(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】パラメータ最適化システム、パラメータ最適化方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/80 20170101AFI20240625BHJP
【FI】
G06T7/80
(21)【出願番号】P 2022576297
(86)(22)【出願日】2021-01-21
(86)【国際出願番号】 JP2021002043
(87)【国際公開番号】W WO2022157886
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】戸泉 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】舟山 知里
(72)【発明者】
【氏名】塚田 正人
【審査官】千葉 久博
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-10166(JP,A)
【文献】特開2019-12426(JP,A)
【文献】特開2010-26591(JP,A)
【文献】国際公開第2019/138827(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのセンシングパラメータを有する画像センサと、
前記センシングパラメータを変更可能なパラメータ設定手段と、
前記画像センサで
逐次的に取得される複数の画像からスコアを算出するスコア算出手段と、
前記複数の画像の前記スコアの差分と前記センシングパラメータの差分とから計算される前記センシングパラメータの勾配に基づいて、前記スコアが相対的に高くなる前記センシングパラメータである適正パラメータを決定するパラメータ決定手段と
を備え
、
前記パラメータ設定手段は、新たに決定された前記適正パラメータとなるように前記センシングパラメータを変更する
ことを特徴とするパラメータ最適化システム。
【請求項2】
前記スコア算出手段は、ニューラルネットワークを含んでおり、
前記センシングパラメータは、撮像装置の設定値に関するパラメータである
ことを特徴とする請求項1に記載のパラメータ最適化システム。
【請求項3】
前記センシングパラメータと、前記センシングパラメータに対応する前記スコアとを紐付けてペア情報として記憶する情報記憶手段を更に備え、
前記パラメータ決定手段は、前記情報記憶手段に記憶された前記ペア情報に基づいて前記適正パラメータを決定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のパラメータ最適化システム。
【請求項4】
前記スコアに含まれるノイズ量を計算するノイズ計算手段を更に備え、
前記パラメータ決定手段は、前記スコアの差分が前記ノイズ量より小さい場合には新たな前記適正パラメータを決定せず、前記スコアの差分が前記ノイズ量より大きい場合に新たな前記適正パラメータを決定する
ことを特徴とする請求項
1から3のいずれか一項に記載のパラメータ最適化システム。
【請求項5】
前記スコアは、前記画像に含まれる撮像対象に関するものであり
前記パラメータ設定手段は、前記スコアが前記撮像対象を検出していない状態に対応する値である場合に、前記画像から前記撮像対象を検出できるように前記センシングパラメータを変更する
ことを特徴とする請求項1から
4のいずれか一項に記載のパラメータ最適化システム。
【請求項6】
前記パラメータ決定手段は、前記画像センサ周辺の光環境の違いに応じて複数パターンの前記適正パラメータを決定することを特徴とする請求項1から
5のいずれか一項に記載のパラメータ最適化システム。
【請求項7】
前記複数のパターンの前記適正パラメータをユーザに提示する提示手段を更に備え、
前記パラメータ設定手段は、前記ユーザが選択したパターンに応じて前記センシングパラメータを変更する
ことを特徴とする請求項
6に記載のパラメータ最適化システム。
【請求項8】
少なくとも1つの変更可能なセンシングパラメータを有する画像センサのパラメータ最適化システムであって、
前記画像センサで
逐次的に取得される複数の画像からスコアを算出し、
前記複数の画像の前記スコアの差分と前記センシングパラメータの差分とから計算される前記センシングパラメータの勾配に基づいて、前記スコアが相対的に高くなる前記センシングパラメータである適正パラメータを決定
し、
新たに決定された前記適正パラメータとなるように前記センシングパラメータを変更する
ことを特徴とするパラメータ最適化方法。
【請求項9】
少なくとも1つの変更可能なセンシングパラメータを有する画像センサのパラメータ最適化システムであって、
前記画像センサで
逐次的に取得される複数の画像からスコアを算出し、
前記複数の画像の前記スコアの差分と前記センシングパラメータの差分とから計算される前記センシングパラメータの勾配に基づいて、前記スコアが相対的に高くなる前記センシングパラメータである適正パラメータを決定
し、
新たに決定された前記適正パラメータとなるように前記センシングパラメータを変更する
ようにコンピュータを動作させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、画像センサのパラメータを適正なものとするパラメータ最適化システム、パラメータ最適化方法、及びコンピュータプログラムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のシステムとして、画像の撮像に関する各種パラメータを調整するものが知られている。例えば特許文献1では、撮影画像と照明パラメータとを紐付けて得られた画像データセットに基づいて対象物の推定画像を生成し、それを用いた機械学習によって照明パラメータを最適化する技術が開示されている。特許文献2では、カテゴリ判定スコアを最大にする撮影パラメータを教師値として回帰学習を行うことで、撮影パラメータ推定器を最適化する技術が開示されている。特許文献3では、カメラ装置の設置された撮像環境に対応する認識制御パラメータを、所定の学習アルゴリズムを用いて更新されたパラメータテーブルから選択して利用する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-077326号公報
【文献】特開2019-012436号公報
【文献】特開2016-015116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この開示は、上述した関連する技術を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この開示のパラメータ最適化システムの一の態様は、少なくとも1つのセンシングパラメータを有する画像センサと、前記センシングパラメータを変更可能なパラメータ設定手段と、前記画像センサで取得された画像からスコアを算出するスコア算出手段と、前記センシングパラメータと、前記センシングパラメータに対応する前記スコアとに基づいて、前記スコアが相対的に高くなる前記センシングパラメータである適正パラメータを決定するパラメータ決定手段とを備える。
【0006】
この開示のパラメータ最適化方法の一の態様は、少なくとも1つの変更可能なセンシングパラメータを有する画像センサのパラメータ最適化システムであって、前記画像センサで取得された画像からスコアを算出し、前記センシングパラメータと、前記センシングパラメータに対応する前記スコアとに基づいて、前記スコアが相対的に高くなる前記センシングパラメータである適正パラメータを決定する。
【0007】
この開示のコンピュータプログラムの一の態様は、少なくとも1つの変更可能なセンシングパラメータを有する画像センサのパラメータ最適化システムであって、前記画像センサで取得された画像からスコアを算出し、前記センシングパラメータと、前記センシングパラメータに対応する前記スコアとに基づいて、前記スコアが相対的に高くなる前記センシングパラメータである適正パラメータを決定するようにコンピュータを動作させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係るパラメータ最適化システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係るパラメータ最適化システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係るパラメータ最適化システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【
図4】第2実施形態に係るパラメータ最適化システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図5】第2実施形態に係るパラメータ最適化システムで扱われるセンシングパラメータの一例を示す表である。
【
図6】第3実施形態に係るパラメータ最適化システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図7】第3実施形態に係るパラメータ最適化システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【
