IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社エヌエフ回路設計ブロックの特許一覧

特許7509417高調波計測装置とそれを用いた単独運転検出方式
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】高調波計測装置とそれを用いた単独運転検出方式
(51)【国際特許分類】
   G01R 23/20 20060101AFI20240625BHJP
   G01R 23/16 20060101ALI20240625BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G01R23/20 C
G01R23/16 A
H02J3/38 180
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020161407
(22)【出願日】2020-09-25
(65)【公開番号】P2022054297
(43)【公開日】2022-04-06
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000128094
【氏名又は名称】株式会社エヌエフホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】依田 憲佑
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-193318(JP,A)
【文献】特開平9-199993(JP,A)
【文献】特開平11-94887(JP,A)
【文献】特開平8-136595(JP,A)
【文献】特開2016-100949(JP,A)
【文献】特表2010-513937(JP,A)
【文献】特表2002-515610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号入力部と、
サンプリング部と、
高調波演算部と、
を有し、
前記信号入力部は、計測対象となる入力信号から出力信号を生成し、
前記サンプリング部は、前記信号入力部からの前記出力信号を受けて、サンプリング周期ごとにサンプリングデータを出力し、
前記高調波演算部は、前記サンプリング部からの前記サンプリングデータを受けて、離散フーリエ解析により0次以上のk次高調波に関する振幅の情報を演算し、
前記高調波演算部は、離散フーリエ解析により0次以上のk次高調波に関する振幅の情報を演算するにあたり、
前記サンプリング部が前記出力信号の一周期にM点分の前記サンプリングデータを出力するときに、サンプリング周期ごとにnの値を0から1ずつM-1までカウントするM進カウンタと、
前記M進カウンタでカウントしたnの値を用いて、高調波の次数kに依存しない三角関数の値を出力する三角関数出力部と、を備え、
前記M進カウンタがnの値をカウントするたびに、前記三角関数出力部から出力される三角関数の値を用いて、k次高調波に関する振幅の情報の演算を可能にするk次高調波の余弦係数および正弦係数をそれぞれ逐次演算する構成としたことを特徴とする高調波計測装置。
【請求項2】
前記高調波演算部は、
2次以上のk次高調波に関する振幅の情報を演算するk次高調波演算部と、
(k-1)次高調波に関する振幅の情報を演算する(k-1)次高調波演算部と、
(k-2)次高調波に関する振幅の情報を演算する(k-2)次高調波演算部と、を備え、
前記k次高調波演算部は、
前記M進カウンタがnの値をカウントするたびに、前記三角関数出力部から出力される三角関数の値に加えて、前記(k-1)次高調波演算部による演算処理の過程で算出された(k-1)次高調波の余弦中間値と、前記(k-2)次高調波演算部による演算処理の過程で算出された(k-2)次高調波の余弦中間値および正弦中間値を用いて、チェビシェフの多項式から導出されるk次高調波の余弦係数および正弦係数をそれぞれ逐次演算する構成としたことを特徴とする請求項記載の高調波計測装置。
【請求項3】
前記三角関数出力部から出力される三角関数の値が、次の余弦関数F[n]と正弦関数F[n]の値であり、
【数1】
前記(k-1)次高調波演算部で算出された(k-1)次高調波の余弦中間値をV[k-1,n]とし、
前記(k-2)次高調波演算部で算出された(k-2)次高調波の余弦中間値および正弦中間値を、それぞれV[k-2,n]およびV[k-2,n]としたときに、
前記k次高調波演算部は、次の式に基づいて、
【数2】
(ただし、nの値が0のときの初期値として、A[k,-1]=0、B[k,-1]=0とする。また、前記サンプリングデータをv[n]としたときに、V[0,n]=v[n]であり、V[0,n]=0であり、V[1,n]=v[n]・F[n]であり、V[1,n]=v[n]・F[n]である。)
k次高調波の余弦中間値V[k,n]およびV[k,n]と、k次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]を、それぞれ逐次演算する構成としたことを特徴とする請求項記載の高調波計測装置。
【請求項4】
前記k次高調波演算部は、
第1および第2の乗算器と、減算器と、第1~第3の加算器と、nの値に対する1段のシフトレジスタからなる第1および第2のレジスタと、を含み、
(k-1)次高調波の余弦中間値V[k-1,n]と、前記三角関数出力部からの余弦関数F[n]を2倍にした値を前記第1の乗算器で乗算し、前記第1の乗算器の演算結果となる値2F[n]・V[k-1,n]に、(k-2)次高調波の余弦中間値V[k-2,n]を前記減算器で減算し、前記減算器の演算結果となるk次高調波の余弦中間値V[k,n]と、前記第1のレジスタから出力される前回のサンプリング時におけるk次高調波の余弦係数A[k,n-1]とを前記第1の加算器で加算して、前記第1の加算器の演算結果となるk次高調波の余弦係数A[k,n]を前記第1のレジスタに入力し、
(k-1)次高調波の余弦中間値V[k-1,n]と、前記三角関数出力部からの正弦関数F[n]を2倍にした値を前記第2の乗算器で乗算し、前記第2の乗算器の演算結果となる値2F[n]・V[k-1,n]に、(k-2)次高調波の正弦中間値V[k-2,n]を前記第2の加算器で加算し、前記第2の加算器の演算結果となるk次高調波の正弦中間値V[k,n]と、前記第2のレジスタから出力される前回のサンプリング時におけるk次高調波の正弦係数B[k,n-1]とを前記第3の加算器で加算して、前記第3の加算器の演算結果となるk次高調波の正弦係数B[k,n]を前記第2のレジスタに入力することで、
k次高調波の余弦中間値V[k,n]および正弦中間値V[k,n]と、k次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]を、それぞれ出力する構成としたことを特徴とする請求項記載の高調波計測装置。
【請求項5】
前記高調波演算部は、
1次以上のk次高調波に関する振幅の情報を演算するk次高調波演算部と、
(k-1)次高調波に関する振幅の情報を演算する(k-1)次高調波演算部と、を備え、
前記k次高調波演算部は、
前記M進カウンタがnの値をカウントするたびに、前記三角関数出力部から出力される三角関数の値に加えて、前記(k-1)次高調波演算部による演算処理の過程で算出された(k-1)次高調波の余弦中間値および正弦中間値を用いて、三角関数の加法定理から導出されるk次高調波の余弦係数および正弦係数をそれぞれ逐次演算する構成としたことを特徴とする請求項記載の高調波計測装置。
【請求項6】
前記三角関数出力部から出力される三角関数の値が、次の余弦関数F[n]と正弦関数F[n]の値であり、
【数3】
前記(k-1)次高調波演算部で算出された(k-1)次高調波の余弦中間値および正弦中間値を、それぞれV[k-1,n]およびV[k-1,n]としたときに、
前記k次高調波演算部は、次の式に基づいて、
【数4】
(ただし、nの値が0のときの初期値として、A[k,-1]=0、B[k,-1]=0とする。また、前記サンプリングデータをv[n]としたときに、V[1,n]=v[n]・F[n]であり、V[1,n]=v[n]・F[n]である。)
k次高調波の余弦中間値V[k,n]および正弦中間値V[k,n]と、k次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]を、それぞれ逐次演算する構成としたことを特徴とする請求項記載の高調波計測装置。
【請求項7】
前記k次高調波演算部は、
第1~第4の乗算器と、減算器と、第1~第3の加算器と、nの値に対する1段のシフトレジスタからなる第1および第2のレジスタと、を含み、
(k-1)次高調波の余弦中間値V[k-1,n]と、前記三角関数出力部からの余弦関数F[n]の値を前記第1の乗算器で乗算し、(k-1)次高調波の正弦中間値V[k-1,n]と、前記三角関数出力部からの正弦関数F[n]の値を前記第2の乗算器で乗算し、前記第1の乗算器の演算結果となる値V[k-1,n]・F[n]に、前記第2の乗算器の演算結果となる値V[k-1,n]・F[n]を前記減算器で減算し、前記減算器の演算結果となるk次高調波の余弦中間値V[k,n]と、前記第1のレジスタから出力される前回のサンプリング時におけるk次高調波の余弦係数A[k,n-1]とを前記第1の加算器で加算して、前記第1の加算器の演算結果となるk次高調波の余弦係数A[k,n]を前記第1のレジスタに入力し、
(k-1)次高調波の正弦中間値V[k-1,n]と、前記三角関数出力部からの余弦関数F[n]の値を前記第3の乗算器で乗算し、(k-1)次高調波の余弦中間値V[k-1,n]と、前記三角関数出力部からの正弦関数F[n]の値を前記第4の乗算器で乗算し、前記第3の乗算器の演算結果となる値V[k-1,n]・F[n]に、前記第4の乗算器の演算結果となる値V[k-1,n]・F[n]を前記第2の加算器で加算し、前記第2の加算器の演算結果となるk次高調波の正弦中間値V[k,n]と、前記第2のレジスタから出力される前回のサンプリング時におけるk次高調波の正弦係数B[k,n-1]とを前記第3の加算器で加算して、前記第3の加算器の演算結果となるk次高調波の正弦係数B[k,n]を前記第2のレジスタに入力することで、
