(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】電力推移推定システム、電力推移推定プログラム、及び電力推移推定方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20240625BHJP
G06Q 30/0202 20230101ALI20240625BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q30/0202
H02J3/00 130
(21)【出願番号】P 2020172568
(22)【出願日】2020-10-13
【審査請求日】2023-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】510311621
【氏名又は名称】株式会社エクソル
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】川勝 一司
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-237187(JP,A)
【文献】特開2012-205432(JP,A)
【文献】特開2018-011418(JP,A)
【文献】特開2016-181060(JP,A)
【文献】特開2019-088173(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
H02J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単位時間当たりの電力消費量の推移を表す電力推移データを、複数のサンプル需要家について記憶するサンプル記憶部と、
推定対象の需要家について、取得可能期間当たりの電力消費量を複数期間について集めた電力データ群を取得する推定対象取得部と、
前記サンプル記憶部に記憶されている前記電力推移データにおける最大電力消費量と、当該電力推移データと、に基づいて前記単位時間当たりの負荷率の推移を表す負荷率推移データを算出し、更に当該負荷率推移データをなす負荷率の平均値を平均負荷率として算出する処理を、前記複数のサンプル需要家それぞれについて行う負荷率算出部と、
前記推定対象取得部で取得された前記電力データ群の取得時期に対応した契約電力と、当該電力データ群と、に基づいて、前記取得時期における前記単位時間当たりの負荷率の平均値を前記推定対象の需要家における対象平均負荷率として算出する処理を、前記推定対象の需要家について行う対象負荷率算出部と、
前記負荷率算出部で算出された前記複数のサンプル需要家それぞれの前記平均負荷率を含む複数の比較負荷率のうち、前記対象負荷率算出部で算出された前記推定対象の需要家の前記対象平均負荷率に最も近い最近負荷率に基づいて、前記推定対象の需要家における前記単位時間当たりの電力消費量の推移を推定した電力推移推定データを算出する電力推移推定部と、
を備えたことを特徴とする電力推移推定システム。
【請求項2】
前記サンプル記憶部が、前記複数のサンプル需要家について、前記電力推移データとして、少なくとも1年に亘る電力消費の推移を表すデータを記憶し、
前記推定対象取得部が、1か月を前記取得可能期間とし、前記電力データ群として、毎月の電力消費量を12か月分集めたデータ群を取得し、
前記負荷率算出部が、前記負荷率推移データとして、前記単位時間当たりの負荷率の1年間の推移を表すデータを算出し、前記平均負荷率として、1年間に亘る負荷率の平均値を算出し、
前記対象負荷率算出部が、前記契約電力と、前記電力データ群をなす12か月分の電力消費量と、に基づき、前記対象平均負荷率として、1年間に亘る負荷率の平均値を算出することを特徴とする請求項1に記載の電力推移推定システム。
【請求項3】
前記負荷率算出部で算出が行われた前記複数のサンプル需要家を、当該複数のサンプル需要家それぞれの前記負荷率推移データに対する統計処理に基づいて1つ以上のグループに分類するとともに、各グループについて、当該グループに属するサンプル需要家の前記負荷率推移データの相互平均を行ってグループ負荷率推移データを算出し、更に当該グループ負荷率推移データをなす相互平均負荷率の更なる平均値をグループ平均負荷率として算出する処理を行うグループ負荷率算出部を、更に備え、
前記電力推移推定部は、前記複数のサンプル需要家それぞれの前記平均負荷率に、前記グループ負荷率算出部で算出された1つ以上のグループそれぞれの前記グループ平均負荷率を加えた負荷率群を前記複数の比較負荷率とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の電力推移推定システム。
【請求項4】
前記電力推移推定部が、前記最近負荷率に対応する最近負荷率推移データを求め、当該最近負荷率推移データをなす負荷率の平均値に対する前記対象
平均負荷率の比である通算比率、及び、当該最近負荷率推移データにおける複数の前記取得
可能期間に対応した期間毎の負荷率の平均値に対する、前記推定対象取得部で取得された前記電力データ群をなす前記取得可能期間当たりの電力消費量と前記契約電力から算出される前記取得可能期間毎の負荷率の比である期間比率、を用いて前記最近負荷率推移データを補正し、補正後の最近負荷率推移データに基づいて前記電力推移推定データを算出することを特徴とする請求項1~3のうち何れか一項に記載の電力推移推定システム。
