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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】農作業機
(51)【国際特許分類】
   A01B 35/04 20060101AFI20240625BHJP
   A01B 33/12 20060101ALI20240625BHJP
   A01B 63/10 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
A01B35/04 Z
A01B33/12 Z
A01B63/10 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020109316
(22)【出願日】2020-06-25
(65)【公開番号】P2022006817
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】河原 文雄
(72)【発明者】
【氏名】末平 直土
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-147953(JP,A)
【文献】特開2018-191657(JP,A)
【文献】特開2003-111503(JP,A)
【文献】特開2011-239740(JP,A)
【文献】特開2007-135531(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 27/00 - 49/06
A01B 63/00 - 63/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕耘ロータ、前記耕耘ロータの上方に位置するシールドカバー、前記耕耘ロータの後方に位置するとともに前記シールドカバーに対して上下方向に回動可能に連結される整地部、前記整地部を圃場に対して押し付けるように作用する加圧部、および前記加圧部を制御し、前記加圧部が前記整地部に加える力を変更する制御部を備え、
前記整地部は、左右方向に並ぶ複数の整地部材を含み、
前記制御部は、前記複数の整地部材すべてが圃場に作用する展開状態において前記整地部に加える単位幅当たりの力と、前記複数の整地部材の一部が前記圃場に作用する収納状態において前記整地部に加える単位幅当たりの力とが略同一となるように前記加圧部を制御する、農作業機。
【請求項2】
耕耘ロータ、前記耕耘ロータの上方に位置するシールドカバー、前記耕耘ロータの後方に位置するとともに前記シールドカバーに対して上下方向に回動可能に連結される整地部、前記整地部を圃場に対して押し付けるように作用する加圧部、および前記加圧部を制御し、前記加圧部が前記整地部に加える力を変更する制御部を備え、
前記整地部は、左右方向に並ぶ複数の整地部材を含み、
前記制御部は、前記複数の整地部材すべてが圃場に作用する展開状態であるか前記複数の整地部材の一部が前記圃場に作用する収納状態であるかにかかわらず、前記整地部に単位幅当たり略一定の力を加えるように前記加圧部を制御する、農作業機。
【請求項3】
前記収納状態における前記整地部の幅をXa、前記展開状態における前記整地部の幅をXbとしたとき、前記展開状態において前記加圧部が前記整地部に加える力は、前記収納状態において前記加圧部が前記整地部に加える力の(Xb/Xa)倍である、請求項1または2に記載の農作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業機に関する。特に、作業機の耕幅を変更可能な折り畳み式の農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
圃場を耕耘する農作業機は、複数の耕耘爪を備えた耕耘ロータによって圃場を耕耘し、その後、耕耘ロータの後方に配置された整地部材によって圃場の整地作業を行う構成を有している。圃場の整地作業は、整地部材の自重によって行うことも可能であるが、より均平性や砕土性などを向上させるために、整地部材を圃場に押し付けるように作用する加圧機構を備えた農作業機が存在する。例えば、特許文献1には、シールドカバーと整地部材(エプロン)との間に、ロッドにコイルばねを挿通した構造の加圧機構を設け、整地部材の上方への回動に対してコイルばねの反力を働かせる農作業機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-131173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された農作業機は、加圧機構を作用させるか否か、すなわち、整地部材を加圧するか否かを制御することはできるものの、加圧の大きさ(加圧力)を調整するためには、コイルばねに当接するピンの位置を作業者が手動で変更するしかなかった。また、特許文献1に記載された農作業機は、耕幅(農作業機が耕耘可能な作業幅)が一定の農作業機しか例示されておらず、耕幅が変更可能な農作業機については考慮されていない。例えば、従来、作業部を複数に分割し、一部の作業部を折り畳むことが可能な農作業機が知られている。このような折り畳み式の農作業機の場合、作業部を折り畳んだ状態と展開した状態とで耕幅が変わる。そのため、作業部の状態にかかわらず加圧機構が同じ大きさで整地部材を加圧した場合、耕幅の違いによって単位幅当たりの力(左右方向における1m当たりの整地部材に掛かる力)が異なってしまい、均一な整地作業ができなくなるおそれがある。このように、特許文献1に記載された農作業機は、さらに改善の余地があった。
