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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】車両の車体構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20240625BHJP
   B60R 3/00 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
B62D25/20 F
B60R3/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023510743
(86)(22)【出願日】2022-03-08
(86)【国際出願番号】 JP2022009871
(87)【国際公開番号】W WO2022209615
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】P 2021056887
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177460
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 智子
(72)【発明者】
【氏名】山西 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】武本 頼人
(72)【発明者】
【氏名】今村 伊佐博
(72)【発明者】
【氏名】増田 昇司
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 基司
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-155359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/20
B60R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャシフレームの上にボディが弾性支持された車両の車体構造であって、
前記シャシフレームの車幅方向両側において車両前後方向に延びる一対のサイドメンバと、
前記ボディの車幅方向両側において車両前後方向に沿って設けられ、前記サイドメンバの車幅方向外側側面に対向するサイドシルと、
前記サイドシルの車幅方向内側側面に車幅方向内側に向かって突設され、前記サイドメンバの車幅方向外側側面と対向する箱形状のブラケットと、
前記サイドシルの車幅方向外側に設けられ、支持アームを介して前記ボディに支持されるサイドステップと、を備え、
前記支持アームは、前記サイドステップから車幅方向内側に延びて前記ブラケットに固定されており、
前記サイドメンバの車幅方向外側側面に車幅方向外側に向かって突設され、前記ブラケットと車両前後方向で対向配置され、前後衝突時に前記ブラケットと当接されて前後方向でのボディの移動を規制するストッパ部を備える
ことを特徴とする車両の車体構造。
【請求項2】
前記ボディ内でフロアパネルに沿って車幅方向に延びるクロスメンバを備え、
前記ブラケットは、前記クロスメンバの位置と上下方向で重なる位置に設けられ、前記フロアパネルを挟んで前記クロスメンバに連結されている
ことを特徴とする請求項1に記載の車両の車体構造。
【請求項3】
前記ブラケットは、前記フロアパネルの下面に接合される上部フランジ部を有し、
前記クロスメンバは、前記フロアパネルの上面と接合される前後フランジ部を有し、
前記上部フランジ部と、前記前後フランジ部の少なくとも一方が前記フロアパネルを挟んで対向した状態で前記フロアパネルに接合される
ことを特徴とする請求項に記載の車両の車体構造。
【請求項4】
前記ブラケットは、
前記サイドシルの車幅方向内側側面と対向する面が少なくとも開口した箱形状の外殻部材と、
前記外殻部材の内部に嵌まり、前記外殻部材の車両前後方向前側の前板部と後側の後板部の間に亘って設けられ、前記前板部と前記後板部の間隔を確保するべく補強する内殻部材と、
を有する、
