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特許7509288移動体管理装置、移動体管理システム、移動体管理方法、および移動体管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】移動体管理装置、移動体管理システム、移動体管理方法、および移動体管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20240625BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240625BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240625BHJP
【FI】
G05D1/43
G08G1/09 V
G06Q50/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023118954
(22)【出願日】2023-07-21
【審査請求日】2023-07-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五明 清司
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-124531(JP,A)
【文献】国際公開第2021/117123(WO,A1)
【文献】特開2005-242489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が施設を移動する第1自律移動体および第2自律移動体について、前記施設に設けられた複数の設備の各々の利用優先順位を管理する連携管理部と、
前記第1自律移動体および前記第2自律移動体が現在位置から目的地に移動するまでに同じ方向に通行する優先順位が予め設定されていない通路において互いに干渉するかを判定し、干渉しないと判定する場合に、前記通路をそのまま通行させる指示を前記第1自律移動体および前記第2自律移動体の両方に対して行い、干渉すると判定する場合に、前記複数の設備のうち前記通路の前または後に利用する設備に関して前記連携管理部が管理する前記利用優先順位に基づいて、前記第1自律移動体および前記第2自律移動体のいずれか一方を優先して前記通路を通行させる指示を前記第1自律移動体および前記第2自律移動体の両方に対して行う指令部と、
を備える、移動体管理装置。
【請求項2】
前記指令部は、前記第1自律移動体を優先させるときに、前記第2自律移動体が前記通路で前記第1自律移動体とすれ違い可能である場合に、前記第2自律移動体に停止の指示を行う、
請求項1に記載の移動体管理装置。
【請求項3】
前記指令部は、前記第1自律移動体を優先させるときに、前記第2自律移動体が前記通路で前記第1自律移動体とすれ違い不能である場合に、前記第2自律移動体に退避場所への移動の指示を行う、
請求項1に記載の移動体管理装置。
【請求項4】
前記指令部は、前記第1自律移動体を優先させるときに、前記通路の前または後の設備として通行可否を管理する通行管理設備が設けられている場合に、前記第1自律移動体が前記通行管理設備の通行を完了するまで、前記第2自律移動体に前記通行管理設備の通行を待機させる指示を行う、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の移動体管理装置。
【請求項5】
前記指令部は、前記第1自律移動体を優先させるときに、前記第1自律移動体が前記通路の通行を完了した後に、前記第2自律移動体に前記通路の通行を許可する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の移動体管理装置。
【請求項6】
前記指令部は、前記通路の後に利用する設備がある場合に、前記通路の後に利用する設備に関して前記連携管理部が管理する前記利用優先順位に基づいて、前記第1自律移動体および前記第2自律移動体のいずれか一方を優先して前記通路を通行させる指示を前記第1自律移動体および前記第2自律移動体の両方に対して行い、
前記指令部は、前記通路の後に利用する設備がない場合に、前記通路の前に利用する設備に関して前記連携管理部が管理する前記利用優先順位に基づいて、前記第1自律移動体および前記第2自律移動体のいずれか一方を優先して前記通路を通行させる指示を行う、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の移動体管理装置。
【請求項7】
第1自律移動体および第2自律移動体の各々が移動する施設に設けられた複数の設備と、
前記第1自律移動体および前記第2自律移動体について、前記複数の設備の各々の利用優先順位を管理する連携管理部と、
前記第1自律移動体および前記第2自律移動体が現在位置から目的地に移動するまでに同じ方向に通行する優先順位が予め設定されていない通路において互いに干渉するかを判定し、干渉しないと判定する場合に、前記通路をそのまま通行させる指示を前記第1自律移動体および前記第2自律移動体の両方に対して行い、干渉すると判定する場合に、前記複数の設備のうち前記通路の前または後に利用する設備に関して前記連携管理部が管理する前記利用優先順位に基づいて、前記第1自律移動体および前記第2自律移動体のいずれか一方を優先して前記通路を通行させる指示を前記第1自律移動体および前記第2自律移動体の両方に対して行う指令部と、
を備える、移動体管理システム。
【請求項8】
コンピュータが、
各々が施設を移動する第1自律移動体および第2自律移動体について、前記施設に設けられた複数の設備の各々の利用優先順位を管理することと、
前記第1自律移動体および前記第2自律移動体が現在位置から目的地に移動するまでに同じ方向に通行する優先順位が予め設定されていない通路において互いに干渉するかを判定することと、
干渉しないと判定する場合に、前記通路をそのまま通行させる指示を前記第1自律移動体および前記第2自律移動体の両方に対して行い、干渉すると判定する場合に、前記複数の設備のうち前記通路の前または後に利用する設備に関する前記利用優先順位に基づいて、前記第1自律移動体および前記第2自律移動体のいずれか一方を優先して前記通路を通行させる指示を前記第1自律移動体および前記第2自律移動体の両方に対して行うことと、
を実行する、移動体管理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
