(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】バッテリディスコネクトユニット
(51)【国際特許分類】
H01L 23/473 20060101AFI20240625BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20240625BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240625BHJP
B60L 58/26 20190101ALI20240625BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H01L23/36 D
B60L50/60
B60L58/26
(21)【出願番号】P 2022567768
(86)(22)【出願日】2021-10-18
(86)【国際出願番号】 KR2021014523
(87)【国際公開番号】W WO2022086101
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2022-11-08
(31)【優先権主張番号】10-2020-0136057
(32)【優先日】2020-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ヨン-ファン
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第210778713(CN,U)
【文献】特表2019-509008(JP,A)
【文献】特開2009-219270(JP,A)
【文献】特開2004-235175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L1/00 - 3/12
B60L7/00 -13/00
B60L15/00 -58/40
H01L23/29
H01L23/34 -23/36
H01L23/373-23/427
H01L23/44
H01L23/467-23/473
H01L25/00 -25/07
H01L25/10 -25/11
H01L25/16 -25/18
H02M 7/42 - 7/98
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
BDUハウジングと、
前記BDUハウジングの内部でバッテリの充放電線路に設けられて、前記充放電線路に電流の流れを選択的に遮断するスイッチング動作を可能にする電子スイッチ素子を備える電子式リレーモジュールと、
前記電子式リレーモジュールの少なくとも一部を取り囲む構造からなり、前記電子式リレーモジュールと熱交換が可能な材質で形成された放熱カバーと、
前記放熱カバーと接触するように配され、内部に冷媒が流れるように設けられたクーリングプレートと、
を含
み、
前記放熱カバーは、前記BDUハウジングの内部に設けられている、バッテリディスコネクトユニット。
【請求項2】
前記クーリングプレートは、前記BDUハウジングの外部に設けられている、請求項1に記載のバッテリディスコネクトユニット。
【請求項3】
前記電子式リレーモジュールは、
前記バッテリの正極端子と外部装置の正極端子とを連結する線路に設けられる第1電子式リレーと、
前記バッテリの負極端子と前記外部装置の負極端子とを連結する線路に設けられる第2電子式リレーと、
前記第1電子式リレー及び前記第2電子式リレーと連結されて、前記電子スイッチ素子のスイッチング動作を制御するように構成されたゲートドライバと、
を含む、請求項1
または2に記載のバッテリディスコネクトユニット。
【請求項4】
前記ゲートドライバは、印刷回路基板の形態として具現され、その板面が前記第1電子式リレーまたは前記第2電子式リレーに対して垂直に配される、請求項
3に記載のバッテリディスコネクトユニット。
【請求項5】
BDUハウジングと、
前記BDUハウジングの内部でバッテリの充放電線路に設けられて、前記充放電線路に電流の流れを選択的に遮断するスイッチング動作を可能にする電子スイッチ素子を備える電子式リレーモジュールと、
前記電子式リレーモジュールの少なくとも一部を取り囲む構造からなり、前記電子式リレーモジュールと熱交換が可能な材質で形成された放熱カバーと、
前記放熱カバーと接触するように配され、内部に冷媒が流れるように設けられたクーリングプレートと、
を含み、
前記電子式リレーモジュールは、