k次高調波の余弦中間値V[k,n]および正弦中間値V[k,n]と、k次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]を、それぞれ出力する構成としたことを特徴とする請求項記載の高調波計測装置。
【請求項8】
前記高調波演算部は、
演算開始後からM点後にk次高調波に関する振幅の情報をサンプリング周期ごとに演算可能にするリアルタイム高調波解析部をさらに備えたことを特徴とする請求項の何れか一つに記載の高調波計測装置。
【請求項9】
前記高調波演算部は、
k次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]が、次の式に基づいて逐次演算されるように、
【数5】
演算開始後からM点後にk次高調波に関する振幅の情報をサンプリング周期ごとに演算可能にするリアルタイム高調波解析部を、前記k次高調波演算部にさらに備えたことを特徴とする請求項またはに記載の高調波計測装置。
【請求項10】
前記リアルタイム高調波解析部は、
第1および第2の加減算器と、nの値に対する1段のシフトレジスタからなる第1および第2のレジスタと、nの値に対するM段のシフトレジスタからなる第3および第4のレジスタと、を含み、
k次高調波の余弦中間値V[k,n]を前記第3のレジスタに入力し、前記第1の加減算器により、k次高調波の余弦中間値V[k,n]に、前記第1のレジスタから出力される前回のサンプリング時におけるk次高調波の余弦係数A[k,n-1]を加算した値から、前記第3のレジスタから出力されるM回前のk次高調波の余弦中間値V[k,n-M]を減算して、前記第1の加減算器の演算結果となるk次高調波の余弦係数A[k,n]を前記第1のレジスタに入力し、
k次高調波の正弦中間値V[k,n]を前記第4のレジスタに入力し、前記第2の加減算器により、k次高調波の正弦中間値V[k,n]に、前記第2のレジスタから出力される前回のサンプリング時におけるk次高調波の正弦係数B[k,n-1]を加算した値から、前記第4のレジスタから出力されるM回前のk次高調波の正弦中間値V[k,n-M]を減算して、前記第2の加減算器の演算結果となるk次高調波の正弦係数B[k,n]を前記第2のレジスタに入力することで、
k次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]を出力する構成としたことを特徴とする請求項記載の高調波計測装置。
【請求項11】
直流電源と電力系統との間に電力変換部を有して配置されるパワーコンディショナユニットに設けられ、前記直流電源が前記電力系統から切り離されて単独運転をしているか否かを検出する単独運転検出方式であって、
請求項1~10の何れか一つに記載の高調波計測装置により構成され、前記電力変換部の出力側の高調波電圧を計測する高調波計測部と、
前記高調波計測部で計測された高調波電圧に変動が発生すると無効電力のステップ注入を開始し、前記単独運転をしているか否かを検出させるステップ注入処理部と、を備えたことを特徴とする高調波計測装置を用いた単独運転検出方式。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流信号の基本波成分および高調波成分を逐次測定可能な高調波計測装置と、それを用いた単独運転検出方式に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、商用電源等のように基本周波数が概一定な交流電圧や交流電流の波形をサンプリングして高調波成分を計測する際には、離散フ-リエ変換(Discrete Fourier Transform、以下、「DFT」という。)および、DFTの処理を高速化したアルゴリズムである高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform、以下、「FFT」という。)が用いられている。
【0003】
計測対象の波形1周期分のサンプリングデ-タ用いて、それぞれのサンプリングデ-タに対して演算を行い、波形の周波数スペクトルを求めることにより、直流成分、基本波成分および高調波成分を算出することができる。FFTを用いた高調波成分の算出には、本来、基本波1周期分のサンプリングデータが必要である。対して、基本波1周期分のサンプリングデータの蓄積を待たず、サンプリング周期ごとに逐次高調波を算出する方式として、例えば特許文献1のような技術が知られている。
【0004】
また、パワーコンディショナ(以下「PCS」という。)を用いた系統連系システムでも高調波分析が用いられる例がある。PCSは、太陽電池等の分散型の直流電源で発電した直流電力を交流電力に変換するインバータ部を有し、直流電源を電力系統に連系させて使用するために、周波数や電圧を電力系統に適合させる装置である。このような装置を電力系統と接続して使用するには、電力系統の停電時に、PCSが電力供給を継続することで、電力系統の保守作業の障害となることを避ける必要がある。この単独運転検出方法や単独運転検出装置に関しては、例えば非特許文献1、2のような規格がある。これらの規格に挙げられている「ステップ注入付周波数フィードバック方式」では、商用電源周波数を基本波の周波数として7次高調波までの高調波の周波数成分の振幅に基づく条件判定が必要とされる。これらの高調波電圧の振幅演算には、離散フーリエ解析を用いてよい旨が、これらの規格において記載されている。
【0005】
また、高調波計測に関連した単独運転検出方式の先行技術としては、例えば特許文献2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開1999-094887号公報
【文献】特開2019-193318号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】一般社団法人 日本電機工業会 日本電機工業会規格JEM1498 分散型電源用単相パワーコンディショナの標準形能動的単独運転検出方式(ステップ注入付周波数フィードバック方式)
【文献】一般社団法人 日本電機工業会 日本電機工業会規格JEM1505 低圧配電線に連系する太陽光発電用三相パワーコンディショナの標準形能動的単独運転検出方式(ステップ注入付周波数フィードバック方式)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のFFTによりリアルタイムで高調波を解析するためには、1周期分のデ-タをサンプリングが完了したあと、次の周期の最初のサンプリングまでの時間に1周期目のFFT演算を行うことが必要である。複数の次数の高調波を解析するには、各次数に対応した三角関数の演算が必要となり、四則演算のような演算に比べ、演算時間が長くかかる。さらに、FFTで演算回数の効率化の効果を得るには、データ点数を例えば1024点(=210点)のような2のべき乗の点数にするなど、データ点数の自由度が低く設計上の制約を受ける。
【0009】
本発明では、より安価で高速に高調波に関する振幅の情報を算出可能な高調波計測装置およびその演算方式を用いた単独運転検出方式を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の高調波計測装置は、信号入力部と、サンプリング部と、高調波演算部と、を有し、前記信号入力部は、計測対象となる入力信号から出力信号を生成し、前記サンプリング部は、前記信号入力部からの前記出力信号を受けて、サンプリング周期ごとにサンプリングデータを出力し、前記高調波演算部は、前記サンプリング部からの前記サンプリングデータを受けて、離散フーリエ解析により0次以上のk次高調波に関する振幅の情報を演算し、前記高調波演算部は、離散フーリエ解析により0次以上のk次高調波に関する振幅の情報を演算するにあたり、前記サンプリング部が前記出力信号の一周期にM点分の前記サンプリングデータを出力するときに、サンプリング周期ごとにnの値を0から1ずつM-1までカウントするM進カウンタと、前記M進カウンタでカウントしたnの値を用いて、高調波の次数kに依存しない三角関数の値を出力する三角関数出力部と、を備え、前記M進カウンタがnの値をカウントするたびに、前記三角関数出力部から出力される三角関数の値を用いて、k次高調波に関する振幅の情報の演算を可能にするk次高調波の余弦係数および正弦係数をそれぞれ逐次演算する構成としたことを特徴とする。
【0014】
上記構成において、前記高調波演算部は、2次以上のk次高調波に関する振幅の情報を演算するk次高調波演算部と、(k-1)次高調波に関する振幅の情報を演算する(k-1)次高調波演算部と、(k-2)次高調波に関する振幅の情報を演算する(k-2)次高調波演算部と、を備え、
前記k次高調波演算部は、前記M進カウンタがnの値をカウントするたびに、前記三角関数出力部から出力される三角関数の値に加えて、前記(k-1)次高調波演算部による演算処理の過程で算出された(k-1)次高調波の余弦中間値と、前記(k-2)次高調波演算部による演算処理の過程で算出された(k-2)次高調波の余弦中間値および正弦中間値を用いて、チェビシェフの多項式から導出されるk次高調波の余弦係数および正弦係数をそれぞれ逐次演算する構成とするのが好ましい。
【0015】
さらに、前記三角関数出力部から出力される三角関数の値が、次の余弦関数F[n]と正弦関数F[n]の値であり、
【0016】
【数1】
【0017】
前記(k-1)次高調波演算部で算出された(k-1)次高調波の余弦中間値をV[k-1,n]とし、前記(k-2)次高調波演算部で算出された(k-2)次高調波の余弦中間値および正弦中間値を、それぞれV[k-2,n]およびV[k-2,n]としたときに、前記k次高調波演算部は、次の式に基づいて、
【0018】
【数2】
【0019】