図8】第4実施形態に係るパラメータ最適化システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図9】第4実施形態に係るパラメータ最適化システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【
図10】第5実施形態に係るパラメータ最適化システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図11】第5実施形態に係るパラメータ最適化システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【
図12】第6実施形態に係るパラメータ最適化システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図13】第6実施形態に係るパラメータ最適化システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【
図14】第7実施形態に係るパラメータ最適化システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図15】第7実施形態に係るパラメータ最適化システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【
図16】第7実施形態に係るパラメータ最適化システムにおける光環境の違いの一例を示す概念図である
【
図17】第8実施形態に係るパラメータ最適化システムの機能的構成を示すブロック図である。
【
図18】第8実施形態に係るパラメータ最適化システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【
図19】第8実施形態に係るパラメータ最適化システムにおける提示例を示す図(その1)である。
【
図20】第8実施形態に係るパラメータ最適化システムにおける提示例を示す図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、パラメータ最適化システム、パラメータ最適化方法、及びコンピュータプログラムの実施形態について説明する。
【0010】
<第1実施形態>
第1実施形態に係るパラメータ最適化システムについて、
図1から
図3を参照して説明する。
【0011】
(ハードウェア構成)
まず、
図1を参照しながら、第1実施形態に係るパラメータ最適化システムのハードウェア構成について説明する。
図1は、第1実施形態に係るパラメータ最適化システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、第1実施形態に係るパラメータ最適化システム10は、プロセッサ11と、RAM(Random Access Memory)12と、ROM(Read Only Memory)13と、記憶装置14とを備えている。パラメータ最適化システム10は、入力装置15と、出力装置16とを備えていてもよい。パラメータ最適化システム10は更に、カメラ20を備えている。プロセッサ11と、RAM12と、ROM13と、記憶装置14と、入力装置15と、出力装置16と、カメラ20は、データバス17を介して接続されている。
【0013】
プロセッサ11は、コンピュータプログラムを読み込む。例えば、プロセッサ11は、RAM12、ROM13及び記憶装置14のうちの少なくとも一つが記憶しているコンピュータプログラムを読み込むように構成されている。或いは、プロセッサ11は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体が記憶しているコンピュータプログラムを、図示しない記録媒体読み取り装置を用いて読み込んでもよい。プロセッサ11は、ネットワークインタフェースを介して、パラメータ最適化システム10の外部に配置される不図示の装置からコンピュータプログラムを取得してもよい(つまり、読み込んでもよい)。プロセッサ11は、読み込んだコンピュータプログラムを実行することで、RAM12、記憶装置14、入力装置15及び出力装置16を制御する。本実施形態では特に、プロセッサ11が読み込んだコンピュータプログラムを実行すると、プロセッサ11内には、画像センサのセンシングパラメータを最適化するための機能ブロックが実現される。なお、プロセッサ11の一例として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(field-programmable gate array)、DSP(Demand-Side Platform)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)が挙げられる。プロセッサ11は、上述した一例のうち一つを用いてもよいし、複数を並列で用いてもよい。
【0014】
RAM12は、プロセッサ11が実行するコンピュータプログラムを一時的に記憶する。RAM12は、プロセッサ11がコンピュータプログラムを実行している際にプロセッサ11が一時的に使用するデータを一時的に記憶する。RAM12は、例えば、D-RAM(Dynamic RAM)であってもよい。
【0015】
ROM13は、プロセッサ11が実行するコンピュータプログラムを記憶する。ROM13は、その他に固定的なデータを記憶していてもよい。ROM13は、例えば、P-ROM(Programmable ROM)であってもよい。
【0016】
記憶装置14は、パラメータ最適化システム10が長期的に保存するデータを記憶する。記憶装置14は、プロセッサ11の一時記憶装置として動作してもよい。記憶装置14は、例えば、ハードディスク装置、光磁気ディスク装置、SSD(Solid State Drive)及びディスクアレイ装置のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0017】
入力装置15は、パラメータ最適化システム10のユーザからの入力指示を受け取る装置である。入力装置15は、例えば、キーボード、マウス及びタッチパネルのうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。入力装置15は、専用のコントローラ(操作端末)であってもよい。また、入力装置15は、ユーザが保有する端末(例えば、スマートフォンやタブレット端末等)を含んでいてもよい。入力装置15は、例えばマイクを含む音声入力が可能な装置であってもよい。
【0018】
出力装置16は、パラメータ最適化システム10に関する情報を外部に対して出力する装置である。例えば、出力装置16は、パラメータ最適化システム10に関する情報を表示可能な表示装置(例えば、ディスプレイ)であってもよい。ここでの表示装置は、テレビモニタ、パソコンモニタ、スマートフォンのモニタ、タブレット端末のモニタ、その他の携帯端末のモニタであってよい。また、表示装置は、店舗等の各種施設に設置される大型モニタやデジタルサイネージ等であってよい。また、出力装置16は、画像以外の形式で情報を出力する装置であってもよい。例えば、出力装置16は、パラメータ最適化システム10に関する情報を音声で出力するスピーカであってもよい。
【0019】
カメラ20は、画像を撮像可能な装置として構成されている。カメラ20は、可視光カメラであってもよいし、赤外線カメラ等の可視光以外の光によって画像を撮像するカメラであってもよい。カメラ20は、静止画を撮像するカメラであってもよいし、動画を撮像するカメラであってもよい。カメラ20は、センシングパラメータを有する画像センサ(イメージセンサ)を備えて構成されている。画像センサの詳細については後述する。
【0020】
(機能的構成)
次に、
図2を参照しながら、第1実施形態に係るパラメータ最適化システム10の機能的構成について説明する。
図2は、第1実施形態に係るパラメータ最適化システムの機能的構成を示すブロック図である。
【0021】
図2に示すように、第1実施形態に係るパラメータ最適化システム10は、その機能を実現するための構成要素として、画像センサ110と、パラメータ設定部120と、スコア算出部130と、パラメータ決定部140とを備えている。画像センサ110は、上述したカメラ20(
図1参照)が備えるセンサである。また、パラメータ設定部120、スコア算出部130、及びパラメータ決定部140の各々は、上述したプロセッサ(
図1)によって実現されてよい。
【0022】
画像センサ110は、画像を取得可能なセンサとして構成されている。画像センサ110の具体的な構成は特に限定されるものではないが、例えばCCD(Charge Coupled Devices)として構成されてもよいし、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)として構成されてもよい。画像センサ110は、少なくとも1つのセンシングパラメータ(即ち、画像の撮像に関するパラメータ)を有している。センシングパラメータの具体例については、後述する他の実施形態において詳しく説明する。
【0023】
パラメータ設定部120は、画像センサ110のセンシングパラメータを設定(即ち、変更)可能に構成されている。パラメータ設定部120は、画像センサ110が複数のセンシングパラメータを有する場合、それらをまとめて設定可能とされてもよいし、1つずつ別々に設定可能とされてもよい。パラメータ設定部120は、現在設定しているセンシングパラメータに関する情報を、パラメータ決定部140に出力可能に構成されている。
