(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】三分割可能な包装袋で包皮した包装おにぎり形態
(51)【国際特許分類】
B65D 85/50 20060101AFI20240625BHJP
B65D 65/10 20060101ALI20240625BHJP
A23L 7/10 20160101ALI20240625BHJP
【FI】
B65D85/50 140
B65D65/10 A
A23L7/10 F
(21)【出願番号】P 2020123472
(22)【出願日】2020-07-20
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000236746
【氏名又は名称】不二精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】青木 太志
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-054045(JP,A)
【文献】特開2002-002778(JP,A)
【文献】特開2019-218106(JP,A)
【文献】特開2009-001324(JP,A)
【文献】特開2004-261056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/50
B65D 65/10
A23L 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
おにぎり全体を包皮するための外装フイルムの略中央部に
外装フイルムを縦方向に三分割するための左右二本のカットテープを外装フイルム内側面に貼着すると共に、外装フイルムの内側面に
外装フイルムの左右両側端部に左右フイルム片の左右の一端部を溶着して左右フイルム片の
左右の他端部の側縁部を重ねて構成した内側フイルムを重ね、外装フイルムと内側フイルムとの間で海苔シートを挟持し、
内側フイルムの外側方に
三角形状のおにぎり本体を配置して海苔シートと内側フイルムとおにぎり本体の全体を外装フイルムで包皮し
、
各カットテープを引っ張るためのカットテープの始端部を山頂部の左右の側面に位置させた
ことを特徴とする三分割可能な包装袋で包皮した包装おにぎり形態。
【請求項2】
左右二本のカットテープの端部は長方形の外装フイルムの端部に一体に溶着したことを特徴とする請求項1に記載の三分割可能な包装袋で包皮した包装おにぎり形態。
【請求項3】
左右二本のカットテープは外装フイルムの内側面に中央部を膨らませて互いに湾曲形状になるように貼着配設したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の三分割可能な包装袋で包皮した包装おにぎり形態。
【請求項4】
カットテープで切り離す外装フイルムの左右分割片に対応する外装フイルムの側縁部に左右の引っ張りつまみ片を形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の三分割可能な包装袋で包皮した包装おにぎり形態。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、手を汚さないでおにぎり包装を開封し食することができるようにした三分割可能な包装袋で包皮した包装おにぎり形態である。
【背景技術】
【0002】
従来、手を汚さないでおにぎり包装を開封し食することができるようにしたおにぎり包装袋の開封構造としては各種のものが開示されている。
例えば、おにぎり外表面を包装するフイルムと予め左右分割した海苔シートを包装する分割フイルムとの間に海苔シートと共に汚れ防止フイルムも介在させて包装フイルムと分割フイルムを取り去った後に海苔で包んだおにぎり下部を汚れ防止フイルムで両面挟持して食するように構成したものや、特別に汚れ防止フイルムを使用することなく予め包装フイルムに加工を施しておき包装フイルム開封時に包装フイルムの一部が海苔おにぎりを包むように構成したものがある(特許文献1、2)。
【0003】
これらの汚れ防止フイルムを包装フイルム間に介在するおにぎりの汚れ防止フイルム構造も、また既存の包装フイルムを汚れ防止フイルムに利用する構造も、いずれもおにぎりを食するには箸等の道具を使用することなく手で直接握って食するという日本古来の食文化に根付くものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3067919公報
