(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】冷却構造
(51)【国際特許分類】
B60K 11/02 20060101AFI20240625BHJP
B60L 50/16 20190101ALI20240625BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240625BHJP
B60L 58/10 20190101ALI20240625BHJP
B60K 6/24 20071001ALI20240625BHJP
B60K 6/26 20071001ALI20240625BHJP
B60W 10/00 20060101ALI20240625BHJP
B60W 20/00 20160101ALI20240625BHJP
H02K 55/00 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
B60K11/02
B60L50/16 ZHV
B60L50/60
B60L58/10
B60K6/24
B60K6/26
B60W10/00 900
B60W20/00 900
H02K55/00
(21)【出願番号】P 2023027412
(22)【出願日】2023-02-24
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】津田 研一郎
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-089297(JP,A)
【文献】特開2006-136071(JP,A)
【文献】特開2016-166691(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0244130(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/02
B60L 50/16
B60L 50/60
B60L 58/10
B60K 6/24
B60K 6/26
B60W 10/00
B60W 20/00
H02K 55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化燃料が気化したガスを燃料とするガス燃焼エンジンと、
車輪を駆動させるための駆動力を発生させる超電導モータと、
前記超電導モータに電力を供給するバッテリと、
前記ガス燃焼エンジンに向けて前記ガスとなる液化燃料を供給する燃料供給路であって、前記超電導モータを経由して前記液化燃料を供給する燃料供給路と、
前記バッテリを冷却するための第1冷媒が流れる第1冷媒流路と、
前記燃料供給路における前記超電導モータよりも下流に設けられ、前記燃料供給路の前記液化燃料と、前記第1冷媒流路の第1冷媒との間で熱交換を行う第1熱交換器
と、
前記ガス燃焼エンジンを冷却するための第2冷媒が流れる第2冷媒流路と、
前記燃料供給路に対して、前記第1熱交換器よりも下流に設けられ、前記燃料供給路の前記液化燃料と、前記第2冷媒流路の第2冷媒との間で熱交換を行う第2熱交換器と、
前記第2冷媒流路を流れる前記第2冷媒を前記バッテリに供給するとともに、前記バッテリを通過した前記第2冷媒を前記第2冷媒流路へと戻す循環流路と、
前記第2冷媒が前記循環流路へと流れる状態と流れない状態とを切替える第1バルブと、
前記バッテリの温度を検出する温度センサと、
前記第1バルブの動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記温度センサが検出した温度が、第1閾値未満の場合に、前記第2冷媒が前記循環流路へと流れるように、前記第1バルブの動作を制御する、
冷却構造。
【請求項2】
前記制御部は、
前記温度センサが検出した温度が前記第1閾値よりも高い第2閾値以上となった場合に、前記第2冷媒が前記循環流路へ流すことが停止するように、前記第1バルブの動作を制御する、
請求項
1に記載の冷却構造。
【請求項3】
前記第1冷媒流路に設けられ、前記第1冷媒流路を前記第1冷媒が流れる状態と流れない状態とに切替える第2バルブをさらに備え、
前記制御部は、
前記第2冷媒が前記循環流路へと流れるように前記第1バルブの動作を制御する場合に、第1冷媒流路を前記第1冷媒が流れない状態となるように、前記第2バルブの動作を制御する、
請求項
1又は2に記載の冷却構造。
【請求項4】
液化燃料が気化したガスを燃料とするガス燃焼エンジンと、
車輪を駆動させるための駆動力を発生させる超電導モータと、