【0005】
本発明の一実施形態の課題は、農作業機の作業状態にかかわらず、均一な整地作業を実現可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態における農作業機は、耕耘ロータ、該耕耘ロータの後方に位置する整地部、および前記整地部を圃場に対して押し付けるように作用する加圧部を備え、前記整地部は、互いに回動可能に連結され、左右方向に並ぶ複数の整地部材で構成され、前記複数の整地部材すべてが圃場に作用する展開状態であるか前記複数の整地部材の一部が前記圃場に作用する収納状態であるかに応じて、前記加圧部が前記整地部に加える力が異なる。
【0007】
前記農作業機は、さらに、前記展開状態であるか前記収納状態であるかの判定を行う制御部を備えていてもよい。前記制御部は、前記判定の結果に応じて、前記加圧部が前記整地部に加える力を変更してもよい。
【0008】
前記加圧部は、前記展開状態において前記整地部が前記圃場に押し付けられる力と、前記収納状態において前記整地部が前記圃場に押し付けられる力とを揃えるように作用してもよい。
【0009】
前記加圧部は、前記展開状態であるか前記収納状態であるかにかかわらず、前記整地部が単位幅当たり略一定の力で圃場に押し付けられるように作用してもよい。
【0010】
前記収納状態における前記整地部の幅をXa、前記展開状態における前記整地部の幅をXbとしたとき、前記展開状態において前記加圧部が前記整地部に加える力は、前記収納状態において前記加圧部が前記整地部に加える力の(Xb/Xa)倍であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、農作業機の作業状態にかかわらず、均一な整地作業を実現可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態における農作業機の構成を示す図であり、(A)は、農作業機の上面図であり、(B)は、農作業機の背面図である。
図2】第1実施形態における農作業機の中央作業部の構成を示す側方断面図であり、(A)は、中央作業部の断面構造であり、(B)は、エプロン加圧部の平面構造である。
図3】第1実施形態における農作業機の作業状態を説明するための模式図であり、(A)は、収納状態を示す図であり、(B)は、展開状態を示す図であり、(C)は、半展開状態の一例を示す図である。
図4】第2実施形態における農作業機の構成を示す図であり、(A)は、農作業機の上面図であり、(B)は、農作業機の背面図である。
図5】第3実施形態における農作業機の構成を示す図であり、(A)は、農作業機の上面図であり、(B)は、農作業機の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の農作業機について説明する。但し、本発明の農作業機は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す例の記載内容に限定して解釈されない。なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号又は同一の符号の後にアルファベットを付し、その繰り返しの説明は省略する。例えば、本発明の農作業機が中央の作業部、左側の作業部及び右側の作業部の3つの作業部で構成される場合、それぞれの作業部が有する部分であることを示すために、数字の後に「C」、「L」及び「R」を付すことがある。
【0014】
本明細書において、「上」は、圃場から垂直に遠ざかる方向を示し、「下」は、圃場に向かって垂直に近づく方向を示す。また、「前」は、作業機を基準として走行機体が位置する方向を示し、「後」は、前とは180°反対の方向を示す。また、「左」は、作業機を基準として走行機体が位置する方向に向かったときの左を示し、「右」は、左とは180°反対の方向を示す。
【0015】
〈第1実施形態〉
[農作業機100の構成]
以下、第1実施形態による農作業機100の概略の構成について、図1を用いて詳細に説明する。本実施形態では、農作業機100として、折り畳み式の代掻き作業機を例示するが、この例に限られるものではない。例えば、折り畳み式のロータリ耕耘機や草刈り機など、折り畳み式の他の農作業機にも適用することができる。
【0016】
図1は、第1実施形態における農作業機100の構成を示す図である。具体的には、図1(A)は、農作業機100の上面図であり、図1(B)は、農作業機100の背面図である。本実施形態の農作業機100は、中央作業部10C、左側作業部10L及び右側作業部10Rの3つの作業部を有する。中央作業部10Cは、農作業機100の中央部に配置され、農作業機100の本体部分として機能する。左側作業部10L及び右側作業部10Rは、中央作業部10Cの左右両端部に、それぞれ中央作業部10Cに対して回動可能に連結されている。農作業機100は、これら左側作業部10L及び右側作業部10Rを上方に回動させることにより、中央作業部10Cに重ねて折り畳むことができ、下方に回動させることにより、展開することができる。