各々が施設を移動する第1自律移動体および第2自律移動体について、前記施設に設けられた複数の設備の各々の利用優先順位を管理することと、
前記第1自律移動体および前記第2自律移動体が現在位置から目的地に移動するまでに同じ方向に通行する優先順位が予め設定されていない通路において互いに干渉するかを判定することと、
干渉しないと判定する場合に、前記通路をそのまま通行させる指示を前記第1自律移動体および前記第2自律移動体の両方に対して行い、干渉すると判定する場合に、前記複数の設備のうち前記通路の前または後に利用する設備に関する前記利用優先順位に基づいて、前記第1自律移動体および前記第2自律移動体のいずれか一方を優先して前記通路を通行させる指示を前記第1自律移動体および前記第2自律移動体の両方に対して行うことと、
を実行させる、移動体管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体管理装置、移動体管理システム、移動体管理方法、および移動体管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、移動支援システムの例を開示する。移動支援システムは、ロボットなどの自律移動体によるエレベーターの行先階の登録を受け付ける。移動支援システムは、登録された行先階に対応する呼びに、エレベーターのいずれかのかごを割り当てる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2020/230305号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の移動支援システムにおいて、施設を移動する複数の自律移動体に、当該施設の設備であるエレベーターの利用の優先度が設定される。一方、施設において設備に至るまでの通路については、優先度が設定されていない。このため、施設を移動する複数の自律移動体同士が、優先度の設定されない通路において、互いに身動きが取れなくなる膠着状態に陥る可能性がある。このとき、自律移動体が施設において効率的に稼働できない可能性がある。
【0005】
本開示は、このような課題の解決に係るものである。本開示は、施設においてより効率的に稼働させられるように自律移動体の移動を管理する移動体管理装置、移動体管理システム、移動体管理方法、および移動体管理プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る移動体管理装置は、各々が施設を移動する第1自律移動体および第2自律移動体について、前記施設に設けられた複数の設備の各々の利用優先順位を管理する連携管理部と、前記第1自律移動体および前記第2自律移動体が現在位置から目的地に移動するまでに同じ方向に通行する優先順位が予め設定されていない通路において互いに干渉するかを判定し、干渉しないと判定する場合に、前記通路をそのまま通行させる指示を前記第1自律移動体および前記第2自律移動体の両方に対して行い、干渉すると判定する場合に、前記複数の設備のうち前記通路の前または後に利用する設備に関して前記連携管理部が管理する前記利用優先順位に基づいて、前記第1自律移動体および前記第2自律移動体のいずれか一方を優先して前記通路を通行させる指示を前記第1自律移動体および前記第2自律移動体の両方に対して行う指令部と、を備える。
【0007】
本開示に係る移動体管理システムは、第1自律移動体および第2自律移動体の各々が移動する施設に設けられた複数の設備と、前記第1自律移動体および前記第2自律移動体について、前記複数の設備の各々の利用優先順位を管理する連携管理部と、前記第1自律移動体および前記第2自律移動体が現在位置から目的地に移動するまでに同じ方向に通行する優先順位が予め設定されていない通路において互いに干渉するかを判定し、干渉しないと判定する場合に、前記通路をそのまま通行させる指示を前記第1自律移動体および前記第2自律移動体の両方に対して行い、干渉すると判定する場合に、前記複数の設備のうち前記通路の前または後に利用する設備に関して前記連携管理部が管理する前記利用優先順位に基づいて、前記第1自律移動体および前記第2自律移動体のいずれか一方を優先して前記通路を通行させる指示を前記第1自律移動体および前記第2自律移動体の両方に対して行う指令部と、を備える。
【0008】
本開示に係る移動体管理方法は、コンピュータが、各々が施設を移動する第1自律移動体および第2自律移動体について、前記施設に設けられた複数の設備の各々の利用優先順位を管理することと、前記第1自律移動体および前記第2自律移動体が現在位置から目的地に移動するまでに同じ方向に通行する優先順位が予め設定されていない通路において互いに干渉するかを判定することと、干渉しないと判定する場合に、前記通路をそのまま通行させる指示を前記第1自律移動体および前記第2自律移動体の両方に対して行い、干渉すると判定する場合に、前記複数の設備のうち前記通路の前または後に利用する設備に関する前記利用優先順位に基づいて、前記第1自律移動体および前記第2自律移動体のいずれか一方を優先して前記通路を通行させる指示を前記第1自律移動体および前記第2自律移動体の両方に対して行うことと、を実行する方法である。
【0009】
本開示に係る移動体管理プログラムは、コンピュータに、各々が施設を移動する第1自律移動体および第2自律移動体について、前記施設に設けられた複数の設備の各々の利用優先順位を管理することと、前記第1自律移動体および前記第2自律移動体が現在位置から目的地に移動するまでに同じ方向に通行する優先順位が予め設定されていない通路において互いに干渉するかを判定することと、干渉しないと判定する場合に、前記通路をそのまま通行させる指示を前記第1自律移動体および前記第2自律移動体の両方に対して行い、干渉すると判定する場合に、前記複数の設備のうち前記通路の前または後に利用する設備に関する前記利用優先順位に基づいて、前記第1自律移動体および前記第2自律移動体のいずれか一方を優先して前記通路を通行させる指示を前記第1自律移動体および前記第2自律移動体の両方に対して行うことと、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る移動体管理装置、移動体管理システム、移動体管理方法、または移動体管理プログラムによれば、施設においてより効率的に稼働させられるように自律移動体の移動が管理されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る移動体管理システムの構成図である。
図2】実施の形態1に係る指令部による優先順位の設定の例を示す表である。
