(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】積載物を移動させるための装置
(51)【国際特許分類】
B61D 47/00 20060101AFI20240625BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20240625BHJP
B61B 13/00 20060101ALI20240625BHJP
B66F 9/10 20060101ALI20240625BHJP
B65G 1/00 20060101ALN20240625BHJP
【FI】
B61D47/00 A
G05D1/43
B61B13/00 A
B66F9/10 A
B65G1/00 501C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023124085
(22)【出願日】2023-07-31
【審査請求日】2023-07-31
(31)【優先権主張番号】10202250647R
(32)【優先日】2022-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】バンガル ラマムルティ,スワミナタン
(72)【発明者】
【氏名】ジャヤラマン,ラジャラム
(72)【発明者】
【氏名】ラマリンガム,プラガーサム
(72)【発明者】
【氏名】ナガラジャン,ラジャ
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-165081(JP,A)
【文献】特開平10-167688(JP,A)
【文献】米国特許第04998858(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 47/00
G05D 1/43
B61B 13/00
B66F 9/10
B65G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載物を移動させるための装置であって、
電源と、
1つ又は複数の移動用部品と、
前記装置を移動させるように前記1つ又は複数の移動用部品を駆動するための駆動機構と、
前記積載物を持ち上げるための昇降装置と、
1つ又は複数の荷重面と、中央壁部と、第1側壁部と、第2側壁部とを有する本体であって、前記中央壁部と、前記第1側壁部と、前記第2側壁部とが、前記昇降装置を収めるための空間を画定する境界を形成するように配置されている、本体と、
前記昇降装置に取り付けられた1つ又は複数の取付部材と、
前記装置を動作させるようにメモリ内の命令を実行するように構成されたプロセッサであって、前記積載物を持ち上げるように前記昇降装置を制御し、前記1つ又は複数の荷重面に前記積載物を置くように前記昇降装置を制御し、前記装置を移動させて、前記1つ又は複数の荷重面に置かれた前記積載物を目的の場所に輸送するように前記駆動機構を制御するプロセッサと、を備え、
前記昇降装置は、非使用時には格納形態にあり、且つ、伸長形態に変更可能であり、
前記第1側壁部および/または前記第2側壁部は、1つ又は複数のアクチュエータを備え、前記1つ又は複数のアクチュエータは、前記格納形態において地面よりも上方の高さで前記昇降装置に係合して該昇降装置を支持するために前記空間内に伸長可能な伸長可能部材を有
し、
前記伸長可能部材は、前記昇降装置の底部に接触するように移動可能な傾斜エッジを備え、
前記傾斜エッジは、前記傾斜エッジの勾配に従って前記昇降装置を持ち上げるように前記昇降装置の底部に対して押し付け可能に設けられている、
装置。
【請求項2】
前記昇降装置は、前記昇降装置が前記格納形態にあるときに地面よりも上方の高さに位置する車輪を有する、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記1つ又は複数のアクチュエータの個数は少なくとも4つであり、
第1のアクチュエータは、前記中央壁部に近い側で前記第1側壁部の底部に配置され、
第2のアクチュエータは、前記中央壁部からさらに離れて前記第1側壁部の端部に近い側で前記第1側壁部の底部に配置され、
第3のアクチュエータは、前記中央壁部に近い側で前記第2側壁部の底部に配置され、
第4のアクチュエータは、前記中央壁部からさらに離れて前記第2側壁部の端部に近い側で前記第2側壁部の底部に配置されている、
請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記昇降装置が前記積載物を載せているとき、
前記昇降装置が静止したままの状態で、
前記昇降装置が前記空間から出て前記伸長形態に変更されるまで前記装置を移動させるように前記駆動機構を制御するか、又は、
前記昇降装置が前記伸長形態にならずに前記空間内に位置するまで前記装置を移動させるように前記駆動機構を制御する、
ように動作可能である、
請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記1つ又は複数の荷重面は、前記第1側壁部の頂部と前記第2側壁部の頂部とを備え、
前記装置は、
前記第1側壁部の前記頂部の高さと、前記第2側壁部の前記頂部の高さとに比べて高い位置へ前記積載物を持ち上げるように前記昇降装置を制御し、
前記積載物を降下させて前記第1側壁部の前記頂部と前記第2側壁部の前記頂部との上に前記積載物を置くように、且つ、前記格納形態に変化するように前記昇降装置を制御し、
前記格納形態において地面よりも上方の高さで前記昇降装置に係合して支持するように前記1つ又は複数のアクチュエータを制御する、
ように動作可能である、
請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記1つ又は複数の荷重面上に置かれた前記積載物を持ち上げるように前記昇降装置を制御し、
前記昇降装置を前記伸長形態に変化させるための動作制御を実行し、
前記積載物を降下させて前記目的の場所に置くように前記伸長形態の前記昇降装置を制御し、
前記昇降装置を前記格納形態に変化させるための動作制御を実行し、
前記格納形態において地面よりも上方の高さで前記昇降装置に係合して支持するように前記1つ又は複数のアクチュエータを制御する、
ように動作可能である、
請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記1つ又は複数の荷重面が前記第1側壁部の頂部と前記第2側壁部の頂部とを有する場合において、
前記本体は、前記中央壁部と、前記第1側壁部と、前記第2側壁部との最外縁部が前記装置の設置面積の寸法を決定するように構成され、
前記第1側壁部と前記第2側壁部との間の距離は、前記1つ又は複数の荷重面上に前記積載物を載置可能になるように、且つ、前記積載物のベース部の長さおよび幅が前記設置面積の寸法を超えないように構成されている、
請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記積載物は、パレットを含み、
前記昇降装置は、一対のフォークを備え、
前記一対のフォークは、前記昇降装置が前記伸長形態にあるときに前記パレットの底部における隙間に挿入可能に構成されている、
請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項9】
前記1つ又は複数の取付部材に接続され、前記1つ又は複数の取付部材を移動させるように制御可能なモータと、
前記第1側壁部と前記第2側壁部とにそれぞれ配置された一対のレールと、を備え、
前記昇降装置の左側部と右側部とに、前記1つ又は複数の取付部材のうちの少なくとも2つの取付部材がそれぞれ取り付けられており、
前記装置は、
前記少なくとも2つの取付部材を前記一対のレールに沿ってスライド移動させるように前記モータを制御して、
前記昇降装置を前記中央壁部から遠ざかる方向に移動させることで前記昇降装置を前記伸長形態に変化させるように、又は、前記昇降装置を前記中央壁部に向かって前記空間内へ移動させるように動作可能である、
請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項10】
前記1つ又は複数のアクチュエータは、前記昇降装置に係合して前記昇降装置を前記格納形態に変化させるように持ち上げ、前記格納形態では前記昇降装置のどの部分も地面に接触させないように構成されている、
請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項11】
前記1つ又は複数のアクチュエータは、前記昇降装置の1つ又は複数の部分が地面に着くまで前記昇降装置を前記格納形態に降下させるように構成されている、
請求項1または請求項2に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積載物(ペイロード)を移動させるための装置に関する。本発明の装置は自律移動ロボットであってもよく、前記積載物は、1つの対象物であってもよいし、1つ又は複数の対象物を含むパレットであってもよい。
【背景技術】
【0002】
