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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】スクリーン除塵設備
(51)【国際特許分類】
   E02B 5/08 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
E02B5/08 101A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020206774
(22)【出願日】2020-12-14
(65)【公開番号】P2022094004
(43)【公開日】2022-06-24
【審査請求日】2023-08-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000168193
【氏名又は名称】株式会社ミゾタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001759
【氏名又は名称】弁理士法人よつ葉国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100093687
【弁理士】
【氏名又は名称】富崎 元成
(74)【代理人】
【氏名又は名称】町田 光信
(74)【代理人】
【識別番号】100168468
【弁理士】
【氏名又は名称】富崎 曜
(72)【発明者】
【氏名】穴井 正一
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-196073(JP,A)
【文献】特開2002-356832(JP,A)
【文献】特開2002-021046(JP,A)
【文献】実開昭53-031837(JP,U)
【文献】特開平11-293652(JP,A)
【文献】実公昭49-013017(JP,Y1)
【文献】特開2017-020293(JP,A)
【文献】実開昭49-148583(JP,U)
【文献】実開昭57-096216(JP,U)
【文献】特開2011-246916(JP,A)
【文献】実開平04-126930(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 5/00-7/18
8/00
8/06-8/08
E02C 1/00-5/02
E03F 1/00-11/00
B01D 23/00-35/04
35/08-37/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水路に対し固定され塵芥を捕捉する第1スクリーン(1)と、
前記第1スクリーン(1)上に積層され前記第1スクリーン(1)に対し相対移動可能かつ着脱可能な第2スクリーン(2)とを備えたスクリーン除塵設備であって、
前記第2スクリーン(2)は、横方向に沿って分割された複数の分割スクリーン(2u)から構成され、且つ
前記分割スクリーン(2u)は、所定のピッチで横方向に沿って設けられた縦バー(21)と、所定のピッチで縦方向に沿って設けられた横バー(22)とによって構成され、且つ
前記分割スクリーン(2u)の表面(21、8)には流水中の塵芥を捕捉する塵芥捕捉素材(50)が装着され
前記塵芥捕捉素材(50)は、剥離可能なフィルム(50)である
ことを特徴とするスクリーン除塵設備。
【請求項2】
請求項に記載のスクリーン除塵設備において、
前記塵芥捕捉素材(50)は、複数の突起物(71)を有する型抜き装置(70)により前記分割スクリーン(2u)の前記縦バー(21)と前記縦バー(21)との間から余分な塵芥捕捉素材(51’)を除去されて、流水が通過可能な貫通口(24)が形成されている
ことを特徴とするスクリーン除塵設備。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスクリーン除塵設備において、
前記分割スクリーン(2u)は、自身の表面に対し垂直に設けられた横長の突起(8)が縦方向に沿って形成されている
ことを特徴とするスクリーン除塵設備。
【請求項4】
請求項1からの何れか1項に記載のスクリーン除塵設備において、
前記分割スクリーン(2u)は、前記第1スクリーン(1)上を摺動可能な車輪(6、7)を備える
ことを特徴とするスクリーン除塵設備。
【請求項5】
請求項に記載のスクリーン除塵設備において、
前記車輪(6、7)はブレーキ機構を備える
ことを特徴とするスクリーン除塵設備。
【請求項6】
請求項1からの何れか1項に記載のスクリーン除塵設備において、
前記第1スクリーン(1)は、所定のピッチで横方向に沿って設けられた縦バー(11)と所定のピッチで縦方向に沿って設けられた横バー(12)とによって構成され、且つ
