(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】静電容量式タッチセンサ
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20240625BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G06F3/041 422
G06F3/044 122
G06F3/044 124
G06F3/041 640
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020049452
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2022-12-21
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507343327
【氏名又は名称】サンコ テキスタイル イスレットメレリ サン ベ ティク エーエス
【氏名又は名称原語表記】SANKO TEKSTIL ISLETMELERI SAN. VE TIC. A.S.
【住所又は居所原語表記】Organize Sanayi Bolgesi 3. Cadde 16400 Inegol-Bursa(TR)
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】オズギュル シバノグル
(72)【発明者】
【氏名】イトカ イルマズ
(72)【発明者】
【氏名】エジェ セネル
(72)【発明者】
【氏名】デニズ イイドアン
(72)【発明者】
【氏名】シェミー カザンツ
(72)【発明者】
【氏名】エルドアン バルシュ オッデン
【審査官】塚田 肇
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-534445(JP,A)
【文献】特開2010-101836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
G06F 3/041-3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の糸状感知要素(2)を有するサポート層(1)を含む静電容量式タッチセンサ(10)であって、
前記複数の糸状感知要素は、各々の静電容量値(C)を検知するために検出装置(5)に電気的に接続されおり、
前記糸状感知要素(2)は、複数の電気抵抗性糸状要素(2r)を含み、
前記検出装置(5)には複数の入力読み取りノード(9)が設けられ、前記各入力読み取りノード(9)はそれぞれの前記糸状感知要素(2)に関連付けられ、
前記各電気抵抗
性糸状要素(2r)の単位長さあたりの電気抵抗は、10KΩ/m~10MΩ/mであり、
前記電気抵抗性糸状要素(2r)は、導電性要素で満たされたプラスチック糸で
あり、
前記複数の糸状感知要素(2)は、互いに平行に配置された前記電気抵抗性糸状要素(2r)の第1のアレイ(2rx)と、互いに平行に配置された前記電気抵抗性糸状要素(2r)の第2のアレイ(2ry)とを含み、前記第1のアレイ(2rx)は前記第2のアレイ(2ry)に直交し、
前記電気抵抗性糸状要素(2r)の前記第1のアレイ(2rx)と前記第2のアレイ(2ry)が重なってグリッドを形成し、前記第1のアレイ(2rx)および前記第2のアレイ(2ry)は、それらの間の交差点(3)で電気的に短絡されることを特徴とする静電容量式タッチセンサ。
【請求項2】
請求項1において、前記電気抵抗性糸状要素(2r)は、少なくとも、実質的に直線の経路に沿って配置された電気抵抗性材料のトレースを含むことを特徴とする静電容量式タッチセンサ。
【請求項3】
請求項2において、前記電気抵抗
性材料のトレースは、導電性炭素質材料を含むバイオポリマーを
含むことを特徴とする静電容量式タッチセンサ。
【請求項4】
請求項1において、
前記複数の電気抵抗性糸状要素(2r)の数は、前記
糸状感知要素(2)の数の50%
以上であることを特徴とする静電容量式タッチセンサ。
【請求項5】
請求項
4において、
前記電気抵抗性糸状要素(2r)
の数は、前記複数の糸状感知要素(2)
の数の80%を
超えることを特徴とする静電容量式タッチセンサ。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項において、
前記サポート層(1)は布であることを特徴とする静電容量式タッチセンサ。
【請求項7】
請求項
6において、
前記サポート層(1)は織物であり、
複数の前記糸状感知要素(2)は、前記織物(1)の緯糸(7)及び/または経糸(8)の少なくとも一部を形成することを特徴とする静電容量式タッチセンサ。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1項において、
前記複数の電気抵抗性糸状要素(2r)は、電気抵抗性ワイヤ、または電気抵抗性糸、または電気抵抗性トレースであることを特徴とする静電容量式タッチセンサ。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか1項において、