【請求項5】
前記電力推移推定部が、前記補正後の最近負荷率推移データに対し、当該補正後の最近負荷率推移データをなす負荷率の平均値のうち、前記通算比率の逆数より大きいピーク値を当該逆数に置き換えるピークカット補正と、前記ピーク値に対応する前記取得可能期間以外の負荷率に前記ピーク値と前記逆数との差分を振り分ける振分け補正と、を行い、前記ピークカット補正及び前記振分け補正後の最近負荷率推移データと前記契約電力とに基づいて前記電力推移推定データを算出することを特徴とする請求項4に記載の電力推移推定システム。
【請求項6】
コンピュータによって実行され、当該コンピュータを、請求項1~5のうち何れか一項に記載の電力推移推定システムとして動作させることを特徴とする電力推移推定プログラム。
【請求項7】
単位時間当たりの電力消費量の推移を表す電力推移データを、複数のサンプル需要家について記憶するサンプル記憶部を備え
たコンピュータで実行され、推定対象の需要家における前記単位時間当たりの電力消費量の推移を推定した電力推移推定データを算出する電力推移推定方法であって、
前記推定対象の需要家について、取得可能期間当たりの電力消費量を複数期間について集めた電力データ群を
前記コンピュータが取得する推定対象取得工程と、
前記サンプル記憶部に記憶されている前記電力推移データにおける最大電力消費量と、当該電力推移データと、に基づいて前記単位時間当たりの負荷率の推移を表す負荷率推移データを算出し、更に当該負荷率推移データをなす負荷率の平均値を平均負荷率として算出する処理を、
前記コンピュータが前記複数のサンプル需要家それぞれについて行う負荷率算出工程と、
前記推定対象取得工程で取得された前記電力データ群の取得時期に対応した契約電力と、当該電力データ群と、に基づいて、前記取得時期における前記単位時間当たりの負荷率の平均値を前記推定対象の需要家における対象平均負荷率として算出する処理を、
前記コンピュータが前記推定対象の需要家について行う対象負荷率算出工程と、
前記負荷率算出工程で算出された前記複数のサンプル需要家それぞれの前記平均負荷率を含む複数の比較負荷率のうち、前記対象負荷率算出工程で算出された前記推定対象の需要家の前記対象平均負荷率に最も近い最近負荷率に基づいて、
前記コンピュータが前記推定対象の需要家について前記電力推移推定データを算出する電力推移推定工程と、
を備えたことを特徴とする電力推移推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推定対象の需要家について単位時間当たりの電力消費量の推移を推定する電力推移推定システム、電力推移推定プログラム、及び電力推移推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、個々の需要家の電力消費量は電力量計等の監視装置により単位時間当たりの消費量が記録・保管されている。この電力消費量の推移に照合する形で発電設備、貯蔵設備の規模を決定し、電力の供給と需要のバランスを最適化するのが一般的である。近年、特に一般に云われるところの「自家消費型」では電力会社からの買電量を自家の発電設備を有効活用することで電力の需給バランスを図りながら、電気料金の削減化を図る事例が増えてきている。このとき、既に負荷の電力量の使用状態が監視装置等により記録・保管されていれば容易に最適な設備容量を計画することが可能であるが、新設あるいは記録・保管がなされていないような物件の場合には、適切な電力消費量の推移を推定して適用することとなる。
【0003】
ここで、推定対象の需要家における電力消費量の推移を推定する手法として、次のような推定手法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この推定手法は、サンプルとしての電力消費量の推移パターンを複数記憶しておき、推定対象の需要家について入手した直近の電力消費量と複数の推移パターンとの比較に基づいて、推定対象の需要家における電力消費量の推移を推定する手法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したパターン比較に基づいて電力消費量の推移を推定する手法は、地域、業種、需要率などにより多岐にわたるパターン比較についての処理負担が重くなりがちで、効率の点で改善の余地が見られる。
【0006】
従って、本発明は、上記のような課題に着目し、推定対象の需要家における電力消費量の推移を効率的に推定することができる電力推移推定システム、電力推移推定プログラム、及び電力推移推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の電力推移推定システムは、単位時間当たりの電力消費量の推移を表す電力推移データを、複数のサンプル需要家について記憶するサンプル記憶部と、推定対象の需要家について、取得可能期間当たりの電力消費量を複数期間について集めた電力データ群を取得する推定対象取得部と、前記サンプル記憶部に記憶されている前記電力推移データにおける最大電力消費量と、当該電力推移データと、に基づいて前記単位時間当たりの負荷率の推移を表す負荷率推移データを算出し、更に当該負荷率