図3】実施の形態1に係る移動体管理システムにおける自律移動体の通行の管理の例を示す図である。
図4】実施の形態1に係る移動体管理システムにおける自律移動体の通行の管理の例を示す図である。
図5】実施の形態1に係る移動体管理システムにおける自律移動体の通行の管理の例を示す図である。
図6】実施の形態1に係る移動体管理システムの動作の例を示すフローチャートである。
図7】実施の形態1に係る移動体管理システムの動作の例を示すフローチャートである。
図8】実施の形態1に係る移動体管理システムの主要部のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の対象を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。なお、本開示の対象は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態の任意の構成要素の変形、または実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る移動体管理システム1の構成図である。
【0014】
移動体管理システム1は、施設に適用される。施設は、例えば、屋内施設もしくは屋外施設、またはこれらを複合した施設などである。施設は、例えば、1つまたは複数の建物などからなる。施設は、例えば、建物などの一部であってもよい。移動体管理システム1は、施設において稼働する自律移動体2の移動を管理するシステムである。
【0015】
この例の施設において、複数の自律移動体2が稼働する。各々の自律移動体2は、施設において自律的に移動する、ロボット、ドローン、またはその他の移動可能な機器である。自律移動体2は、例えば、移動体制御サーバ3による移動指示などに基づいて施設を移動して、例えば警備、運搬、清掃、案内などのサービスの提供などを行う。各々の自律移動体2は、サービスを提供しうるように、施設内の出発地から目的地まで移動する。出発地から目的地までの移動の経路は、例えば、経路生成サーバ4などによって生成される。自律移動体2が提供するサービスなどによって、出発地および目的地が一定の場合がある。このような場合などに、出発地から目的地までの移動の経路は、一定の経路であってもよい。あるいは、出発地から目的地までの移動の経路は、経路生成サーバ4などによって動的に生成されるものであってもよい。経路生成サーバ4は、例えば施設の地図データなどに基づいて、自律移動体2の出発地から目的地までの移動の経路を生成する経路生成部5を備える。移動体制御サーバ3および経路生成サーバ4の各々は、例えば1つまたは複数のサーバコンピュータなどによって構成される。移動体制御サーバ3および経路生成サーバ4の一部または全部の機能は、同一のハードウェア上に実装されていてもよい。移動体制御サーバ3および経路生成サーバ4の一部または全部は、施設に設けられていてもよいし、施設外に設けられていてもよい。移動体制御サーバ3および経路生成サーバ4の一部または全部の機能は、クラウドサービス上の処理または記憶のリソースなどによって実装されていてもよい。
【0016】
施設において、複数の設備6が設けられる。複数の設備6は、例えば、エレベーター、セキュリティゲート、および自動ドアなどを含む。エレベーターは、施設を利用する人である利用者および施設において稼働する自律移動体2などを、施設の複数の階床の間で輸送する設備6である。セキュリティゲートおよび自動ドアは、人または自律移動体2の通行をその通行権限などに応じて制限する設備6である。セキュリティゲートおよび自動ドアは、人または自律移動体2の通行可否を管理する通行管理設備の例である。施設において稼働する各々の自律移動体2は、設備6を利用して施設内を移動する。各々の設備6は、移動体管理システム1に含まれる内部機器であってもよいし、移動体管理システム1の外部の外部機器であってもよい。
【0017】
移動体管理システム1は、移動体管理装置7を備える。移動体管理装置7は、例えば1つまたは複数のサーバコンピュータなどによって構成される。移動体管理装置7の一部または全部は、施設に設けられていてもよいし、施設外に設けられていてもよい。移動体管理装置7の一部または全部の機能は、クラウドサービス上の処理または記憶のリソースなどによって実装されていてもよい。また、移動体管理装置7は、移動体制御サーバ3および経路生成サーバ4の一部または全部の機能を搭載していてもよい。また、移動体管理装置7の一部または全部の機能は、移動体制御サーバ3、経路生成サーバ4、または自律移動体2に搭載されていてもよい。移動体管理システム1の機能は、例えば、移動体管理システム1を構成する1つまたは複数のサーバコンピュータがそれぞれプログラムに従って動作することで実現される。移動体管理システム1を構成する1つまたは複数のサーバコンピュータは、例えば、施設内のLAN(Local Area Network)などの局所的なネットワーク、または電話回線網もしくはインターネットなどの広域なネットワークなどを通じて互いに通信可能に接続される。移動体管理システム1の機能を実現するプログラムは、複数のコンピュータなどにそれぞれ適用される複数のソフトウェアを含むソフトウェアパッケージなどであってもよい。この例において、移動体管理装置7は、設備連携サーバ8と、通行管理サーバ9と、を備える。
【0018】
設備連携サーバ8は、設備通信部10と、第1通信部11と、連携管理部12と、を備える。設備通信部10は、施設に設けられた各々の設備6との間の通信を行う部分である。第1通信部11は、移動体管理装置7を構成する他のサーバである、通行管理サーバ9との間の通信を行う部分である。設備通信部10および第1通信部11は、例えば、施設内のLANまたはインターネットなどのネットワークを通じて、有線または無線により通信を行う。連携管理部12は、施設において稼働する自律移動体2と設備6との連携を管理する部分である。連携管理部12は、各々の自律移動体2について、設備6ごとに設定された利用優先順位を管理する。設備6の利用優先順位は、例えば自律移動体2の機能または役割、サービスを提供する範囲などに応じて設定される。より具体的には、例えば、緊急性の高い警備を行う自律移動体2について、より早期に目的地に到着しうるように、他の自律移動体2より高い優先順位が設定される。一方、施設において設備6の間に設けられる通路については、同じ通路であっても自律移動体2の移動目的、移動経路、および設備6の利用有無などに応じて優先順位が異なりうるため、また、通路自体の数も多いため、自律移動体2の優先順位は予め設定されていない。通路において優先順位が設定されていないと、自律移動体2は、障害物の回避と同様に他の自律移動体2との干渉を回避しようとするが、このとき、自律移動体2同士の譲り合いなどによって互いに身動きが取れなくなる膠着状態に陥る可能性がある。このため、施設における自律移動体2の通行は、通行管理サーバ9によって管理される。
