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特許7509320エレベーターのカメラの調整支援システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】エレベーターのカメラの調整支援システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 11/02 20060101AFI20240625BHJP
   B66B 5/00 20060101ALI20240625BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
B66B11/02 P
B66B5/00 G
B66B3/00 R
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2023525257
(86)(22)【出願日】2021-06-02
(86)【国際出願番号】 JP2021021072
(87)【国際公開番号】W WO2022254629
(87)【国際公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】志賀 諭
(72)【発明者】
【氏名】平井 敬秀
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 清高
(72)【発明者】
【氏名】清水 彰一
【審査官】山田 拓実
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/208847(WO,A1)
【文献】特開2008-288869(JP,A)
【文献】特開2020-186114(JP,A)
【文献】特開昭63-123782(JP,A)
【文献】特開2009-143722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00-5/28;
11/00-11/08
G06T 7/70-7/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの昇降路において走行するかごに設けられたカメラが撮影する画像を取得する画像取得部と、
前記昇降路において前記カメラに撮影される校正パターンを表面に示す提示部と、
前記画像取得部が取得した画像において前記校正パターンを検出する検出部と、
前記検出部が検出した前記校正パターンを示している前記提示部の前記表面の法線の、前記カメラの光軸に対する傾きに基づいて、前記カメラの姿勢を算出する姿勢算出部と、
前記提示部と一体に設けられ、前記かごの走行方向に対する前記提示部の前記法線の傾きを測定する測定部と、
を備えるエレベーターのカメラの調整支援システム。
【請求項2】
前記姿勢算出部は、前記測定部の測定する傾きが前記かごの走行方向に対して予め設定された算出範囲内の傾きであるときに前記カメラが撮影した画像に基づいて、前記カメラの姿勢として前記かごの走行方向に対する前記カメラの傾きを算出する
請求項1に記載のエレベーターのカメラの調整支援システム。
【請求項3】
前記姿勢算出部は、前記検出部が前記校正パターンを検出した画像が前記カメラに撮影されたときに前記測定部が測定した前記提示部の傾きに基づいて、前記カメラの姿勢として前記かごの走行方向に対する前記カメラの傾きを算出する
請求項1に記載のエレベーターのカメラの調整支援システム。
【請求項4】
前記測定部の測定する傾きが前記かごの走行方向に対して予め設定された報知範囲内の傾きであるか否かの情報を、音声によって報知する報知部
を備える
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のエレベーターのカメラの調整支援システム。
【請求項5】
前記測定部の測定する傾きを表す情報の信号を、前記カメラの調整作業を行う作業員が視認しうるディスプレイに出力する表示制御部
を備える
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエレベーターのカメラの調整支援システム。
【請求項6】
前記提示部は、前記表面に予め付された画像によって前記校正パターンを示す
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエレベーターのカメラの調整支援システム。
【請求項7】
画像を表す信号を出力する表示制御部と、
前記表示制御部が出力する信号に基づいて画像を表示するディスプレイと、
を備える
請求項6に記載のエレベーターのカメラの調整支援システム。
【請求項8】
前記ディスプレイは、前記提示部の前記表面の反対側に配置される
請求項7に記載のエレベーターのカメラの調整支援システム。
【請求項9】
前記校正パターンを表す信号を出力する表示制御部
を備え、
前記提示部は、前記表示制御部が出力する信号に基づく表示によって前記校正パターンを前記表面に示すディスプレイである
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエレベーターのカメラの調整支援システム。
【請求項10】
前記表示制御部は、前記検出部による前記校正パターンの検出の成否を表す信号を前記ディスプレイに出力する
請求項7から請求項9のいずれか一項に記載のエレベーターのカメラの調整支援システム。
【請求項11】
前記表示制御部は、前記カメラの姿勢が予め設定された目標姿勢であるときに前記カメラが撮影した過去の画像、および前記カメラが撮影している現在の画像を重ねて前記ディスプレイに出力する
請求項7から請求項10のいずれか一項に記載のエレベーターのカメラの調整支援システム。
【請求項12】
前記表示制御部は、前記カメラの姿勢を前記姿勢算出部が直前に算出したときに用いられた、前記カメラが撮影した過去の画像、および前記カメラが撮影している現在の画像を重ねて前記ディスプレイに出力する
請求項7から請求項10のいずれか一項に記載のエレベーターのカメラの調整支援システム。
【請求項13】
前記姿勢算出部が算出する前記カメラの姿勢および予め設定された目標姿勢の差異に基づいて、前記カメラの姿勢の異常を判定する判定部
を備える
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のエレベーターのカメラの調整支援システム。
【請求項14】
前記姿勢算出部が算出する前記カメラの姿勢に基づいて、前記カメラの姿勢を予め設定された目標姿勢に調整する調整量を算出する調整量算出部
を備える
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のエレベーターのカメラの調整支援システム。
【請求項15】
前記カメラの調整作業を行う作業員に保持される持ち手と、
前記持ち手に取り付けられ、前記かごの走行方向に対する前記提示部の前記法線の傾きを維持するように前記提示部を保持するスタビライザーと、
を備える
請求項1から請求項14のいずれか一項に記載のエレベーターのカメラの調整支援システム。
【請求項16】
前記提示部は、前記昇降路の下端部において前記かごの下方に配置されたバッファに前記カメラの調整作業の際に載せるバッファキャップの頂部に配置される
請求項1から請求項15のいずれか一項に記載のエレベーターのカメラの調整支援システム。
【請求項17】
前記提示部は、前記昇降路の下端部において前記かごの下方に配置されたバッファに前記カメラの調整作業の際に載せるバッファキャップであり、頂部において前記表面に予め付された画像によって前記校正パターンを示す
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のエレベーターのカメラの調整支援システム。
【請求項18】
前記カメラが撮影する画像から前記検出部が前記バッファキャップの頂部において検出する前記校正パターンの当該画像上の位置に基づいて、前記カメラの前記バッファに対する位置を算出する位置算出部
を備える請求項16または請求項17に記載のエレベーターのカメラの調整支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーターのカメラの調整支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターの例を開示する。エレベーターにおいて、かごの下方にカメラが取り付けられる。カメラによって、昇降路の内部が撮影される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本特開昭63-123782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のエレベーターのカメラの姿勢について、予め設定された目標姿勢からのずれが生じる場合がある。このとき、昇降路の内部の撮影対象がカメラの視野の外になる可能性があるので、カメラの姿勢を調整する必要がある。一方、カメラ本体の外観および撮影画像の目視のみでは、カメラの姿勢が調整されたかの判断が難しい場合がある。
【0005】
