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特許7509306エレベーターのホールランタン及びエレベーターシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】エレベーターのホールランタン及びエレベーターシステム
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
B66B3/00 H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023190140
(22)【出願日】2023-11-07
【審査請求日】2023-11-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 剛
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 英治
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-25524(JP,A)
【文献】特開平1-308378(JP,A)
【文献】特開平3-256981(JP,A)
【文献】特開2009-208915(JP,A)
【文献】国際公開第2015/124826(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00-3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一エレベーター及び第二エレベーターが隣り合うエレベーターホールにおいて、前記第一エレベーターと前記第二エレベーターとの間の壁面に設置されたエレベーターのホールランタンであって、
前記壁面から水平方向に突出して設けられた直方体の導光体と、
前記導光体の内部へ光を照射する複数の光源と、
前記複数の光源から照射される光を制御する制御装置と、を備え、
前記導光体は、
前記複数の光源の光が入射される裏面と、
前記裏面と向かい合い、前記複数の光源の光の透過を遮蔽する表面と、
前記第一エレベーターの側に面する第一側面と、
前記第二エレベーターの側に面する第二側面と、を含み、
前記複数の光源は、
前記第一側面を発光させる第一光源群と、
前記第二側面を発光させる第二光源群と、を含み、
前記制御装置は、
前記第一エレベーターのかごの移動方向を含む第一動作信号に基づいて前記第一光源群を発光させ、
前記第二エレベーターのかごの移動方向を含む第二動作信号に基づいて前記第二光源群を発光させる
ように構成されるエレベーターのホールランタン。
【請求項2】
前記第一光源群は、前記複数の光源のうち、前記第一側面の側において上下方向に沿って並んだ三個以上の光源を含み、
前記第二光源群は、前記複数の光源のうち、前記第二側面の側において上下方向に沿って並んだ三個以上の光源を含み、
前記制御装置は、
前記第一動作信号に含まれる前記第一エレベーターのかごの移動方向を表す第一発光パターンに従い前記第一光源群を発光させるように構成され、
前記第二動作信号に含まれる前記第二エレベーターのかごの移動方向を表す第二発光パターンに従い前記第二光源群を発光させるように構成される
請求項1に記載のエレベーターのホールランタン。
【請求項3】
前記第一発光パターンは、
前記第一光源群の光源を上下方向の下側から上側に向かって順に積み重ねて発光させる第一上り発光パターンと、
前記第一光源群の光源を上下方向の上側から下側に向かって順に積み重ねて発光させる第一下り発光パターンと、を含み、
前記制御装置は、
前記第一動作信号に含まれる前記移動方向が上り方向である場合、前記第一上り発光パターンに従い前記第一光源群を発光させるように構成され、
前記第一動作信号に含まれる前記移動方向が下り方向である場合、前記第一下り発光パターンに従い前記第一光源群を発光させるように構成される
請求項2に記載のエレベーターのホールランタン。
【請求項4】
前記第二発光パターンは、
前記第二光源群を上下方向の下側から上側に向かって順に積み重ねて発光させる第二上り発光パターンと、
前記第二光源群を上下方向の上側から下側に向かって順に積み重ねて発光させる第二下り発光パターンと、を含み、
前記制御装置は、