自律移動ロボットにジャッキが取り付けられて、移動ロボットが、ジャッキを介した積載物の持ち上げ、及び、積載物の輸送を自動的に行うようにプログラムされてタスクを課せられることがある。ただし、ジャッキは、直線運動用の車輪を有し、移動ロボットと一緒に移動するようには設計されていない。このことを解決するためのいくつかの取り組みには、上記のような車輪を一方向ホイールに取り換えることが含まれるが、一方向ホイールはジャッキ用に設計されていないことや、市場で入手可能な一方向ホイールは、積載物を積んだジャッキの重量に耐えられない可能性があることなど、実際的な問題がある。
【発明の概要】
【0003】
本開示の一例によれば、独立請求項に記載の積載物(ペイロード)を移動させるための装置が提供される。いくつかの任意の特徴は、従属請求項で定義されている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本開示における実施例は、単なる例としての以下の説明と下記の図面とから、当業者により良く理解され、容易に明らかになり得る。
【0005】
【
図1】本開示の一例に係る積載物を移動させるための移動ロボットの正面斜視図を示す。
【
図2】本開示の一例に係る昇降装置を搭載した移動ロボットの背面斜視図である。
【
図5】移動ロボットに取り付けられた昇降装置を持ち上げて支持するためのアクチュエータの上面斜視図を示す。
【
図7】昇降装置の車輪が地面に接触可能であり、昇降装置を持ち上げるための2つのアクチュエータがまだ作動していない状態における、
図2の移動ロボットの正面図を示す。
【
図8】昇降装置の車輪が地面から離れており、昇降装置を持ち上げるための2つのアクチュエータが作動している状態における、
図2の移動ロボットの正面図を示す。
【
図9】正面を積載物に向けた状態における
図2の移動ロボットを示す。
【
図10】
図9の移動ロボットの背面と昇降装置の正面とが
図9の積載物に向けられている状態における移動ロボットを示す。
【
図11】昇降装置が
図9の積載物の底部に係合するように伸長された状態における
図10の移動ロボットを示す。
【
図12】伸長された昇降装置が
図9の積載物を地面から持ち上げている状態における
図11の移動ロボットを示す。
【
図13】
図9の積載物を保持する昇降装置が後退し、積載物が移動ロボットの上方に位置する状態における
図12の移動ロボットを示す。
【
図14】移動ロボット上に積載物を載せるために昇降装置が降下されて、昇降装置が格納形態にある状態における
図13の移動ロボットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の実施例は、自律移動ロボット(以下、「移動ロボット」という)のような装置に関する。移動ロボットには、例えばジャッキなどの昇降装置(リフト装置)が取り付けられるか、又は固定される。移動ロボットは、積載物を運ぶために昇降装置を制御する(例えば、昇降装置を移動させる)ように構成されてもよい。積載物は、1つ又は複数の対象物を含むパレットであってもよい。積載物を持ち上げた後、移動ロボットは、移動ロボット用にプログラムされた命令(ソフトウェアコード)に従って、目的の(意図された)場所に積載物を輸送してもよい。例えば、前記積載物は、生産ライン、医療施設、オフィス環境、飲食施設、倉庫、小売店、サービス施設などの積載物であってもよい。
【0007】
移動ロボットは、積載物を移動ロボットの1つ又は複数の荷重面に載せることによって積載物を輸送することができ、積載物の全重量は移動ロボットによって支えられる。
【0008】
図1を参照すると、本開示の一例では、目的の(意図された)場所に積載物を移動させるための装置が提供される。本実施例の装置は、昇降装置(リフト装置)102を備える移動ロボット100である。
図1は、移動ロボット100の正面斜視図を示す。
【0009】
移動ロボット100は、移動ロボット100の筐体(ハウジング)内に位置する電源(例えばバッテリ)と、(
図1では隠れているが、移動ロボット100の底部に位置する)1つ又は複数の移動用(可動用)部品(例えば、1つ又は複数の車輪またはレール)と、移動ロボット100を移動させるように前記1つ又は複数の移動用部品を駆動するための(筐体内に位置する)駆動機構(例えば、モータ)とを備える。前記駆動機構および前記1つ又は複数の移動用部品は、差動駆動型のステアリングを有するように、且つ/又は、4輪駆動などの他の適切な駆動/ステアリング方法を使用して実装されるように構成されてもよい。駆動機構には、前記電源から電力が供給され得る。電源は再充電可能であり、移動ロボット100は、電源に接続されたドッキングステーションに移動して接続し、電源を充電するように構成されている。また、移動ロボット100は、(積載物を運んでいるか、又は運んでいない)昇降装置102を押し込む(又は伸長させる)か、又は引き込む(格納する)ように移動ロボット100が制御されるときに、停止するための、且つ/又は、ブレーキをかけるためのブレーキシステムを有してもよい。
【0010】
本実施例における昇降装置102は、ジャッキ、具体的にはパレットジャッキである。このジャッキは、油圧式および/または空気圧式のパレットジャッキであってもよい。積載物は、輸送される適切な対象物であってもよい。本実施例において、積載物は、1つ又は複数の対象物を含むパレットである。昇降装置102は、移動ロボット100に取り付けられた後部124を有する。昇降装置102の油圧式および/または空気圧式の構成要素は、後部124に設けられている。昇降装置102は、動作していないときは格納形態(収納形態)にあり、動作するときは伸長形態に動かされ得る。昇降装置102は、一対のフォーク103を備える。昇降装置102が伸長形態にあるとき、一対のフォーク103は、パレットを持ち上げる前に、パレットの底部の隙間に挿入され得る。本実施例において、昇降装置102は、(
図1では見えない)車輪を備えたパレットジャッキであり、昇降装置が格納形態にあるとき、車輪は地面よりも上方に位置する。
【0011】
移動ロボット100は、コントローラ(プロセッサ又は処理ユニット)を備える。本実施例において、コントローラ(プロセッサ又は処理ユニット)は、中央壁部104内に位置する。コントローラ(プロセッサ又は処理ユニット)は、メモリ(記憶部)内の命令を実行して、(
図1には図示されていない)積載物まで自律的にナビゲート(誘導または航行)するように移動ロボット100を動作させ、さらに以下の動作を実行する。
(1)格納形態から伸長形態へ動くように昇降装置102を制御する動作。
(2)積載物に係合するように伸長形態の昇降装置102を制御する動作。
(3)積載物を持ち上げるように昇降装置102を制御する動作。
(4)昇降装置102を静止させたまま、積載物を積んだ昇降装置102が空間116内に収まるまで移動ロボット100を移動させる動作。
(5)積載物を降下させて、移動ロボット100の1つ又は複数の荷重面(本実施例では荷重面118,120)上に積載物を置くように、昇降装置102を制御する動作。
(6)移動ロボット100に積まれた積載物を目的の場所まで移動させる動作。
【0012】
また、移動ロボット100は、以下の動作を実行するように、コントローラ(プロセッサ又は処理ユニット)によって制御され得る。
(a)1つ又は複数の荷重面(118,120)上に載っている積載物を格納形態から持ち上げるように昇降装置102を制御する動作。
(b)昇降装置102が静止している状態で、積載物を積んだ昇降装置102が伸長形態に変化するまで移動ロボット100を移動させる動作。
(c)目的の場所に積載物を配置するように昇降装置102を制御する動作。
(d)格納形態に変化するように昇降装置102を制御する動作。
【0013】
移動ロボット100は、中央壁部104と、第1側壁部106と、第2側壁部108とを有する本体を備えている。前記本体は、U字状またはC字状に形成されている。第1側壁部106および第2側壁部108は、中央壁部104から離れる方向に延びている。中央壁部104、第1側壁部106、及び第2側壁部108は、昇降装置102を収容するための空間116を画定する境界を形成するように配置されている。具体的には、中央壁部104の表面110、第1側壁部106の表面111、及び第2側壁部108の(
図1では見えない)表面114が上記のような境界を形成する。第1側壁部106と第2側壁部108とは互いに平行であり、中央壁部104に対して直交している。本実施例において、第1側壁部106の頂部118は第1荷重面を構成し、第2側壁部108の頂部120は第2荷重面を構成する。移動ロボット100の中央壁部104、第1側壁部106、および第2側壁部108によって形成される境界は、一方側に開放している。これにより、空間116の外側の1つ又は複数の対象物を持ち上げる必要があるときに、昇降装置102が動いて空間116の外に伸び得るようになっている。
【0014】
