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  • 特許-凍上防止システムおよび凍上防止工法 図1
  • 特許-凍上防止システムおよび凍上防止工法 図2
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  • 特許-凍上防止システムおよび凍上防止工法 図4
  • 特許-凍上防止システムおよび凍上防止工法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】凍上防止システムおよび凍上防止工法
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/12 20060101AFI20240625BHJP
   E02D 31/14 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
E02D29/12 Z
E02D31/14
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020105950
(22)【出願日】2020-06-19
(65)【公開番号】P2022000560
(43)【公開日】2022-01-04
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000175021
【氏名又は名称】三井化学産資株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】505119162
【氏名又は名称】学校法人 北海学園
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】松本 七保子
(72)【発明者】
【氏名】所 哲也
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-082698(JP,A)
【文献】特開2012-241430(JP,A)
【文献】特開2015-151789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 29/12
E02D 31/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
舗装地に埋設された筒状物の周囲地盤の凍上を防止する凍上防止システムであって、
上下方向に筒状に延び且つ上端面が舗装地の表面と面一となるように埋設された筒状物の周囲地盤から水を集める集水シートと、前記集水シートが集めた水を所定深さよりも深い地盤内部に排出する排水シートとを備え
前記排水シートは舗装地の表層部から前記所定深さよりも深い部分まで前記筒状物の外周面に沿って筒状に巻き付けられており、
前記集水シートは前記筒状物の径方向に沿って且つ前記筒状物に向かって下方に傾斜して埋設されている凍上防止システム。
【請求項2】
舗装地に埋設された筒状物の周囲地盤の凍上を防止する凍上防止システムであって、
上下方向に筒状に延び且つ上端面が舗装地の表面と面一となるように埋設された筒状物の周囲地盤から水を集める集水シートと、前記集水シートが集めた水を所定深さよりも深い地盤内部に排出する排水シートとを備え
前記排水シートは舗装地の表層部から前記所定深さよりも深い部分まで前記筒状物の外周面に沿って筒状に巻き付けられており、
前記集水シートは前記筒状物を中心として放射状に複数埋設されている凍上防止システム。
【請求項3】
前記集水シートは親水性および吸水性を有する、請求項1または2に記載の凍上防止システム。
【請求項4】
前記集水シートは上下方向において砕石と交互に積層されている、請求項1からまでのいずれかに記載の凍上防止システム。
【請求項5】
舗装地に埋設された筒状物の周囲地盤の凍上を防止する凍上防止工法であって、
上下方向に筒状に延び且つ上端面が舗装地の表面と面一となるように筒状物を埋設予定箇所に設置する工程と、
前記筒状物の周囲地盤から水を集める集水シートを敷設する工程と、
前記集水シートが集めた水を所定深さよりも深い地盤内部に排出する排水シートを敷設する工程とを含み、