本開示は、このような課題の解決に係るものである。本開示は、エレベーターのカメラの姿勢が調整されたかをより容易に判断できる調整支援システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るエレベーターのカメラの調整支援システムは、エレベーターの昇降路において走行するかごに設けられたカメラが撮影する画像を取得する画像取得部と、前記昇降路において前記カメラに撮影される校正パターンを表面に示す提示部と、前記画像取得部が取得した画像において前記校正パターンを検出する検出部と、前記検出部が検出した前記校正パターンを示している前記提示部の前記表面の法線の、前記カメラの光軸に対する傾きに基づいて、前記カメラの姿勢を算出する姿勢算出部と、前記提示部と一体に設けられ、前記かごの走行方向に対する前記提示部の前記法線の傾きを測定する測定部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る調整支援システムによれば、エレベーターのカメラの姿勢が調整されたかをより容易に判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係るエレベーターの構成図である。
図2】実施の形態1に係る調整支援システムの構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態1に係る調整支援システムを利用したカメラの姿勢の調整の例を示す図である。
図4】実施の形態1に係る調整支援システムを利用したカメラの姿勢の調整の例を示す図である。
図5】実施の形態1に係る調整支援システムの動作の例を示すフローチャートである。
図6】実施の形態1に係る調整支援システムの主要部のハードウェア構成図である。
図7】実施の形態2に係る調整支援システムの構成を示すブロック図である。
図8】実施の形態2に係る調整支援システムの動作の例を示すフローチャートである。
図9】実施の形態3に係る調整支援システムの動作の例を示すフローチャートである。
図10】実施の形態4に係る調整支援システムの構成を示すブロック図である。
図11】実施の形態4に係る調整支援システムを利用したカメラの姿勢の調整の例を示す図である。
図12】実施の形態5に係る携帯端末の斜視図である。
図13】実施の形態6に係る調整支援システムの構成を示すブロック図である。
図14】実施の形態6に係る調整支援システムを利用したカメラの姿勢の調整の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の対象を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。なお、本開示の対象は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態の任意の構成要素の変形、または実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベーター1の構成図である。
【0011】
エレベーター1は、複数の階床を有する建物などに適用される。エレベーター1が適用される建物において、昇降路2が設けられる。昇降路2は、複数の階床にわたる空間である。昇降路2の上方において、機械室3が設けられる。昇降路2の下端部において、ピット4が設けられる。各々の階床において、乗場5が設けられる。乗場5は、昇降路2に隣接する場所である。各々の階床の乗場5において、図示されない乗場出入口が設けられる。乗場出入口は、昇降路2に通じる開口である。乗場出入口において、乗場ドア6が設けられる。乗場ドア6は、乗場5および昇降路2を区画するドアである。エレベーター1は、巻上機7と、主ロープ8と、かご9と、釣合い錘10と、制御盤11と、を備える。
【0012】
巻上機7は、例えば機械室3に配置される。例えばエレベーター1の機械室3が設けられない場合などに、巻上機7は、昇降路2の上部または下部などに配置されてもよい。巻上機7は、トルクを発生させるモーターと、当該モーターに回転駆動されるシーブと、を備える。
【0013】
主ロープ8は、巻上機7のシーブに巻き掛けられる。主ロープ8は、巻上機7のシーブの一方側においてかご9の荷重を支持する。主ロープ8は、巻上機7のシーブの他方側において釣合い錘10の荷重を支持する。巻上機7のシーブの一方側において主ロープ8にかかるかご9の荷重との釣合いは、巻上機7のシーブの他方側において主ロープ8にかかる釣合い錘10の荷重によって取られる。主ロープ8は、巻上機7のモーターが発生させるトルクによって、かご9側または釣合い錘10側のいずれか一方側が巻上機7のシーブに巻き上げられるように移動する。
【0014】
かご9は、昇降路2を走行方向に走行することで、かご9の内部に乗車しているエレベーター1の利用者などを複数の階床の間で輸送する装置である。この例において、かご9の走行方向は、鉛直方向である。かご9および釣合い錘10は、巻上機7による主ロープ8の移動に連動して、鉛直方向の互いに反対向きに昇降路2において走行する。かご9は、かごドア12を備える。かごドア12は、かご9の内部および外部を区画するドアである。かごドア12は、かご9がいずれかの階床に停止するときに、利用者などが乗降しうるように当該階床の乗場ドア6を連動させて開閉する。かご9は、カメラ13を備える。カメラ13は、昇降路2を撮影する機器である。カメラ13は、かご9の外部に取り付けられる。この例において、カメラ13は、かご9の下部に取り付けられる。カメラ13は、かご9の下方を撮影する。カメラ13の光軸は、かご9の走行方向である鉛直方向に平行に向けられる。カメラ13は、例えば、かご9において利用者などが内部に乗り込むかご室を支持するかご枠の下梁に、磁石などによって取り付けられる。このとき、下梁に取り付けられた落下防止の紐またはワイヤなどが、カメラ13に取り付けられていてもよい。
【0015】
制御盤11は、エレベーター1の動作を制御する部分である。制御盤11は、例えば機械室3に配置される。例えばエレベーター1の機械室3が設けられない場合などに、制御盤11は、昇降路2の上部または下部などに配置されてもよい。制御盤11によって制御されるエレベーター1の動作は、例えばかご9の走行などを含む。制御盤11は、エレベーター1の動作を制御しうるように、エレベーター1の状態の情報を取得する。制御盤11は、エレベーター1の状態の動作を取得しうるように、エレベーター1の機器に接続される。制御盤11に接続される機器は、例えば巻上機7および制御盤11の機器などを含む。また、制御盤11に接続される機器は、例えば乗場5または昇降路2などに設けられたセンサーまたはスイッチなどを含む。
【0016】
昇降路2において、一対の第1ガイドレール14と、一対の第2ガイドレール15と、が設けられる。一対の第1ガイドレール14は、かご9の走行を案内する機器である。一対の第1ガイドレール14は、昇降路2において、かご9の走行方向である鉛直方向に沿って平行に配置される。かご9は、一対の第1ガイドレール14の間に配置される。各々の第1ガイドレール14は、鉛直方向において複数の部分に分割されていてもよい。一対の第2ガイドレール15は、釣合い錘10の走行を案内する機器である。一対の第2ガイドレール15は、昇降路2において、釣合い錘10の走行方向である鉛直方向に沿って平行に配置される。釣合い錘10は、一対の第2ガイドレール15の間に配置される。各々の第2ガイドレール15は、鉛直方向において複数の部分に分割されていてもよい。
【0017】
ピット4において、第1バッファ16と、第2バッファ17と、が設けられる。第1バッファ16は、かご9が昇降路2の底部に衝突する場合の衝撃を緩和する装置である。第1バッファ16は、かご9の下方に配置される。第2バッファ17は、釣合い錘10が昇降路2の底部に衝突する場合の衝撃を緩和する装置である。第2バッファ17は、釣合い錘10の下方に配置される。
【0018】
エレベーター1において、遠隔監視装置18が適用される。遠隔監視装置18は、遠隔地からのエレベーター1の状態の監視などに用いられる装置である。遠隔監視装置18は、エレベーター1の状態の情報を取得しうるように、制御盤11などに接続される。遠隔監視装置18は、例えばインターネットまたは電話回線網などの通信網19を通じて、取得した情報を中央管理装置20に送信する。中央管理装置20は、エレベーター1の状態の情報の管理などを行う装置である。中央管理装置20は、例えば1つまたは複数のサーバ装置などである。中央管理装置20は、例えば情報センターなどの拠点に配置される。情報センターは、エレベーター1の情報を集約する拠点である。
【0019】
ここで、かご9に設けられたカメラ13が撮影する昇降路2の画像は、昇降路2の点検などに用いられる。昇降路2の点検は、例えば地震が発生した後の診断運転などにおける自動診断を含む。一方、かご9の走行および停止に伴ってカメラ13に繰り返し加わる振動などによって、カメラ13の姿勢に目標姿勢からのずれが生じることがある。ここで、カメラ13の姿勢は、予め設定された方向に対するカメラ13の傾きなどによって表される。カメラ13の傾きは、例えばカメラ13の光軸の傾きなどである。目標姿勢は、カメラ13について予め設定された通常時の姿勢である。目標姿勢は、例えばカメラ13の光軸がかご9の走行方向である鉛直方向に平行に向けられた姿勢である。カメラ13の姿勢に目標姿勢からのずれが生じた場合に、昇降路2の内部に配置された機器などの撮影対象がカメラ13の視野から外れる可能性がある。このとき、カメラ13が撮影する画像を用いた点検は失敗することがある。このため、エレベーター1の保守点検の作業などを行う作業員は、例えば保守点検の作業などにおいて、図1に図示されない調整支援システムを利用してカメラ13の姿勢調整の作業を行う。ここで、カメラ13の姿勢調整の作業は、例えばカメラ13の姿勢確認およびカメラ13の姿勢修正などの手順を含む。