前記超電導モータに電力を供給するバッテリと、
前記ガス燃焼エンジンに向けて前記ガスとなる液化燃料を供給する燃料供給路であって、前記超電導モータを経由して前記液化燃料を供給する燃料供給路と、
前記バッテリを冷却するための第1冷媒が流れる第1冷媒流路と、
前記燃料供給路における前記超電導モータよりも下流に設けられ、前記燃料供給路の前記液化燃料と、前記第1冷媒流路の第1冷媒との間で熱交換を行う第1熱交換器と、
前記ガス燃焼エンジンを冷却するための第2冷媒が流れる第2冷媒流路と、
前記燃料供給路に対して、前記第1熱交換器よりも下流に設けられ、前記燃料供給路の前記液化燃料と、前記第2冷媒流路の第2冷媒との間で熱交換を行う第2熱交換器と、
前記第2冷媒流路を流れる前記第2冷媒を前記バッテリに供給するとともに、前記バッテリを通過した前記第2冷媒を前記第2冷媒流路へと戻す循環流路と、
前記第2冷媒が前記循環流路へと流れる状態と流れない状態とを切替える第1バルブと、
外気の温度を検出する温度センサと、
前記第1バルブの動作を制御する制御部と
、を備え、
前記制御部は、
前記温度センサが検出した温度が、第1閾値未満の場合に、前記第2冷媒が前記循環流路へと流れるように、前記第1バルブの動作を制御する、
冷却構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却構造及に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液化天然ガスを利用するエンジンと超電導モータとを備えた車両が提案されている。例えば特許文献1では、液化天然ガスを冷却源に利用することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、液化天然ガスを冷却源として十分に利用できておらず、改善の余地が残されている。
【0005】
そこで、本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、ガス燃焼エンジンの燃料の冷熱を効率的に利用可能な冷却構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態の冷却構造は、液化燃料が気化したガスを燃料とするガス燃焼エンジンと、車輪を駆動させるための駆動力を発生させる超電導モータと、前記超電導モータに電力を供給するバッテリと、前記ガス燃焼エンジンに向けて前記ガスとなる液化燃料を供給する燃料供給路であって、前記超電導モータを経由して前記液化燃料を供給する燃料供給路と、前記バッテリを冷却するための第1冷媒が流れる第1冷媒流路と、前記燃料供給路における前記超電導モータよりも下流に設けられ、前記燃料供給路の前記液化燃料と、前記第1冷媒流路の第1冷媒との間で熱交換を行う第1熱交換器が設けられている。
【0007】
本発明の一形態の冷却構造は、前記ガス燃焼エンジンを冷却するための第2冷媒が流れる第2冷媒流路と、前記燃料供給路に対して、前記前記第1熱交換器よりも下流に設けられ、前記燃料供給路の前記液化燃料と、前記第2冷媒流路の第2冷媒との間で熱交換を行う第2熱交換器と、をさらに備えていてもよい。
【0008】
本発明の一形態の冷却構造は、前記第2冷媒流路を流れる前記第2冷媒を前記バッテリに供給するとともに、前記バッテリを通過した前記第2冷媒を前記第2冷媒流路へと戻す循環流路と、前記第2冷媒が前記循環流路へと流れる状態と流れない状態とを切替える第1バルブと、前記バッテリの温度を検出する温度センサと、前記第1バルブの動作を制御する制御部と、をさらに備え、前記制御部は、前記温度センサが検出した温度が、第1閾値未満の場合に、前記第2冷媒が前記循環流路へと流れるように、前記第1バルブの動作を制御してもよい。
【0009】
前記制御部は、前記温度センサが検出した温度が前記第1閾値よりも高い第2閾値以上となった場合に、前記第2冷媒が前記循環流路へ流すことが停止するように、前記第1バルブの動作を制御してもよい。
【0010】
本発明の一形態の冷却構造は、前記第1冷媒流路に設けられ、前記第1冷媒流路を前記第1冷媒が流れる状態と流れない状態とに切替える第2バルブをさらに備え、前記制御部は、前記第2冷媒が前記循環流路へと流れるように前記第1バルブの動作を制御する場合に、第1冷媒流路を前記第1冷媒が流れない状態となるように、前記第2バルブの動作を制御してもよい。
【0011】