前記各糸状感知要素(2)は、その一端の1つで検出装置(5)に電気的に接続されていることを特徴とする静電容量式タッチセンサ。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか1項において、
前記検出装置(5)は、前記各糸状感知要素(2)の前記静電容量値(C)の直接的または間接的な測定値を示す出力信号(S_OUT)を提供するように構成されていることを特徴とする静電容量式タッチセンサ。
【請求項11】
請求項10において、
前記検出装置(5)は、前記出力信号(S_OUT)を外部装置(6)に送信するように構成された通信モジュール(4)に電気的に接続されていることを特徴とする静電容量式タッチセンサ。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の
静電容量
式タッチセン
サ(10)を含む物品。
【請求項13】
サポート層
(1)上のタッチイベントを検出する方法であって、
(a)請求項1~
9のいずれか1項に記載の静電容量式タッチセンサ(10)を提供するステップと、
(b)前記
静電容量式タッチセンサ(10)の複数の糸状感知要素(2)の各静電容量(C)を検知するステップと、
(c)前記ステップ(b)で検知された静電容量(C)の関数である1つまたは複数の出力値(OUTX、OUTY)を含む出力信号(S_OUT)を提供するステップを含んでいることを特徴とするサポート層(1)上のタッチイベントを検出する方法。
【請求項14】
請求項
13において、
前記ステップ(b)は、前記各糸状感知要素(2)の前記静電容量値(C)の直接的または間接的な測定を
含んでいることを特徴とするサポート層
(1)上のタッチイベントを検出する方法。
【請求項15】
請求項
13又は14において、
前記出力信号(S_OUT)を外部装置(6)に送信するステップを含むことを特徴とするサポート層
(1)上のタッチイベントを検出する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容量性センシングの分野に関する。特に、本発明は、サポート層例えば布上のタッチイベントを検出するのに適した、静電容量式タッチセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
静電容量式タッチセンサは、典型的には、金属(例えば、銅、アルミニウム、銀)等の導電性材料で作られた複数の感知ワイヤを含んでいる。これらの感知ワイヤは、互いに電気的に絶縁され、静電容量グリッドを形成するために行と列に配置されている。
一部の静電容量式タッチセンサは「自己静電容量感知」技術を採用しており、その各感知線は、これら各感知線の静電容量値を検知するように構成されたコントローラに接続されている。
これらの静電容量式タッチセンサでは、コントローラは、感知ワイヤに触れているオブジェクト(例えば、指)によってもたらされる寄生容量による各感知ワイヤの静電容量の値の変化を検出するように構成されている。タッチイベントの位置は、静電容量グリッドのどの感知ワイヤ(つまり、行と列)がタッチされているかを検出することにより、コントローラによって決定される。そのため、タッチの位置は静電容量グリッド上のX、Y座標として決定される。
【0003】
しかし、この種のタッチセンサは、複数の指を正確に検出することができず(マルチタッチ検出)、その結果、「ゴースト」、または間違った場所の検出が生じる。
このようなマルチタッチ検出による「ゴースト」の問題を解決するために、一部の静電容量タッチセンサでは、「相互静電容量センシング」技術を採用しており、コントローラは、感知ワイヤの各交点で相互静電容量値を順次検知するように構成されている。言い換えれば、コントローラは、静電容量グリッドの各行及び各列の感知線の間に形成された各コンデンサの静電容量値を検知するように構成されている。静電容量グリッド上のオブジェクト(例えば、指)のタッチは、相互静電容量値の変化として検出される。
しかしながら、静電容量グリッドが多数の感知線を有する場合(例えば、タッチセンサに広い感知領域が望まれる場合)、そのような静電容量式タッチセンサの実装は、非常に困難な場合がある。さらに、このような静電容量式タッチセンサは、相互静電容量値が減少するため、高周波クロックと高精度の測定が必要になる場合がある。
【0004】
特許文献1は、複数の導電性要素が組み込まれた伸縮可能な布を含む、容量性型の伸縮可能なタッチパッドを開示している。導電性要素は、タッチによる静電容量の変化を検出するための電極を形成する抵抗歪ゲージである。
また、次の各ステップを含む伸縮可能なタッチパッドを操作する方法が開示されている。伸縮可能なタッチパッドの抵抗歪ゲージによって提供される静電容量のアナログ信号を連続的に測定し、タッチが行われたかどうかを判断するために、測定された静電容量の信号を閾値と比較する。この閾値は、静電容量の実際の測定値の関数として、及び、タッチパッドのコンデンサ電極を形成する抵抗歪ゲージの抵抗の関数として、連続的に調整される。
