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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】建築物および水切り
(51)【国際特許分類】
   E04D 3/40 20060101AFI20240625BHJP
   E04D 13/14 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
E04D3/40 D
E04D13/14 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022541075
(86)(22)【出願日】2020-08-07
(86)【国際出願番号】 JP2020030318
(87)【国際公開番号】W WO2022029991
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】長田 敏之
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 将樹
(72)【発明者】
【氏名】谷内 光治
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】実公昭60-016176(JP,Y2)
【文献】実用新案登録第2521076(JP,Y2)
【文献】特開2019-039191(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0183345(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 3/40
E04D 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁と、前記外壁に直交しかつ地面に対して傾斜するように設けられる屋根と、前記屋根と前記外壁との間の境界に設けられる水切りとを備え、
前記外壁は、壁本体と、前記壁本体から隙間を空けて設けられる外装パネルとを備え、
前記外装パネルは、切欠部を有し、
前記水切りは、前記外壁に沿うように構成される取付部と、前記取付部に繋がり前記屋根の上に配置される案内部と、前記取付部と前記案内部とに交差するように設けられる水掻き部とを備え、
前記取付部は、前記壁本体に取り付けられ、
前記案内部は、前記外装パネルの下端面の下に配置される内側案内部と、前記外装パネルの外側に配置される外側案内部とを有し、
前記内側案内部は、前記内側案内部と前記外装パネルの下端面との間に隙間が設けられるように配置され、
前記水掻き部は、堰部と、延長堰部とを有し、
前記堰部は、前記取付部の下端と前記内側案内部の下端とに繋がるように設けられ、かつ、前記壁本体と前記外装パネルとの間の隙間に配置され、
前記延長堰部は、前記堰部から延長するように構成され、かつ、前記外装パネルの前記切欠部に配置される
建築物。
【請求項2】
外壁と、前記外壁に直交しかつ地面に対して傾斜するように設けられる屋根と、前記屋根と前記外壁との間の境界に設けられる水切りとを備え、
前記外壁は、壁本体と、前記壁本体から隙間を空けて設けられる外装パネルとを備え、
前記水切りは、前記外壁に沿うように構成される取付部と、前記取付部に繋がり前記屋根の上に配置される案内部と、前記取付部と前記案内部とに交差するように設けられる水掻き部とを備え、
前記取付部は、前記壁本体に取り付けられ、
前記案内部は、前記外装パネルの下端面の下に配置される内側案内部と、前記外装パネルの外側に配置される外側案内部とを有し、
前記内側案内部は、前記内側案内部と前記外装パネルの下端面との間に隙間が設けられるように配置され、
前記外側案内部は、前記内側案内部に繋がる主案内部と、前記主案内部から下方に延びる延長案内部とを有し、
前記延長案内部は、前記外装パネルの下の隙間に沿うように設けられる案内側部を有する
建築物。
【請求項3】
前記水掻き部は、堰部を有し、
前記堰部は、前記取付部の下端と前記内側案内部の下端とに繋がるように設けられ、かつ、前記壁本体と前記外装パネルとの間の隙間に配置される
請求項2に記載の建築物。
【請求項4】
前記水掻き部は、さらに、延長堰部を有し、
前記延長堰部は、前記堰部から延長するように構成され、かつ、前記延長堰部の少なくとも一部が前記外装パネルの端面または断面に重なるように配置される
