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特許7509425組成物を形成する方法及びそれから形成される組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】組成物を形成する方法及びそれから形成される組成物
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/14 20060101AFI20240625BHJP
   C08K 3/00 20180101ALI20240625BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20240625BHJP
   H01M 50/403 20210101ALI20240625BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20240625BHJP
   H01G 11/52 20130101ALI20240625BHJP
   H01M 50/434 20210101ALI20240625BHJP
   H01M 50/414 20210101ALI20240625BHJP
   H01M 50/42 20210101ALI20240625BHJP
   H01M 50/417 20210101ALI20240625BHJP
   H01M 50/423 20210101ALI20240625BHJP
   H01M 50/426 20210101ALI20240625BHJP
   H01M 50/449 20210101ALI20240625BHJP
   C08J 9/28 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
C08J3/14
C08K3/00
C08L101/00
H01M50/403
H01G11/84
H01G11/52
H01M50/403 D
H01M50/434
H01M50/414
H01M50/42
H01M50/417
H01M50/423
H01M50/426
H01M50/449
H01M50/403 B
H01M50/403 C
C08J9/28 101
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020561035
(86)(22)【出願日】2019-05-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 US2019031065
(87)【国際公開番号】W WO2019217381
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】62/667,799
(32)【優先日】2018-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520421983
【氏名又は名称】ティーブス アールアンドディ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】TEEBS R&D,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ビアード、トレバー
【審査官】脇田 寛泰
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0319300(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108448093(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110212162(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109192922(CN,A)
【文献】特開2013-234306(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0127570(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105295264(CN,A)
【文献】国際公開第2016/031466(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0320758(US,A1)
【文献】特開2013-020769(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0135306(KR,A)
【文献】国際公開第2017/197299(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/057682(WO,A1)
【文献】特表2021-522665(JP,A)
【文献】特開平11-12385(JP,A)
【文献】特開2004-352824(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0060800(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J3/00-3/28
9/00-9/42
99/00
C08K3/00-13/08
C08L1/00-101/14
H01M50/40-50/497
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物を作製する方法であって、
ポリマーと溶媒とを含んでなる溶媒混合物を形成する工程と、
前記溶媒混合物を非溶媒と組み合わせることによって、フィブリル化ポリマーマトリクス中に複数のフィラー粒子を含む組成物を沈殿させる工程であって、前記組成物は粒子の形態にあり、当該粒子の形態の組成物の内部では隙間空間を横切る前記フィブリル化ポリマーマトリクスのポリマーフィラメントが前記複数のフィラー粒子を機械的に結合しており、前記ポリマーフィラメントは前記隙間空間において当該ポリマーフィラメントによってフィラメント結合されている前記複数のフィラー粒子の間で細長い形状で沈殿させられており、前記沈殿させる工程の前の前記溶媒及び前記非溶媒の少なくとも1つが前記複数のフィラー粒子を含んでいる、前記組成物を沈殿させる工程と、
前記組成物を沈殿させる工程の後、前記組成物から前記溶媒及び前記非溶媒の95重量パーセント以上を除去する工程と、
分散されている前記複数のフィラー粒子の間の隙間空間の体積を縮小させることで、均一に分散されている前記複数のフィラー粒子の間に存在する隙間空間を減じる工程とを備え、
前記組成物は多孔性であり40~99体積パーセントのボイド含有量を有しており、前記組成物の総体積に基づいて90体積パーセント以上のフィラー粒子含有量を有しており、前記フィラー粒子は、前記ポリマーフィラメントに付着しているか又は前記組成物内に埋め込まれており、細孔に露出しているフィラー粒子表面積が50面積パーセント以上であり、前記組成物の総重量からあらゆる溶媒を差し引いた重量に対して、90重量パーセント以上のフィラー粒子と、1~10重量パーセントのフィブリル化ポリマーマトリクスとを含んでおり、平均フィラー粒子直径が100マイクロメートル以下であり、前記ポリマーフィラメントの平均直径が前記平均フィラー粒子直径の5~50%である、方法。
【請求項2】