本発明の一形態の冷却構造は、前記第2冷媒流路を流れる前記第2冷媒を前記バッテリに供給するとともに、前記バッテリを通過した前記第2冷媒を前記第2冷媒流路へと戻す循環流路と、前記第2冷媒が前記循環流路へと流れる状態と流れない状態とを切替える第1バルブと、外気の温度を検出する温度センサと、前記第1バルブの動作を制御する制御部と、をさらに備え、前記制御部は、前記温度センサが検出した温度が、第1閾値未満の場合に、前記第2冷媒が前記循環流路へと流れるように、前記第1バルブの動作を制御してもよい。
【0012】
本発明の一形態の冷却構造は、液化燃料が気化したガスを燃料とするガス燃焼エンジンと、車輪を駆動させるための駆動力を発生させる超電導モータと、前記超電導モータに電力を供給するバッテリと、前記ガス燃焼エンジンに向けて前記ガスとなる液化燃料を供給する燃料供給路であって、前記超電導モータを経由して前記液化燃料を供給する燃料供給路と、前記ガス燃焼エンジンを冷却するための冷媒が流れる冷媒流路と、前記燃料供給路における前記超電導モータよりも下流に設けられ、前記燃料供給路の前記液化燃料と、前記冷媒流路の冷媒との間で熱交換を行う熱交換器が設けられている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ガス燃焼エンジンの燃料の冷熱を効率的に利用可能な冷却構造を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1の実施形態の冷却構造の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>
図1は、第1の実施形態の冷却構造S100の構成を示す図である。冷却構造S100は、超電導モータを駆動源とする車両に設けられている。
図1において、破線の矢印は燃料の流れる方向を示している。実線の矢印は冷媒の流れる方向を示している。一点鎖線は構成要素どうしの電気的な接続を示している。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の冷却構造S100は、主要な構成要素として、ガス燃焼エンジン10と、バッテリ20と、超電導モータ30と、燃料供給路PFと、第1冷媒流路P1と、第2冷媒流路P2と、第1熱交換器41と、第2熱交換器42とを備えている。本発明の一形態においては、これらの構成要素が全て設けられている必要はない。
【0017】
ガス燃焼エンジン10は、例えば、車両を駆動させるための駆動力を発生させる。ガス燃焼エンジン10は、液化燃料が気化したガスを燃料として駆動する。ガス燃焼エンジン10は、一例として天然ガスを燃料として駆動するエンジンである。ガス燃焼エンジン10は、水素を燃料として駆動するエンジンであってもよいし、バイオガスを燃料として駆動するエンジンであってもよい。ガス燃焼エンジン10からの駆動力は一例として車両のドライブシャフトに伝達され、ドライブシャフトが回転することにより車両の車輪が回転する。ただし、車両は後述する超電導モータ30によるドライブシャフトの回転のみにより走行してもよい。よって、ガス燃焼エンジン10はドライブシャフトに必ずしも接続されなくてもよい。
【0018】
バッテリ20は、例えばリチウムイオンバッテリである。バッテリ20は、車両内の電子機器に電力を供給する。電子機器は、特定の機器に限定されない。バッテリ20は、例えば、モータ11及び超電導モータ30に電力を供給する。バッテリ20は、インバータ51を介してモータ11及び超電導モータ30に電力を供給する。
【0019】
ガス燃焼エンジン10及びバッテリ20はそれぞれ、冷媒によって冷却される(詳細下記)。動作中のガス燃焼エンジン10は、動作中のバッテリ20よりも高温となる。
【0020】
超電導モータ30は、車両を駆動させるための駆動力を発生させる。超電導モータ30の駆動力は車両のドライブシャフトに伝達され、ドライブシャフトが回転することにより車両の車輪が回転する。また車両が制動する際には超電導モータ30は発電機として機能する。
【0021】
超電導モータ30は、冷却により電気抵抗が極めて低くなる超電導材料を使用したモータである。超電導モータ30は、このように電気抵抗が極めて低いため高効率である。超電導モータ30は、インバータ51を介して供給された電力により駆動する。超電導モータ30は冷却される必要があるが、冷却の方式については後述する。
【0022】
インバータ51は、直流電流を交流電流に変換する。インバータ51は、バッテリ20からの直流電流を交流電流に変換し、交流電流をモータ11及び超電導モータ30に供給する。
【0023】
