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特許7509205ゲート装置、ゲートシステム、ゲート制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】ゲート装置、ゲートシステム、ゲート制御方法
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20240625BHJP
   G07C 9/10 20200101ALI20240625BHJP
【FI】
G07B15/00 A
G07C9/10
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022533297
(86)(22)【出願日】2020-06-29
(86)【国際出願番号】 JP2020025594
(87)【国際公開番号】W WO2022003801
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2022-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】山岡 和彦
(72)【発明者】
【氏名】立崎 恵仁
(72)【発明者】
【氏名】大澤 健一
(72)【発明者】
【氏名】中村 純也
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-148987(JP,A)
【文献】特開2006-202342(JP,A)
【文献】特開2012-212367(JP,A)
【文献】特開2005-063172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 15/00
G07C 9/00 - 9/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証対象が一の方向へ移動する第1平面と交差する第2平面に沿って設けられて前記認証対象の移動空間を他の空間と区画するゲート本体と、
該ゲート本体に、前記第1平面、第2平面と交差し、第1平面に対して上向きに傾斜して設けられた傾斜面と、
該傾斜面上に画像を表示する第1表示部と、
第1表示部の近傍で画像を撮影する画像取得部と、
を有し、
前記ゲート本体は、前記第2平面内で所定の空白領域を区画する枠状をなすとともに、
該枠状の形状は、前記認証対象が移動する一の方向に湾曲する第1湾曲部分と、前記一の方向と反対方向に湾曲する第2湾曲部分と、前記第1湾曲部分及び前記第2湾曲部分と連なる平面状の部分とを有し、
前記傾斜面は前記平面状の部分に配置された、
ゲート装置。
【請求項2】
前記第1湾曲部分の曲率半径は、前記第2湾曲部分の曲率半径より小さい、
請求項1に記載のゲート装置。
【請求項3】
前記第1湾曲部分と第2湾曲部分との少なくともいずれかには、発光個所が移動し、あるいは点滅する第2表示部を有する、
請求項1または2のいずか1項に記載のゲート装置。
【請求項4】
前記ゲート本体の下部には、前記認証対象の移動方向と交差する位置と、この位置から退避する位置との間で移動可能なフラッパーゲートが設けられ、
前記傾斜面は、該フラッパーゲートの移動範囲より上の位置に設けられた、
請求項1~3のいずれか1項に記載のゲート装置。
【請求項5】
前記フラッパーゲートは、前記画像取得部で取得されたデータと予め記憶されたデータとの比較結果によって開閉制御される、
請求項4に記載のゲート装置。
【請求項6】
前記画像取得部は、前記第1表示部の上部、下部にそれぞれ設けられた、請求項1~5のいずれか1項に記載のゲート装置。
【請求項7】
前記傾斜面の傾斜角度は、前記画像取得部が撮影する画像に応じて変更される、請求項1~6のいずれか1項に記載のゲート装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のゲート装置を前記第1平面に沿って互いに間隔をおいて複数備え、
複数の前記ゲート装置のゲート本体は、前記傾斜面が前記一の方向を向く第1ゲート本体と、
前記傾斜面が前記一の方向と対向する他の方向を向く第2ゲート本体と、
を有するゲートシステム。
【請求項9】
前記第1ゲート本体と第2ゲート本体とは、前記画像取得部の画像取り込み方向を互いに反対に向けて設けられた請求項8に記載のゲートシステム。
【請求項10】
前記第1ゲート本体、第2ゲート本体の少なくともいずれかは、前記第1平面上における前記認証対象の移動領域に出没するフラッパーゲートを有し、該フラッパーゲートは、前記一の方向に沿う一端側寄り、および他端側寄りの位置にそれぞれ設けられた、
請求項9に記載のゲートシステム。
【請求項11】
認証対象が一の方向へ移動する第1平面上の移動空間を他の空間と区画するゲート本体の前記第1平面に対して上向きに傾斜した表示面に画像を表示する工程と、
前記表示面の近傍で画像を撮影する工程と、
撮影された画像から認証対象を識別する工程と、
を有し、
前記ゲート本体は、前記第1平面と交差する第2平面内で所定の空白領域を区画する枠状をなすとともに、該枠状の形状は、前記認証対象が移動する一の方向に湾曲する第1湾曲部分と、前記一の方向と反対方向に湾曲する第2湾曲部分と、前記第1湾曲部分及び第2湾曲部分と連なる平面状の部分とを有し、
前記傾斜した表示面は前記平面状の部分に配置された、
ゲート制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、ゲート装置、ゲートシステム、ゲート制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラ等の画像取得装置で取得した画像から利用者の顔の画像を抽出し、その特徴量をデータベースと照合して利用者を認証し、認証結果によって、鉄道駅の改札口等のゲートを制御する技術がある。このような顔認証の技術を用いた自動改札機に関連する技術として、特許文献1がある。
【0003】
この特許文献1にあっては、自動改札機に設けられた撮像部が撮影した画像から利用者を認証し、別途読み取られた電子媒体からの乗車券情報と照合する処理が行われている。また照合結果によってゲートを開閉することにより、自動改札機の不正通行を防止する構成が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-159795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この開示は、特許文献1に開示されているゲート装置を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本願の第1の態様にかかるゲート装置は、認証対象が一の方向へ移動する第1平面と交差する第2平面に沿って設けられて前記認証対象の移動空間を他の空間と区画するゲート本体と、該ゲート本体に、前記第1平面、第2平面と交差し、第1平面に対して上向きに傾斜して設けられた傾斜面と、該傾斜面上に画像を表示する表示部と、該表示部の近傍で画像を撮影する画像取得部とを有する。