前記溶媒混合物は、前記溶媒混合物の総重量に基づいて50~95重量パーセント以上の前記溶媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
溶媒及び非溶媒の少なくとも一方が、アセトン、シクロヘキサノン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、テトラメチル尿素、又はリン酸トリメチルのうちの少なくとも1つを含み、
溶媒及び非溶媒の他方は、酸性溶液、アルコール、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、塩基性溶液、ブチロラクトン、酢酸N-ブチル、酢酸カルビトール、ジイソブチルケトン、ジメチルフタレート、エチルアセトアセテート、グリコールエーテル、グリコールエーテルエステル、トリアセテートグリセリル、ハロゲン化溶媒、イソホロン、イソブチルケトンメチル、炭酸プロピレン、リン酸トリエチル、又は水のうちの少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記溶媒混合物を前記非溶媒と組み合わせることは、前記溶媒混合物を前記非溶媒に注ぐ又は注入することによって前記溶媒混合物を前記非溶媒に添加するとともに能動的に攪拌することを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物を含んでなる層を形成する工程をさらに含み、当該層を形成する工程は、前記組成物を、押し出し、貼り付け、鋳型成形、トロール、熱成形、カレンダー加工、ラミネート、またはロールコーティングすることを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記フィラー粒子が、塩、金属酸化物、シリカ、ガラス、二酸化ケイ素ガラス、炭素質材料、有機材料、非金属酸化物、粘土、石英、炭酸カルシウム、粒子状ゴム、ガラス繊維、又は木材パルプのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記フィラー粒子が溶解性フィラー粒子を含み、前記方法が前記組成物から前記溶解性フィラー粒子を溶解する工程をさらに備え、ここで、前記組成物は、組成物の総重量から溶媒を差し引いた量に基づいて、0~15重量%の溶解性フィラー粒子を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリマーが、フルオロポリマー、アクリルポリマー、ポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ナイロン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ゴム、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、シラン、又はエポキシのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は組成物を形成する方法及びそれから形成される組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリー電極、プロセス機器部品、化学検出器、センサ、ろ過システムなどの充填ポリマー材料の用途は、処理、反応、テスト、又はプロセスに付される媒体と、使用されるフィラーとの間の、直接、密接、及び全面的な接触によって機能を与えることができ、これらの工程又は変換操作を達成する。同時に、これらの異なる産業や操作の多くで使用されるフィラー複合材料は、固体粒子又は粉末を、多くの場合ポリマー材料であるバインダーにしっかりと付着させる必要がある一方で、フィラーの高い表面露出を可能にして、フィラー粒子と外部流体又は媒体との間の高度の相互作用を達成する必要がある。ただし、十分なスタンドアロンの構造的完全性を備えた高い表面露出を維持しながら、フィラー粒子を結合するこのバランスを達成することは困難である。
【0003】
典型的なフィラー複合材料は、溶液又はスラリーの流延成形、焼結、押し出し、カレンダー加工、圧縮成形などを含む様々なプロセスによって製造されてきた。ただし、これらの方法は、形成前又は形成中にフィラー材料が凝集する傾向があり、フィラー表面へのアクセスが妨げられるため、バインダーにフィラーを配置すると有意に乱雑となる。さらに、これらのプロセスは、フィラーを効果的にカプセル化するバインダーの薄い表面層を備えたフィラー材料を生成することが多く、それによってカプセル化されたフィラー材料へのアクセスが制限される。最終的な結果として、これらのプロセスを使用して作成されたフィラー複合材料は、フィラー材料の表面へのアクセスが制限され、多くの用途で特性が低下する可能性がある。
【0004】
例えば、バッテリー電極には、電解質媒体と接触してイオンを伝導するフィラー粒子(活性物質と呼ばれる)が含まれている。従来のプロセスを使用して電極用の活性層を形成すると、活性物質への電解質のアクセスが減少するため、それぞれの粒子に出入りするイオンの流れを制限し得る活性物質の表面露出を減らす結果となり得る。さらに、活性物質の表面にバインダーが存在するために活性物質の表面露出が減少すると、複合材料の電気抵抗が増加し、堆積したバインダーの中又は周囲の電子の流れが大幅に減少し、バッテリー電極の特性が下がる。正味の効果は、そのように低レベルの活性物質の露出表面積を備えた電極を有するバッテリーは、より低いレート能力(低減された電力)を有し得るので、より低い比容量(より低いエネルギー密度)に帰着し得る。
【0005】
電極内の活性層を圧縮して、導電性フィラー粒子間のより緊密なパッキング及び接触を提供するために使用されてきた後処理操作は、活性物質の不十分な表面露出に関連するこれらの問題をさらに悪化させる可能性がある。例えば、フィラー表面がポリマーフィルム内又はポリマーフィルム上に十分に露出されていない従来のプロセスを使用して作成されたフィラー複合活性層の圧縮はそもそも、フィラー粒子間の隙間の体積又は多孔性の減少によって、フィラー表面へのアクセス可能な表面積のさらなる大幅な減少を引き起こす可能性がある。アクセス可能な表面積の減少は、隙間の体積又は多孔性の減少が、電極の複合材料中のフィラー材料への電解質媒体のアクセスを減少させる可能性があるために生じる。最終的に、活性層の圧縮は、複合材料の細孔の崩壊及びイオン流の経路の数の減少のために、電解質媒体の活性物質へのすでに制限されたアクセスを悪化させる可能性があり、それぞれが電池の性能を妨げる可能性がある。
【0006】
従来のプロセスを使用してフィラー複合材料を製造することの追加の欠点には、溶媒の流延成形の問題や乾燥プロセスの問題が含まれる可能性がある。これらの問題には、コーティングの厚さが薄いこと、溶媒又は希釈剤キャリア媒体の乾燥速度が遅いこと、溶媒を再生又は焼却する必要があることが含まれ、それぞれが負担の大きい製造コストを加える可能性がある。さらに、これらのプロセスは、キャリア基板の近くのフィラー複合材料内にバインダーが豊富でフィラーが不足した層が形成される可能性があるため、最終製品のフィラー複合材料の機能を低下させるリスクをもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、高いフィラー含有量、均一なフィラー分布、均一な多孔性、又はフィラー上のバインダーの低い表面被覆率のうちの1つ以上を達成して、フィラー材料の表面積へのより大きなアクセスを可能にする組成物を形成するためのプロセスが望まれる。プロセスが、他の方法では明らかではない所望の程度のボイド含有量/多孔性を含む最終製品の膜のマクロ構造の制御可能なフォーマットを備えた、均一な、任意選択で高度に充填された組成物の容易、迅速、直接、又は低コストの作成を可能にすることができれば、また望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に開示されるのは、組成物を形成する方法及びそれから形成される組成物である。