モータ11は、ガス燃焼エンジン10に機械的に接続され、インバータ51に電気的に接続されている。モータ11はガス燃焼エンジン10の駆動力を電力に変換し、インバータ51を介してバッテリ20及び超電導モータ30に電力を供給する。また前述したようにガス燃焼エンジン10とドライブシャフトとが接続される場合、モータ11は、車両が制動する際に発動機として機能する。
【0024】
燃料供給路PFは、液化燃料タンク55に貯留されている液化燃料をガス燃焼エンジン10に供給するための流路である。燃料供給路PFは、液化燃料タンク55とガス燃焼エンジン10とを接続している。燃料供給路PFは、超電導モータ30を通過するように設けられている。これにより、超電導モータ30の位置において、燃料供給路PFの液化燃料と超電導モータ30とは熱的に接している。燃料供給路PFにおける超電導モータ30の下流には、第1熱交換器41及び第2熱交換器42が配置されている。燃料供給路PF内の液化燃料は、少なくとも液化燃料タンク55から第2熱交換器42までの領域において、当該燃料が液体の状態を保つ程度に低温である。液化燃料は、-160℃~-250℃である。液化燃料は、第1冷媒流路P1においてバッテリ20を通過した後の冷媒、及び、第2冷媒流路P2においてガス燃焼エンジン10を通過した後の冷媒のいずれよりも低温である。
【0025】
燃料供給路PFは、このように、超電導モータ30、第1熱交換器41及び第2熱交換器42を経由して液化燃料をガス燃焼エンジン10に向けて供給する。液化燃料は、燃料供給路PF内を搬送される途中で気化し、ガスの状態でガス燃焼エンジン10に供給される。
【0026】
第1冷媒流路P1は、冷媒である液体が流れる循環流路である。第1冷媒流路P1は、バッテリ20と第1熱交換器41とを通過するように設けられている。第1冷媒流路P1を流れる第1冷媒は、バッテリ20を冷却できるものであればどのような冷媒であってもよい。第1冷媒は例えば冷却水である。第1冷媒流路P1上には、冷媒を循環させるためのポンプが設けられている。
【0027】
第2冷媒流路P2は、ガス燃焼エンジン10を冷却するための第2冷媒が流れる循環流路である。第2冷媒は、ガス燃焼エンジン10を冷却できるものであればどのような冷媒であってもよい。第2冷媒は例えばエンジンクーラントなど比較的高温となる冷却水である。第2冷媒流路P2上にも、冷媒を循環させるためのポンプが設けられている。
【0028】
本実施形態では、第2冷媒流路P2は、ガス燃焼エンジン10と第2熱交換器42とインバータ51とを通過するように設けられている。具体的には、第2熱交換器42の位置から流れる冷媒が途中で分岐し、一方がガス燃焼エンジン10を流れ、他方がインバータ51を流れるように、流路が形成されている。本実施形態ではこのようにガス燃焼エンジン10だけでなくインバータ51も冷却される構成となっているが、インバータ51を通過する流路は本発明において必須ではない。
【0029】
第1熱交換器41は、燃料供給路PFの液化燃料と第1冷媒流路P1の冷媒との間で熱交換を行うことによって、第1冷媒流路P1の冷媒を冷却する。第1熱交換器41は、超電導モータ30よりも下流に設けられている。第1冷媒流路P1の冷媒の温度及び液化燃料の温度については、他の図面を参照して後述する。
【0030】
第2熱交換器42は、燃料供給路PFの液化燃料と第2冷媒流路P2の冷媒との間で熱交換を行うことによって、第2冷媒流路P2の冷媒を冷却する。本実施形態では、第1熱交換器41及び第2熱交換器42がいずれも燃料供給路PF上に配置されている。このような構成において、第1熱交換器41が、第2熱交換器42よりも、燃料供給路PFにおける液化燃料の流れ方向の上流に設けられている。このような配置である理由は、燃料供給路PFの液化燃料の冷熱を効果的に利用するためである。詳細は他の図面を参照して後述する。
【0031】
(動作の一例)
図2は冷却構造S100の動作の一例を示す図である。
図2は、バッテリ20の暖機が必要ない冬期以外の時期における動作の一例を示している。
図2では、各流路の燃料及び冷媒の温度が例示されている。バッテリ20は例えば35℃である。
【0032】
この例では、第2冷媒流路P2に関し、ガス燃焼エンジン10に対して、65℃程度の冷媒が流入する。その冷媒によりガス燃焼エンジン10が冷却される。ガス燃焼エンジン10を通過した冷媒の温度は95℃程度まで上昇する。インバータ51に対しても、65℃程度の冷媒が流入する。その冷媒によりインバータ51が冷却される。インバータ51を通過した冷媒の温度は85℃程度まで上昇する。
【0033】