推移データをなす負荷率の平均値を平均負荷率として算出する処理を、前記複数のサンプル需要家それぞれについて行う負荷率算出部と、前記推定対象取得部で取得された前記電力データ群の取得時期に対応した契約電力と、当該電力データ群と、に基づいて、前記取得時期における前記単位時間当たりの負荷率の平均値を前記推定対象の需要家における対象平均負荷率として算出する処理を、前記推定対象の需要家について行う対象負荷率算出部と、前記負荷率算出部で算出された前記複数のサンプル需要家それぞれの前記平均負荷率を含む複数の比較負荷率のうち、前記対象負荷率算出部で算出された前記推定対象の需要家の前記対象平均負荷率に最も近い最近負荷率に基づいて、前記推定対象の需要家における前記単位時間当たりの電力消費量の推移を推定した電力推移推定データを算出する電力推移推定部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の電力推移推定プログラムは、コンピュータによって実行され、当該コンピュータを、上述した本発明の電力推移推定システムとして動作させることを特徴とする。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明の電力推移推定方法は、単位時間当たりの電力消費量の推移を表す電力推移データを、複数のサンプル需要家について記憶するサンプル記憶部を備えたコンピュータで実行され、推定対象の需要家における前記単位時間当たりの電力消費量の推移を推定した電力推移推定データを算出する電力推移推定方法であって、前記推定対象の需要家について、取得可能期間当たりの電力消費量を複数期間について集めた電力データ群を前記コンピュータが取得する推定対象取得工程と、前記サンプル記憶部に記憶されている前記電力推移データにおける最大電力消費量と、当該電力推移データと、に基づいて前記単位時間当たりの負荷率の推移を表す負荷率推移データを算出し、更に当該負荷率推移データをなす負荷率の平均値を平均負荷率として算出する処理を、前記コンピュータが前記複数のサンプル需要家それぞれについて行う負荷率算出工程と、前記推定対象取得工程で取得された前記電力データ群の取得時期に対応した契約電力と、当該電力データ群と、に基づいて、前記取得時期における前記単位時間当たりの負荷率の平均値を前記推定対象の需要家における対象平均負荷率として算出する処理を、前記コンピュータが前記推定対象の需要家について行う対象負荷率算出工程と、前記負荷率算出工程で算出された前記複数のサンプル需要家それぞれの前記平均負荷率を含む複数の比較負荷率のうち、前記対象負荷率算出工程で算出された前記推定対象の需要家の前記対象平均負荷率に最も近い最近負荷率に基づいて、前記コンピュータが前記推定対象の需要家について前記電力推移推定データを算出する電力推移推定工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記の電力推移推定システム、電力推移推定プログラム、及び電力推移推定方法によれば、サンプル需要家の平均負荷率を含む複数の比較負荷率と推定対象の需要家の対象平均負荷率との単純な比較に基づいて推定対象の需要家の電力消費量の推移が推定される。このような比較に基づく推定手法によれば、上述したパターン比較に基づく推定手法に比べて処理負担が軽減されることから、推定対象の需要家の電力消費量の推移が効率的に推定されることとなる。このように、上記の電力推移推定システム、電力推移推定プログラム、及び電力推移推定方法によれば、推定対象の需要家における電力消費量の推移を効率的に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる電力推移推定システムを示す模式的なブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態にかかる電力推移推定方法を示す模式的なフローチャートである。
【
図3】推定対象取得部で推定対象の需要家について取得される電力データ群を表形式で示す模式図である。
【
図4】負荷率算出部によって算出されてメモリに記憶される負荷率推移データ、平均負荷率、及び波高値を表形式で示す模式図である。
【
図5】グループ負荷率算出部において並べ替えが行われた平均負荷率及び波高値の組をプロットしたグラフである。
【
図6】
図5のグラフに示されているプロット点について分類処理が行われた様子を示す模式図である。
【
図7】グループ負荷率算出部で算出されたグループ負荷率推移データ、グループ平均負荷率、及びグループ波高値を表形式で示す模式図である。
【
図8】電力推移推定部で行われる第1の補正をグラフ形式で模式的に表す図である。
【
図9】電力推移推定部で行われる第2の補正及び正規化の解除をグラフ形式で模式的に表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の電力推移推定システム、電力推移推定プログラム、及び電力推移推定方法の一実施形態について、以下、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態にかかる電力推移推定システムを示す模式的なブロック図である。また、
図2は、本発明の一実施形態にかかる電力推移推定方法を示す模式的なフローチャートである。