【0020】
図2は、実施の形態1に係る調整支援システム21の構成を示すブロック図である。
【0021】
調整支援システム21において、カメラ13の撮影する画像が用いられる。カメラ13が撮影する画像は、通信網19を介して中央管理装置20に送信される。カメラ13は、例えば制御盤11および遠隔監視装置18などを通じて画像を送信してもよい。中央管理装置20において、カメラ13に撮影された画像は、当該画像が撮影された時刻と関連付けて記憶される。
【0022】
調整支援システム21は、携帯端末22を備える。携帯端末22は、例えばスマートフォンなどの可搬な情報端末である。携帯端末22は、作業員に携帯される。携帯端末22は、無線によって情報を通信する機能を搭載する。携帯端末22は、通信網19に接続される。携帯端末22は、例えばカメラ13および中央管理装置20などと時刻情報を同期している。調整支援システム21において、携帯端末22にカメラ13の調整支援プログラムがインストールされる。調整支援プログラムは、例えば携帯端末22に搭載された図示されない記憶素子などに記憶される。調整支援システム21における携帯端末22の機能は、調整支援プログラムなどによって実現される。携帯端末22は、画像取得部23と、ディスプレイ24と、表示制御部25と、検出部26と、測定部27と、姿勢算出部28と、報知部29と、判定部30と、調整量算出部31と、を備える。
【0023】
画像取得部23は、カメラ13が撮影した画像を、当該画像を記憶している中央管理装置20から取得する部分である。画像取得部23は、例えば時刻を指定して当該時刻において撮影された画像を取得する。画像取得部23は、画像が撮影された時刻として例えば現在時刻を指定する。このとき、画像取得部23は、カメラ13が撮影している画像を継続して取得してもよい。あるいは、画像取得部23は、単一の時刻についてカメラ13が撮影した画像を取得してもよい。
【0024】
ディスプレイ24は、入力される信号に基づいて情報を表示する機器である。ディスプレイ24は、例えば液晶ディスプレイパネルなどである。表示制御部25は、画像を表す信号をディスプレイ24に出力する部分である。表示制御部25は、カメラ13の姿勢の算出に用いられる校正パターンの画像などを表す信号をディスプレイ24に出力する。校正パターンは、機器を校正するために用いる規則的な模様のことである。代表的な模様として、チェッカーボードパターン、グリッドパターン、グレイコードパターン、または格子状に整列したドットパターンなどが知られている。なお、ここでの校正パターンは、平面パターン(planar reference pattern)とも呼ばれることがある。ディスプレイ24は、表示制御部25から出力された信号に基づいて、校正パターンなどの画像を表示する。このとき、ディスプレイ24は、表面に校正パターンを画面表示によって示す。ディスプレイ24は、提示部の例である。ディスプレイ24によって示される校正パターンは、作業員がディスプレイ24の表面をカメラ13に向けることで、カメラ13によって撮影される。
【0025】
検出部26は、画像取得部23が取得した画像において、ディスプレイ24などの提示部に示される校正パターンを検出する部分である。検出部26は、例えばチェッカーボードパターンのコーナー点などの校正パターンにおける特徴点を、画像処理の手法などによって検出する。
【0026】
測定部27は、ディスプレイ24などの提示部の傾きを測定する部分である。測定部27は、ディスプレイ24とともに携帯端末22に一体に搭載される加速度センサーまたは傾斜センサーなどを含む。測定部27は、ディスプレイ24と一体に設けられているので、測定部27自体の傾きは、ディスプレイ24の傾きに対応する。この例において、測定部27は、ディスプレイ24の表面の法線の鉛直方向からの傾きを測定する。ここで、測定部27は、ディスプレイ24の法線の鉛直方向に対する傾きを、他の方向に対する傾きなどから間接的に測定してもよい。
【0027】
姿勢算出部28は、画像取得部23が取得した画像における検出部26による校正パターンの検出結果などを用いて、カメラ13の姿勢を算出する部分である。姿勢算出部28は、カメラ13の姿勢として、例えばかご9の走行方向である鉛直方向に対するカメラ13の光軸の傾きなどを算出する。なお、姿勢算出部28は、カメラ13の姿勢として外部パラメータを算出してもよい。カメラ13の外部パラメータは、昇降路2などを基準とする固定された世界座標系およびカメラ13を基準とするカメラ座標系の間の変換パラメータである。
【0028】
報知部29は、携帯端末22を利用してカメラ13の調整作業を行う作業員への、音声による情報の報知を行う部分である。報知部29は、例えばスピーカなどを含む。報知部29は、例えば、測定部27の測定するディスプレイ24の法線の傾きが報知範囲内の傾きであるか否かの情報を、音声によって報知する。報知範囲は、かご9の走行方向である鉛直方向に対して予め設定された、例えばカメラ13の姿勢確認において許容されるディスプレイ24の傾きの範囲などである。報知部29は、例えば、ディスプレイ24の法線の傾きが報知範囲内にある場合に、音声を発することによって作業員に報知を行う。一方、報知部29は、ディスプレイ24の法線の傾きが報知範囲を超えている場合に、音声を発しない。これにより、作業員は、報知部29から発せられる音声の有無によって、ディスプレイ24の法線の傾きが報知範囲内の傾きであるか否かの情報を得られるようになる。あるいは、報知部29は、ディスプレイ24の法線の傾きが報知範囲を超えているか否かに基づいて異なる音声を発することで、作業員への報知を行ってもよい。
【0029】
判定部30は、姿勢算出部28が算出するカメラ13の姿勢および目標姿勢の差異に基づいて、カメラ13の姿勢の異常を判定する部分である。判定部30は、例えば姿勢算出部28が算出するカメラ13の姿勢の目標姿勢に対する傾きが予め設定された正常範囲を超えている場合に、カメラ13の姿勢の異常を判定する。判定部30は、例えばカメラ13の目標姿勢における光軸の向きと姿勢算出部28が算出するカメラ13の姿勢における光軸の向きとの角度が予め設定された角度より大きい場合に、カメラ13の姿勢の異常を判定する。あるいは、判定部30は、例えば姿勢算出部28が算出するカメラ13の姿勢の目標姿勢に対する光軸の周りの回転角が予め設定された角度より大きい場合に、カメラ13の姿勢の異常を判定してもよい。
【0030】
調整量算出部31は、姿勢算出部28が算出するカメラ13の姿勢に基づいて、カメラ13の姿勢を目標姿勢に調整する調整量を算出する部分である。調整量算出部31は、例えばカメラ13の目標姿勢における光軸の向きと姿勢算出部28が算出するカメラ13の姿勢における光軸の向きとの角度を調整量として算出する。
【0031】
続いて、図3および図4を用いて、調整支援システム21を利用したカメラ13の姿勢の調整の例を説明する。
図3および図4は、実施の形態1に係る調整支援システム21を利用したカメラ13の姿勢の調整の例を示す図である。
【0032】
図3において、調整作業中の昇降路2の斜視図が示される。
【0033】
カメラ13の調整作業において、作業員は、例えば最下階の乗場5などからピット4に入る。作業員は、ピット4において、カメラ13の姿勢を目視により確認する。このとき、カメラ13の姿勢の目標姿勢からのずれがカメラ13の外観などから確認できる場合などに、作業員は、カメラ13の姿勢の修正を行う。例えば、カメラ13が手動または自動の首振り機構を備える場合に、作業員は、首振り機構を操作することでカメラ13の姿勢の修正を行う。あるいは、カメラ13が磁石によってかご9に取り付けられている場合などに、作業員は、カメラ13のかご9への取付けを再度行うことでカメラ13の姿勢の修正を行ってもよい。カメラ13の姿勢について修正を行った後などに、作業員は、調整支援システム21を用いてカメラ13の姿勢を確認する。このとき、作業員は、携帯端末22の操作によって、調整支援システム21におけるカメラ13の姿勢確認の機能を起動する。
【0034】
表示制御部25は、鉛直方向に対するディスプレイ24の法線の傾きの測定結果を測定部27から取得する。表示制御部25は、測定部27の測定するディスプレイ24の傾きを表す画像の情報を生成する。この例において、表示制御部25の生成する画像は、目盛り32および当該目盛り32を指す矢印33によって、ディスプレイ24の縦方向および横方向の傾きを示す画像である。表示制御部25は、生成した画像および予め設定された校正パターン34の画像を表す信号をディスプレイ24に出力する。この例において、校正パターン34は、チェッカーボードパターンの画像である。この例において、ディスプレイ24の傾きを表す目盛り32および矢印33は、校正パターン34の外周に沿って配置される。
【0035】
ディスプレイ24は、表示制御部25が出力する信号に基づいて、校正パターン34およびディスプレイ24の傾きを表す画像を表示する。図3において、ディスプレイ24における表示の例が示される。
【0036】
作業員は、ディスプレイ24を視認できる高さに携帯端末22を持ちながら、ディスプレイ24を上方に向ける。このとき、作業員は、ディスプレイ24に表示された目盛り32および矢印33などを参照することで、ディスプレイ24の法線が鉛直方向に向くようにディスプレイ24の向きを調整する。すなわち、作業員は、表面が水平になるようにディスプレイ24の向きを調整する。この間に、作業員は、報知部29の音声による報知を受けながらディスプレイ24の向きを調整してもよい。