【0017】
ここで、左側作業部10L及び右側作業部10Rの両方を中央作業部10Cに重ねて折り畳んだ状態を収納状態と呼ぶ。収納状態とは、農作業機100が耕耘可能な幅(すなわち、耕幅)が農作業機100の左右方向に縮小された状態である。また、左側作業部10L、右側作業部10R及び中央作業部10Cが共に横に並んだ状態を展開状態と呼ぶ。展開状態とは、農作業機100の耕幅が最大となった状態である。また、左側作業部10L又は右側作業部10Rのいずれか一方を中央作業部10Cに重ねて折り畳んだ状態を半展開状態と呼ぶ。
【0018】
通常、農作業機100を使用しないときには収納状態としておき、農作業機100を圃場で使用する際に展開状態とする。しかしながら、圃場の面積や使用状況等に応じて、農作業機100を収納状態や半展開状態で使用する場合もあり得る。本実施形態の農作業機100は、農作業機100を展開状態、収納状態及び半展開状態のいずれで使用する場合にも適切に対応するための構成を有している。この点については、後述する。
【0019】
次に、中央作業部10Cについて説明する。中央作業部10Cは、トラクタ等の走行機体(図示せず)との連結部として機能するトップマスト12及びロアーリンク連結部14、左右方向に延び中央作業部10Cを支持する支持フレーム16、ギヤボックス17、制御ボックス18、中央シールドカバー20C、耕耘ロータ21C(図2(A)参照)、中央エプロン22C、及び中央レベラ24C、並びに、エプロン加圧部45を備えている。
【0020】
耕耘ロータ21Cは、中央エプロン22Cの前方、かつ、中央シールドカバー20Cの下方に配置されている。実際には、これら以外にも、走行機体から動力が伝達される入力軸、及びギヤボックス17や支持フレーム16等を経由して伝達された動力を爪軸に伝達する伝動フレーム(チェーンケース)などが設けられている。また、ここではエプロン加圧部45を2本設けた例を示しているが、この例に限らず、エプロン加圧部45は、1本であってもよいし、3本以上であってもよい。
【0021】
トップマスト12は、中央作業部10Cの前方中央部に設けられ、ロアーリンク連結部14は、中央作業部10Cの前方左右二箇所に設けられている。トップマスト12及び左右二箇所に設けられたロアーリンク連結部14は、走行機体の三点リンク機構(図示せず)にそれぞれ連結される。これにより、農作業機100は、走行機体の後部に昇降可能に装着される。支持フレーム16は、中央作業部10Cの機体として機能し、農作業機100の進行方向に対して左右方向に延設されている。支持フレーム16の内部には、動力を伝達する機構が配置されている。ギヤボックス17は、入力軸(図示せず)から伝達された動力を変速する機能を有する。ギヤボックス17で変速された動力は、支持フレーム16内に配置された動力伝達機構を介して伝動フレーム(図示せず)に伝達される。
【0022】
制御ボックス18は、農作業機100の動作を制御する機能を有する。具体的には、制御ボックス18には、図示しないリモートコントローラ(有線及び無線のいずれも含む。)から送信される操作信号の処理や各種センサから送信されるセンサ信号の処理といった信号処理を担う制御部が設けられている。制御部は、例えば、演算処理装置、記憶装置及び通信装置等の電子部品を含む。農作業機100の各可動部分(電動モータ、電動シリンダ等のアクチュエータ)は、制御ボックス18内に配置された制御部から送信される指令信号に基づいて動作する。
【0023】
中央シールドカバー20Cは、支持フレーム16に沿って設けられ、耕耘ロータ21Cの上方を覆うように配置される。耕耘ロータ21Cで砕かれた土は、中央シールドカバー20Cの内壁に当たってさらに砕土されるとともに、落下して再び圃場に戻る。このように、中央シールドカバー20Cは、耕耘ロータ21Cによって巻き上げられた土の飛散防止機能と砕土機能とを兼ね備えている。
【0024】
図2(A)に示すように、中央作業部10Cが有する耕耘ロータ21Cは、中央シールドカバー20Cの下方において、左右方向に回転自在に軸支された爪軸21Caに対して、フランジ又はホルダを用いて複数の耕耘爪21Cbを取り付けた構成を有する。耕耘ロータ21Cは、爪軸21Caの回転と共に複数の耕耘爪21Cbが回転して圃場を耕耘する。入力軸(図示せず)を介して走行機体から入力された動力は、支持フレーム16内の伝動シャフト等を経由して伝達され、耕耘ロータ21Cの回転運動へと変換される。
【0025】
図1において、中央エプロン22Cは、中央シールドカバー20Cの後端に対し、上下方向に回動可能に取り付けられた整地部材である。中央レベラ24Cは、中央エプロン22Cに対し、上下方向へ回動可能に取り付けられた整地部材である。中央エプロン22Cは、中央作業部10Cの耕耘ロータ21Cの回転によって飛散した泥や土を圃場に戻すカバーとしての役割と、中央レベラ24Cを圃場に押し付けて整地作業を行う役割を担う。中央レベラ24Cは、中央エプロン22Cによる整地作業を補助する役割を有する。