【0005】
特許文献2には、大規模製造に適した柔軟で弾力性のある静電容量センサが開示されている。このセンサは、誘電体層の第1の表面上の誘電体の導電層と、前記誘電体層の第2の表面上の導電層と、検出器に力が加えたときの静電容量の変化を検出するために前記2つの導電層に電気的に接続されている静電容量計とを具備している。2つの導電層は、加えられた力の位置を決定するように構成されている。この センサは、シールドすることで、外部干渉の影響を減らすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】US2018/217715A1
【文献】WO2007/094993A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的の1つは、上述の従来技術の欠点を克服し、生産が簡単で効率的で用途の広い、タッチイベントを検出するための静電容量式タッチセンサ及び関連する方法を提供することである。
本発明の他の目的は、低コストで製造できかつマルチタッチ検出ができる、タッチイベントを検出するための静電容量式タッチセンサ及び関連する方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、当技術分野で知られている静電容量式タッチセンサと比較して、よく洗え、重くなく、かつ、生体適合性のある静電容量式タッチセンサを有する布を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のこれら及び他の目的は、本発明の1つ若しくは複数の請求項に記載された、静電容量式タッチセンサ、この静電容量式タッチセンサを含む物品、及びタッチイベントを検出する方法によって達成される。
特に、本発明のこれら及び他の目的は、本発明の独立請求項に記載された、静電容量式タッチセンサ、この静電容量式タッチセンサを含む物品、及びタッチイベントを検出する方法によって達成される。本発明の好ましい態様は、従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明によれば、静電容量式タッチセンサは、各糸状感知要素の静電容量値を検知するために検出装置に電気的に接続されるように構成された、複数の糸状感知要素を有するサポート層を備えている。
例えば、サポート層は、その表面に結合された、またはその中に一体化された糸状感知要素を有する可撓性層(例えば、フィルム)であってもよい。
他の実施形態では、サポート層が、複合層の2つの層の間に挟まれた糸状感知要素を有する複合層でもよい。好ましい実施形態では、サポート層は布である。この布は、例えば、その表面に結合された、またはその中に一体化された、糸状感知要素を有する、織り、編み、かぎ針編み、結び、タッティング、フェルト化、または編組により製造された織物、また不織物である。
【0010】
本発明の一態様によれば、糸状感知要素は、複数の電気抵抗性糸状要素を含み、各電気抵抗性糸状要素の単位長さ当たりの電気抵抗は、10KΩ/m~10MΩ/m、好ましくは、50KΩ/m~500KΩ/mである。
本発明のさらなる態様によれば、電気抵抗性糸状要素は、導電性要素で満たされたプラスチック糸である。
【0011】
「糸状要素」という用語は、1つの糸に類似した形状を有する1つの要素を意味する。一般に、1つの糸状要素では、3次元の内の2つの次元は第3の次元よりもはるかに小さく、一般に無視できる。例えば、1つの糸状要素は、長さに対して、無視できる程度の幅及び厚さを有する1つのストリップの形状を有する。好ましくは、1つの糸状感知要素は、3つの次元の間で第3の次元(理想的には線)に対して無視できる他の2つの次元を有する。例えば、複数の糸状感知要素は、1つの直線経路に沿って配置された複数の、ワイヤ、糸、フィラメント、または材料のトレースである。
【0012】
例えば、単位長さあたりの電気抵抗は、標準のAATCC試験方法84-2005またはAATCC試験方法84-2011に従って測定できる。
各糸状感知要素は、その一端で検出装置に電気的に接続されるように構成されている。特に、検出装置には、糸状感知要素に電気的に接続されるように構成された複数の入力読み取りノードが設けられ、各入力読み取りノードは、夫々の糸状感知要素に関連付けられている。検出装置は、対応する入力読み取りノードに電気的に接続された各糸状感知要素の静電容量値を示す、出力信号を提供するように構成されている。
【0013】
各電気抵抗性糸状要素には、それにオブジェクトがタッチすると変化する静電容量値がある。(このオブジェクトの寄生容量は、接触した電気抵抗性糸状要素に結合される)。
この電気抵抗性糸状要素の静電容量値の変化は、次の2つの主要な側面の関数である。
電気抵抗性糸状要素とそれに接触するオブジェクトとの間の寄生容量結合、及び、
読み取りポイント(すなわち、電気抵抗性糸状要素が検出装置に電気的に接続される点)を基準にした、前記抵抗性糸状の長さに沿ってタッチイベントが発生した場所。
【0014】