前記バッテリの正極端子と外部装置の正極端子とを連結する線路に設けられる第1電子式リレーと、
前記バッテリの負極端子と前記外部装置の負極端子とを連結する線路に設けられる第2電子式リレーと、
前記第1電子式リレー及び前記第2電子式リレーと連結されて、前記電子スイッチ素子のスイッチング動作を制御するように構成されたゲートドライバと、
を含み、
前記放熱カバーは、互いに結合可能に設けられた上部カバーと下部カバーとを含み、
前記下部カバーは、両縁部と中央領域とに1つずつ3個の第1突出部と、前記中央領域に位置した前記第1突出部の両横に凹状に形成された2個の第1収容溝部と、を備えたブロック状からなり、
前記上部カバーは、前記下部カバーの3個の第1突出部と2個の第1収容溝部とに上下方向に対応する3個の第2突出部と2個の第2収容溝部とを備えたブロック状からなり、
前記第1電子式リレーと前記第2電子式リレーは、それぞれ前記2個の第1収容溝部と前記2個の第2収容溝部とによって形成された空間内に拘束された、
バッテリディスコネクトユニット。
【請求項6】
前記第1収容溝部の表面と前記第2収容溝部の表面には、第1熱伝達パッドが備えられている、請求項
5に記載のバッテリディスコネクトユニット。
【請求項7】
前記下部カバーの下面と前記クーリングプレートとの間にサーマルインターフェース物質が備えられている、請求項
5または
6に記載のバッテリディスコネクトユニット。
【請求項8】
前記上部カバーは、上面が凹凸パターン構造からなっている、請求項
5から
7のいずれか一項に記載のバッテリディスコネクトユニット。
【請求項9】
前記電子スイッチ素子は、IGBTまたはMOSFETで構成された、請求項1から
8のいずれか一項に記載のバッテリディスコネクトユニット。
【請求項10】
BDUハウジングと、
前記BDUハウジングの内部でバッテリの充放電線路に設けられて、前記充放電線路に電流の流れを選択的に遮断するスイッチング動作を可能にする電子スイッチ素子を備える電子式リレーモジュールと、
前記電子式リレーモジュールの少なくとも一部を取り囲む構造からなり、前記電子式リレーモジュールと熱交換が可能な材質で形成された放熱カバーと、
前記放熱カバーと接触するように配され、内部に冷媒が流れるように設けられたクーリングプレートと、
を含み、
前記BDUハウジングは、互いに結合可能に設けられるロワーハウジングとアッパーカバーとを含み、
前記放熱カバーは、前記ロワーハウジングの上部に固設され、
前記クーリングプレートは、前記ロワーハウジングの下部に固設されるが、前記ロワーハウジングで前記放熱カバーの下側はオープンされており、前記放熱カバーと前記クーリングプレートとが互いに接触可能に構成された、
バッテリディスコネクトユニット。
【請求項11】
前記クーリングプレートの一側に連結される冷媒供給パイプと前記クーリングプレートの他側に連結される冷媒排出パイプとをさらに含む、請求項1から
10のいずれか一項に記載のバッテリディスコネクトユニット。
【請求項12】
請求項1から請求項
11のうち何れか一項に記載のバッテリディスコネクトユニットを含む、バッテリパック。
【請求項13】
請求項
12に記載のバッテリパックを含む、電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリディスコネクトユニットに係り、より具体的には、接点融着危険のない電子式リレーモジュールを使用し、該電子式リレーモジュールの温度を適正に管理できるように設計したバッテリディスコネクトユニットに関する。
【0002】
本願は、2020年10月20日付の大韓民国特許出願番号第10-2020-0136057号に対する優先権主張出願であって、当該出願の明細書及び図面に開示されたあらゆる内容は、引用によって本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
電気自動車(EV、Electric Vehicle)、ハイブリッド自動車(HV、Hybrid Vehicle)などには、走行のための電気供給のために大容量のバッテリパックが搭載される。
【0004】
バッテリパックは、バッテリディスコネクトユニット(Battery Disconnect Unit)を通じて負荷や充電器と連結される。ここで、負荷は、モータやインバータのようにバッテリパックから電力を供給される装置を言う。
【0005】
前記バッテリディスコネクトユニットは、