前記第二動作信号に含まれる前記移動方向が上り方向である場合、前記第二上り発光パターンに従い前記第二光源群を発光させるように構成され、
前記第二動作信号に含まれる前記移動方向が下り方向である場合、前記第二下り発光パターンに従い前記第二光源群を発光させるように構成される
請求項2に記載のエレベーターのホールランタン。
【請求項5】
前記第一光源群と前記第二光源群との間を区画するように設けられた仕切り板を更に備える請求項1から請求項4の何れか1項に記載のエレベーターのホールランタン。
【請求項6】
第一エレベーター及び第二エレベーターが隣り合うエレベーターホールにおいて、前記第一エレベーターと前記第二エレベーターとの間の壁面に設置されたエレベーターのホールランタンを有するエレベーターシステムであって、
前記ホールランタンは、
前記壁面から水平方向に突出して設けられた直方体の導光体と、
前記導光体の内部へ光を照射する複数の光源と、を備え、
前記導光体は、
前記複数の光源の光が入射される裏面と、
前記裏面と向かい合い、前記複数の光源の光の透過を遮蔽する表面と、
前記第一エレベーターの側に面する第一側面と、
前記第二エレベーターの側に面する第二側面と、を含み、
前記複数の光源は、
前記第一側面を発光させる第一光源群と、
前記第二側面を発光させる第二光源群と、を含み、
前記エレベーターシステムは、
前記第一エレベーターのかごの移動方向を含む第一動作信号と、前記第二エレベーターのかごの移動方向を含む第二動作信号と、を取得する信号取得部と、
前記第一動作信号に基づいて前記第一光源群を発光させ、前記第二動作信号に基づいて前記第二光源群を発光させる発光処理部と、
を備えるエレベーターシステム。
【請求項7】
前記エレベーターシステムは、
前記第一エレベーターの動作を制御する第一制御盤と、
前記第二エレベーターの動作を制御する第二制御盤と、を含み、
前記信号取得部は、
前記第一制御盤から前記第一動作信号を取得し、前記第二制御盤から前記第二動作信号を取得する
ように構成される請求項6に記載のエレベーターシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーターの乗場に設置されるホールランタンの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、エレベーターのホールランタンに関する技術が開示されている。この技術のホールランタンは、一定の平面領域全体を発光可能なフィルム形状の1つの発光体を内部に備えている。発光体は、複数の発光面を有し、これらの発光面を一定の発光パターンで発光させることで進行方向などの多様な表現を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-202879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、1台のホールランタンによって1機のエレベーターの運行状況を表示する。このため、2機のエレベーターが隣り合うエレベーターホールでは、2台のホールランタンの設置が必要となり、設置器具数が増えてしまうという課題がある。また、1台のホールランタンによって2機分のエレベーターの運行状況を表示することとすると、エレベーターホールにいるユーザが何れのエレベーターの運行表示なのかを誤認するおそれがある。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたもので、2機のエレベーターが隣り合うエレベーターホールにおいて、2機分のエレベーターの運行状況を、ユーザに誤認されることなく、1台のホールランタンによって表示することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のエレベーターのホールランタンは、第一エレベーター及び第二エレベーターが隣り合うエレベーターホールにおいて、第一エレベーターと第二エレベーターとの間の壁面に設置されたエレベーターのホールランタンであって、壁面から水平方向に突出して設けられた直方体の導光体と、導光体の内部へ光を照射する複数の光源と、複数の光源から照射される光を制御する制御装置と、を備える。導光体は、複数の光源の光が入射される裏面と、裏面と向かい合い、複数の光源の光の透過を遮蔽する表面と、第一エレベーターの側に面する第一側面と、第二エレベーターの側に面する第二側面と、を含む。複数の光源は、第一側面を発光させる第一光源群と、第二側面を発光させる第二光源群と、を含む。制御装置は、第一エレベーターのかごの移動方向を含む第一動作信号に基づいて第一光源群を発光させ、第二エレベーターのかごの移動方向を含む第二動作信号に基づいて第二光源群を発光させるように構成される。