【0037】
画像取得部23は、鉛直方向に対するディスプレイ24の法線の傾きの測定結果を測定部27から取得する。画像取得部23は、測定部27の測定するディスプレイ24の法線の傾きが算出範囲内の傾きであるかを判定する。算出範囲は、かご9の走行方向である鉛直方向に対して予め設定された、例えばカメラ13の姿勢確認において許容されるディスプレイ24の傾きの範囲などである。算出範囲は、報知範囲と同一の範囲であってもよい。画像取得部23は、測定部27の測定するディスプレイ24の傾きが算出範囲内の傾きであると判定する場合に、当該測定が行われた時刻を指定して中央管理装置20からカメラ13が撮影した画像を取得する。これにより、画像取得部23は、ディスプレイ24の表面が算出範囲内で水平であるときにカメラ13が撮影した画像を取得する。
【0038】
検出部26は、画像取得部23が取得した画像において、校正パターン34を検出する。ここで、検出部26が校正パターン34を検出できなかった場合に、表示制御部25は、校正パターン34の検出の失敗を表す画像を生成する。当該画像は、例えば色を変えた校正パターン34の画像などである。表示制御部25は、生成した画像を表す信号をディスプレイ24に出力する。ディスプレイ24は、表示制御部25が出力する信号に基づいて、校正パターン34の検出の失敗を表す画像を表示する。一方、表示制御部25は、検出部26が校正パターン34を検出できた場合に、校正パターン34の検出の失敗を表す画像の信号をディスプレイ24に出力しない。これにより、作業員は、校正パターン34の検出の失敗を表す画像のディスプレイ24への表示の有無、あるいは、ディスプレイ24に表示される校正パターン34の色などによって、校正パターン34の検出の成否の情報を得られるようになる。
【0039】
姿勢算出部28は、画像取得部23が取得した画像における検出部26による校正パターン34の検出結果などを用いて、カメラ13の姿勢を算出する。画像取得部23が取得する画像から検出される校正パターン34を表示したディスプレイ24の傾きは、カメラ13の光軸に対するディスプレイ24の法線の傾きに対応する。ここで、画像取得部23の取得した画像はディスプレイ24の表面が算出範囲内で水平であるときにカメラ13が撮影した画像なので、当該画像におけるディスプレイ24の傾きは鉛直方向に対するカメラ13の光軸の傾きに対応する。このため、姿勢算出部28は、画像取得部23が取得した画像からの検出部26による校正パターン34の検出結果に基づいて、鉛直方向に対するカメラ13の光軸の傾きをカメラ13の姿勢として算出する。
【0040】
判定部30は、姿勢算出部28が算出したカメラ13の姿勢および目標姿勢の差異に基づいて、カメラ13の姿勢の異常を判定する。また、調整量算出部31は、姿勢算出部28が算出したカメラ13の姿勢および目標姿勢の差異に基づいて、カメラ13の姿勢の調整量を算出する。表示制御部25は、判定部30による判定結果および調整量算出部31が算出した調整量を表す信号を、ディスプレイ24に出力する。ディスプレイ24は、表示制御部25が出力した信号に基づいて、カメラ13の姿勢の異常の判定結果および算出された調整量を表示する。作業員は、ディスプレイ24に表示された情報に基づいて、カメラ13の姿勢が調整されたか否かの判断を容易に行うことができるようになる。また、判定部30による判定結果は、携帯端末22に搭載される記憶素子などに記憶されてもよい。これにより、カメラ13の姿勢が調整されたことの確認結果を、保守点検作業の作業記録などとして残すことができるようになる。
【0041】
作業員は、カメラ13の姿勢が異常と判定された場合に、調整支援システム21を用いてカメラ13の姿勢を修正する。このとき、作業員は、携帯端末22の操作によって、調整支援システム21におけるカメラ13の姿勢修正の機能を起動する。
【0042】
図4において、姿勢修正の機能におけるディスプレイ24の表示の例が示される。
図4において、上方から見たピット4の画像の例が示される。
【0043】
画像取得部23は、カメラ13の姿勢を姿勢算出部28が直前に算出したときに用いられた、カメラ13が撮影した過去の画像を取得する。画像取得部23は、例えば直前に起動されたカメラ13の姿勢確認の機能において指定した時刻の画像を、過去の画像として取得する。また、画像取得部23は、現在時刻を指定してカメラ13が撮影している画像を継続して取得する。
【0044】
表示制御部25は、画像取得部23が取得した過去の画像、および画像取得部23が継続して取得する現在の画像を重ねた画像を生成する。表示制御部25は、例えば、現在の画像の上に半透明な過去の画像を重ねるアルファブレンディングなどによって画像を生成する。このとき、表示制御部25は、現在の画像をモノクロ画像によって表示する。また、表示制御部25は、過去の画像をカラー画像によって表示する。また、表示制御部25は、過去の画像において昇降路2の壁面などの画像が映らないように、過去の画像の中心から外周に向かうにつれて透明度が増加するようなアルファチャンネルを用いてアルファブレンディングを行う。表示制御部25は、生成した画像を表す信号をディスプレイ24に出力する。表示制御部25は、生成した画像と併せて、直前に起動されたカメラ13の姿勢確認の機能において算出された調整量の情報をディスプレイ24に出力してもよい。
【0045】
ディスプレイ24は、表示制御部25が出力した信号に基づいて、生成された画像を表示する。図4において、現在の画像が実線で示される。また、過去の画像が破線で示される。このように、現在の画像および過去の画像が重ねて表示されるので、作業員は、カメラ13の姿勢の変化量を確認しながらカメラ13の姿勢を修正できるようになる。作業員は、ディスプレイ24を参照しながらカメラ13の姿勢を修正した後に、カメラ13の姿勢を確認する。作業員は、カメラ13の姿勢が正常と判定されるまで、姿勢の修正および確認を繰り返す。
【0046】
続いて、図5を用いて、調整支援システム21の動作の例を説明する。
図5は、実施の形態1に係る調整支援システム21の動作の例を示すフローチャートである。
【0047】
図5において、カメラ13の姿勢確認に係る携帯端末22の処理の例が示される。
図5の処理は、カメラ13の姿勢確認の機能が起動するときに開始される。
【0048】
ステップS101において、表示制御部25は、校正パターン34の画像の情報を含む信号をディスプレイ24に出力する。ディスプレイ24は、校正パターン34の画像を含む情報を表面に表示する。その後、調整支援システム21における処理は、ステップS102に進む。
【0049】
ステップS102において、画像取得部23は、測定部27の測定結果に基づいて、ディスプレイ24の表面が算出範囲内で水平であるかを判定する。判定結果がNoの場合に、調整支援システム21における処理は、ステップS101に進む。判定結果がYesの場合に、調整支援システム21における処理は、ステップS103に進む。
【0050】
ステップS103において、画像取得部23は、ステップS102でディスプレイ24の表面が水平であると判定された測定の時刻を指定して、中央管理装置20からカメラ13が撮影した画像を取得する。その後、調整支援システム21における処理は、ステップS104に進む。
【0051】
ステップS104において、検出部26は、画像取得部23が取得した画像において校正パターン34を検出できたかを判定する。判定結果がNoの場合に、調整支援システム21における処理は、ステップS105に進む。判定結果がYesの場合に、調整支援システム21における処理は、ステップS106に進む。
【0052】
ステップS105において、表示制御部25は、校正パターン34の検出の失敗を表す画像の信号をディスプレイ24に出力する。ディスプレイ24は、表示制御部25から出力された信号に基づいて、検出の失敗を表す画像を表示する。その後、調整支援システム21における処理は、ステップS101に進む。
【0053】
ステップS106において、姿勢算出部28は、画像取得部23が取得した画像から検出部26が検出した校正パターン34を表示しているディスプレイ24の当該画像における傾きに基づいて、カメラ13の姿勢を算出する。このとき、姿勢算出部28は、当該画像はディスプレイ24の表面が算出範囲内で水平であるときに撮影された画像であることを利用してカメラ13の姿勢を算出する。その後、調整支援システム21における処理は、ステップS107に進む。
【0054】
ステップS107において、判定部30は、姿勢算出部28が算出したカメラ13の姿勢および目標姿勢の差異に基づいて、カメラ13の姿勢に異常があるかを判定する。また、調整量算出部31は、姿勢算出部28が算出したカメラ13の姿勢および目標姿勢の差異に基づいて、カメラ13の姿勢の調整量を算出する。表示制御部25は、判定部30による判定結果および調整量算出部31が算出した調整量を表す信号を、ディスプレイ24に出力する。ディスプレイ24は、表示制御部25が出力した信号に基づいて、カメラ13の姿勢の異常の判定結果および算出された調整量を表示する。その後、カメラ13の姿勢確認に係る調整支援システム21の処理は、終了する。
【0055】