ことを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の車両の車体構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、前後方向に延びるフレームの上にボディが搭載された車両が開示されている。かかる車両は、ボディの床面を構成するフロアパネルの運転室側に設けられたシートクロスメンバに対向して該フロアパネルの下面に配置され、該フロアパネル及びサイドシルに固着される閉断面形状のガセットと、該ガセットの前方側に対向し、該ガセットとキックアップ部との間のフレームに固設される閉断面形状のストッパと、を具備する。このように車両を構成することによって、車両前面衝突時のフレームに加わる衝撃力をボディに伝達することを図っている。さらに、閉断面形状に構成されたガセットがシートを支持するシートクロスメンバの剛性、しいてはフロアパネル、ボディ全体の剛性を高めることを図っている。これにより、車両が側面衝突しても、その侵入を抑え、乗員空間を保全し、安全に寄与することを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特許第3508317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1が開示する車両では、車両側面衝突時やポール側面衝突時にサイドシルからガセットを介してフレームに衝撃が伝わるので、車両側面衝突時やポール側面衝突時における衝撃を緩和することができない。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、車両側面衝突時やポール側面衝突時における衝撃を緩和することができる車両の車体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の少なくとも一実施形態に係る車両の車体構造は、シャシフレームの上にボディが弾性支持された車両の車体構造であって、前記シャシフレームの車幅方向両側において車両前後方向に延びる一対のサイドメンバと、前記ボディの車幅方向両側において車両前後方向に沿って設けられ、前記サイドメンバの車幅方向外側側面に対向するサイドシルと、前記サイドシルの車幅方向内側側面に車幅方向内側に向かって突設され、前記サイドメンバの車幅方向外側側面と対向する箱形状のブラケットと、前記サイドシルの車幅方向外側に設けられ、支持アームを介して前記ボディに支持されるサイドステップと、を備え、前記支持アームは、前記サイドステップから車幅方向内側に延びて前記ブラケットに固定されている。
【0007】
上記の構成によれば、支持アームは、サイドステップから車幅方向内側に延びてブラケットに固定されているので、ブラケットがサイドステップの取付基部として機能する。よって、車両の側面衝突時やポール側面衝突時における衝撃は、サイドステップ、支持アーム及びブラケットによって吸収することができる。
【0008】
本発明の一実施形態に係る車両の車体構造は、上記の構成において、前記サイドメンバの車幅方向外側側面に車幅方向外側に向かって突設され、前記ブラケットと車両前後方向で対向配置され、前後衝突時に前記ブラケットと当接されて前後方向でのボディの移動を規制するストッパ部を備える。
【0009】
上記の構成によれば、ストッパ部がサイドメンバの車幅方向外側側面に車幅方向外側に向かって突設され、ブラケットと車両前後方向で対向配置されるので、車両の前後衝突時にストッパ部がブラケットと当接されて前後方向でのボディの移動を規制する。これにより、車両の前後衝突時における衝撃は、ストッパ部によって吸収することができる。
【0010】
本発明の一実施形態に係る車両の車体構造は、上記の構成において、前記ボディ内でフロアパネルに沿って車幅方向に延びるクロスメンバを備え、前記ブラケットは、前記クロスメンバの位置と上下方向で重なる位置に設けられ、前記フロアパネルを挟んで前記クロスメンバに連結されている。
【0011】
上記の構成によれば、ブラケットは、クロスメンバの位置と上下方向で重なる位置に設けられ、フロアパネルを挟んでクロスメンバに連結されているので、ブラケットが突設される位置の剛性が高まり、車両の側面衝突時やポール側面衝突時のボディの変形を抑制できる。
【0012】
本発明の一実施形態に係る車両の車体構造は、上記の構成において、前記ブラケットは、前記フロアパネルの下面に接合される上部フランジ部を有し、前記クロスメンバは、前記フロアパネルの上面と接合される前後フランジ部を有し、前記上部フランジ部と、前記前後フランジ部の少なくとも一方が前記フロアパネルを挟んで対向した状態で前記フロアパネルに接合される。
【0013】
上記の構成によれば、前記上部フランジ部と、前記前後フランジ部の少なくとも一方が前記フロアパネルを挟んで対向した状態で前記フロアパネルに接合されるので、ブラケットが突設される位置の剛性が一層高まり、車両の側面衝突時やポール側面衝突時のボディの変形を一層抑制できる。
【0014】
本発明の一実施形態に係る車両の車体構造は、上記の構成において、前記ブラケットは、前記サイドシルの車幅方向内側側面と対向する面が少なくとも開口した箱形状の外殻部材と、前記外殻部材の内部に嵌まり、前記外殻部材の車両前後方向前側の前板部と後側の後板部の間に亘って設けられ、前記前板部と前記後板部の間隔を確保するべく補強する内殻部材と、を有する。