【0007】
また、本開示のエレベーターシステムは、第一エレベーター及び第二エレベーターが隣り合うエレベーターホールにおいて、第一エレベーターと第二エレベーターとの間の壁面に設置されたエレベーターのホールランタンを有するエレベーターシステムであって、ホールランタンは、壁面から水平方向に突出して設けられた直方体の導光体と、導光体の内部へ光を照射する複数の光源と、を備える。導光体は、複数の光源の光が入射される裏面と、裏面と向かい合い、複数の光源の光の透過を遮蔽する表面と、第一エレベーターの側に面する第一側面と、第二エレベーターの側に面する第二側面と、を含み、複数の光源は、第一側面を発光させる第一光源群と、第二側面を発光させる第二光源群と、を含む。エレベーターシステムは、第一エレベーターのかごの移動方向を含む第一動作信号と、第二エレベーターのかごの移動方向を含む第二動作信号と、を取得する信号取得部と、第一動作信号に基づいて第一光源群を発光させ、第二動作信号に基づいて第二光源群を発光させる発光処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の技術によれば、2機のエレベーターが隣り合うエレベーターホールにおいて、2機分のエレベーターの運行状況を、ユーザに誤認されることなく、1台のホールランタンによって表示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態に係るエレベーターシステムの外観構成図である。
図2】ホールランタンの外観の概略構成を示す斜視図である。
図3】乗場に設置されたホールランタンの概略構成図である。
図4図3中のホールランタンのA-A断面の概略構成を示す断面拡大図である。
図5】実施の形態のエレベーターシステムの機能構成の一例を示す図である。
図6】制御装置のプロセッサがプログラムを実行することによって実現される機能を示す機能ブロック図である。
図7】第一上り発光パターンを説明するための図である。
図8】第一下り発光パターンを説明するための図である。
図9】制御装置が実行するルーチンのフローチャートである。
図10】制御装置のハードウェア資源の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0011】
実施の形態.
1.実施の形態のエレベーターシステムの構成
図1は、本開示の実施の形態に係るエレベーターシステムの外観構成図である。エレベーターシステム100は、複数の階床を備えた建築物に設置された隣り合う2機のエレベーターを備えている。各階床には、それぞれエレベーターホールとしての乗場2が設けられている。以下の説明では、乗場2にいるユーザから見て、左側のエレベーターを「第一エレベーター1a」と称し、右側のエレベーターを「第二エレベーター1b」と称する。
【0012】
各乗場2には、第一エレベーター1a及び第二エレベーター1bに対応した乗場扉4a,4bが並んで設けられている。乗場2の壁面6には、第一エレベーター1a及び第二エレベーター1bの呼びを行うための乗場押しボタン8a,8bが設けられている。また、乗場2の壁面6において、乗場扉4a,4bの間の上方には、ホールランタン10が設置されている。ホールランタン10は、第一エレベーター1a及び第二エレベーター1bの運行状況を表示する装置である。以下、ホールランタン10の構成について詳細に説明する。
【0013】
2.ホールランタンの構成
図2は、ホールランタンの外観の概略構成を示す斜視図である。図3は、乗場に設置されたホールランタンの概略構成図である。なお、図3中の(A)は、乗場2の壁面6に設置されたホールランタン10を乗場2から見た正面図であり、図3中の(B)は、ホールランタン10の内部を一部透視して示す左側面図であり、図3中の(C)は、ホールランタン10の内部を一部透視して示す右側面図である。また、図4は、図3中のホールランタンのA-A断面の概略構成を示す断面拡大図である。