【0007】
本願の第2の態様にかかるゲート制御方法は、認証対象が一の方向へ移動する第1平面上の移動空間を他の空間と区画するゲート本体の前記第1平面に対して上向きに傾斜した表示面に画像を表示する工程と、前記表示面の近傍で画像を撮影する工程と、撮影された画像から認証対象を識別する工程とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】この開示にかかるゲート装置の最小構成例の外観を示す斜視図である。
図1B図1Aのゲート装置で行われるゲート制御方法の工程を示すフローチャートである。
図2】この開示の第1実施形態にかかるゲート装置を備えたゲートシステムを斜め上方視した斜視図である。
図3図2の装置を正面上方視した斜視図である。
図4】第1実施形態の一使用態様の側面図である。
図5】第1実施形態の他の使用態様の正面図である。
図6】第1実施形態のゲートシステムのブロック図である。
図7】第1実施形態の表示部を拡大した斜視図である。
図8】第2実施形態のゲートシステムを正面上方視した斜視図である。
図9】第3実施形態のゲートシステムを正面上方視した斜視図である。
図10】ゲート本体とサーバ装置とにより構成されるゲートシステムを示す図である。
図11】第4実施形態にかかるゲート装置の第一の斜視図である。
図12】第4実施形態にかかるゲート装置の第二の斜視図である。
図13】サーバ装置のハードウェア構成を示す図である。
図14】サーバ装置の機能ブロック図である。
図15】登録端末の機能ブロック図である。
図16】第4実施形態によるゲート装置の処理フローを示す図である。
図17】第4実施形態によるサーバ装置の処理フローを示す図である。
図18】第4実施形態にかかるゲート装置の第三の斜視図である。
図19】第4実施形態にかかるゲート装置の最小構成を示す図である。
図20】第4実施形態にかかる最小構成のゲート装置による処理フローを示す図である。
図21】第1変形例の斜視図である。
図22】第2変形例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
顔認証に際し、撮像部の撮影範囲が広すぎる場合には、画像に含まれる多くの利用者の画像から、認証すべき対象となる利用者の顔画像の特徴量を抽出するために多くのデータを処理する必要があるため、多くの処理過程を必要とし、また、撮像部の撮影範囲が狭すぎる場合には、撮影された画像に顔認証の対象となる利用者の画像が必ず含まれるとは限らないという課題がある。
【0010】
また、撮像部に撮影された画像における利用者の顔の向きは様々であり、必ずしも、予め登録された特徴量との比較に適切な特徴量を有する画像が得られるとは限らない。
【0011】
また、自動改札機にあっては、単位時間内に多くの乗降客を認証し、通過させることが求められることから、取得されたがデータを迅速に処理して顔認証することが求められる。
また、前述のゲート装置において、ゲートの使用状況を容易に確認できる技術が望まれている。
【0012】
そこで、この開示は、上述の課題を解決することのできるゲート装置、ゲートシステム、及びゲート制御方法を提供することを目的とし、以下の最小構成を有する。
【0013】
この開示に係るゲート装置の最小構成を図1Aにより説明する。
このゲート装置は、認証対象が一の方向(図1Aに矢印Aで示す)へ移動する第1平面(例えば図1Aに鎖線PL1で示す水平面)と交差する第2平面(例えば図1に鎖線PL2で示すの垂直面)に沿って設けられて前記認証対象の移動空間(例えば改札口の通路の空間)を他の空間(前記通路以外の空間)と区画するゲート本体1と、該ゲート本体1に、前記第1平面、第2平面と交差し、第1平面に対して上向きに傾斜した第3の平面(図1Aに鎖線PL3で示す)に沿う傾斜面2と、該傾斜面2上に画像を表示する表示部3と、該表示部3の近傍で画像を撮影する画像取得部4とを有する。この傾斜面2は、例えば、第1の平面PL1に対して0度以上90度未満の角度を有し、第2の平面PL2に直交しあるいは直角以外の角度で交差する第3の平面PL3と平行な傾斜面である。
【0014】
上記構成のゲート装置にあっては、第1平面としての、例えば床面上を矢印A方向へ移動する認証対象(例えば鉄道の乗客)を前記ゲート本体1によって仕切られた通路に導くことができる。また前記ゲート本体1に沿って移動する認証対象の視線を上向きの傾斜面2上の表示部3へ導くことができる。また画像取得部4は、表示部3へ視線を移動させることによって所定範囲の向きに顔を向けた乗客等の画像を取り込むことができる。
換言すれば、図示例のゲート制御方法にあっては、図1Bに示すように、認証対象が一の方向へ移動する第1平面上の移動空間を他の空間と区画するゲート本体の前記第1平面に対して上向きに傾斜した表示面に画像を表示する工程と、前記表示面の近傍で画像を撮影する工程と、撮影された画像から認証対象を識別する工程とが行われる。
【0015】
すなわち、画像取得部4の取得した顔の画像が、表示部3へ注意を惹かれて表示部3へ顔を向けた利用者の顔の画像に限定されやすいことから、特徴量を抽出するために処理すべき画像データが少なくなって特徴量の認識が容易となり、認証に要する時間を短縮することができる。
【0016】
<第1実施形態>
次いで、図2~7を参照してこの開示のゲート装置の第1実施形態にかかるゲートシステムを説明する。なお、図中図1と共通の構成には同一符号を付し、説明を簡略化する。
第1実施形態のゲートシステムは、ゲート本体1(1A、1B)を水平方向に相互に間隔をおいて2基配置した構成を採用している。図2、3にあっては、右側のゲート本体1Aの傾斜面2が図2、3の手前側を向き、左側のゲート本体1Bの傾斜面2が図2、3の奥側を向くように、互いに反対方向へ向けて配置され、これらゲート本体1A、1Bによって、これらの内側の改札口通路の空間と、その外側の改札口通路外の空間とが仕切られている。すなわち前記ゲート本体1は、改札口通路の床面としての第1平面(図示例では水平面)と交差する第2平面(図示例では鉛直面)に沿って配置されていて、改札口周辺の空間を通路とそれ以外とに区画している。
【0017】