中央壁部104、第1側壁部106、及び第2側壁部108の最外縁部は、移動ロボット100の本体の縁部を形成している。これらの最外縁部は、移動ロボット100の設置面積の寸法(すなわち、長さ及び幅)を決定する。第1側壁部106と第2側壁部108との間の距離は、積載物(対象物または(対象物を載せた、又は載せていない)パレット)が頂部(荷重面)118,120の上に配置され得るように、且つ、積載物のベース部の長さ及び幅が移動ロボット100の設置面積の寸法を超えないように構成されてもよい。積載物が(対象物を載せた、又は載せていない)パレットの場合、積載物のベース部とは、パレットを指す。積載物が対象物の場合、積載物のベース部とは、頂部118,120の上に配置される対象物の底部を指す。このようにして、パレット上の対象物が設置面積を超える寸法を有さない限り、第1側壁部106及び/又は第2側壁部108上に置かれた積載物は、移動ロボット100の設置面積内にコンパクトに収まりつつ、設置面積内の容積を最大限に活用し得る。頂部118,120の高さは、互いに同じ高さであることが好ましい。
【0015】
以下の段落では、
図1~
図3の要素について説明される。
図2は、移動ロボット100の背面斜視図であり、
図1では見えていないいくつかの特徴を明らかにしている。
図3は、
図2の移動ロボット100の上面図である。
図3は、昇降装置102の後部124が移動ロボット100にどのように取り付けられているかを示す。具体的に、昇降装置102の後部124の左側部および右側部は、1つ又は複数の取付部材(例えば、サイド部材302,304)を介して移動ロボット100に取り付けられている。
図1で使用された参照符号は、
図2および
図3の同じ要素に対して使用されている。
【0016】
移動ロボット100は、昇降装置102を空間116の外へ伸長させて積載物に係合させたり、昇降装置102を空間116内に格納したりするように昇降装置102を動かせるための1つ又は複数のモータ(図示せず)を備える。1つ又は複数のモータは、閉ループモータを含んでもよい。すなわち、閉ループシステムが使用されてもよい。このような閉ループシステムは、エラーを低減して安定性を向上させるように出力信号の一部が入力にフィードバックされるフィードバックを使用する。本実施例では、サイド部材302,304にモータが接続されている。モータは、サイド部材302内、サイド部材304内、後部124内、中央壁部104内、第1側壁部106内、または第2側壁部108内に配置されてもよい。サイド部材302,304は、第1側壁部106に位置する水平レール、及び、第2側壁部108に位置する水平レールに沿ってそれぞれ摺動可能である。
図1には、第1側壁部106に位置する2つの水平なレール126が示されている。第2側壁部108にも、(
図1では見えないが、
図2に符号127で示されている)2つの同様の水平レールが設けられている。モータは、サイド部材302,304を上記の水平なレール126,127に沿って移動させて、昇降装置102を伸長形態に押し込むように、すなわち伸長させるように、コントローラ(プロセッサ又は処理ユニット)によって制御可能である。その結果、昇降装置102のフォーク103がパレットの底部に挿入できたり、積載物を積んだフォーク103が地面に積載物を置くことができたりする。上記の例では、第1側壁部106及び第2側壁部108のそれぞれに2つのレールが設けられているが、別の例では、それぞれの側壁部に、実際的な必要に応じて、1つのレールのみ、又は3つ以上のレールが設けられてもよいことを理解されたい。
【0017】
また、モータは、サイド部材302,304を移動させて、積載物を積んだ昇降装置102を空間116内に引き込んで、すなわち後退させて戻すように構成されてもよい。ただし、これに代えて、積載物を積んだ伸長形態の昇降装置102が静止したままの状態で、昇降装置102が空間116内に戻るまで、移動ロボット100が駆動されてもよい。この代替案は、積載物を積んだ昇降装置102を動かすためにはより多くのエネルギーが必要になるため、消費エネルギーを低減できる。
【0018】
一例では、モータ及びサイド部材302,304は、別の目的を果たし得る。すなわち、昇降装置102が車輪付きジャッキである場合、モータは、サイド部材302,304を移動させることで昇降装置102を持ち上げて格納形態に変化させるようにコントローラ(プロセッサ又は処理ユニット)によって制御可能であり、これにより、昇降装置102の車輪が地面よりも上に位置すること、すなわち地面に接触しないことを保証し得る。これにより、昇降装置102の車輪が移動ロボット100の動きを妨げないことが保証される。また、モータは、サイド部材302,304を移動させることで昇降装置102を降下させるようにコントローラ(プロセッサ又は処理ユニット)によって制御可能であり、これにより、昇降装置102の車輪を地面に置くことが可能になる。パレットジャッキの車輪は直線運動用に設計されており、当該車輪は、伸長形態に変化させるための空間116の外への昇降装置102の動きを容易にするために使用され得る。モータ及びサイド部材302,304が、昇降装置102の地面に着地することを禁止または許容するように昇降装置102を昇降させることを可能にするために、昇降装置102の昇降動作中にサイド部材302,304が一緒に動くようにするための(
図1では見えていない)鉛直レールが、鉛直方向に沿って配置されるように設けられてもよい。
【0019】
以下の段落では、
図1~
図8の要素が説明される。
図1~
図4、
図7、および
図8は、移動ロボット100を示し、
図5および
図6は、後述される1つ又は複数のアクチュエータ(
図1の符号112、
図2の符号113、
図4の符号406,408、
図5及び
図6の符号500、
図7及び
図8の符号406,408)を示す。これらの図に存在する同じ要素には、同じ参照符号が付されている。
【0020】
具体的に、第1側壁部106および/または第2側壁部108は、1つ又は複数のアクチュエータ(例えば、符号112,113,406,408,500)を備える。1つ又は複数のアクチュエータのそれぞれは、第1側壁部106および/または第2側壁部108の1つ又は複数の開口部(例えば、
図1の符号112aおよび
図2の符号113a)内に格納可能であるように、且つ、格納形態にて地面の上方に位置する昇降装置102に係合し昇降装置102を支持するように空間116内へ伸長可能であるように構成されている。
【0021】
図4は、移動ロボット100の底面斜視図を示す。移動ロボット100及び昇降装置102のための全ての移動用部品(本実施例では車輪)が
図4に示されている。具体的に、
図4は、移動ロボット100の左側面の近傍および右側面の近傍に位置する前方サイド車輪402と、移動ロボット100の左側面の近傍および右側面の近傍に位置する後方サイド車輪410と、移動ロボット100の左側面の近傍および右側面の近傍に位置する中央サイド車輪404とを備える移動ロボット100を示す。中央サイド車輪404は、移動ロボット100の駆動機構によって制御可能な駆動輪であり、前方サイド車輪402および後方サイド車輪410は従動輪である。さらに、
図4は、昇降装置102の後部124に2つの後輪414を備える昇降装置102を示し、昇降装置102の一対のフォーク103のそれぞれは、各フォーク103の前端近傍に前輪412を備える。具体的に、一対のフォーク103のうち左側のフォーク103aは前輪412を備え、一対のフォーク103のうち右側のフォーク103bは前輪412を備える。
【0022】
図4に示すように、本実施例において、前記1つ又は複数のアクチュエータの個数は4つである。第1のアクチュエータ406は、中央壁部104により近い位置で第1側壁部106の底部に配置されている。第2のアクチュエータ112は、中央壁部104からより遠く第1側壁部106の端部により近い位置で、第1側壁部106の底部に配置されている。第3のアクチュエータ408は、中央壁部により近い位置で第2側壁部108の底部に配置されている。第4のアクチュエータ113は、中央壁部104からより遠く第2側壁部108の端部により近い位置で、第2側壁部108の底部に配置されている。
【0023】
図5および
図6は、アクチュエータ113,408として使用され得るアクチュエータ500を示す。移動ロボット100、昇降装置102、空間116、およびフォーク103の構成については、既述の説明が参照される。アクチュエータ500の鏡像である1つのアクチュエータは、アクチュエータ112,406として使用され得る。アクチュエータ500は、移動ロボット100の本体に取り付けるための天板508、軌道(レール)602、アクチュエータモータ604、および昇降部材506を備える。軌道(レール)602は、天板508の底部に取り付けられている。昇降部材506は、昇降装置102を昇降させるためのものである。昇降部材506は、アクチュエータモータ604の制御下で、