【0014】
図1に示されている電力推移推定システム1は、推定対象の需要家Y1について単位時間当たりの電力消費量の推移を推定するシステムである。この電力推移推定システム1は、パーソナルコンピュータに読み込まれて動作する電力推移推定プログラムによって構築される。この電力推移推定プログラムは、パーソナルコンピュータ上に次のような機能ブロックを有する電力推移推定システム1を構築する。即ち、電力推移推定システム1は、機能ブロックとして、サンプル記憶部11と、推定対象取得部12と、負荷率算出部13と、対象負荷率算出部14と、グループ負荷率算出部15と、電力推移推定部16と、を備えている。また、
図2にフローチャートで示されている電力推移推定方法は、
図1に示されている電力推移推定システム1で実行される。この電力推移推定方法は、ユーザが電力推移推定プログラムの開始処理を行うとスタートし、推定対象取得工程S11と、負荷率算出工程S12と、対象負荷率算出工程S13と、グループ負荷率算出工程S14と、電力推移推定工程S15と、を備えている。
【0015】
まず、電力推移推定システム1におけるサンプル記憶部11は、単位時間当たりの電力消費量の推移を表す電力推移データを、複数のサンプル需要家Ya,・・・,Yjについて記憶する部位である。このサンプル記憶部11における記憶内容は、各サンプル需要家Ya,・・・,Yjの新たな電力推移データや、新規のサンプル需要家の電力推移データが追加された場合に随時に更新される。本実施形態では、単位時間として30分が採用されており、サンプル記憶部11には、複数のサンプル需要家Ya,・・・,Yjについて、30分当たりの電力消費量の推移を表す電力推移データが記憶される。また、このサンプル記憶部11には、複数のサンプル需要家Ya,・・・,Yjについて、電力推移データとして1年に亘る電力消費の推移を表すデータが記憶される。
【0016】
推定対象取得部12は、
図2に示されている推定対象取得工程S11を実行する部位であり、ユーザの入力操作を受けて、推定対象の需要家Y1について、取得可能期間当たりの電力消費量を複数期間について集めた電力データ群を取得する。ここで、本実施形態では、推定対象取得部12は、電力データ群として、具体的には次のようなデータ群を取得する。
【0017】
図3は、推定対象取得部で推定対象の需要家について取得される電力データ群を表形式で示す模式図である。
【0018】
この
図3の表T11に示されているように、推定対象取得部12は、1か月を取得可能期間とし、電力データ群として、毎月の電力消費量(月間電力消費量)を12か月分集めたデータ群Z1,・・・,Z12を取得する。これらのデータ群Z1,・・・,Z12としては、推定対象の需要家Y1で電力会社から過去1年間に受け取られた毎月の電力料金表に記載されている電力消費量が用いられる。
【0019】
負荷率算出部13は、
図2に示されている負荷率算出工程S12を実行する部位であり、サンプル記憶部11に電力推移データが記憶されている複数のサンプル需要家Ya,・・・,Yjそれぞれについて、負荷率推移データ、平均負荷率、及び波高値を算出する。負荷率推移データは、各サンプル需要家Ya,・・・,Yjの1年に亘る電力推移データのうちの最大電力消費量で、各サンプル需要家Ya,・・・,Yjの電力推移データを除して正規化したものである。平均負荷率は、1年に亘る負荷率推移データをなす負荷率の平均値、つまり年間負荷率であり、波高値は、平均負荷率の逆数である。算出結果は不図示のメモリに記憶される。
【0020】
図4は、負荷率算出部によって算出されてメモリに記憶される負荷率推移データ、平均負荷率、及び波高値を表形式で示す模式図である。
【0021】
この
図4に示されている表T12には、複数のサンプル需要家Ya,・・・,Yjそれぞれの負荷率推移データ、平均負荷率、及び波高値が示されている。例えば、サンプル需要家Yaを代表例として参照すると、負荷率推移データは、30分当たりの負荷率Xa1,・・・,Xanの1年間に亘る集積データとなっている。平均負荷率はその平均値であり、波高値はその逆数である。
【0022】
対象負荷率算出部14は、
図2に示されている対象負荷率算出工程S13を実行する部位であり、推定対象の需要家Y1について、推定対象取得部12での取得結果を用いて1年間に亘る30分当たりの負荷率の平均値を対象平均負荷率として算出する。ここでの算出は、推定対象取得部12で取得された電力データ群の取得時期に対応した契約電力と、当該電力データ群と、に基づき、下記の数式1を用いて行われる。
【数1】
この数式1における「Pn」が、推定対象取得部12で電力データ群として取得された、12か月分の毎月の電力消費量(kWh)である。また、「Pmax」は、推定対象の需要家Y1に対して電力会社で設定された契約電力(kW)であり、この契約電力は、電力データ群の取得時期の前年における、30分当たりの電力消費量の最大値に基づいて設定されている。また、この対象負荷率算出部14では、算出された対象平均負荷率の逆数として対象波高値も算出される。
【0023】
グループ負荷率算出部15は、
図2に示されているグループ負荷率算出工程S14を実行する部位であり、負荷率算出部13で算出が行われた複数のサンプル需要家Ya,・・・,Yjを1つ以上のグループに分類する。更に、グループ負荷率算出部15は、各グループについてグループ負荷率推移データ及びグループ平均負荷率を算出する。