前記ゲート本体1A、1Bは、例えば強化プラスチックの板材を曲げて枠状に形成した構造を有し、全体として、小径湾曲部11、大径湾曲部12、およびこれらの端部に配置された傾斜面2を有する傾斜部とを有する。ここで、枠状とは、ゲート本体1A、1Bを含む平面内の一部の領域(例えばゲート本体1A、1Bを第2の平面に対して直交する方向視した形状の領域)の外形線に沿う形状であって、外形線の内側の領域の少なくとも一部が空間となった構造をいう。したがって、前記空間に相当する空白の領域を空気が流通することができる。また前記小径湾曲部11、大径湾曲部12の間には、連結部材13、13が設けられて、枠状の構造体の強度を高めるよう配慮されている。また前記連結部材13、13の間には、板状のフラッパーゲート14が鉛直軸を中心に旋回動作可能に設けられている。図示例の場合、前記フラッパーゲート14は、前記ゲート本体1Aの小湾曲部11寄りの位置と、大湾曲部12寄りの位置との2個所に設けられている。前記フラッパーゲート14は、鉄道の自動改札口等において周知の開閉動作を行う板状、あるいは枠状の部材であって、必要に応じて前記ゲート本体1から通路内に突出して、ゲート本体1A、1B間の通路を閉じ、この通路を通過しようとする乗客等の通行を妨げるよう構成されている。
なおフラッパーゲート14は、前述のように垂直軸を中心として板状の部材が回転してゲート本体1A、1Bの間の空間に出没する方式の他、ゲート本体1A、1B内に格納されていた板状の部材が利用者の通行を妨げるように突出する方式、あるいは、棒状の部材が出没する方式等を採用することができる。すなわち、フラッパーゲート14は、ゲート本体1A、1Bの間の利用者が通行しようとする空間に実際に存在して通行を妨げる閉鎖位置と、この通行を妨げる閉鎖位置に存在しない退避位置との間で移動する構成とされている。なお、この退避位置として、前記ゲート本体1A、1B内に収容し、あるいはゲート本体1A、1Bに沿って折り畳んで退避すること、ゲート本体1A、1Bの間の床下に収容して退避すること、ゲート本体1A、1Bの上方に移動して退避すること等、ゲート本体1A、1Bの設置状況によって適宜選択される。
【0018】
前記傾斜面2には、表示部3が設けられて所定の情報を光学的に表示する。なお表示部3には、液晶ディスプレイ、多数のLED等の光源を選択的に発光させる発光表示、さらには、天井等に設けられたプロジェクタ等から投影された画像を反射する単なる反射面等の表示手段が適用される。
【0019】
前記傾斜面2の表示部3の上下には、画像を取り込む画像取得部4がそれぞれ設けられて、傾斜面2が向けられた斜め上方の画像を取り込むよう構成されている。この画像取得部4には、例えば、可視光、赤外線等を電気信号に変換する素子を備えた、いわゆるカメラが採用される。
すなわち前記ゲート本体1A、1Bの寸法は、前記傾斜面2の表示部3の上下に設けられた画像取得部4が、図4に示すような、身長170cmの大人の利用者U1、あるいは身長110cmの子供U2、さらには、図5に示すような、子供とほぼ同じ高さに顔が位置する車椅子の利用者U3の顔の画像を正面から取り込むことができる高さ、向き、に配置されている。
なお図示例では、表示部3の上下に画像取得部4を設けたが、表示部3の左右位置に設けても良く、この場合、撮影対象の高さを考慮して、光線の入射角度が異なる構成、あるいは傾斜面2に対する取り付け角度が異なる構成を採用することが望ましい。
また、表示部3の近傍、あるいは、枠状に構成されたゲート本体1A、1Bの内側等にファンを設け、周辺の空気の流通を促進して、周辺領域の空気の停滞を防止し、結露による画像の乱れや、感染症のリスクを軽減するようにしても良い。さらに、前記ファンにより発生する気流の途中に除塵、除菌機能を有するフィルタ等を備えた清浄機を設けて、ゲート装置周辺の空気を流通させるようにしても良い。
【0020】
さらに、前記ゲート本体1の上面には、バーコードなどの光学データ、磁気ストライプ等の磁気データ、ICチップからRF(radio frequency)通信されるデータ等を読み取り、あるいは書き込むデータ読取/書込部5と、利用者との間で音声信号を授受するマイクロフォン、スピーカ、あるいはこれらの両機能を有するインターフェイス機器から構成された音声入出力部6とが設けられている。
【0021】
図6により、第1実施形態のゲートシステムを制御する判定制御部20について説明する。
前記判定制御部20は、前記画像取得部4から供給された画像データから顔等の特徴量を抽出し、予めデータベースに記憶された特徴量のデータとの一致度によって利用者を特定し、さらに当該利用者についての乗車券情報と照合して、当該利用者の通過の適否を判定する。また画像取得部4から供給された画像データと共に、あるいは、画像データに代えてデータ読取/書込部5から供給されたデータによって通過の適否を判定しても良い。なおデータ読取/書込部5を省略し、画像取得部4から供給された画像データによる顔認証のみによって通過の適否を判定しても良い。なお前記乗車券情報には、例えば、乗車区間、乗車日時(有効期間)、列車番号、利用者を特定する情報、運賃のチャージ金額の少なくともいずれかが含まれる。
なお、データ読み取り/書込部5から供給されたデータによって通過を許可した場合は、画像取得部4から供給された画像データによる顔認証や、画像取得部4の画像取得処理等を省略しても良い。
なお、データ読取/書込部5から供給されたデータ(例えば定期券情報)によって通過を許可したユーザについても、画像取得部4は画像を取得し、当該データと当該画像とを関連付けて、例えば、ホストコンピュータ等の記憶部(図示略)に当該画像と関連付けて記憶させ、その後、当該ユーザが再度ゲートシステムを利用する場合、顔画像取得部4が当該ユーザの顔画像を取得し、前記記憶部に関連付けて記憶された当該データを用いて、当該ユーザの通過適否を判定しても良い。
【0022】
また前記判定制御部20には、音声入出力部6が接続されていて、音声データが入出力されるよう構成されている。
前記判定制御部20は、表示部3を制御することにより、所定の画像データを表示する。また判定制御部20は、前記フラッパーゲート14を駆動する電動モータ等を制御するゲート駆動部21を制御し、必要に応じてフラッパーゲート14を作動させる。なお前記表示部3には、所定の画像データ、例えば通行の可否、進行方向、広告等、の他、リモート通信のための電話に際して駅員の画像を表示するようにしても良い。
【0023】
前記表示部3が設けられる傾斜面2は、図7に示すように、ゲート本体1の小径湾曲部11の端部に屈曲部15を介して連続的に設けられており、例えば、軸を中心に回動することによって、傾斜角度を変更することができるよう構成されている。この傾斜角度の変更は、ゲートシステムの設置条件、例えば外光や照明の角度、床面の高さとゲート本体1の高さとの関係等の条件によって、設置の際に調整されるが、必ずしも常時傾斜角度の調整が可能であることは必須ではなく、設置後に所定の角度で固定しても良い。また、傾斜面2を可動式とするとともに、角度を調整するための駆動装置を設け、画像取得部4から取得される画像データの状況(例えば、顔の上部が欠けた画像の場合は上向き、顔の下部が欠けた画像の場合は下向きに調整)、あるいは、表示部3に表示される画像の利用者による目視結果に応じて最適な角度に自動的に、あるいは利用者の操作により調整することができる構成であっても良い。
【0024】
上記構成のゲートシステムの作用をゲート制御方法とともに説明する。