図5の両矢印で示す方向において軌道(レール)602に沿って直線的に移動可能に構成されている。昇降部材506は、昇降装置102に係合するための、具体的には、昇降装置102のフォーク103の1つに係合するための係合部材502を備える。係合部材502は、フォーク103に係合するための傾斜エッジ504を有する。アクチュエータモータ604が昇降部材506を移動させると、傾斜エッジ504が移動する。傾斜エッジ504は、フォーク103の底部に接触してフォーク103の底部を押し込むことで、傾斜エッジ504の勾配に従って昇降装置102を持ち上げるように移動可能である。具体的に、傾斜エッジ504は、車輪(
図4の符号412,414)が地面よりも上方に位置するまで昇降装置102を持ち上げるように、空間116内に延在可能である。昇降装置102が所定の高さだけ地面の上方に持ち上げられた後、昇降装置102は格納形態になる。傾斜エッジ504は、格納形態における昇降装置102を支持するための位置に留まる。また、傾斜エッジ504は、車輪(
図4の符号412,414)が地面に着くまで昇降装置102を下降させるために、空間116の外に後退可能である。昇降装置102の車輪(
図4の符号412,414)が地面に着いているとき、昇降装置102は、空間116の外へ動かされて伸長形態に変化する準備が整っている。アクチュエータモータ604は、移動ロボット100のコントローラ(プロセッサ又は処理ユニット)によって制御可能である。
【0024】
図7は、昇降装置102の車輪412,414が地面に接触可能な状態における上述の移動ロボット100の正面図を示している。
図7において、アクチュエータ406,408と、これらの傾斜エッジ504のみが見えているが、他のアクチュエータ112,113も同じ機能を有することが理解される。アクチュエータ112,113,406,408のアクチュエータモータ604は、左側のフォーク103aおよび右側のフォーク103bをそれぞれ持ち上げるように移動ロボット100のコントローラ(プロセッサ又は処理ユニット)によって制御可能であり、これにより、昇降装置102が格納形態に持ち上げられる。
図7において、傾斜エッジ504は、
図7に示される矢印の方向にまだ伸長されておらず、昇降装置102への係合、昇降装置102の持ち上げ及び支持はなされていない。
【0025】
図8は、昇降装置102の車輪412,414が地面から離れており、移動ロボット100の車輪402,404,410の動きを妨げない状態における移動ロボット100の正面図を示している。この状態において、アクチュエータ112,113,406,408は、昇降装置102を持ち上げるように作動されている。傾斜エッジ504は、格納形態の昇降装置102に係合し、昇降装置102を持ち上げて支持するように伸長されている。
【0026】
上述の例では、1つ又は複数のアクチュエータ(例えば、符号112,113,406,408)が昇降装置102を持ち上げ可能となっているが、別の例において、1つ又は複数のアクチュエータ(例えば、符号112,113,406,408)は、格納形態において地面の高さに位置する昇降装置102に係合して支持するためだけに使用されてもよい。この場合、昇降装置102を昇降させるために、別の装置または別の機構が使用されることになる。1つ又は複数のアクチュエータ(例えば、符号112,113,406,408)は、昇降装置102が持ち上げられた後に昇降装置102に係合だけして支持し、昇降装置102が降下された後に昇降装置102から単に係合解除される。換言すれば、1つ又は複数のアクチュエータは、格納形態における昇降装置102を固定またはロックするための固定機構またはロック機構としてのみ使用される。
【0027】
移動ロボット100の1つ又は複数のアクチュエータ(例えば、符号112,113,406,408)の動作の一例は、以下のように説明され得る。
【0028】
具体的に、移動ロボット100は、コントローラ(プロセッサ又は処理ユニット)によって次のように制御可能である。
(i)第1側壁部106の頂部118の高さ、及び、第2側壁部108の頂部120の高さよりも高い位置まで積載物を持ち上げるように昇降装置102を制御する。
(ii)積載物を降下させて、第1側壁部106の頂部118上と、第2側壁部108の頂部120上とに積載物を置き、格納形態に変更するように昇降装置102を制御する。
(iii)格納形態で地面の高さに位置する昇降装置102に係合して支持するように1つ又は複数のアクチュエータ(例えば、符号112,113,406,408)を制御する。
【0029】
さらに、移動ロボット100は、以下のように制御可能である。
(1)第1側壁部106の頂部118上と、第2側壁部108の頂部120上とに置かれた積載物を持ち上げるように、昇降装置102を制御する。
(2)昇降装置102を伸長形態に変化させるための動作(例えば、移動ロボット100を移動させるか、又は、昇降装置102を移動させる動作)を実行する。
(3)目的の場所に積載物を降下させて置くように、伸長形態の昇降装置102を制御する。
(4)昇降装置102を格納形態に変化させるための動作(例えば、移動ロボット100を移動させるか、又は、昇降装置102を移動させる動作)を実行する。
(5)格納形態で地面の高さに位置する昇降装置102に係合して支持するように1つ又は複数のアクチュエータ(例えば、符号112,113,406,408)を制御する。
【0030】
図1に戻って参照すると、移動ロボット100は、昇降装置102を動作させるための電力を供給するために昇降装置102に接続するように構成された電気コネクタを備えてもよい。電力線に加えてデータ通信用の配線を設けることで、電力以外に、データも電気コネクタを介して伝送され得る。交換されるデータは、積載物を昇降させるように昇降装置102に指示するコマンド、及び、積載物の状況(例えば、重量)を報告するコマンドを含んでもよい。
【0031】
さらに、移動ロボット100は、セルフナビゲーションシステム(自己誘導システム)及び/又はセルフマッピングシステム(自己位置特定システム)を搭載した自律移動ロボットである。コントローラ(プロセッサ又は処理ユニット)が、移動ロボット100の動きを制御する。WIFI、3G、4G、5Gなどの通信ネットワークを介した無線通信を可能にするために、無線通信装置が移動ロボット100に設けられてもよい。そのような無線通信を可能にするために、アンテナ140が設けられてもよい。移動ロボット100のタスクを制御するための命令は、無線で通信されてもよい。コントローラ(プロセッサ)は、ユーザ入力装置、および/または、ユーザ入力を取り込むためのグラフィカルユーザインターフェースを表示するためのディスプレイ(表示部)に接続されてもよい。ユーザ入力装置および/またはグラフィカルユーザインターフェースを介して提供されるユーザ入力は、昇降装置102、移動ロボット100のタスク、及び移動ロボット100の動作を制御するための命令を含み得る。
図1の例において、移動ロボットは、上記のようなディスプレイと、上記のようなユーザ入力装置とを有するコントロールパネル122を備える。
【0032】
移動ロボット100は、同じ環境内で移動ロボット100とともに動作する他の移動ロボットに対して衝突を回避し、動きを最適化するための交通制御システムを備えてもよい。プロセッサによる命令の実行を通じて、移動ロボット100は、駆動機構を作動させて移動ロボット100を移動させ、命令に従って目的の(意図された)場所に、移動ロボット100上に置かれた積載物を輸送するように動作可能である。例えば、上記の目的の場所は、対象物(例えば貨物)を積み下ろしするための、且つ/又は、特定のタスクを引き受けるための生産ライン内の場所であってもよい。
【0033】
さらに、移動ロボット100は、1つ又は複数のセンサを備えてもよい。移動ロボット100のコントローラ(プロセッサ又は処理ユニット)は、取付機構(後部124)に接続されたモータを制御して積載物を昇降させるように昇降装置102を動かす前に、移動ロボット100を積載物に位置合わせするために、1つ又は複数のセンサからの入力を受信し、移動ロボット100を動作させるように構成されてもよい。例えば、
図1を参照すると、移動ロボット100は、LiDARセンサ(すなわち、ナビゲーションレーザ装置)138と、サイドレーザ134とを搭載している。搭載されたセルフナビゲーションシステム及び/又はセルフマッピングシステムは、移動ロボット100が周囲環境において自律的に移動するためのセルフナビゲーション機能および/またはセルフマッピング機能を実行できるように、LiDARセンサ138及びサイドレーザ134と連携する。
図1の例において、サイドレーザ134は、移動ロボット100の左右の側面に設けられている。
図1には、右側のサイドレーザ134が示されている。
【0034】
1つ又は複数のセンサは、オムロン社によって開発された既存のセルアライメント位置決めシステム(CAPS)の一部であってもよい。CAPSは、メインセーフティスキャニングレーザ(すなわち、LiDARセンサ)を使用して環境内の形状を検出し、移動ロボット100によって行われる位置合わせ中に、検出された形状に対して特定の位置へ移動ロボット100が駆動できるようにする。具体的に、CAPSは、移動ロボットに組み込まれた平面状に配置されたLiDARセンサ138からの点データ情報を使用して、三角測量および他の幾何学的特徴分析に基づいて基準ターゲット(例えば、積載物)に位置合わせしてもよい。ただし、CAPSは、移動ロボット100が積載物との位置合わせを行うことを可能にするための1つの方法にすぎない。他の適切な方法が使用されてもよい。
