(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】制御装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
E05B 81/90 20140101AFI20240625BHJP
【FI】
E05B81/90
(21)【出願番号】P 2023175991
(22)【出願日】2023-10-11
【審査請求日】2023-11-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原竹 純平
(72)【発明者】
【氏名】大見謝 宏隆
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-523529(JP,A)
【文献】特開2013-100645(JP,A)
【文献】特開2011-176994(JP,A)
【文献】特開2014-024368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 - 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のユーザに所定の情報を報知する報知部を備え、
前記車両は、ドアと、前記車両に搭載されたバッテリから電力が供給されているとともに前記ドアを電気的に開錠する電気開錠機構と、前記ドアを手動により開錠するための物理開錠機構とを含み、
前記報知部は、前記バッテリの充電量が所定の閾値よりも小さい場合に、前記物理開錠機構の位置、および、前記物理開錠機構による前記ドアの開錠方法のうち少なくとも一方の情報を、前記ユーザに報知
し、
前記報知部は、
前記ユーザが前記車両に搭乗している場合で、かつ、前記充電量が前記所定の閾値よりも小さい場合に、前記少なくとも一方の情報を前記ユーザに報知する、制御装置。
【請求項2】
車両のユーザに所定の情報を報知する報知部を備え、
前記車両は、ドアと、前記車両に搭載されたバッテリから電力が供給されているとともに前記ドアを電気的に開錠する電気開錠機構と、前記ドアを手動により開錠するための物理開錠機構とを含み、
前記報知部は、前記バッテリの充電量が所定の閾値よりも小さい場合に、前記物理開錠機構の位置、および、前記物理開錠機構による前記ドアの開錠方法のうち少なくとも一方の情報を、前記ユーザに報知し、
前記報知部は、
前記少なくとも一方の情報が前記ユーザに報知されている間に前記物理開錠機構により前記ドアが開錠された場合、または、前記少なくとも一方の情報が前記ユーザに報知されている間に前記バッテリの充電が開始された場合において、前記少なくとも一方の情報の前記ユーザへの報知を終了する、制御装置。
【請求項3】
前記報知部は、前記充電量が前記所定の閾値よりも小さい場合に、前記少なくとも一方の情報を表示装置に表示させる、請求項1
または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記表示装置は、前記車両に搭載されたディスプレイ、および、前記車両に非搭載のユーザ端末のうち少なくとも一方を含む、請求項
3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記ドアは、前記車両に搭乗する前記ユーザから最も近くに位置する近接ドアを含み、
前記報知部は、前記充電量が前記所定の閾値よりも小さい場合に、前記近接ドアに対応する前記物理開錠機構の位置、および、前記物理開錠機構による前記近接ドアの開錠方法のうち少なくとも一方の情報を、前記ユーザに報知する、請求項1
または2に記載の制御装置。
【請求項6】
前記電気開錠機構を駆動する開錠機構制御部をさらに備え、
前記開錠機構制御部は、前記少なくとも一方の情報が前記ユーザに報知されてから所定時間の間に前記物理開錠機構により前記ドアが開錠されない場合に、前記電気開錠機構により前記ドアを開錠する、請求項1
または2に記載の制御装置。
【請求項7】
前記報知部は、外気温が所定温度よりも高く、かつ、前記充電量が前記所定の閾値よりも小さい場合に、前記少なくとも一方の情報を前記ユーザに報知する、請求項1
または2に記載の制御装置。
【請求項8】
車両の情報を前記車両の外部の外部装置に送信する送信部を備え、
前記車両は、ドアと、前記車両に搭載されたバッテリから電力が供給されているとともに前記ドアを電気的に開錠する電気開錠機構と、前記ドアを手動により開錠するための物理開錠機構とを含み、
前記送信部は、前記バッテリの充電量が所定の閾値よりも小さい場合に、前記物理開錠機構の位置、および、前記物理開錠機構による前記ドアの開錠方法のうち少なくとも一方の情報を、前記外部装置に送信
し、
前記送信部は、前記車両のユーザが前記車両に搭乗している場合で、かつ、前記充電量が前記所定の閾値よりも小さい場合に、前記少なくとも一方の情報を前記外部装置に送信する、制御装置。
【請求項9】
車両の情報を前記車両の外部の外部装置に送信する送信部を備え、
前記車両は、ドアと、前記車両に搭載されたバッテリから電力が供給されているとともに前記ドアを電気的に開錠する電気開錠機構と、前記ドアを手動により開錠するための物理開錠機構とを含み、
前記送信部は、前記バッテリの充電量が所定の閾値よりも小さい場合に、前記物理開錠機構の位置、および、前記物理開錠機構による前記ドアの開錠方法のうち少なくとも一方の情報を、前記外部装置に送信し、
前記送信部は、前記少なくとも一方の情報が前記外部装置に送信されている間に前記物理開錠機構により前記ドアが開錠された場合、または、前記少なくとも一方の情報が前記外部装置に送信されている間に前記バッテリの充電が開始された場合において、前記少なくとも一方の情報の前記外部装置への送信を終了する、制御装置。
【請求項10】
車両のユーザに所定の情報を報知する工程を備え、
前記車両は、ドアと、前記車両に搭載されたバッテリから電力が供給されているとともに前記ドアを電気的に開錠する電気開錠機構と、前記ドアを手動により開錠するための物理開錠機構とを含み、
前記報知する工程は、前記バッテリの充電量が所定の閾値よりも小さい場合に、前記物理開錠機構の位置、および、前記物理開錠機構による前記ドアの開錠方法のうち少なくとも一方の情報を、前記ユーザに報知する工程を含
み、