【0024】
グループ負荷率算出部15で行われるこれらの算出処理のうち、まず、1つ以上のグループへの分類処理について説明する。この分類処理に当たって、グループ負荷率算出部15は、まず、
図4の表T12に模式的に示された平均負荷率の昇順で、各サンプル需要家Ya,・・・,Yjの平均負荷率及び波高値の組を並べ替える。
【0025】
図5は、グループ負荷率算出部において並べ替えが行われた平均負荷率及び波高値の組をプロットしたグラフである。
【0026】
この
図5に示されているグラフG11では、横軸に平均負荷率がとられ、縦軸に波高値がとられている。そして、このグラフG11に黒丸でプロットされた各プロット点が、各サンプル需要家Ya,・・・,Yjの平均負荷率及び波高値の組となっている。上述したようにグループ負荷率算出部15において並べ替えが行われた結果、このグラフG11では、各サンプル需要家Ya,・・・,Yjのプロット点が、平均負荷率の昇順で配列されている。尚、
図5に示されているグラフG11では、4つのプロット点のみが代表例として示されており、他のプロット点については図示が省略されている。
【0027】
この並べ替えに続き、グループ負荷率算出部15は、1つ以上のグループへの分類処理を行う。この分類処理は、複数のサンプル需要家Ya,・・・,Yjそれぞれの負荷率推移データに対する統計処理、具体的には各サンプル需要家Ya,・・・,Yjのプロット点における平均負荷率に対する一元配置分散分析法を用いて行われる。グループ負荷率算出部15は、グラフG11上の複数のプロット点について、平均負荷率の昇順についての片追いで、一元配置分散分析法で同一グループであるか否かを、P値において差があるか等といった有意性判断に基づいて分類する。有意な差が無いプロット点は同一グループと看做し、有意な差が認められたプロット点は新たなグループと看做す、一連の処理を平均負荷率の昇順についての片追いで繰り返すことで1つ以上のグループに分類する。
【0028】
図6は、
図5のグラフに示されているプロット点について分類処理が行われた様子を示す模式図である。
【0029】
この
図6の例では、グラフG11上の複数のサンプル需要家Ya,・・・,Yjのプロット点が、グループa、グループb、及びグループcの3つのグループに分類されている。尚、この
図6でも、
図5と同様、4つのプロット点のみが代表例として示されており、他のプロット点については図示が省略されており、各グループには、図示されたプロット点以外にも省略されたプロット点が含まれている。
【0030】
グループ負荷率算出部15では、以上に説明した分類処理に続き、各グループについて、グループ負荷率推移データとグループ平均負荷率を算出する処理を行う。グループ負荷率推移データは、各グループに属するサンプル需要家の負荷率推移データの相互平均を行ったものである。また、グループ平均負荷率は、各グループについて得られたグループ負荷率推移データをなす相互平均負荷率の更なる平均値である。更に、グループ負荷率算出部15では、グループ平均負荷率の逆数としてグループ波高値も算出される。算出されたグループ負荷率推移データ、グループ平均負荷率、及びグループ波高値は、
図4に示されている複数のサンプル需要家Ya,・・・,Yjの負荷率推移データ、平均負荷率、及び波高値とともにメモリに記憶される。
【0031】
図7は、グループ負荷率算出部で算出されたグループ負荷率推移データ、グループ平均負荷率、及びグループ波高値を表形式で示す模式図である。
【0032】
この
図7に示されている表T13には、3つのグループそれぞれのグループ負荷率推移データ、グループ平均負荷率、及びグループ波高値が示されている。例えば、グループaを代表例として参照すると、グループ負荷率推移データは、
図6に図示されたサンプル需要家Ya,Ybを含む複数のサンプル需要家の負荷率推移データの1年間に亘る相互平均Ga1,・・・,Ganの集合である。グループ平均負荷率は、これら相互平均Ga1,・・・,Ganの平均値であり、グループ波高値はその逆数である。他の、グループb及びグループcについても同様の算出が行われる。
図6のグラフG11には、各グループについて算出されたグループ平均負荷率とグループ波高値の組が白丸のプロット点で記載されている。
【0033】
電力推移推定部16は、
図2に示されている電力推移推定工程S15を実行する部位である。電力推移推定部16は、上述した負荷率算出部13、対象負荷率算出部14、及びグループ負荷率算出部15での算出結果に基づいて、推定対象の需要家Y1における電力推移推定データを算出する。ここで算出される電力推移推定データは、推定対象の需要家Y1における単位時間当たり、即ち30分当たりの電力消費量の推移を将来の1年に亘って推定したものである。
【0034】
電力推移推定部16は、まず、各サンプル需要家Ya,・・・,Yjの平均負荷率と、各グループのグループ平均負荷率からなる負荷率群を複数の比較負荷率とする。そして、電力推移推定部16は、それら複数の比較負荷率の中から、対象負荷率算出部14で算出された推定対象の需要家Y1の対象平均負荷率に最も近い最近負荷率を抽出する。更に、電力推移推定部16は、この最近負荷率に対応付けられてメモリに記憶されている負荷率推移データ又はグループ負荷率推移データを、最近負荷率推移データに設定する。この最近負荷率推移データは、メモリに記憶されている負荷率推移データ又はグループ負荷率推移データの中で、推定対象の需要家Y1における30分当たりの負荷率の推移を将来の1年に亘って表す推移データに最も近いと推定されるデータである。