【0014】
ホールランタン10は、主要な構成として、表板12と、表示板14と、ケース16と、基板18と、複数の光源20と、仕切り板22と、制御装置30と、を備えている。表板12は、第一エレベーター1aと第二エレベーター1bとの間の壁面6に固定される矩形枠形状の部材である。表板12の枠内には、表板12から正面側に向かって水平方向に突出するように表示板14が嵌め込まれている。表示板14は、光を透過するアクリル、ガラス等の透明材料或いは半透明材料で形成された直方体の導光体である。
【0015】
表示板14は、乗場2から見て表板12よりも正面側に突出した表面14dと、表面14dに対して左側、すなわち第一エレベーター1aの側に露出した第一側面14aと、表面14dに対して右側、すなわち第二エレベーター1bの側に露出した第二側面14bと、表面14dと向かい合う裏面14cと、を備える。表面14dは、光の透過を遮蔽する遮蔽面である。このような表面14dは、例えば、遮蔽層の張り付け、塗布等によって形成される。裏面14cは、複数の光源20から照射された光が入射される面である。第一側面14aは、乗場2において第一エレベーター1aの前で乗車待ちをしているユーザが視認可能な面であり、第二エレベーター1bの前で乗車待ちをしているユーザからは視認できない。一方、第二側面14bは、乗場2において第二エレベーター1bの前で乗車待ちをしているユーザが視認可能な面であり、第一エレベーター1aの前で乗車待ちをしているユーザからは視認できない。
【0016】
ケース16は、表板12の裏面側において、基板18と、複数の光源20と、制御装置30と、を収納するためのものである。基板18には複数の光源20が配置される。複数の光源20は、第一側面14aを発光させるための第一光源群20aと、第二側面14bを発光させるための第二光源群20bと、を含む。複数の光源20のそれぞれは、例えばLEDである。第一光源群20aは、三個以上の光源20によって構成され、表示板14の裏面14cと向かい合うエリアの左側において、上下方向に沿って並んで配置される。同様に、第二光源群20bは、三個以上の光源20によって構成され、表示板14の裏面14cと向かい合うエリアの右側において、上下方向に沿って並んで配置される。第一光源群20a及び第二光源群20bは、それぞれ独立して発光可能に構成されている。
【0017】
第一光源群20aと第二光源群20bとの間には、仕切り板22が配置されている。仕切り板22は、基板18と表示板14の裏面14cとの間のエリアを、第一光源群20aが配置されている側と第二光源群20bが配置されている側とに区画する板材である。
【0018】
制御装置30は、第一光源群20a及び第二光源群20bから照射される光を独立して制御する処理装置である。制御装置30が第一光源群20aを発光させると、表面14dの遮蔽層及び仕切り板22の機能により、第一側面14aのみに光が表示され、表面14d及び第二側面14bには表示されない。同様に、制御装置30が第二光源群20bを発光させると、第二側面14bのみに光が表示され、表面14d及び第一側面14aには表示されない。
【0019】
3.実施の形態のエレベーターシステムの機能構成
図5は、実施の形態のエレベーターシステムの機能構成の一例を示す図である。エレベーターシステム100は、制御機能に関連する主要な構成として、制御装置30と、第一制御盤40aと、第二制御盤40bと、第一光源群20aと、第二光源群20bと、を含んで構成されている。
【0020】
第一制御盤40aは、第一エレベーター1aのかごの動作を総合的に制御するための処理装置である。第一制御盤40aは、有線又はインターネット等の通信ネットワークを介して制御装置30とデータ通信可能に構成されている。第一制御盤40aは、第一エレベーター1aのかごの移動方向及びかご位置を含む第一動作信号を制御装置30に送信する。
【0021】
第二制御盤40bは、第二エレベーター1bのかごの動作を総合的に制御するための処理装置である。第二制御盤40bは、有線又はインターネット等の通信ネットワークを介して制御装置30とデータ通信可能に構成されている。第二制御盤40bは、第二エレベーター1bのかごの移動方向及びかご位置を含む第二動作信号を制御装置30に送信する。
【0022】