【0024】
スコア算出部130は、画像センサ110で取得された画像からスコアを算出可能に構成されている。ここでの「スコア」とは、画像の状態を数値化したものであり、例えば画像の品質を示す値であってもよいし、画像に含まれる撮像対象の検出結果や認識結果を示す値であってもよい。より具体的には、スコアは顔認証における顔の一致度(類似度)を示す顔認証スコアであってもよい。スコアの具体的な算出方法については、既存の技術を適宜採用することができるため、ここでの詳細な説明は省略する。スコア算出部130で算出されたスコアは、パラメータ決定部140に出力される構成となっている。
【0025】
パラメータ決定部140は、パラメータ設定部120から取得したセンシングパラメータに関する情報と、スコア算出部130で算出されたスコアに関する情報とを用いて、スコアが相対的に高くなる適正パラメータを決定可能に構成されている。適正パラメータのより具体的な決定方法については、後述する他の実施形態において詳しく説明する。適正パラメータは、現在の撮影環境において画像のスコアが最も高くなるようなセンシングパラメータであってよい。或いは、適正パラメータは、画像のスコアが所定の閾値よりも高くなるようなセンシングパラメータであってもよい。パラメータ決定部140は、画像センサ110が複数のセンシングパラメータを有する場合、その全ての適正パラメータを決定してもよいし、一部の適正パラメータを決定してもよい。
【0026】
(動作の流れ)
次に、
図3を参照しながら、第1実施形態に係るパラメータ最適化システム10の動作の流れについて説明する。
図3は、第1実施形態に係るパラメータ最適化システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【0027】
図3に示すように、第1実施形態に係るパラメータ最適化システム10の動作が開始されると、まず画像センサ110が画像を取得する(ステップS11)。
【0028】
続いて、スコア算出部130が、画像センサ110で取得された画像からスコアを算出する(ステップS12)。スコア算出部130で算出されたスコアは、パラメータ決定部140に出力される。また、パラメータ決定部140は、スコアを算出した画像を撮像した際のセンシングパラメータに関する情報を、パラメータ設定部120から取得する(ステップS13)。
【0029】
続いて、パラメータ決定部140は、スコアと、そのスコアに対応するセンシングパラメータに関する情報とに基づいて、適正パラメータを決定する(ステップS14)。ここで決定した適正パラメータの利用方法については、後述する他の実施形態において詳しく説明する。
【0030】
(技術的効果)
次に、第1実施形態に係るパラメータ最適化システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0031】
図1から
図3で説明したように、第1実施形態に係るパラメータ最適化システム10では、画像センサ110のセンシングパラメータと、画像から算出されたスコアとに基づいて適正パラメータが決定される。このようにすれば、適切なセンシングパラメータを設定してスコアの高い画像を撮像することが可能となる。このため、仮にセンシングパラメータの初期値がスコアの算出に適しない値(例えば、人間の目に見やすい画像を撮像するために設定された値)であったとしても、センシングパラメータを設定し直し、スコアを算出するのに適した画像を撮像できる。また、画像を撮像する際の環境(特に、光環境)によらず、適切な画像を撮像することも可能となる。
【0032】
<第2実施形態>
第2実施形態に係るパラメータ最適化システム10について、
図4及び
図5を参照して説明する。なお、第2実施形態は、上述した第1実施形態と一部の構成が異なるのみであり、例えばハードウェア構成や全体的な動作の流れについては、第1実施形態と同様であってよい(
図1及び
図3参照)。このため、以下では、第1実施形態と異なる部分について詳しく説明し、他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0033】
(機能的構成)
まず、
図4を参照しながら、第2実施形態に係るパラメータ最適化システム10の機能的構成について説明する。
図4は、第2実施形態に係るパラメータ最適化システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図4では、
図2で示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0034】
図4に示すように、第2実施形態に係るパラメータ最適化システム10は、その機能を実現するための構成要素として、画像センサ110と、パラメータ設定部120と、スコア算出部130と、パラメータ決定部140とを備えている。そして特に、第2実施形態に係るスコア算出部130は、ニューラルネットワーク135を含んで構成されている。
【0035】
ニューラルネットワーク135は、画像からスコアを算出する学習済みモデルとして構成されている。ニューラルネットワーク135は、例えば、CNN(Convolution Neural Network)、RNN(Recurrent Neural Network)、LSTM(Long Short Term Memory)、Transformer、又はGAN(Generative Adversarial Network)であってよい。ニューラルネットワーク135は、顔画像を用いて顔認証を行う顔認証モデルとして構成されていてもよい。或いは、ニューラルネットワーク135は、画像中に存在する物体を認識する物体認識モデルとして構成されていてもよい。
【0036】
(センシングパラメータ)
次に、
図5を参照しながら、第2実施形態に係るパラメータ最適化システムで扱われるセンシングパラメータについて説明する。
図5は、第2実施形態に係るパラメータ最適化システムで扱われるセンシングパラメータの一例を示す表である。
【0037】
図5に示すセンシングパラメータは、撮像装置の設定値に関するパラメータであり、ニューラルネットワークの誤差逆伝播で勾配を算出することができないパラメータである。第2実施形態に係るパラメータ最適化システムは、このようなセンシングパラメータについて適正パラメータを決定する。具体的には、アナログパラメータである、露光時間、アナログゲイン、F値(絞り値)、焦点距離(視野)、フラッシュ等のパラメータが挙げられる。また、デジタルパラメータである、ホワイトバランス、ブライトネス、デジタルゲイン、ノイズ除去等のパラメータが挙げられる。なお、ここで挙げたパラメータは一例であり、ニューラルネットワークの誤差逆伝播で勾配を算出することができないパラメータであれば、その他のセンシングパラメータであってもよい。
【0038】
(技術的効果)
次に、第2実施形態に係るパラメータ最適化システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0039】
図4及び
図5で説明したように、第2実施形態に係るパラメータ最適化システム10では、ニューラルネットワークの誤差逆伝播で勾配を算出することができないパラメータについて適正パラメータが決定される。この場合、ニューラルネットワークが備えられていたとしても、それを用いて適正パラメータを決定することができない。しかるに、第2実施形態に係るパラメータ最適化システム10では、すでに説明したように、画像センサ110のセンシングパラメータと、画像から算出されたスコアとに基づいて適正パラメータが決定される。よって、ニューラルネットワークを用いることなく適正パラメータを決定することができる。即ち、ニューラルネットワークの誤差逆伝播で勾配を算出することができないパラメータについても、適切に適正パラメータを決定することが可能である。
【0040】
<第3実施形態>
第3実施形態に係るパラメータ最適化システム10について、
図6及び
図7を参照して説明する。なお、第3実施形態は、上述した第1及び第2実施形態と一部の構成及び動作が異なるのみで、その他の部分については第1及び第2実施形態と同様であってよい。このため、以下では、すでに説明した各実施形態と異なる部分について詳しく説明し、他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0041】
(機能的構成)
まず、
図6を参照しながら、第3実施形態に係るパラメータ最適化システム10の機能的構成について説明する。
図6は、第3実施形態に係るパラメータ最適化システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図6では、
図2に示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0042】
図6に示すように、第3実施形態に係るパラメータ最適化システム10は、その機能を実現するための構成要素として、画像センサ110と、パラメータ設定部120と、スコア算出部130と、パラメータ決定部140と、情報記憶部150とを備えている。即ち、第3実施形態に係るパラメータ最適化システム10は、第1実施形態の構成要素(