以上に説明したように、実施の形態1に係る調整支援システム21は、画像取得部23と、ディスプレイ24と、検出部26と、姿勢算出部28と、を備える。画像取得部23は、カメラ13が撮影する画像を取得する。カメラ13は、エレベーター1の昇降路2において走行するかご9に設けられる。ディスプレイ24は、昇降路2においてカメラ13に撮影される校正パターン34を表面に示す。検出部26は、画像取得部23が取得した画像において校正パターン34を検出する。姿勢算出部28は、検出部26が検出した校正パターン34を示しているディスプレイ24の表面の法線の、カメラ13の光軸に対する傾きに基づいて、カメラ13の姿勢を算出する。
また、調整支援システム21は、表示制御部25を備える。表示制御部25は、校正パターン34を表す信号を出力する。ディスプレイ24は、表示制御部25が出力する信号に基づく表示によって校正パターン34を表面に示す。
【0056】
このような構成により、カメラ13の姿勢が調整された後などに、ディスプレイ24に示された校正パターン34の傾きに基づいてカメラ13の姿勢が算出される。これにより、作業員は、カメラ13の姿勢が調整されたかをより容易に判断できるようになる。また、カメラ13の姿勢が調整されたことの確認結果を、その画像とともに記録に残すことができるようになる。これにより、カメラ13の調整作業の作業管理がしやすくなる。
【0057】
また、調整支援システム21は、測定部27を備える。測定部27は、ディスプレイ24と一体に設けられる。測定部27は、かご9の走行方向に対するディスプレイ24の法線の傾きを測定する。
また、姿勢算出部28は、測定部27の測定する傾きがかご9の走行方向に対して予め設定された算出範囲内の傾きであるときにカメラ13が撮影した画像に基づいて、カメラ13の姿勢としてかご9の走行方向に対するカメラ13の傾きを算出する。
【0058】
ここで、仮にピット4の床面に校正パターン34を示す機器を配置しようとすると、カメラ13から床面までは作業員の作業空間を確保するための距離があるので、当該機器上の校正パターン34を大きくする必要がある。しかしながら、ピット4の床面は凹凸が多いため、大きい機器を水平などの指定された傾きで配置することは難しい場合がある。一方、調整支援システム21において、作業員は、校正パターン34をディスプレイ24に表示する携帯端末22を手に持ってカメラ13に向ける。カメラ13からディスプレイ24までの距離が近くなるので、大きい校正パターン34を示す機器をピット4に持ち込む必要がなくなる。また、画像取得部23による画像の取得が測定部27の測定結果と連携するので、画像取得部23が取得する画像において、校正パターン34を示しているディスプレイ24の表面が予め設定された傾きに算出範囲内でなっていることが担保される。これにより、カメラ13の姿勢の算出がより容易により精度よく行われるようになる。
【0059】
また、調整支援システム21は、報知部29を備える。報知部29は、測定部27の測定する傾きがかご9の走行方向に対して予め設定された報知範囲内の傾きであるか否かの情報を、音声によって報知する。
【0060】
カメラ13の高さによって、作業員は、ディスプレイ24を目線より高く上げる場合がある。このような場合においても、作業員は、報知部29の音声による報知によって、ディスプレイ24の傾きを調整しやすくなる。
【0061】
また、表示制御部25は、測定部27の測定する傾きを表す情報の信号を、カメラ13の調整作業を行う作業員が視認しうるディスプレイ24に出力する。
また、表示制御部25は、検出部26による校正パターン34の検出の成否を表す信号をディスプレイ24に出力する。
【0062】
カメラ13の高さによって、作業員は、ディスプレイ24を視認しながら表面をカメラ13に向けられるようになる。このような場合に、作業員は、ディスプレイ24の傾きを視覚的に確認できるので、ディスプレイ24の傾きを調整しやすくなる。また、作業員は、校正パターン34の検出の成否を視覚的に確認できるので、ディスプレイ24の位置などを調整しやすくなる。
【0063】
また、表示制御部25は、カメラ13の姿勢を姿勢算出部28が直前に算出したときに用いられた、カメラ13が撮影した過去の画像、およびカメラ13が撮影している現在の画像を重ねてディスプレイ24に出力する。
【0064】
このような構成により、作業員は、姿勢修正の作業において、カメラ13の姿勢修正における調整量をディスプレイ24上で確認できるようになる。これにより、カメラ13の姿勢修正の作業がより容易になる。
【0065】
また、調整支援システム21は、判定部30を備える。判定部30は、姿勢算出部28が算出するカメラ13の姿勢および予め設定された目標姿勢の差異に基づいて、カメラ13の姿勢の異常を判定する。
【0066】
このような構成により、作業員は、カメラ13の姿勢についての異常の有無をより容易に把握できるようになる。
【0067】
また、調整支援システム21は、調整量算出部31を備える。調整量算出部31は、姿勢算出部28が算出するカメラ13の姿勢に基づいて、カメラ13の姿勢を予め設定された目標姿勢に調整する調整量を算出する。
【0068】
このような構成により、作業員は、カメラ13の姿勢修正における必要な調整量を修正作業前に把握できるので、カメラ13の姿勢の修正がより容易になる。
【0069】
なお、表示制御部25は、カメラ13の姿勢が目標姿勢であるときにカメラ13が撮影した過去の画像、およびカメラ13が撮影している現在の画像を重ねてディスプレイ24に出力してもよい。カメラ13の姿勢が目標姿勢であるときの画像は、例えば前回の保守点検作業などにおいて判定部30がカメラ13の姿勢に異常がないと判定したときの画像などである。あるいは、カメラ13の姿勢が目標姿勢であるときの画像は、例えばカメラ13の初期設置時に撮影された画像などであってもよい。
【0070】
このような構成により、作業員は、目標とする画像をディスプレイ24上で確認しながらカメラ13の姿勢を修正できるようになる。これにより、カメラ13の姿勢修正の作業がより容易になる。
【0071】
また、エレベーター1において、かご9の走行方向は、鉛直方向から傾いていてもよい。すなわち、エレベーター1は、斜行エレベーターであってもよい。このとき、測定部27は、ディスプレイ24の表面の法線の、かご9の走行方向からの傾きを測定する。なお、作業員は、カメラ13の姿勢調整の作業の前に、測定部27にかご9の走行方向を記憶させる初期化処理を行ってもよい。初期化処理は、例えばかご9の走行方向に沿ったガイドレールに携帯端末22を置いた状態などで行われる。初期化処理により、測定部27は、かご9の走行方向からの傾きを測定できるようになる。
【0072】
また、カメラ13は、かご9の上部に設けられていてもよい。このとき、作業員は、かご9の外側の上部に乗ってカメラ13の姿勢調整の作業を行う。また、カメラ13は、かご9の上部および下部の両方に設けられていてもよい。
【0073】
また、例えば携帯端末22に取り付けた水準器などの外部機器によってディスプレイ24の傾きを作業員が確認できる場合に、携帯端末22は、測定結果を信号として出力する測定部27を有していなくてもよい。このとき、作業員は、例えばディスプレイ24の傾きを確認したタイミングで、携帯端末22を通じて姿勢算出の開始の操作を行う。画像取得部23は、作業員が当該操作を行った時刻を取得して、カメラ13が撮影した画像を取得する。
【0074】
続いて、図6を用いて、調整支援システム21のハードウェア構成の例について説明する。
図6は、実施の形態1に係る調整支援システム21の主要部のハードウェア構成図である。
【0075】
調整支援システム21の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。処理回路は、プロセッサ100aおよびメモリ100bと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用ハードウェア200を備えてもよい。
【0076】
処理回路がプロセッサ100aとメモリ100bとを備える場合、調整支援システム21の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ100bに格納される。プロセッサ100aは、メモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、調整支援システム21の各機能を実現する。
【0077】
プロセッサ100aは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ100bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
【0078】
処理回路が専用ハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0079】
調整支援システム21の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、調整支援システム21の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。調整支援システム21の各機能について、一部を専用ハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、専用ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで調整支援システム21の各機能を実現する。
【0080】
実施の形態2.