一態様では、組成物を作製する方法であって、この方法は、ポリマー及び溶媒を含有する溶媒混合物を形成する工程と、非溶媒によって溶媒混合物を沈殿させて、フィブリル化ポリマーマトリクス中にフィラーを含む組成物を形成する工程であって、組成物は粒子の形態にあり、溶媒及び非溶媒の少なくとも1つはフィラーを含む、組成物を形成する工程と、組成物を溶媒及び非溶媒から分離して、組成物を単離する工程とを備える。
【0009】
別の態様では、相反転プロセスによって製造された多孔質材料であって、溶媒及び非溶媒を除去した後、フィラー粒子がポリマーによって機械的に一緒に結合され、ポリマーがフィラメントとして存在してフィラー粒子に付着して、フィラー粒子間の隙間を互いに結合し、及び、それぞれのフィラー粒子は、1つ以上の他の粒子に接着したフィラメント結合を有するものを要旨とする。
【0010】
別の態様では、相反転によって生成される沈殿ポリマー溶液であって、溶媒及び非溶媒を含む液体の大部分、典型的には90%以上が、濾過、遠心分離、デカンテーション、遠心分離、スプレーアップ、又はフィルターケーキ圧縮の少なくとも1つなどによって機械的に除去することができるものを要旨とする。
【0011】
上記及び他の特徴は、以下の図、詳細な説明、及び特許請求の範囲によって例示されている。
以下の図は例示的な態様であり、本開示を説明するために提供されている。これらの図は、本発明に従って製造されたデバイスを、本明細書に記載の材料、条件、又はプロセスパラメータに限定することを意図していない実施例を例示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1の炭素-PVDF層の写真画像。
図2】実施例1の炭素-PVDF層の走査型電子顕微鏡画像。
図3A】実施例1の炭素-PVDF層(断1000)の走査型電子顕微鏡画像。
図3B】実施例1の炭素-PVDF層(断2500)の走査型電子顕微鏡画像。
図4】実施例2の米国特許第8,147,732号に従って調製された非充填ポリマー膜の走査型電子顕微鏡画像。
図5】実施例2の米国特許第8,147,732号に従って調製された、非充填高分子膜の走査型電子顕微鏡画像。
図6A1】実施例3の相反転法を示す上面図。
図6A2】実施例3の相反転法を示す側面図。
図6B1】実施例3の比較例の相反転法を示す上面図。
図6B2】実施例3の比較例の相反転法を示す側面図。
図7A】実施例4の塩を除去した後のPVDFの走査型電子顕微鏡画像。
図7B図7Aからの組成物中の周期元素の濃度のグラフ。
図7C図7Aからの組成物中の周期元素の濃度のチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
組成物を作る方法が開発された。この方法は、ポリマーマトリクス及び溶媒を含む溶媒混合物を形成する工程と、溶媒混合物を非溶媒と組み合わせて、フィブリル化ポリマーを含む組成物の沈殿物を形成する工程と、沈殿物を溶媒及び非溶媒から分離する工程とを備える。溶媒混合物又は非溶媒の少なくとも1つは、フィラーを含む。層は、多数の構造からなる組成物から形成することができる。必要に応じて、カレンダー加工などの物理的な力を加えることにより、組成物を圧縮することができる。組成物は、0~95重量パーセント(重量%)のフィラー、又は85重量パーセント以上、又は75~99重量パーセントのフィラーを含むことができ、5~100重量パーセント、又は1~15重量パーセント、又は1~25重量パーセントの繊維化ポリマーマトリクスを含むことができ、ここで、重量%は、組成物の総重量に基づくものである。本明細書で使用される場合、組成に基づく量は、固体に基づいて決定され、溶媒又は非溶媒は存在しない。理論に拘束されることなく、本方法は、異なる方法によって調製された組成物と比較して異なる形態を有する組成物となるものと考えられ、これには、より高い割合でのフィラーの露出表面積、又はマルチスケールの多孔性が含まれる。さらに、ポリマーマトリクスフィブリルが存在することによって、少なくとも組成物の形成中にフィラー粒子に様々な応力を印加して組成物の構造的完全性を維持し、それによってそれが自立層であることを可能にするマトリクス安定剤として作用し得ると考えられる。
【0014】
本発明の方法は、組成物の総体積に基づいて90体積パーセント(vol%)以上のフィラー含有量を有する組成物をもたらすことができ、ここで、フィラー粒子は、ポリマーに付着するか、又は組成物内に埋め込まれて、フィラー粒子の非常に高レベルの露出表面積を提供する。大量のフィラーを組み込むことは、ポリマー含有量を最小限に抑えることによって物品の全体的なコストを削減すること、又は製品に追加の機能特性を提供することにおいて有益となる可能性がある。これらの特性は何倍にもなる可能性があり、特定のものに拘束されるものではないが、触媒/酵素効果、他の分子の濾過/結合特性、直接的な化学反応、又は生物学的精製のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0015】
この方法は、相互接続された、多孔性の、又は固体のポリマーマトリクスの表面に豊富に配置された、ミクロン、サブミクロン、又はより小さなサイズの粒子又は粉末の形態の大量のフィラーの組み込みをもたらすことができる。フィラー材料を表面で高度に露出することができることで、バッテリー用途用の電極などの用途、及びフィラーのより大きな表面露出が製品性能を向上させる他の電気化学的用途における、そのような材料の使用に利益をもたらす可能性がある。
【0016】
本方法は、溶媒、非溶媒、又は溶媒及び非溶媒とは異なる第3の溶媒のうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に溶解することができる溶解性フィラーを利用することを含むことができる。この方法は、組成物の形成中又は形成後に溶解性フィラーを溶解して、溶解性フィラーを含まない組成物をもたらすことを含むことができる。
【0017】
一態様では、溶解性フィラーは、ポリマーと適合性があり、その結果、それは、相反転後に組成物中に存在する(溶解する)。次に、溶解可能なフィラーを組成物から溶解して、追加の多孔性を提供する。フィラーは、組成物から完全に又は部分的に除去して、所望の程度の追加の多孔性を提供することができる。
【0018】
上記の充填された組成物をより大きなフォーマットに圧縮又は効果的に高密度化することを含む後処理技術もまた、元のフィラー材料同士の間の体積を有意な程度に維持できることに関連して、粒子を露出することの利益を得ることができる。組成物中のポリマーの含有量が低く、フィラー材料の露出レベルが比較的高いため、フィラーは、それが存在する場合、圧縮後に充填されたポリマーマトリクス全体にわたって細孔経路を維持するための柱として機能することができる。
【0019】