図1に示したように、バッテリパック(B)の正極端子と負荷(L)の正極端子とを連結する線路に設けられた高電位リレー10と、バッテリパック(B)の負極端子と負荷(L)の負極端子とを連結する線路に設けられた低電位リレー20と、を含む。
【0006】
バッテリパック(B)と負荷(L)とが電気的に連結されれば、バッテリパック(B)の大きな電圧が急に負荷(L)に印加されるので、初期に突入電流(rush current)が負荷(L)側に流れる。突入電流は、負荷(L)に電気的衝撃を印加して非可逆的損傷を起こしうる。
【0007】
したがって、バッテリディスコネクトユニットは、プリチャージ抵抗40及びコンデンサー50を含むRC回路と高電位リレー10と並列連結されたプリチャージリレー30とを含む。
【0008】
バッテリパック(B)と負荷(L)とを電気的に連結しようとする場合、1次で低電位リレー20とプリチャージリレー30とをターンオンさせる。そうすると、バッテリパック(B)から出力された電流がRC回路を通じてキャパシタ50に流れ、経時的に、キャパシタ50に流れる電流の大きさは徐々に減少する。
【0009】
プリチャージリレー30がターンオンされた状態で電流の大きさが負荷(L)に衝撃を与えない程度のプリチャージターゲット(target)電圧に到達すれば、2次で高電位リレー10をターンオンさせた後、プリチャージリレー30をターンオンフさせて、バッテリパック(B)と負荷(L)との電気的連結を完了する。
【0010】
一方、高電位リレー、低電位リレー、プリチャージリレーとしては、マグネチックコイル(Magnetic Coil)の励磁力とバネの復元力とを用いて金属接点の断続を制御する電気機械式リレー(Electro-mechanical Relay)が広く適用された。
【0011】
ところで、電気機械式リレーは、バネ不服現象と接点腐蝕などによる誤動作と高電流を開閉する度に接点損傷や接点融着(welding)現象が発生できるという短所がある。また、電気機械式リレーは、電力消耗と発熱とが多く、故障率が高く、体積が大きく、部品がほとんど金属からなっており、重く、価格が比較的高いという短所がある。
【0012】
このような電気機械式リレーの短所のために、最近、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)またはFET(Field Effect Transistor)のような電子素子を用いて電源を供給または遮断する電子式リレーが、電気機械式リレーの代案として使われる。しかし、電子式リレーの場合にも、高電流通電による電子素子の発熱を適切に管理することができなければ、電子素子が損傷して、電子式リレーのための冷却装置が必要であるが、それを効果的に構成することは容易ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、前記のような従来技術の背景下に創案されたものであって、電子式リレーを適用したバッテリディスコネクトユニットとして効果的に電子式リレーを冷却させることができる冷却装置構成を含んだバッテリディスコネクトユニットを提供するところにその目的がある。
【0014】
但し、本発明が解決しようとする技術的課題は、前述した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は、下記に記載の発明の説明から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記技術的課題を果たすための本発明の一側面によるバッテリディスコネクトユニットは、BDUハウジング;前記BDUハウジングの内部でバッテリの充放電線路に設けられて、前記充放電線路に電流の流れを選択的に遮断するスイッチング動作を可能にする電子スイッチ素子を備える電子式リレーモジュール;前記電子式リレーモジュールの少なくとも一部を取り囲む構造からなり、前記電子式リレーモジュールと熱交換が可能な材質で形成された放熱カバー;及び前記放熱カバーと接触するように配され、内部に冷媒が流れるように設けられたクーリングプレート;を含みうる。
【0016】
前記電子式リレーモジュールは、前記バッテリの正極端子と外部装置の正極端子とを連結する線路に設けられる第1電子式リレー;前記バッテリの負極端子と前記外部装置の負極端子とを連結する線路に設けられる第2電子式リレー;及び前記第1電子式リレー及び前記第2電子式リレーと連結されて、前記電子スイッチ素子のスイッチング動作を制御するように構成されたゲートドライバ;を含みうる。
【0017】