(ただし、nの値が0のときの初期値として、A[k,-1]=0、B[k,-1]=0とする。また、前記サンプリングデータをv[n]としたときに、V[0,n]=v[n]であり、V[0,n]=0であり、V[1,n]=v[n]・F[n]であり、V[1,n]=v[n]・F[n]である。)k次高調波の余弦中間値V[k,n]およびV[k,n]と、k次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]を、それぞれ逐次演算する構成とするのが好ましい。
【0020】
さらに、前記k次高調波演算部は、第1および第2の乗算器と、減算器と、第1~第3の加算器と、nの値に対する1段のシフトレジスタからなる第1および第2のレジスタと、を含み、
(k-1)次高調波の余弦中間値V[k-1,n]と、前記三角関数出力部からの余弦関数F[n]を2倍にした値を前記第1の乗算器で乗算し、前記第1の乗算器の演算結果となる値2F[n]・V[k-1,n]に、(k-2)次高調波の余弦中間値V[k-2,n]を前記減算器で減算し、前記減算器の演算結果となるk次高調波の余弦中間値V[k,n]と、前記第1のレジスタから出力される前回のサンプリング時におけるk次高調波の余弦係数A[k,n-1]とを前記第1の加算器で加算して、前記第1の加算器の演算結果となるk次高調波の余弦係数A[k,n]を前記第1のレジスタに入力し、(k-1)次高調波の余弦中間値V[k-1,n]と、前記三角関数出力部からの正弦関数F[n]を2倍にした値を前記第2の乗算器で乗算し、前記第2の乗算器の演算結果となる値2F[n]・V[k-1,n]に、(k-2)次高調波の正弦中間値V[k-2,n]を前記第2の加算器で加算し、前記第2の加算器の演算結果となるk次高調波の正弦中間値V[k,n]と、前記第2のレジスタから出力される前回のサンプリング時におけるk次高調波の正弦係数B[k,n-1]とを前記第3の加算器で加算して、前記第3の加算器の演算結果となるk次高調波の正弦係数B[k,n]を前記第2のレジスタに入力することで、k次高調波の余弦中間値V[k,n]および正弦中間値V[k,n]と、k次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]を、それぞれ出力する構成とするのが好ましい。
【0021】
代わりに上記構成において、前記高調波演算部は、1次以上のk次高調波に関する振幅の情報を演算するk次高調波演算部と、(k-1)次高調波に関する振幅の情報を演算する(k-1)次高調波演算部と、を備え、
前記k次高調波演算部は、前記M進カウンタがnの値をカウントするたびに、前記三角関数出力部から出力される三角関数の値に加えて、前記(k-1)次高調波演算部による演算処理の過程で算出された(k-1)次高調波の余弦中間値および正弦中間値を用いて、三角関数の加法定理から導出されるk次高調波の余弦係数および正弦係数をそれぞれ逐次演算する構成としてもよい。
【0022】
この場合はさらに、前記三角関数出力部から出力される三角関数の値が、次の余弦関数F[n]と正弦関数F[n]の値であり、
【0023】
【数3】
【0024】
前記(k-1)次高調波演算部で算出された(k-1)次高調波の余弦中間値および正弦中間値を、それぞれV[k-1,n]およびV[k-1,n]としたときに、前記k次高調波演算部は、次の式に基づいて、
【0025】
【数4】
【0026】
(ただし、nの値が0のときの初期値として、A[k,-1]=0、B[k,-1]=0とする。また、前記サンプリングデータをv[n]としたときに、V[1,n]=v[n]・F[n]であり、V[1,n]=v[n]・F[n]である。)k次高調波の余弦中間値V[k,n]および正弦中間値V[k,n]と、k次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]を、それぞれ逐次演算する構成とするのが好ましい。
【0027】
さらに、前記k次高調波演算部は、第1~第4の乗算器と、減算器と、第1~第3の加算器と、nの値に対する1段のシフトレジスタからなる第1および第2のレジスタと、を含み、
(k-1)次高調波の余弦中間値V[k-1,n]と、前記三角関数出力部からの余弦関数F[n]の値を前記第1の乗算器で乗算し、(k-1)次高調波の正弦中間値V[k-1,n]と、前記三角関数出力部からの正弦関数F[n]の値を前記第2の乗算器で乗算し、前記第1の乗算器の演算結果となる値V[k-1,n]・F[n]に、前記第2の乗算器の演算結果となる値V[k-1,n]・F[n]を前記減算器65で減算し、前記減算器の演算結果となるk次高調波の余弦中間値V[k,n]と、前記第1のレジスタから出力される前回のサンプリング時におけるk次高調波の余弦係数A[k,n-1]とを前記第1の加算器で加算して、前記第1の加算器の演算結果となるk次高調波の余弦係数A[k,n]を前記第1のレジスタに入力し、(k-1)次高調波の正弦中間値V[k-1,n]と、前記三角関数出力部からの余弦関数F[n]の値を前記第3の乗算器で乗算し、(k-1)次高調波の余弦中間値V[k-1,n]と、前記三角関数出力部からの正弦関数F[n]の値を前記第4の乗算器で乗算し、前記第3の乗算器の演算結果となる値V[k-1,n]・F[n]に、前記第4の乗算器の演算結果となる値V[k-1,n]・F[n]を前記第2の加算器で加算し、前記第2の加算器の演算結果となるk次高調波の正弦中間値V[k,n]と、前記第2のレジスタから出力される前回のサンプリング時におけるk次高調波の正弦係数B[k,n-1]とを前記第3の加算器で加算して、前記第3の加算器の演算結果となるk次高調波の正弦係数B[k,n]を前記第2のレジスタに入力することで、k次高調波の余弦中間値V[k,n]および正弦中間値V[k,n]と、k次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]を、それぞれ出力する構成とするのが好ましい。
【0028】
上記構成において、前記高調波演算部は、演算開始後からM点後にk次高調波に関する振幅の情報をサンプリング周期ごとに演算可能にするリアルタイム高調波解析部をさらに備えるのが好ましい。
【0029】
上記構成において、前記高調波演算部は、k次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]が、次の式に基づいて逐次演算されるように、
【0030】
【数5】
【0031】
演算開始後からM点後にk次高調波に関する振幅の情報をサンプリング周期ごとに演算可能にするリアルタイム高調波解析部を、前記k次高調波演算部にさらに備えるのが好ましい。
【0032】
この場合、前記リアルタイム高調波解析部は、第1および第2の加減算器と、nの値に対する1段のシフトレジスタからなる第1および第2のレジスタと、nの値に対するM段のシフトレジスタからなる第3および第4のレジスタと、を含み、
k次高調波の余弦中間値V[k,n]を前記第3のレジスタに入力し、前記第1の加減算器により、k次高調波の余弦中間値V[k,n]に、前記第1のレジスタから出力される前回のサンプリング時におけるk次高調波の余弦係数A[k,n-1]を加算した値から、前記第3のレジスタから出力されるM回前のk次高調波の余弦中間値V[k,n-M]を減算して、前記第1の加減算器の演算結果となるk次高調波の余弦係数A[k,n]を前記第1のレジスタに入力し、k次高調波の正弦中間値V[k,n]を前記第4のレジスタに入力し、前記第2の加減算器により、k次高調波の正弦中間値V[k,n]に、前記第2のレジスタから出力される前回のサンプリング時におけるk次高調波の正弦係数B[k,n-1]を加算した値から、前記第4のレジスタから出力されるM回前のk次高調波の正弦中間値V[k,n-M]を減算して、前記第2の加減算器の演算結果となるk次高調波の正弦係数B[k,n]を前記第2のレジスタに入力することで、k次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]を出力する構成とするのが好ましい。
【0033】
上記構成において、直流電源と電力系統との間に電力変換部を有して配置されるパワーコンディショナユニットに設けられ、前記直流電源が前記電力系統から切り離されて単独運転をしているか否かを検出する単独運転検出方式であって、
上述した何れかの特徴を有する高調波計測装置により構成され、前記電力変換部の出力側の高調波電圧を計測する高調波計測部と、前記高調波計測部で計測された高調波電圧に変動が発生すると無効電力のステップ注入を開始し、前記単独運転をしているか否かを検出させるステップ注入処理部と、を備えた単独運転検出方式とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0034】
本発明にかかる高調波計測装置とそれを用いた単独運転検出方式によれば、信号入力部と、サンプリング部と、高調波演算部と、を有する簡素な構成で、サンプリング部により高調波演算部の演算に必要なサンプリングデータを得ることができ、高調波演算部により直流成分や基本波成分を含んだk次高調波に関する振幅の情報を算出できる。また、M進カウンタがnの値をカウントするたびに、三角関数出力部からの高調波の次数kに依存しない三角関数の値を用いて、k次高調波の余弦係数および正弦係数をそれぞれ逐次演算することで、どの次数kであっても位相がk倍の三角関数を用いることなく、より安価で高速にk次高調波に関する振幅の情報を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】第1の実施の形態にかかる高調波計測装置の全体構成の一例を示す図である。
図2(A)】高調波演算部の中で、直流成分および基本波の演算処理の一例を示す図である。
図2(B)】高調波演算部の中で、2次以上の高調波の演算処理の一例を示す図である。
図3】第2の実施の形態にかかる高調波演算部の中で、2次以上の高調波の演算処理の一例を示す図である。
図4】第3の実施の形態にかかる高調波演算部の一例を示す図である。