【0019】
通行管理サーバ9は、第2通信部13と、移動体通信部14と、タスク管理部15と、指令部16と、を備える。第2通信部13は、移動体管理装置7を構成する他のサーバである、設備連携サーバ8との間の通信を行う部分である。移動体通信部14は、施設において稼働する各々の自律移動体2との間の通信を行う部分である。移動体通信部14は、自律移動体2の移動を制御する移動体制御サーバ3などを通じて自律移動体2との通信を行ってもよい。第2通信部13および移動体通信部14は、例えば、施設内のLANまたはインターネットなどのネットワークを通じて、有線または無線により通信を行う。タスク管理部15は、施設において稼働する自律移動体2の移動およびサービス提供などのタスクを管理する部分である。タスク管理部15は、例えば、自律移動体2ごとのタスクのスケジュールなどを管理する。指令部16は、施設において稼働する自律移動体2に移動などについての指令を出力する部分である。指令部16は、例えば、移動体通信部14などを通じて自律移動体2への指令を出力する。指令部16は、例えば、施設において移動する自律移動体2の通行を制御しうるように、通路の通行の優先順位の設定などを行う。指令部16は、経路生成サーバ4が生成する自律移動体2の出発地から目的地までの移動の経路、および移動体制御サーバ3などが管理する自律移動体2の現在位置などの情報を、移動体通信部14などを通じて取得する。指令部16は、このように取得する情報を用いて設定した指令を、各々の自律移動体2に出力する。
【0020】
続いて、図2を用いて、指令部16における通路の通行の優先順位の設定の例を説明する。
図2は、実施の形態1に係る指令部16による優先順位の設定の例を示す表である。
【0021】
この例において、自律移動体2である移動体Aは、設備X、設備Y、および設備Zを順に利用して出発地から目的地まで通行する。移動体Aは、出発地から設備Xまで移動するときに、通路Pを通行する。移動体Aは、設備Xから設備Yまで移動するときに、通路Qを通行する。移動体Aは、設備Yから設備Zまで移動するときに、通路Rおよび通路Sを通行する。移動体Aは、設備Zから目的地まで移動するときに、通路Tおよび通路Uなどを通行する。指令部16は、経路生成部5によってこのように生成された移動体Aの移動経路を取得する。また、自律移動体2である移動体Bも、移動体Aと同様の経路を移動する。
【0022】
ここで、移動体Aについて、設備Xの利用の優先順位は、1位に予め設定されている。一方、移動体Bについて、設備Xの利用の優先順位は、2位に予め設定されている。また、移動体Aについて、設備Yの利用の優先順位は、2位に予め設定されている。一方、移動体Bについて、設備Yの利用の優先順位は、1位に予め設定されている。また、移動体Aについて、設備Zの利用の優先順位は、1位に予め設定されている。一方、移動体Bについて、設備Zの利用の優先順位は、2位に予め設定されている。
【0023】
設備X、設備Y、および設備Zなどの設備の間の通路について、各自律移動体2の通行の優先順位は、予め設定されていない。このため、指令部16は、例えば自律移動体2などから現在位置および移動経路の情報を取得するときなどに、通路の通行の優先順位を施設の利用の優先順位に基づいて設定する。指令部16は、例えば、同じ方向に通行する自律移動体2について、通行する通路の後に通行する設備の優先順位を用いて、当該通路の優先順位を設定する。この例において、指令部16は、通路Pの後の設備Xの優先順位は移動体Aの方が移動体Bより高いので、通路Pの通行の優先順位を移動体Aの方が移動体Bより高くなるように設定する。すなわち、指令部16は、移動体Aについて通路Pの通行の優先順位を1位に設定し、移動体Bについて通路Pの通行の優先順位を2位に設定する。同様に、指令部16は、設備Yの利用の優先順位に基づいて、移動体Bについて通路Qの通行の優先順位を1位に設定し、移動体Aについて通路Qの通行の優先順位を2位に設定する。また、指令部16は、設備Zの利用の優先順位に基づいて、移動体Aについて通路Rおよび通路Sの通行の優先順位を1位に設定し、移動体Bについて通路Rおよび通路Sの通行の優先順位を2位に設定する。一方、移動体Aおよび移動体Bは通路Tおよび通路Uなどの後に設備を利用しないので、指令部16は、通路Tおよび通路Uなどの前に通行する設備の優先順位を用いて、通路Tおよび通路Uなどの優先順位を設定する。すなわち、指令部16は、設備Zの利用の優先順位に基づいて、移動体Aについて通路Tおよび通路Uなどの通行の優先順位を1位に設定し、移動体Bについて通路Tおよび通路Uなどの通行の優先順位を2位に設定する。
【0024】
続いて、図3から図5を用いて、移動体管理システム1における自律移動体2の通行の管理の例を説明する。
図3から図5は、実施の形態1に係る移動体管理システム1における自律移動体2の通行の管理の例を示す図である。
【0025】
この例において、施設には、1階から5階までの階床が設けられる。施設の1階に、地点Kが配置されている。施設の1階に、設備であるセキュリティゲート6aが設けられる。施設において、1階から5階までの移動に利用できるエレベーター6bおよびエレベーター6cが設備として設けられる。なお、エレベーター6bおよびエレベーター6cを特に区別しない場合に、単にエレベーターと表記する場合がある。施設の各階床において、エレベーターの乗場が設けられる。施設の5階に、設備である自動ドア6dが設けられる。施設の5階に、地点Lが配置されている。施設の1階において、地点Kおよびセキュリティゲート6aの間は、通路αによって結ばれる。施設の1階において、セキュリティゲート6aおよびエレベーターの乗場の間は、通路βによって結ばれる。施設の5階において、エレベーターの乗場および自動ドア6dの間は、通路γによって結ばれる。施設の5階において、自動ドア6dおよび地点Lの間は、通路δによって結ばれる。
【0026】
自律移動体2である移動体A、移動体B、および移動体Cについて、各々の設備の利用の優先順位が予め設定される。セキュリティゲート6aの利用の優先順位は、1位が移動体B、2位が移動体A、3位が移動体Cとなるように設定されている。エレベーター6bの利用の優先順位は、1位が移動体A、2位が移動体B、3位が移動体Cとなるように設定されている。エレベーター6cの利用の優先順位は、1位が移動体B、2位が移動体A、3位が移動体Cとなるように設定されている。自動ドア6dの利用の優先順位は、1位が移動体A、2位が移動体B、3位が移動体Cとなるように設定されている。