前記報知する工程は、前記ユーザが前記車両に搭乗している場合で、かつ、前記充電量が前記所定の閾値よりも小さい場合に、前記少なくとも一方の情報を前記ユーザに報知する工程である、制御方法。
【請求項11】
車両のユーザに所定の情報を報知する工程を備え、
前記車両は、ドアと、前記車両に搭載されたバッテリから電力が供給されているとともに前記ドアを電気的に開錠する電気開錠機構と、前記ドアを手動により開錠するための物理開錠機構とを含み、
前記報知する工程は、前記バッテリの充電量が所定の閾値よりも小さい場合に、前記物理開錠機構の位置、および、前記物理開錠機構による前記ドアの開錠方法のうち少なくとも一方の情報を、前記ユーザに報知する工程を含み、
前記少なくとも一方の情報が前記ユーザに報知されている間に前記物理開錠機構により前記ドアが開錠された場合、または、前記少なくとも一方の情報が前記ユーザに報知されている間に前記バッテリの充電が開始された場合において、前記少なくとも一方の情報の前記ユーザへの報知を終了する工程をさらに備える、制御方法。
【請求項12】
前記報知する工程は、前記充電量が前記所定の閾値よりも小さい場合に、前記少なくとも一方の情報を表示装置に表示させる工程である、請求項
10または11に記載の制御方法。
【請求項13】
前記報知する工程は、前記充電量が前記所定の閾値よりも小さい場合に、前記少なくとも一方の情報を、前記車両に搭載されたディスプレイ、および、前記車両に非搭載のユーザ端末のうち少なくとも一方を含む前記表示装置に表示させる工程である、請求項12に記載の制御方法。
【請求項14】
前記ドアは、前記車両に搭乗する前記ユーザから最も近くに位置する近接ドアを含み、
前記報知する工程は、前記充電量が前記所定の閾値よりも小さい場合に、前記近接ドアに対応する前記物理開錠機構の位置、および、前記物理開錠機構による前記近接ドアの開錠方法のうち少なくとも一方の情報を、前記ユーザに報知する工程である、請求項
10または11に記載の制御方法。
【請求項15】
前記少なくとも一方の情報が前記ユーザに報知されてから所定時間の間に前記物理開錠機構により前記ドアが開錠されない場合に、前記電気開錠機構により前記ドアを開錠する工程をさらに備える、請求項
10または11に記載の制御方法。
【請求項16】
前記報知する工程は、外気温が所定温度よりも高く、かつ、前記充電量が前記所定の閾値よりも小さい場合に、前記少なくとも一方の情報を前記ユーザに報知する工程である、請求項
10または11に記載の制御方法。
【請求項17】
前記報知する工程は、前記充電量が前記所定の閾値よりも小さい場合に、前記少なくとも一方の情報を、前記車両の外部の外部装置に送信する工程である、請求項
10または11に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第06689907号公報(特許文献1)には、車両に搭載された駆動用バッテリの電池残量が予め定められた値よりも低い場合に、窓を閉方向に移動させる制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1には明記されていないが、車両のドアを電気的に開錠する機構が設けられている場合がある。この場合、たとえばバッテリの蓄電量が低下すると、上記機構によるドアの開錠が行えない。また、普段から電気的なドアの開錠を行っているユーザは、手動によるドアの開錠方法を知らない場合がある。このため、ユーザは車両から出られなくなる場合がある。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、電気的に開錠されるドアが設けられた車両からユーザが出られなくなるのを抑制することが可能な制御装置および制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の局面に係る制御装置は、車両のユーザに所定の情報を報知する報知部を備える。車両は、ドアと、車両に搭載されたバッテリから電力が供給されているとともにドアを電気的に開錠する電気開錠機構と、ドアを手動により開錠するための物理開錠機構とを含む。報知部は、バッテリの充電量が所定の閾値よりも小さい場合に、物理開錠機構の位置、および、物理開錠機構によるドアの開錠方法のうち少なくとも一方の情報を、ユーザに報知する。
【0007】
本開示の第1の局面に係る制御装置では、上記のように、バッテリの充電量が所定の閾値よりも小さくなった場合に、物理開錠機構の位置、および、物理開錠機構によるドアの開錠方法のうち少なくとも一方の情報が、ユーザに報知される。これにより、バッテリの充電量不足に起因して電気開錠機構による開錠が行えなくなっても、ユーザは、報知部により報知された情報に基づいて、物理開錠機構による開錠を行うことができる。その結果、電気的に開錠されるドアが設けられた車両からユーザが出られなくなるのを抑制することができる。
【0008】
上記第1の局面に係る制御装置において、好ましくは、報知部は、充電量が所定の閾値よりも小さい場合に、上記少なくとも一方の情報を表示装置に表示させる。このように構成すれば、表示装置に表示された情報に基づいて、ユーザは、物理開錠機構による開錠を容易に行うことができる。
【0009】
この場合、好ましくは、表示装置は、車両に搭載されたディスプレイ、および、車両に非搭載のユーザ端末のうち少なくとも一方を含む。このように構成すれば、ユーザは、車両のディスプレイに表示された情報を見ながら、車両の物理開錠機構を操作することができるので、手に持った携帯端末等を見ながら物理開錠機構を操作する場合に比べて操作を容易化することができる。また、ユーザ端末に上記少なくとも一方の情報が表示されることにより、車両のバッテリの充電量に拘わらず上記少なくとも一方の情報を表示することができる。
【0010】
ドアは、車両に搭乗するユーザから最も近くに位置する近接ドアを含むとする。この場合、上記第1の局面に係る制御装置において、好ましくは、報知部は、充電量が所定の閾値よりも小さい場合に、近接ドアに対応する物理開錠機構の位置、および、物理開錠機構による近接ドアの開錠方法のうち少なくとも一方の情報を、ユーザに報知する。このように構成すれば、ユーザに最も近い近接ドアの物理開錠機構に関する情報を、ユーザに報知することができる。その結果、ユーザにとって、物理開錠機構をより操作し易くすることができる。
【0011】