画像取得部4から取得された画像データに基づき、あるいは、ゲート装置自身またはその近傍に設けられた図示しない近接センサからゲートへの利用者の接近が検出されない間は、画像取得部4、データ読取/書込部5、音声入出力部6の少なくともいずれからデータが入力されるのを待つ待機状態とされる。
【0025】
利用者がゲート本体1A、1Bの間の改札口通路に接近すると、判定制御部20は、画像取得部4が撮影した画像データから、顔データの特徴量の抽出を開始する。この時、ゲート本体1Aの表示部3に利用者の視線を導く画像、例えば進行方向を示す矢印、「入場可」の文字、あるいは、入場可能を示す青色を表示する。なお、ゲート本体1Bには、図2の矢印Aと反対方向への利用者の侵入を抑制するため、「×」印、「通過不可」の文字、あるいは通過不可を示す赤色を表示する。この処理に際し、表示部3、画像取得部4が傾斜面2に設けられているから、利用者が視線を下に向けることによって容易に表示を視認することができるとともに、利用者の視線を表示部3に導くことによって画像取得部4に利用者の正面の顔の画像に近い特徴量を抽出することができる。
前記表示部3の表示内容については、さらに、下記のような表示を行うようにしても良い。
顔認証した結果、利用者が外国人の場合、または外国語での表示を希望している場合、案内部3に表示する文字を日本語から外国語に変更する。この表示言語の変更は、ユーザが顔情報の際に国籍(およびこれに紐付けられた言語情報)を登録しておき、顔認証が成功した際、登録された言語へ変更することにより、実現することができる。
ゲート装置にスマートフォンから情報を読み取る機能(例えば、Bluetooth(登録商標)やBluetooth(登録商標)の信号に基づいて位置を特定するビーコン機能)を持たせ、スマートフォンにユーザが希望する言語を登録させておき、スマートフォンから取得された情報に基づき、表示部3の表示言語を変更するようにしても良い。
更に、自身の顔情報を他人のサーバ等(例えば、この開示において顔情報を記憶するホストコンピュータ等)に渡したくないというユーザについては、下記のプロセスによって、ユーザ自身のスマートフォンによって顔認証を行うようにしても良い。
すなわち、
(1)スマートフォン側にユーザの顔写真を格納
(2)ゲートで写真を撮ると、ビーコンやBluetooth(登録商標)等の通信を用いてスマートフォンに送信
(3)スマートフォン内で、ゲート装置から受け取った顔画像と、格納されていた顔画像とを用いて顔認証し、成功可否をゲート装置に送信
(4)ゲート装置は、スマートフォンからの成功可否情報に基づき、フラッパーゲート14の開閉を制御
【0026】
また、表示部3の上下に画像取得部4が設けられていることから、利用者の身長に応じて、あるいは、車椅子に乗った利用者が通過しようとする場合に、その利用者の正面にできるだけ近似した画像を取り込むことができる。具体的には、利用者の身長が高いか低いか、あるいは車椅子に座った状態であるかにかかわらず、顔認証に必要な画像を取得することができる。
【0027】
特徴量の判定結果が不可の場合は、さらに、データ読取/書込部5から入場に必要な乗車券データがされたかを判定し、入場可能と判定した場合は、利用者の通行を許可する。許可した場合の動作は、表示部3に「通行可」の文字、「○」印、あるいは通行可を示す青色を表示するとともに、ゲート駆動部21によるフラッパーゲート14の動作(進行を遮る動作)を禁止する。
【0028】
特徴量の判定結果、データ読取/書込部5からデータによる判定結果がいずれも入場不可である場合には、利用者の通行が不可となり、表示部3に「×」印、「通過不可」の文字、あるいは通過不可を示す赤色を表示するとともに、ゲート駆動部21によってフラッパーゲート14を動作させて通路を遮る、あるいは、別途設けられた侵入センサ等が利用者の侵入を検出した場合にフラッパーゲート14を動作させて通路を遮ることが可能な状態とする。
【0029】
一方、所定時間の間に利用者の通過が可能か否かの判定ができない場合、所定時間の間に複数回通過の可否の判定がされた場合、あるいは、利用者が音声入出力部6からの音声入力や、図示しない非常ボタンを操作して、駅係員の援助を求めた場合には、表示部3への表示と、音声入出力部6への音声出力とにより、駅の係員等が利用者へ声かけを行い、さらに、画像取得部4が取得した利用者の画像と、音声入出力部6との音声入力との少なくともいずれかの情報により、駅係員と利用者との対話が可能な状態とし、駅係員の判断によって、利用者の通行を可能とすることができる。
【0030】
さらに、上記ゲートシステムにあっては、ゲート本体1が枠状の構造を有することから、枠を構成する部材以外の空白の領域では、ゲートの幅方向、図2、3等の左右方向へ容易に空気が流通することができ、利用者の通過に際して、あるいは風の吹き込みに際して、空気が左右方向へ逃げることができ、風の抵抗等よる利用者に与える不快感を軽減することができる。また左右方奥へ空気が流通することができることから、板状のフラッパーゲート14の開閉動作に伴う空気抵抗を小さくすることができ、フラッパーゲート14の駆動モータの小型化、あるいは、駆動電力の軽減を図ることができる。
またゲート本体1が枠状であるために空気が通過することができる機能を利用して、ゲート本体1に網状のフィルターや静電気を利用した電気的な集塵装置を設けて、ゲート装置周辺の空気清浄を併せて行うようにしても良い。
【0031】
上記第1実施形態にあっては、ゲート本体が枠状をなすことにより、ゲート本体を軽量化するとともに、これと交差する方向への空気の流通を可能とすることができる。
またフラッパーゲート14の動作により、必要に応じてゲート本体1に沿う通路の通行を遮断することができるとともに、顔認証の照合結果に応じてフラッパーゲートにより通行を遮断することができる。
また画像取得部4が表示部3の上下に設けられていることから、表示部3へ視線を向けた様々な高さの利用者の顔の画像を取得することができる。
また画像取得部4が取得した画像の判定結果によって傾斜面の傾斜を変更することにより、表示部3,画像取得部4の利用者に対する角度を変更して再表示、あるいは再撮影を行うことができることから、利用者に認識し易い表示を行い、あるいは、撮影方向や光線の入射方向が適切な画像を取得するができる。
上記第1実施形態のゲートシステムは、一対のゲート本体1A、1Bの間に通路を構成したが、これを複数列設けることによって、複数の改札口として利用することができるのはもちろんである。
また、ゲート本体を互いに傾斜面の向きを反対方向へ向けて設けることにより、表示部による表示、および画像取得部による撮影をゲート本体に沿う両方向へ向かう利用者に対して行うことができる。
また、フラッパーゲート14をゲート本体1の両端(ゲートを通過しようとする利用者の入口側と出口側)に設けているので、利用者の通行方向がいずれの向きであっても適切なタイミングでフラッパーゲート14を作動させることができる。