【0015】
上記の構成によれば、ブラケットは、外殻部材と、外殻部材の内部に嵌まる内殻部材とを有するので、ブラケットの剛性が高まり、車両の側面衝突時やポール側面衝突時におけるブラケットの変形を抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の少なくとも一実施形態に係る車両の車体構造によれば、車両側面衝突時やポール側面衝突時における衝撃を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る車両の車体構造の要部と該車体構造が備えるサイドステップを示す斜視図である。
図2図1に示した車体構造の要部を車両下方から視た下面図である。
図3図2に示した車体構造の要部を車両下方から視た斜視図である。
図4図3に示した車体構造の要部を車両下方から視た下面図である。
図5】本発明の実施形態に係る車両の車体構造の要部を斜め上方から視た斜視図である。
図6図5に示したVI-VI線断面図である。
図7図5に示したVII-VII線断面図である。
図8図5に示したVIII-VIII線断面図である。
図9】本発明の実施形態に係る車両の車体構造のブラケットの構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態に係る車両の車体構造ついて説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る車両の車体構造1の要部と該車体構造1が備えるサイドステップ2を示す斜視図である。図2は、図1に示した車体構造1の要部を車両下方から視た下面図である。
【0020】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る車両の車体構造1では、車両幅方向両側にサイドステップ2が取り付けられる。サイドステップ2は、ボディ3に設けられたキャビン(車室)4に乗員が乗り込む際に足を掛けるステップ(踏み台)であり、ボディ3に設けられたドア開口3aの下方域において車両前後方向に沿って取り付けられる。
【0021】
図2に示すように、本発明の実施形態に係る車両の車体構造1は、車両前後方向に沿って延びるシャシフレーム5の上にボディ3が弾性支持される車両である。車両前後方向に沿って延びるシャシフレーム5は、梯子状のラダーフレームである。シャシフレーム5は、車幅方向両側において車両前後方向に延びる一対のサイドメンバ51,51と、一対のサイドメンバ51,51に架け渡される複数のクロスメンバ52と、を含む。サイドメンバ51は、例えば、断面が矩形の角筒状であって、車幅方向外側となる側面(以下「車幅方向外側側面」という)は平坦面で構成される。ボディ3は、シャシフレーム5よりも車幅方向に幅広である。シャシフレーム5の上方域には、キャビン4が設けられる。
【0022】
ボディ3は、一対のサイドシル31,31とフロアパネル32とを含む。一対のサイドシル31,31は、ドア開口3aの下縁部を構成する敷居(シル)である。一対のサイドシル31,31は、本発明の実施形態に係る車両の車体構造1では、シャシフレーム5の車幅方向外側に設けられ、シャシフレーム5(サイドメンバ51)の車幅方向外側側面に間隔を空けて対向する。サイドシル31は、例えば、中空の筒をなすように鋼板が溝型に折り曲げられた一対の部材が向かい合うように接合されて構成される。サイドシル31は、例えば、断面が二つの台形を組み合わせた六角形の角筒状であって車幅方向内側となる側面(以下「車幅方向内側側面」という)は平坦面で構成される。フロアパネル32は、キャビン4の床を構成するパネルであり、車幅方向両側に設けられた一対のサイドシル31,31に架け渡される。
【0023】
図2に示すように、本発明の実施形態に係る車両の車体構造1では、サイドステップ2は車両前後方向三箇所でボディ3に対して取り付けられる。車両前後方向三箇所のうち車両前後方向前方側と後方側の二箇所は、支持アーム21,21を介してサイドシル31の車幅方向内側側面に取り付けられ、残りの一箇所は、支持アーム22を介してブラケット6に取り付けられる。
【0024】
ブラケット6は、サイドシル31の車幅方向内側側面に車幅方向内側に向かって突設される。ブラケット6は、シャシフレーム5の車幅方向外側側面と間隙を空けて対向する箱形状のブラケットである。上記間隙は、例えば、10mmであり、車両の側面衝突やポール側面衝突により、シャシフレーム5に対してボディ3(サイドシル31)が車幅方向に10mm移動するとブラケット6がシャシフレーム5に当接(衝突)する。
【0025】
ブラケット6は、サイドシル31の車幅方向内側側面に対して固定されるが、フロアパネル32の下面に対しても固定される。これにより、サイドステップ2は、サイドシル31の車幅方向外側下方域に車両前後方向に沿って設けられる。