上記第1の局面に係る制御装置において、好ましくは、報知部は、上記少なくとも一方の情報がユーザに報知されている間に、物理開錠機構によりドアが開錠された場合に、上記少なくとも一方の情報のユーザへの報知を終了する。このように構成すれば、物理開錠機構によりドアが開錠された後に、無駄に電力が消費されるのを抑制することができる。これにより、たとえば、バッテリの充電量が少なくなっていることを通信装置等を通じて外部に通信するための電力などを残しておくことができる。
【0012】
上記第1の局面に係る制御装置において、好ましくは、報知部は、上記少なくとも一方の情報がユーザに報知されている間に、バッテリの充電が開始された場合に、上記少なくとも一方の情報のユーザへの報知を終了する。このように構成すれば、バッテリの充電が行われている一方で、上記情報の報知により電力が消費されるのを抑制することができる。
【0013】
上記第1の局面に係る制御装置は、好ましくは、電気開錠機構を駆動する開錠機構制御部を備える。開錠機構制御部は、上記少なくとも一方の情報がユーザに報知されてから所定時間の間に物理開錠機構によりドアが開錠されない場合に、電気開錠機構によりドアを開錠する。このように構成すれば、たとえばユーザが物理開錠機構を操作することが出来ない場合などに、ユーザが車両に閉じ込められるのを抑制することができる。
【0014】
上記第1の局面に係る制御装置において、好ましくは、報知部は、ユーザが車両に搭乗している場合で、かつ、充電量が所定の閾値よりも小さい場合に、上記少なくとも一方の情報をユーザに報知する。このように構成すれば、車両に搭乗していないユーザに上記少なくとも一方の情報が報知されるのを抑制することができる。
【0015】
上記第1の局面に係る制御装置において、好ましくは、報知部は、外気温が所定温度よりも高く、かつ、充電量が所定の閾値よりも小さい場合に、上記少なくとも一方の情報をユーザに報知する。このように構成すれば、外気温が高いことに起因して車内温度が高くなった車両にユーザが閉じ込められるのを抑制することができる。
【0016】
本開示の第2の局面に係る制御装置は、車両の情報を車両の外部の外部装置に送信する送信部を備える。車両は、ユーザが車両を出入りするために設けられるドアと、車両に搭載されたバッテリから電力が供給されているとともにドアを電気的に開錠する電気開錠機構と、ドアを手動により開錠するための物理開錠機構とを含む。送信部は、バッテリの充電量が所定の閾値よりも小さい場合に、物理開錠機構の位置、および、物理開錠機構によるドアの開錠方法のうち少なくとも一方の情報を、外部装置に送信する。
【0017】
本開示の第2の局面に係る制御装置では、上記のように、バッテリの充電量が所定の閾値よりも小さくなった場合に、物理開錠機構の位置、および、物理開錠機構によるドアの開錠方法のうち少なくとも一方の情報が、外部装置に送信される。これにより、ユーザは、外部装置を通じて上記少なくとも一方の情報を取得することができるので、物理開錠機構による開錠を行うことができる。その結果、電気的に開錠されるドアが設けられた車両からユーザが出られなくなるのを抑制することができる。
【0018】
本開示の第3の局面に係る制御方法は、車両のユーザに所定の情報を報知する工程を備える。車両は、ドアと、車両に搭載されたバッテリから電力が供給されているとともにドアを電気的に開錠する電気開錠機構と、ドアを手動により開錠するための物理開錠機構とを含む。上記報知する制御を行う工程は、バッテリの充電量が所定の閾値よりも小さい場合に、物理開錠機構の位置、および、物理開錠機構によるドアの開錠方法のうち少なくとも一方の情報を、ユーザに報知する工程を含む。
【0019】
本開示の第3の局面に係る制御方法では、上記のように、充電量が所定の閾値よりも小さくなった場合に、物理開錠機構の位置、および、物理開錠機構によるドアの開錠方法のうち少なくとも一方の情報が、ユーザに報知される。これにより、電気的に開錠されるドアが設けられた車両からユーザが出られなくなるのを抑制することが可能な制御方法を提供することができる。
【0020】
上記第3の局面に係る制御方法において、好ましくは、上記報知する工程は、充電量が所定の閾値よりも小さい場合に、上記少なくとも一方の情報を表示装置に表示させる工程である。このように構成すれば、表示装置に表示された情報に基づいて、ユーザが物理開錠機構による開錠を容易に行うことが可能な制御方法を提供することができる。
【0021】
上記第3の局面に係る制御方法において、好ましくは、上記報知する工程は、充電量が所定の閾値よりも小さい場合に、上記少なくとも一方の情報を、車両に搭載されたディスプレイ、および、車両に非搭載のユーザ端末のうち少なくとも一方を含む表示装置に表示させる工程である。このように構成すれば、手に持った携帯端末等を見ながら物理開錠機構を操作する場合に比べて操作を容易化することが可能な制御方法を提供することができる。また、ユーザ端末に上記少なくとも一方の情報が表示されることにより、車両のバッテリの充電量に拘わらず上記少なくとも一方の情報を表示することが可能な制御方法を提供することができる。
【0022】
上記第3の局面に係る制御方法において、好ましくは、上記報知する工程は、充電量が所定の閾値よりも小さい場合に、ユーザに最も近い近接ドアに対応する物理開錠機構の位置、および、物理開錠機構による近接ドアの開錠方法のうち少なくとも一方の情報を、ユーザに報知する工程である。このように構成すれば、ユーザが物理開錠機構をより操作し易くすることが可能な制御方法を提供することができる。
【0023】
上記第2の局面に係る制御方法は、好ましくは、上記少なくとも一方の情報がユーザに報知されている間に、物理開錠機構によりドアが開錠された場合に、上記少なくとも一方の情報のユーザへの報知を終了する工程をさらに備える。このように構成すれば、たとえば、バッテリの充電量が少なくなっていることを通信装置等を通じて外部に通信するための電力などを残しておくことが可能な制御方法を提供することができる。
【0024】
上記第3の局面に係る制御方法は、好ましくは、上記少なくとも一方の情報がユーザに報知されている間に、バッテリの充電が開始された場合に、上記少なくとも一方の情報のユーザへの報知を終了する工程を備える。このように構成すれば、バッテリの充電が行われている一方で、上記情報の報知により電力が消費されるのを抑制することができる。
【0025】