【0027】
図3において、移動体Aが地点Kを出発地として目的地である地点Lまで移動する場合の例が示される。この例において、移動体Bおよび移動体Cは、施設を移動していない。このとき、移動体Aの移動経路は、地点K、通路α、セキュリティゲート6a、通路β、エレベーター6bまたはエレベーター6c、通路γ、自動ドア6d、通路δ、および地点Lの順に設定される。
【0028】
移動体Bおよび移動体Cは施設を移動していないので、指令部16は、施設を移動している移動体Aについて、通路の通行の優先順位を設定する。指令部16は、通路αから通路δについて、移動体Aの優先順位を1位に設定する。指令部16は、移動体Aに施設を通行する指令を出力する。
【0029】
移動体Aは、入力された指令に基づいて施設の1階を地点K、通路α、セキュリティゲート6a、通路β、およびエレベーターの乗場の順に移動する。移動体Aは、例えば連携管理サーバなどを通じて、エレベーターの呼びの登録を要求する。移動体Aは、エレベーター6bおよびエレベーター6cのうち呼びが割り当てられた方を利用して、1階から5階まで移動する。移動体Aは、施設の5階を通路γ、自動ドア6d、通路δ、および地点Lの順に移動する。
【0030】
図4において、移動体Aおよび移動体Bが同時に地点Kを出発地として目的地である地点Lまで移動する場合の例が示される。この例において、移動体Cは、施設を移動していない。このとき、移動体Aの移動経路は、地点K、通路α、セキュリティゲート6a、通路β、エレベーター6bまたはエレベーター6c、通路γ、自動ドアd、通路δ、および地点Lの順に設定される。同様に、移動体Bの移動経路は、地点K、通路α、セキュリティゲート6a、通路β、エレベーター6bまたはエレベーター6c、通路γ、自動ドア6d、通路δ、および地点Lの順に設定される。
【0031】
移動体Cは施設を移動していないので、指令部16は、施設を移動している移動体Aおよび移動体Bについて、通路の通行の優先順位を設定する。指令部16は、通路αから通路δについて、移動体Aの優先順位を1位に設定する。指令部16は、移動体Aに施設を通行する指令を出力する。
【0032】
指令部16は、通路αにおいて、移動体Aおよび移動体Bが干渉しうるかを判定する。この例において、移動体Aおよび移動体Bは地点Kを同時に出発するので、指令部16は、地点Kからセキュリティゲート6aに至る通路αにおいて同じ方向に移動する移動体Aおよび移動体Bが干渉しうると判定する。このとき、指令部16は、移動体Aおよび移動体Bの通路αにおける通行の優先順位を、通路αの後の設備6であるセキュリティゲート6aの優先順位に基づいて判定する。この例において、指令部16は、通路αに関して、移動体Bの優先順位を1位に、移動体Aの優先順位を2位に設定する。指令部16は、移動体Bを移動体Aより優先させるように、移動体Aおよび移動体Bに指令を出力する。
【0033】
例えば、通路αが移動体Aおよび移動体Bのすれ違いが可能な広い通路である場合に、指令部16は、優先順位の低い移動体Aに停止の指令を出力する。指令部16は、優先順位の低い移動体Aに通行速度低下の指令を出力してもよい。自律移動体2のすれ違い可否は、例えば、各々の自律移動体2および通路の幅に基づいて、指令部16が判定する。通路αが移動体Aおよび移動体Bのすれ違いが不能な狭い通路である場合に、指令部16は、優先順位の低い移動体Aに、通路αに対して予め設定された退避場所への退避の指令を出力する。退避場所は、施設における座標で指定されていてもよいし、施設における経路を表すグラフ上のノードなどによって指定されていてもよい。指令部16は、退避場所との位置関係などに応じて、優先順位の低い移動体Aに対して、優先順位の高い移動体Bより後方に後退するように指令を出力してもよい。指令部16は、移動体Bに通路αを通行するように指令を出力する。移動体Bが通路αの通行を完了した後に、指令部16は、移動体Aに通路αの通行を許可するように指令を出力する。
【0034】
その後、移動体Bは、セキュリティゲート6aを通過する。その後、移動体Aは、セキュリティゲート6aを通過する。
【0035】
その後、指令部16は、通路βにおいて、移動体Aおよび移動体Bが干渉しうるかを判定する。この例において、移動体Bおよび移動体Aは、セキュリティゲート6aをこの順に通過している。移動体Bおよび移動体Aは同じ方向に移動しているので、通路βにおいては移動体Aおよび移動体Bは干渉しないと判定する。このとき、指令部16は、移動体Aおよび移動体Bに通路βをそのまま通行するように指令を出力する。
【0036】
移動体Aおよび移動体Bは、例えば連携管理サーバなどを通じて、エレベーターの呼びの登録を要求する。移動体Aおよび移動体Bは、エレベーター6bおよびエレベーター6cのうち呼びが割り当てられた方を利用して、1階から5階まで移動する。エレベーターへの呼びの割当ては、予め設定された優先順位に基づいて行われる。
【0037】
その後、指令部16は、通路γにおいて、移動体Aおよび移動体Bが干渉しうるかを判定する。移動体Bがエレベーターから降車するときに移動体Aがエレベーターにまだ乗車中である場合に、移動体Bおよび移動体Aは同じ方向に移動するので、指令部16は、通路γにおいては移動体Aおよび移動体Bは干渉しないと判定する。このとき、指令部16は、移動体Aおよび移動体Bに通路γをそのまま通行するように指令を出力する。また、移動体Aがエレベーターから降車するときに移動体Bがエレベーターにまだ乗車中である場合に、移動体Aおよび移動体Bは同じ方向に移動するので、指令部16は、通路γにおいては移動体Aおよび移動体Bは干渉しないと判定する。このとき、指令部16は、移動体Aおよび移動体Bに通路γをそのまま通行するように指令を出力する。
【0038】
この例においては、移動体Aおよび移動体Bが同時にエレベーターから降車するものとする。このとき、指令部16は、エレベーターの5階の乗場から自動ドア6dに至る通路γにおいて同じ方向に移動する移動体Aおよび移動体Bが干渉しうると判定する。なお、指令部16は、移動体Aおよび移動体Bの移動速度などに応じて、エレベーターの降車を同時と判断する時間の範囲を設定してもよい。このとき、指令部16は、移動体Aおよび移動体Bの通路γにおける通行の優先順位を、通路γの後の設備である自動ドア6dの優先順位に基づいて判定する。この例において、指令部16は、通路γに関して、移動体Aの優先順位を1位に、移動体Bの優先順位を2位に設定する。指令部16は、移動体Aを移動体Bより優先させるように、移動体Aおよび移動体Bに指令を出力する。