【0032】
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態を示すものである。
この第2実施形態は、第1実施形態のゲート本体1Aの右側に、該ゲート本体1A、1Bと同一構成のゲート本体1Cを傾斜面2の向きを後方に向けて設けた構成を有する。
この第2実施形態にあっては、ゲート本体1Aと1Bとの間、および、1Aと1Cとの間にそれぞれ改札口の通路を設けることができる。この第2実施形態にあっては、ゲート本体1Aの画像取得部4が取得した画像データから、ゲート本体1Aと1Bとの間、および、1Aと1Cとの間のいずれを矢印A方向へ(図8の手前側から奥側へ)利用者が通過しようとするかを判断した後、前記第1実施形態と同様に認証およびフラッパーゲートの制御が行われる。また、利用者が矢印Aと反対方向へ通過しようとする場合には、ゲート本体1B、1Cのいずれかが取得した画像データから、第1実施形態と同様に認証およびフラッパーゲート14の制御が行われる。
【0033】
この第2実施形態にあっては、3基のゲート本体1A、1B、1Cを交互に逆方向へ向けて配置することにより、二つの通路を制御することができる。
なお、利用者がゲート本体1Aと1Bとの間、および、1Aと1BCとの間をそれぞれ矢印A方向へ通過しようとする場合には、ゲート本体1Bに両方向(図8の手前側および奥側)のそれぞれを向く画像取得部を設けるとともに、表示部3の画面を左右に分割して、左右の通路を通行しようとする利用者の各々に情報を伝達する構成とし、あるいは、右側の通路を通行する利用者向けの情報と、左側の通路を通行しようとする利用者向けの情報とを所定の時間差をおいて表示するようにしてもよい。
【0034】
<第3実施形態>
図9は、第3実施形態を示すものである。
この第3実施形態は、二つのゲート本体1A、1Bの間の床面上に表示部7を設けたものである。
この表示部7は、前記表示部3と同様、液晶ディスプレイ、多数のLED等の光源を選択的に発光させる表示部、さらには、天井等に設けられたプロジェクタ等から投影された画像を反射する単なる反射面等であって、画像情報を表示する。
この表示部7は、例えば、広告、改札口への侵入の可否を示す文字や図形、進行方向を示す図形、各種のメッセージ等を表示する。
【0035】
さらに、図9に破線で示すように、小径湾曲部11およびまたは大径湾曲部12の縁部に表示部8を設けるようにしても良い。この表示部8は、前記縁部に沿う細長い帯状の発光体、あるいは前記縁部に沿って所定間隔で複数の発光ダイオード等の点光源を配置した構成が採用され、例えば、発光個所の移動によって利用者へ進行方向を示し、あるいは、全体の点滅によって利用者の注意を惹く効果を得ることができる。
例えば、図8の例において、ゲート本体1A、1B、1Cの縁を進行方向に合わせて光らせる構成と、ゲート本体1Aと1Bとの間を通行する場合は、ゲート本体1Aの両サイドの縁とゲート本体1Bのゲート本体1A側の縁を光らせる(なお、ベート本体1Bの1C側の縁は光らせない)構成とすることにより、利用者に通行の可否をより明確に示すことができる。
また、画像取得部4から得られる画像データから赤外線領域の信号を抽出して画像とともに表示するサーモグラフィの技術を採用し、あるいは、画像取得部4に追加してサーモカメラ、赤外線センサを設け、これらの判定結果によって通行の可否を判断する機能を追加し、これらに基づく通行可否の判断結果によって、表示部3に通行可否の表示を行い、あるいは、通行を阻止すべくフラッパーゲート14を閉じる等の処理を行うようにしても良い。
例えば、ゲート装置の通行を試みる人物の体温が所定の規制値、例えば37.5°C以上であった場合、表示部3に通行不可である旨を表示したり、通行を阻止すべくフラッパーゲート14を閉じる等の処理を行い、さらに、通行不可である旨を駅の係員に報知するようにしても良い。
【0036】
<第4実施形態>
図10はゲート装置とサーバ装置とにより構成されるゲートシステムを示す図である。
ゲートシステム200は、ゲート本体1と登録端末40のそれぞれが、サーバ装置30と通信ネットワークを介して接続して構成される。
【0037】
図11は第4実施形態にかかるゲート装置100の第一の斜視図である。
上述の他の実施形態で説明したゲート装置100をより詳細に説明する。
ゲート装置100は、1対のゲート本体1A,1Bにより構成され、1対のゲート本体1A,1Bのうちのそれぞれのゲート本体1は、床に垂直な垂直平面に沿って、移動体が水平面を双方向に通過する通過領域の幅Wの間隔を空けて平行に設置されている。移動体である人物等は、通過領域を第一方向D1、第二方向D2に双方向に通過することができる。
【0038】
ゲート本体1A,1Bそれぞれは、第一方向D1に通過する移動体である人物等の移動を妨げる第一フラッパーゲート14Aをそれぞれ備える。またゲート本体1A,1Bそれぞれは、第二方向D2に通過する移動体である人物等の移動を妨げる第二フラッパーゲート14Bをそれぞれ備える。
【0039】
ゲート本体1Aは、表示部3の上に設けられた画像取得部4A-1、表示部3の下に設けられた画像取得部4A-2を備える。つまり、画像取得部4A-1と画像取得部4A-2は、通過領域の第一方向D1を通過する移動体である人物等を撮影可能に取り付けられている。またゲート本体1Bは、表示部3の上に設けられた画像取得部4B-1、表示部3の下に設けられた画像取得部4B-2を備える。つまり画像取得部4B-1と画像取得部4B-2は、通過領域の第二方向D2を通過する移動体である人物等を撮影可能に取り付けられている。
【0040】
そしてゲート装置100は、ゲート本体1Aに設けられた画像取得部4A-1,4A-2の撮影により生成された第一画像と、ゲート本体1Bに設けられた画像取得部4B-1、4B-2の撮影により生成された第二画像とを取得する。ゲート装置100は、第一画像と第二画像との少なくとも一方に基づいて、第一フラッパーゲート14Aと第二フラッパーゲート14Bの通過領域における開閉を制御する。
【0041】
具体的にはゲート装置100は、第一画像に基づいて第一方向D1に通過する人物を検出した場合には、当該人物の第一方向D1への通行を妨げる第一フラッパーゲート14Aを閉に制御する。
またゲート装置100は、第二画像に基づいて第二方向D2に通過する人物を検出した場合には、当該人物の第二方向D2への通行を妨げる第二フラッパーゲート14Bを閉に制御する。
【0042】
第4実施形態においては、第一フラッパーゲート14Aは、1対のゲート本体1A,1Bの間の通過領域における第一方向D1の移動方向の前方側に設けられている。また第二フラッパーゲート14Bは、1対のゲート本体1A,1Bの間の通過領域における第二方向D2の移動方向の前方側に設けられている。しかしながら他の実施形態においては、第一フラッパーゲート14Aは、1対のゲート本体1A,1Bの間の通過領域における第一方向D1の移動方向の後方側に設けられていてもよい。この場合第二フラッパーゲート14Bは、1対のゲート本体1A,1Bの間の通過領域における第二方向D2の移動方向の後方側に設けられていてよい。