実施の形態2において、実施の形態1で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態2で説明しない特徴については、実施の形態1で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0081】
図7は、実施の形態2に係る調整支援システム21の構成を示すブロック図である。
【0082】
調整支援システム21において、画像取得部23、検出部26、姿勢算出部28、判定部30、および調整量算出部31などの部分による機能の一部または全部は、携帯端末22の外部の装置などに搭載されていてもよい。この例において、画像取得部23、検出部26、姿勢算出部28、判定部30、および調整量算出部31は、例えば中央管理装置20などの情報センターに配置された装置に搭載される。
【0083】
中央管理装置20に搭載された画像取得部23は、通信網19を介してカメラ13が撮影した画像を取得する。画像取得部23は、取得した画像を当該画像が撮影された時刻と関連付けて記憶する。
【0084】
続いて、図8を用いて、調整支援システム21の動作の例を説明する。
図8は、実施の形態2に係る調整支援システム21の動作の例を示すフローチャートである。
【0085】
図8において、カメラ13の姿勢確認に係る調整支援の処理の例が示される。
図8における携帯端末22の処理は、カメラ13の姿勢確認の機能が起動するときに開始される。
【0086】
ステップS201において、表示制御部25は、校正パターン34の画像の情報を含む信号をディスプレイ24に出力する。ディスプレイ24は、校正パターン34の画像を含む情報を表面に表示する。その後、調整支援システム21における携帯端末22の処理は、ステップS202に進む。
【0087】
ステップS202において、携帯端末22は、測定部27の測定結果に基づいて、ステップS101における画像取得部23などと同様に、ディスプレイ24の表面が算出範囲内で水平であるかを判定する。判定結果がNoの場合に、調整支援システム21における携帯端末22の処理は、ステップS201に進む。判定結果がYesの場合に、調整支援システム21における携帯端末22の処理は、ステップS203に進む。
【0088】
ステップS203において、携帯端末22は、ステップS202でディスプレイ24の表面が水平であると判定された測定の時刻を指定して、姿勢確認の要求を中央管理装置20に送信する。その後、調整支援システム21における携帯端末22の処理は、ステップS204に進む。
【0089】
一方、ステップS301において、中央管理装置20は、姿勢確認の要求を携帯端末22から受信したかを判定する。判定結果がNoの場合に、調整支援システム21における中央管理装置20の処理は、ふたたびステップS301に進む。判定結果がYesの場合に、調整支援システム21における中央管理装置20の処理は、ステップS302に進む。
【0090】
ステップS302において、検出部26は、姿勢確認の要求において指定された時刻に撮影された画像として画像取得部23が取得した画像において、校正パターン34を検出できたかを判定する。判定結果がNoの場合に、調整支援システム21における中央管理装置20の処理は、ステップS303に進む。判定結果がYesの場合に、調整支援システム21における中央管理装置20の処理は、ステップS304に進む。
【0091】
ステップS303において、中央管理装置20は、検出部26による校正パターン34の検出の失敗を表す情報を携帯端末22に送信する。その後、調整支援システム21における中央管理装置20の処理は、ステップS301に進む。
【0092】
ステップS304において、姿勢算出部28は、画像取得部23が取得した画像から検出部26が検出した校正パターン34を表示しているディスプレイ24の当該画像における傾きに基づいて、カメラ13の姿勢を算出する。このとき、姿勢算出部28は、当該画像はディスプレイ24の表面が算出範囲内で水平であるときに撮影された画像であることを利用してカメラ13の姿勢を算出する。その後、調整支援システム21における中央管理装置20の処理は、ステップS305に進む。
【0093】
ステップS305において、判定部30は、姿勢算出部28が算出したカメラ13の姿勢および目標姿勢の差異に基づいて、カメラ13の姿勢に異常があるかを判定する。また、調整量算出部31は、姿勢算出部28が算出したカメラ13の姿勢および目標姿勢の差異に基づいて、カメラ13の姿勢の調整量を算出する。中央管理装置20は、判定部30による判定結果および調整量算出部31が算出した調整量を表す情報を携帯端末22に送信する。その後、カメラ13の姿勢確認に係る調整支援システム21における中央管理装置20の処理は、終了する。
【0094】
一方、ステップS204において、携帯端末22は、検出部26による校正パターン34の検出の失敗を表す情報を中央管理装置20から受信したかを判定する。判定結果がYesの場合に、調整支援システム21における携帯端末22の処理は、ステップS205に進む。判定結果がNoの場合に、調整支援システム21における携帯端末22の処理は、ステップS206に進む。
【0095】
ステップS205において、表示制御部25は、中央管理装置20から受信した情報に基づいて、校正パターン34の検出の失敗を表す画像の信号をディスプレイ24に出力する。ディスプレイ24は、表示制御部25から出力された信号に基づいて、検出の失敗を表す画像を表示する。その後、調整支援システム21における携帯端末22の処理は、ステップS201に進む。
【0096】
ステップS206において、表示制御部25は、中央管理装置20から受信した情報に基づいて、判定部30による判定結果および調整量算出部31が算出した調整量を表す信号をディスプレイ24に出力する。ディスプレイ24は、表示制御部25が出力した信号に基づいて、カメラ13の姿勢の異常の判定結果および算出された調整量を表示する。その後、カメラ13の姿勢確認に係る調整支援システム21における携帯端末22の処理は、終了する。
【0097】
以上に説明したように、実施の形態2に係る調整支援システム21において、画像取得部23、検出部26、姿勢算出部28、判定部30、および調整量算出部31は、中央管理装置20に搭載される。このような構成であっても、カメラ13の姿勢が調整された後などに、ディスプレイ24に示された校正パターン34の傾きに基づいてカメラ13の姿勢が算出される。これにより、作業員は、カメラ13の姿勢が調整されたかをより容易に判断できるようになる。また、カメラ13の姿勢が調整されたことの確認結果を、その画像とともに記録に残すことができるようになる。これにより、カメラ13の調整作業の作業管理がしやすくなる。
【0098】
実施の形態3.
実施の形態3において、実施の形態1または実施の形態2で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態3で説明しない特徴については、実施の形態1または実施の形態2で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0099】
この例において、調整支援システム21の構成は、図2のブロック図に示される構成と同様である。
【0100】
図9は、実施の形態3に係る調整支援システム21の動作の例を示すフローチャートである。
【0101】
図9において、カメラ13の姿勢確認に係る携帯端末22の処理の例が示される。
図9の処理は、カメラ13の姿勢確認の機能が起動するときに開始される。
【0102】
ステップS401において、表示制御部25は、校正パターン34の画像の情報を含む信号をディスプレイ24に出力する。ディスプレイ24は、校正パターン34の画像を含む情報を表面に表示する。その後、調整支援システム21における処理は、ステップS402に進む。
【0103】
ステップS402において、画像取得部23は、現在の時刻を指定して、中央管理装置20からカメラ13が撮影した画像を取得する。その後、調整支援システム21における処理は、ステップS403に進む。
【0104】
ステップS403において、検出部26は、画像取得部23が取得した画像において校正パターン34を検出できたかを判定する。判定結果がNoの場合に、調整支援システム21における処理は、ステップS404に進む。判定結果がYesの場合に、調整支援システム21における処理は、ステップS405に進む。
【0105】
ステップS404において、表示制御部25は、校正パターン34の検出の失敗を表す画像の信号をディスプレイ24に出力する。ディスプレイ24は、表示制御部25から出力された信号に基づいて、検出の失敗を表す画像を表示する。その後、調整支援システム21における処理は、ステップS401に進む。
【0106】
ステップS405において、姿勢算出部28は、かご9の走行方向である鉛直方向に対するディスプレイ24の法線の傾きについて、画像取得部23の取得した画像が撮影された時刻における測定部27の測定結果を取得する。その後、調整支援システム21における処理は、ステップS406に進む。
【0107】
ステップS406において、姿勢算出部28は、画像取得部23が取得した画像から検出部26が検出した校正パターン34を表示しているディスプレイ24の当該画像における傾きに基づいて、カメラ13の姿勢を算出する。このとき、姿勢算出部28は、ステップS405において取得した、当該画像が撮影された時刻における鉛直方向に対するディスプレイ24の法線の傾きを利用してカメラ13の姿勢を算出する。例えば、姿勢算出部28は、検出部26による検出結果を用いて、カメラ13の光軸の向きおよびディスプレイ24の法線の向きの関係を算出する。姿勢算出部28は、測定部27による測定結果によって、ディスプレイ24の法線の向きおよび鉛直方向の関係を取得する。姿勢算出部28は、カメラ13の光軸の向きおよびディスプレイ24の法線の向きの関係と、ディスプレイ24の法線の向きおよび鉛直方向の関係とに基づいて、カメラ13の光軸の向きおよび鉛直方向の関係を算出する。姿勢算出部28は、このように算出された関係から、カメラ13の姿勢を算出する。その後、調整支援システム21における処理は、ステップS407に進む。
【0108】
ステップS407において、判定部30は、姿勢算出部28が算出したカメラ13の姿勢および目標姿勢の差異に基づいて、カメラ13の姿勢に異常があるかを判定する。また、調整量算出部31は、姿勢算出部28が算出したカメラ13の姿勢および目標姿勢の差異に基づいて、カメラ13の姿勢の調整量を算出する。表示制御部25は、判定部30による判定結果および調整量算出部31が算出した調整量を表す信号を、ディスプレイ24に出力する。ディスプレイ24は、表示制御部25が出力した信号に基づいて、カメラ13の姿勢の異常の判定結果および算出された調整量を表示する。その後、カメラ13の姿勢確認に係る調整支援システム21の処理は、終了する。
【0109】
以上に説明したように、実施の形態3に係る調整支援システム21の姿勢算出部28は、検出部26が校正パターン34を検出した画像がカメラ13に撮影されたときに測定部27が測定したディスプレイ24の傾きを取得する。姿勢算出部28は、取得した傾きに基づいて、カメラ13の姿勢としてかご9の走行方向に対するカメラ13の傾きを算出する。
【0110】
このような構成により、ディスプレイ24の傾きの調整に多少のずれがある場合であっても、検出部26が校正パターン34を検出できる程度のずれであれば、カメラ13の姿勢が算出されるようになる。これにより、カメラ13の姿勢の算出がより容易に行われるようになる。
【0111】
実施の形態4.