基本的に、各電気抵抗性糸状要素は、タッチイベントの位置(つまり、オブジェクトの寄生容量が電気抵抗性糸状要素にかかる位置)に応じて、抵抗値を持つ1つの抵抗器とこれに直列に接続された1つのコンデンサの集中モデルで表すことができる。
この態様によれば、各電気抵抗糸状要素の読み取りノードで検知された静電容量値は、電気抵抗糸状要素で1つのタッチイベントが発生したことの表示と同様に、読み取りノードの位置に対するそのタッチイベントの位置の表示を提供する。
【0015】
本発明の一態様によれば、電気抵抗性糸状要素は、少なくとも、実質的に直線の経路に沿って配置された電気抵抗性材料のトレースを含んでいる。
本発明の別の態様によれば、電気抵抗材料のトレースは、導電性炭素質材料を含むバイオポリマーを含み、好ましくは、活性炭、高表面積炭素、グラフェン、グラファイト、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、活性炭ファイバー、グラファイトファイバー、グラファイトナノファイバー、カーボンブラックおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0016】
本発明の一態様によれば、電気抵抗性糸状要素の数は、糸状感知要素の数の50%も異なる。特に、幾つかの実施形態では、前記感知糸状要素は、複数の電気抵抗性糸状要素ならびに、1つまたは複数の導電性糸状要素を含み、この導電性糸状要素の単位長さあたりの電気抵抗は、200Ω/m未満、好ましくは50Ω/m未満、より好ましくは約10Ω/m以下である。
これらの実施形態は、好ましくは、前記導電性糸状要素の数が、前記電気抵抗性糸状要素の数とは異なることを提供する。例えば、電気抵抗性糸状要素は、糸状感知要素の数の50%より多く、好ましくは80%より多く含まれる。より好ましくは、全ての糸状感知要素が電気抵抗性糸状要素である。
【0017】
一部の実施形態では、前記糸状感知要素が、互いに平行に配置された電気抵抗性糸状要素の第1のアレイを備えている。好ましくは、前記糸状感知要素は、互いに平行に、かつ、前記第1のアレイの電気抵抗性糸状要素に直交して配置された前記電気抵抗性糸状要素の第2のアレイをさらに含んでいる。より好ましくは、電気抵抗性糸状要素の第1のアレイ及び電気抵抗性糸状要素の第2のアレイは、重なり合ってグリッドを形成する。
前記第1のアレイ及び第2のアレイの電気抵抗性糸状要素は、それらの間の交差点で電気的に短絡されるのがより望ましい。好ましくは、静電容量式タッチセンサのサポート層は織物であり、複数の糸状感知要素は、織物の緯糸及び/または経糸の少なくとも一部を形成している。
【0018】
本発明の一態様によれば、各糸状感知要素は、その端部の1つで検出装置に電気的に接続されている。
幾つかの実施形態では、検出装置が、各糸状感知要素の静電容量値の直接的または間接的な測定値を示す出力信号を提供するように構成されている。
本発明の幾つかの実施形態では、検出装置が、出力信号を外部装置(例えば、スマートフォン、スマートTV、または他の同様の装置)に送信するように構成された通信モジュールに接続されている。
【0019】
本発明のさらなる対象は、本発明による静電容量式タッチセンサを含む物品にある。この物品は、例えば衣服であってもよい。 好ましくは、この物品は、複数の糸状感知要素の複数の静電容量値を検知するための1つの検出装置を含んでいる。
【0020】
本発明のさらなる対象は、以下のステップを含む、サポート層上のタッチイベントを検出するための方法にある。
(a)本発明の実施形態のいずれかによる静電容量式タッチセンサを提供し、
(b)前記タッチセンサの各糸状感知要素の静電容量を検知し、
(c)前記ステップ(b)で検知された前記静電容量の関数である1つ以上の出力値を含む出力信号を提供する。
好ましくは、前記ステップ(b)は、静電容量の直接的または間接的な測定を含んでいる。本発明の幾つかの実施形態では、前記方法が、出力信号を外部装置に送信するステップを含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明による静電容量式タッチセンサの可能な1つの実施形態を概略的に示す斜視図である。
【
図2】本発明による静電容量式タッチセンサの可能な他の実施形態を概略的に示す斜視図である。
【
図3】本発明による静電容量式タッチセンサの可能な他の実施形態を概略的に示す斜視図である。
【
図4】本発明による静電容量式タッチセンサの可能な他の実施形態を概略的に示す斜視図である。
【
図5】本発明による静電容量式タッチセンサの可能な他の実施形態を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を、具体的な例として、添付の非限定的な図面を参照して、より詳細に説明する。一般的な慣例によれば、図面のさまざまな特徴は必ずしも縮尺どおりではないことを強調しておく。
逆に、さまざまな機能の寸法は、明確にするために任意に拡大または縮小されている。同様の数字は、明細書及び図面全体を通じて同様の特徴を示す。
【0023】
図1~
図5は、本発明による静電容量式タッチセンサ10の各実施形態を示している。静電容量式タッチセンサは、サポート層1と、このサポート層1に結合された複数の糸状感知要素2とを備えている。