図2参照)に加えて、情報記憶部150を更に備えて構成されている。なお、情報記憶部150は、例えば上述した記憶装置14(
図1参照)によって実現されてよい。
【0043】
情報記憶部150は、スコア算出部130で算出されたスコアと、パラメータ設定部120から取得したセンシングパラメータに関する情報とのペア(以下、適宜「ペア情報」と称する)を記憶可能に構成されている。情報記憶部150は、新たな画像を取得してスコアを算出する度にペア情報を記憶していく。このため、情報記憶部150には、複数のペア情報が蓄積されていくことになる。情報記憶部150に記憶されたペア情報は、パラメータ決定部140によって適宜読み出し可能とされている。
【0044】
(動作の流れ)
次に、
図7を参照しながら、第3実施形態に係るパラメータ最適化システム10の動作の流れについて説明する。
図7は、第3実施形態に係るパラメータ最適化システムの動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図7では、
図3で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0045】
図7に示すように、第3実施形態に係るパラメータ最適化システム10の動作が開始されると、まず画像センサ110が画像を取得する(ステップS11)。そして、スコア算出部130が、画像センサ110で取得された画像からスコアを算出する(ステップS12)。
【0046】
続いて、情報記憶部150が、スコア算出部130で算出されたスコアと、パラメータ設定部120から取得したセンシングパラメータに関する情報とのペア(即ち、ペア情報)を記憶する(ステップS31)。
【0047】
その後、パラメータ最適化システム10は、ペア情報の蓄積を終了するか否かを判定する(ステップS32)。なお、ペア情報の蓄積を終了するか否かは、例えば蓄積したペア情報の数が所定数に到達したか否かによって判定してもよい。この場合の「所定値」は、後述するステップS33において適正パラメータを決定するのに十分なペア情報の数として、事前のシミュレーション等によって予め設定される値であってよい。或いは、ペア情報の蓄積を終了するか否かは、予め用意されているすべての画像に対応するペア情報を蓄積したか否かによって判定してもよい。
【0048】
ペア情報の蓄積を終了しないと判定した場合(ステップS32:NO)、第3実施形態に係るパラメータ最適化システム10は、ステップS11から処理を繰り返す。これにより、ペア情報が情報記憶部150に蓄積されていく。一方、ペア情報の蓄積を終了すると判定した場合(ステップS32:NO)、パラメータ決定部140が、情報記憶部150に蓄積されたペア情報に基づいて適正パラメータを決定する(ステップS33)。
【0049】
なお、上述した一連の処理は、典型的には、画像センサ110を利用したシステムの実際の運用時(即ち、顔認証等のスコアを用いる処理を実行する場合)に先立って事前に行われる。パラメータ決定部140で決定された適正パラメータは、決定されてすぐにパラメータ設定部120によって反映されてよい。即ち、適正パラメータが決定されると、画像センサ110のセンシングパラメータがすぐに適正パラメータに変更されてよい。或いは、パラメータ決定部140で決定された適正パラメータは、上述したシステムの実際の運用時になってから、パラメータ設定部120によって反映されてよい。即ち、決定された適正パラメータはすぐに反映されず、必要に応じて画像センサ110のセンシングパラメータに反映されてよい。
【0050】
(技術的効果)
次に、第3実施形態に係るパラメータ最適化システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0051】
図6及び
図7で説明したように、第3実施形態に係るパラメータ最適化システム10では、情報記憶部150に蓄積されたペア情報に基づいて適正パラメータを決定する。このようにすれば、情報記憶部150に蓄積された複数のペア情報(即ち、複数のスコア、及び複数のセンシングパラメータ)を用いて適正パラメータを決定することができるため、少ない情報から適正パラメータを決定する場合と比較すると、適正パラメータをより適切な値として決定することが可能である。
【0052】
<第4実施形態>
第4実施形態に係るパラメータ最適化システム10について、
図8及び
図9を参照して説明する。なお、第4実施形態は、上述した第1から第3実施形態と一部の構成動作が異なるのみで、その他の部分については第1から第3実施形態と同様であってよい。このため、以下では、すでに説明した各実施形態と異なる部分について詳しく説明し、他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0053】
(機能的構成)
まず、
図8を参照しながら、第4実施形態に係るパラメータ最適化システム10の機能的構成について説明する。
図8は、第4実施形態に係るパラメータ最適化システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図8では、
図2に示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0054】
図8に示すように、第4実施形態に係るパラメータ最適化システム10は、その機能を実現するための構成要素として、画像センサ110と、パラメータ設定部120と、スコア算出部130と、パラメータ決定部140と、スコア記憶部160とを備えている。即ち、第4実施形態に係るパラメータ最適化システム10は、第1実施形態の構成要素(
図2参照)に加えて、スコア記憶部160を更に備えて構成されている。なお、スコア記憶部160は、例えば上述した記憶装置14(
図1参照)によって実現されてよい。また、第4実施形態に係るパラメータ決定部140は、勾配計算部145を備えて構成されている。
【0055】
スコア記憶部160は、スコア算出部130で算出されるスコアと、スコアを算出した画像を撮像した際のセンシングパラメータ(以下、単に「パラメータ」と称することがある)とを記憶可能に構成されている。第4実施形態に係るパラメータ最適化システム10では、逐次的に(例えば、リアルタイムで)画像センサ100により画像が取得されていくため、スコア算出部130では新たに画像が取得される度にスコアが算出される。スコア記憶部160は、このように順次算出されていくスコアとパラメータとを蓄積していく。ただし、スコア記憶部160は、連続して算出される2つのスコア及びパラメータだけを記憶可能なものであってもよい。即ち、スコア記憶部160は、少なくとも2つのスコアとパラメータとを記憶可能なものであればよい。また、スコア記憶部160は、記憶する必要のなくなったスコアとパラメータとを適宜削除する機能を有していてもよい。スコア記憶部160に記憶されたスコア及びパラメータは、パラメータ決定部140(具体的には、勾配計算部145)によって適宜読み出し可能とされている。
【0056】
勾配計算部145は、スコア記憶部160に記憶された複数のスコアとパラメータとから、パラメータの勾配を計算可能に構成されている。勾配計算部145は、複数のスコア及びパラメータの差分を算出し、スコアの差分をパラメータの変化量で除することによりパラメータの勾配を算出してよい。勾配計算部145は、2つのスコア及びパラメータからパラメータの勾配を計算してもよいし、3つ以上のスコア及びパラメータからパラメータの勾配を計算してもよい。勾配計算部145で算出されたパラメータの勾配は、パラメータ決定部140における適正パラメータの決定に用いられる。
【0057】
(動作の流れ)
次に、
図9を参照しながら、第4実施形態に係るパラメータ最適化システム10の動作の流れについて説明する。
図9は、第4実施形態に係るパラメータ最適化システムの動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図9では、
図3で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0058】
図9に示すように、第4実施形態に係るパラメータ最適化システム10の動作が開始されると、まず画像センサ110が画像を取得する(ステップS11)。なお、第4実施形態に係るパラメータ最適化システム10では、画像センサ110が画像を逐次的に取得していく。例えば、画像センサ110は、動画を撮像するカメラの画像センサとして構成されており、複数フレームの画像を連続して取得する。
【0059】
続いて、スコア算出部130が、画像センサ110で取得された画像からスコアを算出する(ステップS12)。そして、スコア記憶部160が、スコア算出部130で算出されたスコアとパラメータとを記憶する(ステップS41)。
【0060】
その後、パラメータ決定部140における勾配計算部145が、スコア記憶部160に記憶された複数のスコアとパラメータとから、パラメータの勾配を計算する(ステップS42)。そして、パラメータ決定部140は、勾配計算部145で計算されたパラメータの勾配に基づいて適正パラメータを決定する(ステップS43)。
【0061】