実施の形態4において、実施の形態1から実施の形態3で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態4で説明しない特徴については、実施の形態1から実施の形態3で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0112】
図10は、実施の形態4に係る調整支援システム21の構成を示すブロック図である。
【0113】
携帯端末22は、校正板35を備える。校正板35は、表面に予め付された画像によって校正パターン34を示す板状の部材である。校正板35は、提示部の例である。校正板35において、例えば印刷またはラベル貼付などによって校正パターン34の画像が付されている。この例において、校正板35は、携帯端末22の背面に、すなわちディスプレイ24の反対側に配置される。校正板35は、携帯端末22の筐体の背面の部分そのものであってもよい。
【0114】
測定部27は、提示部である校正板35とともに携帯端末22に一体に設けられているので、測定部27自体の傾きは、校正板35の傾きに対応する。この例において、測定部27は、校正板35の表面の法線の鉛直方向からの傾きを測定する。ここで、測定部27は、校正板35の法線の鉛直方向に対する傾きを、他の方向に対する傾きなどから間接的に測定してもよい。
【0115】
図11は、実施の形態4に係る調整支援システム21を利用したカメラ13の姿勢の調整の例を示す図である。
図11において、調整作業中の昇降路2の斜視図が示される。
【0116】
作業員は、ピット4において、携帯端末22の操作によって調整支援システム21におけるカメラ13の姿勢確認の機能を起動する。
【0117】
表示制御部25は、鉛直方向に対する校正板35の法線の傾きの測定結果を測定部27から取得する。表示制御部25は、測定部27の測定する校正板35の傾きを表す、例えば目盛り32および矢印33などの画像の情報を生成する。表示制御部25は、生成した画像を表す信号をディスプレイ24に出力する。
【0118】
作業員は、携帯端末22を持ちながら、校正板35を上方に向ける。このとき、作業員は、目線より上に携帯端末22を掲げることで、ディスプレイ24を下方から確認しながら校正板35を上方に向けられる。作業員は、ディスプレイ24に表示された目盛り32および矢印33などを参照することで、校正板35の法線が鉛直方向に向くように校正板35の向きを調整する。すなわち、作業員は、表面が水平になるように校正板35の向きを調整する。この間に、報知部29は、測定部27の測定する校正板35の法線の傾きが報知範囲内の傾きであるか否かの情報を、音声によって報知する。作業員は、報知部29の音声による報知を受けながら校正板35の向きを調整してもよい。
【0119】
画像取得部23は、鉛直方向に対する校正板35の法線の傾きの測定結果を測定部27から取得する。画像取得部23は、測定部27の測定する校正板35の法線の傾きが算出範囲内の傾きであるかを判定する。画像取得部23は、測定部27の測定する校正板35の傾きが算出範囲内の傾きであると判定する場合に、当該測定が行われた時刻を指定して中央管理装置20からカメラ13が撮影した画像を取得する。これにより、画像取得部23は、校正板35の表面が算出範囲内で水平であるときにカメラ13が撮影した画像を取得する。
【0120】
検出部26は、画像取得部23が取得した画像において、校正パターン34を検出する。ここで、検出部26が校正パターン34を検出できなかった場合に、表示制御部25は、校正パターン34の検出の失敗を表す画像を生成する。当該画像は、例えば検出の失敗を表す文字列またはアイコンなどである。表示制御部25は、生成した画像を表す信号をディスプレイ24に出力する。ディスプレイ24は、表示制御部25が出力する信号に基づいて、校正パターン34の検出の失敗を表す画像を表示する。一方、表示制御部25は、検出部26が校正パターン34を検出できた場合に、校正パターン34の検出の失敗を表す画像の信号をディスプレイ24に出力しない。これにより、作業員は、校正パターン34の検出の失敗を表す画像のディスプレイ24への表示の有無などによって、校正パターン34の検出の成否の情報を得られるようになる。
【0121】
姿勢算出部28は、画像取得部23が取得した画像における検出部26による校正パターン34の検出結果などを用いて、カメラ13の姿勢を算出する。画像取得部23が取得する画像から検出される校正パターン34を示す校正板35の傾きは、カメラ13の光軸に対する校正板35の法線の傾きに対応する。ここで、画像取得部23の取得した画像は校正板35の表面が算出範囲内で水平であるときにカメラ13が撮影した画像なので、当該画像における校正板35の傾きは鉛直方向に対するカメラ13の光軸の傾きに対応する。このため、姿勢算出部28は、画像取得部23が取得した画像からの検出部26による校正パターン34の検出結果に基づいて、鉛直方向に対するカメラ13の光軸の傾きをカメラ13の姿勢として算出する。
【0122】
以上に説明したように、実施の形態4に係る調整支援システム21は、画像取得部23と、校正板35と、検出部26と、姿勢算出部28と、を備える。画像取得部23は、カメラ13が撮影する画像を取得する。カメラ13は、エレベーター1の昇降路2において走行するかご9に設けられる。校正板35は、昇降路2においてカメラ13に撮影される校正パターン34を表面に示す。検出部26は、画像取得部23が取得した画像において校正パターン34を検出する。姿勢算出部28は、検出部26が検出した校正パターン34を示している校正板35の表面の法線の、カメラ13の光軸に対する傾きに基づいて、カメラ13の姿勢を算出する。
また、校正板35は、表面に予め付された画像によって校正パターン34を示す。
【0123】
このような構成により、カメラ13の姿勢が調整された後などに、校正板35に示された校正パターン34の傾きに基づいてカメラ13の姿勢が算出される。これにより、作業員は、カメラ13の姿勢が調整されたかをより容易に判断できるようになる。また、カメラ13の姿勢が調整されたことの確認結果を、その画像とともに記録に残すことができるようになる。これにより、カメラ13の調整作業の作業管理がしやすくなる。
【0124】
また、ディスプレイ24は、校正板35の表面の反対側に配置される。
【0125】
このような構成により、作業員は、ディスプレイ24の表示を確認しながら校正板35の表面をカメラ13により容易に近づけられるようになる。また、ディスプレイ24および校正板35が一体で取り扱いやすくなるので、カメラ13の調整作業の作業性がよくなる。
【0126】
なお、携帯端末22は、例えば調整支援システム21の専用装置などであってもよい。このとき、携帯端末22は、ディスプレイ24および表示制御装置を有していなくてもよい。姿勢算出部28による姿勢の算出結果などは、例えば中央管理装置20において記録される。
【0127】
また、校正板35は、携帯端末22と別個の装置であってもよい。このとき、測定部27は、例えば校正板35と一体に設けられる加速度センサーまたは傾きセンサーなどである。測定部27は、携帯端末22または中央管理装置20などと有線または無線によって測定結果を通信する。
【0128】
実施の形態5.