請求項3に記載の建築物。
【請求項5】
前記外装パネルは、前記延長堰部が配置される切欠部を有し、
前記延長堰部は、前記外装パネルの前記切欠部に配置される
請求項4に記載の建築物。
【請求項6】
前記延長堰部には、前記切欠部の少なくとも一部を封鎖する封鎖部が設けられる
請求項1または5に記載の建築物。
【請求項7】
前記水掻き部および前記切欠部は、前記外側案内部の下端よりも前記屋根の棟に近い位置に配置される
請求項1、5および6のいずれか一項に記載の建築物。
【請求項8】
前記水切りは、複数の部材によって構成される
請求項1~のいずれか一項に記載の建築物。
【請求項9】
壁本体と、前記壁本体から隙間を空けて設けられ、切欠部を有する外装パネルとを備える外壁に直交しかつ地面に対して傾斜するように設けられる屋根を有する建築物に取り付けられ、前記屋根と前記外壁との間の境界に設けられる水切りであって、
記外壁に沿うように構成される取付部と、前記取付部に繋がり前記屋根の上に配置される案内部と、前記取付部と前記案内部とに交差するように設けられる水掻き部とを備え、
前記取付部は、前記壁本体に取り付けられ、
前記案内部は、前記外装パネルの下端面の下に配置される内側案内部と、前記外装パネルの外側に配置される外側案内部とを有し、
前記内側案内部は、前記内側案内部と前記外装パネルの下端面との間に隙間が設けられるように配置され、
前記水掻き部は、堰部と、延長堰部とを有し、
前記堰部は、前記取付部の下端と前記内側案内部の下端とに繋がるように設けられ、かつ、前記壁本体と前記外装パネルとの間の隙間に配置され、
前記延長堰部は、前記堰部から延長するように構成され、かつ、前記外装パネルの前記切欠部に配置される
水切り。
【請求項10】
壁本体と、前記壁本体から隙間を空けて設けられる外装パネルとを備える外壁に直交しかつ地面に対して傾斜するように設けられる屋根を有する建築物に取り付けられ、前記屋根と前記外壁との間の境界に設けられる水切りであって、
記外壁に沿うように構成される取付部と、前記取付部に繋がり前記屋根の上に配置される案内部と、前記取付部と前記案内部とに交差するように設けられる水掻き部とを備え、
前記取付部は、前記壁本体に取り付けられ
前記案内部は、前記外装パネルの下端面の下に配置される内側案内部と、前記外装パネルの外側に配置される外側案内部とを有し、
前記内側案内部は、前記内側案内部と前記外装パネルの下端面との間に隙間が設けられるように配置され、
前記外側案内部は、前記内側案内部に繋がる主案内部と、前記主案内部から下方に延びる延長案内部とを有し、
前記延長案内部は、前記外装パネルの下の隙間に沿うように設けられる案内側部を有する
水切り。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物および水切りに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建築物に設けられる水切りが開示されている。水切りは、壁に設けられるシートと、屋根に設けられるシートとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】英国特許出願公開第2508650号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、外壁と屋根との間の境界付近は、雨水によって建材の劣化が生じ易く、浸水が生じる虞がある。例えば、境界の下端において、雨水の流れによって建材の劣化が生じる。この点で、水切りには改善の余地がある。そこで、雨水の流れに起因して生じる建材の劣化を抑制できる建築物および水切りを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決する建築物は、外壁と、前記外壁に直交しかつ地面に対して傾斜するように設けられる屋根と、前記屋根と前記外壁との間の境界に設けられる水切りとを備え、前記水切りは、前記外壁に沿うように構成される取付部と、前記取付部に繋がり前記屋根の上に配置される案内部と、前記取付部と前記案内部とに交差するように設けられる水掻き部とを備える。
【0006】
この構成によれば、外壁と屋根との間の境界に流れる雨水は、水掻き部によって掻き出される。これによって、外壁と屋根との間の境界付近を流れる雨水において、境界の下端まで到達する雨水の量を抑制できる。これによって、境界の下端付近において建材の劣化を抑制できる。