【0035】
他の例において、1つ又は複数のセンサは、画像を取得するカメラであるか、又は当該カメラを含んでもよい。この場合、取得された画像の画像処理に基づいて位置合わせが確立され得る。また、1つ又は複数のセンサは、レーザセンサ、赤外線センサ、及び/又は、超音波センサを含んでもよい。また、位置合わせを容易にするために、視覚的またはコンピュータ制御のラベル又はマーカが、移動ロボット100上、及び/又は、積載物上に設けられてもよい。
【0036】
具体的には、1つ又は複数のセンサは、積載物の係合を容易にするための情報を取得するために、積載物上に提供される機械可読光学コード(例えば、QRコード(登録商標)又はバーコード)および/または無線周波数識別タグを読み取るように構成されてもよい。例えば、上記の情報には、積載物の種類、積載物の重量、積載物の寸法などが含まれ得る。
【0037】
1つ又は複数のセンサは、移動ロボット100と積載物との位置合わせを容易にするために、上述した機械可読光学コードおよび/または無線周波数識別タグ、或いは、積載物上に提供される別の機械可読光学コードおよび/または無線周波数識別タグを読み取って、移動ロボット100に対する積載物の位置データを取得するように構成されてもよい。上記の1つ又は複数のセンサは、個別に、又は、LiDARセンサ138と一緒に、CAPSに使用されてもよい。位置データを取得するために機械可読光学コードを使用する場合、(例えば、コンピュータビジョンのアルゴリズムを使用した)視覚/画像処理技術が使用されてもよい。視覚/画像処理技術は、機械可読光学コードの画像を取得するためにカメラを使用することと、取得された画像に画像分析を適用して移動ロボット100に対する積載物の座標を決定することとを含んでもよい。視覚/画像処理技術の一例が、2015年に中国の珠海にて開催されたロボット工学とバイオミメティクスに関するIEEE国際会議(ROBIO2015)において(2501~2506頁、DOI:10.1109/ROBIO.2015.7419715)、H. Zhang、C. Zhang、W. Yang、及びC. Chenにより発表された「屋内環境における移動ロボットのためのQRコードを使用した位置特定とナビゲーション(Localization and navigation using QR code for mobile robot in indoor environment)」に開示されている。
【0038】
図1を参照すると、移動ロボット100は、移動ロボット100の電源を充電するための充電ポート132を有する。移動ロボット100は、自律的に移動し、充電ステーション128にドッキングして充電を開始するように構成されている。充電ステーション128は、例えば壁コンセントを介して交流電力を供給する交流(AC)引き込み線130に接続されてもよい。
【0039】
さらに、
図1を参照すると、移動ロボット100は、警告および/または状態通知の目的で光インジケータ(表示灯)136を有する。光インジケータ136は、例えば、エラーが発生したことを表示したり、良好または正常のステータスを表示したり、特定の状況の警告を表示したりする。
図1の例において、光インジケータ136は、移動ロボット100の左側と右側に設けられている。
図1には、右側の光インジケータ136が示されている。
【0040】
具体的に、
図2は、
図1に示されたものと同じ移動ロボット100を示している。
図1の参照符号は、
図2の同じ要素に使用されている。
図2は、移動ロボット100の背面斜視図を示す。
図2には、例えば次に挙げられるように、
図1には示されていないいくつかの要素が示されている。
(a)第2側壁部108の表面114。
(b)(レール126の反対側に位置する)レール127。昇降装置102が空間116から出て伸長形態に変化するように制御されるとき、取付機構のサイド部材302,304はレール127に沿って移動する。
(c)
図2では、一対のフォーク103の両方が見えている(
図1では一方のフォークのみが見えている)。
(d)移動ロボット100の左側に位置するサイドレーザ134および光インジケータ136。
(e)(格納形態の昇降装置102を支持するための)第4のアクチュエータ113。第4のアクチュエータ113は、中央壁部104から遠く離れており第2側壁部108の端部により近い位置で第2側壁部108の底部に配置されている。
【0041】
図1及び
図2の昇降装置102の後部124の構成にもわずかな違いがある。この違いは実質的なものではなく、
図1と
図2の両方の昇降装置102は同じように動作する。
【0042】
目的の(意図された)場所に積載物を輸送するための上述の移動ロボット100の完全な動作の一例が以下に説明される。
図1~
図14の要素が参照される。特に、
図9~
図14は、積載物902を輸送するための移動ロボット100の動作における様々なステップ中の同じ移動ロボット100を示す。
【0043】
本実施例において、昇降装置102は、移動を容易にするための車輪を備えたパレットジャッキである。1つ又は複数のアクチュエータ112,113,406,408は、昇降装置102に係合して昇降装置102を持ち上げ、昇降装置102の車輪412,414が地面の上方に位置する格納形態に変化させるように構成されている。また、1つ又は複数のアクチュエータ112,113,406,408は、昇降装置102の車輪412,414は地面に着地するまで昇降装置102を格納形態から降下させ、車輪412,414の着地後に昇降装置102から係合解除するように構成されている。本実施例において、積載物902は、複数の対象物を上に保持するパレット904である。
【0044】
ステップ1において、格納形態の昇降装置102を搭載した移動ロボット100は、中央制御システムからの命令を無線で受信した後、積載物902に向かって移動して、積載物902を積み込み、命令に従って目的の場所に積載物902を輸送する。移動ロボット100が積載物902に向かって移動しているとき、移動ロボット100の前面(すなわち、LiDARセンサ138が位置する面)は積載物902に面することになる。
図9は、移動ロボット100の前面が積載物902に面している状態における移動ロボット100を示す。
【0045】
ステップ2において、移動ロボット100が積載物902の周囲のエリアに移動されると、移動ロボット100は、中央制御システムから受信される位置情報(例えば、地図内の座標)を通じて積載物902の存在を検出し、移動ロボット100の前部に取り付けられたLiDARセンサ138、及び/又は、移動ロボット100に取り付けられた1つ又は複数のカメラが、例えばQRコードなど、積載物902の1つ又は複数の視覚的マーカ(例えば、機械可読光学コード)の領域を走査するために使用される。
【0046】
ステップ3において、積載物902の存在が検出されると、移動ロボット100と積載物902との位置合わせが開始される。
【0047】
ステップ3での位置合わせ後のステップ4において、移動ロボット100は、その後部(すなわち、昇降装置102が出るための空間116の開放部側が位置する部分)が積載物902に面するように180度回転する。
図10は、移動ロボット100の後面が積載物902に面した状態における移動ロボット100を示す。この状態で、昇降装置102のフォーク103は、積載物902の方向を向いている。
【0048】
ステップ5において、移動ロボット100は、積載物902に近づいて反転し、積載物902に係合し始める。この時点で、昇降装置102は、依然として空間116内に存在し、1つ又は複数のアクチュエータ112,113,406,408によって支持された格納形態にあり、昇降装置102のフォーク103は上昇していない。
【0049】
一例では、移動ロボット100が、自身を十分に反転させた後、例えばセンサによって(例えば、1つ又は複数のカメラおよび視覚技術、積載物902との接触を検出する圧力センサ、及び/又は、移動ロボット100までの積載物902の距離を検出する赤外線センサを使用して)、積載物902との接触を検出するとき、移動ロボット100は、昇降装置102の車輪412,414が地面に着地するまで昇降装置102の一対のフォーク103を下降させるように1つ又は複数のアクチュエータ112,113,406,408を制御する。
【0050】
別の例では、移動ロボット100は、QRコードなどの積載物902の1つ又は複数の視覚的マーカ(例えば、機械可読光学コード)から収集された情報に従って、昇降装置102の車輪412,414が地面に着地するまで昇降装置102の一対のフォーク103を下降させるように1つ又は複数のアクチュエータ112,113,406,408を制御する前に移動ロボット100自身をどの程度だけ反転および調整するかを決定するようにしてもよい。