上記第3の局面に係る制御方法は、好ましくは、上記少なくとも一方の情報がユーザに報知されてから所定時間の間に物理開錠機構によりドアが開錠されない場合に、電気開錠機構によりドアを開錠する工程を備える。このように構成すれば、たとえばユーザが物理開錠機構を操作することが出来ない場合などに、ユーザが車両に閉じ込められるのを抑制することが可能な制御方法を提供することができる。
【0026】
上記第3の局面に係る制御方法において、好ましくは、上記報知する工程は、ユーザが車両に搭乗している場合で、かつ、充電量が所定の閾値よりも小さい場合に、上記少なくとも一方の情報をユーザに報知する工程である。このように構成すれば、車両に搭乗していないユーザに上記少なくとも一方の情報が報知されるのを抑制することが可能な制御方法を提供することができる。
【0027】
上記第3の局面に係る制御方法において、好ましくは、上記報知する工程は、外気温が所定温度よりも高く、かつ、充電量が所定の閾値よりも小さい場合に、上記少なくとも一方の情報をユーザに報知する工程である。このように構成すれば、外気温が高いことに起因して車内温度が高くなった車両にユーザが閉じ込められるのを抑制することが可能な制御方法を提供することができる。
【0028】
上記第3の局面に係る制御方法において、好ましくは、上記報知する工程は、充電量が所定の閾値よりも小さい場合に、上記少なくとも一方の情報を、車両の外部の外部装置に送信する工程である。このように構成すれば、外部装置において上記少なくとも一方の情報をユーザに取得させることが可能な制御方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0029】
本開示によれば、電気的に開錠されるドアが設けられた車両からユーザが出られなくなるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】一実施形態による車両の構成を示す図である。
【
図2】一実施形態による車両の詳細な構成を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態による制御装置とナビディスプレイとによる制御を示すシーケンス図である。
【
図4】一実施形態による物理開錠機構に関する情報を表示するナビディスプレイを示す第1図である。
【
図5】一実施形態による物理開錠機構に関する情報を表示するナビディスプレイを示す第2図である。
【
図6】
図3のシーケンス制御の続きを示すシーケンス図である。
【
図7】一実施形態の変形例によるナビディスプレイに表示されたポップアップ表示を示す図である。
【
図10】
図3のシーケンス図の変形例を示す図である。
【
図11】一実施形態の変形例による車両の詳細な構成を示すブロック図である。
【
図12】物理開錠機構に関する情報が記載されたWEBページのURL(Uniform Resource Locator)がユーザ端末に表示されている図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0032】
図1は、本実施形態に係る制御装置50(
図2参照)が搭載される車両100の側面図である。車両100は、前席用のドア110と、後席用のドア130とを備える。また、車両100は、ナビディスプレイ31を備える。なお、ナビディスプレイ31は、本開示の「表示装置」および「ディスプレイ」の一例である。
【0033】
ドア110の車室側の面には、各種スイッチ等が搭載されたドア内側部120が配置されている。ドア130の車室側の面には、各種スイッチ等が搭載されたドア内側部140が配置されている。ドア内側部120およびドア内側部140の各々の詳細については、後述する。
【0034】
図2は、車両100の詳細な構成を示すブロック図である。
図2に示す例では、車両100は、たとえばBEV(Battery Electric Vehicle)またはPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)等の電動車両である。車両100は、蓄電装置10と、車内カメラ20と、HMI(Human Machine Interface)装置30と、外気温センサ40と、制御装置50と、電気開錠機構60と、物理開錠機構70と、通信装置80と、を備える。電気開錠機構60および物理開錠機構70の各々は、ドア110およびドア130の各々の開錠機構を含む。
【0035】
蓄電装置10は、駆動用バッテリ11と、補機バッテリ12とを含む。駆動用バッテリ11は、車両100の走行等(電気モータ等)に用いられる電力が蓄電されている。補機バッテリ12は、システムの電源、ECU(Electronic Control Unit)、および、ナビディスプレイ31等の、車内に設けられるさまざまな機能装備に電力を供給する。なお、補機バッテリ12は、本開示の「バッテリ」の一例である。
【0036】
補機バッテリ12の電力量が少なくなった場合には、駆動用バッテリ11から補機バッテリ12への電力の移動が行われる。たとえば、補機バッテリ12のSOCが15%を下回った場合に、上記移動が行われる。
【0037】
車内カメラ20は、車両100の内部の画像を取得する。車内カメラ20は、車両100に1つだけ設けられていてもよいし、複数設けられていてもよい。
【0038】
HMI装置30は、ナビディスプレイ31と、メータディスプレイ32と、スピーカ33等を含む。外気温センサ40は、外気温を検出する。
【0039】
制御装置50は、バッテリ残量取得部51と、バッテリ残量判定部52と、搭乗員位置検出部53と、報知部54と、充電検知部55と、物理開錠検知部56と、開錠機構制御部57とを含む。バッテリ残量取得部51、バッテリ残量判定部52、搭乗員位置検出部53、報知部54、充電検知部55、物理開錠検知部56、および、開錠機構制御部57の各々は、制御装置50の機能的特徴をブロック化したソフトウェアを示すものである。各機能についての詳細は、後述する。
【0040】
バッテリ残量取得部51は、補機バッテリ12の残りの蓄電量(SOC)の情報を取得する。バッテリ残量判定部52は、補機バッテリ12の残りの蓄電量(SOC)が所定値未満か否かを判定する。搭乗員位置検出部53は、車両100にユーザが搭乗していること、および、車両100に搭乗しているユーザの位置を検出する。報知部54は、車両100のユーザに所定の情報を報知する。
【0041】