【0007】
(2)上記(1)の建築物において、前記外壁は、壁本体と、前記壁本体から隙間を空けて設けられる外装パネルとを備え、前記取付部は、前記壁本体に取り付けられ、前記案内部は、前記外装パネルの下端面の下に配置される内側案内部と、前記外装パネルの外側に配置される外側案内部とを有し、前記内側案内部は、前記内側案内部と前記外装パネルの下端面との間に隙間が設けられるように配置される。
【0008】
この構成によれば、壁本体と外装パネルとの間の隙間に侵入する雨水は、取付部から内側案内部を通って外側案内部に案内され、屋根に導かれる。このようにして、壁本体と外装パネルとの間の隙間に侵入する雨水を外装パネルの外に排出できる。これによって、外壁の劣化を抑制できる。
【0009】
(3)上記(2)の建築物において、前記水掻き部は、堰部を有し、前記堰部は、前記取付部の下端と前記内側案内部の下端とに繋がるように設けられ、かつ、前記壁本体と前記外装パネルとの間の隙間に配置される。
【0010】
この構成によれば、壁本体と外装パネルとの間の隙間において内側案内部に沿って流れる雨水は、堰部に堰き止められて、外装パネルの外側に掻き出される。このため、壁本体と屋根との間の境界において下端まで到達する雨水の水量を抑制できる。これによって、当該境界の下端付近の建材の劣化を抑制できる。
【0011】
(4)上記(3)の建築物において、前記水掻き部は、さらに、延長堰部を有し、前記延長堰部は、前記堰部から延長するように構成され、かつ、前記延長堰部の少なくとも一部が前記外装パネルの端面または断面に重なるように配置される。
【0012】
延長堰部が無い場合、外装パネルの外側に排出されない雨水の量が多くなる虞がある。この点、上記構成によれば、堰部で堰き止められた雨水を延長堰部を介して外装パネルの外側に排出できるため、外装パネルの外側に排出されない雨水の量を少なくできる。
【0013】
(5)上記(4)の建築物において、前記外装パネルは、前記延長堰部が配置される切欠部を有し、前記延長堰部は、前記外装パネルの前記切欠部に配置される。
【0014】
外装パネルを分割して、分割された外装パネルを延長堰部を挟むように配置してもよいが、この場合、外観が損なわれる虞がある。この点、外装パネルには、切欠部が設けられるだけであり、外観の悪化を抑制できる。
【0015】
(6)上記(5)の建築物において、前記延長堰部には、前記切欠部の少なくとも一部を封鎖する封鎖部が設けられる。この構成によれば、切欠部から外装パネルの内側に侵入する雨水の量を抑制できる。
【0016】
(7)上記(5)または(6)の建築物において、前記水掻き部および前記切欠部は、前記外側案内部の下端よりも前記屋根の棟に近い位置に配置される。
【0017】
切欠部は、外装パネルの外観を損なう虞がある。切欠部が屋根の下端付近に設けられると、建築物の屋根を見上げたときに切欠部が視認される場合がある。この点で、上記構成によれば、切欠部が視認され難い。このように、建築物の外観を向上できる。
【0018】
(8)上記(2)~(7)のいずれか1つの建築物において、前記外側案内部は、前記内側案内部に繋がる主案内部と、前記主案内部から下方に延びる延長案内部とを有し、前記延長案内部は、前記外装パネルの下の隙間に沿うように設けられる案内側部を有する。この構成によれば、水切りに流れる雨水が外装パネルの内側に侵入することを抑制できる。
【0019】
(9)上記(1)~(8)のいずれか1つの建築物において、前記水切りは、複数の部材によって構成される。
【0020】
この構成によれば、水切りを簡単な構造の部品によって構成できる。これによって、水切りの生産性を向上できる。
【0021】
(10)上記課題を解決する水切りは、外壁に直交しかつ地面に対して傾斜するように設けられる屋根を有する建築物に取り付けられる水切りであって、前記水切りは、前記屋根と前記外壁との間の境界に設けられ、前記外壁に沿うように構成される取付部と、前記取付部に繋がり前記屋根の上に配置される案内部と、前記取付部と前記案内部とに交差するように設けられる水掻き部とを備える。
【0022】
この構成によれば、外壁と屋根との間の境界に流れる雨水は、水掻き部によって掻き出される。これによって、外壁と屋根との間の境界付近を流れる雨水について、境界の下端まで到達する雨水の量を抑制できる。これによって、境界の下端付近において建材の劣化を抑制できる。