【文献】特開2020-023345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、汚れ防止フイルムを介在して食する際には包んだ海苔シートの上から汚れ防止フイルムを包んで直接手が触れないようにした技術が多数提案されている。
しかし、かかる汚れ防止フイルムは搬送時や梱包時や包装フイルムの開封作業時の揺動等によってずれてしまう虞や、包装袋の作成段階で汚れ防止フイルムを別途挟持する作業工程が必要となりコスト的にも不利である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、おにぎり全体を包皮するための外装フイルムの略中央部に縦方向に三分割するための左右二本のカットテープを外装フイルム内側面に貼着すると共に、外装フイルムの内面に左右フイルム片の側縁部を重ねて構成した内側フイルムを重ね、外装フイルムと内側フイルムとの間で海苔シートを挟持し、内側フイルムの外側方におにぎり本体を配置して海苔シートと内側フイルムとおにぎり本体の全体を外装フイルムで包皮してなる三分割可能な包装袋で包皮した包装おにぎり形態を提供せんとするものである。
【0007】
また、左右二本のカットテープの端部は長方形の外装フイルムの端部に一体に溶着したことを特徴とする。
【0008】
また、左右二本のカットテープは外装フイルムの内側面に中央部を膨らませて互いに湾曲形状になるように貼着配設したことを特徴とする。
【0009】
また、カットテープで切り離す外装フイルムの左右分割片に対応する外装フイルムの側縁部に左右の引っ張りつまみ片を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第一の態様によれば、おにぎり全体を包皮するための外装フイルムの略中央部に縦方向に三分割するための左右二本のカットテープを外装フイルムの内側面に貼着したことにより、カットテープの端部を引っ張って外装フイルムを切断すれば外装フイルムは三分割され左右の切断フイルム片の端部を左右に引っ張り開放すればおにぎり本体が中間切断フイルム片で包まれたまま残る。すなわち、おにぎり本体は残存する中間切断フイルム片を介して手で把持することができることになり、特別に汚れ防止フイルムを介することなく外装フイルムをそのまま使用しておにぎり本体を把持して手の汚れを防止することができると共に食物への病原菌の感染を防止できる効果がある。
【0011】
また、本発明の第二の態様によれば、左右二本のカットテープの端部は長方形の外装フイルムの端部に一体に溶着したことにより、外装フイルムの包皮溶着作業と同時にカットテープも貼着することができ特別な作業を付加することなく包装されたおにぎりに手の汚れ防止の機能を付与できる効果がある。
【0012】
また、本発明の第三の態様によれば、左右二本のカットテープは外装フイルムの内側面に中央部を膨らませて互いに湾曲形状になるように貼着配設したことにより、おにぎり本体の載置形態が外装フイルムを横断した横広がり状態で載置されているので、カットした外装フイルムの中央部のふくらみ部分が横広がりのおにぎり底部近傍を包皮することになり、三角形の最大拡張部であるおにぎり本体底部から上部までのおにぎり前後面を残存する中間切断フイルム片で折曲包皮し、その上から手で把持することができるので容易に手が汚れることを防止することができる効果がある。
【0013】
また、本発明の第四の態様によれば、カットテープで切り離す外装フイルムの左右分割片に対応する外装フイルムの側縁部に左右の引っ張りつまみ片を形成したことにより次のような効果がある、すなわち、外装フイルムは、おにぎり形状底部から三角形傾斜側部にわたって三角形のおにぎり本体を包皮しているので必然的におにぎり前面又は後面で折り曲げて三角形状と合致するように整形される。従って、カットテープがかかる外装フイルムの折り曲げ部分に重なるとフイルムを切断することができなくなるため左右の引っ張りつまみ片により外装フイルムを左右に伸張してカットテープを引っ張り、外装フイルムを円滑に切断することができる効果がある。
【0014】
このように外装フイルムの中央部を残したままおにぎり本体底部を確実に被覆することができ、おにぎりを食する際に直接におにぎり本体と手が接触せず手が汚れることがなく、また衛生上もウイルスなどの感染症から防御することができる効果がある。