前記ゲートドライバは、前記印刷回路基板として具現され、板面が前記第1電子式リレーまたは前記第2電子式リレーに対して垂直に配置される。
【0018】
前記放熱カバーは、互いに結合可能に設けられた上部カバーと下部カバーとを含み、前記下部カバーは、両縁部と中央領域とに1つずつ3個の第1突出部と、前記中央領域に位置した前記第1突出部の両横に凹状に形成された2個の第1収容溝部と、を備えたブロック状からなり、前記上部カバーは、前記下部カバーの3個の第1突出部と2個の第1収容溝部とに上下方向に対応する3個の第2突出部と2個の第2収容溝部とを備えたブロック状からなり、前記第1電子式リレーと前記第2電子式リレーは、それぞれ前記2個の第1収容溝部と前記2個の第2収容溝部とによって形成された空間内に拘束される。
【0019】
前記第1収容溝部の表面と前記第2収容溝部の表面には、第1熱伝達パッドが備えられうる。
【0020】
前記下部カバーの下面と前記クーリングプレートとの間にサーマルインターフェース物質が備えられうる。
【0021】
前記上部カバーは、上面が凹凸パターン構造からなりうる。
【0022】
前記電子スイッチング素子は、IGBTまたはMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)で構成することができる。
【0023】
前記BDUハウジングは、互いに結合可能に設けられるロワーハウジングとアッパーカバーとを含み、前記放熱カバーは、前記ロワーハウジングの上部に固設され、前記クーリングプレートは、前記ロワーハウジングの下部に固設されるが、前記ロワーハウジングで前記放熱カバーの下側はオープンされており、前記放熱カバーと前記クーリングプレートとが互いに接触可能に構成することができる。
【0024】
前記バッテリディスコネクトユニットは、前記クーリングプレートの一側に連結される冷媒供給パイプと前記クーリングプレートの他側に連結される冷媒排出パイプとをさらに含みうる。
【0025】
本発明の他の様態によれば、前述したバッテリディスコネクトユニットを含むバッテリパックが提供されうる。
【0026】
本発明のさらに他の様態によれば、前述したバッテリパックを含む電気自動車が提供されうる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一側面によれば、電子式リレーを適用したバッテリディスコネクトユニットとして効果的に電子式リレーを冷却させることができる冷却装置構成を含んだバッテリディスコネクトユニットが提供されうる。
【0028】
また、体積が大きな電気機械式リレーの代わりに、電子スイッチ素子を利用した電子式リレーを適用することによって、本発明のバッテリディスコネクトユニットは、接点融着現象を心配する必要がなく、従来よりも小型化・軽量化が可能である。
【0029】
本発明の効果が、前述した効果に限定されるものではなく、言及されていない効果は、本明細書及び添付図面から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】バッテリパックと負荷との間に介在される従来のリレー回路部を例示した回路図である。
【
図2】本発明の一実施例によるバッテリディスコネクトユニットを示す斜視図である。
【
図3】
図2において、上部カバーを省略したバッテリディスコネクトユニットの平面図である。
【
図4】本発明の一実施例による電子式リレーモジュールの分解斜視図である。
【
図5】
図4の電子式リレーモジュールの結合斜視図である。
【
図6】
図4の電子式リレーモジュールのための冷却構成を示す図面である。
【
図7】本発明の一実施例による電子式リレーモジュールの冷却構成の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照して、本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立って、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は、通常の、または辞書的な意味として限定して解釈されてはならず、発明者は、自分の発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義できるという原則を踏まえて、本発明の技術的思想に符合する意味と概念として解釈されなければならない。したがって、本明細書に記載の実施例と図面とに示された構成は、本発明の最も望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的思想をいずれも代弁するものではないので、本願の出願時点において、これらを代替しうる多様な均等物及び変形例があるということを理解しなければならない。