図5】JEM1498およびJEM1505に記載のパワーコンディショナシステムを簡略化した構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態等について説明する。ただし、本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。そのような変形や変更も、当然本発明の範囲に含まれる。
【0037】
[第1の実施の形態]
図1図2(A)および図2(B)は、第1の実施の形態に係る高調波計測装置の例を示す図である。
図1は、第1の実施の形態にかかる高調波計測装置の全体構成の一例を示す図である。
図2(A)は、高調波演算部の中で、直流成分および基本波の演算処理の一例を示す図である。
図2(B)は、高調波演算部の中で、2次以上の高調波の演算処理の一例を示す図である。
【0038】
図1は、第1の実施の形態にかかる高調波計測装置の全体構成の一例を示す。高調波計測装置10は、信号入力部11と、信号入力部11より入力された信号をサンプリングし数値化するサンプリング部12と、数値化されたデータを基に高調波演算を行う高調波演算部13と、を備える。
【0039】
信号入力部11は、入力信号vが入力され、この後段に続くサンプリング部12への入力とするのに適した振幅への変換や、ナイキスト周波数以上の信号成分に対するフィルタリングなどの処理を行い、出力信号vとして出力する部位である。入力信号vや出力信号vは、例えば電圧信号であるが、電流などの他の物理量であっても構わず、入力信号が電流、出力信号が電圧、というように入出力間が別の物理量であっても構わない。
【0040】
サンプリング部12は、信号入力部11からの出力vを入力とし、これを例えば20μsなどの所定のサンプリング周期Tでサンプリングし、サンプリング周期Tごとにサンプリングデータv[n]として出力する部位である。このような機能は、例えば市販のA/Dコンバータや、A/Dコンバータの機能を内蔵したマイクロプロセッサなどで構成できる。
【0041】
高調波演算部13は、Mを2以上の整数として、サンプリング周期Tごとに得られるM点分のサンプリングデータv[n]から、基本周期T=M・Tである周波数を基本波成分として、その直流成分、基本波成分や高調波成分に関する振幅の情報を演算する部位である。なお、以下では、直流成分を0次高調波として、また、基本波を1次高調波として広くとらえることとし、「高調波」の用語についても2次以上の高調波に限らず、広く直流分や基本波も含まれる用語として使用する。
【0042】
以下、サンプリング周期Tの逆数をサンプリング周波数f(=1/T)とし、基本周期Tの逆数を基本周波数f(=1/T)とする。例えば、先ほど挙げたサンプリング周期Tが20μsの場合、サンプリング周波数fは50kHzである。また、このサンプリング周期Tに対してMが1000の場合、基本周期Tは20msであり、基本周波数fは50Hzである。このような設定は、例えば、東日本側での商用電源の基本波や高調波の解析をする際に都合がよい。ただし、これらの周期や周波数に限定するものではない。
【0043】
ここで、離散フーリエ解析における、n=0,1,・・・,M-1のM点のv[n]に対する、1以上(M-1)/2以下の整数hとしたときのh次高調波に関する振幅の情報として、h次高調波の余弦成分A[h]および正弦成分B[h]、ならびにh次高調波の振幅Harm[h]は、以下の式で表わせる。
【0044】
【数6】
【0045】
また、直流成分をA[0]とすると、A[0]は以下で表わせる。なお、この式は、M点分のv[n]の平均値であり、便宜上余弦成分の0次高調波に準じた扱いとしておく。
【0046】
【数7】
【0047】
また、同様に正弦成分の0次高調波にあたるB[0]は0としておく。
これらの演算により得られる結果について、一定の条件のもとで効率的に演算ができることが、この第1の実施の形態にかかる高調波計測装置10の特徴であり、そのことを以下で説明する。
【0048】
図2(A)は、高調波演算部13の中で、直流成分および基本波の演算処理の流れの一例を示す。以下の式において、nを0からM-1までの整数とし、n・Tの時点におけるサンプリングデータをv[n]で表わす。またこれ以降、高調波の次数hは、k(≧0)として表わす。そして、時間Tごとに得られるサンプリングデータv[n]から、以下のように処理を行う。
【0049】
図2(A)は、この直流成分および基本波に関する一連の処理を、ブロック図の形で示したものである。こうした一連の演算処理を実現するために、高調波演算部13は、M進カウンタ21と、三角関数出力部22と、低次成分演算部23と、をそれぞれ含む。
【0050】
M進カウンタ21は、サンプリング周期Tごとにnの値が1ずつM-1まで増加し、0に戻る動作をする部位である。1ずつ増加する変数をMで割った余りを出力する、とした構成で捉えてもよい。
このnの値により、余弦関数F[n]と正弦関数F[n]の各値を出力するのが三角関数出力の部位、すなわち三角関数出力部22である。
それぞれ、以下で表わされる関数である。
【0051】
【数8】
【0052】
そして、入力信号vがサンプリング周期Tの間隔でサンプリングされる毎に、サンプリングデータv[n]が低次成分演算部23に入力される。
【0053】
低次成分演算部23は、M進カウンタ21でカウントされるnの値を受ける毎に、サンプリング部12からのサンプリングデータv[n]と、三角関数出力部22から出力される余弦関数F[n]および正弦関数F[n]の各値とによる演算処理を行い、離散フーリエ解析における、直流の余弦成分A[0]のM倍となる余弦係数A[0,M-1]と、基本波の余弦成分A[1]のM/2倍となる余弦係数A[1,M-1]と、基本波の正弦成分B[1]のM/2倍となる正弦係数B[1,M-1]をそれぞれ算出するものである。また低次成分演算部23は、前記演算処理の過程で、直流の余弦係数A[0,M-1]を算出するための余弦中間値V[0,n]と、基本波の余弦係数A[1,M-1]を算出するための余弦中間値V[1,n]と、基本波の正弦係数B[1,M-1]を算出するための正弦中間値V[1,n]をそれぞれ出力し、また直流の正弦成分B[0]と等しい正弦中間値V[0,n](=0)を出力することができる。
【0054】
まず、このサンプリングデータv[n]を、この後で必要な演算を行うための中間値として、k=0に対する余弦中間値V[k,n]、すなわちV[0,n]に保持する。
そして、k=0に対する余弦係数A[k,n]、すなわちA[0,n]が、前回のサンプリング時の余弦係数であるA[0,n-1]を用いて、以下の様な演算を行い保持される。
【0055】
【数9】
【0056】
このように低次成分演算部23は、サンプリングデータv[n]から、直流の余弦係数A[0,n]を算出する直流成分演算部31を備える。直流成分演算部31は、加算器32とレジスタ33とを含み、サンプリング部12からのサンプリングデータv[n]となる直流の余弦中間値V[0,n]と、レジスタ33から出力される前回のサンプリング時における直流の余弦係数A[0,n-1]とを加算器32で加算し、加算器32の演算結果となる直流の余弦係数A[0,n]をレジスタ33に入力することで、直流の余弦中間値V[0,n]と直流の余弦係数A[0,n]を、後述する高次成分演算部24にそれぞれ出力するものである。
【0057】
なお、図中でレジスタ33のSR(1)とある部位は、nに対する1段のシフトレジスタを表わす。同様に、M段のシフトレジスタであればSR(M)のように表わす。後述する他のレジスタ46,47,57,58,73,74についても、シフトレジスタとして同様に表記する。
【0058】
ここで、この演算処理から明らかなように、A[0,n]は、サンプリングデータv[n]を積算した値である。そして、nは、0からM-1までを出力するM進カウンタ21の出力値であるから、nの値が0のときの初期値として、A[0,-1]=0と定義しておくことにより、n=M-1におけるA[0,n]の値、すなわちA[0,M-1]は、nが0からM-1までのM点分のサンプリングデータv[n]の合計となることがわかる。
すなわち、以下の様になる。
【0059】
【数10】
【0060】
この値は、直流成分A[0]のM倍の値であり、Mは設定で決まる既知の値であるから、このことにより直流成分演算部31で直流成分A[0]が得られたといえる。後段での演算の便宜と、余分な演算による処理時間が延びることを避けるため、このまま扱う体で説明を進めるが、必要であれば、その際にA[0,M-1]をMで割ればよい。
【0061】
次に、のちの演算の便宜のため、ここでk=0に対する正弦中間値V[k,n]、すなわちV[0,n]として、以下の様に常時0として定義しておく。直流成分演算部31は、直流の正弦中間値V[0,n]をnの値に関係なく常時0に設定して、後段の高次成分演算部24に出力する中間値出力部34をさらに備える。
【0062】
【数11】
【0063】
次に、k=1に対応する演算、すなわち基本波成分を演算する部分について述べる。
k=1に対する余弦中間値V[1,n]および正弦中間値V[1,n]として、以下の演算を行う。
【0064】
【数12】
【0065】
そして、この余弦中間値V[1,n]および正弦中間値V[1,n]をそれぞれ以下の様に積算していく。
【0066】
【数13】
【0067】
このように低次成分演算部23は、サンプリングデータv[n]と、余弦関数F[n]および正弦関数F[n]の各値から、基本波の余弦係数A[1,n]と基本波の正弦係数B[1,n]をそれぞれ算出する基本波成分演算部41を備える。基本波成分演算部41は、乗算器42,43と、加算器44,45と、レジスタ46,47とを含み、サンプリング部12からのサンプリングデータv[n]と、三角関数出力部22からの余弦関数F[n]とを乗算器42で乗算し、乗算器42の演算結果となる基本波の余弦中間値V[1,n]と、レジスタ46から出力される前回のサンプリング時における基本波の余弦係数A[1,n-1]とを加算器44で加算して、加算器44の演算結果となる基本波の余弦係数A[1,n]をレジスタ46に入力する一方で、サンプリング部12からのサンプリングデータv[n]と、三角関数出力部22からの正弦関数F[n]とを乗算器43で乗算し、乗算器43の演算結果となる基本波の正弦中間値V[1,n]と、レジスタ47から出力される前回のサンプリング時における基本波の正弦係数B[1,n-1]とを加算器45で加算して、加算器45の演算結果となる基本波の余弦係数B[1,n]をレジスタ47に入力することで、基本波の余弦中間値V[1,n]と、基本波の正弦中間値V[1,n]と、基本波の余弦係数A[1,n]と、基本波の正弦係数B[1,n]を、後述する高次成分演算部24にそれぞれ出力するものである。