前記分割スクリーン(2u)の縦バー(21)のピッチは、前記第1スクリーン(1)の縦バー(11)と同じピッチに設定され、且つ
前記分割スクリーン(2u)の横バー(22)のピッチは、前記第1スクリーン(1)の横バー(12)と同じピッチに設定されている
ことを特徴とするスクリーン除塵設備。
【請求項7】
請求項1からの何れか1項に記載のスクリーン除塵設備において、
前記第1スクリーン(1)と前記分割スクリーン(2u)は第1止め金具(3)によって一体化され、隣り合う前記分割スクリーン(2u、2u)は第2止め金具(5)によって一体化される
ことを特徴とするスクリーン除塵設備。
【請求項8】
請求項1からの何れか1項に記載のスクリーン除塵設備において、
前記分割スクリーン(2u)は 引き上げられるための取っ手(4)を備える
ことを特徴とするスクリーン除塵設備。
【請求項9】
請求項に記載のスクリーン除塵設備において、
前記分割スクリーン(2u)の前記取っ手(4)には、ワイヤー(82)が接続され、前記ワイヤー(82)は釣り下げ装置(80)を通って巻上げ装置(81)に係止している
ことを特徴とするスクリーン除塵設備。
【請求項10】
請求項1からの何れか1項に記載のスクリーン除塵設備において、
前記分割スクリーン(2u)の上流と下流との間の水位差が閾値以上になる異常の場合に、
音又は光を含む通知手段によって管理者にその異常を知覚させるように構成されている
ことを特徴とするスクリーン除塵設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン除塵設備に関する。更に詳しくは、簡易な構成で確実に且つ効率的にスクリーンから塵芥を除去することが可能になると共にメンテナンス性に優れたスクリーン除塵設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
国土交通省の揚排水ポンプ設備技術基準によれば、揚排水機場の流入水路又は吸込水槽入口には、除塵設備を設置することが規定されている。除塵設備の一つとして、スクリーンを用いたスクリーン除塵設備が知られている。スクリーンに捕捉された塵芥は、通常、熊手等を用いた人力によって管理者が掻き揚げることにより除去している。
【0003】
しかしながらポンプ稼働時は流速が早いため人力で塵芥を掻き揚げるには、相当の力を要する。管理者が高齢の場合、スクリーンに絡まった塵芥を熊手等で取り除くことは容易ではない。
【0004】
ところで、別個独立のガイドレールを備えた3個のスクリーンが、隣り合ったスクリーンにおいて下側のスクリーン上端部と上側のスクリーン下端部が重複するように剪断方向(面の接線方向)にオフセットした形態で、各ガイドレールの長手方向に沿って多段に各々配設されているスクリーン除塵機が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0005】
特許文献1に記載のスクリーン除塵設備では、各スクリーン上部には管理者がスクリーンを引き上げるためのロッドが取り付けられている。従って、スクリーンに塵芥が溜まる場合、管理者がロッドを人力で引き上げてスクリーンを洗浄することになる。管理者がスクリーンを引き上げて洗浄している間、スクリーン除塵設備の一部にはスクリーンが存在しないことになる。そのため、塵芥がポンプの内部に吸い込まれる虞がある。
【0006】
他方、個別のガイドレールを備えた2個の後面・前面ネットスクリーンが、流れに直交しながら積層した形態で一本の共有ガイドレールに選択的に連結されているスクリーン除塵機が知られている(例えば、特許文献2を参照。)。
【0007】
上記特許文献2に記載のスクリーン除塵機では、各ネットスクリーンにはワイヤロープがそれぞれ接続されている。各ワイヤロープは電動ドラムによって巻き取られるように構成されている。また、ワイヤロープによって引き上げられたネットスクリーンは、スプレーノズルから噴射される高圧水によって網目に絡まった塵芥が除去されることになる。また、後面ネットスクリーンがワイヤロープによって引き上げられて洗浄されている間、前面ネットスクリーンが水中の塵芥を捕捉することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】実公昭49-13017号公報
【文献】特公昭53-11141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献2に記載のスクリーン除塵機では、ネットスクリーンの引上げ、洗浄(塵芥除去)及び戻しが自動的に行われることになる。
【0010】