【0032】
本発明の実施形態は、当業者に本発明をさらに完全に説明するために提供されるものなので、図面での構成要素の形状及び大きさなどは、より明確な説明のために誇張または省略されるか、または概略的に示される。したがって、各構成要素の大きさや比率は、実際的な大きさや比率を全面的に反映するものではない。
【0033】
図2は、本発明の一実施例によるバッテリディスコネクトユニットを示す斜視図であり、
図3は、
図2において、上部カバーを省略したバッテリディスコネクトユニットの平面図であり、
図4は、本発明の一実施例による電子式リレーモジュールの分解斜視図であり、
図5は、
図4の電子式リレーモジュールの結合斜視図である。
【0034】
これらの図面を参照すれば、本発明の一実施例によるバッテリディスコネクトユニットは、BDUハウジング100、電子式リレーモジュール200、放熱カバー300、クーリングプレート400、冷媒供給パイプ500及び冷媒排出パイプ600を含む。
【0035】
前記BDUハウジング100は、互いに結合可能に設けられるロワーハウジング110とアッパーカバー120とを含む。BDUハウジング100は、例えば、プラスチック樹脂を射出成形して製作することができる。
【0036】
前記ロワーハウジング110は、上面が開放されたボックス状に内側に電子式リレーモジュール200、電流センサー、プリチャージレジスタ240、複数個のバスバー114、ケーブルなどを設置できるように設けられる。例えば、図面に示したように、前記各種の電装部品は、ボルト/ナットなどで前記ロワーハウジング110に固着される。
【0037】
前記アッパーカバー120は、下面が開放されたボックス状に前記ロワーハウジング110の上部に結合されるように設けられうる。
【0038】
例えば、ロワーハウジング110は、コーナー領域4個所に上部方向に柱状にそびえる支持棒111を備えることができ、アッパーカバー120は、前記支持棒111の上端面と対面接触するように平らに形成された4個の装着部121を備えることができる。前記4個の装着部121にホールがさらに形成され、前記ホールに六角ボルト(B)を挟み込み、前記支持棒111に締結すれば、アッパーカバー120がロワーハウジング110に固着される。
【0039】
ロワーハウジング110とアッパーカバー120とを結合すれば、BDUハウジング100は、側面部に充放電線路を形成するためのバスバー114やケーブルの出入りまたはコネクタの接続のための開口と後述する電子式リレーモジュール200の冷却のために、クーリングプレート400を接続させるための下部側を除いては、密閉された形状になるように構成することができる。
【0040】
参考までに、本実施例によるバッテリディスコネクトユニットは、バッテリパックの構成品であって、前記バッテリパックを構成するパックケース(図示せず)の内部に設けられうる。前記パックケースの内部に設置する時、使用するために、バッテリディスコネクトユニットは、前記ロワーハウジング110の4つの隅の下端部の下に1つずつ4個のブラケット部を備えることができる。
【0041】
電子式リレーモジュール200は、前記BDUハウジング100の内部でバッテリの充放電線路上に位置するように設けられうる。ここで、前記バッテリは、バッテリパックに備えられる二次電池セルを意味し、バッテリの放電線路は、前記バッテリと電気自動車のモータやインバータのようにバッテリから電力を供給される装置を連結する線路を意味し、バッテリの充電線路は、バッテリパックの外部の充電器と前記バッテリとを連結する線路を意味する。
【0042】
前記電子式リレーモジュール200は、電子スイッチ素子を備え、前記バッテリの充放電線路で電流の流れを選択的に遮断することにより、例えば、モータに高電圧バッテリの電源を安定して供給または遮断する役割を行う構成要素である。
【0043】
従来の電気機械式リレーモジュールは、例えば、メインリレー(main relay)、プリチャージリレー(pre-charge relay)、プリチャージレジスタ(Pre-charge resistor)などを含み、前記メインリレーは、高電圧バッテリとモータとの間で電源を供給または遮断し、プリチャージリレー及びプリチャージレジスタは、初期電流による装置の損傷を防止する。前記電気機械式リレーのメインリレー、プリチャージリレーが行う役割を、本発明の電子式リレーモジュール200では、電子スイッチ素子が代わりにする。
