(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】ウェルボアと地層との物質交換をシミュレートする実験装置
(51)【国際特許分類】
E21B 49/08 20060101AFI20240625BHJP
E21B 47/06 20120101ALI20240625BHJP
【FI】
E21B49/08
E21B47/06
(21)【出願番号】P 2023514125
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(86)【国際出願番号】 CN2022083177
(87)【国際公開番号】W WO2022199701
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-02-27
(31)【優先権主張番号】202110327751.4
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523070001
【氏名又は名称】チャイナ・ユナイテッド・コールベッド・メタン・ナショナル・エンジニアリング・リサーチ・センター・カンパニー・リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】523070012
【氏名又は名称】チャイナ・ユニバーシティ・オブ・ペトロリアム(ペキン)
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デン、ジュンヤオ
(72)【発明者】
【氏名】シュ、フェンイン
(72)【発明者】
【氏名】シュー、ジンフイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、レイ
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ドン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ユアン
(72)【発明者】
【氏名】ジ、ユアン
(72)【発明者】
【氏名】スン、シャオイ
(72)【発明者】
【氏名】チ、リウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、イ
(72)【発明者】
【氏名】モ、シキ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ユン
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111706321(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111749653(CN,A)
【文献】特開2011-184454(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0056477(US,A1)
【文献】特開2018-035500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 49/08
E21B 47/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェルボアと地層との物質交換をシミュレートする実験装置であって、前記実験装置は、ウェルボア模擬システム、ウェルボア液注入システム、地層模擬システム、地層流体注入システム、及びデータ採集システムを備え、
前記ウェルボア模擬システムは、ウェルボアをシミュレートするための垂直に設置される筒体を含み、
前記地層模擬システムは、地層をシミュレートするための水平に設置される密閉体、及び前記密閉体内に充填されるモルタル充填物を含み、
前記ウェルボア液注入システムは前記筒体の上端に接続され、前記筒体内にウェルボア液を注入するように設定され、前記地層流体注入システムは前記密閉体の一端に接続され、前記密閉体内に地層流体を注入するように設定され、前記密閉体の他端は前記筒体の底端に連通し、前記データ採集システムは前記ウェルボア模擬システム及び前記地層模擬システムに電気的に接続され、模擬データを採集
し、
前記ウェルボア液注入システムは、液槽、第1ブースターポンプ及び第1バルブを含み、前記液槽、前記第1ブースターポンプ、前記第1バルブは前記筒体の上端に順次に接続され、
前記地層流体注入システムは、流体ソース、第2ブースターポンプ及び第2バルブを含み、前記流体ソース、前記第2ブースターポンプ、前記第2バルブは前記密閉体の一端に順次に接続され、前記流体ソースは油ソース、ガスソース及び水ソースを含み、前記油ソース、前記ガスソース及び前記水ソースはいずれも混合弁の入り口に接続され、前記混合弁の出口は前記第2ブースターポンプに接続される、ウェルボアと地層との物質交換をシミュレートする実験装置。