【0026】
エプロン加圧部45は、中央エプロン22Cの上方への回動を抑制する役割を有する。ただし、中央エプロン22Cによる回動を完全に制止するのではなく、弾性力を働かせる部材(本実施形態では、コイルばね)の力により、中央エプロン22Cを圃場に押し付けるように作用する。つまり、エプロン加圧部45は、中央エプロン22Cが、ある位置よりも上方に回動すると弾性力が働き、中央エプロン22Cを圃場に向かって押し戻すように反力を発生させる。エプロン加圧部45の詳細な構造については後述する。
【0027】
次に、左側作業部10Lについて説明する。左側作業部10Lは、左側シールドカバー20L、左側シールドカバー20Lの下方に配置された耕耘ロータ(図示せず)、左側エプロン22L、左側レベラ24L、及び左側延長レベラ26Lを備えている。左側シールドカバー20L、左側エプロン22L、及び左側レベラ24Lの担う役割については、それぞれ前述の中央作業部10Cにおける対応する各要素と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0028】
左側延長レベラ26Lは、左側作業部10Lの端部から農作業機100の左方向に延長して設けられ、左側作業部10Lの外側の領域の整地作業を担う。左側延長レベラ26Lは、左側レベラ24Lに対して回動可能に連結され、左側レベラ24Lに向かって折り畳むことができるように構成されている。
【0029】
次に、右側作業部10Rについて説明する。右側作業部10Rは、右側シールドカバー20R、右側シールドカバー20Rの下方に配置された耕耘ロータ(図示せず)、右側エプロン22R、右側レベラ24R、及び右側延長レベラ26Rを備えている。ここで、右側シールドカバー20R、右側エプロン22R、右側レベラ24R、及び右側延長レベラ26Rの担う役割については、それぞれ前述の左側作業部10Lにおける対応する各要素と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0030】
以上説明した左側作業部10L及び右側作業部10Rは、中央作業部10Cの両端部に設けられた作業部回動機構(図示せず)により上下方向に回動する。これにより、農作業機100は、前述の収納状態、展開状態又は半展開状態に遷移する。展開状態においては、中央作業部10Cと左側作業部10L、及び、中央作業部10Cと右側作業部10Rとは、それぞれ物理的に連結される。つまり、農作業機100が展開状態になったとき、中央エプロン22Cは、左側エプロン22L及び右側エプロン22Rと連結して一体となって圃場に作用する。同様に、半展開状態においては、中央エプロン22Cは、左側エプロン22L又は右側エプロン22Rと連結して一体となって圃場に作用する。
【0031】
このように、各作業部が展開して連結されたとき、それぞれの作業部が有する個々の要素(例えば、耕耘ロータ、エプロン、レベラ等)も他の作業部の要素と一体となって圃場に作用する。したがって、本明細書中において、「耕耘ロータ」、「エプロン」、「レベラ」等の用語は、個々の要素を指す場合と、複数の要素の集合体を指す場合との両方を含む。特に、各作業部が有する個々のエプロン(整地部材)の集合体を「整地部」と呼ぶ場合がある。
【0032】
[エプロン加圧部の構成]
図2は、第1実施形態における農作業機100の中央作業部10Cの構成を示す側方断面図である。具体的には、図2(A)は、中央作業部10Cの断面構造であり、図2(B)は、エプロン加圧部45の平面構造である。
【0033】
図2(A)及び図2(B)に示すように、エプロン加圧部45は、電動モータ201、位置決めギヤ202、支持アーム203、ロッド204、及びコイルばね205を含む。位置決めギヤ202及び支持アーム203は、軸301を共通にして、中央シールドカバー20Cに設けられたブラケット211に回動可能に軸支される。位置決めギヤ202は、電動モータ201の動力によって軸301を中心として回動する。具体的には、電動モータ201のピニオンギヤ201aの歯部と位置決めギヤ202の歯部とが噛み合い、電動モータ201の動力を位置決めギヤ202に伝達する。
【0034】
図2(B)に示すように、支持アーム203は、互いに向かい合わせに配置された2枚の板状部材で構成され、2枚の板状部材の間に位置決めギヤ202が配置される。位置決めギヤ202には、左右方向に突出したピン202aが設けられている。ピン202aの長さは、支持アーム203を構成する2枚の板状部材の間の間隔よりも長い。そのため、位置決めギヤ202が後方側(図2(A)において時計回り)に向かって回動すると、ピン202aは、2枚の板状部材の側部に当接する構成となっている。
【0035】
ロッド204は、支持アーム203の後端部(軸301から遠い方の端部)と中央エプロン22Cに設けられたブラケット212との間に架け渡される。支持アーム203の後端部とロッド204の上端部とは、軸302を中心として回動可能に連結される。また、ロッド204の下端部近傍は、ブラケット212に設けられた支持部材213により支持される。支持部材213は、ロッド204を長手方向に摺動可能に、かつ、軸303を中心として回動可能に支持する。