【0039】
その後、移動体Aは、自動ドア6dを通過する。その後、移動体Bは、自動ドア6dを通過する。
【0040】
その後、指令部16は、通路δにおいて、移動体Aおよび移動体Bが干渉しうるかを判定する。この例において、移動体Aおよび移動体Bは、自動ドア6dをこの順に通過している。移動体Aおよび移動体Bは同じ方向に移動しているので、通路δにおいては移動体Aおよび移動体Bは干渉しないと判定する。このとき、指令部16は、移動体Aおよび移動体Bに通路δをそのまま通行するように指令を出力する。その後、移動体Aおよび移動体Bは、地点Lに到着する。
【0041】
図5において、移動体Aおよび移動体Bが同時に地点Kを出発地として目的地である地点Lまで移動した後に、移動体Cが地点Lを出発地として目的地である地点Kまで移動する場合の例が示される。このとき、移動体Aの移動経路は、地点K、通路α、セキュリティゲート6a、通路β、エレベーター6bまたはエレベーター6c、通路γ、自動ドア6d、通路δ、および地点Lの順に設定される。同様に、移動体Bの移動経路は、地点K、通路α、セキュリティゲート6a、通路β、エレベーター6bまたはエレベーター6c、通路γ、自動ドア6d、通路δ、および地点Lの順に設定される。一方、移動体Cの移動経路は、地点L、通路δ、自動ドア6d、通路γ、エレベーター6bまたはエレベーター6c、通路β、セキュリティゲート6a、通路α、および地点Kの順に設定される。
【0042】
例えば、移動体Cは、移動体Aおよび移動体Bが通路δを通行しているときに、地点Lを出発するものとする。
【0043】
このとき、指令部16は、通路δにおいて、移動体Cが移動体Aまたは移動体Bと干渉しうるかを判定する。この例において、移動体Aおよび移動体Bは通路δを既に通行しているので、移動体Cは通路δを反対方向に移動する移動体Aおよび移動体Bと干渉しうると判定する。このとき、指令部16は、先に通路δに進入した移動体Aおよび移動体Bをまだ通路δに進入していない移動体Cより優先させるように、移動体A、移動体B、および移動体Cに指令を出力する。
【0044】
例えば、通路δが移動体Aおよび移動体Bと移動体Cとのすれ違いが可能な広い通路である場合に、指令部16は、優先順位の低い移動体Cに停止の指令を出力する。指令部16は、優先順位の低い移動体Cに通行速度低下の指令を出力してもよい。通路δが移動体Aおよび移動体Bと移動体Cとのすれ違いが不能な狭い通路である場合に、指令部16は、優先順位の低い移動体Cに、通路δに対して予め設定された退避場所への退避の指令を出力する。退避場所は、施設における座標で指定されていてもよいし、施設における経路を表すグラフ上のノードなどによって指定されていてもよい。指令部16は、退避場所との位置関係などに応じて、優先順位の低い移動体Cに対して、後方に後退するように指令を出力してもよい。指令部16は、移動体Aおよび移動体Bに通路δを通行するように指令を出力する。移動体Aおよび移動体Bが通路δの通行を完了した後に、指令部16は、移動体Cに通路δの通行を許可するように指令を出力する。
【0045】
あるいは、例えば、移動体A、移動体B、および移動体Cが、自動ドア6dに同時に到着するものとする。
【0046】
このとき、指令部16は、移動体A、移動体B、および移動体Cについて、連携管理部12が管理する自動ドア6dの優先順位を取得する。この例において、自動ドア6dの利用の優先順位は、1位が移動体A、2位が移動体B、3位が移動体Cとなるように設定されている。指令部16は、移動体Aおよび移動体Bを移動体Cより優先させるように、移動体A、移動体B、および移動体Cに指令を出力する。
【0047】
例えば、指令部16は、優先順位の低い移動体Cに、自動ドア6dに対して予め設定された退避場所への退避の指令を出力する。退避場所は、施設における座標で指定されていてもよいし、施設における経路を表すグラフ上のノードなどによって指定されていてもよい。指令部16は、退避場所との位置関係などに応じて、優先順位の低い移動体Cに対して、後方に後退するように指令を出力してもよい。指令部16は、移動体Aおよび移動体Bに自動ドア6dを通行するように指令を出力する。移動体Aおよび移動体Bが自動ドア6dの通行を完了した後に、指令部16は、移動体Cに自動ドア6dの通行を許可するように指令を出力する。
【0048】
なお、指令部16は、例えばいずれかの自律移動体2を緊急出動させる場合などに、当該自律移動体2の設備および通路についての通行の優先順位を全て第1位として指令を出力してもよい。指令部16は、緊急出動している自律移動体2について、特権モードを付与してもよい。指令部16は、例えば、特権モードが付与された自律移動体2が施設を移動している間、他の自律移動体2に停止または退避場所への退避の指令を出力する。指令部16は、特権モードが付与された自律移動体2の移動が完了した後に、他の自律移動体2への停止または退避の指令を解除する。
【0049】
また、指令部16は、十字路などの通路において共通の設備を利用しない自律移動体2同士が干渉しうる場合に、予め設定されたルールに基づいていずれかの自律移動体2を優先させるように指令を出力してもよい。例えば、指令部16は、ある自律移動体2から見て左側から十字路に進入する他の自律移動体2がある場合に、当該他の自律移動体2をより優先させるように指令を出力する。例えば、指令部16は、優先順位の低い自律移動体2に、十字路への進入を待機するように指令を出力する。指令部16は、優先順位の高い自律移動体2に十字路の通行の指令を出力し、当該自律移動体2の十字路の通行が完了した後に、待機させていた自律移動体2に十字路への進入を許可する。
【0050】
続いて、図6および図7を用いて、移動体管理システム1の動作の例を説明する。
図6および図7は、実施の形態1に係る移動体管理システム1の動作の例を示すフローチャートである。
【0051】
図6において、施設における通路の通行の優先順位の設定についての処理の例が示される。図6の処理は、例えば、予め設定された定期的または不定期的なタイミングで行われる。
【0052】
ステップS11において、指令部16は、施設内で稼働する各々の自律移動体2について、出発地から目的地までの移動の経路、および現在位置などの情報を取得する。指令部16は、取得した情報を自律移動体2ごとのテーブルに書き込んで記憶する。その後、移動体管理システム1の処理は、ステップS12に進む。