制御装置30は、コンピュータとしての処理装置の機能を備える。典型的には、制御装置30は、少なくとも1つのプロセッサ32とプロセッサ32に結合された少なくとも1つのメモリ34とを備えている。メモリ34には、プロセッサ32で実行可能な少なくとも1つのプログラム341とそれに関連する種々のデータ342とが記憶されている。プロセッサ32がプログラム341を実行することにより、プロセッサ32による各種処理が実現される。
【0023】
図6は、制御装置30のプロセッサ32がプログラム341を実行することによって実現される機能を示す機能ブロック図である。図6に示すように、プロセッサ32は、信号取得部321と、発光処理部322と、を備える。
【0024】
信号取得部321は、第一制御盤40aから送信される第一動作信号及び第二制御盤40bから送信される第二動作信号を取得するための機能ブロックである。この処理は、以下「信号取得処理」と呼ばれる。信号取得部321は、第一動作信号及び第二動作信号を随時取得する。
【0025】
発光処理部322は、信号取得部321が取得した第一動作信号及び第二動作信号に基づいて、規定の発光パターンに従い光源20を発光させるための動作指令を生成し、生成した動作指令に従い光源20を発光させる。この処理は、以下「発光処理」と呼ばれる。
【0026】
メモリ34のデータ342には、規定の発光パターンとして、第一動作信号に含まれる第一エレベーター1aのかごの移動方向を表す第一発光パターンと、第二動作信号に含まれる第二エレベーター1bのかごの移動方向を表す第二発光パターンと、が格納されている。第一発光パターンは、更に第一上り発光パターンと、第一下り発光パターンと、を含み、第二発光パターンは、第二上り発光パターンと、第二下り発光パターンと、を含む。
【0027】
図7は、第一上り発光パターンを説明するための図である。また、図8は、第一下り発光パターンを説明するための図である。第一上り発光パターンは、かごの移動方向が上り方向であることを視覚的に表現する発光パターンである。第一上り発光パターンは、例えば、図7中の(a)から(f)の順に、第一光源群20aの光源を下側から上側に向かって順に発光させて積み重ねる発光形態を繰り返す発光パターンが例示される。また、第一下り発光パターンは、かごの移動方向が下り方向であることを視覚的に表現するパターンである。第一下り発光パターンは、例えば、図8中の(a)から(f)の順に、第一光源群20aの光源を上側から下側に向かって順に発光させて積み重ねる発光形態を繰り返す発光パターンが例示される。なお、第二上り発光パターンは、第二光源群20bの光源について、図7中の第一上り発光パターンと同様に発光させるパターンが例示され、第二下り発光パターンは、第二光源群20bの光源について、図8中の第一下り発光パターンと同様に発光させるパターンが例示される。
【0028】
発光処理において、発光処理部322は、第一動作信号に含まれる第一エレベーター1aのかごの移動方向が上り方向である場合、第一上り発光パターンに従い第一光源群20aを発光させ、当該移動方向が下り方向である場合、第一下り発光パターンに従い第一光源群20aを発光させる。同様に、発光処理において、発光処理部322は、第二動作信号に含まれる第二エレベーター1bのかごの移動方向が上り方向である場合、第二上り発光パターンに従い第二光源群20bを発光させ、当該移動方向が下り方向である場合、第二下り発光パターンに従い第二光源群20bを発光させる。
【0029】
4.実施の形態のエレベーターシステムにおいて実行される具体的処理
以下、フローチャートを参照しながら、第一エレベーター1a及び第二エレベーター1bの運行状況として、それぞれのかごの移動方向をホールランタン10に表示する動作について説明する。図9は、制御装置30が実行するルーチンのフローチャートである。図9に示すルーチンは、制御装置30のプロセッサ32において予め定められた周期で繰り返し実行される。
【0030】
ステップS100の処理は、信号取得部321において実行される信号取得処理に相当する。具体的には、ステップS100では、第一動作信号を受信したかどうかが判定される。その結果、判定の成立が認められた場合、処理はステップS102に進み、判定の成立が認められない場合、処理はステップS110に進む。
【0031】