【発明の効果】
【0023】
上記建築物および水切りは、雨水の流れに起因する建築物の劣化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】建築物の模式図。
図2図1のII-II線に沿う建築物の部分断面図。
図3図1のIII-III線に沿う建築物の部分断面図。
図4図1のA部の拡大図。
図5】水切りを含む部分の分解図。
図6】水切りを含む部分において、外装パネルおよび防水シートを省略した図。
図7】水切りの分解図。
図8】水切りによる排水を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1図8を参照して、建築物について説明する。
【0026】
図1に示されるように、建築物1は、外壁2および屋根5を有する。屋根5は、外壁2に直交しかつ地面に対して傾斜するように設けられる。
【0027】
図2に示されるように、屋根5は、垂木6と、垂木6に交差するように設けられる受部7と、受部7に設けられる屋根部材8とを備える。屋根5の下端には、雨とい9が設けられる。本実施形態の屋根5は、「下屋」と呼ばれる場合もある。
【0028】
外壁2と屋根5との間の境界は、下方に斜めに傾斜する。このような建築物1では、外壁2に当たる雨水Rは外壁2を伝って流れ落ち、外壁2と屋根5との間の境界に沿って流れる。大雨の場合、外壁2と屋根5との間の境界に雨水Rが大量に流れ、境界の下端の建材が雨水Rによって削られる。また、長年の風雨によって、外壁2と屋根5との間の境界付近の建材は徐々に劣化する。このようなことから、外壁2と屋根5との間の境界には、後述のように建築物1には水切り20が設けられる。
【0029】
図3に示されるように、外壁2は、壁本体10と、外装パネル11とを備える。壁本体10は、胴縁を介して複数の外装パネル11によって覆われる。外装パネル11は、壁本体10から隙間SAを空けて設けられる。壁本体10と外装パネル11との間の隙間SAは、通気のための空気の通路として構成される。壁本体10の外面10aは、防水シート15で覆われる(図5参照)。
【0030】
屋根5に交差するように設けられる外壁2において、屋根5の上側に取り付けられる外装パネル11の下端は、屋根5の傾斜に合わせて切断されている。屋根5の上側に取り付けられる外装パネル11の下端には、切欠部12が設けられている。切欠部12は、後述の水切り20の延長堰部32が挿通するスリットのように構成される。切欠部12は、後述の水掻き部23の延長堰部32と同じ位置に設けられる。一例では、切欠部12は、外側案内部26の下端よりも屋根5の棟5bに近い位置に配置される。
【0031】
図1に示されるように、建築物1は、水切り20を有する。水切り20は、外壁2に伝って流れる雨水Rを屋根5および雨とい9に案内する。水切り20は、屋根5と外壁2との間の境界に設けられる。
【0032】
図4図5および図6に示されるように、水切り20は、取付部21と、案内部22と、水掻き部23とを備える。
【0033】
取付部21は、外壁2に沿うように構成される。
【0034】
具体的には、本実施形態では、取付部21は、側面視で屋根5に平行に延びるように構成され(図2参照)、かつ、平面視において壁本体10に沿うように構成される(図3参照)。取付部21は、壁本体10に取り付けられる。好ましくは、取付部21は、防水シート15を介して壁本体10に取り付けられる(図5参照)。取付部21は、壁本体10に密着するように取り付けられることが好ましい。
【0035】
図4に示されるように、案内部22は、取付部21に繋がる。水切り20が外壁2に取り付けられた取付状態において、案内部22は、壁本体10に対して交差するように構成される。案内部22は、側面視で屋根5に沿うように構成され(図2参照)、平面視において壁本体10に平行に延びるように構成される(図3参照)。また、案内部22は、屋根5の上に配置される。案内部22は、屋根5において外壁2と屋根5との間の境界から遠い部分に雨水Rを案内する。これによって、境界に雨水Rが集中して流れることを抑制する。
【0036】
図5に示されるように、案内部22は、内側案内部25と、外側案内部26とを有する。内側案内部25は、外装パネル11の下端面の下に配置される。内側案内部25は、外装パネル11の下端から離れるように設けられる。内側案内部25の上面と外装パネル11の下端面との間には、隙間SBが設けられる(図4参照)。隙間SBは、壁本体10と外装パネル11との間の隙間SAに通ずる。隙間SBは、通気口であり、かつ、雨水Rの排水口でもある。