【0053】
ステップS12において、指令部16は、連携管理部12が管理する設備6の優先順位を読み込む。指令部16は、読み込んだ情報を自律移動体2ごとのテーブルに書き込んで記憶する。その後、移動体管理システム1の処理は、ステップS13に進む。
【0054】
ステップS13において、指令部16は、各々の自律移動体2の位置および移動経路と、設備6の優先順位とに基づいて、通路の通行の優先順位の設定を行う。指令部16は、設定した情報を、自律移動体2ごとのテーブルに書き込んで管理する。その後、移動体管理システム1の処理は、終了する。
【0055】
図7において、通行の優先順位が設定された通路について、いずれかの自律移動体2が施設内の通路を通行するときの処理の例が示される。図7の処理は、例えば、各々の自律移動体2の現在位置および移動経路などに基づいて、いずれかの自律移動体2がいずれかの通路を通行すると判定される度に、当該自律移動体2を対象として行われる。なお、いずれかの自律移動体2が施設内の設備6を利用するときにおいても、移動体管理システム1は同様の処理を行ってもよい。
【0056】
ステップS21において、指令部16は、対象の自律移動体2が対象の通路において他の自律移動体2と干渉するかを判定する。なお、指令部16は、対象の自律移動体2の他の全ての自律移動体2について当該判定を繰り返してもよい。干渉しない場合に、移動体管理システム1の処理は、ステップS22に進む。一方、干渉する場合に、移動体管理システム1の処理は、ステップS23に進む。
【0057】
ステップS22において、指令部16は、対象の自律移動体2に対象の通路を通行させる指令を出力する。その後、移動体管理システム1の処理は、終了する。
【0058】
ステップS23において、指令部16は、対象の通路において、対象の自律移動体2の優先順位は干渉する自律移動体2より高いかを判定する。対象の自律移動体2の優先順位が高い場合に、移動体管理システム1の処理は、ステップS24に進む。一方、干渉する自律移動体2の優先順位が高い場合に、移動体管理システム1の処理は、ステップS25に進む。
【0059】
ステップS24において、指令部16は、対象の自律移動体2に対象の通路を通行させる指令を出力し、干渉する自律移動体2に当該通路の通行を待機させる指令を出力する。その後、移動体管理システム1の処理は、ステップS26に進む。
【0060】
ステップS25において、指令部16は、干渉する自律移動体2に対象の通路を通行させる指令を出力し、対象の自律移動体2に当該通路の通行を待機させる指令を出力する。その後、移動体管理システム1の処理は、ステップS26に進む。
【0061】
ステップS26において、指令部16は、待機させていた自律移動体2の待機を解除し、当該自律移動体2に対象の通路を通行させる指令を出力する。その後、移動体管理システム1の処理は、終了する。
【0062】
以上に説明したように、実施の形態1に係る移動体管理システム1の移動体管理装置7は、連携管理部12と、指令部16と、を備える。連携管理部12は、施設を移動する自律移動体2の各々について、施設に設けられた各々の設備6の利用の優先順位を管理する。2つの自律移動体2が、現在位置から目的地に移動するまでに通行する通路において互いに干渉することがある。この場合に、指令部16は、当該通路の前後に利用する設備6に関して連携管理部12が管理する優先順位に基づいて、いずれか一方の自律移動体2を優先して当該通路を通行させる指示を、両方の自律移動体2に対して行う。このような構成により、通行の優先順位などが直接設定されない通路においても、前後の設備6について設定された優先順位に基づいて通路の通行の優先順位が判定されるようになるため、自律移動体2同士が互いに身動きが取れなくなる膠着状態に陥りにくくなる。このため、自律移動体2は、施設においてより効率的に稼働できるようになる。このように、自律移動体2がより効率的に稼働できるように、自律移動体2の移動が管理される。
【0063】
また、指令部16は、2つの自律移動体2が通路ですれ違い可能である場合に、優先させない自律移動体2に停止の指示を行う。これにより、優先させない自律移動体2を停止させることで、通路の通行を再開するときの移動距離などを抑えることができる。このため、自律移動体2の稼働効率をより高めることができる。
【0064】
また、指令部16は、2つの自律移動体2が通路ですれ違い不能である場合に、優先させない自律移動体2に退避場所への移動の指示を行う。
これにより、優先させない自律移動体2を退避させることで、優先させる自律移動体2の通路の通行をよりスムーズにさせることができる。このため、自律移動体2の稼働効率をより高めることができる。
【0065】
また、指令部16は、通路の前後の設備6として通行可否を管理する通行管理設備が設けられている場合に、優先させる自律移動体2が当該設備6の通行を完了するまで、優先させない自律移動体2に当該設備6の通行を待機させる指示を行う。また、指令部16は、優先させる自律移動体2が通路の通行を完了した後に、優先させない自律移動体2に当該通路の通行を許可する。これにより、優先させる自律移動体2の通路または設備6の通行の間に優先させない自律移動体2が通行せず待機するので、優先させる自律移動体2の通行に他の自律移動体2がより干渉しにくくなる。このため、自律移動体2の稼働効率をより高めることができる。
【0066】
続いて、図8を用いて、移動体管理システム1のハードウェア構成の例について説明する。
図8は、実施の形態1に係る移動体管理システム1の主要部のハードウェア構成図である。
【0067】
移動体管理システム1の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。処理回路は、プロセッサ100aおよびメモリ100bと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用ハードウェア200を備えてもよい。
【0068】
処理回路がプロセッサ100aとメモリ100bとを備える場合、移動体管理システム1の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ100bに格納される。プロセッサ100aは、メモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、移動体管理システム1の各機能を実現する。
【0069】