【0036】
コイルばね205は、ロッド204に対して装着される。ロッド204の上部には、リング状の固定部材204aが設けられており、コイルばね205の上端が固定部材204aに対して溶着されている。コイルばね205の下端は、ロッド204に対して固定されていないが、支持部材213に当接することにより、支持部材213よりも下方には伸長しない構成となっている。
【0037】
上述の構造を有するエプロン加圧部45において、位置決めギヤ202が後方側に向かって回動すると、支持アーム203は、ピン202aに押されて下方へと回動する。支持アーム203の下方への回動に伴い、ロッド204は、支持部材213に対して摺動しながら下方に向かって移動する。ロッド204の移動により、固定部材204aと支持部材213との間の距離が短くなると、固定部材204aと支持部材213との間でコイルばね205が圧縮される。これにより、圧縮されたコイルばね205の反力が、中央エプロン22Cを圃場に対して押し付けるように作用する。
【0038】
以上説明したように、電動モータ201を用いて支持アーム203の回動角度を制御することにより、コイルばね205の圧縮量を調整することができる。このとき、コイルばね205の圧縮量をΔL、ばね定数をkとすると、コイルばね205が中央エプロン22Cに加える力(F)は、F=k・ΔXで表される。すなわち、本実施形態のエプロン加圧部45は、支持アーム203の回動角度を制御することにより、コイルばね205が中央エプロン22Cに加える力(F)を調整することができる。なお、本実施形態では、支持アーム203の回動角度は、ポテンショメータ206によって検出される信号に基づいて制御されるが、他のセンサで検出される信号を用いて支持アーム203の回動角度を制御することも可能である。
【0039】
[エプロン加圧部の制御方法]
図3は、第1実施形態における農作業機100の作業状態を説明するための模式図である。具体的には、図3(A)は、農作業機100の収納状態を示す図であり、図3(B)は、農作業機100の展開状態を示す図であり、図3(C)は、農作業機100の半展開状態(具体的には、農作業機100の右側作業部10Rのみが展開された状態)を示す図である。
【0040】
図3(A)に示すように、収納状態においては、中央エプロン22Cのみが圃場に作用し、左側エプロン22L及び右側エプロン22Rは、中央エプロン22Cの上方に折り畳まれている。すなわち、収納状態では、エプロン加圧部45は、中央エプロン22Cだけに力を加える。なお、本実施形態では、エプロン加圧部45を2本配置しているため、中央エプロン22Cに加わる力は、実際には、2本のエプロン加圧部45の合計の力である。しかしながら、本実施形態では、説明の便宜上、上記合計の力を「エプロン加圧部が整地部に加える力」(以下、「加圧力」と呼ぶ場合がある)として説明する。また、本実施形態の場合、2本のエプロン加圧部45は同期させて作動させることが望ましく、例えば、2本のエプロン加圧部45は、同一のタイミング及び力でエプロンを加圧することが望ましい。さらに、例えば、農作業機100の起動時にエプロン加圧部45の加圧状態が所定の加圧力となるようにリセットしたり、加圧制御をオフにしたりするなどの制御を行ってもよい。
【0041】
ここで、収納状態における農作業機100の耕幅をXaとする。つまり、耕幅Xaは、中央エプロン22Cの幅に相当する。図3(A)に示す収納状態において、エプロン加圧部45が整地部(この場合、中央エプロン22C)に加える力をF1とすると、整地部に対して単位幅当たりに加えられる力は、F1/Xaとなる。また、このときのコイルばね205の圧縮量をΔL1とすると、F1=k×ΔL1となる。なお、本実施形態では、収納状態における加圧力F1は、予め設定されているものとする。
【0042】
次に、図3(B)に示すように、展開状態においては、中央エプロン22C、左側エプロン22L及び右側エプロン22Rが圃場に作用する。すなわち、展開状態では、エプロン加圧部45は、中央エプロン22C、左側エプロン22L及び右側エプロン22Rの全体に力を加える。このとき、展開状態における農作業機100の耕幅をXbとする。この場合、耕幅Xbは、中央エプロン22Cの幅、左側エプロン22Lの幅、及び右側エプロン22Rの幅の合計の幅に相当する。図3(B)に示す展開状態において、エプロン加圧部45が整地部(この場合、中央エプロン22C、左側エプロン22L及び右側エプロン22R)に加える力をF2とすると、整地部に対して単位幅当たりに加えられる力は、F2/Xbとなる。また、このときのコイルばね205の圧縮量をΔL2とすると、F2=k×ΔL2なる。
【0043】
ここで、農作業機100の状態が、収納状態から展開状態に切り替わると、農作業機100の耕幅は、XaからXbに増加する。そのため、展開状態において、エプロン加圧部45が整地部に加える力F2を収納状態と同じF1とした場合には、整地部に対して単位幅当たりに加えられる力が相対的に小さくなる。このような場合、展開状態において、整地部が均一な整地作業を行えなくなるおそれがある。これに対し、本実施形態の農作業機100は、展開状態であるか収納状態であるかにかかわらず、整地部が単位幅当たり略一定の力で圃場に押し付けられるように制御される。すなわち、農作業機100は、エプロン加圧部45が収納状態において整地部に対して単位幅当たりに加える力と、展開状態において整地部に対して単位幅当たりに加える力とが揃うように制御される。