これらの糸状感知要素2は、複数の電気抵抗性糸状要素2rを含み、各電気抵抗性糸状要素2rの単位長さRrあたりの電気抵抗は、10KΩ/m~10MΩ/mの範囲である。
【0024】
好ましくは、各電気抵抗性糸状要素2rの単位長さRrあたりの電気抵抗は、50KΩ/m~500KΩ/m、例えば約200KΩ/mである。言い換えると、各電気抵抗性糸状要素2rの断面積及び電気抵抗率は、長さが1メートルの電気抵抗性糸状要素2rにおいて、10KΩ~10MΩ、好ましくは50KΩ~500KΩ、例えば約200KΩの電気抵抗を有するように選択されている。例えば、電気抵抗性糸状要素2rは、10-6Ωm~103Ωm、より好ましくは10-4Ωm~10-1Ωmの電気抵抗率を有する。
【0025】
一部の実施形態では、電気抵抗性糸状要素2rが電気抵抗性ワイヤ、好ましくは電気抵抗性糸である。
この電気抵抗性糸2rは、好ましくは、導電性要素(例えば、導電性カーボン)で満たされたプラスチック糸(例えば、ナイロン)でもよい。より好ましい例では、電気抵抗性糸2rが、その表面に導電性炭素が充満された80デニールのナイロン6,6である。
例えば、適切な電気抵抗性糸2rは、表面に導電性炭素が充填された80デニールのナイロン6,6モノフィラメントである、RESITAT(登録商標)F901、MERGE R080の商品名で入手可能な、電気抵抗性糸でもよい。
この特定の電気抵抗糸は、約1μmのコーティング厚と約84デニールの線形質量密度を持つ丸い断面を有している。この電気抵抗糸の電気抵抗は、約0.8×105Ω/cm(つまり、約80KΩ/m)である。
幾つかの実施形態では、電気抵抗性糸状要素2rが、実質的に直線の経路に沿って配置された電気抵抗性材料のトレースでも良い。
【0026】
電気抵抗性材料のトレースは、例えば、導電性材料(炭素質材料のような、好ましくは活性炭、高表面積炭素、グラフェン、グラファイト、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、活性炭繊維、グラファイトファイバー、グラファイトナノファイバー、カーボンブラック及びそれらの混合物からなる群から選択された炭素質材料)と共に、バイオポリマー(微生物セルロース、微生物コラーゲン、セルロース/キチン共重合体、微生物シルク、またはそれらの混合物等)を含むようにして生成されてもよい。好ましい実施形態では、バイオポリマーは微生物セルロースである。
【0027】
例えば、印刷(例えば、スクリーン印刷及び/またはデジタル印刷)により、または局所的な含浸により、バイオポリマー(例えば、バイオポリマー層またはトレース)に導電性材料を提供しても良い。
一つの実施形態によれば、バイオポリマー産生微生物を含む培養物は、導電性材料を含んでいる。例えば、サポート層は、バイオポリマー産生微生物及び導電性材料を含む培養物と接触される。微生物を培養して、導電性材料を含むバイオポリマーを生成することができ、その結果、サポート層には、導電性材料を含むバイオポリマーで作られた電気抵抗性材料のトレースが提供される。
【0028】
バイオポリマーを用いて電気抵抗材料のパターンまたはトレースを生成するための適切なプロセスは、本件特許の出願人の名義で出願された欧州特許出願EP18197348.8号、発明の名称「電気伝導特性を有するテキスタイルを提供するためのプロセス」に記載されている。その記載内容は、その全体が説明されているように、参照により本願の明細書に組み込まれる。
【0029】
図1~
図5に示した本発明の各実施形態は、複数の糸状感知要素2を含むサポート層1を示し、全ての糸状感知要素2が電気抵抗性糸状要素2rである場合である。しかし、本発明の他の実施形態では、糸状感知要素2が、1つまたは複数の導電性糸状要素(すなわち、単位長さあたりの電気抵抗が200Ω/m未満、好ましくは50Ωm未満、より好ましくは約10Ω/m以下の糸状感知要素)と、複数の電気抵抗性糸状要素2rを含むことができる。
【0030】
好ましくは、電気抵抗性糸状要素2rの数は、糸状感知要素2の数の50%も異なる。幾つかの実施形態では、糸状感知要素2が複数の導電性糸状要素及び複数の電気抵抗性糸状要素を含み、導電性糸状要素の数は電気抵抗性糸状要素の数とは異っている。例えば、電気抵抗性糸状要素2rは、糸状感知要素2の全体の50%超、好ましくは80%超、より好ましくは全ての糸状感知要素2が電気抵抗性糸状要素2rであってもよい。
【0031】
各糸状感知要素2は、各糸状感知要素2の静電容量値Crを検知するために、1つの検出装置5に電気的に接続されている。好ましくは、静電容量式タッチセンサ10が検出装置5を含み、各糸状感知要素2が検出装置に電気的に接続されている。例えば、理想的にゼロの抵抗を有する接続部材(導電性糸またはワイヤ等)によって、各糸状感知要素2はその一端が検出装置5に接続されている。
【0032】
検出装置5は、各々が糸状感知要素2に電気的に接続された複数の入力読み取りノード9を備え、各入力読み取りノード9は、夫々の糸状感知要素2に関連付けられている。検出装置5は、好ましくは、対応する各入力読み取りノード9に電気的に接続された各糸状感知要素2の静電容量値Cの直接または間接の測定値を含む、出力信号S_OUTを提供するように構成されている。
