報知装置。
【請求項4】
車両の少なくとも前方を撮像する1又は複数のカメラと、前記車両の運転者に対する注意喚起のための報知を行うHMI装置と、を備える前記車両に適用される報知方法であって、
前記1又は複数のカメラによって前記車両の前方の転回禁止標識を検出し、且つ前記1又は複数のカメラによって前記車両の走行車線内に右折の路面標示を検出した場合、転回禁止に関する運転者への報知を行うように前記HMI装置を制御することを含む
報知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に適用される報知装置及び報知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、運転支援装置を開示している。この運転支援装置は、自車両の進入が規制されている規制標識を車載カメラによって検出する。そして、運転支援装置は、当該規制標識により進行が規制された規制車線に向かう挙動を自車両が示している場合、当該挙動を抑制させたり、ディスプレイ等の装置を用いて運転者に対して警告を行う。また、規制標識の例として、転回禁止標識が記載されている。
【0003】
特許文献2は、カメラによって認識された道路標識をモニタ装置等の報知部によって運転者に報知する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-088188号公報
【文献】特開2019-212188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
転回禁止標識がカメラによって検出された場合に常に運転者に対して報知を行うこととすると、実際には車両が直進車線等の転回を行えない車線上を走行しているにもかかわらず、不要な報知がなされるおそれがある。
【0006】
本開示は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、転回禁止に関する運転者への報知を適切なシーンを対象として行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る報知装置は、車両の少なくとも前方を撮像する1又は複数のカメラと、車両の運転者に対する注意喚起のための報知を行うHMI装置と、を備える車両に適用される。報知装置は、プロセッサを備える。プロセッサは、1又は複数のカメラによって車両の前方の転回禁止標識を検出し、且つ1又は複数のカメラによって車両の走行車線内に右折の路面標示を検出した場合、転回禁止に関する運転者への報知を行うようにHMI装置を制御する。
【0008】
1又は複数のカメラは、第1カメラと、第1カメラにより撮像される路面領域と比べて車両により近い路面領域を撮像可能な第2カメラと、を含んでもよい。そして、プロセッサは、第1カメラによって転回禁止標識を検出した後、第2カメラによって右折の路面標示を検出する処理を実行してもよい。
【0009】
プロセッサは、転回禁止標識が検出されない場合であっても、1又は複数のカメラによって車両の走行車線内に転回禁止の路面標示を検出した場合には、転回禁止に関する運転者への報知を行うようにHMI装置を制御してもよい。
【0010】
本開示に係る報知方法は、車両の少なくとも前方を撮像する1又は複数のカメラと、車両の運転者に対する注意喚起のための報知を行うHMI装置と、を備える車両に適用される。報知方法は、1又は複数のカメラによって車両の前方の転回禁止標識を検出し、且つ1又は複数のカメラによって車両の走行車線内に右折の路面標示を検出した場合、転回禁止に関する運転者への報知を行うようにHMI装置を制御することを含む。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、車両の走行車線内に右折の路面標示が検出された場合にのみ、換言すると、車両が右折車線を走行している場合にのみ、転回禁止に関する運転者への報知がなされることになる。このため、不要な報知が抑制され、適切なシーンを対象として報知を行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態に係る車両の構成の一例を概略的に示す図である。
図2】車両が差し掛かる交差点の一例を示す図である。
図3】実施の形態に係る安全運転支援に関する処理を示すフローチャートである。
図4】実施の形態の第1変形例に係る安全運転支援に関する処理を示すフローチャートである。
図5】転回禁止の路面標示が描かれた右折車線の一例を示す図である。
図6】実施の形態の第2変形例に係る安全運転支援に関する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本開示の実施の形態について説明する。ただし、以下に示す実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、本開示に係る技術思想が限定されるものではない。
【0014】
1.車両の構成例
図1は、実施の形態に係る車両1の構成の一例を概略的に示す図である。車両1は、電子制御ユニット(ECU)10と、第1カメラ20と、第2カメラ22と、HMI(Human Machine Interface)装置30と、を備えている。
【0015】