この組成物を製造するための方法は、基板の必要性を回避する可能性、最終組成物のより速いスループット製造、又は、相反転法で使用されるもののうち90重量%を超える溶媒及び非溶媒の乾燥工程の低減のうちの少なくとも1つを含み得る。さらに、高度に充填された組成物を形成するために使用される他の処理技術とは異なり、粒子間に存在する典型的な反発力を克服することができる。特定の事項に拘束されることなく、最小限の量のポリマーを使用して、高レベルのフィラーを近接させることができると考えられている。低剪断混合条件下でバルクポリマーフィルムを非溶媒浴に導入する、他の典型的な相反転プロセスとは異なり、溶媒混合物を非溶媒と混合する本方法は、ポリマー鎖がフィラー粒子を埋め込んだり付着させたりするために互いに高度の絡み合うことを可能にする。本発明の方法は、例えば、非溶媒浴での急冷、溶媒蒸発、又は熱的相反転のいずれかに基づく他の相反転プロセスと比較して、ポリマー鎖の収縮、縮小、又はリコイルをさらに低減することができる。
【0020】
本発明の方法は、ポリマー、溶媒、及び任意選択でフィラーを含む溶媒混合物を形成する工程を備えることができる。溶媒混合物は、ポリマー及びフィラーを溶媒と混合してポリマーを溶解し、溶媒混合物を形成することによって形成することができる。溶媒混合物は、ポリマーを溶媒に溶解し、次にフィラーを添加して溶媒混合物を形成することによって形成することができる。溶媒混合物では、ポリマーを溶媒に完全に溶解し、添加したフィラーを混合して均一な溶媒混合物を作ることができる。溶媒混合物は、ポリマーを溶媒に溶解することによって形成することができ、非溶媒はフィラーを含むことができる。
【0021】
当業者によって容易に決定されるように、溶媒混合物は、ポリマーを溶解するために十分な量の溶媒を含むことができる。溶媒混合物を形成する工程には、ポリマーを溶解するために十分な時間の混合を含み得、これは、混合の強度ならびに溶媒及びポリマーの相対量に応じて、数分から数時間の範囲であり得る。溶媒混合物は、フィラーが溶媒混合物中に懸濁されるスラリーが形成されるまで混合することができる。
【0022】
溶媒混合物は、混合物の総重量から任意の溶媒を差し引いた量に基づいて、0~98重量%、又は85~98重量%、又は90~96重量%のフィラーを含むことができる。溶媒混合物は、混合物の総重量から任意の溶媒を差し引いた量に基づいて、2~100重量%、又は2~15重量%、又は4~10重量%のポリマーを含むことができる。
【0023】
溶媒混合物を形成した後、溶媒混合物を非溶媒と組み合わせて、フィブリル化ポリマーマトリクス中にフィラーを含む沈殿物を形成する。溶媒混合物又は非溶媒のうちの少なくとも一方がフィラーを含むことができる。非溶媒と混合した後、沈殿物は層の形態ではなく、代わりに粒子状であると見なすことができることに留意されたい。粒子は任意のサイズとなり得るが、互いに分離している。粒子が接触しているとしても、粒子は互いに強く結合しておらず、例えば、濾過、攪拌などの際に容易に分離することができる。非溶媒という用語は、ポリマーマトリクスが溶媒と比較して非溶媒に溶けにくいこと、及び溶媒混合物と非溶媒を組み合わせると粒子の沈殿を引き起こすことを示すために単に使用されることにも留意されたい。非溶媒と組み合わせると、溶媒に溶解したポリマーの相反転に帰着し、溶媒が非溶媒から拡散するに従って、非溶媒に存在する沈殿したポリマーマトリクスになる。
【0024】
理論に拘束されることを意図することなく、混合中に、非溶媒とフィラー材料との間の界面表面張力が、それらの相対的な表面エネルギーの違いの結果として、フィラーと非溶媒との間の反発力をもたらす可能性があると考えられる。この違いは、組成物中のフィラーの、表面への高度の露出を生み出すと考えられている。例えば、アセトン-ポリマー溶液中の疎水性炭素材料は、非溶媒として水を使用する相反転中に、疎水性ポリマーの表面に優先的に堆積し得る。したがって、得られる組成物は、組成物の細孔への高い曝露を有するフィラー粒子を含む。
【0025】
混合は、注入ノズルを介して溶媒混合物を非溶媒に注入して、混合中に溶媒混合物に剪断を誘発することを含むことができる。混合の工程には、溶媒混合物に剪断を誘発するための混合中の攪拌を含み得る。上記の混合及びそれによる相反転材料の形成は、連続エレクトロスピニング組成物及びフィブリル化ポリマー組成物よりもポリマー-フィラー構造をより多く生じる。剪断力の適用は、ポリマーマトリクスのフィブリル化を促進することができる。溶媒混合物と非溶媒との混合は、溶媒混合物を非溶媒と積極的に混合することなく行うことができ、例えば、溶媒混合物又は非溶媒の少なくとも一方を単に加える(例えば、注ぐ又は注入する)ことができ、あるいは、能動的混合なしで(例えば、攪拌棒によって攪拌せずに)溶媒混合物又は非溶媒の他方に加えることができる。
【0026】
溶媒又は非溶媒はそれぞれ独立して、15≦δ≦20メガパスカル1/2(MPa)1/2、又は16≦δ≦18.5MPa1/2のδハンセン溶解度パラメータを有することができる。溶媒は、5≦δ≦18MPa1/2、又は8.5≦δ≦16.5MPa1/2のδハンセン溶解度パラメータを有することができる。溶媒又は非溶媒は、4≦δ≦12MPa1/2、又は5≦δ≦11.5MPa1/2のδハンセン溶解度パラメータを有することができる。溶媒又は非溶媒は、アセトン、シクロヘキサノン、ジメチルアセトアミド(DMAc)、メチルエチルケトン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N-メチルピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン(THF)、テトラメチル尿素、又はトリメチルホスフェートのうちの少なくとも1つを含むことが可能である。
【0027】
上記のように、非溶媒は、ポリマーが溶媒よりも溶解能力が低い任意の溶媒であり得る。溶媒又は非溶媒は、12≦δ≦14.9MPa1/2のδハンセン溶解度パラメータを有することができる。溶媒又は非溶媒は、それぞれ独立して、0≦δ≦8MPa1/2又は1≦δ≦4.9MPa1/2のδハンセン溶解度パラメータを有することができる。溶媒又は非溶媒は、13≦δ≦50MPa1/2、又は15≦δ≦45MPa1/2のδハンセン溶解度パラメータを有することができる。溶媒又は非溶媒は、酸性溶液、アルコール(例えば、C~C12アルカノール)、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、塩基性溶液、ブチロラクトン、N-ブチルアセタート、カルビトールアセタート、ジイソブチルケトン、ジメチルフタラート、エチルアセトアセタート、グリコールエーテル、グリコールエーテルエステル、三酢酸グリセリル、ハロゲン化溶媒、イソホロン、メチルイソブチルケトン、プロピレンカルボナート、トリエチルホスファート、又は水のうちの少なくとも1つを含み得る。酸又は塩基性溶液のpHは、組成物に使用されるポリマーを実質的に分解しないように選択される。例えば、酸性溶液のpHは1~6.5であり得、そして塩基性溶液のpHは7.5~11であり得る。
【0028】
非溶媒は、溶媒に超過して存在する可能性がある。例えば、非溶媒と溶媒の体積比は、2:1~1,000:1、又は10:1~500:1であり得る。
理論に束縛されることを意図せずに、組成物を形成するときに、ポリマー分子が、他の隣接するポリマー分子との伸長、絡み合い、又は相互侵入がほとんどなく、リコイル又は崩壊して高密度のコイル状構造に戻ることができる場合、ポリマーは活性物質を含むさまざまなフィラーの結合効果が低く、構造的完全性が十分でない可能性がある。理想的な状況は、粒子状物質(例えば、不活性フィラー又は活性バッテリー電極材料)及び隣接する伸長ポリマー鎖の両方とより完全に伸長及び絡み合っているポリマーを含む組成物又は他のフィルムを作成することであることが見出された。理論に拘束されることなく、隣接するポリマー鎖と、また粒子状物質(粉末、繊維、フレーク、凝集体など)の塊全体に伸びて絡み合う単一の「糸」として本質的に展開される単一のポリマー鎖は、粒子を捉え、粒子を露出させ、互いに密接に接触させ続けるための最大の捕捉(すなわち、構造安定性)を提供すると考えられている(それぞれ、イオン速度及び電子速度の能力が向上している)。