充電検知部55は、補機バッテリ12への充電が行われていることを検知する。物理開錠検知部56は、物理開錠機構70によるドア110(130)の開錠が行われたことを検知する。開錠機構制御部57は、電気開錠機構60を駆動する。
【0042】
電気開錠機構60は、車両100のドア110およびドア130の各々を開錠する(電子ロックを解除する)ための機構である。電気開錠機構60により、施錠状態のドア110および130の各々が電気的に開錠される。
【0043】
物理開錠機構70は、車両100のドア110およびドア130の各々を開錠する(機械的なロックを解除する)ための機構である。物理開錠機構70により、施錠状態のドア110および130の各々が物理的に開錠される。
【0044】
通信装置80は、各種通信I/F(インターフェース)を含む。通信装置80は、車両100の外部の通信装置と無線通信を行う。たとえば、通信装置80は、車両100のユーザが所有するユーザ端末900(スマートフォン、スマートウォッチ、および、PC(Personal Computer)等)と通信する。また、通信装置80は、インターネットにアクセス可能に構成されていてもよい。
【0045】
(制御装置およびナビディスプレイによるシーケンス制御)
図3は、制御装置50とナビディスプレイ31とによるシーケンス制御(制御方法)を示す図である。
図3に示すシーケンスは、所定時間毎(たとえば1分毎)に周期的に実行されてもよい。また、
図3のシーケンス制御は、車両100が停止している場合にのみ実行されてもよい。
【0046】
ステップS10において、制御装置50(バッテリ残量取得部51)は、補機バッテリ12の残りのSOC(State Of Charge)の情報を取得する。
【0047】
ステップS11では、制御装置50(バッテリ残量判定部52)は、ステップS10において情報が取得された補機バッテリ12の残りのSOCが10%未満か否かを判定する。10%という閾値は、予め制御装置50において設定されている値である。補機バッテリ12のSOCが10%未満の場合(S11においてYes)、処理はステップS12に進む。補機バッテリ12のSOCが10%以上の場合(S11においてNo)、処理は終了する。
【0048】
ステップS12では、制御装置50は、外気温が30℃よりも高いか否かを判定する。制御装置50は、外気温センサ40(
図2参照)の検出値に基づいてステップS12の判定を行う。外気温が30℃よりも高い場合(S12においてYes)、処理はステップS13に進む。外気温が30℃以下の場合(S12においてNo)、処理は終了する。
【0049】
ステップS13では、制御装置50(搭乗員位置検出部53)は、車両100にユーザが搭乗しているか否かを判定する。制御装置50(搭乗員位置検出部53)は、車内カメラ20により撮像された画像に基づき、ステップS13の判定を行う。車両100にユーザが搭乗している場合(S13においてYes)、処理はステップS14に進む。車両100にユーザが搭乗していない場合(S13においてNo)、処理は終了する。
【0050】
ステップS14では、制御装置50(搭乗員位置検出部53)は、搭乗員に最も近いドアを判定する。たとえば、制御装置50(搭乗員位置検出部53)は、運転席にのみユーザが搭乗している場合、ドア110を搭乗員に最も近いドアと判定する。この場合、ドア110は、本開示の「近接ドア」の一例である。また、制御装置50(搭乗員位置検出部53)は、後部座席にのみユーザが搭乗している場合、ドア130を搭乗員に最も近いドアと判定する。この場合、ドア130は、本開示の「近接ドア」の一例である。また、制御装置50(搭乗員位置検出部53)は、運転席および後部座席の各々にユーザが搭乗している場合、ドア110およびドア130の各々を搭乗員に最も近いドアと判定する。この場合、ドア110およびドア130の各々は、本開示の「近接ドア」の一例である。以下では、ドア110が、搭乗員に最も近いドアであるとする。
【0051】
ステップS15では、制御装置50(報知部54)は、搭乗員に最も近いドア110に対応する物理開錠機構70の位置、および、物理開錠機構70によるドア110の開錠方法を、ナビディスプレイ31に表示させる。具体的には、制御装置50(報知部54)は、上記の情報を表示するようにナビディスプレイ31に指令(制御信号)を送信する処理(以下、報知処理と記載する場合がある)である。次に、処理はステップAに進む。ステップA以降の説明は、
図6を参照して後述する。
【0052】
ステップS30では、ナビディスプレイ31は、ステップS15の指令(制御信号)を受信したか否かを判定する。S15の指令(制御信号)を受信している場合(S30においてYes)、処理はステップS31に進む。S15の指令(制御信号)を受信していない場合(S30においてNo)、処理は終了する。
【0053】
ステップS31では、ナビディスプレイ31は、ステップS15の情報(ドア110に対応する物理開錠機構70の位置、および、物理開錠機構70によるドア110の開錠方法)を表示する。次に、処理はステップBに進む。ステップB以降の説明は、
図6を参照して後述する。
【0054】
図4は、ステップS31においてナビディスプレイ31に表示される画面の一例を示す。
図4に示すナビディスプレイ31には、ドア110に対応するドア内側部120が表示されている。
【0055】
ドア内側部120には、各種スイッチが配置されるアームレスト121と、複数のウインドウ用ボタン122と、レバー71と、ドア開閉ボタン61とが設けられている。アームレスト121には、複数のウインドウ用ボタン122、レバー71、および、ドア開閉ボタン61が配置されている。なお、ドア開閉ボタン61およびレバー71は、それぞれ、電気開錠機構60および物理開錠機構70に含まれている。
【0056】
ウインドウ用ボタン122が操作されることにより、操作されたウインドウ用ボタン122に対応する窓が開かれる(または閉じられる)。
【0057】
ドア開閉ボタン61が押下されることにより、電気開錠機構60が制御され、ドア110が電気的に開錠される。
【0058】
レバー71が引き上げられることにより、物理開錠機構70によりドア110が物理的に開錠される。なお、レバー71は、ウインドウ用ボタン122と隣り合うとともに、ドア開閉ボタン61とは離間した位置に配置されている。
【0059】