舗装地の表層部に相当する部分から前記所定深さよりも深い部分まで前記筒状物の外周面に沿って筒状に前記排水シートを巻き付け、
前記筒状物の径方向に沿って且つ前記筒状物に向かって下方に傾斜させて前記集水シートを敷設する凍上防止工法。
【請求項6】
舗装地に埋設された筒状物の周囲地盤の凍上を防止する凍上防止工法であって、
上下方向に筒状に延び且つ上端面が舗装地の表面と面一となるように筒状物を埋設予定箇所に設置する工程と、
前記筒状物の周囲地盤から水を集める集水シートを敷設する工程と、
前記集水シートが集めた水を所定深さよりも深い地盤内部に排出する排水シートを敷設する工程とを含み、
舗装地の表層部に相当する部分から前記所定深さよりも深い部分まで前記筒状物の外周面に沿って筒状に前記排水シートを巻き付け、
前記筒状物を中心として放射状に複数の前記集水シートを敷設する凍上防止工法。
【請求項7】
前記集水シートは親水性および吸水性を有する、請求項5または6に記載の凍上防止工法。
【請求項8】
上下方向において前記集水シートと砕石とを交互に積層する、請求項からまでのいずれかに記載の凍上防止工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装地に埋設された筒状物の周囲地盤の凍上を防止する凍上防止システムおよび凍上防止工法に関する。
【背景技術】
【0002】
寒冷地では、寒気が地盤に浸入して霜柱(アイスレンズ)が地盤内部に形成され、舗装地の表面が持ち上がる凍上現象が発生し、舗装地に亀裂が生じることがある。マンホールや仕切弁筐、各種地下浸透施設(側溝、集水ます、雨水ます、浸透ます)等の筒状物が埋設された地盤が凍上すると、筒状物の内部を通って寒気が地盤に深く浸入するため、筒状物の周囲地盤の凍上量は比較的大きくなる傾向があり、筒状物の周囲の舗装地の表面が筒状物の上端面よりも数cm程度隆起する場合がある。このような場合には、筒状物の埋設箇所が陥没したような状況になり、歩行者や車両の通行に支障をきたすという問題がある。そこで、舗装地に埋設された筒状物の周囲地盤の凍上を防止するために、筒状物の周囲地盤に薬剤等を添加混合して筒状物の周囲地盤の凍結温度を下げる方法や、筒状物の周囲地盤を、凍上を起こしにくい材料に置き換える置換工法、筒状物の周囲地盤に遮水層を設けて降水および地下水が筒状物周囲の凍上性の地盤へ補給されるのを防ぐ遮断工法が行われることがある。さらに、発泡スチロール破砕物成型部材等の断熱材を筒状物の周囲に敷設する断熱工法が行われることがある(たとえば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-82698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の工法を実施しても筒状物の周囲地盤の凍上を十分に防止することができない場合が存在することを本発明者等は実験的に確認した。
【0005】
上記事実に鑑みてなされた本発明の課題は、舗装地に埋設された筒状物の周囲地盤の凍上を防止することができる凍上防止システムおよび凍上防止工法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の局面は上記課題を解決するために以下の凍上防止システムを提供する。すなわち、舗装地に埋設された筒状物の周囲地盤の凍上を防止する凍上防止システムであって、上下方向に筒状に延び且つ上端面が舗装地の表面と面一となるように埋設された筒状物の周囲地盤から水を集める集水シートと、前記集水シートが集めた水を所定深さよりも深い地盤内部に排出する排水シートとを備え、前記排水シートは舗装地の表層部から前記所定深さよりも深い部分まで前記筒状物の外周面に沿って筒状に巻き付けられており、前記集水シートは前記筒状物の径方向に沿って且つ前記筒状物に向かって下方に傾斜して埋設されている凍上防止システムを本発明の第1の局面は提供する。
また、本発明の第2の局面は上記課題を解決するために以下の凍上防止システムを提供する。すなわち、舗装地に埋設された筒状物の周囲地盤の凍上を防止する凍上防止システムであって、上下方向に筒状に延び且つ上端面が舗装地の表面と面一となるように埋設された筒状物の周囲地盤から水を集める集水シートと、前記集水シートが集めた水を所定深さよりも深い地盤内部に排出する排水シートとを備え、前記排水シートは舗装地の表層部から前記所定深さよりも深い部分まで前記筒状物の外周面に沿って筒状に巻き付けられており、前記集水シートは前記筒状物を中心として放射状に複数埋設されている凍上防止システムを本発明の第2の局面は提供する。