【0037】
外側案内部26は、外装パネル11の外側に配置される。外側案内部26は、屋根部材8の上に配置される。外側案内部26は、内側案内部25よりも長い。具体的には、外側案内部26は、内側案内部25に繋がる主案内部26aと、主案内部26aから下方に延びる延長案内部26bとを有する。水切り20が外壁2に取り付けられた取付状態において、内側案内部25の下端25aは、屋根5の軒先5aよりも棟5bに近い位置に配置される。また、外側案内部26の下端26cは、屋根5の軒先5aよりも棟5bから遠い位置に配置される(図3参照)。
【0038】
延長案内部26bは、さらに、案内側部27を有する。案内側部27は、外装パネル11の下に設けられる隙間SBに沿うように延長案内部26bに設けられる。好ましくは、案内側部27は、外装パネル11の下の隙間SBを覆うように構成される。水切り20が外壁2に取り付けられた取付状態において、案内側部27の端縁と外装パネル11の外面11aとの間に形成される隙間は封止樹脂50によって封止される(図4参照)。
【0039】
延長案内部26bは、さらに、案内下端部28を有する。案内下端部28は、延長案内部26bの下端に設けられる。案内下端部28は、案内下端部28の下端が雨とい9に向かうように延長案内部26bの下端から下方に傾斜するように構成される。
【0040】
外側案内部26には、案内傾斜部29が設けられる。案内傾斜部29は、外側案内部26において取付部21および案内側部27と反対側に設けられる。案内傾斜部29は、屋根部材8に溝に向かって傾斜する。
【0041】
図3図5、および図6を参照して水掻き部23を説明する。
【0042】
図3に示されるように、水掻き部23は、外側案内部26の下端26cよりも屋根5の棟5bに近い位置に配置される。図6に示されるように、水掻き部23は、取付部21と案内部22とに交差するように設けられる。水掻き部23は、堰部31を有する。好ましくは、水掻き部23は、延長堰部32を有する。
【0043】
堰部31は、取付部21の下端と内側案内部25の下端25aとに繋がるように設けられ、かつ、壁本体10と外装パネル11との間の隙間SAに配置される。堰部31は、壁本体10と外装パネル11との間の隙間SAを通る雨水Rを堰き止めて、外装パネル11の外側に掻き出す。
【0044】
延長堰部32は、堰部31から延長するように構成される。一例では、上下方向において延長堰部32の長さは、堰部31の長さよりも小さい。これによって、後述の切欠部12の長さを短くできる。延長堰部32は、延長堰部32の少なくとも一部が外装パネル11の端面または断面13に重なるように配置される。本実施形態では、延長堰部32は、外装パネル11の切欠部12に配置される(図3参照)。
【0045】
さらに、延長堰部32には、封鎖部33が設けられる。封鎖部33は、外装パネル11の切欠部12の少なくとも一部を封鎖する。封鎖部33は、延長堰部32に対して直交するように設けられる。
【0046】
図7に示されるように、水切り20は、複数の部材によって構成されてもよい。本実施形態では、水切り20は、水切り本体部41と、水切り支持部45とを備える。水切り本体部41は、プラスチックシートによって形成される。水切り支持部45は、板金によって形成される。
【0047】
水切り本体部41は、取付部21と、案内部22と、水掻きカバー部42とを含む。一例では、水切り本体部41は、1枚の防水シートから折り曲げによって作成される。他の例では、水切り本体部41は、金型成形によって形成される。
【0048】
水切り支持部45は、取付部46と、支持部47と、水掻き本体部48とを有する。水切り支持部45の取付部46は、外壁2の壁本体10に固定される。水切り支持部45の支持部47は、水切り本体部41の下端部を支持する部分である。水掻き本体部48は、堰部本体部48aと、延長堰部本体部48bと、封鎖部33とを含む。封鎖部33は、延長堰部本体部48bから延長し、かつ、延長堰部本体部48bに対して折れ曲がるように構成される。
【0049】
水掻き部23は、水掻き本体部48に水掻きカバー部42が重ねられることによって、構成される。水掻きカバー部42は、水掻き本体部48の堰部本体部48aの一部に重なり、かつ、延長堰部本体部48bに重なる。