【0068】
ここで、これらの演算処理から明らかなように、A[1,n]は、k=1に対する余弦中間値V[1,n]を積算した値であり、B[1,n]は、k=1に対する正弦中間値V[1,n]を積算した値である。そして、nは、0からM-1までを出力するM進カウンタ21の出力値であるから、nの値が0のときの初期値として、A[1,-1]=0、B[1,-1]=0と定義しておくことにより、k=1およびn=M-1における余弦係数A[1,M-1]、正弦係数B[1,M-1]は、それぞれ以下の様になっていることがわかる。
【0069】
【数14】
【0070】
これらは、基本波の離散フーリエ変換に、M/2を乗算した値となる。これらの値は、直流成分のときと同様、基本波成分のM/2倍の値であり、Mは設定で決まる既知の値であるから、このことにより基本波成分演算部41で基本波の余弦成分A[1]と基本波の正弦成分B[1]がそれぞれ得られたといえる。後段での演算の便宜と、余分な演算による処理時間が延びることを避けるため、このまま扱う体で説明を進めるが、必要であれば、その際にそれぞれM/2で割ればよい。
【0071】
なお、以下で2次以上の高調波成分の演算結果を得る際も同様である。
図2(B)は、高調波演算部13における演算処理の流れの一例で、図2(A)の直流成分および基本波の処理により得られた演算結果があることを前提に、2以上であるkに対し、(k-2)次と(k-1)次の高調波演算を利用して、k次の高調波成分を逐次演算する流れを示している。こうした一連の演算処理を実現するために、高調波演算部13は、前述したM進カウンタ21と、三角関数出力部22と、低次成分演算部23の他に、図2(B)に示す高次成分演算部24をさらに含む。
【0072】
高次成分演算部24は、次数kが2以上であるとして、M進カウンタ21でカウントされるnの値を受ける毎に、低次成分演算部23や高次成分演算部24から出力される(k-2)次高調波の余弦中間値V[k-2,n]、(k-2)次高調波の正弦中間値V[k-2,n]、および(k-1)次高調波の余弦中間値V[k-1,n]と、三角関数出力部22から出力される余弦関数F[n]および正弦関数F[n]の各値とによる演算処理を行い、離散フーリエ解析における、k次高調波の余弦成分A[k]のM/2倍となる余弦係数A[k,M-1]と、k次高調波の正弦成分B[k]のM/2倍となる正弦係数B[k,M-1]をそれぞれ算出するものである。
【0073】
ここでは、(k-2)次に対する余弦中間値V[k-2,n]および正弦中間値V[k-2,n]、ならびに(k-1)次に対する余弦中間値V[k-1,n]、ならびにすでに求まっている余弦関数F[n]と正弦関数F[n]を用いて、以下の演算を行う。
【0074】
【数15】
【0075】
ただし、nの値が0のときの初期値として、A[k,-1]=0、B[k,-1]=0と定義する。
【0076】
このような演算処理を実現するために、高次成分演算部24は、乗算器51,52と、減算器53と、加算器54,55,56と、レジスタ57,58とを含む。そして高次成分演算部24は、低次成分演算部23または高次成分演算部24から出力される(k-1)次高調波の余弦中間値V[k-1,n]と、三角関数出力部22からの余弦関数F[n]を2倍にした値(=2F[n])を乗算器51で乗算し、乗算器51の演算結果となる値2F[n]・V[k-1,n]に、低次成分演算部23または高次成分演算部24から出力される(k-2)次高調波の余弦中間値V[k-2,n]を減算器53で減算し、減算器53の演算結果となるk次高調波の余弦中間値V[k,n]と、レジスタ57から出力される前回のサンプリング時におけるk次高調波の余弦係数A[k,n-1]とを加算器55で加算して、加算器55の演算結果となるk次高調波の余弦係数A[k,n]をレジスタ57に入力する一方で、低次成分演算部23または高次成分演算部24から出力される(k-1)次高調波の余弦中間値V[k-1,n]と、三角関数出力部22からの正弦関数F[n]を2倍にした値(=2F[n])を乗算器52で乗算し、乗算器52の演算結果となる値2F[n]・V[k-1,n]に、低次成分演算部23または高次成分演算部24から出力される(k-2)次高調波の正弦中間値V[k-2,n]を加算器54で加算し、加算器54の演算結果となるk次高調波の正弦中間値V[k,n]と、レジスタ58から出力される前回のサンプリング時におけるk次高調波の正弦係数B[k,n-1]とを加算器56で加算して、加算器56の演算結果となるk次高調波の正弦係数B[k,n]をレジスタ58に入力することで、k次高調波成分の演算結果となる余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]をそれぞれ出力し、さらに(k+1)次高調波成分や(k+2)次高調波成分を演算する別な高次成分演算部24に対して、k次高調波の余弦中間値V[k,n]および正弦中間値V[k,n]を出力するように構成される。
【0077】
ここで、余弦中間値V[k,n]および正弦中間値V[k,n]の演算について説明を加える。
三角関数に関して、以下の式が恒等式として成り立つことは、例えば右辺の第1項を展開して具体的に指数関数同士の計算することで容易に確かめられる。
【0078】
【数16】
ここで、eは自然対数の底であり、jは虚数単位である。
【0079】
【数17】
左辺および右辺それぞれの実部同士および虚部同士それぞれが等しいことから、
【0080】
【数18】
となる。この式は、k倍角の余弦関数と正弦関数を表わすチェビシェフの多項式として知られている。
【0081】
これらの結果を用いると、余弦中間値V[k,n]および正弦中間値V[k,n]はそれぞれ、以下の様に変形できる。
【0082】
【数19】
【0083】
これらのことから、A[k,n]および正弦中間値V[k,n]が、それぞれ以下と同値であることがわかる。
【0084】
【数20】
【0085】
このような高次成分演算部24による演算処理により、位相がk倍の三角関数を用いることなく、(k-1)次までの高調波演算で得られた結果だけを用いて、A[k,M-1]としてk次高調波の余弦成分に、B[k,M-1]としてk次高調波の正弦成分にそれぞれM/2を乗じた値が求まることがわかる。
【0086】
さらに、A[k,M-1]およびB[k,M-1]がk次高調波の余弦成分および正弦成分のそれぞれM/2倍の振幅であるから、二乗平均によりk次高調波の振幅のM/2倍を求めることができる。
さらに、必要があればk次高調波の位相成分も求めることができる。
【0087】
このようにして、高調波計測装置10の信号入力部11に入力される入力信号vについて、k次高調波の余弦の振幅および正弦の振幅の情報を、基本周期T(サンプリングM点)毎に得ることができる構成が得られることがわかる。
【0088】
[第2の実施の形態]
図3は、第2の実施の形態に係る高調波計測装置10の構成例を示す図である。
第1の実施の形態では、k=1から連続する次数の高調波の振幅を、2つのそれより低い次数での結果、例えばk=2の場合については、k=1とk=0により得られている結果を基にした逐次演算として求める構成とした例であるが、第2の実施の形態は、一つ低い次数だけの結果を基にした逐次演算として求める構成例である。したがって、図1に示す高調波計測装置10の中で、高調波演算部13の構成だけが第1の実施の形態と異なる。なお、k=0に対しては第1の実施の形態と同様の構成であり、図2Aで示した直流成分の演算処理にかかる構成を、第2の実施の形態でもそのまま適用できる。また、図2Aに示す低次成分演算部23の中で、基本波の演算処理にかかる基本波成分演算部41は第2の実施の形態で省略できる。
【0089】
図3に示す高調波演算部13の高次成分演算部24では、k≧1に対して、以下の演算を行う。第1の実施の形態では、k次高調波に関する演算に、V[k-2,n]およびV[k-2,n]を演算に使用しているが、V[k-1,n]は演算には使用していなかった。それに対し、この第2の実施の形態では、k次高調波に関する演算に、その2次下の高調波成分である(k-2)次高調波に関する情報であるV[k-2,n]およびV[k-2,n]は使用せず、代わりにV[k-1,n]を演算に使用して同様の結果を得るようにしている。
【0090】
つまり、ここでの高次成分演算部24は、次数kが1以上であるとして、M進カウンタ21でカウントされるnの値を受ける毎に、低次成分演算部23や高次成分演算部24から出力される(k-1)次高調波の余弦中間値V[k-1,n]および(k-1)次高調波の正弦中間値V[k-1,n]と、三角関数出力部22から出力される余弦関数F[n]および正弦関数F[n]の各値とによる演算処理を行い、離散フーリエ解析における、k次高調波の余弦成分A[k]のM/2倍となる余弦係数A[k,M-1]と、k次高調波の正弦成分B[k]のM/2倍となる正弦係数B[k,M-1]をそれぞれ算出する構成となっている。
【0091】
【数21】
【0092】