【請求項2】
油、ガス、水の三方の混合比例を制御するように、前記油ソース、前記ガスソース及び前記水ソースの出口にはいずれも第4バルブが設置される、請求項
1に記載の実験装置。
【請求項3】
前記第1ブースターポンプと第2ブースターポンプは定圧ポンプである、請求項
1に記載の実験装置。
【請求項4】
前記第1バルブと前記第2バルブは逆止弁である、請求項
1に記載の実験装置。
【請求項5】
前記筒体と前記密閉体との間には第3バルブが設置される、請求項1に記載の実験装置。
【請求項6】
前記ウェルボア模擬システムは、前記筒体の上端に設置される第1圧力測定ユニット、及び前記筒体の底端に設置される第2圧力測定ユニットを更に含み、前記地層模擬システムは前記密閉体に均等に設置される若干の第3圧力測定ユニットを更に含み、前記第1圧力測定ユニット、前記第2圧力測定ユニット及び前記第3圧力測定ユニットはいずれも前記データ採集システムに電気的に接続される、請求項1に記載の実験装置。
【請求項7】
前記第1圧力測定ユニット、前記第2圧力測定ユニット及び/又は前記第3圧力測定ユニットは圧力センサー又は圧力計である、請求項
6に記載の実験装置。
【請求項8】
前記筒体の底端には排液管が設置され、前記排液管には排出弁が設置される、請求項1に記載の実験装置。
【請求項9】
前記筒体は若干節の透明なガラス管を含み、
前記筒体には目盛りがつけられている、請求項1~
8のいずれか1項に記載の実験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は油・ガス採掘の技術分野に関するがそれに限らず、特にウェルボアと地層との物質交換をシミュレートする実験装置に関するがそれに限らない。
【背景技術】
【0002】
油・ガス資源の掘削過程において、ウェルボア内の作動液による液体カラム圧力Phと地層孔隙における流体圧力Ppとの差ΔPは圧力差として定義され、圧力差の制御は掘削安全及び貯留層保護に係る重要なものである。圧力差の作用により、ウェルボア内の作動液と地層孔隙における流体は相対流動が発生する。ΔP=0の場合、バランス掘削方式であり、ウェルボア内の作動液は地層に入らず、地層における流体もウェルボアに入らない。ΔP>0の場合、オーバーバランス掘削方式であり、ウェルボア内の作動液は地層に入り、坑井近傍エリアの貯留層は作動液により汚染され、生産性が予期に達せず、深刻な場合にウェルボアの作動液が大量に喪失して、巨大な経済損失を招く。ΔP<0の場合、アンダーバランス掘削方式であり、地層流体はウェルボアに入り、坑井への浸入を招き、制御しないと、キックひいては噴出等の重大な事故を引き起こす。低浸透、低圧、低存在量の(low-abundance)油・ガス層の掘削過程において、アンダーバランス掘削方式を意図的に用いて、地層流体のウェルボアへの進入を許容して、油・ガス層の早める発見及び貯留層の保護の目的を達成する。そして、異なる物性パラメータの地層は圧力差の作用により、流体交換の形式が異なり、交換量と交換速度の決定には研究が必要であり、掘削安全及び貯留層保護の両立を考慮して掘削液の圧力差を合理的に決定する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
以下は、本明細書に記載されるテーマに対する概要である。本概要は特許請求の範囲の保護範囲を限定するものではない。
【0004】
ウェルボアと地層との物質交換をシミュレートする実験装置であって、前記実験装置は、ウェルボア模擬システム、ウェルボア液注入システム、地層模擬システム、地層流体注入システム、及びデータ採集システムを備え、
前記ウェルボア模擬システムは、ウェルボアをシミュレートするための垂直に設置される筒体を含み、
前記地層模擬システムは、地層をシミュレートするための水平に設置される密閉体、及び前記密閉体内に充填されるモルタル充填物を含み、
前記ウェルボア液注入システムは前記筒体の上端に接続され、前記筒体内にウェルボア液を注入するように設定され、前記地層流体注入システムは前記密閉体の一端に接続され、前記密閉体内に地層流体を注入するように設定され、前記密閉体の他端は前記筒体の底端に連通し、前記データ採集システムは前記ウェルボア模擬システム及び前記地層模擬システムに電気的に接続され、模擬データを採集し、
前記ウェルボア液注入システムは、液槽、第1ブースターポンプ及び第1バルブを含み、前記液槽、前記第1ブースターポンプ、前記第1バルブは前記筒体の上端に順次に接続され、