【0051】
具体的に、1つ又は複数のアクチュエータ112,113,406,408が、昇降装置102を降下させるように制御されることで、フォーク103の前部近くに取り付けられた前輪412と、昇降装置102の後部124の底部にある1つ又は複数の後輪414とが地面に着くように降ろされる。これらの車輪412,414により、昇降装置102が空間116から出て伸長形態に変化する動きが容易になる。車輪412,414が地面に着いているとき、1つ又は複数のアクチュエータ112,113,406,408は、昇降装置102から係合解除される。その後、移動ロボット100は、次のオプションのうちいずれか一方の動作を行う。
(1)昇降装置102に取り付けられたサイド部材302,304を移動させて、フォーク103がパレット904の隙間に挿入されるまで昇降装置102を押し込むようにモータを制御する。
(2)地面に着いた車輪412,414を有する昇降装置102を静止させた状態で、昇降装置102が伸長形態になるまで移動ロボット100自体を前方に移動させ、その後、フォーク103がパレット904の隙間に挿入されるまで移動ロボット100が後進する。
より好ましい動作は、上記のオプション(1)である。
図11は、(
図11では見えていない)フォーク103が積載物902のパレット904の底部の隙間に挿入されるまで調整されている昇降装置102を示している。
【0052】
ステップ6では、フォーク103がパレット904の隙間に十分に伸ばされた後、移動ロボット100は、フォーク103を上昇させ、パレット904をその上に載っている対象物とともに持ち上げるように昇降装置102を制御する。フォーク103は、積載物902を持ち上げるために上昇されるとき、上昇形態になる。
図12は、昇降装置102が伸長形態であり、積載物を載せたフォーク103(
図12では見えていない)が上昇形態である状態における移動ロボット100の構成を示す。具体的に、それぞれのフォーク103は、第1側壁部106の頂部118および第2側壁部108の頂部120よりも上の高さまで持ち上げられる。
【0053】
ステップ7では、フォーク103が所定の高さまで上昇されると、昇降装置102が静止したまま、積載物902を載せた昇降装置102が空間116内に収まるまで、移動ロボット100は、その本体を移動させて、移動ロボット100自体を反転させる。フォーク103の所定の高さは、中央制御システムによって提供される積載物情報から、又は、移動ロボット100によって検出される積載物情報(例えば、移動ロボット100が積載物902の場所を探すときに、積載物902上に提供された機械可読光学コード)から決定され得る。移動ロボット100が反転された後、昇降装置102と積載物902の両方が空間116内に存在することになる。別の例において、移動ロボット100は、移動ロボット100自体を移動させる代わりに、昇降装置102を押し込む(または伸ばす)か、又は引き込む(または後退させる)ように構成された前述の1つ又は複数のモータを使用して、積載物902を載せた昇降装置102を空間116内に移動させてもよい。
【0054】
図13は、昇降装置102が伸長形態から後退された状態における、ステップ7の後の移動ロボット100の構成を示している。フォーク103(
図12では見えていない)は、依然として上昇形態にある。フォーク103と、フォーク103によって持ち上げられる積載物902とは、第1側壁部106の頂部118および第2側壁部108の頂部120の高さの直上に位置している。
【0055】
ステップ8において、移動ロボット100は、フォーク103を非上昇形態に降下させるように昇降装置102を制御して、荷重面の上、すなわち、移動ロボット100の第1側壁部106及び第2側壁部108の頂部118,120上にパレット904を載置させる。
【0056】
昇降装置102のフォーク103が非上昇形態になった後、1つ又は複数のアクチュエータ112,113,406,408が、昇降装置102に係合して昇降装置102を持ち上げるように作動される。これにより、昇降装置102の車輪412,414が地面から離れ、昇降装置102が格納形態に変更される。その後、移動ロボット100が自律的に移動して積載物902を目的の場所に輸送する間、1つ又は複数のアクチュエータ112,113,406,408は、その位置に留まり、格納形態の昇降装置102を支持する。
【0057】
図14は、昇降装置102が格納形態にあり、積載物902が荷重面、すなわち移動ロボット100の第1側壁部106及び第2側壁部108の頂部118,120上に載っているときの移動ロボット100の構成を示す。
【0058】
ステップ9において、積載物902を載せた移動ロボット100は、目的の場所に到着し、1つ又は複数のアクチュエータ112,113,406,408を作動させて、昇降装置102の車輪412,414が地面に着くまでフォーク103を下降させる。フォーク103が地面に着くと、1つ又は複数のアクチュエータ112,113,406,408は昇降装置102から係合解除される。
【0059】
ステップ10において、フォーク103は、荷重面118,120上に載っている積載物902を運ぶために、荷重面118,120の高さを超える所定の高さまで上昇される。
【0060】
ステップ11において、積載物902を載せた昇降装置102が静止した状態で、移動ロボット100は、昇降装置102が伸長形態に変更されるまで、移動ロボット100自体を移動させる。その後、積載物902を載せた上昇されたフォーク103が降下され、積載物902が地面に置かれる。あるいは、サイド部材302,304を移動させて、積載物902を載せた昇降装置102を伸長形態に押し込むように、サイド部材302,304に取り付けられたモータが制御される。
【0061】
ステップ12において、積載物902が地面に置かれ、フォーク103が積載物902の運搬から解放された後、移動ロボット100は、次のいずれかの動作を行ってもよい。
(A)サイド部材302,304を移動させて昇降装置102を移動させるようにモータを制御することにより、昇降装置102を空間116内に後退させる。
(B)フォーク103が完全にパレット904の外に出るまで移動ロボット100自体を移動させ、その後、昇降装置102が静止した状態で、昇降装置102が空間116内に収まるまで再び移動ロボット100自体を移動させる。
【0062】
ステップ13において、昇降装置102が空間116内に収まった後、1つ又は複数のアクチュエータ112,113,406,408が、昇降装置102に係合し、昇降装置102を持ち上げて格納形態に変更するように作動される。これにより、昇降装置102の車輪412,414は、地面の上方に位置する。これにより、移動ロボット100によって積載物902をある場所から別の場所に移動させるプロセス全体が完了する。
【0063】
図1および
図2の移動ロボット100は、上述した特定の構成および動作に限定されない。他の例では、類似の構成および動作を有する移動ロボットも適用可能である。
【0064】
本発明の一例に係る装置(例えば、前述の図を参照して説明された移動ロボット100)は、バスを介して電子通信する以下の構成要素を有してもよい。
(1)任意の構成要素としてのディスプレイ(表示部)(例えば、
図1のコントロールパネル122におけるディスプレイ)。
(2)不揮発性メモリ及び/又は非一時的なコンピュータ可読媒体。
(3)ランダムアクセスメモリ(「RAM」)。
(4)N個の処理コンポーネント(すなわち、「1つ又は複数のコントローラ」、「1つ又は複数のプロセッサ」、または「1つ又は複数の中央処理装置」)(例えば、上述の移動ロボット100のコントローラ、プロセッサ、または処理ユニット)。
(5)インターネット/イントラネットの使用、及び/又は、無線ネットワーク通信のためのN個の送受信機を含む送受信機要素。
(6)任意の構成要素としてのユーザコントロール、つまりユーザ入力デバイス。
(7)任意の構成要素としての画像取得要素。
(8)任意の構成要素としてのオーディオ信号取得要素(例えば、マイクなど)。
(9)任意の構成要素としての、例えば動作状態を示すための、オーディオスピーカーまたは音声生成装置。
(10)必要に応じて備えられる要素として、位置合わせのための、機械可読光学コードおよび/または無線周波数識別タグからの情報を取得するための、並びに/或いは、ナビゲーション/エリアマッピングのための1つ又は複数のセンサ及び/又は構成要素。
(11)任意の構成要素としての、ユーザ入力デバイス(例えば、マウス、ジョイスティック、キーボード、ユーザジェスチャを検出するセンサなど)、オーディオスピーカー、ディスプレイ、画像取得要素、及び/又はオーディオ信号取得要素に接続するための入力/出力インターフェース要素。
(12)任意の構成要素としての、積載物に電力を供給するか、又は積載物から電力を受け取るための、及び/又は、取り付けられた積載物とのデータ通信(例えば、積載物の動作の制御)のための、1つ又は複数の電気コネクタ。
(13)任意の構成要素としての、警告および/または状態通知を目的とした光インジケータ(表示灯)。