このような演算処理を実現するために、高次成分演算部24は、乗算器61,62,63,64と、減算器65と、加算器55,56,66と、レジスタ57,58とを含む。そして高次成分演算部24は、低次成分演算部23または高次成分演算部24から出力される(k-1)次高調波の余弦中間値V[k-1,n]と、三角関数出力部22からの余弦関数F[n]の値を乗算器61で乗算し、低次成分演算部23または高次成分演算部24から出力される(k-1)次高調波の正弦中間値V[k-1,n]と、三角関数出力部22からの正弦関数F[n]の値を乗算器64で乗算し、乗算器61の演算結果となる値V[k-1,n]・F[n]に、乗算器64の演算結果となる値V[k-1,n]・F[n]を減算器65で減算し、減算器65の演算結果となるk次高調波の余弦中間値V[k,n]と、レジスタ57から出力される前回のサンプリング時におけるk次高調波の余弦係数A[k,n-1]とを加算器55で加算して、加算器55の演算結果となるk次高調波の余弦係数A[k,n]をレジスタ57に入力する一方で、低次成分演算部23または高次成分演算部24から出力される(k-1)次高調波の正弦中間値V[k-1,n]と、三角関数出力部22からの余弦関数F[n]の値を乗算器63で乗算し、低次成分演算部23または高次成分演算部24から出力される(k-1)次高調波の余弦中間値V[k-1,n]と、三角関数出力部22からの正弦関数F[n]の値を乗算器62で乗算し、乗算器63の演算結果となる値V[k-1,n]・F[n]に、乗算器62の演算結果となる値V[k-1,n]・F[n]を加算器66で加算し、加算器66の演算結果となるk次高調波の正弦中間値V[k,n]と、レジスタ58から出力される前回のサンプリング時におけるk次高調波の正弦係数B[k,n-1]とを加算器56で加算して、加算器56の演算結果となるk次高調波の正弦係数B[k,n]をレジスタ58に入力することで、k次高調波成分の演算結果となる余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]をそれぞれ出力し、さらに(k+1)次高調波成分を演算する別な高次成分演算部24に対して、k次高調波の余弦中間値V[k,n]および正弦中間値V[k,n]を出力するように構成される。
【0093】
なお、上式における逐次演算は、三角関数に関する以下の式の関係において、左辺と右辺の実部および虚部それぞれが等しいことに基づいている。この等式が成り立つことは、右辺の指数部を指数法則に基づいて加算することにより容易に示すことができる。また、別の見方をすれば、2つの偏角を(k-1)θとθとして、三角関数の加法定理に基づいた演算による結果であるともいえる。なお、ここでも、nの値が0のときの初期値として、A[k,-1]=0、B[k,-1]=0と定義する。
【0094】
【数22】
【0095】
【数23】
これらの結果を用いると、余弦中間値V[k,n]および正弦中間値V[k,n]はそれぞれ、以下の様に変形できる。
【0096】
【数24】
これらのことから、A[k,n]および正弦中間値V[k,n]が、第1の実施の形態と同様、それぞれ以下と同値であることがわかる。
【0097】
【数25】
【0098】
このような高次成分演算部24による演算処理により、位相がk倍の三角関数を用いることなく、(k-1)次までの高調波演算で得られた結果だけを用いて、A[k,M-1]としてk次高調波の余弦成分に、B[k,M-1]としてk次高調波の正弦成分にそれぞれM/2を乗じた値が求まることがわかる。
【0099】
さらに、A[k,M-1]およびB[k,M-1]がk次高調波の余弦成分および正弦成分のそれぞれM/2倍の振幅であるから、二乗平均によりk次高調波の振幅のM/2倍を求めることができる。
さらに、必要があればk次高調波の位相成分も求めることができる。
【0100】
このようにして、高調波計測装置10の信号入力部11に入力される入力信号vについて、k次高調波の余弦の振幅および正弦の振幅の情報を、基本周期T(サンプリングM点)毎に得ることができる構成が得られることがわかる。
【0101】
[第3の実施の形態]
図4は、第3の実施の形態にかかる高調波演算部13の一例を示す図である。図中、高調波演算部13を構成する高次成分演算部24には、図2(B)や図3で示した加算器55,56に代わって加減算器71,72が設けられ、またレジスタ57,58とは別なレジスタ73,74が設けられる。ここでの高次成分演算部24は、高次成分演算部24で算出されるk次高調波の余弦中間値V[k,n]をM段のシフトレジスタSR(M)からなるレジスタ73に入力し、加減算器71により、k次高調波の余弦中間値V[k,n]に、レジスタ57から出力される前回のサンプリング時におけるk次高調波の余弦係数A[k,n-1]を加算した値から、レジスタ73から出力されるM回前のk次高調波の余弦中間値V[k,n-M]を減算して、加減算器71の演算結果となるk次高調波の余弦係数A[k,n]をレジスタ57に入力する一方で、高次成分演算部24で算出されるk次高調波の正弦中間値V[k,n]をM段のシフトレジスタSR(M)からなるレジスタ74に入力し、加減算器72により、k次高調波の正弦中間値V[k,n]に、レジスタ58から出力される前回のサンプリング時におけるk次高調波の正弦係数B[k,n-1]を加算した値から、レジスタ74から出力されるM回前のk次高調波の正弦中間値V[k,n-M]を減算して、加減算器72の演算結果となるk次高調波の正弦係数B[k,n]をレジスタ58に入力することで、k次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]を出力して、演算開始後からM回後にk次高調波に関する振幅の情報をサンプリング周期Tごとに演算可能にするリアルタイム高調波解析部70を備えている。
【0102】
第1および第2の実施の形態では、周期Tごとに、つまり(n=0、1、2、・・・、M-1)のM点分のサンプリングごとに、k次高調波の振幅が求まる。第3の実施の形態では、この出力段の手前にある加算器55,56の部分に、M段のシフトレジスタSR(M)によるレジスタ73,74を用意し、M点前のVおよびVの値が減算されるように、加算器55,56を加減算器71,72に置き換えてリアルタイム高調波解析部70を構成する。なお、M段のシフトレジスタSR(M)の初期値は、M段とも0としておくとよい。
このとき、A[k,n]およびB[k,n]は以下のように表わされる。
【0103】
【数26】
【0104】
このようにすることで、高調波演算部13における演算開始からM点のデータ取得後からは、A[k,n]およびB[k,n]の演算結果は、その直前のM点分の取得データに基づいた演算結果となる。そのため、演算開始からM点のデータ取得後からは、k次高調波に関する振幅の情報(A[k]、B[k]、Harm[k])が、サンプリング周期Tごとに得られるように動作する。
【0105】
[第4の実施の形態]
図5は、日本電機工業会の規格であるJEM1498やJEM1505に記載のパワーコンディショナを例に、それらの構成を簡略化した図である。これらの規格で定められているステップ注入付周波数フィードバック方式においては、商用電源の電圧を監視し、商用周波数に対する基本波および2次から7次までの高調波成分をから、ステップ注入の開始要否を判断している。7次までという比較的小さな有限次数までの高調波成分を算出すればよく、その一方で、安全にかかわる検出手段であるため、応答の高速性が求められる。そのため、これまでの構成例のような高調波計測装置10に基づいた高調波分析を用いる好例と言える。
【0106】
図5のPCS100の動作について、各部の概要を簡単に説明する。
PCS100は、太陽電池等の直流電源200と電力系統(例えば、商用電力系統)300との間に配置される。このPCS100は、ステップ注入付周波数フィードバック方式の単独運転検出装置を備え、ハードウェア部110とソフトウェア部120とで構成された例である。ハードウェア部110は、直流電源200から供給される直流電力を交流電力に変換するインバータ部111と、系統周波数検出部112と、基本波計測や高調波計測を行う電圧計測部113とで構成された例を示している。ここで、インバータ部111は、直流電源200からの供給電力を交流電力に変換する装置である。
【0107】
ソフトウェア部120は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、マイクロプロセッサ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、PLD(Programmable Logic Device)などで構成される、数値データやロジック信号を基に数値演算や論理判断を実行する部位である。ソフトウェア部120は、インバータ部111を適切に動作させるための制御を行う電流制御処理部121を有し、この電流制御処理部121は、位相差計測同期処理部122および加算部123からの情報に基づき制御される。
【0108】
位相差計測同期処理部122は、商用電源を含む電力系統300の周波数を検出する部位である系統周波数検出部112から得られた信号を処理する系統周波数計測処理部124で生成された信号に基づき動作する。
【0109】
加算部123は、無効電力注入処理部125およびステップ注入処理部126からの信号を加算する部位である。これらの加算により得られた情報が、電流制御処理部121においてインバータ部111の制御に必要な情報として使用される。
【0110】
ステップ注入処理部126は、系統周波数計測処理部124および電圧算出部127からの情報に基づき、インバータ部111の制御に必要な情報であるステップ注入量の算出を行う部位である。
【0111】
単独運転判定部128は、系統周波数の変化によって単独運転の発生の有無判定を行う。
【0112】
このようなPCS100において、商用電源VACの基本波成分および2次から7次までの高調波成分を用いた動作の判定条件が前述のJEM規格で定められており、前述の高調波計測装置10を電圧計測部113と電圧算出部127からなるPCS100の高調波計測部130に適用することが可能である。
【0113】
PCS100には、電力系統300が何らかの原因で停止しているときに、PCS100を含む直流電源200の設備が単独運転の状態で系統負荷に電力を供給し続けないように、直流電源200が電力系統300から切り離されて単独運転をしているか否かを検出する単独運転検出システムが設けられる。当該システムは、インバータ部111の出力側の高調波電圧を高調波計測部130で計測し、その高調波電圧に変動が発生するとステップ注入処理部126により無効電力のステップ注入を開始し、単独運転を検出させる構成となっている。