しかしながら、上記特許文献2に記載のスクリーン除塵機では、各ネットスクリーンに対し個別のワイヤロープ及び電動ドラムが必要となることに加え、各ネットスクリーンを共有ガイドレールに選択的に連結する切替機構、さらにはスプレーノズルと、スプレーノズルに水を供給する水中ポンプとポンプ揚水配管とストレーナとが別途必要となる。このように、上記特許文献2に記載のスクリーン除塵機では、システムの構成が複雑になるという問題がある。
【0011】
また、各ネットスクリーンの洗浄について、高圧水によって除去された塵芥は流塵樋によって回収されることになっている。しかしながら、網目に複雑に絡んだ塵芥は、高圧水によって除去することは容易ではない。また、仮に除去できた場合であっても、高圧水によって除去された塵芥はランダムな方向に飛散するため、塵芥を確実に流塵樋に回収することは容易ではない。すなわち、ネットスクリーンに堆積した塵芥の除去について確実性の問題がある。
【0012】
他方、上記特許文献1に記載のスクリーン除去設備では、管理者がネットスクリーンを引き上げる際、下方に行くほど水圧が負荷されるため最下段に配置されたネットスクリーンを引き上げるためには大きな労力または動力(馬力)が必要となる。特に人力によって引き上げる場合、管理者の体力によってはネットスクリーンを安全に引き上げることが難しい場合が起こり得る。すなわち、ネットスクリーンに堆積した塵芥の除去について安全性・効率性の問題がある。
【0013】
そこで、本発明は上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであり、その目的は、簡易な構成で確実に且つ効率的にスクリーンから塵芥を除去することが可能になると共にメンテナンス性に優れたスクリーン除塵設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するための本発明に係るスクリーン除塵設備は、水路に対し固定され塵芥を捕捉する第1スクリーン(1)と、前記第1スクリーン(1)上に積層され前記第1スクリーン(1)に対し相対移動可能かつ着脱可能な第2スクリーン(2)とを備えたスクリーン除塵設備であって、前記第2スクリーン(2)は、横方向に沿って分割された複数の分割スクリーン(2u)から構成され、且つ前記分割スクリーン(2u)は、所定のピッチで横方向に沿って設けられた縦バー(21)と、所定のピッチで縦方向に沿って設けられた横バー(22)とによって構成され、且つ前記分割スクリーン(2u)の表面(21、8)には流水中の塵芥を捕捉する塵芥捕捉素材(50)が装着されていることを特徴とする。
【0015】
本発明に係るスクリーン除塵設備の第2の特徴は、前記塵芥捕捉素材(50)は、剥離可能なフィルム(50)であることである。
【0016】
本発明に係るスクリーン除塵設備の第3の特徴は、前記塵芥捕捉素材(50)は、複数の突起物(71)を有する型抜き装置(70)により前記分割スクリーン(2u)の前記縦バー(21)と前記縦バー(21)との間から余分な塵芥捕捉素材(51’)を除去されて、流水が通過可能な貫通口(24)が形成されていることである。
【0017】
本発明に係るスクリーン除塵設備の第4の特徴は、前記分割スクリーン(2u)は、自身の表面に対し垂直に設けられた横長の突起(8)が縦方向に沿って形成されていることである。
【0018】
本発明に係るスクリーン除塵設備の第5の特徴は、前記分割スクリーン(2u)は、前記第1スクリーン(1)上を摺動可能な車輪(6、7)を備えることである。
【0019】
本発明に係るスクリーン除塵設備の第6の特徴は、前記車輪(6、7)はブレーキ機構を備えることである。
【0020】
本発明に係るスクリーン除塵設備の第7の特徴は、前記第1スクリーン(1)は、所定のピッチで横方向に沿って設けられた縦バー(11)と所定のピッチで縦方向に沿って設けられた横バー(12)とによって構成され、且つ前記分割スクリーン(2u)の縦バー(21)のピッチは、前記第1スクリーン(1)の縦バー(11)と同じピッチに設定され、且つ前記分割スクリーン(2u)の横バー(22)のピッチは、前記第1スクリーン(1)の横バー(12)と同じピッチに設定されていることである。
【0021】
本発明に係るスクリーン除塵設備の第8の特徴は、前記第1スクリーン(1)と前記分割スクリーン(2u)は第1止め金具(3)によって一体化され、隣り合う前記分割スクリーン(2u、2u)は第2止め金具(5)によって一体化されることである。
【0022】
本発明に係るスクリーン除塵設備の第9の特徴は、前記分割スクリーン(2u)は 引き上げられるための取っ手(4)を備えることである。
【0023】