【0043】
図12は第4実施形態にかかるゲート装置100の第二の斜視図である。
第1実施形態で説明したように、フラッパーゲートが閉に制御される場合には、図12で示すように、矩形のフラッパーゲートの垂直辺の一方に設けられた鉛直軸を中心に旋回することにより、通路を通過しようとする乗客等の通行を妨げるよう構成されている。図12の例では、第一方向D1に通過しようとする乗客の認証結果が通行不可を示す場合に、第一方向D1の移動方向の前方側に設けられている第一フラッパーゲート14Aが動作した閉に制御された場合の例を示している。
【0044】
図13はサーバ装置のハードウェア構成を示す図である。
図13で示すように、サーバ装置30は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、データベース104、通信モジュール105等の各ハードウェアを備えたコンピュータである。なお登録端末40も同様のハードウェア構成を備えてよい。
【0045】
図14はサーバ装置の機能ブロック図である。
サーバ装置30は、ゲート監視プログラムを実行する。これによりサーバ装置30は、制御部31、通信部32、認証部33などの機能を備える。
制御部31は、サーバ装置30を制御する。
通信部32は、ゲート本体1と通信接続する。
認証部33は、ゲート本体1からの要求により認証を行い、その認証結果をゲート本体1へ出力する。
【0046】
図15は登録端末の機能ブロック図である。
登録端末40は、登録プログラムを実行する。これにより登録端末40は、制御部41、通信部32、登録部43などの機能を備える。
制御部41は、サーバ装置30を制御する。
通信部42は、サーバ装置30と通信接続する。
登録部43は、ゲートシステム200を利用する利用者の顔画像などの生体情報や言語、国籍、パスポート番号、セキュリティ番号、通行券情報などの登録を受け付ける。これらの情報は紐づけてサーバ装置30のデータベース104が記憶する。
【0047】
利用者は、登録端末40を用いてゲート装置100における顔認証を行うことができるように自身の顔を登録することができる。この場合、利用者は登録端末40の前に立つ。すると登録端末40は赤外線などを用いた検知装置により利用者を検知する。または登録端末40は、自装置に設けられたカメラからの撮影画像の取得により利用者を検知する。登録端末40は、撮影画像に映る顔の特徴情報を生成する。また登録端末40はユーザ情報の入力を受け付ける。登録端末40は、当該ユーザ情報を、カメラで撮影した利用者の免許証やパスポートの画像を解析して取得してよい。または登録端末40は、自装置に備わるICカードリーダにより利用者のICカードから利用者情報を取得してもよい。利用者情報には乗車区間や行先などの情報が含まれてよい。登録端末40の登録部43は、利用者情報と利用者の顔の特徴情報とをサーバ装置30へ送信する。サーバ装置30は利用者情報と顔の特徴情報とを紐づけてデータベース104に登録する。
【0048】
図16は第4実施形態によるゲート装置100の処理フローを示す図である。
図17は第4実施形態によるサーバ装置30の処理フローを示す図である。
次に第4実施形態によるゲートシステム200の処理フローについて説明する。
第2実施形態と同様に、利用者がゲート本体1A、1Bの間の改札口通路に接近する。判定制御部20は、ゲート本体1Aまたは1Bの少なくとも一方の画像取得部4が撮影した画像を含む画像データを順次取得する(ステップS301)。判定制御部20は、画像データを取得すると当該画像データが示す画像に映る顔の特徴量の抽出を開始する。取得した画像データには、当該画像データを送信した画像取得部4を備えるゲート本体1Aまたはゲート本体1Bの識別子が格納されているものとする。
【0049】
判定制御部20は、画像データに含まれる画像から人の顔の特徴情報を抽出できたかを判定する(ステップS302)。判定制御部20は、顔の特徴情報を抽出できた場合には、その特徴情報を含む認証要求をサーバ装置30へ出力する(ステップS303)。認証要求には、利用者の顔の特徴情報の他、ゲート本体1A,1Bを示す識別子やネットワークアドレスが含まれてよい。サーバ装置30は、事前に、登録端末40等を用いて登録したユーザの顔の特徴情報、通行許可情報を紐づけてデータベース104等に記憶している。通行許可情報は、通行できるゲート本体1Aの識別情報の情報群を識別するための情報等であってよい。
【0050】
サーバ装置30の認証部33は、認証要求を取得する(ステップS400)。認証部33は、認証要求に含まれる顔の特徴情報と、データベース104に記録されている多数の顔の特徴情報との類似度を計算し、所定の閾値以上の類似度となる特徴情報がデータベース104に記録されているかを判定する(ステップS401)。認証部33は、認証要求に含まれる特徴情報との類似度が所定の閾値以上となる顔の特徴情報がデータベース104に登録されている場合、その特徴情報を、認証要求に含まれる特徴情報が示すユーザと同一人物の特徴情報と判定する(ステップS402)。認証部33は、ユーザと同一人物の特徴情報に紐づく通行許可情報が通行可を示すかを判定する(ステップS403)。一例として認証部33は、ユーザと同一人物の特徴情報に紐づく通行許可情報に、認証要求に含まれるゲート本体1A,1Bの識別子の情報が関連付けられてデータベース104に登録されているかを判定する。認証部33は、ユーザと同一人物の特徴情報に紐づく通行許可情報と、認証要求に含まれるゲート本体1A,1Bの識別子の情報とが関連付けられてデータベース104に登録されている場合、通行可と判定する(ステップS404)。他方、認証部33は、所定の閾値以上の類似度となる特徴情報がデータベース104に記録されていない場合や、ユーザと同一人物の特徴情報に紐づく通行許可情報と、認証要求に含まれるゲート本体1A,1Bの識別子の情報とが関連付けられてデータベース104に登録されていない場合、通行不可と判定する(ステップS405)。
【0051】
認証部33は、通行可または認証不可を示す認証結果情報を生成する(ステップS406)。認証部33は、認証結果情報に、認証要求から取得したゲート本体1Aまたはゲート本体1Bの識別子の情報を格納する。また認証部33は、通行可と判定した場合には、認証結果情報に、利用者の言語、通行券情報などを格納してもよい。認証部33は認証結果情報を、認証要求に含まれていたゲート本体1の示すネットワークアドレス(ゲート装置100)に宛てて送信する(ステップS407)。ゲート装置100の判定制御部20は、認証結果情報を取得する(ステップS304)。判定制御部20は、認証結果情報に基づいてゲート本体1の各機能を制御する(ステップS305)。
【0052】