【0029】
次に、沈殿物を液相(溶媒及び非溶媒)から単離(分離)することができる。分離は、沈殿物からの溶媒及び非溶媒の排出、濾過(重力又は真空下)、又は遠心分離のうちの少なくとも1つを含むことができる。一態様では、沈殿物は、例えば、95重量パーセント以上、又は99重量パーセント以上の溶媒及び非溶媒を沈殿物から、15秒以下又は1秒以下の除去の速度で、液相から迅速に分離することができる。 したがって、このプロセスは大規模又は経済的な製造に適している。
沈殿物は、液相から単離されたものとして、例えば、粒子形態で使用することができ、又は分離された沈殿物は、その後、層に形成することができる。層は、沈殿物を基板(例えば、平坦な基板)上に堆積させ、沈殿物を乾燥させて、残っている溶媒及び非溶媒を除去することによって形成することができる。層を形成することは、熱成形、カレンダー加工、積層、ロールコーティング、又は他の方法のうちの少なくとも1つを含むことができる。複数の層は、析出物を順次堆積して複数の層を一度に成形することによって、又は各堆積後に成形することによって形成することができる。
【0030】
単離された沈殿物は、他の形態、例えば繊維又は他の三次元形状の製造に使用することができる。成形は、押し出し、貼り付け、トロール、熱成形、カレンダー加工、ラミネート、ロールコーティング、鋳型成形、又は形状を成形する他の方法によることができる。
【0031】
本組成物への利益は、分子構造、ミクロ/ナノ構造、及びマクロ構造を含む最適化された構造から導き出すことができる。分子構造を考慮して、フィラーとポリマーは、目的の用途に基づいて選択できる。フィラーは、塩、金属酸化物、シリカ(例えば、疎水性ヒュームドシリカ又は親水性ヒュームドシリカ)、ガラス、ガラス繊維又は他のタイプのガラスなどの二酸化ケイ素ガラス、炭素質材料 (例えば、カーボンブラック、カーボンファイバー、カーボンナノファイバー、グラファイト、又はグラフェン)、有機材料(例えば、エチルセルロースなどの溶媒に溶解しない粉末形態のポリマー)、非金属酸化物、粘土、石英、炭酸カルシウム、又は粒子状ゴム(例えば、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンなどのスチレンベースのコポリマー)などの他の特定の有機材料、又は木材パルプのうちの少なくとも1つを含むことができる。フィラーは、二酸化チタン、二酸化ケイ素、窒化ホウ素、活性炭、又はカーボンブラックのうちの少なくとも1つを含むことができる。フィラーは、粒子状物質(例えば、球形又は不規則な形状)、凝集物、フレーク、繊維、又はウィスカーのうちの少なくとも1つの形態であり得る。非溶媒混合物又は溶媒のうちの少なくとも1つは、フィラーを含む。例えば、非溶媒は第1のフィラーを含むことができ、溶媒は第2のフィラーを含むことができる。ポリマーがフルオロポリマー又はエポキシを含む場合、フィラーは、粘土、石英、炭酸カルシウム、又は木材パルプのうちの少なくとも1つを含むことができる。フィラーは、溶解可能なフィラーを含むことができる。溶解性フィラーは、塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、硫酸ナトリウム、又は塩化カルシウム)を含むことができる。フィラーが溶解性フィラーを含む場合、溶解性フィラーが溶解した後、組成物は、組成物の総重量からあらゆる溶媒を除いた量に対して、0~15重量%、又は0~1重量%、又は0重量%の溶解性フィラーを含むことができる。
【0032】
フィラーは、動的光散乱によって決定することができる、50マイクロメートル以下、又は5マイクロメートル以下の平均最大粒子サイズを有することができる。フィラーは、例えば、組成物中のフィラーの充填を増加させるために、複数の形態の粒子分布を含むことができる。例えば、
ポリマーは、フルオロポリマー(例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF))、アクリルポリマー、ポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ナイロン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ゴム、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、又はシランのうちの少なくとも1つを含むことができる。 ポリマーが疎水性ポリマー(例えば、フルオロポリマー)を含む場合、溶媒は、アセトンなどの疎水性溶媒を含むことができ、非溶媒は、水などの親水性非溶媒を含むことができる。ポリマーが親水性ポリマー(例えば、ポリ(ビニルアルコール))を含む場合、溶媒は、水などのプロトン性又は極性溶媒を含むことができ、非溶媒は、アセトンなどの非極性非溶媒を含むことができる。
【0033】
表1は、本発明で使用することができる様々な材料の非限定的な概要を示している。
【0034】
【表1】
【0035】
ポリマーのマイクロ/ナノ構造は、細長いポリマー鎖又はフィブリルからなるものであってもよく、細長いポリマー鎖又はフィブリルは隣接する細長い鎖と絡み合ってフィラーの周りに緊密なマトリクスを形成して組成物の形態を保持することができるので、得られる組成物は改善された特性を有することができる。バルクポリマー基質内で高度に延伸したポリマー分子を有することの最終的な結果は、同一材料からなるが別の方法で形成された組成物と比較して、強度、破壊までの伸び、弾性率、又は熱応答の少なくとも1つが改善された組成物を含み得る。
【0036】
組成物のマクロスケール構造を考慮すると、組成物は、粒子、ビーズ、フィラメント、繊維、又は凝集体のうちの少なくとも1つの形態であり得るか、又は組成物は、層の形態をとり得る。
【0037】
組成物の空隙率(多孔性)は、ほぼ固体から非常に多孔性までの範囲であり得る。組成物が配置される媒体に応じて、組成物は、不浸透性から非常に多孔性で透過性までにわたる特性を有する可能性がある。組成物は、フィラーのタップ密度に等しく、かつ組成物の総体積に対して90%体積パーセント以上の多孔度を有することができる。組成物は、マクロ細孔(平均細孔サイズが50マイクロメートルを超える)、メソ細孔(平均細孔サイズが2~50マイクロメートルを有する)、及びミクロ細孔(平均細孔サイズが2ナノメートル未満を有する)の組み合わせを有することができる。組成物は、例えば、多孔性を低減するためにカレンダー加工することによって圧縮することができる。減少した気孔率は、組成物の総体積に基づいて35~50体積パーセントであり得る。
【0038】
マクロスケール構造を決定する能力は、組成物の形成前又は形成中に、出発材料の配合又はプロセス変数に関連する要因を制御することによって可能となる。例えば、粒子又はフィラメントの形態の組成物を生成する、高溶媒、高フィラー対低ポリマー比を有する初期溶液は、後処理、例えば、流延成形して層を形成することができる。他の要因には、ポリマーに対するフィラーの比率、混合ダイナミクス、及び印加するせん断の量の調整が含まれる(例えば、混合時間、混合速度、又は溶媒と非溶媒の比率を制御することによって)。組成物のそのような構成の制御は、様々な用途のための最適化を可能にすることができる。