【0050】
水切り支持部45は、外壁2の壁本体10に固定される。水切り支持部45は、建築物1の建設において、屋根部材8の取り付けよりも前に、外壁2の壁本体10に取り付けられる。その後、屋根部材8が敷設され、防水シート15が壁本体10に張られ、取付部21を介して水切り本体部41が壁本体10に取り付けられる(図5参照)。この取り付けのとき、水切り本体部41の案内部22は、屋根部材8の上に配置される。水切り本体部41の水掻きカバー部42は、水切り支持部45の水掻き本体部48に重ねられる。この後、外装パネル11が、胴縁を介して壁本体10に取り付けられる。この際、外装パネル11の切欠部12に水切り20の水掻き部23が配置されるように、外装パネル11は壁本体10に取り付けられる。この後、切欠部12の上部は、封止樹脂51で封止される(図4参照)。切欠部12の下部は、封止されず、雨水Rの排水口として構成される。水切り本体部41の案内側部27は、外装パネル11に外面11aに沿うように配置される。また、上述したように、案内側部27の端縁と外装パネル11に外面11aとの間の隙間は封止樹脂50で封止される(図4参照)。これによって、案内側部27に沿って流れる雨水Rが外装パネル11内に侵入することを抑制できる。
【0051】
図8を参照して、本実施形態の作用を説明する。図8に示される外装パネル11において、「B」で示される部分は省略されている。また、図8において、屋根5の図示が省略されている。
【0052】
雨が降ると、雨水Rは、外壁2の外装パネル11の外面11aに伝わって下方に流れる。外壁2パネルに下端に達した雨水Rは、水切り20に受けられて、下方に案内される。雨水Rは、水切り20によって、屋根5の下方または屋根5において外壁2から離れたところに流される。雨水Rの一部は、外装パネル11の内側に侵入し、隙間SAに入る。大雨になると、外装パネル11と壁本体10との間の隙間SAに侵入する水が多くなる。隙間SAに入った雨水Rは、下方に流れて、水切り20で受けられる。雨水Rは、水切り20に案内され、水切り20の内側案内部25の上面と外装パネル11の下端面との間の隙間SBを通って外装パネル11の外側に流れ、さらに、屋根5において外壁2から離れたところに達する。また、隙間SBから出ない雨水Rは、下方に流れ、水切り20の水掻き部23に達すると、水掻き部23によって堰き止められ、外装パネル11の外側に流れる。このようにして、外装パネル11と壁本体10との間の隙間SAに侵入する雨水Rは、外装パネル11の外側に排出される。
【0053】
本実施形態の効果を説明する。
【0054】
(1)外壁2に直交しかつ地面に対して傾斜するように設けられる屋根5を有する建築物1において、屋根5と外壁2との間の境界に水切り20が設けられる。水切り20は、取付部21と、屋根5の上に配置される案内部22と、取付部21と案内部22とに交差するように設けられる水掻き部23とを備える。
【0055】
この構成によれば、外壁2と屋根5との間の境界に流れる雨水Rは、水掻き部23によって掻き出される。これによって、外壁2と屋根5との間の境界付近を流れる雨水Rにおいて、境界の下端まで到達する雨水の量を抑制できる。これによって、境界の下端付近において建材の劣化を抑制できる。
【0056】
(2)好ましくは、案内部22は、外装パネル11の下端面の下に配置される内側案内部25と、外装パネル11の外側に配置される外側案内部26とを有する。内側案内部25は、内側案内部25と外装パネル11の下端面との間に隙間SBが設けられるように配置される。
【0057】
この構成によれば、壁本体10と外装パネル11との間の隙間SAに侵入する雨水Rは、取付部21から内側案内部25を通って外側案内部26に案内され、屋根5に導かれる。このようにして、壁本体10と外装パネル11との間の隙間SAに侵入する雨水Rを外装パネル11の外に排出できる。これによって、外壁2の劣化を抑制できる。
【0058】
(3)水掻き部23は、堰部31を有する。堰部31は、壁本体10と外装パネル11との間の隙間SAに配置される。
【0059】
この構成によれば、壁本体10と外装パネル11との間の隙間SAにおいて内側案内部25に沿って流れる雨水Rは、堰部31に堰き止められて、外装パネル11の外側に掻き出される。このため、壁本体10と屋根5との間の境界において下端まで到達する雨水Rの量を抑制できる。これによって、当該境界の下端付近の建材の劣化を抑制できる。