【0007】
記集水シートは親水性および吸水性を有するのが好都合である。前記集水シートは上下方向において砕石と交互に積層されているのが好ましい。
【0008】
本発明の第の局面は上記課題を解決するために以下の凍上防止工法を提供する。すなわち、舗装地に埋設された筒状物の周囲地盤の凍上を防止する凍上防止工法であって、上下方向に筒状に延び且つ上端面が舗装地の表面と面一となるように筒状物を埋設予定箇所に設置する工程と、前記筒状物の周囲地盤から水を集める集水シートを敷設する工程と、前記集水シートが集めた水を所定深さよりも深い地盤内部に排出する排水シートを敷設する工程とを含み、舗装地の表層部に相当する部分から前記所定深さよりも深い部分まで前記筒状物の外周面に沿って筒状に前記排水シートを巻き付け、前記筒状物の径方向に沿って且つ前記筒状物に向かって下方に傾斜させて前記集水シートを敷設する凍上防止工法を本発明の第の局面は提供する。
また、本発明の第4の局面は上記課題を解決するために以下の凍上防止工法を提供する。すなわち、舗装地に埋設された筒状物の周囲地盤の凍上を防止する凍上防止工法であって、上下方向に筒状に延び且つ上端面が舗装地の表面と面一となるように筒状物を埋設予定箇所に設置する工程と、前記筒状物の周囲地盤から水を集める集水シートを敷設する工程と、前記集水シートが集めた水を所定深さよりも深い地盤内部に排出する排水シートを敷設する工程とを含み、舗装地の表層部に相当する部分から前記所定深さよりも深い部分まで前記筒状物の外周面に沿って筒状に前記排水シートを巻き付け、前記筒状物を中心として放射状に複数の前記集水シートを敷設する凍上防止工法を本発明の第4の局面は提供する。
【0009】
記集水シートは親水性および吸水性を有するのが好都合である。上下方向において前記集水シートと砕石とを交互に積層するのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、舗装地に埋設された筒状物の周囲地盤から集水シートによって水を集めると共に、集水シートが集めた水を所定深さよりも深い地盤内部に排水シートによって排出するので、筒状物の周囲地盤の所定深さ内の水を低減することができ、筒状物の周囲地盤の凍上を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に従って構成された凍上防止システムが適用された舗装地の断面図。
図2図1のA-A線断面図。
図3】筒状物を埋設予定箇所に設置した状態を示す舗装地の断面図。
図4】筒状物および排水シートを設置および敷設した状態を示す舗装地の断面図。
図5】(a)筒状物の周囲に砕石を敷き詰めた状態を示す舗装地の断面図、(b)砕石の上面に集水シートを敷設した状態を示す舗装地の断面図、(c)本発明の凍上防止工法によって構築された舗装地の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の凍上防止システムおよび凍上防止工法の好適実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0013】
まず、本発明の凍上防止システムの実施形態について図1および図2を参照して説明する。図1に全体を符号2で示す凍上防止システムは、舗装地4に埋設された筒状物6の周囲地盤から水を集める集水シート8と、集水シート8が集めた水を所定深さよりも深い地盤内部に排出する排水シート10とを備える。
【0014】
図示の実施形態の筒状物6は、上下方向に延びる円筒状のコンクリート製マンホール12と、マンホール12の上端開口を覆う円板状の金属製の蓋14とを含む。図1に示すとおり、筒状物6の上端面(蓋14の上面)は舗装地4の表面4aと面一となるように舗装地4に埋設されている。なお、筒状物6は、マンホール12と蓋14とを含む構成に限定されず、上下方向に筒状に延び且つ上端面が舗装地4の表面4aと面一となるように舗装地4に埋設されるものであればよく、たとえば仕切弁筐(図示していない。)、各種地下浸透施設(側溝、集水ます、雨水ます、浸透ます)等であってもよい。筒状物6の材質は鋼材等の適宜の金属材料または合成樹脂材料等も用いられ得る。