また、第1冷媒流路P1に関し、バッテリ20に対して、5℃程度の冷媒が流入する。その冷媒によりバッテリ20が冷却される。バッテリ20を通過した冷媒の温度は30℃程度まで上昇する。
【0034】
液化燃料タンク55から送り出された-160℃~-250℃の液化燃料は、燃料供給路PFを通じて超電導モータ30に向かって流れる。液化燃料が超電導モータ30を通過する際に、当該液化燃料と超電導モータ30との間の熱交換によって、超電導モータ30が冷却される。これにより、超電導モータ30は動作可能な温度にまで十分に冷却される。
【0035】
超電導モータ30を通過した液化燃料の温度は、超電導モータ30の上流と比較して上昇する。この液化燃料は、次いで、第1熱交換器41を通過する。液化燃料が第1熱交換器41を通過する際に、当該液化燃料と第1冷媒流路P1の冷媒との間の熱交換によって、第1冷媒流路P1の冷媒が冷却される。第1冷媒流路P1の冷媒は、一例として30℃から5℃に冷却される。
【0036】
第1熱交換器41を通過した液化燃料は、次いで、第2熱交換器42を通過する。液化燃料が第2熱交換器42を通過する際に、当該液化燃料と第2冷媒流路P2の冷媒との間の熱交換によって、第2冷媒流路P2の冷媒が冷却される。第2冷媒流路P2の冷媒の温度は、一例として95℃程度から65℃に冷却される。
【0037】
第2熱交換器42を通過した後、液化燃料は気化し、ガスとしてガス燃焼エンジン10に供給される。
【0038】
(冷却構造S100の技術的効果)
上述のように、本実施形態の冷却構造によれば、ガス燃焼エンジン10へ供給される液化燃料の冷熱がまず超電導モータ30を冷却するために利用される。その後、第1冷媒流路P1の液化燃料の冷熱が第1熱交換器41において利用される。
【0039】
このような構成では、超電導モータ30を冷却するのに使用された液化燃料の冷熱が、第1熱交換器41において、第1冷媒流路P1の冷媒を冷却するのにさらに利用される。したがって、液化燃料の冷熱を効率的に利用することができる。
【0040】
冷却構造S100では、第1熱交換器41を通過した液化燃料の冷熱が、さらに、第2熱交換器42において利用される。
【0041】
第1冷媒流路P1の冷媒の温度は第2冷媒流路P2の冷媒の温度よりも低いため、このように第1熱交換器41が第2熱交換器42よりも上流に配置された構成によれば、燃料供給路PFの液化燃料の冷熱を効率的に利用できる。
【0042】
<第2実施形態>
図3は、第2の実施形態の構成を示す図である。
図3の冷却構造S101は、第1の実施形態の構成に加え、循環流路P3と、切替バルブV1と、温度センサ60と、制御部70とを備えている。その他の構成要素は、第1の実施形態のものと同様であるため、共通する説明は省略する。
【0043】
循環流路P3は、エンジンクーラントなどである比較的高温となる第2冷媒流路P2の冷媒を、バッテリ20に向けて送るための流路である。循環流路P3は、第2冷媒流路P2の一部から分岐し、バッテリ20に向かって延在している。循環流路P3は、バッテリ20を通過し、第2冷媒流路P2に再び合流する。このように設けられた循環流路P3は、第2冷媒流路P2を流れる第2冷媒をバッテリ20に供給するとともに、バッテリ20を通過した第2冷媒を第2冷媒流路P2へと戻す。
【0044】
切替バルブV1(第1バルブ)は、流路の開閉を切替える電磁バルブである。切替バルブV1は、循環流路P3が第2冷媒流路P2から分岐する部分に設けられている。切替バルブV1は、第2冷媒流路P2の冷媒が循環流路P3へと流れる状態と流れない状態とを切替える。切替バルブV1は、流路の状態を、第2冷媒流路P2における切替バルブV1の下流と、循環流路P3との両方に冷媒が流れる状態とするものであってもよいし、循環流路P3のみに冷媒が流れる状態とするものであってもよい。
【0045】
温度センサ60は、バッテリ20に設けられ、バッテリ20の温度を計測する。温度センサ60は、制御部70に電気的に接続されている。
【0046】
制御部70は、切替バルブV1の動作を制御する電気回路である。制御部70は、切替バルブV1に制御信号を与えることにより切替バルブV1を制御する。
【0047】
制御部70は、温度センサ60が出力したバッテリ20の温度が、閾値未満の場合に、第2冷媒流路P2の冷媒がバッテリ20に供給されるように、切替バルブV1を動作させる。具体的には、制御部70は、循環流路P3に第2冷媒流路P2の冷媒が流れるように切替バルブV1を開かせる。閾値Th1は、一例として、バッテリ20が低温状態であり暖機が必要である温度に対応する値であり、あらかじめ設定された設定値である。