【0114】
[まとめ]
以上のように、第1~第4の実施の形態にかかる高調波計測装置10は、図1に示すように、信号入力部11と、サンプリング部12と、高調波演算部13と、を有する簡素な構成とすることができる。
【0115】
ここでの信号入力部11は、計測対象となる入力信号vから出力信号vを生成し、サンプリング部12は、信号入力部11からの出力信号vを受けて、サンプリング周期Tごとにサンプリングデータv[n]を出力する構成とすることで、サンプリング部12により高調波演算部13の演算に必要なサンプリングデータv[n]を得ることができる。
【0116】
さらに高調波演算部13は、サンプリング部12からのサンプリングデータv[n]を受けて、離散フーリエ解析により0次以上のk次高調波に関する振幅の情報として、k次高調波の余弦成分A[k]や、k次高調波の正弦成分B[k]や、k次高調波の振幅Harm[k]を演算する構成となっており、高調波演算部13により直流成分や基本波成分を含んだk次高調波に関する振幅の情報を算出できる。
【0117】
上述した構成の高調波計測装置10において、高調波演算部13は、離散フーリエ解析により0次以上のk次高調波に関する振幅の情報を演算するにあたり、サンプリング部12が出力信号vの一周期にM点分のサンプリングデータv[n]を出力するときに、サンプリング周期Tごとにnの値を0から1ずつM-1までカウントするM進カウンタ21と、M進カウンタ21でカウントしたnの値を用いて、高調波の次数kに依存しない三角関数の値として、余弦関数F[n]や正弦関数F[n]の値を出力する三角関数出力部22と、を備え、M進カウンタ21がnの値をカウントするたびに、三角関数出力部22から出力される三角関数の値を用いて、k次高調波に関する振幅の情報の演算を可能にするk次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]をそれぞれ逐次演算する構成となっている。
【0118】
そのため、M進カウンタ21がnの値をカウントするたびに、高調波演算部13が三角関数出力部22からの高調波の次数kに依存しない三角関数の値を用いて、k次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]をそれぞれ逐次演算することで、どの次数kであっても位相がk倍の三角関数を用いることなく、より安価で高速にk次高調波に関する振幅の情報を算出することができる。
【0119】
また、第1の実施の形態にかかる高調波計測装置10の高調波演算部13は、2次以上のk次高調波に関する振幅の情報を演算するk次高調波演算部と、(k-1)次高調波に関する振幅の情報を演算する(k-1)次高調波演算部と、(k-2)次高調波に関する振幅の情報を演算する(k-2)次高調波演算部と、を備える。ここでいうk次高調波演算部は、2次以上の次数kの全てで、図2(B)に示す高次成分演算部24となる。また(k-1)次高調波演算部は、k=2であれば、図2(A)に示す基本波成分演算部41となり、k≧3であれば、図2(B)に示す高次成分演算部24となる。さらに、(k-2)次高調波演算部は、k=2であれば、図2(A)に示す直流成分演算部31となり、k=3であれば、図2(A)に示す基本波成分演算部41となり、k≧4であれば、図2(B)に示す高次成分演算部24となる。
【0120】
そして、いずれの場合もk次高調波演算部に相当する高次成分演算部24は、M進カウンタ21がnの値をカウントするたびに、三角関数出力部22から出力される三角関数の値に加えて、(k-1)次高調波演算部による演算処理の過程で算出された(k-1)次高調波の余弦中間値V[k-1,n]と、(k-2)次高調波演算部による演算処理の過程で算出された(k-2)次高調波の余弦中間値V[k-2,n]および正弦中間値V[k-2,n]を用いて、チェビシェフの多項式から導出されるk次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]をそれぞれ逐次演算する構成となっている。
【0121】
そのため高次成分演算部24は、(k-1)次高調波の余弦中間値V[k-1,n]と、(k-2)次高調波の余弦中間値V[k-2,n]および正弦中間値V[k-2,n]を用いて、チェビシェフの多項式を利用した演算処理で、k次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]をそれぞれ逐次演算することが可能になる。
【0122】
また、第1の実施の形態にかかる高調波計測装置10では、三角関数出力部22から出力される三角関数の値が、上記の数8で示した余弦関数F[n]と正弦関数F[n]の値であり、(k-1)次高調波演算部で算出された(k-1)次高調波の余弦中間値をV[k-1,n]とし、(k-2)次高調波演算部で算出された(k-2)次高調波の余弦中間値および正弦中間値を、それぞれV[k-2,n]およびV[k-2,n]としたときに、k次高調波演算部となる高次成分演算部24が、上記の数15で示した式に基づいて、k次高調波の余弦中間値V[k,n]およびV[k,n]と、k次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]を、それぞれ逐次演算する構成となっている。
【0123】
ただしここでは、nの値が0のときの初期値として、A[k,-1]=0、B[k,-1]=0とする。また、サンプリングデータをv[n]としたときに、k=2の場合の(k-2)次高調波の余弦中間値が、V[0,n]=v[n]であり、(k-2)次高調波の正弦中間値が、V[0,n]=0であり、k=2の場合の(k-1)次高調波の余弦中間値若しくはk=3の場合の(k-2)次高調波の余弦中間値が、V[1,n]=v[n]・F[n]であり、k=3の場合の(k-2)次高調波の正弦中間値が、V[1,n]=v[n]・F[n]である。
【0124】
これにより高次成分演算部24は、M進カウンタ21がnの値をカウントするたびに、k次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]だけでなく、演算処理の過程でk次高調波の余弦中間値V[k,n]およびV[k,n]を逐次演算することが可能になる。
【0125】
さらに、第1の実施の形態にかかる高調波計測装置10では、k次高調波演算部となる高次成分演算部24が、第1および第2の乗算器51,52と、減算器53と、第1~第3の加算器54,55,56と、nの値に対する1段のシフトレジスタからなる第1および第2のレジスタ57,58と、を含み、
(k-1)次高調波の余弦中間値V[k-1,n]と、三角関数出力部22からの余弦関数F[n]を2倍にした値(=2F[n])を第1の乗算器51で乗算し、第1の乗算器51の演算結果となる値2F[n]・V[k-1,n]に、(k-2)次高調波の余弦中間値V[k-2,n]を減算器53で減算し、減算器53の演算結果となるk次高調波の余弦中間値V[k,n]と、第1のレジスタ57から出力される前回のサンプリング時におけるk次高調波の余弦係数A[k,n-1]とを第1の加算器55で加算して、第1の加算器55の演算結果となるk次高調波の余弦係数A[k,n]を第1のレジスタ57に入力し、(k-1)次高調波の余弦中間値V[k-1,n]と、三角関数出力部22からの正弦関数F[n]を2倍にした値(=2F[n])を第2の乗算器52で乗算し、第2の乗算器52の演算結果となる値2F[n]・V[k-1,n]に、(k-2)次高調波の正弦中間値V[k-2,n]を第2の加算器54で加算し、第2の加算器54の演算結果となるk次高調波の正弦中間値V[k,n]と、第2のレジスタ58から出力される前回のサンプリング時におけるk次高調波の正弦係数B[k,n-1]とを第3の加算器56で加算して、第3の加算器56の演算結果となるk次高調波の正弦係数B[k,n]を第2のレジスタ58に入力することで、k次高調波の余弦中間値V[k,n]および正弦中間値V[k,n]と、k次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]を、それぞれ出力する構成となっている。
【0126】
そのため高次成分演算部24は、6個の演算器である乗算器51,52、減算器53、および加算器54,55,56と、2個のレジスタ57,58だけで、k次高調波の余弦中間値V[k,n]および正弦中間値V[k,n]と、k次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]を、それぞれ逐次演算することが可能になる。
【0127】
代わりに、第2の実施の形態にかかる高調波計測装置10の高調波演算部13は、1次以上のk次高調波に関する振幅の情報を演算するk次高調波演算部と、(k-1)次高調波に関する振幅の情報を演算する(k-1)次高調波演算部と、を備える。ここでいうk次高調波演算部は、1次以上の次数kの全てで、図3に示す高次成分演算部24となる。また(k-1)次高調波演算部は、k=1であれば、図2(A)に示す直流成分演算部31となり、k≧2であれば、図3に示す高次成分演算部24となる。
【0128】
そして、いずれの場合もk次高調波演算部に相当する高次成分演算部24は、M進カウンタ21がnの値をカウントするたびに、三角関数出力部22から出力される三角関数の値に加えて、(k-1)次高調波演算部による演算処理の過程で算出された(k-1)次高調波の余弦中間値V[k-1,n]および正弦中間値V[k-1,n]を用いて、三角関数の加法定理から導出されるk次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]をそれぞれ逐次演算する構成となっている。
【0129】
そのため高次成分演算部24は、(k-1)次高調波の余弦中間値V[k-1,n]および正弦中間値V[k-1,n]を用いて、三角関数の加法定理を利用した演算処理で、k次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]をそれぞれ逐次演算することが可能になる。