前記地層流体注入システムは、流体ソース、第2ブースターポンプ及び第2バルブを含み、前記流体ソース、前記第2ブースターポンプ、前記第2バルブは前記密閉体の一端に順次に接続され、前記流体ソースは油ソース、ガスソース及び水ソースを含み、前記油ソース、前記ガスソース及び前記水ソースはいずれも混合弁の入り口に接続され、前記混合弁の出口は前記第2ブースターポンプに接続される。
【0005】
図面及び詳細の説明を読んで理解した後、他の方面を理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図面は本願の技術案の更なる理解を提供するためのものであり、明細書の一部となり、本願の実施例とともに本願の技術案を解釈することに用いられ、本願の技術案を制限するためのものではない。
【0007】
【
図1】
図1は本願の1つの実施例におけるウェルボアと地層との物質交換をシミュレートする実験装置の接続構造模式図である。
【0008】
図面において、1、データ採集システム;2、筒体;3、密閉体;4、液槽;5、第1ブースターポンプ;6、第1バルブ;7、第2ブースターポンプ;8、第2バルブ;9、第3バルブ;10、第1圧力測定ユニット;11、第2圧力測定ユニット;12、第3圧力測定ユニット;13、排出弁;14、油ソース;15、ガスソース;16、水ソース;17、混合弁;18、第4バルブ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では図面を参照しながら本願の実施例を説明する。なお、衝突しない限り、本願における実施例及び実施例における特徴は互いに任意に組合わせることができる。
【0010】
本願の1つの実施例においてウェルボアと地層との物質交換をシミュレートする実験装置を開示し、
図1に示すように、該実験装置は、ウェルボア模擬システム、ウェルボア液注入システム、地層模擬システム、地層流体注入システム、及びデータ採集システム1を備える。
【0011】
ウェルボア模擬システムは、ウェルボアをシミュレートするための垂直に設置される筒体2を含む。
【0012】
地層模擬システムは、地層をシミュレートするための水平に設置される密閉体3、及び密閉体3内に充填されるモルタル充填物を含む。モルタル充填物は異なる比例のセメントと砂が混合した後に適量の清水とを攪拌して硬化して形成されたものである。異なる浸透率と孔隙度の地層の模擬需要に応じて、セメントと砂の比例を変更して、実際の地層の物性パラメータに調整して達成する。例えば、高浸透率の地層をシミュレートする必要がある場合、砂の占め比例を高める。
【0013】
ウェルボア液注入システムは筒体2の上端に接続され、筒体2内にウェルボア液を注入するように設定される。地層流体注入システムは密閉体3の一端に接続され、密閉体3内に地層流体を注入して、地層遠端をシミュレートするように設定される。密閉体3の他端は筒体2の底端に連通する。データ採集システム1はウェルボア模擬システム及び地層模擬システムに電気的に接続され(即ちウェルボア模擬システム及び地層模擬システムはいずれもデータ採集システム1に電気的に接続される)、模擬データを採集する。
【0014】
本実施例の実験装置では、ウェルボアをシミュレートするための垂直筒体及び地層をシミュレートするための水平密閉体を設置することにより、異なる圧力差でのウェルボアと地層との間の流体の流動規律の模擬を行うことができ、そして密閉体内のモルタル充填物を変更することにより、異なる物性の地層の圧力差作用下での流体交換形式の模擬を行うこともできる。
【0015】
理解されるように、筒体2は垂直に設置されて、垂直ウェルボアをシミュレートしてもよく、又は、筒体2は水平に設置され又は傾斜して設置されて、水平ウェルボア又は傾斜ウェルボアをシミュレートしてもよい。
【0016】
1つの実施例において、
図1に示すように、ウェルボア液注入システムは、液槽4、第1ブースターポンプ5及び第1バルブ6を含む。
【0017】
液槽4、第1ブースターポンプ5、第1バルブ6は筒体2の上端に順次に接続され、筒体2内の圧力は第1ブースターポンプ5により調節されて、真実のウェルボア内の圧力をシミュレートしてもよい。液槽4にはウェルボア液が詰められ、第1ブースターポンプ5は実験需要に応じて所定量のウェルボア液を筒体2内に注入して、筒体2内のウェルボア液に所定の液体カラム圧力を生成させ、ウェルボア内の作動液の模擬に用いられる。
【0018】
1つの実施例において、
図1に示すように、地層流体注入システムは、流体ソース、第2ブースターポンプ7及び第2バルブ8を含む。
【0019】