【0044】
このような電子スイッチ素子は、オン(ON)またはオフ(OFF)制御用半導体スイッチ素子であって、1つ以上の金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)または1つ以上の絶縁ゲート双極性トランジスタ(IGBT、Insulated Gate Bipolar Transistor)で構成することができる。
【0045】
具体的に、
図4を参照すれば、本実施例による電子式リレーモジュール200は、第1電子式リレー210と、第2電子式リレー220及びゲートドライバ230と、を含む。
【0046】
前記第1電子式リレー210は、第1 IGBT回路部と前記第1 IGBT回路部を保護するための第1素子ケース211、前記第1 IGBT回路部から素子ケース211外に延びた第1端子部212、213とを含む。前記第2電子式リレー220は、前記第1 IGBT回路部と電流の流れが逆方向に誘導されるように回路が構成された第2 IGBT回路部と、前記第2 IGBT回路部を取り囲む第2素子ケース221、前記第2 IGBT回路部から前記第2素子ケース221外に延びた第2端子部222、223と、を含む。前記第1電子式リレー210と前記第2電子式リレー220は、外形的にほとんど同様に構成することができる。
【0047】
前記第1電子式リレー210は、バスバー114を介してバッテリの正極端子B(+)と外部装置の正極端子(HV+)とに連結されて、高電位線路の電流の流れを選択的に遮断する。そして、前記第2電子式リレー220は、他のバスバー114を介してバッテリの負極端子(B-)と外部装置の負極端子(HV-)とに連結されて、低電位線路の電流の流れを選択的に遮断する。
【0048】
前記第1電子式リレー210の場合、2個所の第1端子部212、213のうち、一側の第1端子部212は、バスバー114を通じてバッテリの正極端子(B+)に連結され、他側の第1端子部213は、他のバスバー114を通じて外部装置の正極端子(HV+)と電気的に連結される。そして、前記第2電子式リレー220の場合、2個所の第2端子部222、223のうち、一側の第2端子部223は、さらに他のバスバー114を通じてバッテリの負極端子(B-)に連結され、他側の第2端子部222は、さらに他のバスバー114を通じて外部装置の負極端子(HV(-)と電気的に連結される。
【0049】
ゲートドライバ230は、前記第1電子式リレー210及び前記第2電子式リレー220と連結されて、前記電子スイッチ素子のスイッチング動作を制御する役割を果たす。
【0050】
ゲートドライバ230は、BMS(Battery Management System)と通信可能であり、前記BMSから伝送される信号によって、前記電子スイッチ素子をオンまたはオフするように構成することができる。
【0051】
このようなゲートドライバ230と前記第1電子式リレー210及び前記第2電子式リレー220は、メタルピン(P)で連結される。
【0052】
特に、本実施例のゲートドライバ230は、印刷回路基板として具現され、板面が前記第1電子式リレー210または前記第2電子式リレー220に対して垂直に配置される。
【0053】
例えば、
図4に示したように、第1電子式リレー210と第2電子式リレー220との左側にゲートドライバ230が起立配置され、剛性材のメタルピン(P)によって、前記第1電子式リレー210及び前記第2電子式リレー220と1つの胴体で連結される。このようなゲートドライバ230は、一側がロワーハウジング110にボルト締結され、他側が前記ゲートドライバ230とネジ締結されるように設けられた支持体260によってロワーハウジング110に安定して垂直配置される。
【0054】
また、前記ゲートドライバ230は、下端部が部分的に湾入した形態で構成されたバスバー通路部(O)を備えることができる。充放電線路を形成するバスバー114は、前記バスバー通路部(O)を通過してゲートドライバ230を迂回せず、前記第1電子式リレー210の端子部213または前記第2電子式リレー220の端子部223に連結される。
【0055】
前記構成によれば、ロワーハウジング110の面積をより広く活用することができる。すなわち、印刷回路基板の形状であるゲートドライバ230をロワーハウジング110の底面に対して垂直に立てることにより、他の部品を搭載することができる空間確保が可能となり、ケーブル配線もさらに容易になる。例えば、