【0065】
ディスプレイ(表示部)は、一般に、グラフィックコンテンツ(例えば、グラフィカルユーザインターフェース)のプレゼンテーションをユーザに提供するように動作し、様々なディスプレイ(例えば、CRT、LCD、HDMI(登録商標)、マイクロプロジェクタ、およびOLEDディスプレイ)のいずれかによって実現され得る。ディスプレイはタッチスクリーンであってもよい。
【0066】
一般に、不揮発性メモリは、データと、移動ロボットの機能コンポーネントに関連付けられたコードを含む実行可能コードとを記憶する(例えば、永続的に記憶する)ように機能する。場合によって、例えば、不揮発性メモリは、ブートローダコード、モデムソフトウェア、オペレーティングシステムコード、ファイルシステムコード、ならびに簡略化のために図示されていない当業者によく知られている他のコードを含む。例えば、移動ロボット100は、セルフナビゲーション/セルフマッピングコードと、移動ロボット100の電源を充電するための充電ステーション(例えば
図1の符号128)とのドッキング/ドッキング解除プロセスを容易にするコードと、移動ロボット100と積載物との位置合わせプロセスを制御するコードと、格納形態における昇降装置(例えば、
図1の符号102)を支持するための1つ又は複数のアクチュエータ(例えば、
図1の符号112および
図2の符号113)の後退および伸長を制御するコードと、昇降装置を昇降させる1つ又は複数のアクチュエータを制御するコードと、昇降装置を格納形態と伸長形態とに変更させる動作制御用のコードと、積載物を昇降させるように昇降装置を制御するコードとを用いてプログラムされてもよい。
【0067】
多くの実装形態において、不揮発性メモリは、フラッシュメモリ(例えば、NAND型又はNOR型のメモリ)によって実現されるが、他のタイプのメモリが同様に利用され得ることも確実に考えられる。不揮発性メモリからコードを実行することも可能であるが、不揮発性メモリ内の実行可能コードは、通常、RAMにロードされ、N個の処理コンポーネントのうちの1つ又は複数によって実行される。
【0068】
1つ又は複数のコンピュータプログラムは、本質的に非一時的な任意の機械またはコンピュータ可読媒体に格納され得る。コンピュータ可読媒体には、例えば、磁気ディスク若しくは光ディスク、メモリチップ、又は、移動ロボットとのインターフェースに適した他の記憶装置などの、記憶装置が含まれ得る。機械またはコンピュータ可読媒体には、インターネットシステムで例示されるような有線媒体、又は、無線LAN(WLAN)システムで例示されるような無線媒体も含まれ得る。
【0069】
RAMに接続されたN個の処理コンポーネント(すなわち、「1つ又は複数のプロセッサ」)は、一般に、機能コンポーネントを実現するために不揮発性メモリに格納された命令を実行するように動作する。当業者(通常の技術を有する者を含む)が理解するように、N個の処理コンポーネントには、ビデオプロセッサ、モデムプロセッサ、DSP、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)、および他の処理コンポーネントが含まれ得る。
【0070】
送受信機要素には、無線ネットワークを介して外部デバイスと通信するために使用され得るN個の送受信機チェーン(トランシーバチェーン)を含むことができる。N個の送受信機チェーン(トランシーバチェーン)のそれぞれは、特定の通信方式に関連付けられた送受信機(トランシーバ)を示し得る。例えば、それぞれの送受信機(トランシーバ)は、ローカルエリアネットワーク、セルラーネットワーク(例えば、WIFIネットワーク、CDMAネットワーク、GPRSネットワーク、UMTSネットワーク)、および他のタイプの通信ネットワークに特有のプロトコルに対応し得る。いくつかの実装形態では、送受信機要素と通信ネットワークとの通信により、接続されたデバイスの位置を特定できるようになる。
【0071】
本発明の実施例は、以下の特徴を有し得る。本開示の図における要素の参照符号は、以下の特徴の例を示すものである。
【0072】
積載物を移動させるための装置(例えば、符号100)は、
電源と、
1つ又は複数の移動用部品(例えば、符号402,404,410)と、
前記装置を移動させるように前記1つ又は複数の移動用部品を駆動するための駆動機構と、
積載物(例えば、符号902)を持ち上げるための昇降装置(例えば、符号102)と、
1つ又は複数の荷重面(例えば符号118,120)と、中央壁部(例えば、符号104)と、第1側壁部(例えば、符号106)と、第2側壁部(例えば、符号108)とを有する本体であって、前記中央壁部と、前記第1側壁部と、前記第2側壁部とが、前記昇降装置を収めるための空間(例えば、符号116)を画定する境界を形成するように配置されている、本体と、
前記昇降装置に取り付けられた1つ又は複数の取付部材(例えば、符号302,304)と、
前記装置を動作させるようにメモリ内の命令を実行するように構成されたプロセッサであって、前記積載物を持ち上げるように前記昇降装置を制御し、前記1つ又は複数の荷重面に前記積載物を置くように前記昇降装置を制御し、前記装置を移動させて、前記1つ又は複数の荷重面に置かれた前記積載物を目的の場所に輸送するように前記駆動機構を制御するプロセッサと、を備え、
前記昇降装置は、非使用時には格納形態にあり、且つ、伸長形態に変更可能であり、
前記第1側壁部および/または前記第2側壁部は、1つ又は複数のアクチュエータ(例えば、符号112,113,406,408,500)を備え、前記1つ又は複数のアクチュエータは、前記格納形態において地面よりも上方の高さで前記昇降装置に係合して支持するために前記空間内に伸長可能な伸長可能部材(例えば、符号504)を有する。
【0073】
前記昇降装置は車輪を有してもよい。当該車輪は、前記昇降装置が前記格納形態にあるときに地面よりも上方の高さに位置する。
【0074】
前記1つ又は複数のアクチュエータの個数は少なくとも4つであってもよい。第1のアクチュエータは、前記中央壁部に近い側で前記第1側壁部の底部に配置され、第2のアクチュエータ(例えば、符号112)は、前記中央壁部からさらに離れて前記第1側壁部の端部に近い側で前記第1側壁部の底部に配置され、第3のアクチュエータは、前記中央壁部に近い側で前記第2側壁部の底部に配置され、第4のアクチュエータ(例えば、符号113)は、前記中央壁部からさらに離れて前記第2側壁部の端部に近い側で前記第2側壁部の底部に配置されている。
【0075】
前記装置は、前記昇降装置が前記積載物を載せているとき、前記昇降装置が静止したままの状態で、前記昇降装置が前記空間から出て前記伸長形態に変更されるまで前記装置を移動させるように前記駆動機構を制御するか、又は、前記昇降装置が前記伸長形態にならずに前記空間内に位置するまで前記装置を移動させるように前記駆動機構を制御する、ように動作可能であってもよい。
【0076】
前記1つ又は複数の荷重面は、前記第1側壁部の頂部(例えば、符号118)と前記第2側壁部の頂部(例えば、符号120)とを備えてもよく、
前記装置は、
前記第1側壁部の前記頂部の高さと、前記第2側壁部の前記頂部の高さとに比べて高い位置へ前記積載物を持ち上げるように前記昇降装置を制御し、
前記積載物を降下させて前記第1側壁部の前記頂部と前記第2側壁部の前記頂部との上に前記積載物を置くように、且つ、前記格納形態に変化するように前記昇降装置を制御し、
前記格納形態において地面よりも上方の高さで前記昇降装置に係合して支持するように前記1つ又は複数のアクチュエータを制御する、
ように動作可能である。
【0077】
前記装置は、
前記1つ又は複数の荷重面上に置かれた積載物を持ち上げるように前記昇降装置を制御し、
前記昇降装置を前記伸長形態に変化させるための動作制御を実行し、
前記積載物を降下させて前記目的の場所に置くように前記伸長形態の前記昇降装置を制御し、
前記昇降装置を前記格納形態に変化させるための動作制御を実行し、
前記格納形態において地面よりも上方の高さで前記昇降装置に係合して支持するように前記1つ又は複数のアクチュエータを制御する、
ように動作可能であってもよい。
【0078】
前記1つ又は複数の荷重面が前記第1側壁部の頂部(例えば、符号118)と前記第2側壁部の頂部(例えば、符号120)とを有する場合において、前記本体は、前記中央壁部と、前記第1側壁部と、前記第2側壁部との最外縁部が前記装置の設置面積の寸法を決定するように構成され、前記第1側壁部と前記第2側壁部との間の距離は、前記1つ又は複数の荷重面上に前記積載物を載置可能になるように、且つ、前記積載物のベース部の長さおよび幅が前記設置面積の寸法を超えないように構成される。
【0079】
前記積載物は、パレット(例えば、符号904)を含み、前記昇降装置は、一対のフォーク(例えば、符号103)を備え、前記一対のフォークは、前記昇降装置が前記伸長形態にあるときに前記パレットの底部における隙間に挿入可能である。
【0080】
前記装置は、
前記1つ又は複数の取付部材に接続され、前記1つ又は複数の取付部材を移動させるように制御可能なモータと、