流体ソース、第2ブースターポンプ7、第2バルブ8は密閉体3の一端に順次に接続され、密閉体3内の圧力は第2ブースターポンプ7により調節されて、真実の地層の圧力をシミュレートする。流体ソースは油ソース14、ガスソース15及び水ソース16を含み、三方は混合して地層流体を形成し、それから混合弁17を介して第2ブースターポンプ7に接続され、油ソース14、ガスソース15及び水ソース16の出口にはいずれも個別に第4バルブ18が設置され、油、ガス、水の三方の混合比例を制御して、異なる性質の流体をシミュレートすることに用いられる。
【0020】
混合弁17は4つの弁口を有し、3つの入り口と1つの出口を含む。油ソース14、ガスソース15及び水ソース16は混合弁17を介して第2ブースターポンプ7に接続され、即ち、油ソース14、ガスソース15及び水ソース16の出口はそれぞれ混合弁17の3つの入り口に接続され、混合弁17の出口は第2ブースターポンプ7の入り口に接続される。
【0021】
第4バルブ18は流量弁であってもよく、油ソース14、ガスソース15及び水ソース16から流出する油、ガス、水の量を制御して、更に油、ガス、水の三方の混合比例を制御する。理解されるように、油ソース14、ガスソース15及び水ソース16の三方の出口にいずれも第4バルブ18を設置してもよく、又は、油ソース14、ガスソース15及び水ソース16のうちの両方のみの出口に第4バルブ18を設置してもよい。
【0022】
1つの実施例において、第1ブースターポンプ5と第2ブースターポンプ7は定圧ポンプであり(定圧ポンプは実験状態で一定圧力で加圧できるが、実際の掘削において地層とウェルボアの両方での圧力が理想的な一定値ではないため、2つのブースターポンプは比較的大きな調整可能な圧力範囲区間を有するように設定されてもよい)、第1ブースターポンプ5と第2ブースターポンプ7が一定圧力でウェルボア液と地層流体を注入するように確保し、筒体2の底端と密閉体3の地層流体注入端との圧力差を1つの一定値に維持する。
【0023】
1つの実施例において、筒体2内のウェルボア液の第1ブースターポンプ5への逆流、及び密閉体3内の地層流体の第2ブースターポンプ7への逆流を防止するために、第1バルブ6と第2バルブ8は逆止弁として設置される。
【0024】
1つの実施例において、
図1に示すように、筒体2と密閉体3との間には第3バルブ9が設置され、第3バルブ9は筒体2と密閉体3との間の接続経路に設置され、筒体2と密閉体3との連通・遮断の制御に用いられる。
【0025】
1つの実施例において、
図1に示すように、筒体2の上端には第1圧力測定ユニット10が設置され、筒体2の底端には第2圧力測定ユニット11が設置され、それぞれ筒体2の上端と底端の圧力を監視する。密閉体3には若干の第3圧力測定ユニット12が均等に設置され、密閉体3の異なる位置での圧力を監視することに用いられる。例えば、需要に応じて密閉体3に若干の圧力測定ユニットの取付口を開設し、密閉体3内の地層流体は該取付口に流れて、該取付口での流体圧力を第3圧力測定ユニット12に伝達してもよい。ウェルボア模擬システムは上記の第1圧力測定ユニット10及び第2圧力測定ユニット11を含み、地層模擬システムは上記の第3圧力測定ユニット12を含む。圧力測定ユニット(第1圧力測定ユニット10、第2圧力測定ユニット11及び第3圧力測定ユニット12を含む)は、いずれもデータ採集システム1に電気的に接続される。データ採集システム1はリアルタイムに監視した圧力に基づいて、筒体2と密閉体3との間の流体の流動状態を分析し得て、更にウェルボアと地層との間の流体の流動状態を分析し得る。
【0026】
1つの実施例において、圧力測定ユニットは圧力センサー又は圧力計である。即ち、第1圧力測定ユニット10、第2圧力測定ユニット11及び/又は第3圧力測定ユニット12は圧力センサー又は圧力計である。
【0027】
1つの実施例において、筒体2の底端には排液管が設置され、排液管には排出弁13が設置され、筒体2内の液体カラム高さを制御して、更に筒体2の底端の圧力を調整することに用いられる。
【0028】
1つの実施例において、筒体2は透明な筒体である。例えば、筒体2は若干節の透明なガラス管を含み、透明なガラス管を介して筒体2内の気相・液相二相流体の流動状態を直接に観察でき、視覚化効果は良好である。隣接する2節の透明なガラス管は複数セットのボルト群を介して接続されて固定され、シールリングが設置され、密閉性を高める。そして、該透明なガラス管は一定の圧力耐性を有し、模擬実験におけるウェルボア液による圧力を受けることができる。
【0029】
筒体2の断面は円形、楕円形、正方形、矩形又は菱形であってもよい。勿論、筒体2の断面は上記形状に限らず、具体的な形状は需要に応じて調整されてもよい。