続いて、パラメータ設定部120は、パラメータ決定部140で決定された適正パラメータに応じて画像センサ110のセンシングパラメータを更新(変更)する(ステップS44)。よって、第4実施形態に係るパラメータ最適化システム10では、新たな適正パラメータが決定される度に、画像センサ110のセンシングパラメータが更新されていく。
【0062】
続いて、第4実施形態に係るパラメータ最適化システム10は、画像センサ110による画像の取得が終了するか否かを判定する(ステップS45)。画像の取得が終了する場合(ステップS45:YES)、そのまま一連の処理は終了することになる。一方で、画像の取得が終了しない場合(ステップS45:NO)、第4実施形態に係るパラメータ最適化システム10は、再びステップS11から処理を繰り返す。よって、画像センサ110によって画像が取得されている間は(即ち、画像が撮影され続ける間は)、パラメータの勾配から適正パラメータを決定し、画像センサ110のセンシングパラメータを更新する処理が繰り返し実行されることになる。
【0063】
なお、第4実施形態に係るパラメータ最適化システム10は、画像の取得が終了されない場合であっても、適正パラメータが特定の値に収束してきた場合(言い換えれば、センシングパラメータを更新する意義がほとんど無くなった場合)に、上述した一連の処理を停止するようにしてもよい。第4実施形態に係るパラメータ最適化システム10は、一連の処理を停止した後に、再び画像センサのセンシングパラメータを更新すべき状況になった場合(例えば、撮像センサ110周辺の光環境が変化した場合等)には、再びに一連の処理を開始するようにしてもよい。
【0064】
(技術的効果)
次に、第4実施形態に係るパラメータ最適化システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0065】
図8及び
図9で説明したように、第4実施形態に係るパラメータ最適化システム10では、順次算出されるパラメータの勾配に応じて適正パラメータが決定され、新たな適正パラメータが決定される度に画像センサ110のセンシングパラメータが更新される。このようにすれば、逐次的に画像を取得しながら、最適な適正パラメータを探索することができる。よって、例えば動画を撮影する際に、その時の環境に応じたセンシングパラメータを随時反映させながら、適切な撮影を実現することができる。このような効果は、例えば時間経過によって画像センサ110周辺の光環境が変化する状況(例えば、昼から夕方、夕方から夜になる場合等)で連続して画像を撮像する際に顕著に発揮される。
【0066】
<第5実施形態>
第5実施形態に係るパラメータ最適化システム10について、
図10及び
図11を参照して説明する。なお、第5実施形態は、上述した第4実施形態と一部の構成動作が異なるのみで、その他の部分については第4実施形態と同様であってよい。このため、以下では、すでに説明した各実施形態と異なる部分について詳しく説明し、他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0067】
(機能的構成)
まず、
図10を参照しながら、第5実施形態に係るパラメータ最適化システム10の機能的構成について説明する。
図10は、第5実施形態に係るパラメータ最適化システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図10では、
図8に示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0068】
図10に示すように、第5実施形態に係るパラメータ最適化システム10は、その機能を実現するための構成要素として、画像センサ110と、パラメータ設定部120と、スコア算出部130と、パラメータ決定部140と、スコア記憶部160と、ノイズ量計算部170とを備えている。即ち、第5実施形態に係るパラメータ最適化システム10は、第4実施形態の構成要素(
図8参照)に加えて、ノイズ量計算部170を更に備えて構成されている。なお、ノイズ量計算部170は、例えば上述したプロセッサ11(
図1参照)によって実現されてよい。
【0069】
ノイズ量計算部170は、スコア算出部130で算出されるスコアに含まれるノイズ量を計算可能に構成されている。なお、ここでの「ノイズ量」とは、画像センサ110によって取得される画像が有するノイズに起因して、その画像から算出されるスコアに含まれることになるノイズの量である。ノイズ量の算出方法は特に限定されないが、例えば予め画像センサ110で複数の画像を取得しておき、それらの画像から標準偏差等を用いて算出してもよい。ノイズ量計算部170で計算されたノイズ量は、パラメータ決定部140に出力される構成となっている。
【0070】
(動作の流れ)
次に、
図11を参照しながら、第5実施形態に係るパラメータ最適化システム10の動作の流れについて説明する。
図11は、第5実施形態に係るパラメータ最適化システムの動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図11では、
図9で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0071】
図11に示すように、第5実施形態に係るパラメータ最適化システム10の動作が開始されると、まず画像センサ110が画像を取得する(ステップS11)。なお、第5実施形態に係るパラメータ最適化システム10は、第4実施形態と同様に、画像センサ110が画像を逐次的に取得していく。例えば、画像センサ110は、動画を撮像するカメラの画像センサとして構成されており、複数フレームの画像を連続して取得する。
【0072】
続いて、スコア算出部130が、画像センサ110で取得された画像からスコアを算出する(ステップS12)。そして、スコア記憶部160が、スコア算出部130で算出されたスコアとパラメータとを記憶する(ステップS41)。
【0073】
続いて、ノイズ量計算部170がスコアのノイズ量を計算する(ステップS51)。なお、ノイズ量の計算は、ステップS12におけるスコアの算出や、ステップS41におけるスコアの記憶より前に実行されてもよい。また、ステップS11で取得される画像とは別の画像からノイズ量を算出する場合には、ステップS11よりも前にノイズ量を計算する処理を実行してもよい。言い換えれば、
図11の一連の処理が開始される前にノイズ量を計算する処理を実行するようにしてもよい。
【0074】
続いて、パラメータ決定部140は、勾配計算部145でパラメータの勾配を算出する際に用いるスコアの差分が、ノイズ量計算部170で計算されたノイズ量より大きいか否かを判定する(ステップS52)。
【0075】
スコアの差分がノイズ量よりも大きい場合(ステップS52:YES)、パラメータ決定部140における勾配計算部145が、スコア記憶部160に記憶された複数のスコアとパラメータとから、パラメータの勾配を計算する(ステップS42)。そして、パラメータ決定部140は、勾配計算部145で計算されたパラメータの勾配に基づいて適正パラメータを決定する(ステップS43)。その後、パラメータ設定部120は、パラメータ決定部140で決定された適正パラメータに応じて画像センサ110のセンシングパラメータを更新する(ステップS44)。
【0076】
一方で、スコアの差分がノイズ量よりも小さい場合(ステップS52:YES)、上述したステップS42からS44の処理が省略される。即ち、この場合、パラメータの勾配を計算する処理、パラメータの勾配に基づいて適正パラメータを決定する処理、適正パラメータに応じてセンシングパラメータを更新する処理は実行されない。
【0077】
なお、ステップS52のスコアの差分がノイズ量よりも大きいか否かを判定する処理は、ステップS42のパラメータの勾配の計算が実行された後に実行されてもよい。この場合、スコアの差分がノイズ量よりも小さい場合には、ステップS43及びS44の処理が省略されることになる。即ち、パラメータの勾配は計算されるが、適正パラメータを決定する処理及びセンシングパラメータを更新する処理が実行されない場合がある。また、ステップS52のスコアの差分がノイズ量よりも大きいか否かを判定する処理は、ステップS43の適正パラメータの決定が実行された後に実行されてもよい。この場合、スコアの差分がノイズ量よりも小さい場合には、ステップS44の処理のみが省略されることになる。即ち、パラメータの勾配を計算する処理及び適正パラメータを決定する処理は実行されるが、適正パラメータに応じたセンシングパラメータの更新が実行されない場合がある。
【0078】
続いて、第5実施形態に係るパラメータ最適化システム10は、画像センサ110による画像の取得が終了するか否かを判定する(ステップS45)。画像の取得が終了する場合(ステップS45:YES)、そのまま一連の処理は終了することになる。一方で、画像の取得が終了しない場合(ステップS45:NO)、第5実施形態に係るパラメータ最適化システム10は、再びステップS11から処理を繰り返す。
【0079】
(技術的効果)
次に、第5実施形態に係るパラメータ最適化システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0080】
図10及び