プロセッサ100aは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ100bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
【0070】
処理回路が専用ハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0071】
移動体管理システム1の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、移動体管理システム1の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。移動体管理システム1の各機能について、一部を専用ハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、専用ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで移動体管理システム1の各機能を実現する。
【0072】
以上の説明をまとめると、本開示に係る技術の取りうる構成は、以下に付記として示す各構成などを含む。
(付記1)
各々が施設を移動する第1自律移動体および第2自律移動体について、前記施設に設けられた複数の設備の各々の利用優先順位を管理する連携管理部と、
前記第1自律移動体および前記第2自律移動体が現在位置から目的地に移動するまでに通行する通路において互いに干渉する場合に、前記複数の設備のうち前記通路の前または後に利用する設備に関して前記連携管理部が管理する前記利用優先順位に基づいて、前記第1自律移動体および前記第2自律移動体のいずれか一方を優先して前記通路を通行させる指示を前記第1自律移動体および前記第2自律移動体の両方に対して行う指令部と、
を備える、移動体管理装置。
(付記2)
前記指令部は、前記第1自律移動体を優先させるときに、前記第2自律移動体が前記通路で前記第1自律移動体とすれ違い可能である場合に、前記第2自律移動体に停止の指示を行う、
付記1に記載の移動体管理装置。
(付記3)
前記指令部は、前記第1自律移動体を優先させるときに、前記第2自律移動体が前記通路で前記第1自律移動体とすれ違い不能である場合に、前記第2自律移動体に退避場所への移動の指示を行う、
付記1または付記2に記載の移動体管理装置。
(付記4)
前記指令部は、前記第1自律移動体を優先させるときに、前記通路の前または後の設備として通行可否を管理する通行管理設備が設けられている場合に、前記第1自律移動体が前記通行管理設備の通行を完了するまで、前記第2自律移動体に前記通行管理設備の通行を待機させる指示を行う、
付記1から付記3のいずれか一項に記載の移動体管理装置。
(付記5)
前記指令部は、前記第1自律移動体を優先させるときに、前記第1自律移動体が前記通路の通行を完了した後に、前記第2自律移動体に前記通路の通行を許可する、
付記1から付記3のいずれか一項に記載の移動体管理装置。
(付記6)
第1自律移動体および第2自律移動体の各々が移動する施設に設けられた複数の設備と、
前記第1自律移動体および前記第2自律移動体について、前記複数の設備の各々の利用優先順位を管理する連携管理部と、
前記第1自律移動体および前記第2自律移動体が現在位置から目的地に移動するまでに通行する通路において互いに干渉する場合に、前記複数の設備のうち前記通路の前または後に利用する設備に関して前記連携管理部が管理する前記利用優先順位に基づいて、前記第1自律移動体および前記第2自律移動体のいずれか一方を優先して前記通路を通行させる指示を前記第1自律移動体および前記第2自律移動体の両方に対して行う指令部と、
を備える、移動体管理システム。
(付記7)
コンピュータが、
各々が施設を移動する第1自律移動体および第2自律移動体について、前記施設に設けられた複数の設備の各々の利用優先順位を管理することと、
前記第1自律移動体および前記第2自律移動体が現在位置から目的地に移動するまでに通行する通路において互いに干渉する場合に、前記複数の設備のうち前記通路の前または後に利用する設備に関する前記利用優先順位に基づいて、前記第1自律移動体および前記第2自律移動体のいずれか一方を優先して前記通路を通行させる指示を前記第1自律移動体および前記第2自律移動体の両方に対して行うことと、
を実行する、移動体管理方法。
(付記8)
コンピュータに、
各々が施設を移動する第1自律移動体および第2自律移動体について、前記施設に設けられた複数の設備の各々の利用優先順位を管理することと、
前記第1自律移動体および前記第2自律移動体が現在位置から目的地に移動するまでに通行する通路において互いに干渉する場合に、前記複数の設備のうち前記通路の前または後に利用する設備に関する前記利用優先順位に基づいて、前記第1自律移動体および前記第2自律移動体のいずれか一方を優先して前記通路を通行させる指示を前記第1自律移動体および前記第2自律移動体の両方に対して行うことと、
を実行させる、移動体管理プログラム。
【符号の説明】
【0073】
1 移動体管理システム、 2 自律移動体、 3 移動体制御サーバ、 4 経路生成サーバ、 5 経路生成部、 6 設備、 6a セキュリティゲート、 6b、6c エレベーター、 6d 自動ドア、 7 移動体管理装置、 8 設備連携サーバ、 9 通行管理サーバ、 10 設備通信部、 11 第1通信部、 12 連携管理部、 13 第2通信部、 14 移動体通信部、 15 タスク管理部、 16 指令部、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 専用ハードウェア
【要約】      (修正有)
【課題】施設においてより効率的に稼働させられるように自律移動体の移動を管理する移動体管理装置、移動体管理システム、移動体管理方法及び移動体管理プログラムを提供する。
【解決手段】移動体管理システム1において、移動体管理装置7は、連携管理部12と、指令部16と、を備える。連携管理部12は、施設を移動する自律移動体2の各々について、施設に設けられた各々の設備6の利用の優先順位を管理する。2つの自律移動体2が、現在位置から目的地に移動するまでに通行する通路において互いに干渉することがある。この場合に、指令部16は、当該通路の前後に利用する設備6に関して連携管理部12が管理する優先順位に基づいて、いずれか一方の自律移動体2を優先して当該通路を通行させる指示を、両方の自律移動体2に対して行う。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8