【0048】
このように制御部70が動作することで、バッテリ20の暖機が必要な場合に、バッテリ20に対して比較的高温である第2冷媒流路P2の冷媒が供給され、これにより、バッテリ20を暖機することができる。
【0049】
制御部70は、バッテリ20の温度が閾値Th2以上となった場合に、第2冷媒流路P2の冷媒がバッテリ20に供給されないように、切替バルブV1を動作させる。具体的には、制御部70は、循環流路P3に第2冷媒流路P2の冷媒が流れないように、切替バルブV1を閉じさせる。閾値Th2は、閾値Th1よりも高い温度を示す。例えば、閾値Th2は、バッテリ20が動作可能な温度の下限値に対応する値である。これにより、第2冷媒流路P2の冷媒が循環流路P3を流れ、バッテリ20との間での熱交換が発生することが抑制される。
【0050】
以上の動作により、冷却構造S101は、例えば冬期で気温が低い場合に、第2冷媒流路P2の冷媒の熱を利用してバッテリ20を暖機することができる。さらに、バッテリ20の暖機により、循環流路P3の冷媒の温度が例えば65℃から55℃に下がる。この循環流路P3の冷媒は、バッテリ20を通過した後、ガス燃焼エンジン10を冷却するのに利用されるため、このように温度が下がることにより、より効率的にガス燃焼エンジン10を冷却できる。
【0051】
なお、制御部70は、例えば切替バルブV1が開くように切替バルブV1に制御信号を与えた後、一定時間が経過したことに応じて、切替バルブV1が閉じるように切替バルブV1を制御してもよい。このように、第2冷媒流路P2の冷媒を流すことによるバッテリ20の暖機は、一定時間経過後に自動的に終了してもよい。
【0052】
<変形例>
上記実施形態では、第1熱交換器41及び第2熱交換器42の両方が設けられていたが、本発明においては、冷却構造は、は第1熱交換器41及び第2熱交換器42のいずれかのみを備えていてもよい。
【0053】
温度センサ60は、バッテリ20の温度を計測したが、温度センサ60は外気を計測してもよい。この場合、制御部70は、温度センサ60が検出した外気の温度が、バッテリ20の暖機が必要であると判定するための閾値未満の場合に、上記同様、切替バルブV1が開くように切替バルブV1を制御してもよい。
【0054】
図3では、第2冷媒流路P2の冷媒がバッテリ20に供給される状態においても、第1冷媒流路P1の冷媒がバッテリ20に供給される状態が描かれている。しかしながら、本発明の一形態の冷却構造は、第1冷媒流路P1に設けられるとともに制御部70によって制御される追加の切替バルブ(第2バルブ)を備えていてもよい。この追加の切替えバルブは、第1冷媒流路P1を開閉する。
【0055】
この場合、制御部70は、切替バルブV1を開いてバッテリ20に第2冷媒流路P2の冷媒を供給する場合に、第1冷媒流路P1が閉じるように追加の切替えバルブを制御する。このような制御によれば、第2冷媒流路P2の冷媒がバッテリ20に供給されバッテリ20を暖機する際に、第2冷媒流路P2と比べて低温である第1冷媒流路P1の冷媒がバッテリ20に供給されない。そのため、バッテリ20を効率的に暖機することができる。
【0056】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、
もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0057】
10 ガス燃焼エンジン
11 モータ
20 バッテリ
30 超電導モータ
41 第1熱交換器
42 第2熱交換器
51 インバータ
55 液化燃料タンク
60 温度センサ
70 制御部
P1 第1冷媒流路
P2 第2冷媒流路
P3 循環流路
PF 燃料供給路
S100 冷却構造
S101 冷却構造
V1 切替バルブ
【要約】
【課題】ガス燃焼エンジンの燃料の冷熱を効率的に利用可能な冷却構造を提供する。
【解決手段】冷却構造S100は、液化燃料が気化したガスを燃料とするガス燃焼エンジン10と、車輪を駆動させるための駆動力を発生させる超電導モータ30と、前記超電導モータに電力を供給するバッテリ20と、前記ガス燃焼エンジンに向けて前記ガスとなる液化燃料を供給する燃料供給路PFであって、前記超電導モータを経由して前記液化燃料を供給する燃料供給路PFと、前記バッテリ20を冷却するための第1冷媒が流れる第1冷媒流路P1と、前記燃料供給路PFにおける前記超電導モータ30よりも下流に設けられ、前記燃料供給路PFの前記液化燃料と、前記第1冷媒流路P1の第1冷媒との間で熱交換を行う第1熱交換器41とを備える。
【選択図】
図1