【0039】
様々なマクロ構造を有した組成物を製造する能力により、様々な用途で使用することができる。例えば、粒子は、流動床反応器内で、又は布、フィルター、又は他の繊維状物品の上又は中に堆積したときに良好に機能することができる。例えば、薄壁フィルムは、高多孔性フィルムが使用される場合に、バッテリーセパレーターなどのバッテリー部品、又は濾過膜として使用することができる。多孔性の低い、又は固体の程度ですらあるフィルムがチャンバー内のプリーツ構造に配置される場合、組成物は、溶液が通過することができるバイオリアクターの高表面積媒体として機能することができる。厚いバルク構造には、吸収性材料や、対象の粒子を大量に捕捉できる高スループットフィルターなどのさまざまな用途がある。
【0040】
本開示は、組成物の異なるマクロ構造が、単に組成や又はプロセス制御を変更することによって、物品に応じて最適化され得るという点で独特である。プロセスを変更するだけで組成物の最終特性を簡単に調整できるこの機能は、従来の方法とは対照的である。例えば、薄膜の製造には溶剤コーティング技術の使用がよく使用されるが、ブロックやロッドなどのバルク構造を製造するには焼結が必要になることがよくある。本発明の方法は、ポリマーと互いに混合し、付着したフィラーを含み有意に固形化されたポリマーを含んでなる、液相(溶媒及び非溶媒を含む)に、粒子が懸濁された物の、厚いスラリー又はペーストの作成に基づいていると見なすことができ、その後、コーティング、噴霧、プレス、成形、流延成形、又はその他の方法で最終形状に成形される。この形状は、短い寸法と長い寸法のほぼすべてのアスペクト比で、薄い又は狭いものから広くて重いものまで、包旋形の形状や不規則な形状を含む、広範な寸法パラメータにわたって多様とし得る。
【0041】
シート又はフィルムを作成するための1つの特に有利な処理技術は、相反転プロセスによって作成された組成液体分散液/スラリーを、典型的な製紙プロセスにおいて使用することを含む。フォードラニア又はハチェクの機械、又はその他のワイヤースクリーン脱水システムを使用すると、紙又は不織布フィルムを作成でき、これらのフィルムは、通常の繊維マット製造プロセスと同様に、さらにプレス、接着、又はその他の方法で加工できる。
【0042】
組成物は、組成物の総重量に対して、0~99重量%、又は85~99重量%、又は90~98重量%、又は90~96重量%のフィラーを含むことができる。組成物は、組成物の総重量に対して、1~100重量%、1~15重量%、又は2~10重量%、又は4~10重量%のポリマーマトリクスを含むことができる。フィラーとポリマーの重量比は、8:1以上、又は9:1~50:1にすることができる。
【0043】
組成物から層を形成することができる。層は、0.01~100ミリメートル、又は0.1~50ミリメートル、又は1~10ミリメートル、又は0.05~10ミリメートルの厚さを有することができる。層は、それらの構造的完全性を維持するために基板層によって支持される必要がないという点で、それが自立することを可能にすることができる、大きな厚さを有することができる。この機能により、組成物の取り扱いと処理が容易になる。
【0044】
組成物は、層(フィルム、シートなどを含む)、複数の繊維、成形品、又は膜の形態であり得る。この組成物は、バッテリー電極に使用することができる。この組成物は、電気化学セルの電極に使用することができる。典型的な電気化学セルは、水性又は非水性、一次又は二次、又は他の様々な種類のセルであるかどうかに関わらず、水素プロトン又は水酸化物種、アニオン又はカチオン分子、水又は水和生成物などの多様な電気化学種と反応する、1つ以上の粒子状材料(活性物質と呼ばれる)を多くの場合に有している。ポリマーを使用してこれらの電極を作成する目的の1つは、安定した物理構造(電極)を形成することであり、これにより、電解質媒体を介して活性物質をイオン種にほぼ完全にさらすことができる。
【0045】
特定の例では、組成物はバッテリーのセパレータとして使用することができ、このバッテリーのセパレータでは、ポリマーがポリ(フッ化ビニリデン)を含むことができ、フィラーが疎水性ヒュームドシリカ、親水性ヒュームドシリカ、グラスファイバー、粒子状サーモセットのうちの少なくとも1つを含むことができ、非溶媒は、水又はアルコールのうちの少なくとも1つの中に、ポリ(ビニルアルコール)、エチルセルロース、疎水性ヒュームドシリカ、又は親水性ヒュームドシリカのうちの少なくとも1つを含むことができる。この組成物は、バッテリーのカソードで使用することができ、ポリマーがポリ(フッ化ビニリデン)を含み、フィラーが二酸化鉛を含み、非溶媒が少なくとも1つの水又はアルコール及び任意の金属(例えば、チタン又はゲルマニウム)を含む。この組成物は高出力コンデンサとして(例えば、無線充電用に)使用することができ、ポリマーがポリ(フッ化ビニリデン)又はポリ(アミドイミド)の少なくとも1つを含み、フィラーが塩又は窒化ホウ素のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0046】
要約すると、本方法は、フィラーが存在することによって、ポリマー鎖がリコイル又は凝集して球状分子になるのを阻止しながら、ポリマーを溶解している種から沈殿した種に変換することにより、改善された特性を有する組成物をもたらすことができる。組成物は、物品、例えば、フィルター、吸着膜、バッテリー、電気化学セル、又は反応器(例えば、流動床又はバイオリアクター)で使用することができる。
【0047】
以下の例は、本開示を説明するために提供されている。実施例は単に例示的なものであり、本開示に従って作製されたデバイスを、そこに記載された材料、条件、又はプロセスパラメータに限定することを意図したものではない。
【0048】
(実施例)
実施例1:相反転技術を使用したアノードの作製
非溶媒として水を使用する相反転技術を使用して多孔質カーボンブラック-PVDFアノード(C-PVDF)を作製した。1グラムのPVDFを42.5グラムのアセトンに溶解した。19グラムのカーボンブラックをPVDF混合物に添加し、シルバーソンミキサーを用いて毎分10回転で混合して溶媒混合物を形成した。溶媒混合物の一部を、ピペットを介して溶媒混合物を水中に迅速に噴出させ、すべての溶媒混合物が沈殿するまで沈殿物を濾過することにより、25ミリリットルの水に注入した。注入している間、攪拌棒を用いて活発に水を攪拌した。PVDFはカーボンブラックの存在下でフィブリル化し、組成物を形成した。コーヒーフィルターに注ぐことにより濾過を行った。沈殿物を摂氏90度(℃)で乾燥させてアセトンと水を除去し、沈殿物を圧縮して厚さ2ミリメートルの自立マットを形成した。次にマットを130℃で再度乾燥させた。
【0049】
図1は、厚さ2mmのカーボンPVDF層の写真画像である。図2図3A、及び図3Bは、様々な倍率での炭素-PVDF層の走査型電子顕微鏡画像である。図3Bは、フィラーの表面積が高く露出しているフィブリル化ネットワークの存在を明確に示している。
【0050】
実施例2:比較例のポリマー膜
米国特許第8,147,732号に従って異なる相反転プロセスによって非充填ポリマー膜及び充填ポリマー膜を調製した。走査型電子顕微鏡画像が撮影され、それぞれ図4,5に示されている。図4は、多孔質材料の形成を示している。図5は、フィラーがポリマーで完全に覆われていること、つまり、フィラーの表面積が露出していないことを示している。
【0051】
実施例3:実施例1の相反転法と別の方法との比較