【0015】
図2を参照して説明すると、集水シート8は、筒状物6を中心として放射状に且つ筒状物6の周方向に等間隔をおいて複数枚(図示の実施形態では8枚)埋設されている。集水シート8は、筒状物6の周方向に不等間隔をおいて埋設されていてもよく、たとえば、地盤の内部で水が比較的溜まりやすい場所においては集水シート8同士の間隔を狭め、地盤の内部で水はけが比較的良好な場所においては集水シート8同士の間隔を広げるようにしてもよい。集水シート8の枚数およびサイズは、筒状物6が埋設された地盤の凍上量や凍上範囲に応じて任意に決定され得る。
【0016】
図1および図2を参照することによって理解されるとおり、図示の実施形態の集水シート8は、筒状物6の径方向に沿って且つ筒状物6に向かって下方に傾斜して埋設されている。集水シート8は水平に埋設されていてもよいが、水平面と集水シート8とのなす角度θは、集水シート8が水平に埋設された場合(θ=0°)と比較して、集水シート8によって集められた水が集水シート8に沿って流れやすくなる角度(たとえば1°~15°程度)であるのが好ましい。
【0017】
集水シート8は、導水性を有する適宜の合成樹脂材料の織布または不織布から形成され得る。集水シート8の材質としては、たとえば、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィンまたはセルロースエステル等が挙げられる。集水シート8は親水性および吸水性を有しているのが好ましく、これにより、重力によって集水シート8の上方から流れてきた水を集めることができるだけでなく、重力に逆らって集水シート8の下方からも水を吸い上げて集めることができ、また、図2に示すとおり、集水シート8の側方(筒状物6の周方向)からも水を集めることができる。
【0018】
図1および図2に示すとおり、集水シート8は、上下方向において砕石16と交互に積層されている。砕石16は、透水性が比較的良好なものが好ましく、たとえば、岩石、玉石またはコンクリート廃材等を破砕したものが用いられ得る。砕石16の粒度は調整されていてもよく調整されていなくてもよい。
【0019】
図示の実施形態の排水シート10は、舗装地4の表層部18の下端18aから所定深さよりも深い部分まで筒状物6の外周面に沿って円筒状に巻き付けられている。本明細書における表層部18は、舗装地4の表層と、表層の下方に敷設される基層とから構成される部分でもよく、あるいは舗装地4の表層のみから構成される部分でもよい。図示の実施形態の排水シート10の上端は表層部18の下端18aに位置づけられているが、排水シート10の上端位置は、表層部18の下端18aに限定されず、表層部18の上端(舗装地4の表面4a)であってもよく、あるいは表層部18の上端(舗装地4の表面4a)と表層部18の下端18aとの間であってもよい。
【0020】
上記所定深さは、たとえば、寒気によって地盤が凍る深さである凍結深度に設定され得る。凍結深度は、地域によって異なると共に最低気温に関連して変動するものであるが、たとえば、凍上防止システム2が適用される地域における冬季の平均最低気温に基づいて上記所定深さとしての凍結深度が設定され得る。
【0021】
排水シート10の下端位置を決定する際は、たとえば、まず、筒状物6の埋設予定箇所において冬季の平均最低気温に基づき、筒状物6が埋設されていない場合の凍結深度を求める。次いで、筒状物6の埋設予定箇所において筒状物6が埋設された場合の筒状物6の周辺地盤の凍結深度を求める。通常、筒状物6が埋設されると筒状物6の内部を通って寒気が地盤に深く浸入するので、筒状物6が埋設された場合の筒状物6の周辺地盤の凍結深度は、筒状物6が埋設されていない場合の凍結深度よりも深くなる。このため、筒状物6が埋設された場合の筒状物6の周辺地盤の凍結深度は、筒状物6が埋設されていない場合の凍結深度に適宜の係数を乗じて求めることができる。次いで、筒状物6の埋設予定箇所における筒状物6の周辺地盤の凍結深度を所定深さとして設定する。そして、設定した所定深さに適宜の係数を乗じた深さを排水シート10の下端位置として決定する。