実施の形態5において、実施の形態1から実施の形態4で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態5で説明しない特徴については、実施の形態1から実施の形態4で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0129】
図12は、実施の形態5に係る携帯端末22の斜視図である。
【0130】
調整支援システム21において、携帯端末22に保持具36が取り付けられる。保持具36は、持ち手37と、スタビライザー38と、を備える。持ち手37は、作業員が保持する部分である。スタビライザー38は、ディスプレイ24または校正板35などの提示部の傾きを維持するように携帯端末22を保持する部分である。なお、携帯端末22と別個の校正板35が提示部として用いられる場合に、スタビライザー38は、校正板35を保持する。スタビライザー38は、例えばジンバル機構などによってディスプレイ24などの提示部の傾きを維持する。
【0131】
作業員は、カメラ13の姿勢確認の際に、保持具36の持ち手37を持ってディスプレイ24または校正板35などの提示部の表面を上方に向ける。このとき、スタビライザー38によって校正パターン34を示す提示部の傾きの変動が抑えられる。校正パターン34が安定して撮影されるようになるので、カメラ13の姿勢確認がより安定して行われるようになる。
【0132】
実施の形態6.
実施の形態6において、実施の形態1から実施の形態5で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態6で説明しない特徴については、実施の形態1から実施の形態5で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0133】
図13は、実施の形態6に係る調整支援システム21の構成を示すブロック図である。
【0134】
携帯端末22は、位置算出部39を備える。位置算出部39は、画像取得部23が取得した画像における検出部26による校正パターン34の検出結果などを用いて、カメラ13の位置を算出する部分である。この例において、位置算出部39は、かご9の走行方向である鉛直方向に垂直な水平面内におけるカメラ13の位置を算出する。
【0135】
図14は、実施の形態6に係る調整支援システム21を利用したカメラ13の姿勢の調整の例を示す図である。
図14において、調整作業中の昇降路2の斜視図が示される。
【0136】
作業員は、ピット4で作業を行う際に作業空間が確保されるように、第1バッファ16の頂部にバッファキャップ40を被せるように載せる。バッファキャップ40は、例えば鉛直方向に長い器具である。この例において、バッファキャップ40の頂部は、上方に向く平坦な水平面を有する。
【0137】
ここで、カメラ13は、第1バッファ16の中心軸上から水平方向にずれた位置に配置される。これにより、かご9が下降して第1バッファ16に被せられたバッファキャップ40に接近する場合においても、カメラ13はバッファキャップ40に衝突しない。
【0138】
カメラ13の調整作業において、作業員は、携帯端末22の操作によって調整支援システム21におけるカメラ13の姿勢確認の機能を起動する。その後、作業員は、校正パターン34を示すディスプレイ24などの表面を上方に向けるように、携帯端末22をバッファキャップ40の頂部に載せるように配置する。
【0139】
画像処理部は、携帯端末22がバッファキャップ40の頂部に配置された後に、現在時刻を指定して中央管理装置20からカメラ13が撮影した画像を取得する。ここで、画像処理部は、例えば姿勢確認の機能が起動してから予め設定された時間が経過した後の時刻などを、携帯端末22がバッファキャップ40の頂部に配置された後の時刻とする。あるいは、画像処理部は、例えば携帯端末22に搭載された加速度センサーなどの測定結果に基づいて、携帯端末22が予め設定された時間より長く静止している場合に、携帯端末22がバッファキャップ40の頂部に配置されたと判定してもよい。携帯端末22がバッファキャップ40の頂部に配置されているときに、ディスプレイ24の表面は水平となる。このため、画像取得部23は、ディスプレイ24の表面が水平であるときにカメラ13が撮影した画像を取得できる。
【0140】
検出部26は、画像取得部23が取得した画像において、校正パターン34を検出する。
【0141】
姿勢算出部28は、画像取得部23が取得した画像における検出部26による校正パターン34の検出結果などを用いて、カメラ13の姿勢を算出する。画像取得部23が取得する画像から検出される校正パターン34を表示したディスプレイ24の傾きは、カメラ13の光軸に対するディスプレイ24の法線の傾きに対応する。ここで、画像取得部23の取得した画像はディスプレイ24の表面が水平であるときにカメラ13が撮影した画像なので、当該画像におけるディスプレイ24の傾きは鉛直方向に対するカメラ13の光軸の傾きに対応する。このため、姿勢算出部28は、画像取得部23が取得した画像からの検出部26による校正パターン34の検出結果に基づいて、鉛直方向に対するカメラ13の光軸の傾きをカメラ13の姿勢として算出する。
【0142】
位置算出部39は、画像取得部23が取得した画像における検出部26による校正パターン34の検出結果などを用いて、カメラ13の位置を算出する。位置算出部39は、例えば姿勢算出部28が算出したカメラ13の姿勢について、異常がないことを判定部30が判定した後に位置の算出を行う。カメラ13の姿勢が目標姿勢である場合に、カメラ13が撮影する画像の中心は、かご9の走行方向に沿って移動するカメラ13の軌跡の延長線上にある場所を表す。この例において、カメラ13の姿勢が目標姿勢である場合に、カメラ13が撮影する画像の中心は、カメラ13の鉛直下方の場所を表す。検出部26が検出する校正パターン34を示すディスプレイ24などの提示部は、バッファキャップ40の頂部にあるので、位置算出部39は、校正パターン34の画像上の位置に基づいて第1バッファ16に対するカメラ13の水平方向の位置を算出できる。
【0143】
判定部30は、位置算出部39が算出したカメラ13の位置に基づいて、カメラ13の位置の異常を判定する。判定部30は、例えば、検出部26が検出した校正パターン34の画像上の位置および当該画像の中心の距離が予め設定された範囲内である場合に、カメラ13および第1バッファ16の位置のずれが十分でないとして、カメラ13の位置に異常があると判定する。
【0144】
作業員は、カメラ13の位置が異常と判定された場合に、調整支援システム21を用いてカメラ13の位置を修正する。作業員は、ディスプレイ24を参照しながらカメラ13の位置を修正した後に、カメラ13の位置を確認する。作業員は、カメラ13の位置が正常と判定されるまで、位置の修正および確認を繰り返す。
【0145】
なお、ディスプレイ24などの提示部は、バッファキャップ40の頂部に取り付けられるものであってもよい。また、校正パターン34が予め付された校正板35などの提示部は、バッファキャップ40の頂部に取り付けられるものであってもよい。また、バッファキャップ40の頂部に、校正パターン34の画像が直接付されていてもよい。すなわち、バッファキャップ40自体を、頂部に予め付された画像によって校正パターン34を示す提示部としてもよい。
【0146】
以上に説明したように、実施の形態6に係る調整支援システム21において、ディスプレイ24などの提示部を有する携帯端末22は、バッファキャップ40の頂部に配置される。バッファキャップ40は、カメラ13の調整作業の際に第1バッファ16に載せられる機器である。第1バッファ16は、昇降路2の下端部においてかご9の下方に配置される。
【0147】
このような構成により、バッファキャップ40の頂部において校正パターン34を示すディスプレイ24などの表面からカメラ13までの距離が近くなるので、校正パターン34が検出されやすくなる。これにより、カメラ13の姿勢の算出がより容易に行われるようになる。また、バッファキャップ40の頂部の位置は、第1バッファ16およびバッファキャップ40の寸法などによって定まる。このため、校正パターン34を示すディスプレイ24などの表面およびカメラ13の間の位置関係についての、作業員によるばらつきが小さくなる。これにより、カメラ13の調整作業の作業管理がしやすくなる。
【0148】
また、調整支援システム21は、位置算出部39を備える。位置算出部39は、カメラ13が撮影する画像から検出部26がバッファキャップ40の頂部において検出する校正パターン34の当該画像上の位置に基づいて、カメラ13の第1バッファ16に対する位置を算出する。
【0149】
このような構成により、位置が固定された第1バッファ16を基準としてカメラ13の位置が算出されるようになる。これにより、作業員は、カメラ13の位置をより容易に修正できるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本開示に係る調整支援システムは、エレベーターのカメラの姿勢の調整に適用できる。
【符号の説明】
【0151】
1 エレベーター、 2 昇降路、 3 機械室、 4 ピット、 5 乗場、 6 乗場ドア、 7 巻上機、 8 主ロープ、 9 かご、 10 釣合い錘、 11 制御盤、 12 かごドア、 13 カメラ、 14 第1ガイドレール、 15 第2ガイドレール、 16 第1バッファ、 17 第2バッファ、 18 遠隔監視装置、 19 通信網、 20 中央管理装置、 21 調整支援システム、 22 携帯端末、 23 画像取得部、 24 ディスプレイ、 25 表示制御部、 26 検出部、 27 測定部、 28 姿勢算出部、 29 報知部、 30 判定部、 31 調整量算出部、 32 目盛り、 33 矢印、 34 校正パターン、 35 校正板、 36 保持具、 37 持ち手、 38 スタビライザー、 39 位置算出部、 40 バッファキャップ、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 専用ハードウェア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14