図4に示す画面では、レバー71の操作方法を詳細に示す拡大画面31aが表示されている。拡大画面31aには、レバー71の操作方法を示す矢印31bが表示されている。なお、ナビディスプレイ31に表示される画像は、静止画であってもよいし動画であってもよい。
【0060】
図5は、
図4の変形例として、ドア130が搭乗員に最も近いドアであると判定された場合にナビディスプレイ31に表示される画面を示す。
図5に示すナビディスプレイ31には、ドア130に対応するドア内側部140が表示されている。
【0061】
ドア内側部140には、各種スイッチが配置されるアームレスト141と、ウインドウ用ボタン142と、ポケット143と、ドア開閉ボタン62とが設けられている。アームレスト141には、ウインドウ用ボタン142およびドア開閉ボタン62が配置されている。なお、ドア開閉ボタン62は、電気開錠機構60に含まれる機構である。
【0062】
ウインドウ用ボタン142が操作されることにより、ドア130の窓が開かれる(または閉じられる)。
【0063】
ドア開閉ボタン62が押下されることにより、電気開錠機構60が制御され、ドア130が電気的に開錠される。
【0064】
図5に示す画面には、物理開錠機構70によるドア130の開錠方法の工程が示されている。
図5に示す画面には、数字(1~3)と矢印とのセットにより、ドア130の手動開錠方法の工程が示されている。まず、第1工程は、数字の「1」が表示されたマーク31cと矢印31dとにより示されるように、ポケット143の底からマット72を取り外す工程である。第2工程は、数字の「2」が表示されたマーク31eと矢印31fとにより示されるように、マット72の下方に設けられるアクセスドア73を取り外す工程である。第3工程は、数字の「3」が表示されたマーク31gと矢印31hとにより示されるように、アクセスドア73の下方に設けられるケーブル74を引っ張る工程である。なお、第2工程および第3工程は、拡大画面31iに表示されている。また、マット72、アクセスドア73、および、ケーブル74の各々は、物理開錠機構70に含まれる機構である。
【0065】
図6は、
図3に示すシーケンス制御の続きを示すシーケンス図である。ステップS16では、制御装置50(物理開錠検知部56)は、物理開錠機構70によりドア110の開錠が行われたか否かを判定する。すなわち、制御装置50(物理開錠検知部56)は、ドア110に対応する物理開錠機構70の位置、および、物理開錠機構70によるドア110の開錠方法がナビディスプレイ31において表示されている間に、物理開錠機構70によりドア110の開錠が行われたか否かを判定する。物理開錠機構70により開錠された場合(S16においてYes)、処理はステップS21に進む。物理開錠機構70により開錠されていない場合(S16においてNo)、処理はステップS17に進む。
【0066】
ステップS17では、制御装置50(充電検知部55)は、補機バッテリ12への充電が開始されたか否かを判定する。すなわち、制御装置50(物理開錠検知部56)は、ドア110に対応する物理開錠機構70の位置、および、物理開錠機構70によるドア110の開錠方法がナビディスプレイ31において表示されている間に、補機バッテリ12への充電が開始されたか否かを判定する。制御装置50(充電検知部55)は、車両100のインレット(図示せず)に充電プラグ(図示せず)が接続された状態で補機バッテリ12のSOCが増加したことを検知した場合に、補機バッテリ12への充電が開始された(充電が実行されている)と判定してもよい。補機バッテリ12への充電が開始されている場合(S17においてYes)、処理はステップS18に進む。補機バッテリ12への充電が開始されていない場合(S17においてNo)、処理はステップS19に進む。
【0067】
ステップS18では、制御装置50(バッテリ残量判定部52)は、補機バッテリ12のSOCが10%以上になるまで充電されたか否かを判定する。SOCが10%以上になった場合(S18においてYes)、処理はステップS21に進む。SOCが10%未満の場合(S18においてNo)、処理はステップS19に進む。
【0068】
ステップS19では、制御装置50は、ドア110に対応する物理開錠機構70の位置、および、物理開錠機構70によるドア110の開錠方法がナビディスプレイ31に表示されてから(上記報知処理が実行されてから)所定時間(たとえば10分)が経過したか否かを判定する。すなわち、制御装置50は、上記報知処理が実行されてから所定時間の間に物理開錠機構70によりドア110が開錠されていないか否かを判定する。所定時間が経過している場合(所定時間の間に物理開錠機構70によりドア110が開錠されていない場合)(S19においてYes)、処理はステップS20に進む。所定時間が経過していない場合(S19においてNo)、処理はステップS16に戻る。
【0069】
ステップS20では、制御装置50(開錠機構制御部57)は、電気開錠機構60を制御して、ドア110を電気的に開錠するための制御を行う。この際、制御装置50(開錠機構制御部57)は、電気開錠機構60を駆動させる(電気開錠機構60にドア110を開錠させる)指令(制御信号)を、電気開錠機構60に送信する。この場合、ドア110は、たとえば半ドア状態にされてもよいし、完全に開錠されてもよい。
【0070】
ステップS21では、制御装置50(報知部54)は、ドア110に対応する物理開錠機構70の位置、および、物理開錠機構70によるドア110の開錠方法の、ナビディスプレイ31における表示を終了する。具体的には、制御装置50(報知部54)は、上記表示を停止する指令(制御信号)を、ナビディスプレイ31に送信する。
【0071】
ステップS32では、ナビディスプレイ31は、ステップS21の指令(制御信号)を受信したか否かを判定する。S21の指令(制御信号)を受信している場合(S32においてYes)、処理はステップS33に進む。S21の指令(制御信号)を受信していない場合(S32においてNo)、ステップS32の処理が繰り返される。
【0072】
ステップS33では、ナビディスプレイ31は、ステップS15の情報(ドア110に対応する物理開錠機構70の位置、および、物理開錠機構70によるドア110の開錠方法)を非表示にする。
【0073】
なお、
図6に示すシーケンスは一例であって、本開示は
図6に示す例に限られない。たとえば、