【0044】
図3(A)及び図3(B)に示す例では、収納状態において整地部に対して単位幅当たりに加えられる力(F1/Xa)と、展開状態において整地部に対して単位幅当たりに加えられる力(F2/Xb)が等しくなるように制御される。すなわち、本実施形態では、F2=F1×Xb/Xaの関係が成り立つ。つまり、展開状態においてエプロン加圧部45が整地部に加える力F2は、収納状態においてエプロン加圧部45が整地部に加える力F1の(Xb/Xa)倍となる。
【0045】
また、エプロン加圧部45が整地部に加える力は、コイルばね205の圧縮量を調節することにより制御することができる。上述のF2=F1×Xb/Xaの関係式を用いれば、収納状態のコイルばね205の圧縮量ΔL1と展開状態のコイルばね205の圧縮量ΔL2との間には、ΔL2=ΔL1×(Xb/Xa)の関係が成り立つ。つまり、本実施形態では、展開状態におけるコイルばね205の圧縮量ΔL2が、収納状態におけるコイルばね205の圧縮量ΔL1の(Xb/Xa)倍となるように制御すればよい。
【0046】
上述の制御は、図3(A)に示す収納状態から図3(C)に示す半展開状態に切り替えた場合についても同様である。図3(C)に示す半展開状態では、中央エプロン22C及び右側エプロン22R(又は左側エプロン22L)が圃場に作用する。つまり、半展開状態における農作業機100の耕幅をXcとした場合、収納状態から半展開状態に切り替えると、半展開状態においてエプロン加圧部45が整地部に加える力F3は、収納状態においてエプロン加圧部45が整地部に加える力F1の(Xc/Xa)倍となる。また、半展開状態におけるコイルばね205の圧縮量ΔL3は、収納状態におけるコイルばね205の圧縮量ΔL1の(Xc/Xa)倍となる。
【0047】
以上のように、本実施形態の農作業機100は、複数の整地部材(エプロン)すべてが圃場に作用する展開状態と複数の整地部材の一部が圃場に作用する収納状態とで、エプロン加圧部45が整地部に加える力が異なるよう変更可能である。換言すれば、本実施形態の農作業機100は、整地部の耕幅に比例してエプロン加圧部45によって整地部に加えられる力が変化するように制御される。したがって、農作業機100がどのような作業状態で整地作業を行ったとしても、エプロン加圧部45は、整地部が単位幅当たり略一定の力で圃場に押し付けられるように作用する。これにより、農作業機の作業状態にかかわらず、均一な整地作業を実現可能とすることができる。
【0048】
なお、本実施形態では、農作業機100の作業状態が収納状態から展開状態に変化した場合に、加圧力を比例増加させる例について説明したが、逆に、展開状態から収納状態に変化した場合は、加圧力を比例減少させればよい。
【0049】
農作業機100が収納状態、展開状態及び半展開状態のいずれの状態にあるかは、制御ボックス18内の制御部が判定する。例えば、制御部は、接点スイッチ等のセンサなどの検知部を用いて農作業機100の作業状態を検出することが可能である。このようなセンサの検出信号を図1に示した制御ボックス18内の制御部(図示せず)が受信すると、制御部が農作業機100の状態に応じた指令信号を電動モータ201に対して送信する。電動モータ201は、制御部から送信された指令信号に基づいて、支持アーム203(実際には、位置決めギヤ202)が適切な位置に移動するように動作する。このように、本実施形態では、制御ボックス18内の制御部が、センサ等の検出信号に基づいて農作業機100の作業状態を判定し、電動モータ201を駆動して、農作業機100の作業状態に応じて適切な力を整地部に加えるようにエプロン加圧部45を制御する。
【0050】
なお、農作業機100の状態を検出する方法は、センサ等に限らず、例えば、リモートコントローラの操作信号に基づいて判定してもよい。例えば、直前の操作信号として、左右の作業部を開く旨の操作信号が送信されたことが記憶されている場合は、農作業機100が展開状態であると判定することができる。また、制御ボックス18内の制御部は、左側作業部10L及び右側作業部10Rをアクチュエータにより開閉動作する際、動作終了時にアクチュエータに流れる過電流、すなわち制御ボックス18において予め設定された閾値を超える電流の検出回数をカウントすることにより、農作業機100の状態を判定することも可能である。
【0051】
(変形例1)
本実施形態の農作業機100は、農作業機100の展開状態、収納状態及び半展開状態のいずれにも対応可能な構成を有しているが、この例に限らず、展開状態及び収納状態の2つの状態のみに対応する構成としてもよい。この場合、半展開状態においては、エプロン加圧部45が展開状態又は収納状態のいずれか一方と同じ力で整地部に力を加えるように制御すればよい。
【0052】
(変形例2)
本実施形態では、収納状態における加圧力F1は、予め設定されているものとしたが、この例に限らず、展開状態における加圧力F2を予め設定しておき、収納状態における加圧力F1を、加圧力F2の(Xa/Xb)倍としてもよいし、F2=F1×(Xb/Xa)の関係を満たすように、加圧力F1及びF2の両方を予め設定しておいてもよい。