本発明に係るスクリーン除塵設備の第10の特徴は、前記分割スクリーン(2u)の前記取っ手(4)には、ワイヤー(82)が接続され、前記ワイヤー(82)は釣り下げ装置(80)を通って巻上げ装置(81)に係止していることである。
【0024】
本発明に係るスクリーン除塵設備の第11の特徴は、前記分割スクリーン(2u)の上流と下流との間の水位差が閾値以上になる異常の場合に、少なくとも音又は光を含む通知手段によって管理者にその異常を知覚させるように構成されていることである。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るスクリーン除塵設備によれば、簡易な構成で確実に且つ効率的にスクリーンから塵芥を除去することが可能になると共にメンテナンス性に優れたスクリーン除塵設備とすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係る着脱式分割スクリーンを示す説明図である。
図2】本発明に係る第1スクリーンを示す説明図である。
図3】本発明に係る第2スクリーンユニットを示す説明図である。
図4図3(b)のA部拡大図である。
図5】本発明に係る第1止め金具を示す説明図である。
図6】本発明に係る第2止め金具を示す説明図である。
図7】第2スクリーンユニットの縦バー及びレーキの各表面に貼り付けられる吸着フィルムの元フィルムを示す説明図である。
図8】フィルム型抜き装置による貫通口を覆う元フィルムの除去工程を示す説明図である。
図9】本発明に係る着脱式分割スクリーンの設置を示す説明図である。
図10】本発明に係る第2スクリーンユニットに対し塵芥が堆積した状態を示す説明図である。
図11】本発明に係る第2スクリーンユニットについての水中から地上への第1スクリーンに沿った引き上げ状態を示す説明図である。
図12】本発明に係る第2スクリーンユニットについての第1スクリーンからの分離・地上への引き上げ状態を示す説明図である。
図13】本発明に係る第2スクリーンユニットについての地上への着地過程を示す説明図である。
図14】本発明に係る第2スクリーンユニットについての地上での停止状態を示す説明図である。
図15】本発明に係る第2スクリーンユニットについての吸着フィルムの剥がしを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係る着脱式分割スクリーン100を示す説明図である。なお、図1(a)は着脱式分割スクリーン100の正面図を表し、図1(b)は同右側面図を表している。
【0029】
この着脱式分割スクリーン100は、スクリーンによって捕捉された流水中の塵芥を確実に且つ効率的に除去することができるように構成されている。そのための構成として、この着脱式分割スクリーン100は、流水中に固定される第1スクリーン1と、第1スクリーン1上に積載され第1スクリーン1に対し縦方向に沿って相対移動可能であり、分割して取外し可能な第2スクリーン2とを具備して構成されている。なお、本実施形態では、第1スクリーン1の目幅と第2スクリーン2の目幅は同じとしているが、異なっていてもよい。以下、各構成について更に説明する。
【0030】
図1(a)に示されるように、本実施形態では、第2スクリーン2は所定のピッチ(例えば、400mm幅)で、複数(例えば4つ)のユニット(以下「第2スクリーンユニット2u」という。)に分割されて構成されている。第2スクリーンユニット2uは、第2スクリーンユニット2uを第1スクリーン1上に固定するための第1止め金具3と、第2スクリーンユニット2uを引き上げるための取っ手4と、隣り合う第2スクリーンユニット2u,2uを一体化するための第2止め金具5と、第2スクリーンユニット2uを第1スクリーン1上または地面上を走行可能にする第1キャスター6及び第2キャスター7と、第2スクリーンユニット2uが第1スクリーン1に沿って引き上げられる際に流水中の塵芥を捕捉するレーキ8とをそれぞれ備えている。
【0031】
従って、第2スクリーンユニット2uに流水中の塵芥が堆積する場合、第2スクリーンユニット2uは取っ手4を介して地上に引き上げられ、地上において第2スクリーンユニット2uから塵芥を除去することになる。また、第2スクリーンユニット2uの縦バー21及びレーキ8の各表面には吸着フィルム50(図3)が密に貼られている。従って、吸着フィルム50を縦バー21及びレーキ8の各表面から剥がすことにより、第2スクリーンユニット2uから塵芥を確実・効率的に除去することが可能となる。なお、吸着フィルム50は、専用の治具(図8)によって第2スクリーンユニット2uの縦バー21及びレーキ8の各表面に密に貼られることになる。また、第2スクリーンユニット2uの引き上げは、例えば釣り下げ装置80(図9)、巻上げ装置81(図9)及びワイヤー82(図9)によって行われる。これについては図9から図15を参照しながら後述する。