具体的には、判定制御部20は、認証結果情報からゲート本体1Aまたはゲート本体1Bの識別子を取得し、その識別子に基づいて利用者の通行方向を判定する。判定制御部20は、認証結果情報からゲート本体1Aの識別子を取得した場合には、ゲート本体1Aに設けられた画像取得部4A-1,4A-2で撮影した第一画像に基づいて利用者の顔を検知できていると判定し、利用者が第一方向D1へ通行しようとしていると判定する。判定制御部20は、認証結果情報からゲート本体1Bの識別子を取得した場合には、ゲート本体1Bに設けられた画像取得部4B-1,4B-2で撮影した第二画像に基づいて利用者の顔を検知できていると判定し、利用者が第二方向D2へ通行しようとしていると判定する。今、判定制御部20は、認証結果情報からゲート本体1Aの識別子を取得し、利用者が第一方向D1へ通行しようとしていると判定したとする。この場合、判定制御部20は、制御対象をゲート本体1Aであると判定して記憶し、また制御対象のフラッパーゲート14は、第一フラッパーゲート14Aであると判定して記憶する。
【0053】
判定制御部20は、認証結果情報が通行可または通行不可の何れの情報が含まれるかを判定する。判定制御部20は、認証結果情報に通行不可の情報が含まれる場合には、「×」印、「通行不可」の文字、あるいは通行不可を示す赤色を表示するための情報をゲート本体1Aの表示部3へ出力する。判定制御部20は、認証結果情報に通行不可の情報が含まれる場合には、ゲート駆動部21を制御して、利用者のゲート装置100の第一方向D1への通過を妨げるよう第一フラッパーゲート14Aの開閉状態を閉に制御する。この処理は、判定制御部20が、第一画像に基づいて移動体である人物を認証したタイミングと、第二画像に基づいて移動体である人物を認証したタイミングとに基づいて、第一フラッパーゲート14Aと第二フラッパーゲート14Bの通過領域における開閉のタイミングを制御する処理の一態様である。
【0054】
なおサーバ装置30の認証部33は、ユーザがマスクをしている場合でもユーザの目元近傍の特徴情報に基づいて認証を行うことができる機能を有してよい。そして認証部33はユーザがマスクを着けていないことを検出し、その結果マスクを促すよう指示する指示情報をゲート装置100へ送信するようにしてもよい。この場合、判定制御部20は指示情報に基づいて、表示部3にマスクをつけるよう指示する案内表示を出力してよい。
【0055】
判定制御部20は、認証結果情報に通行可の情報が含まれる場合には、「〇」印、「通行可」の文字、あるいは通行不可を示す青色を表示するための情報をゲート本体1Aの表示部3へ出力する。判定制御部20は、認証結果情報に通行可の情報が含まれる場合には、ゲート駆動部21を制御して、利用者のゲート装置100の通過を促すよう第一フラッパーゲート141と第二フラッパーゲート14Bの開閉状態を開に制御する。このような処理により、ゲート装置100を利用するユーザは、ゲートの通過時における自身の使用状況を容易に確認することができる。
【0056】
判定制御部20は、認証結果情報に通行可の情報が含まれる場合には、利用者のゲート装置100の通過領域における通行を誘導する誘導装置を制御するようにしてもよい。この制御の詳細については後述する。
【0057】
判定制御部20は、認証結果情報に通行可の情報が含まれる場合には、認証結果情報にさらに含まれる利用者の言語、通行券情報などを取得してもよい。判定制御部20は、認証結果情報に通行券情報が含まれる場合には、その通行券情報を表示部3へ出力するようにしてもよい。例えば通行券情報が示す乗車区間、行先、運賃などの場合には、判定制御部20は、それらの情報を表示部3へ出力するようにしてもよい。また判定制御部20は、認証結果情報に利用者の言語の情報が含まれる場合には、表示部3へ出力する文字情報を、その言語の文字に変換した翻訳後の文字情報を当該表示部3へ出力するようにしてもよい。つまり判定制御部20は、移動体である人物を認証した結果に基づいて当該人物に対応する言語を特定し、出力情報を当該特定した言語に対応する出力情報に変更して出力してよい。
【0058】
ユーザはゲート装置100を通過する際、何らかのゲート装置100の不具合や故障を確認した場合や、案内を受けたい場合に、ゲート装置100の通信機能を用いて、駅員やその他の管理者と通話することができる。一例としては、ゲート本体1の表示部3がタッチパネルの機能をさらに有しており、ユーザは当該タッチパネルの機能を利用して表示部3が表示する画面を問い合わせ用画面に切り替える。ユーザは問い合わせ行画面に表示されている問い合わせボタンを押下する。するとゲート装置100の通信機能が、カメラやマイクを備えた遠隔装置と通信接続する。ゲート装置100に備わるカメラやマイクで取得した情報と、遠隔装置のカメラやマイクで取得した情報を双方が送受信することにより、ユーザと遠隔装置を操作する管理者等との間で会話を行うことができる。ユーザの音声や映像は遠隔装置の出力装置(スピーカやモニタ)に出力される。ゲート装置100は遠隔装置から受信した管理者の映像を表示部3に出力し、管理者の音声をスピーカから出力する。遠隔装置は、コントロールセンタ、コールセンタ、駅事務所などに設置されてよい。
【0059】
図18は第4実施形態にかかるゲート装置100の第三の斜視図である。
第3実施形態において図9を用いて説明した小径湾曲部11およびまたは大径湾曲部12やその他のゲート装置100の枠の縁部の表示部22は誘導装置の一態様である。図18で示すように、判定制御部20は、認証結果情報に通行可の情報が含まれ、制御対象をゲート本体1Aと判定した場合、表示部8の帯状の発光体または縁部に沿って所定間隔で配置された複数の点光源が、通行方向(例えば第一方向D1)に順に発光するよう制御する。なお表示部22は、ゲート本体1A,1Bそれぞれの板材の左右の各縁部に設けられていてもよい。そして、判定制御部20は、ゲート本体1A,1Bそれぞれの板材の左右の各縁部の表示部22の発光を制御してもよいし、通行領域側の縁部の表示部22の発光のみを制御するようにしてもよい。図18で示すように判定制御部20は、ゲート装置100の縁部に設けられた表示部22の発光体を発光制御するにあたり、ユーザの第一方向への通過を許可したと検知した場合、複数の表示部22の発光体を第一方向へ順次発光させる。また判定制御部20は、ユーザの第二方向への通過を許可したと検知した場合、表示部22の複数の発光体を第二方向へ順次発光させるよう制御する。判定制御部20は、ゲート装置100における上部の表示部22の発光体のみをユーザの移動方向に順次発行させてもよいし、下部の表示部22の発光体のみをユーザの移動方向に順次発行させてもよい。このような処理により、ゲート装置100を利用するユーザは、ゲートの通過時における自身の使用状況を容易に確認することができる。
【0060】
図19は第4実施形態にかかるゲート装置100の最小構成を示す図である。