前記第1側壁部と前記第2側壁部とにそれぞれ配置された一対のレール(例えば、符号126,127)と、を備えてもよく、
前記昇降装置の左側部と右側部とに、前記1つ又は複数の取付部材のうちの少なくとも2つの取付部材がそれぞれ取り付けられており、
前記装置は、
前記少なくとも2つの取付部材を前記一対のレールに沿ってスライド移動させるように前記モータを制御して、
前記昇降装置を前記中央壁部から遠ざかる方向に移動させることで前記昇降装置を前記伸長形態に変化させるように、又は、前記昇降装置を前記中央壁部に向かって前記空間内へ移動させるように動作可能である。
【0081】
前記1つ又は複数のアクチュエータは、前記昇降装置に係合して前記昇降装置を前記格納形態に変化させるように持ち上げ、前記格納形態では前記昇降装置のどの部分(例えば、車輪、軌道、及び/又は、他の移動用部品)も地面に接触させないように構成されてもよい。
【0082】
前記1つ又は複数のアクチュエータは、前記昇降装置の1つ又は複数の部分(例えば、車輪、軌道、及び/又は、他の移動用部品)が地面に着くまで前記昇降装置を前記格納形態に降下させるように構成されてもよい。
【0083】
前記伸長可能部材は、前記昇降装置の底部(例えば、昇降装置102のフォーク103の底部)に接触するように移動可能な傾斜エッジ(例えば、符号504)を備え、前記傾斜エッジは、前記傾斜エッジの勾配に従って前記昇降装置を持ち上げるように前記昇降装置の底部に対して押し付け可能に設けられている。
【0084】
本発明の第1態様によれば、
積載物を移動させるための装置であって、
電源と、
1つ又は複数の移動用部品と、
前記装置を移動させるように前記1つ又は複数の移動用部品を駆動するための駆動機構と、
前記積載物を持ち上げるための昇降装置と、
1つ又は複数の荷重面と、中央壁部と、第1側壁部と、第2側壁部とを有する本体であって、前記中央壁部と、前記第1側壁部と、前記第2側壁部とが、前記昇降装置を収めるための空間を画定する境界を形成するように配置されている、本体と、
前記昇降装置に取り付けられた1つ又は複数の取付部材と、
前記装置を動作させるようにメモリ内の命令を実行するように構成されたプロセッサであって、前記積載物を持ち上げるように前記昇降装置を制御し、前記1つ又は複数の荷重面に前記積載物を置くように前記昇降装置を制御し、前記装置を移動させて、前記1つ又は複数の荷重面に置かれた前記積載物を目的の場所に輸送するように前記駆動機構を制御するプロセッサと、を備え、
前記昇降装置は、非使用時には格納形態にあり、且つ、伸長形態に変更可能であり、
前記第1側壁部および/または前記第2側壁部は、1つ又は複数のアクチュエータを備え、前記1つ又は複数のアクチュエータは、前記格納形態において地面よりも上方の高さで前記昇降装置に係合して該昇降装置を支持するために前記空間内に伸長可能な伸長可能部材を有する、
装置を提供する。
【0085】
本発明の第2態様によれば、
前記昇降装置は、前記昇降装置が前記格納形態にあるときに地面よりも上方の高さに位置する車輪を有する、
第1態様に記載の装置を提供する。
【0086】
本発明の第3態様によれば、
前記1つ又は複数のアクチュエータの個数は少なくとも4つであり、
第1のアクチュエータは、前記中央壁部に近い側で前記第1側壁部の底部に配置され、
第2のアクチュエータは、前記中央壁部からさらに離れて前記第1側壁部の端部に近い側で前記第1側壁部の底部に配置され、
第3のアクチュエータは、前記中央壁部に近い側で前記第2側壁部の底部に配置され、
第4のアクチュエータは、前記中央壁部からさらに離れて前記第2側壁部の端部に近い側で前記第2側壁部の底部に配置されている、
第1または第2態様に記載の装置を提供する。
【0087】
本発明の第4態様によれば、
前記昇降装置が前記積載物を載せているとき、
前記昇降装置が静止したままの状態で、
前記昇降装置が前記空間から出て前記伸長形態に変更されるまで前記装置を移動させるように前記駆動機構を制御するか、又は、
前記昇降装置が前記伸長形態にならずに前記空間内に位置するまで前記装置を移動させるように前記駆動機構を制御する、
ように動作可能である、
第1から第3態様のいずれか1態様に記載の装置を提供する。
【0088】
本発明の第5態様によれば、
前記1つ又は複数の荷重面は、前記第1側壁部の頂部と前記第2側壁部の頂部とを備え、
前記装置は、
前記第1側壁部の前記頂部の高さと、前記第2側壁部の前記頂部の高さとに比べて高い位置へ前記積載物を持ち上げるように前記昇降装置を制御し、
前記積載物を降下させて前記第1側壁部の前記頂部と前記第2側壁部の前記頂部との上に前記積載物を置くように、且つ、前記格納形態に変化するように前記昇降装置を制御し、
前記格納形態において地面よりも上方の高さで前記昇降装置に係合して支持するように前記1つ又は複数のアクチュエータを制御する、
ように動作可能である、
第1から第4態様のいずれか1態様に記載の装置を提供する。
【0089】
本発明の第6態様によれば、
前記1つ又は複数の荷重面上に置かれた前記積載物を持ち上げるように前記昇降装置を制御し、
前記昇降装置を前記伸長形態に変化させるための動作制御を実行し、
前記積載物を降下させて前記目的の場所に置くように前記伸長形態の前記昇降装置を制御し、
前記昇降装置を前記格納形態に変化させるための動作制御を実行し、
前記格納形態において地面よりも上方の高さで前記昇降装置に係合して支持するように前記1つ又は複数のアクチュエータを制御する、
ように動作可能である、
第1から第5態様のいずれか1態様に記載の装置を提供する。
【0090】
本発明の第7態様によれば、
前記1つ又は複数の荷重面が前記第1側壁部の頂部と前記第2側壁部の頂部とを有する場合において、
前記本体は、前記中央壁部と、前記第1側壁部と、前記第2側壁部との最外縁部が前記装置の設置面積の寸法を決定するように構成され、
前記第1側壁部と前記第2側壁部との間の距離は、前記1つ又は複数の荷重面上に前記積載物を載置可能になるように、且つ、前記積載物のベース部の長さおよび幅が前記設置面積の寸法を超えないように構成されている、
第1から第6態様のいずれか1態様に記載の装置を提供する。
【0091】
本発明の第8態様によれば、
前記積載物は、パレットを含み、
前記昇降装置は、一対のフォークを備え、
前記一対のフォークは、前記昇降装置が前記伸長形態にあるときに前記パレットの底部における隙間に挿入可能に構成されている、
第1から第7態様のいずれか1態様に記載の装置を提供する。
【0092】
本発明の第9態様によれば、
前記1つ又は複数の取付部材に接続され、前記1つ又は複数の取付部材を移動させるように制御可能なモータと、
前記第1側壁部と前記第2側壁部とにそれぞれ配置された一対のレールと、を備え、
前記昇降装置の左側部と右側部とに、前記1つ又は複数の取付部材のうちの少なくとも2つの取付部材がそれぞれ取り付けられており、
前記装置は、
前記少なくとも2つの取付部材を前記一対のレールに沿ってスライド移動させるように前記モータを制御して、
前記昇降装置を前記中央壁部から遠ざかる方向に移動させることで前記昇降装置を前記伸長形態に変化させるように、又は、前記昇降装置を前記中央壁部に向かって前記空間内へ移動させるように動作可能である、
第1から第8態様のいずれか1態様に記載の装置を提供する。
【0093】
本発明の第10態様によれば、
前記1つ又は複数のアクチュエータは、前記昇降装置に係合して前記昇降装置を前記格納形態に変化させるように持ち上げ、前記格納形態では前記昇降装置のどの部分も地面に接触させないように構成されている、
第1から第9態様のいずれか1態様に記載の装置を提供する。
【0094】
本発明の第11態様によれば、
前記1つ又は複数のアクチュエータは、前記昇降装置の1つ又は複数の部分が地面に着くまで前記昇降装置を前記格納形態に降下させるように構成されている、
第1から第10態様のいずれか1態様に記載の装置を提供する。
【0095】
本発明の第12態様によれば、
前記伸長可能部材は、前記昇降装置の底部に接触するように移動可能な傾斜エッジを備え、
前記傾斜エッジは、前記傾斜エッジの勾配に従って前記昇降装置を持ち上げるように前記昇降装置の底部に対して押し付け可能に設けられている、
第1から第11態様のいずれか1態様に記載の装置を提供する。
【0096】
明細書および特許請求の範囲において、文脈が別段の意味を明示しない限り、「備える(有する、含む)」という用語は、「~のみからなる」という排他的な意味ではなく、「少なくとも含む」という非排他的な意味を有する。当該用語の他の形式への文法的変更についても同様である。
【0097】
本開示では、複数の例および実施例に関連して本発明が説明されているが、本発明はこれらに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に含まれる様々な明白な修正および同等の構成を包含する。本発明の特徴は、請求項間の特定の組み合わせで表現されるが、これらの特徴は、任意の組み合わせおよび順序で構成され得るものとする。