ステップS102からステップS108の処理は、発光処理部322において実行される発光処理に相当する。具体的には、ステップS102では、第一動作信号に含まれるかごの移動方向が上り方向かどうかが判定される。その結果、判定の成立が認められた場合、処理はステップS104に進み、判定の成立が認められない場合、処理はステップS106に進む。
【0032】
ステップS104では、第一上り発光パターンに従い第一光源群20aが発光される。ステップS106では、第一動作信号に含まれるかごの移動方向が下り方向かどうかが判定される。その結果、判定の成立が認められた場合、処理はステップS108に進み、判定の成立が認められない場合、処理はステップS110に進む。ステップS108では、第一下り発光パターンに従い第一光源群20aが発光される。
【0033】
ステップS110の処理は、信号取得部321において実行される信号取得処理に相当する。具体的には、ステップS110では、第二動作信号を受信したかどうかが判定される。その結果、判定の成立が認められた場合、処理はステップS112に進み、判定の成立が認められない場合、本ルーチンの処理は終了される。
【0034】
ステップS112からステップS118の処理は、発光処理部322において実行される発光処理に相当する。具体的には、ステップS112では、第二動作信号に含まれるかごの移動方向が上り方向かどうかが判定される。その結果、判定の成立が認められた場合、処理はステップS114に進み、判定の成立が認められない場合、処理はステップS116に進む。
【0035】
ステップS114では、第二上り発光パターンに従い第二光源群20bが発光される。ステップS116では、第二動作信号に含まれるかごの移動方向が下り方向かどうかが判定される。その結果、判定の成立が認められた場合、処理はステップS118に進み、判定の成立が認められない場合、本ルーチンの処理は終了される。ステップS118では、第二下り発光パターンに従い第二光源群20bが発光される。
【0036】
以上のようなホールランタン10の発光動作によれば、単一のホールランタン10によって、第一エレベーター1aと第二エレベーター1bの移動方向を独立して表示することができる。これにより、乗場2に設置するホールランタンの器具数を減らすことができる。
【0037】
第一エレベーター1aの前で乗車待ちをしているユーザは、第一側面14aに表示される発光パターンによって、第一エレベーター1aのかごの移動方向を認識することが可能となる。同様に、第二エレベーター1bの前で乗車待ちをしているユーザは、第二側面14bに表示される発光パターンによって、第二エレベーター1bのかごの移動方向を認識することが可能となる。また、第二側面14bに表示される発光パターンは、第一エレベーター1aの前で乗車待ちをしているユーザからは視認できず、また、第一側面14aに表示される発光パターンは、第二エレベーター1bの前で乗車待ちをしているユーザからは視認できない。これにより、乗場2において乗車待ちをしているユーザが、ホールランタン10に表示されるかごの移動方向を誤認することを防ぐことができる。
【0038】
実施の形態のホールランタン10によれば、複数の光源20を用いた発光パターンによってかごの移動方向を表現することができる。これにより、中間階の乗場と終端階の乗場において共通のホールランタン10を設置することができるので、設置器具の統合によるシステムの簡素化が図れる。
【0039】
5.変形例
実施の形態のホールランタン10は、以下のように変形した態様を採用してもよい。
【0040】
5-1.光源20
光源20の数及び種類は、かごの移動方向を表現可能な範囲において、種々の形態を採りうる。また、光源20を用いた発光パターンは、かごの移動方向を表現可能なパターンであれば、図7及び図8に例示したパターンに限定されない。
【0041】
5-2.発光処理
発光処理では、かごの着床タイミングに合わせて発光パターンの光を表示することとしてもよい。この場合、制御装置30の発光処理部322は、第一動作信号或いは第二動作信号に含まれるかご位置から、かごの着床タイミングを逆算し、算出した着床タイミングよりも予め定めた時間分先行したタイミングで発光パターンの光を表示することとしてもよい。
【0042】
5-3.制御装置30