更には、従前の包装フイルムを開放する手順で外装フイルムを切断除去していけば自動的に外装フイルムによっておにぎり本体の底部を海苔シートの表面から包んで直接的に手でおにぎりを掴むことがなくなり手の汚れや病原菌からの感染などを防ぐことができる効果があり、またフイルム溶着の際に特別の作業工程を必要とせず外装フイルム展開状態において2本のカットテープをフイルム内側面に貼着すればよいため容易に2本のカットテープを装着することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態にかかる三分割可能な包装袋を示す平面図である。
【
図2】本発明の実施形態にかかる三分割可能な包装袋の包装フイルムを解除する手順を示す説明図であり、(a)は第1の手順を示す説明図であり、(b)は第2の手順を示す説明図であり、(c)は第3の手順を示す説明図であり、(d)は第4の手順を示す説明図であり、(e)は第5の手順を示す説明図である。
【
図4】本発明の実施形態にかかる包装おにぎり形態の説明斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態にかかる三分割可能な包装袋のカットテープの通過箇所を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の要旨は、おにぎり全体を包皮するための外装フイルムの略中央部に縦方向に三分割するための左右二本のカットテープを外装フイルム内側面に貼着すると共に、外装フイルムの内側面に左右フイルム片の側縁部を重ねて構成した内側フイルムを重ね、外装フイルムと内側フイルムとの間で海苔シートを挟持し、内側フイルムの外側方におにぎり本体を配置して海苔シートと内側フイルムとおにぎり本体の全体を外装フイルムで包皮してなる三分割可能な包装袋で包皮した包装おにぎり形態であり、また、左右二本のカットテープの端部は長方形の外装フイルムの端部に一体に溶着したことを特徴とし、また、左右二本のカットテープは外装フイルムの内側面に中央部を膨らませて互いに湾曲形状になるように貼着配設したことを特徴とし、また、カットテープで切り離す外装フイルムの左右分割片に対応する外装フイルムの側縁部に左右の引っ張りつまみ片を形成したことを特徴とする。
【0017】
この発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明における三分割可能な包装袋を示す平面図、
図2(a)~
図2(e)は、包装フイルムを解除する手順を示す説明図、
図3は、
図1におけるA-A断面図、
図4は、本発明の包装おにぎり形態の説明斜視図を示す。
【0018】
おにぎりRを包装する包装袋としての包装フイルム1の展開した状態は、
図1に示すように、おにぎりR全体を包装する長方形の外装フイルム10と、外装フイルム10の内側に設けられた左右フイルム端部を重ねて構成する長方形の内側フイルム20と、各フイルムの間に挟んだ小形の長方形の海苔シート30とから構成されている。
【0019】
しかも、外装フイルム10にはフイルムを三分割にカットして左右と中央の分割フイルム片を形成するために三分割用の2本のカットテープ40(40a、40b)が貼着されている。
【0020】
かかる外装フイルム10と内側フイルム20とはそれぞれ両側端部MR、MLで溶着し、或いは長手両端部MU、MDで溶着し、或いはそれぞれ別個に重ねておにぎり用の包装フイルム1を構成している。
【0021】
本件発明ではかかる包装フイルム1は、外装フイルム10と内側フイルム20とからなり、外装フイルム10の内面にカットテープ40(40a、40b)を一定の間隔で貼着している。
【0022】
すなわち、内側フイルム20の外側に位置して外装フイルム10により全体包装されたおにぎりR本体とからなる包装おにぎり100において、外装フイルム10の内面に2本のカットテープ40a、40bを貼着しており、カットテープ40a、40bによって外装フイルム10を三分割して左右の切断フイルム片10a、10bを開放除去して中央の中間切断フイルム片10cを残したままにして下部で折り返しておにぎりR本体を包皮したままにする。
【0023】
かかる形態とすることによりおにぎりR本体は外装フイルム10の中央部の分割包装部分の中間切断フイルム片10cで包皮されていることになり、手で直接におにぎりR本体を把持することなく外装フイルム10の中間切断フイルム片10cを介して握ることになり、手で直接触れることから派生する各種の課題を解決することができるようにした。
【0024】