図20は第4実施形態にかかる最小構成のゲート装置100による処理フローを示す図である。
ゲート装置100は、少なくとも1対のゲート本体1により構成され、1対のゲート本体1それぞれは垂直平面に沿って移動体が水平面を双方向に通過する通過領域の幅の間隔を隔てて設けられる。ゲート装置100において1対のゲート本体1それぞれは、通過領域を双方向のうちの第一方向に通過する移動体の移動を妨げる第一フラッパーゲート14Aと、通過領域を双方向のうちの第二方向に通過する移動体の移動を妨げる第二フラッパーゲート14Bを備える。またゲート装置100は、1対のゲート本体1のうちの一方は、通過領域を双方向のうちの第一方向に通過する移動体を撮影可能に取り付けられた第一撮影手段4Aを備え、1対のゲート本体のうちの他方は、通過領域を双方向のうちの第二方向に通過する移動体を撮影可能に取り付けられた第二撮影手段4Bを備える。そして制御手段25は、第一撮影手段4Aの撮影により生成された第一画像と第二撮影手段4Bの撮影により生成された第二画像との少なくとも一方に基づいて第一フラッパーゲート14Aと第二フラッパーゲート14Bの通過領域における開閉を制御する(ステップS191)。
【0061】
なお、本願はフラッパーゲートを有するゲート装置として説明してきたが、本願のゲート装置は必ずしもフラッパーゲートを有する必要は無い。
例えば、顔認証が失敗したユーザや、顔認証は成功したものの電車運賃を支払うための残高が不足していたユーザ等のように、ゲート装置100やサーバ装置30が通行不可と判断したユーザが当該ゲート装置を通過した(通過しようとした)場合、当該ゲート装置近傍の係員や警備員等に、当該ユーザの情報を通知しても良い。通知する情報としては、ユーザの顔写真等のようにユーザを特定可能な情報であれば、どのような情報であっても構わない。
また、ゲート装置100は、顔認証が失敗したユーザや、顔認証は成功したものの電車運賃を支払うための残高が不足していたユーザに対して、注意喚起を促すための情報を通知しても良い。情報を通知する手段としては、ユーザが目視可能な個所を任意の色で光らせる、ユーザが目視可能な表示部に注意喚起を促すための表示を行う、スピーカ、ブザー等の発音体を用いて音声による注意喚起を行う等のように、ユーザに注意喚起を促すための情報であれば、どのような手段を用いても良い。
また、ユーザへの注意喚起の他の態様として、ユーザが所有するスマートフォン等の携帯端末を利用して、これらのディスプレイに表示することや、これらのスピーカに発音させるようにしても良い。また、この注意喚起に伴って、残高不足に対応する額の金銭の請求や、当該ユーザについての乗車券情報への所定金額の自動チャージ等の処理を行うようにしても良い。
また、ユーザに通知する情報としては、ゲート装置が通行不可と判断した理由に応じて、自由に変更可能である。例えば、ゲート装置100は、顔認証が失敗したユーザに対しては、再度画像取得部4に顔を向けるよう通知しても良いし、顔認証に成功したものの電車運賃を支払うための残高が不足しているユーザに対しては、残高のチャージを促す情報を通知しても良い。
【0062】
なお、本願のデータ読取/書込部5は、電車に乗るためのチケット(切符)情報だけでなく、ユーザの本人確認書類を読み取ることが可能である。
本願のゲート装置100やサーバ装置30は、データ読取/書込部5がユーザの本人確認書類を読み取った情報と、画像取得部4が取得したユーザの情報とを用いて、当該ユーザの通過可否を判断しても良い。
また、本願のデータ読取/書込部5は、ユーザの支払い情報(口座情報や、カード型の情報記憶定期券の情報や、スマートフォン決済に関する情報等を想定)等を取得(キャッシュカード、スマートフォンのディスプレイに表示された銀行アプリケーション画面中のQRコード(登録商標)(Quick Response コード)を読み込んで取得、または通信して取得する等)することが可能である。
本願のゲート装置100は、ユーザの支払い情報と、本人確認書類と、画像取得部4が取得したユーザの情報とを用いて、本願のゲート装置100を顔認証で通行するための設定を行うことができる。設定の内容としては、ユーザが電車に乗車した際に口座から乗車券代を引き落とす構成や、残高を定期的にチャージする構成や、定期券のように、特定の期間まで特定区間を自由に乗り降りできるような設定が挙げられる。当該設定は、本願のゲート装置100だけでなく、駅構内に設置したKIOSK(登録商標)の端末や、ユーザが所有する情報処理端末からも設定可能である。
【0063】
<変形実施形態>
上記各実施形態では、ゲート装置に設けられた一の傾斜面に表示部と画像取得部とを配置する構成を採用したが、下記の変形実施形態のような配置を採用しても良い。
具体的には、図21に示すように、ゲート本体1の中心付近に手前側と奥側との互いに反対方向へ向けて傾斜面2Aを設け、各傾斜面2Aに表示部3と、画像取得部4としてのカメラとをそれぞれ設けるようにしても良い。
このように反対方向へ向く表示部3と画像取得部4とを設けることにより、一のゲート装置によって両方向を通行する利用者の顔認証を行うことができる。
【0064】
また、図22に示すように、ゲート本体1の手前側と奥側とのそれぞれの端部に、傾斜面2Bを互いに反対方向を向くように配置し、各傾斜面2Bに表示部3と画像取得部4とを設けても良い。
このように、ゲート本体1の両端のそれぞれに反対方向へ向く表示部3と画像取得部4とを設けることにより、一のゲート装置によって両方向を通行する利用者の顔認証を行うことができるとともに、ゲートを通過しようとする利用者にできるだけ近い位置で(離れた位置からゲートに近付こうとする利用者についての)正確な画像を取得することができる。
【0065】
上記各実施形態は自動改札機のゲート装置、システムに適用した例を示したが、これらの開示にかかるは、限定区域への入退場管理のためのゲート装置、システムにも利用することができるのはもちろんである。
以上、この開示の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
この開示にかかる技術は、ゲート装置、ゲートシステム、ゲート制御方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0067】
1、1A、1B、1C ゲート本体
2、2A、2B 傾斜面
3 表示部
4、4A、4B 画像取得部(撮影手段)
5 データ読取/書込部
6 音声入出力部
7、8 表示部
11 小径湾曲部
12 大径湾曲部
13 連結部材
14 フラッパーゲート
20 判定制御部
21 ゲート駆動部
30 サーバ装置
31 制御部
32 通信部
33 認証部
40 登録端末
41 制御部
42 通信部
43 登録部
A 矢印
U1、U2、U3 利用者
PL1 第1の平面
PL2 第2の平面
PL3 第3の平面
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22