【0033】
例えば、出力信号S_OUTは、各糸状感知要素2の静電容量値Cの直接または間接の測定値を格納する出力アレイデータ構造を提供できる。この出力アレイデータ構造の各値は、対応する糸状感知要素2に関連付けられたアレイインデックスによって識別される。
出力信号S_OUTは、好ましくは、リフレッシュ周期(例えば、数ミリ秒)を有する所定の周期で更新され、その間、複数の糸状感知要素2の複数の容量値Cは、出力アレイデータ構造の値を更新するために再度検知される。
出力データアレイ構造の静電容量値が決定された閾値を超える場合、対応するアレイインデックスに関連付けられた糸状感知要素2でタッチイベントが発生したことを意味する。
【0034】
図1において、糸状感知要素2は、好ましくはX方向に沿って互いに平行に配置された電気抵抗性糸状要素2rの第1のアレイ2rxを備えている。この実施形態により、静電容量式タッチセンサ10は、X方向及びY方向(YはXに直交する)の2方向での、タッチイベントのスワイプ方向を検出できるスワイプセンサを実装することができる。
タッチイベントが検出された電気抵抗性糸状要素2rのアレイインデックスは、タッチイベントが発生したY方向に沿った位置(つまり、Y軸に沿った座標)を表示する。Y方向に沿ったタッチイベントのスワイプ方向は、タッチイベントが検出された電気抵抗性糸状要素に関連付けられたアレイインデックスの経時変化によって認識できる。
【0035】
さらに、上記で説明したように、電気抵抗性糸状要素2rの静電容量値Cが閾値よりも大きい限り、静電容量値Cの経時的な増加は、入力読み取りノード9への1つのスワイプ方向(X方向に沿った)で、1つのタッチイベントが発生したことを意味する。同様に、電気抵抗性糸状要素2rの静電容量値Cの減少は、スワイプ方向が反対方向、すなわち1つの入力読み取りノード9から離れる方向に、1つのタッチイベントが発生したことを意味する。
【0036】
図1に示した静電容量式タッチセンサ10の実施形態は、互いに平行に配置された複数の電気抵抗性糸状要素2rを含んでいるが、本発明の保護の範囲内として、電気抵抗性糸状要素2rの異なる配置を提供することができる。例えば、幾つかの実施形態では、電気抵抗性糸状要素2rが中心点に対して放射状に配置されていても良い。これらの実施形態では、中心点に面する各電気抵抗性糸状要素2rの各端部が検出装置5に電気的に接続されるように構成されているか、または各電気抵抗性糸状要素2rの中心点の反対側の各端部が、検出装置5に電気的に接続されている。
【0037】
図2は、本発明による静電容量式タッチセンサ10のさらなる実施形態を示している。
図2に示す静電容量式タッチセンサ10は、第1の方向Xに沿って互いに平行に配置された電気抵抗性糸状要素2rの第1のアレイ2rxと、第2の方向Yに沿って互いに平行に配置された電気抵抗性糸状要素2rの第2のアレイ2ryを含んでいる。好ましくは、第1の方向Xは第2の方向Yに直交する。
【0038】
電気抵抗性糸状要素2rの第1のアレイ2rx及び電気抵抗性糸状要素2rの第2のアレイ2ryは、好ましくは重なり合って1つのグリッドを形成する。特に、
図2に示す実施形態では、複数の第1のアレイ2rxの電気抵抗性糸状要素2rが、複数の第2のアレイ2ryの電気抵抗性糸状要素2rとの各々の間の交差点において、電気的に絶縁されている。
好ましくは、各電気抵抗性糸状要素2rには、例えば非導電性材料によって形成されたシースを有するシース付き糸状要素のコアが形成されている。
幾つかの実施形態では、各電気抵抗性糸状要素2rが、100MΩ/mを超える、より好ましくは1GΩ/mを超える、単位長さRnあたりの電気抵抗を有する非導電性糸によって形成されるシースを備えた、電気抵抗性糸である。例えば、シースは、非導電性材料でできた短繊維を含むことができ、好ましくは10
3Ωmを超える、より好ましくは10
6Ωmを超える電気抵抗率を有する。
【0039】
幾つかの実施形態は、各電気抵抗性糸2rがシースの短繊維でコア紡糸されていても良い。幾つかの実施形態では、各電気抵抗性糸2rが刺繍されている、すなわち、各電気抵抗性糸がシースの短繊維で覆われるか、または当該技術分野で既知の他のシース処理によって覆われていても良い。短繊維は、好ましくは、綿、羊毛、絹等の天然繊維である。
【0040】
これらの実施形態によれば、静電容量式タッチセンサ10は、タッチイベントの位置を静電容量グリッド上のX、Y座標として検出することができる。特に、タッチイベントの位置は、静電容量グリッドの第1のアレイ2rx及び第2のアレイ2ryのどの電気抵抗性糸状要素2r(すなわち、どの行及び列)がタッチされたかを検出することにより、検出装置5によって決定される。
【0041】
本発明の一態様によれば、電気抵抗性糸状要素2rの数及び配置は、電気抵抗性糸状要素2rによって定義された容量グリッドで1つのタッチイベントが発生すると、第1のアレイ2rxの少なくとも1つの電気抵抗性糸状要素2r及び第2のアレイ2ryの少なくとも1つの電気抵抗性糸状要素2rが接触されるように、選定される。