【0130】
また、第2の実施の形態にかかる高調波計測装置10では、三角関数出力部22から出力される三角関数の値が、上記の数8で示した余弦関数F[n]と正弦関数F[n]の値であり、(k-1)次高調波演算部で算出された(k-1)次高調波の余弦中間値および正弦中間値を、それぞれV[k-1,n]およびV[k-1,n]としたときに、k次高調波演算部となる高次成分演算部24が、上記の数21で示した式に基づいて、k次高調波の余弦中間値V[k,n]およびV[k,n]と、k次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]を、それぞれ逐次演算する構成となっている。
【0131】
ただしここでは、nの値が0のときの初期値として、A[k,-1]=0、B[k,-1]=0とする。また、サンプリングデータをv[n]としたときに、k=2の場合の(k-1)次高調波の余弦中間値が、V[1,n]=v[n]・F[n]であり、k=2の場合の(k-1)次高調波の正弦中間値が、V[1,n]=v[n]・F[n]である。
【0132】
これにより高次成分演算部24は、M進カウンタ21がnの値をカウントするたびに、k次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]だけでなく、演算処理の過程でk次高調波の余弦中間値V[k,n]およびV[k,n]を逐次演算することが可能になる。
【0133】
さらに、第2の実施の形態にかかる高調波計測装置10では、k次高調波演算部となる高次成分演算部24が、第1~第4の乗算器61~64と、減算器65と、第1~第3の加算器55,56,66と、nの値に対する1段のシフトレジスタからなる第1および第2のレジスタ57,58と、を含み、
(k-1)次高調波の余弦中間値V[k-1,n]と、三角関数出力部22からの余弦関数F[n]の値を第1の乗算器61で乗算し、(k-1)次高調波の正弦中間値V[k-1,n]と、三角関数出力部22からの正弦関数F[n]の値を第2の乗算器64で乗算し、第1の乗算器61の演算結果となる値V[k-1,n]・F[n]に、第2の乗算器64の演算結果となる値V[k-1,n]・F[n]を減算器65で減算し、減算器65の演算結果となるk次高調波の余弦中間値V[k,n]と、第1のレジスタ57から出力される前回のサンプリング時におけるk次高調波の余弦係数A[k,n-1]とを第1の加算器55で加算して、第1の加算器55の演算結果となるk次高調波の余弦係数A[k,n]を第1のレジスタ57に入力し、(k-1)次高調波の正弦中間値V[k-1,n]と、三角関数出力部22からの余弦関数F[n]の値を第3の乗算器63で乗算し、(k-1)次高調波の余弦中間値V[k-1,n]と、三角関数出力部22からの正弦関数F[n]の値を第4の乗算器62で乗算し、第3の乗算器63の演算結果となる値V[k-1,n]・F[n]に、第4の乗算器62の演算結果となる値V[k-1,n]・F[n]を第2の加算器66で加算し、第2の加算器66の演算結果となるk次高調波の正弦中間値V[k,n]と、第2のレジスタ58から出力される前回のサンプリング時におけるk次高調波の正弦係数B[k,n-1]とを第3の加算器56で加算して、第3の加算器56の演算結果となるk次高調波の正弦係数B[k,n]を第2のレジスタ58に入力することで、k次高調波の余弦中間値V[k,n]および正弦中間値V[k,n]と、k次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]を、それぞれ出力する構成となっている。
【0134】
そのため高次成分演算部24は、8個の演算器である乗算器61~64、減算器65、および加算器55,56,66と、2個のレジスタ57,58だけで、k次高調波の余弦中間値V[k,n]および正弦中間値V[k,n]と、k次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]を、それぞれ逐次演算することが可能になる。
【0135】
また、第3の実施の形態にかかる高調波計測装置10の高調波演算部13は、演算開始後からM点後にk次高調波に関する振幅の情報をサンプリング周期Tごとに演算可能にするリアルタイム高調波解析部70をさらに備えている。
【0136】
そのため高調波演算部13は、演算開始からM点のデータ取得後から、その直前のM点分の取得データに基づいた演算結果を、k次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]として逐次演算することが可能となり、k次高調波に関する振幅の情報をサンプリング周期Tごとに取得できる。
【0137】
さらに、第3の実施の形態にかかる高調波計測装置10の高調波演算部13は、k次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]が、上記の数26で示した式に基づいて逐次演算されるように、演算開始後からM点後にk次高調波に関する振幅の情報をサンプリング周期Tごとに演算可能にするリアルタイム高調波解析部70を、第1の実施の形態の図2(B)や、第2の実施の形態の図3で示したk次高調波演算部となる高次成分演算部24にさらに備えている。
【0138】
そのため高調波演算部13は、M進カウンタ21がnの値をカウントするたびに、その直前のM点分の取得データに基づいた演算結果を、k次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]として逐次演算することが可能となり、k次高調波に関する振幅の情報をサンプリング周期Tごとに取得できる。
【0139】
また、上記のリアルタイム高調波解析部70は、第1および第2の加減算器71,72と、nの値に対する1段のシフトレジスタからなる第1および第2のレジスタ57,58と、nの値に対するM段のシフトレジスタからなる第3および第4のレジスタ73,74と、を含み、
k次高調波の余弦中間値V[k,n]を第3のレジスタ73に入力し、第1の加減算器71により、k次高調波の余弦中間値V[k,n]に、第1のレジスタ57から出力される前回のサンプリング時におけるk次高調波の余弦係数A[k,n-1]を加算した値から、第3のレジスタ73から出力されるM回前のk次高調波の余弦中間値V[k,n-M]を減算して、第1の加減算器71の演算結果となるk次高調波の余弦係数A[k,n]を第1のレジスタ57に入力し、k次高調波の正弦中間値V[k,n]を第4のレジスタ74に入力し、第2の加減算器72により、k次高調波の正弦中間値V[k,n]に、第2のレジスタ58から出力される前回のサンプリング時におけるk次高調波の正弦係数B[k,n-1]を加算した値から、第4のレジスタ74から出力されるM回前のk次高調波の正弦中間値V[k,n-M]を減算して、第2の加減算器72の演算結果となるk次高調波の正弦係数B[k,n]を第2のレジスタ58に入力することで、k次高調波の余弦係数A[k,n]および正弦係数B[k,n]を出力する構成となっている。
【0140】
そのためリアルタイム高調波解析部70は、nの値に対するM段のシフトレジスタからなる第3および第4のレジスタ73,74を付加するだけで、k次高調波に関する振幅の情報をサンプリング周期Tごとに取得できる。
【0141】
また、PCS100に高調波計測装置10を適用した第4の実施の形態では、直流電源200と電力系統300との間に電力変換部となるインバータ部111を有して配置されるPCS100に、直流電源200が電力系統300から切り離されて単独運転をしているか否かを検出する単独運転検出方式(システム)が設けられる。ここでの単独運転検出方式は、上記第1~第3の実施の形態の中で、何れかの高調波計測装置10により構成され、インバータ部111の出力側の高調波電圧を計測する高調波計測部130と、この高調波計測部130で計測された高調波電圧に変動が発生すると無効電力のステップ注入を開始し、直流電源200を含むPCS100の単独運転を検出させるステップ注入処理部126と、を備えて構成される。
【0142】
これにより、より安価で高速な演算処理を実現した高調波計測装置10による単独運転検出方式を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0143】
PCS100は、図以外の構成に変更しても良い。直流電源200は、太陽電池等の直流電源に限定されず、風力発電、燃料電池、蓄電池等の他の直流電源であっても良い。又、ハードフェア部110、ソフトウェア部120には、他の機能を付加する等して図示以外の構成に変更しても良い。上述の高調波計測装置10は、PCS100以外に入力信号vの高調波分析を必要とするあらゆる機器に適用できる。
【符号の説明】
【0144】
10 高調波計測装置
11 信号入力部
12 サンプリング部
13 高調波演算部
21 M進カウンタ
22 三角関数出力部
23 低次成分演算部
24 高次成分演算部
31 直流成分演算部
32,44,45,54,55,56,66 加算器
33,46,47,57,58,73,74 レジスタ(シフトレジスタ)
34 中間値出力部
41 基本波成分演算部
42,43,51,52,61,62,63,64 乗算器
53,65 減算器
70 リアルタイム高調波解析部
71,72 加減算器
100 PCS(パワーコンディショナ)
110 ハードウェア部
111 インバータ部(電力変換部)
112 系統周波数検出部
113 電圧計測部
120 ソフトウェア部
121 電流制御処理部
122 位相差計測同期処理部
123 加算部
124 系統周波数計測処理部
125 無効電力注入処理部
126 ステップ注入量処理部(単独運転検出方式)
127 電圧算出部
128 単独運転判定部
130 高調波計測部(単独運転検出方式)
200 直流電源(太陽電池)
300 電力系統(商用電源 VAC
図1
図2(A)】
図2(B)】
図3
図4
図5