【0030】
筒体2内のウェルボア液の高さの観測、及び模擬測定時のウェルボア液の高さの変化値の計算のために、筒体2には目盛りがつけられている。又は、筒体2に液面センサーを設置して、ウェルボア液の液面高さを検出して、更にウェルボア液の高さの変化値を得るようにしてもよい。
【0031】
本願実施例におけるウェルボアと地層との物質交換をシミュレートする実験装置の使用手順は下記の通りである。
【0032】
ステップ1、密閉体3内のモルタル充填物を製作する。模擬地層の物性パラメータに基づいて、セメントと砂を特定の比例で混合して、清水を加入して均一に攪拌し、混合物に製作し、混合物を密閉体3内に注いで詰め固め、混合物が凝固した後、密閉体3を他の部品に接続し、実験装置を形成した。
【0033】
ステップ2、すべてのバルブを閉めて、シミュレートする地層内の流体の性質に基づいて、油ソース14、ガスソース15及び水ソース16の出口での第4バルブ18を調整する(即ち第4バルブ18の開度を調整する)。
【0034】
ステップ3、第1バルブ6、第2バルブ8及び混合弁17を開け(又は、第1バルブ6、第2バルブ8を開け、混合弁17はずっと連通状態にある)、第1ブースターポンプ5と第2ブースターポンプ7を起動し、ウェルボア液を筒体2内に注入し、地層流体を密閉体3内に注入する。第2圧力測定ユニット11の監視した圧力が第1所定圧力に達する場合に第1ブースターポンプ5と第1バルブ6を閉め、第3圧力測定ユニット12の監視した圧力がいずれも第2所定圧力に達する場合に第2ブースターポンプ7と第2バルブ8を閉める。第1所定圧力はシミュレートするウェルボア内の作動液による液体カラム圧力であり、第2所定圧力はシミュレートする地層孔隙における流体圧力であり、第1所定圧力と第2所定圧力との差値はΔPである。
【0035】
ステップ4、第1バルブ6、第2バルブ8及び第3バルブ9を開け、第1ブースターポンプ5と第2ブースターポンプ7を起動し、筒体2と密閉体3内の流体は圧力差ΔPの作用下で物質交換が発生する。ΔP>0の場合、筒体2内のウェルボア液は密閉体3内に入り、地層流体と混合し、ΔP<0の場合、密閉体3内の地層流体は筒体2内に入り、ウェルボア液と混合する。
【0036】
ステップ5、圧力測定ユニット(第1圧力測定ユニット10、第2圧力測定ユニット11及び第3圧力測定ユニット12を含む)の値を観察し、筒体2内の気相・液相二相流体の体積変化を観察して記録し、第2圧力測定ユニット11は第3圧力測定ユニット12の監視した全部の圧力値と一致すると、第1ブースターポンプ5と第2ブースターポンプ7を閉めて、データ採集を停止する。
【0037】
ステップ6、データ採集システム1は監視した圧力データに基づいて分析を行う。
【0038】
ΔP>0の場合、ウェルボア液の密閉体3への浸入量を算出できる。
【0039】
ΔP<0の場合、地層流体の筒体2への浸入量を算出でき、筒体2内に浸入した流体の性質も分析し得ることができる。筒体2内の気相流体の体積変化及び第1圧力測定ユニット10の監視した圧力変化に基づいて、浸入した流体にガスが含まれるかどうかを判断でき、そしてガスの量を算出できる。筒体2内の液相流体の体積変化及び第2圧力測定ユニット11の監視した圧力変化に基づいて、浸入した流体に油が含まれるかどうかを判断でき、そして油の量を算出できる。
【0040】
なお、本願の説明では、「上端」、「底端」、「一端」、「他端」、「垂直」、「水平」等の用語が指示する方向又は位置関係は、図面に示す方向又は位置関係に基づくものであり、本願の説明及び説明の簡単化のためのものであり、指示される構造が特定の方向を有すること、特定の方向で構造及び操作することを示し又は示唆するためのものではないため、本願の制限ではない。
【0041】
なお、本願の説明では、用語の「若干」とは1つ、2つ又は3つ以上を指す。
【0042】
本願の説明では、明確な規定及び限定がない限り、用語の「接続」、「固定」等は広義的に理解されるべきである。例えば、「接続」は固定接続であってもよく、取り外し可能な接続又は一体化接続であってもよく、直接接続であってもよく、中間媒体を介する接続であってもよく、又は2つの素子内部の接続であってもよい。当業者にとって、具体的な状況を考慮して上記用語の本願での具体的な意味を理解できる。
【0043】
上記内容は本願に開示された実施形態であるが、本願を理解するために採用された実施形態に過ぎず、本願を制限するためのものではない。いかなる当業者は、本願に開示された精神及び範囲を逸脱せずに、実施の形式及び細部においていかなる修正と変更を行えるが、本願の特許保護範囲は依然として添付の請求の範囲に準じる。