図6のステップS16~S19の1つ以上の判定処理が実行されなくてもよい。たとえば、ステップS16~S19の全ての処理が実行されなくてもよい。
【0074】
以上のように、本実施形態では、報知部54は、補機バッテリ12の充電量が10%未満になった場合に、ドア110に対応する物理開錠機構70の位置、および、物理開錠機構70によるドア110の開錠方法の情報を、ユーザに報知する。これにより、補機バッテリ12の充電量不足に起因して電気開錠機構60が作動しなくなる前に、物理開錠機構70に関する情報をユーザに通知することができる。その結果、電気開錠機構60が作動しなくなっても、ユーザは、物理開錠機構70によりドア110を開錠することができる。
【0075】
上記実施形態では、物理開錠機構の位置、および、物理開錠機構による開錠方法の両方がユーザに報知される例を示したが、本開示はこれに限られない。物理開錠機構の位置、および、物理開錠機構による開錠方法のいずれか一方のみがユーザに報知されてもよい。
【0076】
上記実施形態では、補機バッテリ12のSOCが10%を下回った場合に物理開錠機構に関する情報が報知される例を示したが、本開示はこれに限られない。補機バッテリ12の残りの電力量が、(1)報知処理を実行するのに最低限必要な電力量になった場合、(2)ドアの電気開錠を行うのに最低限必要な電力量を下回った場合、(3)ドアの電気開錠は不可だが報知処理は可能な電力量を下回った場合、または、(1)および(2)の電力量に所定量を加算した電力量を下回った場合に、上記報知処理が実行されてもよい。
【0077】
上記実施形態では、制御装置50および電気開錠機構60の各々が補機バッテリ12から電力を供給される例を示したが、本開示はこれに限られない。制御装置50および電気開錠機構60の少なくとも一方が、駆動用バッテリ11から電力を供給されてもよい。
【0078】
上記実施形態では、ナビディスプレイ31に物理開錠機構70に関する情報を表示させる例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、後部座席にユーザが搭乗している場合は、後部座席用ディスプレイに上記情報を表示させてもよい。また、運転席および助手席の各々にユーザが搭乗している場合は、ナビディスプレイ31の画面を2分割してもよい。2分割された画面の一方に、運転席のドアに対応する物理開錠機構70の情報を表示させるとともに、2分割された画面の他方に、助手席のドアに対応する物理開錠機構70の情報を表示させてもよい。
【0079】
(参考例)
バッテリ(たとえば補機バッテリ)の充電量が所定の閾値よりも小さくなったことに応じて、電気開錠機構によりドアを開錠することも考えられる。この場合、上記実施形態の報知処理が実行されずに、電気開錠機構によりドアが開錠(半ドア状態または完全に開錠状態に)される。
【0080】
上記実施形態では、ユーザが車両100に搭乗している場合で、かつ、補機バッテリ12の充電量が所定の閾値よりも小さくなった場合に、報知処理が実行される例を示したが、本開示はこれに限られない。ユーザが車両100に搭乗していない場合でも、報知処理が実行されてもよい。
【0081】
上記実施形態では、外気温が所定温度よりも高く、かつ、補機バッテリ12の充電量が所定の閾値よりも小さくなった場合に、報知処理が実行される例を示したが、本開示はこれに限られない。外気温が所定温度以下の場合でも、報知処理が実行されてもよい。
【0082】
上記実施形態では、車両100に搭載された外気温センサ40の検出値に基づいて報知処理が実行される例を示したが、本開示はこれに限られない。車両の外部に設けられた温度センサの検出値やインターネットにおける気温情報等に基づいて、報知処理が実行されてもよい。
【0083】
上記実施形態では、車内カメラ20により撮像された画像に基づいて、車両100内の搭乗員の人数や搭乗員の位置を検知する例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、車両に設けられた重量センサや人感センサを用いてもよい。
【0084】
上記実施形態では、ナビディスプレイ31等に物理開錠機構に関する情報を表示することのみが報知処理として行われる例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、夜間など周囲が暗い場合には、上記情報の表示と共に、物理開錠機構を照明により照らす処理が報知処理として行われてもよい。この場合、照明に使用される電力分だけ、補機バッテリ12の蓄電量(SOC)の閾値(上記実施形態では10%)を所定量(たとえば2%)だけ増加させてもよいし、ナビディスプレイ31における情報の表示期間を短くしてもよい。
【0085】
上記実施形態では、補機バッテリ12の充電量が所定の閾値よりも小さくなった場合に、物理開錠機構70の位置等を示す画像がナビディスプレイ31に表示される例を示したが、本開示はこれに限られない。補機バッテリ12の充電量が所定の閾値よりも小さくなった場合に、
図7に示すポップアップ31jがナビディスプレイ31等に表示されてもよい。ポップアップ31jには、「手動ドア開錠についてのお知らせ」というメッセージと共に、「Learn more」と記載されたボタン31kが設けられている。ボタン31kが選択されると、物理開錠機構70の位置および物理開錠機構70による開錠方法を説明する説明文、または、
図3および
図4に示す画像等がナビディスプレイ31等に表示される。なお、ボタン31kが表示されてから所定時間(たとえば1分)の間にボタン31kが選択されない場合に、上記説明文、または、
図3および
図4等の画像が自動的にナビディスプレイ31等に表示されてもよい。
【0086】
上記実施形態では、充電プラグが接続された状態で補機バッテリ12のSOCが上昇した場合に、補機バッテリ12の充電が開始されたと検知される例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、バッテリが交換されたことにより車両に搭載されているバッテリのSOCが上昇した場合に、バッテリの充電が行われたことが検知されてもよい。
【0087】
上記実施形態では、ユーザへの報知の後、補機バッテリ12のSOCが10%以上になるまで充電された場合に、報知処理を終了する例を示したが、本開示はこれに限られない。ユーザへの報知後に、補機バッテリ12のSOCが充電により僅かでも上昇した場合(たとえばSOCが1%以上上昇した場合)に、報知処理を実行してもよい。