図10は、制御装置のハードウェア資源の変形例を示す図である。図10に示す例では、制御装置30は、例えばプロセッサ32、メモリ34、及び専用ハードウェア36を含む処理回路38を備える。図10は、制御装置30が有する機能の一部を専用ハードウェア36によって実現する例を示す。制御装置30が有する機能の全部を専用ハードウェア36によって実現しても良い。専用ハードウェア36として、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又はこれらの組み合わせを採用できる。
【0043】
制御装置30は、ホールランタン10の外部に配置されていてもよい。この場合、制御装置30は、有線通信又は無線通信によってホールランタン10の第一光源群20a及び第二光源群20bと接続されていればよい。
【0044】
5-4.エレベーターシステム100
第一エレベーター1a及び第二エレベーター1bの動作が、遠隔地等に配置されたサーバによって監視されている場合、エレベーターシステム100は、第一動作信号及び第二動作信号を当該サーバから通信ネットワークを介して制御装置30に送信するように構成されていてもよい。なお、通信ネットワークは、インターネット又は近距離無線通信、等の汎用の通信方式を採用し得る。
【0045】
制御装置30の機能配置に限定はない。すなわち、制御装置30の機能の一部又は全部は、第一制御盤40a又は第二制御盤40bに配置されていてもよい。また、第一エレベーター1a及び第二エレベーター1bの動作が遠隔地等に配置されたサーバによって監視されている場合、制御装置30の機能の一部又は全部は、当該サーバに配置されていてもよい。
【0046】
5-5.仕切り板22
仕切り板22の構成に限定はない。すなわち、仕切り板22は、基板18と表示板14の表面14dとの間のエリアを、第一光源群20aが配置されている側と第二光源群20bが配置されている側とに区画することができる範囲において、種々の材料及び構成を採用し得る。
【0047】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0048】
(付記1)
第一エレベーター及び第二エレベーターが隣り合うエレベーターホールにおいて、前記第一エレベーターと前記第二エレベーターとの間の壁面に設置されたエレベーターのホールランタンであって、
前記壁面から水平方向に突出して設けられた直方体の導光体と、
前記導光体の内部へ光を照射する複数の光源と、
前記複数の光源から照射される光を制御する制御装置と、を備え、
前記導光体は、
前記複数の光源の光が入射される裏面と、
前記裏面と向かい合い、前記複数の光源の光の透過を遮蔽する表面と、
前記第一エレベーターの側に面する第一側面と、
前記第二エレベーターの側に面する第二側面と、を含み、
前記複数の光源は、
前記第一側面を発光させる第一光源群と、
前記第二側面を発光させる第二光源群と、を含み、
前記制御装置は、
前記第一エレベーターのかごの移動方向を含む第一動作信号に基づいて前記第一光源群を発光させ、
前記第二エレベーターのかごの移動方向を含む第二動作信号に基づいて前記第二光源群を発光させる
ように構成されるエレベーターのホールランタン。
(付記2)
前記第一光源群は、前記複数の光源のうち、前記第一側面の側において上下方向に沿って並んだ三個以上の光源を含み、
前記第二光源群は、前記複数の光源のうち、前記第二側面の側において上下方向に沿って並んだ三個以上の光源を含み、
前記制御装置は、
前記第一動作信号に含まれる前記第一エレベーターのかごの移動方向を表す第一発光パターンに従い前記第一光源群を発光させるように構成され、
前記第二動作信号に含まれる前記第二エレベーターのかごの移動方向を表す第二発光パターンに従い前記第二光源群を発光させるように構成される
付記1に記載のエレベーターのホールランタン。
(付記3)
前記第一発光パターンは、
前記第一光源群の光源を上下方向の下側から上側に向かって順に積み重ねて発光させる第一上り発光パターンと、
前記第一光源群の光源を上下方向の上側から下側に向かって順に積み重ねて発光させる第一下り発光パターンと、を含み、
前記制御装置は、
前記第一動作信号に含まれる前記移動方向が上り方向である場合、前記第一上り発光パターンに従い前記第一光源群を発光させるように構成され、