図11で説明したように、第5実施形態に係るパラメータ最適化システム10では、スコア差分とノイズ量とを比較して、その結果に応じてセンシングパラメータを更新するか否かが決定される。このようにすれば、スコア差分の有意性をノイズ量に基づいて判断した上で、センシングパラメータの更新を行うことができる。具体的には、スコア差分がノイズ量より大きい場合には、スコアの差分に有意性がある(ノイズに起因する誤差ではない)と判断して、センシングパラメータを更新し、スコア差分がノイズ量より小さい場合には、スコアの差分に有意性がない(ノイズに起因する誤差である)と判断して、センシングパラメータを更新することができる。
【0081】
<第6実施形態>
第6実施形態に係るパラメータ最適化システム10について、
図12及び
図13を参照して説明する。なお、第6実施形態は、上述した第1から第5実施形態と一部の構成動作が異なるのみで、その他の部分については第1から第6実施形態と同様であってよい。このため、以下では、すでに説明した各実施形態と異なる部分について詳しく説明し、他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0082】
(機能的構成)
まず、
図12を参照しながら、第6実施形態に係るパラメータ最適化システム10の機能的構成について説明する。
図12は、第6実施形態に係るパラメータ最適化システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図12では、
図2に示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0083】
図12に示すように、第6実施形態に係るパラメータ最適化システム10は、その機能を実現するための構成要素として、画像センサ110と、パラメータ設定部120と、スコア算出部130と、パラメータ決定部140とを備えている。そして特に、第4実施形態に係るパラメータ設定部120は、検出判定部125を備えて構成されている。
【0084】
検出判定部125は、スコア算出部130で算出されるスコアに基づいて、画像から撮像対象が検出されているか否かを判定可能に構成されている。具体的には、検出判定部125は、スコア算出部130で算出されるスコアが、撮像対象が検出されていない状態に対応する値であるか否かによって、画像から撮像対象が検出されているか否かを判定可能に構成されている。なお、第6実施形態に係るスコア算出部130で算出されるスコアは、画像から検出された撮像対象に応じて変化する値である。例えば、スコア算出部130は、画像から人物の顔を検出し、その顔が登録された顔であるか否かを示すスコアを算出する。この場合、スコア算出部130で算出されるスコアは、例えば画像から検出された顔と、登録された顔との一致度に応じて変化する。ただし、人物の顔が検出されない場合、スコアは“0”となってしまう。このような例では、検出判定部125は、算出されたスコアが“0”か“それ以外”かによって、顔が検出されているか否かを判定することができる。
【0085】
(動作の流れ)
次に、
図13を参照しながら、第6実施形態に係るパラメータ最適化システム10の動作の流れについて説明する。
図13は、第6実施形態に係るパラメータ最適化システムの動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図13では、
図3で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0086】
図13に示すように、第6実施形態に係るパラメータ最適化システム10の動作が開始されると、まず画像センサ110が画像を取得する(ステップS11)。
【0087】
続いて、スコア算出部130が、画像センサ110で取得された画像からスコアを算出する(ステップS12)。スコア算出部130で算出されたスコアは、パラメータ決定部140及び検出判定部125に出力される。
【0088】
続いて、検出判定部125が、スコア算出部120で算出されたスコアに基づいて、画像から撮像対象が検出されているか否かを判定する(ステップS61)。そして、画像から撮像対象が検出されていないと判定された場合(ステップS61:NO)、パラメータ設定部120は、画像センサ110が有するセンシングパラメータを変更して、画像センサ110で取得される画像から撮像対象を検出できるように調整する(ステップS62)。即ち、パラメータ設定部120は、撮像対象を検出しやすくなるようにセンシングパラメータを調整する。例えば、パラメータ設定部120は、画像が暗過ぎて撮像対象を検出できない場合、センシングパラメータのうち明るさに関するパラメータを変更して、画像センサ110で取得される画像が明るくなるように調整する。また、パラメータ設定部120は、画像が明る過ぎて撮像対象を検出できない場合、センシングパラメータのうち明るさに関するパラメータを変更して、画像センサ110で取得される画像が暗くなるように調整してもよい。
【0089】
その後、第6実施形態に係るパラメータ最適化システム10は、再びステップS11から処理を繰り返す。よって、画像から撮像対象が検出されない状態が続くと、センシングパラメータが更に変更される。例えば、画像を明るくするようにセンシングパラメータを調整する場合、画像は更に明るくなるように調整されていく。なお、センシングパラメータを更に変更場合には、最初に変更したセンシングパラメータを更に大きく変更するようにしてもよいし、最初に変更したセンシングパラメータとは別のセンシングパラメータを変更するようにしてもよい。
【0090】
ちなみに、画像にそもそも撮像対象が含まれていない場合には、センシングパラメータをどのように調整したとしても、画像から撮像対象が検出されることはない。よって、センシングパラメータを一定値以上変更しても(例えば、画像を一定値以上に明るくしても)撮像対象を検出できない場合には、調整したセンシングパラメータを初期値に戻し、外部からの実行コマンドや定期的な実行コマンドを待つ状態にシフトするようにしてもよい。
【0091】
他方、画像から撮像対象が検出されていると判定された場合(ステップS61:YES)、
パラメータ決定部140は、スコアを算出した画像を撮像した際のセンシングパラメータに関する情報を、パラメータ設定部120から取得する(ステップS13)。そして、パラメータ決定部140は、スコアと、そのスコアに対応するセンシングパラメータに関する情報とに基づいて、適正パラメータを決定する(ステップS14)。
【0092】
(技術的効果)
次に、第6実施形態に係るパラメータ最適化システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0093】
図12及び
図13で説明したように、第6実施形態に係るパラメータ最適化システム10では、画像から撮像対象が検出されない場合に、センシングパラメータを調整することにより、画像から撮像対象を検出できるように調整される。このようにすれば、画像から撮像対象が検出されないことに起因して、適正パラメータを決定できない状況に陥ってしまうことを回避できる。具体的には、画像から撮像対象が検出されない場合、スコアが“0”になる、又はスコアが実質的に算出できなくなる。よって、画像から撮像対象を検出できない場合には、パラメータの勾配を算出することができない。このような状況において、適切な適正パラメータを決定することは難しい。しかるに本実施形態では、画像から撮像対象が検出されない場合には、画像から撮像対象を検出しやすい状態に調整される(例えば、画像が明るくなるように調整される)。従って、画像から撮像対象を確実に検出し、適切な適正パラメータを決定することが可能である。
【0094】
<第7実施形態>
第7実施形態に係るパラメータ最適化システム10について、
図14から
図16を参照して説明する。なお、第7実施形態は、上述した第1から第6実施形態と一部の構成及び動作が異なるのみであり、その他の部分については第1から第6実施形態と同様であってよい。このため、以下では、すでに説明した各実施形態と異なる部分について詳しく説明し、他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0095】
(機能的構成)
まず、
図14を参照しながら、第7実施形態に係るパラメータ最適化システム10の機能的構成について説明する。
図14は、第7実施形態に係るパラメータ最適化システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図14では、
図2に示した構成要素と同様の要素に同一の符号を付している。
【0096】
図14に示すように、第7実施形態に係るパラメータ最適化システム10は、その機能を実現するための構成要素として、画像センサ110と、パラメータ設定部120と、スコア算出部130と、パラメータ決定部140と、パラメータ記憶部180とを備えている。即ち、第7実施形態に係るパラメータ最適化システム10は、第1実施形態の構成要素(
図2参照)に加えて、パラメータ記憶部180を更に備えて構成されている。なお、パラメータ記憶部180は、例えば上述した記憶装置14(
図1参照)によって実現されてよい。
【0097】
パラメータ記憶部180は、パラメータ決定部140で決定された適正パラメータを複数パターン記憶可能に構成されている。より具体的には、パラメータ記憶部180は、光環境に応じた複数パターンの適正パラメータを記憶可能に構成されている。パラメータ記憶部180で記憶される適正パラメータは2つのパターンであってもよいし、3つ以上のパターンであってもよい。