実施例1の相反転後の、溶媒及び非溶媒中に存在する沈殿物のある組成物の写真を撮影した。ここで、フィラー対PVDF重量比は95:5であり、水対アセトンの重量比は90:10であった。上面図と側面図をそれぞれ図6A1図6A2に示す。図6A1は、皿の端又は溶液の表面にフィラーがないことを示している。図6A2は、皿中央にある溶媒/非溶媒の透明な層によって示されるように、フィラーが沈殿物中にあることを示している。これらの2つの図は、カーボンフィラーが実際にPVDFポリマーに結合していることを示している。
【0052】
相反転溶液は、同じ材料を使用して、異なるプロセスで形成された。上面図と側面図をそれぞれ図6B1図6B2に示す。図6B1は、カーボンフィラーが溶液の表面のみならず、皿の端にあることを示している。図6B2は、フィラーが溶液全体に分散していることを示している。これらの2つの図は、カーボンフィラーがPVDFポリマーに結合していないことを示している。
【0053】
実施例4:PVDF組成物の形成
1グラムのPVDFを42.5グラムのアセトンに溶解し、19gの塩化ナトリウムを加えて、周囲温度(約23℃)で混合することにより溶媒混合物を形成した。溶媒混合物の一部を、ピペットを介して溶媒混合物を水中に迅速に噴出させ、すべての溶媒混合物が沈殿するまで沈殿物を濾過することにより、25ミリリットルの水に注入した。PVDFは塩の結晶の存在下でフィブリル化し、組成物を形成した。コーヒーフィルターに注ぐことにより濾過を行った。塩を洗い流して、塩を含まないフィブリル化PVDFを得た。フィブリル化されたPVDFを90℃で乾燥させてアセトン及び水を除去し、フィブリル化されたPDVFを圧縮して自立マットを形成した。次にマットを130℃で再度乾燥させた。塩の存在なしに同じプロセスを実行し、フィブリルを形成することなく溶液からPVDFを沈殿させた。
【0054】
図7Aは、塩を除去した後のPVDFの走査型電子顕微鏡画像である。塩除去後のPVDFの元素分析とその結果を図7B図7Cに示す。
実施例5:ポリ(ビニルアルコール)組成物の形成
0.5グラムのポリ(ビニルアルコール)を20グラムの水に溶解し、4.25グラムの二酸化チタンと0.25グラムの二酸化ケイ素をフィラーとして追加し、溶媒組成物を、非溶媒としての3グラムのアセトンに加えたことを除いて、実施例1に従ってポリ(ビニルアルコール)組成物を調製した。 相反転組成物が形成された。
【0055】
実施例6:PVDF-HFP組成物の形成
0.25グラムのポリ(ビニルアルコール-ヘキサフルオロプロピレン)を20グラムのアセトンに溶解し、4.75グラムのカーボンブラックをフィラーとして追加し、溶媒組成物を、非溶媒としての3グラムのイソプロパノールに加えたことを除いて、実施例1に従ってPVDF-HPF組成物を調製した。 ポリマー:カーボンブラックの重量比を0.25:4.75から、0.5:4.5及び0.75:4.25グラムまで変化させて、このプロセスを繰り返した。相反転組成物が形成された。
【0056】
実施例7:ポリスチレン組成物の形成
0.5グラムのポリスチレンを20グラムのキシレンに溶解し、5グラムの活性炭をフィラーとして追加し、溶媒組成物を非溶媒としての3グラムの水に加えたことを除いて、実施例1に従ってポリスチレン組成物を調製した。 相反転組成物が形成された。
【0057】
実施例8:ポリ(アミド-イミド)組成物の形成
0.75グラムのポリ(アミド-イミド)を20グラムのDMACに溶解し、5グラムの六方晶窒化ホウ素をフィラーとして添加し、溶媒組成物を、非溶媒としてのエチレングリコール3グラムに加えたことを除いて、実施例1に従ってポリ(アミド-イミド)組成物を調製した。相反転組成物が形成された。
【0058】
以下に示すのは、本発明の非限定的な態様である。
態様1: 一態様では、組成物を作製する方法であって、この方法は、ポリマー及び溶媒を含有する溶媒混合物を形成する工程と、非溶媒によって溶媒混合物を沈殿させて、フィブリル化ポリマーマトリクス中にフィラーを含む組成物を形成する工程であって、組成物は粒子の形態にあり、溶媒及び非溶媒の少なくとも1つはフィラーを含む、組成物を形成する工程と、組成物を溶媒及び非溶媒から分離して、組成物を単離する工程とを備えることを要旨とする。
【0059】
態様2: 態様1において、組成物が75重量パーセント以上のフィラーと、1~25重量パーセントのフィブリル化ポリマーマトリクスとを含み、ここで、重量は、組成物の総重量から溶媒を差し引いたものに基づき、あるいは、溶媒混合物が、溶媒混合物の総重量に基づいて、溶媒の50~95重量パーセント以上を含むことを要旨とする。
【0060】
態様3: 溶媒及び非溶媒の少なくとも一方が、アセトン、シクロヘキサノン、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、テトラメチル尿素、又はリン酸トリメチルのうちの少なくとも1つを含み、ここで、溶媒及び非溶媒の他方は、酸性溶液、アルコール、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、塩基性溶液、ブチロラクトン、酢酸N-ブチル、酢酸カルビトール、ジイソブチルケトン、ジメチルフタレート、エチルアセトアセテート、グリコールエーテル、グリコールエーテルエステル、トリアセテートグリセリル、ハロゲン化溶媒、イソホロン、イソブチルケトンメチル、炭酸プロピレン、リン酸トリエチル、又は水のうちの少なくとも1つを含む、態様1~2のいずれかの方法を要旨とする。
【0061】
態様4: 溶媒混合物を非溶媒と混合する工程が、溶媒混合物を非溶媒に注ぎ、又は注入することからなり、混合は能動的に攪拌することを含む、態様1~3のいずれかの方法を要旨とする。
【0062】
態様5: 沈殿物を溶媒及び非溶媒から分離する工程は、95重量パーセント以上、又は99重量パーセント以上の溶媒及び非溶媒を沈殿物から、15秒以下又は1秒以下の速度で、沈殿物を排出、スクリーニング、または濾過することのうちの少なくとも1つと、組成物の乾燥とからなる、態様1~4のいずれかの方法を要旨とする。
【0063】
態様6: 層を形成する工程をさらに備え、任意選択で複数の層が組成物を形成し、組成物を形成することは、押し出し、貼り付け、成形、トロール、熱成形、カレンダー加工、積層、ロールコーティング、又は層を形成する他の方法を含む、態様1~5のいずれかの方法を要旨とする。
【0064】
態様7: フィラーが、塩、金属酸化物、シリカ、ガラス、二酸化ケイ素ガラス、炭素質材料、有機材料、非金属酸化物 、粘土、石英、炭酸カルシウム、粒子状ゴム、ガラス繊維、又は木材パルプのうちの少なくとも1つを含む、態様1~6のいずれかの方法を要旨とする。
【0065】
態様8: フィラーが溶解性フィラーを含み、方法が組成物から溶解性フィラーを溶解する工程をさらに備え、ここで、組成物は、組成物の総重量から溶媒を差し引いたものに基づいて、0~15重量%、又は0~1重量%の溶解性フィラーを含む、態様1~7のいずれかの方法を要旨とする。
【0066】
態様9: 組成物から層を形成する工程をさらに備え、層を形成する工程は、組成物を熱成形、カレンダー加工、積層、又はロールコーティングのうちの少なくとも1つを含む、態様1~8のいずれかの方法を要旨とする。
【0067】
態様10: ポリマーが、フルオロポリマー、アクリルポリマー、ポリオレフィン、ポリアクリロニトリル、ナイロン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ゴム、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、シラン、又はエポキシのうちの少なくとも1つを含む、態様1~9のいずれかの方法を要旨とする。