ECU10は、車両1を制御するコンピュータである。ECU10は、1又は複数のプロセッサ(以下、単にプロセッサと呼ぶ)12と1又は複数の記憶装置(以下、単に記憶装置と呼ぶ)14を含んでいる。プロセッサ12は、各種処理を実行する。例えば、プロセッサ12は、CPU(Central Processing Unit)を含んでいる。記憶装置14は、プロセッサ12による処理に必要な各種情報を格納する。記憶装置14としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、等が例示される。プロセッサ12が各種プログラムを実行することにより、プロセッサ12による各種処理が実現される。各種プログラムは記憶装置14に格納されている。なお、ECU10は複数であってもよい。
【0016】
第1カメラ20及び第2カメラ22は、車両1の前方を撮像する。なお、本開示に係る「第1カメラ」及び「第2カメラ」のそれぞれは、少なくとも前方を撮像するものであればよく、車両1の前方とともに他の方向(例えば、側方)をも撮像可能に構成されたものであってもよい。
【0017】
第1カメラ20は、一例として、道路標識(例えば、図2に示す転回禁止標識54)、車両1の前方の車両(先行車両及び対向車両等)、及び歩行者等の各種物標を認識するために車両1に搭載されている。第1カメラ20は、例えば、車両1の室内(例えば、インナーミラーの裏側)に設置され、フロントガラス越しに車両1の前方を撮像する。なお、本開示に係る「第1カメラ」は、例えば、車両1のルーフに搭載されていてもよい。
【0018】
第2カメラ22は、一例として、駐車時及び発進時等の低速走行時における運転者の車両1の周囲確認を補助することを基本的な目的として車両1の前後左右にそれぞれ配置された複数のカメラの1つである。第2カメラ22は、例えば、広角の魚眼カメラであり、フロントバンパーに設置されている。なお、本開示に係る「第2カメラ」は、例えば、上記目的で車両1の左右(例えば、後方確認用のドアミラーの下部)に配置された2つのカメラの少なくとも一方であってもよい。
【0019】
第2カメラ22は、第1カメラ20と比べて鉛直方向の下方に配置されている。また、第2カメラ22は、第1カメラ20と比べてより下方を撮像可能な画角を有する。このため、図1に示すように、第2カメラ22により撮像される路面領域R2は、第1カメラ20により撮像される路面領域R1と比べて車両1により近い路面領域R2Aを含んでいる。
【0020】
HMI装置30は、車両1の運転者に対して注意喚起のための報知を行う機能を有する。HMI装置30は、例えば、視覚を通じて注意を喚起するための表示器を含む。表示器は、例えば、車両1のインストルメントパネルに搭載されたディスプレイ、又は、車両1のフロントガラスに情報を表示するヘッドアップディスプレイ(HUD)である。また、HMI装置30は、表示器に代え、或いはそれとともに、聴覚を通じて注意を喚起するためのブザー及びスピーカの一方又は双方を含んでもよい。
【0021】
HMI装置30は、ECU10(プロセッサ12)によって制御される。本開示に係る「報知装置」は、一例として、上述したプロセッサ12、第1カメラ20及び第2カメラ22、並びにHMI装置30を含んで構成されている。
【0022】
2.安全運転支援
図2は、車両1が差し掛かる交差点の一例を示す図である。図2には、車両1が走行する走行路40と、中央分離帯42を介して走行路40と対向する対向路44とが表されている。一例として、走行路40は、2車線を有し、交差点46の付近において、直進・左折の車線48と直進車線50と右折車線52とを有している。
【0023】
交差点46の付近の中央分離帯42には、転回禁止標識54が設置されている。また、交差点46の付近の各車線48、50、及び52には、路面に描かれた路面標示(進行可能な方向を示す矢印標示)として、路面標示56、58、及び60がそれぞれ描かれている。
【0024】
車両1の安全運転支援の1つとして、プロセッサ12は、交差点46での転回禁止に関する注意喚起を運転者に対して行うための報知を実行する。このような報知を、カメラによって転回禁止標識54が検出された場合に常に行うことが考えられる。しかしながら、このような手法によれば、実際には車両1が直進車線50等の転回を行えない車線上を走行しているにもかかわらず、不要な報知がなされるおそれがある。
【0025】
そこで、本実施形態では、プロセッサ12は、車両1の前方の転回禁止標識54を検出し、且つ車両1の走行車線内に右折の路面標示60を検出した場合に、転回禁止に関する運転者への報知を実行する。ここで、転回禁止標識54及び路面標示60の検出のために第1カメラ20のみを用いつつこのような手法を採用する場合には、次のような追加の課題がある。
【0026】
すなわち、第1カメラ20は、転回禁止標識54等の道路標識、車両1の前方の車両、及び歩行者等の上述の各種物標の認識に適した画角を有し、且つ、当該認識に適した位置に搭載されている。このため、右折の路面標示60が第1カメラ20の路面領域R1(図1参照)内にある時に路面標示60が先行車両によって遮蔽されていると、その後に車両1が路面標示60にさらに接近した際に先行車両が路面標示60から離れていても、路面標示60が第1カメラ20の画角外となってしまうことが起こり得る。換言すると、第1カメラ20によって右折の路面標示60を検出できなくなる可能性がある。