【0053】
(変形例3)
本実施形態では、収納状態における加圧力F1は、予め設定されているものとしたが、この例に限らず、ユーザ(作業者)が任意の値に設定してもよい。具体的には、まず、収納状態における加圧力F1を、圃場の状態等を勘案してユーザが好みの値に設定し、その値を制御部に含まれる記憶装置等に記憶する。農作業機100は、記憶された設定値に基づいて、収納状態における加圧力がF1となるようにエプロン加圧部45を制御する。その後、農作業機100が収納状態から展開状態に変化した場合には、ユーザが設定した加圧力F1を(Xb/Xa)倍にして、展開状態における加圧力をF2とする。これとは逆に、展開状態における加圧力F2をユーザが任意の値に設定しておき、収納状態における加圧力F1を、加圧力F2の(Xa/Xb)倍としてもよい。
【0054】
本実施形態の農作業機100は、エプロン加圧部45によって整地部に加える力を任意の値に設定することが可能である。したがって、ユーザが圃場の状態等に鑑みて収納状態又は展開状態における加圧量を適宜調整できるようにすることにより、さらに圃場の均平性を向上させることが可能である。
【0055】
(変形例4)
第1実施形態では、エプロン加圧部45が、電動モータ201によって位置決めギヤ202を回動させてピン202aを支持アーム203に当接させることにより、支持アーム203を回動させて整地部を加圧する例を示した。しかし、エプロン加圧部45の構成は、この例に限られるものではない。
【0056】
例えば、電動モータ201の回転運動により位置決めギヤ202を回転させる構成に代えて、電動シリンダ又は油圧シリンダ等のアクチュエータの直線運動を、ピン202aを有する回動部材の回転運動に変換する構成としてもよい。具体的には、例えば、位置決め部材として略三角形状の板状部材を用い、当該板状部材の1つの頂点を軸301と連結する。そして、残りの2つの頂点のうち、一方にピン202aを設け、他方にアクチュエータのロッド端部を連結する。これにより、アクチュエータのロッドの伸縮運動を、軸301を中心とする位置決め部材の回転運動に変換することができる。さらに、電動シリンダ又は油圧シリンダ等のアクチュエータに代えて、電動モータとボールねじとを組み合わせて直線運動を得ることも可能である。
【0057】
また、第1実施形態のエプロン加圧部45では、整地部が上方に回動した場合、支持アーム203及び位置決めギヤ202の前方への回動(半時計回りの回動)を、電動モータ201により抑止している。しかしながら、この例に限らず、例えば位置決めギヤ202に対してブレーキパッドとして機能する部材を押し当てることにより、位置決めギヤ202の回動を抑止することも可能である。
【0058】
〈第2実施形態〉
本実施形態では、第1実施形態とは異なる構成の農作業機100aについて説明する。図4は、第2実施形態における農作業機100aの構成を示す図である。具体的には、図4(A)は、農作業機100aの上面図であり、図4(B)は、農作業機100aの背面図である。なお、図4において、第1実施形態で説明した農作業機100と同じ構成については、同じ符号を用いて説明を省略する。
【0059】
第1実施形態の農作業機100では、エプロン加圧部45を2本設けたのに対し、本実施形態の農作業機100aは、中央作業部10Cに対してエプロン加圧部45aを3本設けた構成となっている。この場合、中央エプロン22Cに加わる力は、3本のエプロン加圧部45aの合計の力となる。そのため、第1実施形態の農作業機100に比べて、エプロン加圧部45aの1本当たりの負荷が軽減される。
【0060】
前述のとおり、エプロン加圧部45aは、整地部が上方に回動した場合、支持アーム203及び位置決めギヤ202の前方への回動(半時計回りの回動)を、電動モータ201により抑止する構成となっている。つまり、農作業機100aは、整地部が圃場から受ける力を電動モータ201で受ける構成となっている。そのため、エプロン加圧部45aの本数を増やすことにより、特に展開状態において、個々の電動モータ201に加わる負荷を軽減することができる。
【0061】
〈第3実施形態〉
本実施形態では、第1実施形態とは異なる構成の農作業機100bについて説明する。図5は、第3実施形態における農作業機100bの構成を示す図である。具体的には、図5(A)は、農作業機100bの上面図であり、図5(B)は、農作業機100bの背面図である。なお、図5において、第1実施形態で説明した農作業機100と同じ構成については、同じ符号を用いて説明を省略する。
【0062】
第1実施形態の農作業機100では、エプロン加圧部45を中央作業部10Cのみに設けたのに対し、本実施形態の農作業機100bは、中央作業部10Cだけでなく、左側作業部10L及び右側作業部10Rにも1本ずつエプロン加圧部45bを設けた構成となっている。すなわち、本実施形態の農作業機100bは、図5に示すように、合計で4本のエプロン加圧部45bを有している。この場合、展開状態における整地部の全体に加わる力は、4本のエプロン加圧部45bの合計の力となる。そのため、第2実施形態と同様の理由により、エプロン加圧部45bの1本当たりの負荷が軽減される。