【0032】
なお、図1(b)に示されるように、本実施形態では、第2スクリーンユニット2uを第1スクリーン1上に固定するための第1止め金具3は、掛け式止め金具を使用している。本実施形態では、掛け部3aが第2スクリーンユニット2uに設けられ、固定部3bが第1スクリーン1に設けられている。この第1止め金具3については図5を参照しながら後述する。
【0033】
また、隣り合う第2スクリーンユニット2u,2uを一体化する第2止め金具5については、スライド式止め金具を使用している。この第2止め金具5については図6を参照しながら後述する。
【0034】
また、第2スクリーンユニット2uの裏側(第1スクリーン1に対向する側)の四隅には第1キャスター6と第2キャスター7が設けられている。第1キャスター6と第2キャスター7は、ともに軸周りに回転自由なローラーで走行するタイプであるが、第1キャスター6はローラー支持機構自体が垂直軸の周りに回転可能である、いわゆる回転自在キャスターである。一方、第2キャスター7は、ローラ支持機構が垂直軸の周りに回転不能である、いわゆる固定キャスターである。また、第1キャスター6又は第2キャスター7の何れか一方または双方にブレーキ機構(走行停止機構)が設けられている。
【0035】
第1キャスター6は取っ手4に近い方の2隅に設けられている一方、第2キャスター7は取っ手4から離れた2隅に設けられている。なお、第1キャスター6及び第2キャスター7は、ともに第1スクリーン1の縦バー11上を摺動するように構成されている。これについては図3を参照しながら後述する。
【0036】
図2は、本発明に係る第1スクリーン1を示す説明図である。なお、図2(a)は第1スクリーン1の正面図を表し、図2(b)は同右側面図を表している。
図2(a)に示されるように、第1スクリーン1は、所定の間隔(ピッチ)で横方向に沿って設けられた複数の縦バー11と、縦バー11に交差しながら所定の間隔(ピッチ)で縦方向に沿って設けられた複数の横バー12と、第1止め金具3の固定部3bが固定された天板13とを具備して構成されている。
【0037】
隣り合う縦バー11,11と隣り合う横バー12,12とによって矩形状の貫通口14が形成されている。従って、流水中の塵芥は縦バー11又は横バー12によって捕捉され、塵芥が除去された流水が貫通口14を通過して揚排水ポンプ設備に流入することになる。
【0038】
また、天板13には、各第2スクリーンユニット2uを第1スクリーン1上に固定する各第1止め金具3の固定部3bが第2スクリーンユニット2uの個数だけ設けられている。
【0039】
図3及び図4は、本発明に係る第2スクリーンユニット2uを示す説明図である。なお、図3(a)は第2スクリーンユニット2uの正面図を表し、図3(b)は同右側面図を表している。図3(c)は第2スクリーンユニット2uの下面図を表している。また、図4図3(b)のA部拡大図である。
【0040】
図3(a)に示されるように、第2スクリーンユニット2uは、所定の間隔(ピッチ)で横方向に沿って設けられた複数の縦バー21と、縦バー21に交差しながら所定の間隔(ピッチ)で縦方向に沿って設けられた複数の横バー22と、第1止め金具3の掛け部3aと取っ手4並びに第2止め金具5のスライド部5a及び係止部5bが固定された天板23とを具備して構成されている。なお、本実施形態では、縦バー21のピッチと、第1スクリーン1の縦バー11のピッチは同じとしている。同様に、横バー22のピッチと第1スクリーン1の横バー12のピッチは同じとしている。また、第2スクリーンユニット2uの素材については、例えば、金属、プラスチック、又は木材等が使用可能である。
【0041】
天板23には、第2スクリーンユニット2uを第1スクリーン1上に固定するための第1止め金具3の掛け部3aが設けられている。掛け部3aの近くには、第2スクリーンユニット2uを引き上げるための取っ手4が設けられている。さらに、隣り合う第2スクリーンユニット2u,2uを一体化する第2止め金具5のスライド部5aと係止部5bが天板23の横方向の端部にそれぞれ設けられている。また、隣り合う縦バー21,21と隣り合う横バー22,22とによって矩形状の貫通口24が形成されている。
【0042】
図4に示されるように、各縦バー21の表面及び各レーキ8の表面には、吸着フィルム50が貼られている。吸着フィルム50は貫通口24を塞ぐことがないように貼られている。従って、流水中の塵芥は縦バー21又はレーキ8によって捕捉され、塵芥が除去された流水が貫通口24を通過して第1スクリーン1に流入することになる。吸着フィルム50の素材としては、例えばサランラップ(登録商標)のようなフィルム同士で吸着可能で、縦バー21の表面及びレーキ8の表面に貼り付き可能なフィルムを使用することができる。或いは水中で使用可能な粘着シート、粘着テープを使用することができる。