前記第一動作信号に含まれる前記移動方向が下り方向である場合、前記第一下り発光パターンに従い前記第一光源群を発光させるように構成される
付記2に記載のエレベーターのホールランタン。
(付記4)
前記第二発光パターンは、
前記第二光源群を上下方向の下側から上側に向かって順に積み重ねて発光させる第二上り発光パターンと、
前記第二光源群を上下方向の上側から下側に向かって順に積み重ねて発光させる第二下り発光パターンと、を含み、
前記制御装置は、
前記第二動作信号に含まれる前記移動方向が上り方向である場合、前記第二上り発光パターンに従い前記第二光源群を発光させるように構成され、
前記第二動作信号に含まれる前記移動方向が下り方向である場合、前記第二下り発光パターンに従い前記第二光源群を発光させるように構成される
付記2又は付記3に記載のエレベーターのホールランタン。
(付記5)
前記第一光源群と前記第二光源群との間を区画するように設けられた仕切り板を更に備える付記1から付記4の何れか1項に記載のエレベーターのホールランタン。
(付記6)
第一エレベーター及び第二エレベーターが隣り合うエレベーターホールにおいて、前記第一エレベーターと前記第二エレベーターとの間の壁面に設置されたエレベーターのホールランタンを有するエレベーターシステムであって、
前記ホールランタンは、
前記壁面から水平方向に突出して設けられた直方体の導光体と、
前記導光体の内部へ光を照射する複数の光源と、を備え、
前記導光体は、
前記複数の光源の光が入射される裏面と、
前記裏面と向かい合い、前記複数の光源の光の透過を遮蔽する表面と、
前記第一エレベーターの側に面する第一側面と、
前記第二エレベーターの側に面する第二側面と、を含み、
前記複数の光源は、
前記第一側面を発光させる第一光源群と、
前記第二側面を発光させる第二光源群と、を含み、
前記エレベーターシステムは、
前記第一エレベーターのかごの移動方向を含む第一動作信号と、前記第二エレベーターのかごの移動方向を含む第二動作信号と、を取得する信号取得部と、
前記第一動作信号に基づいて前記第一光源群を発光させ、前記第二動作信号に基づいて前記第二光源群を発光させる発光処理部と、
を備えるエレベーターシステム。
(付記7)
前記エレベーターシステムは、
前記第一エレベーターの動作を制御する第一制御盤と、
前記第二エレベーターの動作を制御する第二制御盤と、を含み、
前記信号取得部は、
前記第一制御盤から前記第一動作信号を取得し、前記第二制御盤から前記第二動作信号を取得する
ように構成される付記6に記載のエレベーターシステム。
【符号の説明】
【0049】
1a 第一エレベーター、 1b 第二エレベーター、 2 乗場、 4a,4b 乗場扉、 6 壁面、 8a,8b 乗場押しボタン、 10 ホールランタン、 12 表板、 14 表示板、 14a 第一側面、 14b 第二側面、 14c 裏面、 14d 表面、 16 ケース、 18 基板、 20 光源、 20a 第一光源群、 20b 第二光源群、 22 仕切り板、 30 制御装置、 32 プロセッサ、 34 メモリ、 36 専用ハードウェア、 38 処理回路、 40a 第一制御盤、 40b 第二制御盤、 100 エレベーターシステム、 321 信号取得部、 322 発光処理部、 341 プログラム、 342 データ
【要約】
【課題】2機のエレベーターが隣り合うエレベーターホールにおいて、2機分のエレベーターの運行状況を、ユーザに誤認されることなく、1台のホールランタンによって表示する。
【解決手段】第一エレベーターと第二エレベーターとの間の壁面に設置されるホールランタンは、壁面から水平方向に突出して設けられた直方体の導光体と、複数の光源と、制御装置と、を備える。導光体は、複数の光源の光が入射される裏面と向かい合い、複数の光源の光の透過を遮蔽する表面と、第一エレベーターの側に面する第一側面と、第二エレベーターの側に面する第二側面と、を含む。複数の光源は、第一側面を発光させる第一光源群と、第二側面を発光させる第二光源群と、を含む。制御装置は、第一エレベーターの第一動作信号に基づいて第一光源群を発光させ、第二エレベーターの第二動作信号に基づいて第二光源群を発光させる。
【選択図】図2
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