図3のように、ゲートドライバ230が立てられており、プリチャージレジスタ240やヒューズのような部品を周辺に隣接して配置し、ケーブルで簡単に連結しやすい。
【0056】
放熱カバー300は、前記電子式リレーモジュール200の冷却と保護とのための構成であって、電子式リレーモジュール200と熱交換が可能な材質で前記第1電子式リレー210と前記第2電子式リレー220とを取り囲む構造からなりうる。
【0057】
再び
図4及び
図5を参照すれば、本実施例による放熱カバー300は、互いに結合可能に設けられた下部カバー310と上部カバー320とを含み、前記下部カバー310と前記上部カバー320は、例えば、アルミニウムやグラファイトのように熱伝導性に優れた材質からなりうる。
【0058】
前記下部カバー310は、両縁部と中心部とにそれぞれ位置した3個の第1突出部311、312、313と、前記中心部の第1突出部312の両横に凹状に形成された2個の第1収容溝部314、315と、を備えたブロック状からなりうる。
【0059】
そして、前記上部カバー320は、前記下部カバー310の3個の第1突出部311、312、313と2個の第1収容溝部314、315とに上下方向に対応する3個の第2突出部321、322、323と2個の第2収容溝部324、325とを備えたブロック状からなりうる。
【0060】
前記下部カバー310の2個の第1収容溝部314、315に、前記第1電子式リレー210と前記第2電子式リレー220とが載置される。この際、前記第1収容溝部の表面に熱伝達パッド330を先に配置して、前記下部カバー310、前記第1電子式リレー210、前記第2電子式リレー220の間の表面照度差による熱接触抵抗を無くすことにより、熱伝導率を高めうる。
【0061】
前記第1電子式リレー210の上部と前記第2電子式リレー220の上部は、前記上部カバー320で覆われる。この際にも、さらに他の熱伝達パッド330を前記第1電子式リレー210の上部と前記第2電子式リレー220の上部とに配置し、その上を上部カバー320で覆う。そして、前記下部カバー310の3個の第1突出部311、312、313と前記上部カバー320の3個の第2突出部321、322、323とをボルト(B)締結する。ボルト締結時に、衝撃分散のために、板状のワッシャー(W)が前記第1突出部311、312、313と前記第2突出部321、322、323との間に追加される。
【0062】
このような構成によれば、前記第1電子式リレー210と前記第2電子式リレー220は、それぞれ前記2個の第1収容溝部314、315と前記2個の第2収容溝部324、325とによって形成された空間内に拘束される。また、前記放熱カバー300は、前記第1電子式リレー210と前記第2電子式リレー220とを取り囲む構造であって、前記第1電子式リレー210と前記第2電子式リレー220とで熱が発生する場合、前記熱を迅速に吸収することができる。
【0063】
以下、前記放熱カバーの放熱のための構造を説明すれば、次の通りである。本実施例の放熱カバー300は、対流放熱と伝導放熱とによって冷却される。すなわち、
図6及び
図7を参照すれば、本実施例による放熱カバー300は、上部と前後左右側面部とを通じて対流放熱が可能であり、下部にクーリングプレート400を接触させて、伝導放熱が可能に構成することができる。
【0064】
対流放熱の効果を極大化するための方法として、放熱カバー300の上部カバー320は、上面が凹凸パターン327構造からなりうる。すなわち、上部カバー320と大気との接触面積をさらに広げることにより、対流放熱を促進する。
【0065】
そして、伝導放熱のために、前記放熱カバー300よりも温度が低い低温体の役割を行うクーリングプレート400を前記放熱カバー300の下部カバー310の下面に接触させる。この際、前記下部カバー310とクーリングプレート400との間にサーマルインターフェース物質(TIM、Thermal Interface Material)340を介在することが望ましい。前記サーマルインターフェース物質340としては、例えば、サーマルグリース、セラミックを混合したシリコン樹脂、炭素ナノチューブのように熱伝導率に優れる物質が採用される。また、サーマルインターフェース物質340は、液相よりは粘着パッドの形態が前記下部カバー310と前記クーリングプレート400とを互いに接着固定するのに有利である。