【0035】
電力推移推定部16は、このようにして得られた最近負荷率推移データについて以下に説明する補正を行うとともに、推定対象の需要家Y1の契約電力Pmaxを積算することで正規化を解いて電力推移推定データを算出する。
【0036】
まず、補正について説明する。補正は、2段階で行われ、第1の補正は下記の数式2を用いて行われる。
【数2】
この数式2における「x(t)」は、上記のように抽出された最近負荷率推移データを関数形式で表したものであり、「y(t)」は、補正後の推移データである補正後の最近負荷率推移データを関数形式で表したものである。そして、この数式2における通算比率は下記の数式3を用いて算出される1年を通じて一定の補正係数であり、期間比率(1月~12月)は下記の数式4を用いて算出される月毎の補正係数である。
【数3】
【数4】
【0037】
図8は、電力推移推定部で行われる第1の補正をグラフ形式で模式的に表す図である。
【0038】
この
図8に示されているグラフG12では、横軸が時間軸となっており、縦軸には負荷率がとられている。そして、このグラフG12に、補正前の最近負荷率推移データx(t)と補正後の最近負荷率推移データy(t)とがそれぞれの推移波形を示す破線で示されている。
【0039】
まず、数式3で表される通算比率は、最近負荷率推移データx(t)をなす負荷率の平均値に対する対象負荷率の比である。言い換えると、この通算比率は、1年間の平均負荷率、つまりは年間負荷率を、最近負荷率推移データに対応する最近負荷率から、推定対象の需要家Y1の実際の対象平均負荷率に寄せるための補正係数である。この通算比率を積算することで、最近負荷率推移データx(t)のピーク高さ等が、推定対象の需要家Y1の実際のピーク高さ等に寄せられることとなる。
【0040】
また、数式4で表される期間比率は、最近負荷率推移データx(t)における最近期間負荷率(1月~12月)に対する、推定対象の需要家Y1についての対象期間負荷率(1月~12月)の比である。最近期間負荷率(1月~12月)は、推定対象の需要家Y1において電力消費量が取得された複数の取得対象期間に対応した期間毎、つまり12か月間の各月の負荷率の平均値(月間負荷率)である。また、対象期間負荷率(1月~12月)は、推定対象取得部12で推定対象の需要家Y1について取得された電力データ群をなす取得可能期間当たり(つまり各月)の電力消費量と契約電力から算出される取得可能期間毎の負荷率(月間負荷率)である。この期間比率は、最近負荷率推移データx(t)におけるピーク月を、推定対象の需要家Y1の実際のピーク月に合わせ込むための補正係数である。
図8の例では、この通算比率を積算することで、最近負荷率推移データx(t)では1月と12月にのみ現れていたピークが、補正後の最近負荷率推移データy(t)では複数の月に分散して現れることとなっている。
【0041】
以上に説明した第1の補正を経た補正後の最近負荷率推移データy(t)に対し、第2の補正が行われる。この第2の補正は、ピークカット補正と振分け補正とからなる。まず、ピークカット補正は、補正後の最近負荷率推移データy(t)に対し、当該補正後の最近負荷率推移データy(t)をなす負荷率の平均値のうち、上記の通算比率の逆数より大きいピーク値を当該逆数に置き換える補正である。
図8のグラフG12には、この通算比率の逆数が「a」で示されている。通算比率の逆数aは、推定対象取得部12で推定対象の需要家Y1について取得された電力データ群から推定される、推定対象の需要家Y1において取り得る負荷率の最大値となる。ピークカット補正は、第1の補正によってこの最大値を超えてしまったピークをカットする補正である。
【0042】
次に、ピークカット補正を経た補正後の最近負荷率推移データy(t)に対し、振分け補正と、負荷率を電力消費量に戻す正規化解除とが、下記の数式5を用いて行われて推定対象の需要家Y1の電力推移推定データが算出される。
【数5】
この数式5における「z(t)」は、最終的に得られる電力推移推定データを関数形式で表したものであり、「y(t)」は、ピークカット補正を経た補正後の最近負荷率推移データを関数形式で表したものである。また、この数式5における「Pmax」は、推定対象の需要家Y1に対して電力会社で設定された契約電力(kW)である。
【0043】
また、数式5における「κn」は振分け補正用の補正係数であり、次のように求められる。ここでの補正係数には、ピークカット補正を受けたピークが表れたピーク月の補正係数κ1、及び、それ以外の月の補正係数κ2、があり、それぞれ以下の式で求められる。
・κ1=(1/(補正後のy(t)における最大値))×α
・κ2=((11+κ1)/12)×α
・α=(補正後のy(t)に基づく最大使用電力)/Pmax
・最大使用電力=(1年間の総使用電力量)/(補正後のy(t)の1年間の合計)
【0044】
振分け補正は、ピークカット補正を経た補正後の最近負荷率推移データy(t)における、ピーク値に対応する取得可能期間(ピーク月)以外の負荷率にピーク値と