【0027】
そこで、本実施形態では、プロセッサ12は、第1カメラ20によって転回禁止標識54を検出した後、第2カメラ22によって右折の路面標示60を検出する処理を実行するように構成されている。
【0028】
図3は、実施の形態に係る安全運転支援に関する処理を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、車両1の走行中に繰り返し実行される。
【0029】
図3では、ECU10(プロセッサ12)は、ステップS100において、第1カメラ20を用いた画像認識によって転回禁止標識54が検出されたか否かを判定する。その結果、転回禁止標識54が検出されていない場合には、処理はリターンに進む。
【0030】
一方、ステップS100において転回禁止標識54が検出された場合には、処理はステップS102に進む。ステップS102において、プロセッサ12は、第1カメラ20を用いた画像認識によって自車線(車両1の走行車線)内に右折の路面標示60が検出されたか否かを判定する。自車線内に右折の路面標示60があることの検出は、例えば次のように行うことができる。すなわち、プロセッサ12は、車両1の左右の白線を第1カメラ20によって検出し、検出された左右の白線を利用して自車線を認識し、且つ、認識された自車線内に存在する右折の路面標示60を検出する。
【0031】
ステップS102の判定結果がYesの場合(つまり、第1カメラ20によって自車線内に右折の路面標示60が検出された場合)には、処理はステップS106に進む。一方、当該判定結果がNoの場合(つまり、第1カメラ20によって自車線内に右折の路面標示60が検出されない場合)には、処理はステップS104に進む。
【0032】
ステップS104において、プロセッサ12は、第2カメラ22を用いた画像認識によって自車線内に右折の路面標示60が検出されたか否かを判定する。第2カメラ22を用いる場合においても、自車線内に右折の路面標示60があることの検出は、例えば、上述の手法によって行うことができる。
【0033】
ステップS104の判定結果がNoの場合(つまり、第1カメラ20及び第2カメラ22の何れによっても自車線内に右折の路面標示60が検出されない場合)には、処理はリターンに進む。車両1が右折車線52以外の走行車線(図2に示す例では、直進・左折の車線48又は直進車線50)を走行している場合には、自車線内に右折の路面標示60が検出されない。車両1が右折車線52以外の走行車線を走っている場合には、転回が行われる可能性はない若しくは少なくとも低いと判断できる。このため、ステップS104の判定結果がNoの場合には、転回禁止標識54が検出されていても、HMI装置30による報知は実行されない。これにより、過度な報知によって運転者に煩わしさを感じさせることを抑制できる。
【0034】
一方、ステップS104の判定結果がYesの場合(つまり、第2カメラ22によって自車線内に右折の路面標示60が検出された場合)には、処理はステップS106に進む。
【0035】
上述のように、処理がステップS106に進むのは、第1カメラ20又は第2カメラ22によって自車線内に右折の路面標示60が検出された場合、つまり、車両1が右折車線52を走行していると判断される場合である。このような場合には、転回が行われる可能性があると判断できる。このため、ステップS106において、プロセッサ12は、転回禁止に関する注意喚起のための報知を運転者に対して行うようにHMI装置30を制御する。
【0036】
3.効果
以上説明したように、本実施形態によれば、転回禁止に関する運転者への報知は、転回禁止標識54の検出だけでなく、車両1の走行車線内に右折の路面標示60が存在することの検出についてもなされた場合に実行される。したがって、車両1の走行車線内に右折の路面標示60が検出された場合にのみ、換言すると、車両1が右折車線52を走行している場合にのみ報知がなされることになる。このため、不要な報知が抑制され、適切なシーンを対象として報知を行えるようになる。
【0037】
また、本実施形態によれば、右折の路面標示60の検出のために、第1カメラ20だけでなく第2カメラ22も必要に応じて用いられる。第2カメラ22は、第1カメラ20により撮像される路面領域R1と比べて車両1により近い路面領域R2Aを撮像可能である(図1参照)。このため、車両1(自車両)が右折の路面標示60に近づいたときに先行車両が存在するために第1カメラ20によって路面標示60を検出できない場合であっても、車両1が路面標示60に近づいた状態で第2カメラ22によって路面標示60を検出できるようになる。このため、第1カメラ20のみを路面標示60の検出に利用する例と比べて、右折の路面標示60をより確実に検出できるようになる。
【0038】
4.第1変形例
上述した実施の形態においては、右折の路面標示60を検出するために第1カメラ20とともに第2カメラ22が用いられる。しかしながら、本開示において転回禁止に関する運転者への報知を行うべきか否かを判断するための右折の路面標示60の検出は、例えば次の第1変形例のように、必ずしも第1カメラ20及び第2カメラ22の双方を利用して行われなくてもよい。