【0043】
また、縦バー21及び各レーキ8の各表面に塵芥が堆積した場合、第2スクリーンユニット2uは水中から引き上げられ地面に置かれる。そして、吸着フィルム50は各縦バー21の表面及び各レーキ8の表面からそれぞれ剥がされることになる。これについては、図9図15を参照しながら後述する。
【0044】
図3に戻って、図3(c)に示されるように、第2キャスタ-7のローラーには第1スクリーン1の縦バー11に嵌合するローラ溝7aが形成されている。同様に、第1キャスター6のローラーにも第1スクリーン1の縦バー11に嵌合するローラ溝6a(図示せず)が形成されている。従って、第2スクリーンユニット2uは第1スクリーン1の縦バー11に沿って安定に移動することになる。
【0045】
図5は、本発明に係る第1止め金具3を示す説明図である。なお、図5(a)は第1止め金具3のロック解除状態を表し、図5(b)は第1止め金具3のロック状態を表している。また、説明の都合上、図5(a)において掛け部3aと固定部3bが互いに分離して表されている。
【0046】
図5(a)に示されるように、第1止め金具3は掛け部3aと固定部3bとから成る。掛け部3aには、先端にハンドル形状貫通孔31aが形成されヒンジ状に回転可能な回転レバー32aが設けられている。一方、固定部3bにはそのハンドル形状貫通孔31aを貫通するハンドル部31bが設けられている。ハンドル部31bは、天板13の法線方向(垂直方向)の周りに所定の角度(例えば90°)だけ回転可能に構成されている。
【0047】
従って、図5(b)に示されるように、先ず回転レバー32aを回転させて、ハンドル部31bにハンドル形状貫通孔31aを貫通させる。次にハンドル部31bを所定の角度だけ回転させる。その結果、回転レバー32aがハンドル部31bによって回転を抑制される。これにより第1止め金具3がロック状態になり、第2スクリーンユニット2uが第1スクリーン1上に固定される。すなわち、第1スクリーン1と第2スクリーンユニット2uが一体化される。
【0048】
図6は、本発明に係る第2止め金具5を示す説明図である。なお、図6(a)は第2止め金具5のロック解除状態を表し、図6(b)は第2止め金具5のロック移行状態を表している。また、図6(c)は第2止め金具5のロック状態を表している。
【0049】
図6(a)に示されるように、第2止め金具5はスライド部5aと係止部5bとから成る。スライド部5aには、固定ねじ51aが相対移動可能な切欠き52aが長手方向に沿って形成されている。また、スライド部5aの先端には係止部5bに係止する凸部53aが設けられている。一方、係止部5bにはスライド部5aが嵌合するスリット(図示せず)が形成されている。
【0050】
従って、固定ねじ51aを緩めると、スライド部5aは固定ねじ51aを中心として回転可能になる。ここでスライド部5aを図上時計方向に回転させる。
【0051】
すると、図6(b)に示されるように、スライド部5aが係止部5bのスリット(図示せず)に嵌合してこれ以上回転することができなくなる。この場合、スライド部5aを図上左方向に移動させる。
【0052】
すると、図6(c)に示されるように、凸部53aが係止部5bに移動を阻止され移動することができなくなる。
【0053】
固定ねじ51aを締めることによって、スライド部5aは回転・スライドについてロックされる。これにより、隣り合う第2スクリーンユニット2u,2uは一体化されることになる。
【0054】
図7は、第2スクリーンユニット2uの縦バー21及びレーキ8の各表面に貼り付けられる吸着フィルム50の元フィルム51を示す説明図である。
図7(a)に示されるように、この元フィルム51は、第2スクリーンユニット2uの全ての縦バー21及びレーキ8を包絡する十分な広さ(表面積)を有している。なお、元フィルム51の材質については、水中で使用可能な粘着性を有するフィルムを使用することができる。
【0055】
また、図7(b)に示されるように、元フィルム51は、流水に対向する縦バー21及びレーキ8の各表面に密着するように貼られている。
【0056】
なお、縦バー21と縦バー21との間に形成された隙間(縦バー間の隙間)は、流水が通過することになるため、この縦バー間の隙間を覆う元フィルム51は除去される必要がある。この縦バー間の隙間を覆う元フィルム51は、専用のフィルム型抜き装置70(図8)によって除去されることになる。以下、フィルム型抜き装置70による縦バー間の隙間を覆う元フィルム51の除去について説明する。