図8に示されている逆数aとの差分を振り分ける補正である。この補正は、補正後の最近負荷率推移データy(t)に上述した補正係数κnを積算することで行われる。そして、この振分け補正とともに推定対象の需要家Y1の契約電力Pmaxを積算して正規化が解除される。このような処理により、推定対象の需要家Y1の1年間の電力消費量の総量を、推定対象取得部12で取得された電力消費量の総量に維持しつつ、補正後の最近負荷率推移データy(t)に基づく電力推移推定データz(t)の算出が行われることとなる。
【0045】
図9は、電力推移推定部で行われる第2の補正及び正規化の解除をグラフ形式で模式的に表す図である。
【0046】
この
図9に示されているグラフG13では、横軸が時間軸となっており、左側の縦軸には負荷率がとられている。また、右側の縦軸には電力消費量がとられている。そして、このグラフG13に、補正前の最近負荷率推移データx(t)、第2の補正におけるピークカット補正を経た補正後の最近負荷率推移データy(t)、がそれぞれの推移波形を示す破線で示されている。更に、補正後の最近負荷率推移データy(t)における正規化を解除して最終的に得られる電力推移推定データz(t)が、推移波形を示す実線で示されている。
【0047】
上述したように、ピークカット補正を経た補正後の最近負荷率推移データy(t)では、ピークが、
図8に示されているピークカット補正の前の最近負荷率推移データy(t)におけるピークよりも小さくなっている。そして、最終的に得られる電力推移推定データz(t)は、推定対象取得部12で取得された電力消費量の総量に維持しつつ、ピークカット補正によるカット分がピーク月以外の月の電力消費量に振り分けられている。
【0048】
以上に説明した実施形態における電力推移推定システム1、電力推移推定プログラム、及び電力推移推定方法によれば、以下の効果を奏することができる。即ち、本実施形態によれば、複数のサンプル需要家Ya,・・・,Yjそれぞれの平均負荷率を含む複数の比較負荷率と、推定対象の需要家Y1の対象平均負荷率と、の単純な数値比較に基づいて推定対象の需要家Y1の電力消費量の推移が推定される。このような数値比較に基づく推定手法によれば、上述したパターン比較に基づく推定手法に比べて処理負担が軽減されることから、推定対象の需要家Y1の電力消費量の推移が効率的に推定されることとなる。このように、本実施形態によれば、推定対象の需要家Y1における電力消費量の推移を効率的に推定することができる。
【0049】
ここで、本実施形態では、サンプル記憶部11に、複数のサンプル需要家Ya,・・・,Yjについて、少なくとも1年に亘る電力消費の推移を表すデータが記憶される。そして、推定対象の需要家Y1について、1か月を取得可能期間とし、電力データ群として、毎月の電力消費量を12か月分集めたデータ群が取得される。また、負荷率推移データとして、各サンプル需要家Ya,・・・,Yjについて、単位時間(30分)当たりの負荷率の1年間の推移を表すデータが算出され、その平均値として平均負荷率が算出される。さらに、推定対象の需要家Y1について、契約電力Pmaxと、電力データ群をなす12か月分の電力消費量と、に基づき、対象平均負荷率として、1年間に亘る負荷率の平均値が算出される。
【0050】
本実施形態におけるこの構成によれば、推定対象の需要家Y1について、一般的に電力料金表等に記載されている毎月の電力消費量といった入手が容易なデータを用いて、推定の手掛かりとしての対象平均負荷率が求められる。この構成によれば、入手が容易な上記のデータを用いることで、電力消費量の推移を一層効率的に推定することができる。
【0051】
また、本実施形態では、複数のサンプル需要家Ya,・・・,Yjが、当該複数のサンプル需要家Ya,・・・,Yjそれぞれの負荷率推移データに対する統計処理に基づいて1つ以上のグループに分類される。また、各グループについて、当該グループに属するサンプル需要家Ya,・・・,Yjの負荷率推移データの相互平均を行ってグループ負荷率推移データが算出され、その相互平均負荷率の更なる平均値がグループ平均負荷率として算出される。そして、複数のサンプル需要家Ya,・・・,Yjそれぞれの平均負荷率に、各グループのグループ平均負荷率を加えた負荷率群が複数の比較負荷率に設定される。
【0052】
本実施形態におけるこの構成によれば、推定対象の需要家Y1の対象平均負荷率と比較される比較負荷率が増えて比較の精度が向上するので、電力消費量の推移の推定精度を向上させることができる。
【0053】
また、本実施形態では、最近負荷率に対応する最近負荷率推移データx(t)が求められ、上述の通算比率及び期間比率を用いた補正が行われ、補正後の最近負荷率推移データy(t)に基づいて電力推移推定データz(t)が算出される。
【0054】
本実施形態におけるこの構成によれば、推定対象の需要家Y1とは異なるサンプル需要家Ya,・・・,Yj等について得られた最近負荷率推移データx(t)を、通算比率を用いた補正によって実際の負荷率の推移に全体的に近づけることができる。また、最近負荷率推移データx(t)における取得可能期間(1か月)毎の変動パターンを、期間比率を用いた補正によって実際の負荷率の変動パターンに近づけることができる。上記の構成によれば、これらの補正を経ることで、電力消費量の推移の推定精度を向上させることができる。