おにぎりR全体を包皮するための外装フイルム10の略中央部には縦方向に三分割するための左右二本のカットテープ40a、40bを外装フイルム10の内面に貼着している。
【0025】
外装フイルム10の内面に左右の切断フイルム片20a、20bの側縁部10a´、10b´を重ねて構成した内側フイルム20を重ね、外装フイルム10と内側フイルム20との間で海苔シート30を挟持し、内側フイルム20の外側方におにぎりR本体を配置して海苔シート30と内側フイルム20とおにぎりR本体の全体を外装フイルム10で包皮している。
【0026】
図1に示すように、左右二本のカットテープ40a、40bの端部は長方形の外装フイルム10の端部に端部MU、MDで一体に熱溶着している。
【0027】
左右二本のカットテープ40a、40bは、
図1に示すように、外装フイルム10の内側面に中央部42a、42bを膨らませて互いに湾曲形状になるように貼着配設している。
【0028】
外装フイルム10を三角形状のおにぎりR本体に包皮した場合には、
図4(a)、
図4(b)に示すように、左右二本のカットテープ40a、40bの始端部40a´、40b´は、三角形のおにぎりR本体の山頂部Rtに位置してつまんで下方に引っ張ることにより、外装フイルム10を所定のテープ位置でカットしながら左右方向に切離可能としている。
【0029】
外装フイルム10で三角形状のおにぎりR本体を包皮した状態においては、
図5に示すように、二本のカットテープ40(40a、40b)は、三角形状のおにぎりRの山頂部Rtの両側横側面に始端部40a´、40b´をそれぞれ位置し、そのままおにぎりRの左右傾斜面Rr、Rlを斜めに走り、おにぎりRの正面Rpの三角形の左右端部近傍を下降し、その後おにぎりRの底面Rsを横断し、おにぎりRの背面Rdの三角形の左右端部近傍を外装フイルム10に沿って上昇して再度、おにぎりRの左右傾斜面Rr、Rlを往路のカットテープ40a、40bと対称的に伸延して終端部40a´´、40b´´をおにぎりRの山頂部Rtの両側横側面の端部に至るように構成している。
【0030】
かかるカットテープ40a、40bの伸延方向とその位置は、
図1に示すように、カットテープ40a、40bの中途部を外方にふくらませた凸湾曲状に形成しているため、次のように機能する。
【0031】
すなわち、外装フイルム10をおにぎりR本体に包皮した状態では、
図5に示すように、この凸湾曲状部分かつ丁度三角形状のおにぎりRの両側下端縁部Ra、Rbに寄った位置、すなわち、おにぎりRの両側下端縁部Ra、Rbに可及的に近い位置に伸延されていることになり、二本のカットテープ40a、40bで外装フイルム10を左右に切断した際に二本のカットテープ40a、40bの間の中間切断フイルム片10cのフイルムとなり、この中間切断フイルム片10cが可及的に幅広となってそのまま手でおにぎりRの幅広の把持機能を有し、充分な把持幅の余裕をもって汚れ防止フイルムを兼ねることができる。
【0032】
カットテープ40で切り離す外装フイルム10の左右の切断フイルム片10a、10bに対応する外装フイルム10の側縁部には、
図4に示すように、平面視三角形状の引っ張りつまみ片Pa、Pbを左右に延設している。これにより、つまみ片Pa、Pbは、おにぎりRを包装した包装フイルム1を左右の切断フイルム片10a、10b及び中間切断フイルム片10cの3つのフイルム片に分割する際の把持部として機能できる。
【0033】
なお、本発明は上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、公知発明並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、等も含まれる。また、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【符号の説明】
【0034】
100 包装おにぎり
1 包装フイルム
10 外装フイルム
10a 右切断フイルム片
10b 左切断フイルム片
10a´、10b´ 側縁部
10c 中間切断フイルム片
20 内側フイルム
30 海苔シート
40、40a、40b カットテープ
40a´、40b´ 始端部
40a´´、40b´´ 終端部
42a、42b 中央部
MU 上端部
MD 下端部
MR 右端部
ML 左端部
Pa、Pb 引っ張りつまみ片
Ra 右側下端縁部
Rb 左側下端縁部
Rd 背面
Rr 右傾斜面
Rl 左傾斜面
Rs 底面
Rp 正面
Rt 山頂部