【0022】
排水シート10は、集水シート8と同様に、導水性を有する適宜の合成樹脂材料の織布または不織布から形成され得る。排水シート10の材質は、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィンまたはセルロースエステル等でよい。また、排水シート10は親水性および吸水性を有しているのが好都合である。そして、図1および図2において地下水の流れを矢印で示すとおり、排水シート10は、集水シート8が集めた水を所定深さよりも深い地盤内部に排出する。
【0023】
上述したとおりの凍上防止システム2においては、舗装地4に埋設された筒状物6の周囲地盤から集水シート8によって水を集めると共に、集水シート8が集めた水を所定深さよりも深い地盤内部に排水シート10によって排出するので、舗装地4に埋設された筒状物6の周囲地盤の所定深さ内の水を低減することができ、筒状物6の周囲地盤の凍上を防止することができる。
【0024】
次に、本発明の凍上防止工法の実施形態について説明する。なお、凍上防止工法の実施形態においては、上述の凍上防止システム2の実施形態の構成要素と同一でよい構成要素には凍上防止システム2の実施形態の構成要素と同一の符号を付し説明を省略する。
【0025】
図示の実施形態では、まず、上下方向に筒状に延び且つ上端面が舗装地の表面と面一となるように筒状物6を埋設予定箇所に設置する工程を実施する。図3に示すとおり、筒状物6を設置する際は、まず、筒状物6の埋設予定箇所の地面20を掘削して地面20に穴22を形成する。そして、筒状物6の上端面(蓋14の上面)が地面20(舗装地の表面)と面一となるように、形成した穴22に筒状物6を設置する。
【0026】
筒状物6を埋設予定箇所に設置した後、集水シート8が集めた水を所定深さよりも深い地盤内部に排出する排水シート10を敷設する工程を実施する。図示の実施形態では図4に示すとおり、舗装地の表層部18の下端18aに相当する部分から所定深さよりも深い部分まで筒状物6の外周面に沿って筒状に排水シート10を巻き付けている。
【0027】
図示の実施形態では筒状物6を設置した後に排水シート10を敷設しているが、筒状物6を設置する工程と、排水シート10を敷設する工程とを同時に実施してもよい。すなわち、筒状物6を埋設予定箇所に設置する前に、あらかじめ筒状物6の外周面に排水シート10を巻き付けておき、排水シート10を巻き付けた筒状物6を埋設予定箇所に設置するようにしてもよい。
【0028】
筒状物6および排水シート10を設置および敷設した後、筒状物6の周囲地盤から水を集める集水シート8を敷設する工程を実施する。図5を参照して説明すると、集水シート8を敷設する際は、まず、図5(a)に示すとおり、上面が筒状物6に向かって下方に傾斜するように砕石16を筒状物6の周囲に敷設する。砕石16の傾斜上面16aと水平面とのなす角度θは0°でもよいが、集水シート8に沿って水を流れやすくする観点から1°~15°程度であるのが好ましい。
【0029】
次いで、図5(b)に示すとおり、筒状物6の径方向に沿って砕石16の傾斜上面16aに集水シート8を敷設する。筒状物6の周方向に不等間隔をおいて集水シート8を敷設してもよいが、筒状物6を中心として放射状に且つ筒状物6の周方向に等間隔をおいて集水シート8を敷設するのが好適である。次いで、上下方向において集水シート8と砕石16とを交互に積層する。そして、図5(c)に示すとおり、地面20と面一となるように舗装の表層部18を構築する。
【0030】
以上のとおりであり、図示の実施形態の凍上防止工法によれば、舗装地に埋設された筒状物6の周囲地盤から集水シート8によって水を集めると共に、集水シート8が集めた水を所定深さよりも深い地盤内部に排水シート10によって排出するので、舗装地に埋設された筒状物6の周囲地盤の所定深さ内の水を低減することができ、筒状物6の周囲地盤の凍上を防止することができる。
【0031】
2:凍上防止システム
4:舗装地
4a:舗装地の表面
6:筒状物
8:集水シート
10:排水シート
12:マンホール
14:蓋
16:砕石
16a:砕石の傾斜上面
18:舗装地の表層部
18a:舗装地の表層部下端
図1
図2
図3
図4
図5