【0055】
また、本実施形態では、通算比率及び期間比率を用いた補正を行う上記の構成において、補正後の最近負荷率推移データy(t)に対して上述のピークカット補正と振分け補正とが行われる。そして、これらの補正後の最近負荷率推移データy(t)と契約電力Pmaxとに基づいて電力推移推定データz(t)が算出される。
【0056】
本実施形態におけるこの構成によれば、通算比率及び期間比率を用いた補正によって大きくなり過ぎたピーク値がピークカット補正によって本来あるべき値に補正される。その上で、カットされた差分が振分け補正によって他の負荷率に振り分けられることで、全期間を通じての負荷率の総量は補正の前後で維持されることとなる。つまり、最終的に得られる電力推移推定データz(t)における1年間の電力消費量の総量は、推定対象の需要家Y1について予め取得された電力消費量の総量に維持される。上記の構成によれば、これらの補正を経ることで、電力消費量の推移の推定精度を更に向上させることができる。
【0057】
尚、以上に説明した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の電力推移推定システム、電力推移推定プログラム、及び電力推移推定方法の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【0058】
例えば、上述した実施形態では、本発明の電力消費量や負荷率の取得や算出の時間単位の一例として、30分当たりが例示されている。しかしながら、この時間単位は、30分当たりに限るものではなく、例えば1時間当たり等であってもよく、任意の時間に設定し得るものである。
【0059】
また、上述した実施形態では、本発明の取得可能期間当たりの電力消費量を複数期間について集めた電力データ群の一例として、1か月当たりの電力消費量を12か月に亘って集めた電力データ群が例示されている。しかしながら、この電力データ群は、これに限るものではなく、例えば2か月当たりの電力消費量を24か月に亘って集めた電力データ群等であってもよく、電力消費量の取得可能期間や集積期間は任意の期間に設定し得るものである。
【0060】
また、上述した実施形態では、本発明の電力推移推定システム、電力推移推定プログラム、及び電力推移推定方法の一例として、グループ分類処理を行う電力推移推定システム1、電力推移推定プログラム、及び電力推移推定方法が例示されている。また、本実施形態では、グループ分類処理が、統計処理としての一元配置分散分析法を用いて行われている。そして、本実施形態では、各サンプル需要家Ya,・・・,Yjの平均負荷率に、各グループのグループ平均負荷率を加えた負荷率群が複数の比較負荷率に設定され、最近負荷率推移データx(t)の抽出に用いられる。しかしながら、本発明の電力推移推定システム、電力推移推定プログラム、及び電力推移推定方法は、これに限るものではなく、グループ分類処理は行わず、各サンプル需要家Ya,・・・,Yjの平均負荷率のみを比較負荷率に設定することしてもよい。ただし、グループ分類処理と、グループ平均負荷率を加えた比較負荷率を用いることで、電力消費量の推移の推定精度を向上させることができる点は上述した通りである。尚、グループ分類処理を行う際に用いる統計処理は、一元配置分散分析法に限るものではなく、その他の任意の統計処理を用いることができる。
【0061】
また、上述した実施形態では、本発明の電力推移推定システム、電力推移推定プログラム、及び電力推移推定方法の一例として、通算比率及び期間比率による補正を行う電力推移推定システム1、電力推移推定プログラム、及び電力推移推定方法が例示されている。しかしながら、本発明の電力推移推定システム、電力推移推定プログラム、及び電力推移推定方法は、これに限るものではなく、このような補正は行わずに、最近負荷率推移データx(t)をそのまま用いて電力推移推定データを算出することとしてもよい。ただし、上記の補正を経ることで、電力消費量の推移の推定精度を向上させることができる点は上述した通りである。
【0062】
また、上述した実施形態では、本発明の電力推移推定システム、電力推移推定プログラム、及び電力推移推定方法の一例として、更にピークカット補正と振分け補正を行う電力推移推定システム1、電力推移推定プログラム、及び電力推移推定方法が例示されている。しかしながら、本発明の本発明の電力推移推定システム、電力推移推定プログラム、及び電力推移推定方法はこれに限るものではなく、このような補正は行わずに、通算比率及び期間比率による補正のみを行って電力推移推定データを算出することとしてもよい。ただし、上記のピークカット補正や振分け補正を経ることで、電力消費量の推移の推定精度を更に向上させることができる点は上述した通りである。
【符号の説明】
【0063】
1 電力推移推定システム
11 サンプル記憶部
12 推定対象取得部
13 負荷率算出部
14 対象負荷率算出部
15 グループ負荷率算出部
16 電力推移推定部
S11 推定対象取得工程
S12 負荷率算出工程
S13 対象負荷率算出工程
S14 グループ負荷率算出工程
S15 電力推移推定工程
Ya,・・・,Yj サンプル需要家
Y1 推定対象の需要家