【0057】
図8は、フィルム型抜き装置70による縦バー間の隙間を覆う元フィルム51の除去工程を示す説明図である。
図8(a)に示されるように、フィルム型抜き装置70は、横方向の幅W1が縦バー間の隙間(縦バー21と縦バー21との間)の目幅W2より小さい複数の突起物71が、横方向に沿って所定のピッチで設けられている。突起物71は、形状が例えば3角柱形状を成している。なお、突起物71の形状は3角柱形状に限定されない。すなわち、縦バー間の隙間を覆う元フィルム51が除去され且つ縦バー21の表面に元フィルム51が密着される形状であれば良い。
【0058】
図8(b)に示されるように、突起物71が縦バー21と縦バー21との間に位置するように、フィルム型抜き装置70を下降させる。
【0059】
図8(c)に示されるように、縦バー21の表面が突起物71と突起物71との間に当接するまで、フィルム型抜き装置70を下降させる。その後、フィルム型抜き装置70を紙面に垂直方向に移動させることにより、縦バー間の隙間(縦バー21と縦バー21との間)を覆う元フィルム51は除去されると共に、除去されなかった元フィルム51については、フィルム型抜き装置70によって縦バー21及びレーキ8の各表面に密着されることになる。
【0060】
図8(d)に示されるように、フィルム型抜き装置70を上方へ引き上げ、元フィルムの切り屑51’を除去することにより、縦バー21及びレーキ8の各表面に吸着フィルム50が密に貼られた第2スクリーンユニット2u(図3)が得られることになる。以下において、本発明に係る着脱式分割スクリーン100の運用について説明する。
【0061】
図9図15は、本発明に係る着脱式分割スクリーン100の保守管理を示す説明図である。
図9に示されるように、着脱式分割スクリーン100は、例えば河川等の揚排水ポンプ設備の上流側で、水流に対し下流側に傾斜して設置される。第1スクリーン1は揚排水ポンプ設備側に支持・固定されている。第2スクリーンユニット2uは、第1止め金具3によって第1スクリーン1上にそれぞれ固定されている。
【0062】
第2スクリーンユニット2uの上部に設けられた取っ手4にはワイヤー82が接続されている。ワイヤー82は釣り下げ装置80を通され、巻上げ装置81に係止している。
【0063】
また、第2スクリーンユニット2uの上流側には上流側水位計90が設けられている。一方、第2スクリーンユニット2uの下流側にも下流側水位計91が設けられている。従って、上流側水位計90、下流側水位計91の計測信号は制御装置(図示せず)に送信される。
【0064】
従って、図10に示されるように、第2スクリーンユニット2uの前後(上流と下流との間)に、例えば30cm(閾値)以上の水位差が発生する異常の場合に、制御装置(図示せず)が警報を鳴らすようになっている。同時に、制御装置によってライトが点灯または点滅して第2スクリーンユニット2uに塵芥が堆積していることを管理者に通知するようになっている。
【0065】
従って、管理者は、第1止め金具3を緩め、その後第2止め金具5を緩めることにより、第2スクリーンユニット2uを着脱可能(移動可能)状態にする。
【0066】
その状態で、管理者が巻上げ装置81でワイヤー82を巻き上げると、図11に示されるように、第2スクリーンユニット2uはワイヤー82に引っ張られて第1スクリーン1上を移動する。
【0067】
管理者が巻上げ装置81で更にワイヤー82を巻き上げると、図12に示されるように、第2スクリーンユニット2uは第1スクリーン1から分離して揚排水ポンプ設備側に引き上げられる。
【0068】
第2スクリーンユニット2uが揚排水ポンプ設備側に引き上げられると、図13に示されるように、管理者は巻上げ装置81を逆回転させてワイヤー82を送り出す。その結果、第2キャスター7側が着地した状態で、第1キャスター6側が揚排水ポンプ設備側に向けて下降し始める。
【0069】
管理者が巻上げ装置81で更にワイヤー82を送り出すと、図14に示されるように、第2キャスター7側と同様に第1キャスター6側も揚排水ポンプ設備側に着地するようになる。管理者は塵芥が堆積した吸着フィルム50を剥がすために、取っ手4からワイヤー82を外して、第2スクリーンユニット2uを所定の場所へ移動させる。
【0070】
管理者は第2スクリーンユニット2uを所定の場所に移動させた後、第2キャスター7をロックして移動不能状態にする。図15に示されるように、管理者は縦バー21及びレーキ8の各表面から吸着フィルム50を剥がす。
【0071】
以上の通り、本発明の上記実施形態に係る着脱式分割スクリーン100によれば、簡易な構成で確実に且つ効率的にスクリーンから塵芥を除去することが可能になると共にメンテナンス性に優れるようになる。