【0068】
態様11: 上記の態様のいずれか1つ以上の方法によって形成された組成物を要旨とする。
態様12: 組成物がフィラーのタップ密度以上の多孔性の少なくとも1つを有し、組成物が0.05~10ミリメートル、又は2.5~5ミリメートルの厚さを有する層の形態であり、又は組成物が自立型である、態様11の組成物を要旨とする。
【0069】
態様13: 態様11又は12の組成物を含む物品であって、その物品は、フィルター、絶縁体、コンデンサ、電極、バッテリー、又はセパレータである物品を要旨とする。
態様14: 態様1~10のいずれか1つ以上の方法によって製造される多孔質材料であって、溶媒及び非溶媒を除去した後、フィラー粒子がポリマーによって機械的に一緒に結合され、フィラメントがフィラー粒子に付着し、フィラー粒子間の隙間空間を横切ってフィラー粒子を結合するようにポリマーが存在し、それぞれのフィラー粒子は1つ以上の他の粒子とのフィラメントで結合するように結合している、多孔質材料を要旨とする。
【0070】
態様15: フィラメントがフィラー粒子間の隙間空間に配置され、フィラーの充填密度がポリマーなしのフィラー粒子から不変であり、ポリマーによって置き換えられた空隙の体積に比例する場合を除いて、多孔質材料の空隙体積が大部分がフィラーを含まない粒子の場合から不変である、態様14の多孔質材料を要旨とする。
【0071】
態様16: 40~99体積パーセント、又は50~95体積パーセントのボイド含有量を有する態様14又は15の多孔質材料であって、平均フィラー粒子直径はマイクロメートル又はサブマイクロメートルであり、かつ、ポリマーのフィラメントは、0.5マイクロメートル以下の平均直径及び2マイクロメートル以下の長さを有し、あるいは、平均フィラー粒子直径が100マイクロメートル以下又は10マイクロメートル以下であり、かつ、ポリマーフィラメントの平均直径がフィラー直径の5~50%であり、ここで、隣接する粒子を結合する公称フィラメント長は、平均フィラー直径の1~500%である、多孔質材料を要旨とする。
【0072】
態様17: フィラーとポリマーの両方が、フィラーの凝集又は塊成化、又はポリマーの凝固又は層化なしに均一な分布で配置され、細孔に対する露出しているフィラーの表面積が50面積パーセント以上、又は95面積パーセント以上である、態様14、15、又は16のいずれか1つ以上の多孔質材料を要旨とする。
【0073】
態様18: 多孔質材料が多孔質材料全体にわたって均一な多孔性を有し、気泡点が最小細孔直径の10倍未満、好適には2倍未満である細孔対称性を有する態様14、15、16、又は17のいずれか1つ以上の多孔質材料を要旨とする。
【0074】
態様19: 相反転によって生成されたポリマー溶液から沈殿した多孔質材料であって、溶媒と非溶媒を含む液体の大部分(通常は90%以上)が機械的に除去される(例えば、ろ過、沈下、デカンテーション、遠心分離、スプレーアップ、又はフィルターケーキ圧縮の少なくとも1つによって)多孔質材料を要旨とする。機械的除去は、乾燥、蒸発、液浴急冷、液体抽出、又は前記多孔質材料から液体を除去するための同様の方法に依存する典型的な相反転プロセスによって達成される方法よりも経済的かつ迅速な方法であり得る。
【0075】
態様20: 最初の液体除去後に生成され、散在するポリマーとフィラーの多孔質構造を維持し、液体がすべて又は一部の細孔を満たすように安定化されたポリマーフィラー構造を有する多孔質材料は、従来のスラリー処理装置(例えば、抄紙機、フィルタープレスなど)によって物品を製造するための前駆体の役割を果たし、液体含有量は、乾燥、蒸発、圧縮などの少なくとも1つによってさらに低減されて、液体を含まない多孔質材料の結合した塊を生成する、態様19の溶液を要旨とする。
【0076】
代替的に、組成物、方法、及び物品は、本明細書に開示されている任意の適切な材料、ステップ、又は構成要素を含むか、それらからなるか、又は本質的にそれらからなることができる。組成物、方法、及び物品は、追加的又は代替的に、組成物、方法、及び物品の機能又は目的の達成に必要でない、任意の材料(又は種)、ステップ、又は構成要素を欠くか、又は実質的に含まないように構成され得る。
【0077】
「a」及び「an」という用語は、数量の制限を示すのではなく、参照される項目が少なくとも1つの存在することを示す。「又は」という用語は、文脈によって明確に示されていない限り、「及び/又は」を意味する。本明細書全体を通して「態様」、「実施形態」、「別の実施形態」、「いくつかの実施形態」などへの言及は、関連して説明された特定の要素(例えば、特徴、構造、ステップ、又は特性)を意味する実施形態とともに、本明細書に記載される少なくとも1つの実施形態に含まれ、他の実施形態には存在してもしなくてもよい。さらに、説明された要素は、様々な実施形態において任意の適切な方法で組み合わされてもよいことが理解されるべきである。
【0078】
層、フィルム、領域、又は基板などの要素が別の要素上にあると記載される場合、それは他の要素上に直接存在することができ、又は介在する要素も存在し得る。対照的に、ある要素が別の要素に「直接に上に存在する」と呼ばれる場合、介在する要素は存在しない。
【0079】
ここに反対の記載がない限り、すべてのテスト標準は、この出願の出願日、又は、優先権が主張されている場合は、テスト標準が出現した最も早い優先出願の出願日で有効な最新の標準である。
【0080】
同一の要素又は特性についてのすべての範囲の端点は、端点を含み、独立して結合可能であり、すべての中間点及び範囲を含む。例えば、「25重量%まで、又は5~20重量%」といった範囲は、端点と、「5~25重量%」の範囲のすべての中間値、例えば10~23重量%などを含む。
「上記の少なくとも1つを含む組み合わせ」又は「少なくとも1つの」との用語は、リストに各要素が個別に含まれること、及びリストの2つ以上の要素の組み合わせや、リストの少なくとも1つの要素とリストに記載されない同様の要素の組み合わせが含まれることを意味する。また、「組み合わせ」という用語は、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などを含む。
【0081】
他に定義されない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、本開示が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
引用されたすべての特許、特許出願、及びその他の参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。しかしながら、本出願における用語が、組み込まれた参考文献における用語と矛盾又は矛盾する場合、本出願からの用語は、組み込まれた参考文献からの矛盾する用語よりも優先される。
【0082】
特定の実施形態が説明されてきたが、代替案、修正、変形、改善、及び現在予期されないか又は予想されない可能性のある実質的な等価物が、出願人又は他の当業者に生じ得る。したがって、提出され、修正される可能性がある添付の特許請求の範囲は、そのようなすべての代替、修正、変形、改良、及び実質的な同等物を包含することを意図している。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A1
図6A2
図6B1
図6B2
図7A
図7B
図7C