【0026】
そして、支持アーム22は、サイドステップ2から車幅方向内側に延びてブラケット6に固定されている。
【0027】
上述した本発明の実施形態に係る車両の車体構造1によれば、支持アーム22は、サイドステップ2から車幅方向内側に延びてブラケット6に固定されているので、ブラケット6がサイドステップ2の基部として機能する。よって、車両の側面衝突時やポール側面衝突時における衝撃は、サイドステップ2、支持アーム22及びブラケット6によって吸収することができる。
【0028】
図3は、図2に示した車体構造1の要部を車両下方から視た斜視図である。図4は、図3に示した車体構造1の要部を車両下方から視た下面図である。
【0029】
図3に示すように、本発明の実施形態に係る車両の車体構造1では、シャシフレーム5の車幅方向外側側面にストッパ部7が設けられている。ストッパ部7は、車幅方向外側に向かって突設され、ブラケット6の車両前後方向前面又は後面の少なくとも一方と隙間を空けて対向配置される。したがって、ストッパ部7は、前後衝突時にブラケット6と当接して前後方向でのボディの移動を規制する(図4参照)。
【0030】
図3及び図4に示す車体構造1では、ストッパ部7は、ブラケット6の車両前後方向前面と後面の両方に隙間を空けて対向するように設けられる。上記間隙は、例えば、10mmであり、車両の前面衝突や後面衝突により、シャシフレーム5に対してボディ3が車両前後方向に10mm移動すると、ブラケット6がストッパ部7に当接(衝突)する。
【0031】
ストッパ部7は、ブラケット6の車両前方側に設けられるストッパ部71(以下「前方側ストッパ部71」という)と、後方側に設けられるストッパ部72(以下「後方側ストッパ部72」という)と、を含む。
【0032】
前方側ストッパ部71は、シャシフレーム5の車幅方向外側側面に対向する面が開口した略立方体の箱形状である。前方側ストッパ部71は、開口の周りに設けられたフランジ部711,712,713によってシャシフレーム5の車幅方向外側面に対して固定される。前方側ストッパ部71は、例えば、一様な厚みを有する鋼板を折り曲げることにより構成され、例えば、スポット溶接によってシャシフレーム5の車幅方向外側面に溶着され固定される。
【0033】
後方側ストッパ部72は、シャシフレーム5の車幅方向側面に対応する面が開口した下面視略直角三角形の箱形状である。後方側ストッパ部72は、開口の周りに設けられたフランジ部721によってシャシフレーム5の車幅方向外側面に対して固定される。後方側ストッパ部72は、例えば、一様な厚名を有する鋼板を折り曲げることにより構成され、例えば、スポット溶接によってシャシフレーム5の車幅方向外側面に溶着され固定される。
【0034】
上述した本発明の実施形態に係る車両の車体構造1によれば、ストッパ部7がサイドメンバ51の車幅方向側面に車幅方向外側に向かって突設され、ブラケット6と車両前後方向で対向配置されるので、車両の前後衝突時にストッパ部7がブラケット6と当接されて前後方向でのボディ3の移動を規制する。これにより、車両の前後衝突時における衝撃はストッパ部7によって吸収することができる。
【0035】
図5は、本発明の実施形態に係る車両の車体構造1の要部を車外上方から視た斜視図である。図6は、図5に示したVI-VI線断面図、図7は、図5に示したVII-VII正断面図、図8は、図5に示したVIII-VIII線断面図である。
【0036】
図5に示すように、本発明の実施形態に係る車両の車体構造1は、ボディ3内でフロアパネル32に沿って車幅方向に延びるクロスメンバ41を備える。そして、ブラケット6は、クロスメンバ41の位置と上下方向で重なる位置に設けられ、フロアパネル32を挟んでクロスメンバ41に連結されている。これにより、ブラケット6とクロスメンバ41とで閉断面が形成される。
【0037】
上述した本発明の実施形態に係る車両の車体構造1によれば、ブラケット6は、クロスメンバ41の位置と上下方向で重なる位置に設けられ、フロアパネル32を挟んでクロスメンバ41と連結されているので、ブラケット6が突設される位置の剛性が高まり、車両の側面衝突時やポール側突時のボディ3の変形を抑制できる。
【0038】
図6から図8に示すように、本発明の実施形態に係る車両の車体構造1では、ブラケット6は、サイドシル31の内側側面に対向する面及びフロアパネル32の下面に対向する面が開口した箱形状である。ブラケット6は、サイドシル31に対向する開口の車両前後方向両側に設けられたフランジ部60a(図9参照),60bによってサイドシル31に固定され、フロアパネル32に対向する開口の車両前後方向後側に設けられたフランジ部60c,60dによってフロアパネル32に固定される。