【0098】
(動作の流れ)
次に、
図15を参照しながら、第7実施形態に係るパラメータ最適化システム10の動作の流れについて説明する。
図15は、7実施形態に係るパラメータ最適化システムの動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図15では、
図3で示した処理と同様の処理に同一の符号を付している。
【0099】
図15に示すように、第7実施形態に係るパラメータ最適化システム10の動作が開始されると、まず画像センサ110が画像を取得する(ステップS11)。
【0100】
続いて、スコア算出部130が、画像センサ110で取得された画像からスコアを算出する(ステップS12)。スコア算出部130で算出されたスコアは、パラメータ決定部140に出力される。また、パラメータ決定部140は、スコアを算出した画像を撮像した際のセンシングパラメータに関する情報を、パラメータ設定部120から取得する(ステップS13)。
【0101】
続いて、パラメータ決定部140は、スコアと、そのスコアに対応するセンシングパラメータに関する情報とに基づいて、適正パラメータを決定する(ステップS14)。その後、パラメータ記憶部180が、パラメータ決定部140で決定された適正パラメータを記憶する(ステップS71)。即ち、パラメータ記憶部180が、1つの光環境に応じた1つのパターンの適正パラメータを記憶する。
【0102】
続いて、第7実施形態に係るパラメータ最適化システム10は、すべての光環境に応じたパターンの適正パラメータを記憶したか否かを判定する(ステップS72)。即ち、予め設定された数の適正パラメータを記憶したか否かを判定する。
【0103】
すべての光環境に応じたパターンの適正パラメータを記憶している場合(ステップS72:YES)、一連の処理は終了する。一方で、すべての光環境に応じたパターンの適正パラメータを記憶していない場合(ステップS72:NO)、光環境を変更して(ステップS73)、再びステップS11から処理が繰り返される。このようにステップS11からS18の処理を繰り返していくことで、異なる光環境に応じた複数パターンの適正パラメータがパラメータ記憶部180に記憶されていく。なお、ステップS73の光環境の変化は、例えば照明の強さを変更することで実現されてもよいし、時間の経過によって(例えば、昼から夜になるのを待つことで)実現されてもよい。
【0104】
(光環境の具体例)
次に、
図16を参照しながら、光環境毎に決定される適正パラメータについて具体的に説明する。
図16は、第7実施形態に係るパラメータ最適化システムにおける光環境の違いの一例を示す概念図である。
【0105】
図16に示すように、第7実施形態に係るパラメータ最適化システム10は、光環境A、光環境B、及び光環境Cの3つの光環境に応じた適正パラメータをパラメータ記憶部180に記憶するようにしてもよい。具体的には、パラメータ記憶部180は、晴れて明るい光環境Aに対応する適正パラメータA、曇りで薄暗い光環境Bに対応する適正パラメータB、及び夜で暗い光環境Cに対応する適正パラメータCの3パターンを記憶するようにしてもよい。
【0106】
なお、上述した例はあくまで一例であり、その他の光環境に応じた適正パラメータが複数パターン決定されてもよい。上述した例は屋外での撮像を想定したものであるが、屋内で撮像を行う場合には、例えば照明の強さ等に応じて複数パターンの適正パラメータを決定すればよい。
【0107】
(技術的効果)
次に、第7実施形態に係るパラメータ最適化システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0108】
図14から
図16で説明したように、第7実施形態に係るパラメータ最適化システム10では、光環境の違いに応じて複数パターンの適正パラメータが記憶される。このようにすれば、画像を撮像する際の光環境に応じて、複数パターンの中から適切な適正パラメータを選択することで、適切に画像を撮像することが可能となる。このため、画像を撮像するタイミングで新たに適正パラメータを決定せずとも、比較的容易に適切な画像を撮像することができる。
【0109】
<第8実施形態>
第8実施形態に係るパラメータ最適化システム10について、
図17から
図20を参照して説明する。なお、第8実施形態は、上述した第7実施形態と一部の構成及び動作が異なるのみであり、その他の部分については第7実施形態と同様であってよい。このため、以下では、すでに説明した各実施形態と異なる部分について詳しく説明し、他の重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0110】
(機能的構成)
まず、
図17を参照しながら、第8実施形態に係るパラメータ最適化システム10の機能的構成について説明する。
図17は、第8実施形態に係るパラメータ最適化システムの機能的構成を示すブロック図である。なお、
図17では、
図14に示した構成要素と同様のものに同一の符号を付している。
【0111】
図17に示すように、第8実施形態に係るパラメータ最適化システム10は、その機能を実現するため構成要素として画像センサ110と、パラメータ設定部120と、スコア算出部130と、パラメータ決定部140と、パラメータ記憶部180と、パターン提示部190と、選択操作検出部200とを備えている。即ち、第8実施形態に係るパラメータ最適化システム10は、第7実施形態の構成(
図14参照)に加えて、パターン提示部190、及び選択操作検出部200を更に備えて構成されている。パターン提示部190及び選択操作検出部200の各々は、例えば上述したプロセッサ11(
図1参照)によって実現されてよい。また、パターン提示部190は、上述した出力装置16(
図1参照)を含んで構成されてもよい。選択操作検出部200は、上述した入力装置15(
図1参照)を含んで構成されてもよい。
【0112】
パターン提示部190は、パラメータ記憶部180に記憶された複数パターンの適正パラメータを、システムのユーザに提示可能に構成されている。パターン提示部190は、例えばディスプレイに画像を表示して、複数パターンの適正パラメータを提示してもよい。或いは、パターン提示部190は、スピーカ等を介した音声によって、複数パターンの適正パラメータを提示してもよい。
【0113】
選択操作検出部200は、パターン提示部190によって複数パターンの適正パラメータを提示されたユーザによる選択操作(即ち、提示されたパターンの中から1つのパターンを選択する操作)を検出可能に構成されている。選択操作検出部200は、例えばユーザの端末操作を検出可能に構成されてよい。選択操作検出部200で検出された選択操作に関する情報(例えば、ユーザが選択したパターンに関する情報)は、パラメータ設定部120に出力される構成となっている。
【0114】
(動作の流れ)
次に、
図18を参照しながら、第8実施形態に係るパラメータ最適化システム10の動作の流れについて説明する。
図18は、第8実施形態に係るパラメータ最適化システムの動作の流れを示すフローチャートである。なお、
図18に示す一連の処理は、複数パターンの適正パラメータを決定した後に実行される処理である。複数パターンの適正パラメータを決定するまでの処理は、第7実施形態(
図15参照)と同様であってよい。
【0115】
図18に示すように、第8実施形態に係るパラメータ最適化システム10の動作が開始されると、まずパターン提示部190が、パラメータ記憶部180に記憶された複数パターンの適正パラメータを、システムのユーザに提示する(ステップS81)。
【0116】
続いて、選択操作検出部200が、ユーザによる選択操作を検出する(ステップS82)。なお、ユーザによる選択操作が検出されない場合(例えば、提示してから所定期間が経過しても選択操作が検出されない場合)には、ユーザに対して選択操作を行うように通知を行ってもよい。或いは、ユーザの選択操作を待たずに自動的にいずれか1つのパターンを選択するようにしてもよい。
【0117】
続いて、選択操作検出部200で検出された選択操作に応じて、パラメータ設定部120が画像センサ110のセンシングパラメータを変更する。具体的には、パラメータ設定部120は、ユーザによる選択操作で選択されたパターンの適正パラメータとなるように、画像センサ110のセンシングパラメータを変更する(ステップS83)。
【0118】
なお、ステップS83においてセンシングパラメータを変更した後にも、選択操作検出部200は、選択操作の検出を継続してもよい。そして、ユーザの選択操作が新たに検出された場合には、パラメータ設定部120が新たに検出された選択操作に応じて、センシングパラメータを再び変更するようにしてもよい。このように、選択操作の検出及びセンシングパラメータの変更は、複数回実行されるものであってもよい。
【0119】
(UI)
次に、
図19及び
図20を参照しながら、第8実施形態に係るパラメータ最適化システム10に適用可能なUI(User Interface)について具体的に説明する。
図19は、第8実施形態に係るパラメータ最適化システムにおける提示例を示す図(その1)である。
図20は、第8実施形態に係るパラメータ最適化システムにおける提示例を示す図(その2)である。なお、
図19及び