言い換えれば、当業者は、使用することが意図されているオブジェクト(例えば、ユーザの指、タッチペンの先端)がタッチする静電容量グリッド部分の平均サイズを知っていれば、オブジェクトが静電容量グリッドにタッチすると、第1のアレイ2rxの少なくとも1つの電気抵抗性糸状要素2rと第2のアレイ2ryの少なくとも1つの電気抵抗性糸状要素2rが接触されるように、電気抵抗性糸状要素2rの数と配置を選択することができる。
【0042】
図1に示す実施形態と同様に、検出装置5は、電気抵抗性糸状要素2rの第1及び第2のアレイ2rx、2ryの静電容量値Cを検知するように構成されている。
出力信号S_OUTは、各電気抵抗性糸状要素2rの静電容量値(例えば、静電容量の直接または間接の測定値)の関数である出力値OUTX、OUTY(好ましくは、出力データアレイ構造の形態)を含んでいる。
【0043】
上記で説明したように、1つのタッチイベントが検出された複数の電気抵抗性糸状要素2rの複数のアレイインデックス(つまり、決定された閾値を超える複数の静電容量値に関連付けられた複数のインデックス)は、タッチイベントが発生したX方向及びY方向に沿った座標を示す。さらに、第1のアレイ2rxの各電気抵抗性糸状要素2rの静電容量Cの値は、読み取りノード9の位置に対する第1の方向Xに沿ったタッチイベントの位置の表示を提供する。同様に、第2のアレイ2ryの各電気抵抗性糸状要素2rの静電容量Cの値は、読み取りノード9の位置に対する第2の方向Yに沿ったタッチイベントの位置の表示を提供する。
【0044】
各電気抵抗性糸状要素2rの静電容量値は、静電容量グリッド上で2つ以上のタッチイベントが発生したときに、第1のアレイ2rx及び第2のアレイ2ryの電気抵抗性糸状要素2rに関連する複数のインデックスを区別することを可能にする。その結果、検出装置5は、「ゴースト」または場所の誤表示という問題なしに、「自己容量センシング」技術によって、マルチタッチイベントを検出することができる。
【0045】
図3は、本発明による静電容量式タッチセンサ10のさらなる実施形態を示している。
図3に示す静電容量式タッチセンサ10は、第1の方向Xに沿って互いに平行に配置された電気抵抗性糸状要素2rの第1のアレイ2rxと、第2の方向Yに沿って互いに平行に配置された電気抵抗性糸状要素2rの第2のアレイ2ryを含んでいる。好ましくは、第1の方向Xは、第2の方向Yに直交している。
電気抵抗性糸状要素2rの第1のアレイ2rx及び電気抵抗性糸状要素2rの第2のアレイ2ryは、好ましくは重なり合ってグリッドを形成する。特に、
図3に示す実施形態では、第1のアレイ2rx及び第2のアレイ2ryの電気抵抗性糸状要素2rは、それらの間の交差部3で電気的に短絡されている。
【0046】
この実施形態によれば、複数の電気抵抗性糸状要素2rが、複数の入力読み取りノード9で検知される1つの容量値を有する1つの電気抵抗性グリッドを形成し、各読み取りノードは、対応する各電気抵抗性糸状要素2rの端部に電気的に接続されている。
各入力読み取りノード9で検知された複数の静電容量値Cは、対応する入力読み取りノードに対し、電気抵抗性糸状要素2のグリッド上で発生した1つのタッチイベントの距離を示す。
【0047】
当技術分野で知られている三角測量技術によって、複数の電気抵抗性糸状要素2rからなるグリッド上で発生した1つのタッチイベントの位置は、複数の入力読み取りノード9で検知された複数の静電容量値Cに基づいて計算することができる。
結果として、1つまたは複数の電気抵抗性糸状要素2rが(例えば、サポート層1に引き起こされた損傷により)破損した場合でも、この静電容量式タッチセンサ10は、対応する複数の入力読み取りノードで検出された他の複数の電気抵抗性糸状要素の静電容量値からのタッチの位置を計算することによって、電気抵抗性糸状要素が破損したグリッドの部分で発生した1つのタッチイベントを検出できる。
静電容量値Cは、例えば、充電時間、または発振器の発振周波数を測定することによって、または当技術分野で知られている他の測定技術によって検知することができる。
【0048】
幾つかの実施形態では、検出装置5が複数の入力読み取りノード9を有するフロントエンド回路5aを備えている(例えば、フロントエンド回路5aが、各読み取りノード9に対応した複数のフロントエンドブロックを備えている。)
例えば、フロントエンド回路5aは、少なくとも1つの発振器(例えば、コルピッツ発振器)を含んでおり、 各電気抵抗性糸状要素2rは、(タッチイベントがない場合に)所定の発振周波数を有する、発振器に接続されている。
【0049】
1つの電気抵抗性糸状要素2rの静電容量値Cの変化は、発振器の発振周波数の変化として検出される。つまり、発振器の発振周波数を検知することにより、各電気抵抗性糸状要素2rの静電容量値Cを検知することができる。
好ましくは、検出装置5は、フロントエンド回路5aに接続され、発振器の発振周波数に基づいて各電気抵抗性糸状要素2rの静電容量値Cを計算するように構成されたマイクロコントローラ5bを備えている。