【0039】
本発明の実施形態に係る車両の車体構造1では、ブラケット6は、上述したように、フロアパネル32の下面に接合されるフランジ部(以下「上部フランジ部」という)60c,60dを有し、クロスメンバ41は、フロアパネル32の上面と接合される前後フランジ部41a,41bを有する。そして、上部フランジ部60c,60dと前後フランジ部41a,41bの少なくとも一方がフロアパネル32挟んで対向した状態でフロアパネル32に接合される(図8参照)。
【0040】
上述した本発明の実施形態に係る車両の車体構造1によれば、上部フランジ部60c,60dと前後フランジ部41a,41bの少なくとも一方がフロアパネル32を挟んで対向した状態でフロアパネル32に接合される。したがって、ブラケット6が突設される位置の剛性が一層高まり、車両の側面衝突時やポール側面衝突時のボディ3の変形を一層抑制できる。
【0041】
図9は、本発明の実施形態に係る車両の車体構造1のブラケット6の構成を示す分解斜視図である。
【0042】
図9に示すように、本発明の実施形態に係る車両の車体構造1では、ブラケット6は、外殻部材61と内殻部材62とを有する。
【0043】
外殻部材61は、ブラケット6の外観を構成する部材である。外殻部材61は、サイドシル31の車幅方向内側側面と対向する面が少なくとも開口した箱形状である。図9に示す外殻部材61は、さらにフロアパネル32の下面と対向する面が開口している。外殻部材61は、例えば、一様な厚みを有する鋼板をプレス加工した後、折り曲げ加工することにより構成され、車両前後方向前側の前板部61aに設けられたフランジ部61a1と後側の後板部61bに設けられたフランジ部61b2とが車両前後方向に沿って設けられた側板部61cにスポット溶接により接合されている。そして、外殻部材61は、サイドシル31に対向する開口の車両前後方向両側に設けられたフランジ部61a2,61b2によってサイドシル31に固定され、フロアパネル32に対向する開口の車両前後方向前側と後側に設けられたフランジ部61a3,61b3によってフロアパネル32に固定される。
【0044】
内殻部材62は、外殻部材61の内部に嵌まり、外殻部材61の車両前後方向前側の前板部61aと後側の後板部61bの間に亘って設けられ、前板部61aと後板部61bの間隔を確保するべく補強する。内殻部材62は、車両高さ方向に離隔した上板部62aと下板部62b、並びに、上板部62aと下板部62bとを接続する側板部62cを有している。内殻部材62は、例えば、一様な厚みを有する鋼板をプレス加工した後、折り曲げ加工することにより構成され、上板部62aの車両前後方向両側にそれぞれ設けられたフランジ部62a1,62a2及び下板部62bの車両前後方向両側にそれぞれ設けられたフランジ部62b1,62b2は、それぞれ外殻部材61の前板部61a又は後板部61bに接合されている。そして、内殻部材62の下板部62bに設けられた凸部62b3と外殻部材61の底板部61dに設けられた凹部61d1が重なり、内殻部材62の下板部上面に溶着されたナット63が支持アーム22を貫通したボルト221の取付先となる。
【0045】
上述した本発明の実施形態に係る車両の車体構造1によれば、ブラケット6は、外殻部材61と、外殻部材61の内部に嵌まる内殻部材62とを有するので、ブラケット6の剛性が高まり、車両の側面衝突時やポール側面衝突時におけるブラケット6の変形を抑制できる。
【0046】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0047】
本出願は、2021年3月30日出願の日本特許出願2021-056887に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【符号の説明】
【0048】
1 車体構造
2 サイドステップ
21,22 支持アーム
221 ボルト
3 ボディ
3a ドア開口
31 サイドシル
32 フロアパネル
4 キャビン
41 クロスメンバ
5 シャシフレーム
51 サイドメンバ
52 クロスメンバ
6 ブラケット
60a,60b,60c,60d フランジ部
61 外殻部材
61a 前板部
61a1,61a2,61a3 フランジ部
61b 後板部
61b1,61b2,61b3 フランジ部
61c 側板部
61d 底板部
61d1 凹部
62 内殻部材
62a 上板部
62a1,62a2 フランジ部
62b 下板部
62b1,62b2 フランジ部
62b3 凸部
62c 側板部
63 ナット
7 ストッパ部
71 前方側ストッパ部
711,712,713 フランジ部
72 後方側ストッパ部
721 フランジ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9