図20では、画像から人物の顔を検出し、顔認証スコアを算出する場合の提示例を示している。
【0120】
図19に示す例では、画面の左側の領域に撮影された画像(動画)が表示される。画像には、検出された顔が含まれる矩形領域、及び算出された顔認証スコアが重畳して表示されている。また、画面の右側の領域には、センシングパラメータを設定するためのボタンが配置されている。具体的には、上から順に「オート」、「光環境A」、「光環境B」、及び「光環境C」の4つのボタンが並んでいる。ユーザは、この4つのボタンのいずれかをクリックすることで、複数パターンの適正パラメータから1つのパターンを選択する(即ち、選択操作を行う)ことが可能である。
【0121】
なお、
図19に示す例では、ユーザが「光環境A」を選択した状態となっている(ボタンの色が他と違う色になっている)。このため、
図19に示すタイミングでは、光環境Aに対応する適正パラメータで画像が撮影されている。なお、ユーザが「光環境B」のボタンをクリックした場合、画像センサ110のセンシングパラメータが光環境Bに対応する適正パラメータに変更される。同様に、ユーザが「光環境C」のボタンをクリックした場合、画像センサ110のセンシングパラメータが光環境Cに対応する適正パラメータに変更される。なお、ユーザが「オート」のボタンをクリックした場合、画像センサ110のセンシングパラメータが、光環境A、光環境B、又は光環境Cのいずれかに1つに対応する適正パラメータ、或いは、それ以外のランダムなセンシングパラメータに自動的に変更される。
【0122】
図20に示す例では、画面の左下の領域に、スコアの時間変化を示すグラフが表示されている。グラフを時間方向に見ると、ユーザは最初に「オート」を選択し、その次に「光環境A(適正パラメータA)」を選択し、その次に「光環境B(適正パラメータB)」を選択し、最後にその次に「光環境C(適正パラメータC)」を選択していることがわかる。そして、パターン毎にスコアの値を比較すると、光環境Aを選択した場合のスコアが最も高いことがわかる。よって、ユーザは、スコアを高くするためには光環境Aに応じた適正パラメータAを選択すればよいことを容易に知ることができる。
【0123】
(技術的効果)
次に、第8実施形態に係るパラメータ最適化システム10によって得られる技術的効果について説明する。
【0124】
図17から
図20で説明したように、第8実施形態に係るパラメータ最適化システム10では、複数パターンの適正パラメータがユーザに提示され、ユーザの選択操作に応じて画像センサ110のセンシングパラメータが変更される。このようにすれば、ユーザに適正パラメータを選択してもらうことができるため、例えば自動的に適正パラメータを選択することが難しい場合であっても、適切なセンシングパラメータで画像を撮像することが可能となる。また、
図19及び
図20に示したUIのように、ユーザにリアルタイムで画像の変化を提示するようにすれば、より適切に適正パターンを選択してもらうことが可能となる。
【0125】
上述した各実施形態の機能を実現するように該実施形態の構成を動作させるプログラムを記録媒体に記録させ、該記録媒体に記録されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も各実施形態の範疇に含まれる。すなわち、コンピュータ読取可能な記録媒体も各実施形態の範囲に含まれる。また、上述のプログラムが記録された記録媒体はもちろん、そのプログラム自体も各実施形態に含まれる。
【0126】
記録媒体としては例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROMを用いることができる。また該記録媒体に記録されたプログラム単体で処理を実行しているものに限らず、他のソフトウェア、拡張ボードの機能と共同して、OS上で動作して処理を実行するものも各実施形態の範疇に含まれる。
【0127】
この開示は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うパラメータ最適化システム、パラメータ最適化方法、及びコンピュータプログラムもまたこの開示の技術思想に含まれる。
【0128】
<付記>
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0129】
(付記1)
付記1に記載のパラメータ最適化システムは、少なくとも1つのセンシングパラメータを有する画像センサと、前記センシングパラメータを変更可能なパラメータ設定手段と、前記画像センサで取得された画像からスコアを算出するスコア算出手段と、前記センシングパラメータと、前記センシングパラメータに対応する前記スコアとに基づいて、前記スコアが相対的に高くなる前記センシングパラメータである適正パラメータを決定するパラメータ決定手段とを備えることを特徴とするパラメータ最適化システムである。
【0130】
(付記2)
付記2に記載のパラメータ最適化システムは、前記スコア算出手段は、ニューラルネットワークを含んでおり、前記センシングパラメータは、撮像装置の設定値に関するパラメータであることを特徴とする付記1に記載のパラメータ最適化システムである。
【0131】
(付記3)
付記3に記載のパラメータ最適化システムは、前記センシングパラメータと、前記センシングパラメータに対応する前記スコアとを紐付けてペア情報として記憶する情報記憶手段を更に備え、前記パラメータ決定手段は、前記情報記憶手段に記憶された前記ペア情報に基づいて前記適正パラメータを決定することを特徴とする付記1又は2に記載のパラメータ最適化システムである。
【0132】
(付記4)
付記4に記載のパラメータ最適化システムは、前記スコア算出手段は、逐次的に取得される複数の画像から前記スコアを算出し、前記パラメータ決定手段は、前記複数の画像の前記スコアの差分と前記センシングパラメータとの差分から計算される前記センシングパラメータの勾配に基づいて前記適正パラメータを決定し、前記パラメータ設定手段は、新たに決定された前記適正パラメータとなるように前記センシングパラメータを変更することを特徴とする付記1から3のいずれか一項に記載のパラメータ最適化システムである。
【0133】
(付記5)
付記5に記載のパラメータ最適化システムは、前記スコアに含まれるノイズ量を計算するノイズ計算手段を更に備え、前記パラメータ決定手段は、前記スコアの差分が前記ノイズ量より小さい場合には新たな前記適正パラメータを決定せず、前記スコアの差分が前記ノイズ量より大きい場合に新たな前記適正パラメータを決定することを特徴とする付記4に記載のパラメータ最適化システムである。
【0134】
(付記6)
付記6に記載のパラメータ最適化システムは、前記スコアは、前記画像に含まれる撮像対象に関するものであり前記パラメータ設定手段は、前記スコアが前記撮像対象を検出していない状態に対応する値である場合に、前記画像から前記撮像対象を検出できるように前記センシングパラメータを変更することを特徴とする付記1から5のいずれか一項に記載のパラメータ最適化システムである。
【0135】
(付記7)
付記7に記載のパラメータ最適化システムは、前記パラメータ決定手段は、前記画像センサ周辺の光環境の違いに応じて複数パターンの前記適正パラメータを決定することを特徴とする付記1から6のいずれか一項に記載のパラメータ最適化システムである。
【0136】
(付記8)
付記8に記載のパラメータ最適化システムは、前記複数のパターンの前記適正パラメータをユーザに提示する提示手段を更に備え、前記パラメータ設定手段は、前記ユーザが選択したパターンに応じて前記センシングパラメータを変更することを特徴とする付記7に記載のパラメータ最適化システムである。
【0137】
(付記9)
付記9に記載のパラメータ最適化方法は、少なくとも1つの変更可能なセンシングパラメータを有する画像センサのパラメータ最適化システムであって、前記画像センサで取得された画像からスコアを算出し、前記センシングパラメータと、前記センシングパラメータに対応する前記スコアとに基づいて、前記スコアが相対的に高くなる前記センシングパラメータである適正パラメータを決定することを特徴とするパラメータ最適化方法である。
【0138】
(付記10)
付記10に記載のコンピュータプログラムは、少なくとも1つの変更可能なセンシングパラメータを有する画像センサのパラメータ最適化システムであって、前記画像センサで取得された画像からスコアを算出し、前記センシングパラメータと、前記センシングパラメータに対応する前記スコアとに基づいて、前記スコアが相対的に高くなる前記センシングパラメータである適正パラメータを決定するようにコンピュータを動作させることを特徴とするコンピュータプログラムである。
【0139】
(付記11)
付記11に記載の記録媒体は、付記10に記載のコンピュータプログラムが記録されていることを特徴とする記録媒体である。
【符号の説明】
【0140】
10 パラメータ最適化システム
11 プロセッサ
14 記憶装置
15 入力装置
16 出力装置
20 カメラ
50 撮像対象
110 画像センサ
120 パラメータ設定部
125 検出判定部
130 スコア算出部
135 ニューラルネットワーク
140 パラメータ決定部
145 勾配計算部
150 情報記憶部
160 スコア記憶部
170 ノイズ量計算部
180 パラメータ記憶部
190 パターン提示部
200 選択操作検出部