【0060】
(4)水掻き部23は、延長堰部32を有する。延長堰部32は、堰部31から延長するように構成される。また、延長堰部32は、延長堰部32の少なくとも一部が外装パネル11の端面または断面13に重なるように、配置される。本実施形態では、延長堰部32は、外装パネル11における切欠部12の断面13に重なる。
【0061】
延長堰部32が無い場合、外装パネル11の外側に排出されない雨水Rの量が多くなる虞がある。この点、上記構成によれば、堰部31で堰き止められた雨水Rを延長堰部32を介して外装パネル11の外側に排出できるため、外装パネル11の外側に排出されない雨水Rの量を少なくできる。
【0062】
(5)外装パネル11は、延長堰部32が配置される切欠部12を有する。延長堰部32は、外装パネル11の切欠部12に配置される。
【0063】
外装パネル11を分割して、分割された外装パネル11を延長堰部32を挟むよう配置してもよいが、この場合、外観が損なわれる虞がある。この点、外装パネル11には、切欠部12が設けられるだけであり、外観の悪化を抑制できる。
【0064】
(6)延長堰部32には、切欠部12の少なくとも一部を封鎖する封鎖部33が設けられる。この構成によれば、切欠部12から外装パネル11の内側に侵入する雨水の量を抑制できる。
【0065】
(7)水掻き部23および切欠部12は、外側案内部26の下端26cよりも屋根5の棟5bに近い位置に配置される。
【0066】
切欠部12は、外装パネル11の外観を損なう虞がある。切欠部12が屋根5の下端付近に設けられると、建築物1の屋根5を見上げたときに切欠部が視認される場合がある。この点で、上記構成によれば、切欠部12が視認され難い。このように、建築物1の外観を向上できる。
【0067】
(8)外側案内部26は、内側案内部25に繋がる主案内部26aと、主案内部26aから下方に延びる延長案内部26bとを有し、延長案内部26bは、外装パネル11の下の隙間SBに沿うように設けられる案内側部27を有する。この構成によれば、水切り20に流れる雨水Rが外装パネル11の内側に侵入することを抑制できる。
【0068】
(9)水切り20は、複数の部材によって構成される。この構成によれば、水切り20を簡単な構造の部品によって構成できる。これによって、水切り20の生産性を向上できる。
【0069】
(10)水切り20は、外壁2に直交しかつ地面に対して傾斜するように設けられる屋根5を有する建築物1に取り付けられる。水切り20は、屋根5と外壁2との間の境界に設けられるものであり、取付部21と案内部22とに交差するように設けられる水掻き部23とを備える。
【0070】
この構成によれば、外壁2と屋根5との間の境界に流れる雨水Rは、水掻き部23によって掻き出される。これによって、外壁2と屋根5との間の境界付近を流れる雨水Rについて、境界の下端まで到達する雨水の量を抑制できる。境界の下端付近において建材の劣化を抑制できる。
【0071】
<変形例>
上記実施形態は、建築物1が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。建築物1は実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例の一例を示す。
【0072】
・本実施形態では、水掻き部23は、外側案内部26の下端26cよりも屋根5の棟5bに近い位置に配置されるが、水掻き部23の位置は、これに限定されない。例えば、掻き部は、外側案内部26の下端26cと同じ位置に配置されてもよい。
【0073】
・水掻き部23の構造は限定されない。例えば、本実施形態では、上下方向において延長堰部32の長さは、堰部31の長さよりも小さいが、延長堰部32の長さは、堰部31の長さと等しくてもよい。また、延長堰部32は省略されてもよい。
【符号の説明】
【0074】
SA…隙間
SB…隙間
1…建築物
2…外壁
5…屋根
5b…棟
10…壁本体
11…外装パネル
12…切欠部
13…断面
20…水切り
21…取付部
22…案内部
23…水掻き部
31…堰部
32…延長堰部
33…封鎖部
46…取付部
図1
図2
図3
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図7
図8