【0088】
図8は、
図4の画像の第1変形例を示す図である。
図8に示す例では、ナビディスプレイ131に、車両200のドア内側部220が表示されている。
【0089】
ドア内側部220には、アームレスト221と、ポケット223と、ドア開閉ボタン161(電気開錠機構160)とが設けられている。アームレスト221には、ドア開閉ボタン161が配置されている。ポケット223には、レバー171が配置されている。なお、ドア開閉ボタン161およびレバー171は、それぞれ、電気開錠機構160および物理開錠機構170に含まれている。
【0090】
ドア開閉ボタン161が押下されることにより、電気開錠機構160が制御され、ドア210が電気的に開錠される。なお、アンロック状態のドア220は、ドア開閉ボタン161が1回押下されることにより開く。また、ロック状態のドア220は、ドア開閉ボタン161が2回押下されることにより開く。
【0091】
ポケット223に配置されたレバー171(物理開錠機構170)が引き上げられることにより、物理開錠機構170によりドア210が物理的に開錠される。なお、レバー171は、ドア開閉ボタン161とは離間した位置に配置されている。
【0092】
図8に示す画面では、レバー171の操作方法を詳細に示す拡大画面131aが表示されている。拡大画面131aには、レバー171の操作方法を示す矢印131bが表示されている。
【0093】
図9は、
図4の画像の第2変形例を示す図である。
図9に示す例では、ナビディスプレイ231に、車両300のドア内側部320が表示されている。
【0094】
ドア内側部320には、アームレスト321と、ウインドウ用ボタン322と、ドア開錠レバー323とが設けられている。アームレスト321には、ウインドウ用ボタン322と、ドア開錠レバー323とが設けられている。
【0095】
図9に示す例では、ドア開錠レバー323は、電気開錠機構および物理開錠機構(共に符号は省略)の各々に含まれている。具体的には、ドア開錠レバー323が手前に1回引っ張られることにより、電気開錠機構が制御されてドア310が開錠される。また、ドア開錠レバー323が手前に2回引っ張られることにより物理開錠機構によりドア310が開錠される。
【0096】
図9に示す画面では、ドア開錠レバー323による物理開錠方法を説明するための、矢印231aおよび説明メッセージ231bが表示されている。なお、説明メッセージ231bには、「2回引っ張る」と記載されている。
【0097】
上記実施形態では、物理開錠機構70に関する情報が車両100のナビディスプレイ31に表示されることにより報知処理が実行される例を示したが、本開示はこれに限られない。メータディスプレイ32に物理開錠機構70に関する情報を表示させてもよいし、スピーカ33から物理開錠機構70に関する情報を音声により報知してもよい。
【0098】
また、ユーザ端末900に物理開錠機構70に関する情報(
図3等の画像)を表示させてもよい。
図10は、上記実施形態のステップS15の指令(制御信号)がユーザ端末900に送信される変形例を示す図である。車両400の制御装置150(送信部151)(
図11参照)は、ドア110に対応する物理開錠機構70の位置、および、物理開錠機構70によるドア110の開錠方法の情報をユーザ端末900に送信するように、通信装置80を制御する。上記指令(制御信号)を受信したユーザ端末900は、ステップS30~S31(
図3参照)と同様の処理であるステップS40~S41の処理を実行する。ステップS40~S41の詳細な説明は省略する。この場合、ユーザ端末900に備えられる図示しないCPU等は、本開示の「制御装置」に相当する。また、ユーザ端末900は、本開示の「外部装置」に相当する。
【0099】
なお、
図12は、ユーザ端末900に、物理開錠機構70に関する情報が記載されたWEBページのURL910が表示されている図である。
【0100】
また、
図10に示す例では、物理開錠機構70に関する情報がユーザ端末900に送信される例を示したが、本開示はこれに限られない。物理開錠機構70に関する情報が、車両100の制御装置150(送信部151)から、通信装置80を通じて、図示しない外部サーバに送信されてもよい。そして、上記外部サーバからユーザ端末900に、ユーザ端末900の表示画面に上記情報を表示させる指令(制御信号)が送信されてもよい。この場合、上記外部サーバは、本開示の「外部装置」の一例である。
【0101】
また、上記実施形態の制御装置50が実行する制御の少なくとも一部が、ユーザ端末900または上記外部サーバにおいて実行されてもよい。たとえば、補機バッテリ12のSOCの情報が車両において取得され、かつ、上記SOCの情報を車両から受信したユーザ端末900または上記外部サーバが上記報知処理を実行してもよい。
【0102】
また、上記実施形態では、車両100がBEVやPHEV等の電動車両である例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、車両は、バッテリを備えていればガソリン車であってもよい。
【0103】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0104】
12 補機バッテリ(バッテリ),31 ナビディスプレイ(ディスプレイ)(表示装置),50、150 制御装置,51 バッテリ残量取得部,54 報知部,57 開錠機構制御部,60 電気開錠機構,70 物理開錠機構,100、200、300、400 車両,110、130、210、310 ドア,151 送信部,900 ユーザ端末。
【要約】
【課題】電気的に開錠されるドアが設けられた車両からユーザが出られなくなるのを抑制することが可能な制御装置を提供する。
【解決手段】制御装置50は、報知部54を備える。車両100は、ドア110と、補機バッテリ12から電力が供給されているとともにドア110を電気的に開錠する電気開錠機構60と、ドア110を手動により開錠するための物理開錠機構70とを含む。報知部54は、補機バッテリ12の充電量が所定の閾値よりも小さい場合に、物理開錠機構70の位置、および、物理開錠機構70によるドア110の開錠方法を、ユーザに報知する。
【選択図】
図3