【0039】
図4は、実施の形態の第1変形例に係る安全運転支援に関する処理を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、ステップS104の処理が省略されている点を除き、図3に示すフローチャートの処理と同じである。すなわち、図4に示す処理によれば、右折の路面標示60の検出は、第1カメラ20のみを利用して行われる。この第1変形例のように、右折の路面標示60の検出は、転回禁止標識54の検出に用いられる第1カメラ20のみを利用して行われてもよい。
【0040】
5.第2変形例
上述した実施の形態においては、転回禁止標識54が検出されない場合には、転回禁止に関する運転者への報知は行われない。ここで、転回禁止標識54は、例えば、樹木等の遮蔽物、又は太陽の逆光によって検出(認識)困難となる場合がある。そこで、転回禁止に関する報知は、次のように実行されてもよい。
【0041】
図5は、転回禁止の路面標示72が描かれた右折車線の一例を示す図である。図5に示す右折車線70には、右折の路面標示60とともに、転回禁止の路面標示72が描かれている。第2変形例では、プロセッサ12は、転回禁止標識54が検出されない場合であっても、第1カメラ20又は第2カメラ22によって車両1の走行車線内に転回禁止の路面標示72を検出した場合には、転回禁止に関する運転者への報知を行うようにHMI装置30を制御する。
【0042】
図6は、実施の形態の第2変形例に係る安全運転支援に関する処理を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、ステップS200及びS202の処理が追加されている点を除き、図3に示すフローチャートの処理と同じである。
【0043】
図6では、ステップS100の判定結果がNoの場合(つまり、転回禁止標識54が検出されない場合)には、処理はステップS200に進む。ステップS200において、プロセッサ12は、第1カメラ20を用いた画像認識によって自車線内に転回禁止の路面標示72が検出されたか否かを判定する。自車線内に転回禁止の路面標示72があることの検出は、例えば、自車線内に右折の路面標示60があることの検出についての上述の手法を用いて同様に行うことができる。
【0044】
ステップS200の判定結果がYesの場合(つまり、第1カメラ20によって自車線内に転回禁止の路面標示72が検出された場合)には、処理はステップS106に進む。一方、当該判定結果がNoの場合(つまり、第1カメラ20によって自車線内に転回禁止の路面標示72が検出されない場合)には、処理はステップS202に進む。
【0045】
ステップS202において、プロセッサ12は、第2カメラ22を用いた画像認識によって自車線内に転回禁止の路面標示72が検出されたか否かを判定する。第2カメラ22を用いる場合においても、自車線内に転回禁止の路面標示72があることの検出は、例えば、上述の手法によって行うことができる。
【0046】
ステップS202の判定結果がNoの場合(つまり、第1カメラ20及び第2カメラ22の何れによっても自車線内に転回禁止の路面標示72が検出されない場合)には、処理はリターンに進む。すなわち、HMI装置30による報知は行われない。
【0047】
一方、ステップS202の判定結果がYesの場合(つまり、第2カメラ22によって自車線内に転回禁止の路面標示72が検出された場合)には、処理はステップS106に進む。
【0048】
以上のように、図6に示す処理によれば、ステップS102又はS104の判定結果がYesとなる場合だけでなく、ステップS200又はS202の判定結果がYesとなる場合にも、処理がステップS106に進み、HMI装置30による報知が実行される。その結果、遮蔽物等に起因して転回禁止標識54を検出できない場合であっても、路面に描かれた転回禁止の路面標示72の検出を利用して転回禁止が求められる車線を車両1が走行していると判断できる場合に報知を行えるようになる。これにより、報知を行うべき適切なシーンにおける報知の機会を増やすことができる。
【0049】
なお、転回禁止の路面標示72の検出は、例えば、第1カメラ20のみを利用して行われてもよい。すなわち、ステップS200の処理が図4に示すフローチャートの処理と組み合わせて実行されてもよい。
【0050】
付け加えると、上述した実施の形態(並びに第1及び第2変形例)は、日本のように車両が左側通行を行う国又は地域を対象として説明された。しかしながら、本開示に係る「報知装置」及び「報知方法」のそれぞれは、右側走行が求められる国又は地域を走行する車両に対しても同様に適用することができる。具体的には、右側走行が求められる国又は地域を走行する車両に対して当該「報知装置」又は「報知方法」を適用する場合には、上述の説明に登場する「右折」を「左折」と読み替えればよい。
【符号の説明】
【0051】
1 車両
10 電子制御ユニット(ECU)
12 プロセッサ
14 記憶装置
20 第1カメラ
22 第2カメラ
30 HMI装置
40 走行路
44 対向路
46 交差点
52、70 右折車線
54 転回禁止標識
60 右折の路面標示
72 転回禁止の路面標示
図1
図2
図3
図4
図5
図6