【0066】
前記クーリングプレート400は、内部に冷媒が流れる中空構造で形成された流路を備え、外形は、板状体の形態からなりうる。このようなクーリングプレート400が放熱カバー300の下部に配されて、放熱カバー300を冷却させる。
【0067】
前記クーリングプレート400の一側と他側とに冷媒供給パイプ500と冷媒排出パイプ600とがそれぞれ連結される。前記冷媒供給パイプ500と前記冷媒排出パイプ600は、既存にバッテリパックで二次電池セルを冷却するための冷媒供給メインパイプ(図示せず)及び冷媒排出メインパイプ(図示せず)と連通される。
【0068】
そして、前記冷媒供給パイプ500と前記冷媒排出パイプ600は、クーリングプレート400の内部の流路と連通される。ここで、前記冷媒としては、冷却水であり、前記冷媒供給パイプ500を通じてクーリングプレート400の内部に流入されて、前記放熱カバー300で伝導放熱された熱を吸収し、前記冷媒排出パイプ600を通じてクーリングプレート400の外部に排出される。
【0069】
前記冷媒供給パイプ500を通じてクーリングプレート400の内部に流入される冷媒の流量は、BMSで制御される。例えば、ロワーハウジング110の内部には、電子式リレーモジュール200の温度を測定することができる温度センサーが備えられ、前記温度センサーによって測定されたデータは、BMSに伝送することができる。前記クーリングプレート400に供給される冷媒の流量は、電子式リレーモジュール200の温度によってBMSによって異なって調節される。
【0070】
本実施例の場合、前記放熱カバー300は、前記ロワーハウジング110の上部に固設され、前記クーリングプレート400は、前記ロワーハウジング110の下部に固設される。そして、前記ロワーハウジング110で前記放熱カバー300の下側はオープンされた構造からなっている。
【0071】
さらに説明すれば、本実施例において、バッテリディスコネクトユニットは(
図2及び
図3参照)、第1電子式リレー210と第2電子式リレー220とを取り囲んでいる放熱カバー300がロワーハウジング110の上部にボルトで固設されており、前記放熱カバー300の上部に部品装着用ブラケット(BK)が配されている。ここで、前記部品装着用ブラケット(BK)は、プリチャージレジスタ240を支持するための用途の部品であり、放熱カバー300の上部を覆うが、前記放熱カバー300との間に所定の離隔空間を形成しており、放熱カバー300の対流放熱は可能である。そして、前記ロワーハウジング110で放熱カバー300の下側は、部分的に開放された構造からなりうる。前記開放された構造を通じて放熱カバー300の下面と前記クーリングプレート400の上面とが互いに接触することができる。
【0072】
前記のような本発明によるバッテリディスコネクトユニットは、体積が大きな電気機械式リレーの代わりに、電子スイッチ素子を利用した電子式リレーモジュール200を含んでおり、接点融着現象を心配する必要がなく、従来よりも小型化・軽量化が可能である。また、前記電子式リレーモジュール200の電子スイッチ素子の温度を最適状態で管理することができて、電子スイッチ素子の作動信頼性及び寿命特性を向上させうる。
【0073】
一方、本発明によるバッテリパックは、前述したバッテリディスコネクトユニットと、1つ以上のバッテリモジュール、バッテリモジュールの充電・放電を制御するための各種の装置(図示せず)、例えば、BMS、電流センサー、ヒューズ、そして、これらを収納するためのパックケースなどをさらに含みうる。
【0074】
本発明によるバッテリパックは、電気自動車やハイブリッド自動車のような自動車に適用されることもある。すなわち、本発明による自動車は、前述した本発明の一実施例によるバッテリディスコネクトユニットと、それを含むバッテリパックと、を含んで構成することができる。
【0075】
以上のように、本発明は、たとえ限定された実施例と図面とによって説明されたとしても、本発明は、これによって限定されず、当業者によって本発明の技術思想と下記に記載される特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということはいうまでもない。
【0076】
本明細書において、上、下、左、右のような方向を示す用語が使われたが、このような用語は、説明の便宜のためのものであり、対象となる事物の位置や観測者の位置などによって変わりうるということは、本発明の当業者に自明である。