【0072】
特に、第2スクリーン2は、横方向に沿って分割された複数の第2スクリーンユニット2uから構成され、且つ第2スクリーンユニット2uは、所定のピッチで横方向に沿って設けられた縦バー21と、所定のピッチで縦方向に沿って設けられた横バー22とによって構成され、且つ縦バー21及びレーキ8の各表面に剥離可能な吸着フィルム50が装着されている。
【0073】
これにより、流水中の塵芥は縦バー21及びレーキ8の各表面に貼られた吸着フィルム50によって捕捉されることになる。そして捕捉された塵芥は吸着フィルム50を剥がすことにより、確実に且つ効率良く第2スクリーンユニット2uから塵芥を除去することが可能になる。また、専用のフィルム型抜き装置70によって第2スクリーンユニット2uの縦バー21及びレーキ8の各表面に新しい吸着フィルム50を容易に貼り付けることができるため、メンテナンス性が向上するようになる。
【0074】
さらに、第2スクリーン2は複数の第2スクリーンユニット2uで構成されている。これにより、第2スクリーン2について部分的な塵芥の除去が可能となり、メンテナンス性が向上するようになる。
【0075】
また、第2スクリーンユニット2uは、縦バー21に対し垂直に設けられた横長のレーキ8が縦方向に沿って形成されている。これにより、流水中の塵芥はレーキ8によっても捕捉されることになるため、流水中の塵芥は第2スクリーンユニット2uによって好適に捕捉されることになる。
【0076】
また、第2スクリーンユニット2uは、第1スクリーン1上を摺動可能な第1キャスター6及び第7キャスター7を備えている。これにより、第2スクリーンユニット2uから容易に脱着することが可能となる。また、第1キャスター6又は第2キャスター7にブレーキ機構が備わる場合は、安定して第2スクリーンユニット2uに吸着フィルム50を貼り付け、或いは吸着フィルム50を剥がすことが可能となる。
【0077】
また、第1スクリーン1と第2スクリーンユニット2uは第1止め金具3によって一体化され、隣り合う第2スクリーンユニット2u,2uは第2止め金具5によって一体化されている。これにより、水路中において第2スクリーンユニット2uは第1スクリーン1上に安定に支持・固定されることになる。
【0078】
また、第2スクリーンユニット2uは取っ手4を備え、その取っ手4には、ワイヤー82が接続され、そのワイヤー82は釣り下げ装置80を通って巻上げ装置81に係止している。これにより、第2スクリーンユニット2uを第1スクリーン1から安全に着脱することが可能となる。その結果、吸着フィルム50を縦バー21及びレーキ8の各表面から取り外し/各表面に取り付けることが容易となる。
【0079】
以上、図面を参照しながら本発明の一実施形態に係る着脱式分割スクリーン100について説明してきたが、本発明の実施形態は上記のみに限定されることはない。本発明の技術的範囲内において種々の修正・変更を加えることが可能である。例えば、吸着フィルム50は、必要があれば、洗濯挟みのようなクリップを使用して固定することも可能である。或いは、想定される除去したい大きさのゴミ(枯れ草、プラスチックゴミ等)を捕捉するものであれば、吸着フィルム50に代えて、漁網のよな網目、縦横に平織された麻、木綿、合成繊維等で編まれた物、金網等によって第2スクリーンユニット2uの表面(縦バー間の隙間を含む)を覆う形態であっても良い。また、巻上げ装置81の動力源については、少なくとも第2スクリーンユニット2uを水中から引き上げることができる回転トルクを有していれば良く、例えば管理者の人力による手動式回転機械、電動機等の電気式回転機械、あるいは手動式回転機械に電動機を追加した方式を使用することが可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 第1スクリーン
11 縦バー
12 横バー
13 天板
14 貫通口
2 第2スクリーン
2u 第2スクリーンユニット
21 縦バー
22 横バー
23 天板
24 貫通口
3 第1止め金具
3a 掛け部
31a ハンドル形状貫通孔
3b 固定部
31b ハンドル部
4 取っ手
5 第2止め金具
5a スライド部
51a 固定ねじ
52a 切欠き
53a 凸部
5b 係止部
6 第1キャスター
7 第2キャスター
8 レーキ
50 吸着フィルム(塵芥捕捉素材)
51 元フィルム
51’ 元フィルムの切り屑
70 フィルム型抜き装置
71 突起物
80 釣り下げ装置
81 巻上げ装置
82 ワイヤー
100 着脱式分割スクリーン(スクリーン除塵設備)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15