【0063】
本実施形態の農作業機100bは、収納状態においては、左側作業部10L及び右側作業部10Rのそれぞれに配置されたエプロン加圧部45bは機能しない。つまり、農作業機100bが収納状態であるときは、中央作業部10Cに配置された2本のエプロン加圧部45bによって整地部に加わる力が制御される。さらに、農作業機100bが半展開状態であるときは、左側作業部10L及び右側作業部10Rのいずれか一方のエプロン加圧部45bが機能するため、3本のエプロン加圧部によって整地部に加わる力が制御されることになる。
【0064】
このように、本実施形態の農作業機100bは、中央作業部10C、左側作業部10L及び右側作業部10Rのそれぞれに少なくとも1本のエプロン加圧部45bを有する。したがって、本実施形態の農作業機100bは、展開状態、半展開状態及び収納状態のいずれの状態であるかによって、動作するエプロン加圧部45bの数が変わり、各エプロン加圧部45bの加圧力が異なる。なお、本実施形態では、中央作業部10Cに2本、左側作業部10L及び右側作業部10Rそれぞれに各1本のエプロン加圧部45bを配置する例を示したが、この例に限られるものではなく、各作業部に配置するエプロン加圧部45bの数に制限はない。
【0065】
〈第4実施形態〉
第1実施形態から第3実施形態では、電動モータ201の回転を制御して支持アーム203の位置を設定することにより、エプロン加圧部が整地部に加える力を制御する例を示した。しかし、この例に限らず、他の方法を用いてエプロン加圧部が整地部に加える力を調節することも可能である。
【0066】
例えば、第1実施形態のエプロン加圧部45、第2実施形態のエプロン加圧部45a又は第3実施形態のエプロン加圧部45bに代えて、特開2009-131173号公報に記載された角度調節装置(エプロン加圧部に相当する)を用いることも可能である。同公報に記載された角度調節装置では、ロッドの中間部に装着されたピンの位置によってコイルばねの圧縮量を調節することにより、角度調節装置がエプロンに加える力を調節する。この場合、ピンの位置は、操作者が手動で調節することになるが、農作業機の作業状態に応じて、コイルばねの圧縮量が適切な圧縮量となるように、ピンの位置を変更すればよい。
【0067】
本実施形態の農作業機においても、農作業機が収納状態であるか展開状態(又は、半展開状態)であるかに応じてコイルばねの圧縮量を調節し、農作業機の作業状態に応じて適切な力をエプロンに加えるように制御することができる。
【0068】
〈第5実施形態〉
第1実施形態から第4実施形態では、制御ボックス18内の制御部が、農作業機が展開状態であるか収納状態であるかに基づいてエプロン加圧部45を制御する例を示したが、この例に限らず、ユーザが手動でエプロン加圧部45を制御してもよい。
【0069】
例えば、農作業機100の作業状態が収納状態から展開状態(又は、展開状態から収納状態)に変化した場合に、ユーザがリモートコントローラ等を操作して加圧制御を実行する旨の指令信号を制御部に送信し、当該指令信号に基づいて制御部がエプロン加圧部45の加圧力を制御してもよい。
【0070】
また、例えば、農作業機100の作業状態が収納状態から展開状態(又は、展開状態から収納状態)に変化した場合に、ユーザがリモートコントローラを操作して適切な加圧力となるまでエプロン加圧部45の加圧力を増減させてもよい。この場合、制御部は、上述のF2=F1×(Xb/Xa)の関係からエプロン加圧部45の適切な加圧力を導き、音声や表示媒体を介して設定すべき加圧力をユーザに通知してもよい。
【0071】
以上、本発明について図面を参照しながら説明したが、本発明は前述の各実施形態(変形例も含む)に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。さらに、前述した各実施形態は、相互に矛盾がない限り適宜組み合わせが可能であり、各実施形態に共通する技術事項については、明示の記載がなくても各実施形態に含まれる。
【0072】
前述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0073】
10C…中央作業部、10L…左側作業部、10R…右側作業部、12…トップマスト、14…ロアーリンク連結部、16…支持フレーム、17…ギヤボックス、18…制御ボックス、20C…中央シールドカバー、20L…左側シールドカバー、20R…右側シールドカバー、21C…耕耘ロータ、21Ca…爪軸、21Cb…耕耘爪、22C…中央エプロン、22L…左側エプロン、22R…右側エプロン、24C…中央レベラ、24L…左側レベラ、24R…右側レベラ、26L…左側延長レベラ、26R…右側延長レベラ、45…エプロン加圧部、45a…エプロン加圧部、100、100a…農作業機、201…電動モータ、201a…ピニオンギヤ、202…位置決めギヤ、202a…ピン、203…支持アーム、204…ロッド、204a…固定部材、205…コイルばね、206…ポテンショメータ、211、212…ブラケット、213…支持部材、301~303…軸
図1
図2
図3
図4
図5