【0050】
図4に示すように、幾つかの実施形態では、検出装置5が、フロントエンド回路5aのフォワード端子SPにフォワード信号(例えば、ブール信号)を提供するように構成されている。
検出装置5は、帰還端子RPでフロントエンド回路5aに電気的に接続されたマイクロコントローラ5bを備えている(例えば、フォワード信号はマイクロコントローラ5bによって提供されてもよい)。好ましくは、各電気抵抗性糸状要素2rは、マイクロコントローラ5bの夫々の帰還端子RPに接続されるフロントエンド回路5aのフロントエンドブロックに電気的に接続されている。
例えば、
図4に示す実施形態では、第1のアレイ2rxのM個の電気抵抗性糸状要素2rに関連付けられたM個の帰還端子RP
1、RP
2、…、RP
M、及び、第2のアレイ2ryのN個の電気抵抗性糸状要素2rに関連付けられたN個の帰還端子RP
M+1、RP
M+2、…、RP
M+Nがある。
【0051】
フロントエンド回路5aは、電気抵抗性糸状要素2r毎にマイクロコントローラ5bに帰還信号を提供する。各帰還信号は、夫々の帰還端子に関連付けられた各電気抵抗性糸状要素2rの静電容量の充電時間の関数である、フォワード信号に対して遅延を有する。
マイクロコントローラ5bは、好ましくは、遅延に基づいて各電気抵抗性糸状要素2rの静電容量値Cを計算するために、フォワード信号と帰還信号との間の遅延を測定するように構成されている。
複数の糸状感知要素2は、複数のワイヤであり、好ましくは、縫製により、編み物により、あるいは織ることによって、または当技術分野で知られている他の任意の結合技術によって、一枚の布1に結合された複数の糸である。
【0052】
図5は、本発明による静電容量式タッチセンサ10の例示的な実施形態を示し、サポート層1は織物であり、電気抵抗性糸状要素2rは、緯糸7及び経糸の少なくとも一部を形成する電気抵抗性糸2rである。特に、第1のアレイ2rxの電気抵抗性糸2rは織物1の緯糸7の一部を形成し、第2のアレイ2ryの電気抵抗性糸2rは織物1の経糸8の一部を構成している。
【0053】
さらなる実施形態では、例えば
図1に示されるようなスワイプセンサを実装する静電容量式タッチセンサ10の場合、糸状感知要素2が織物1の緯糸または経糸の少なくとも一部を形成する感知糸2でも良く、これも、まだ本発明の保護の範囲内にある。一般に、糸状感知要素2は、好ましくは、織物1の緯糸及び/または経糸の少なくとも一部を形成する。
【0054】
図5において、検出装置5は、好ましくは、出力信号S_OUTを外部装置6に送信するように構成された通信モジュール4に接続されている。
本発明の静電容量式タッチセンサ10は、制御コマンドを制御または外部装置6に送信するために使用しても良い。好ましくは、通信モジュール4は、無線通信モジュール(例えば、ブルートゥース(登録商標)モジュール、WiFiモジュール、赤外線モジュール等)である。
静電容量式タッチセンサ10は、ユーザが簡単かつ信頼できる方法で外部装置6を制御することを可能にする感知領域を提供するために、物品の布1に結合されてもよい。
【0055】
幾つかの実施形態では、着用者が外部装置6(例えば、スマートフォン、音楽プレーヤー等)を容易に制御することを可能にするために、タッチセンサ10が、衣類の布1、好ましくは、シャツ、ジャケット、または一着のズボンの感知領域(たとえば、シャツの袖口、ジャケットの袖、ズボンの脚)に結合されても良い。
幾つかの実施形態では、座っているユーザが制御できるように、感知領域(例えば、座席用家具のアーム)上の座席用家具(好ましくはソファまたはアームチェア)を裏打ちするためにタッチセンサ10が布1に結合されることを提供し得る。 外部装置6(例えば、スマートTV、ステレオ等)を簡単に。
幾つかの実施形態では、タッチセンサ10は、座っているユーザが外部装置6(例えば、スマートTV、ステレオなど)を容易に制御できるようにするために、座席用家具(できればソファーやアームチェア)の感知領域(例えば、座席用家具のアーム)の裏地の布1に結合されている。
【0056】
要約すると、サポート層1上のタッチイベントを検出する方法は、以下のステップを含んでいる。
(a)請求項1~13のいずれか1項に記載の静電容量式タッチセンサ(10)を提供し、
(b)前記タッチセンサ(10)の複数の糸状感知要素(2)の各静電容量(C)を検知し、
(c)前記ステップ(b)で検知された静電容量(C)の関数である1つまたは複数の出力値(OUTX、OUTY)を含む出力信号(S_OUT)を提供する。
好ましくは、前記ステップ(b)は、前記各糸状感知要素(2)の静電容量値(C)の直接的または間接的な測定を含んでいる。
一部の実施形態では、前記方法が、出力信号S_OUTを外部装置6に送信するステップを含んでいる。
【符号の説明】
【0057】
1 布(織物)
2 糸状感知要素
2r 電気抵抗性糸
2rx 第1のアレイ
2ry 第2のアレイ
4 通信モジュール
5 検出装置
5a フロントエンド回路
5b マイクロコントローラ
6 外部装置
7 緯糸
8 経糸
9 入力読み取りノード
10 静電容量式タッチセンサ