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  • 特許-腰部又は骨盤用ベルト 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】腰部又は骨盤用ベルト
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/02 20060101AFI20240625BHJP
   A61F 5/01 20060101ALI20240625BHJP
   A41D 13/05 20060101ALI20240625BHJP
   A41C 1/00 20060101ALN20240625BHJP
【FI】
A61F5/02 K
A61F5/01 E
A61F5/02 D
A41D13/05 125
A41C1/00 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021204747
(22)【出願日】2021-12-17
(65)【公開番号】P2023090027
(43)【公開日】2023-06-29
【審査請求日】2023-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000114606
【氏名又は名称】モリト株式会社
(74)【復代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100087815
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 昭二
(72)【発明者】
【氏名】北野 文一
【審査官】白土 博之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05195948(US,A)
【文献】実開平03-025503(JP,U)
【文献】独国実用新案第202012104223(DE,U1)
【文献】米国特許第03441027(US,A)
【文献】米国特許第05388274(US,A)
【文献】登録実用新案第3233348(JP,U)
【文献】特許第6544774(JP,B2)
【文献】中国実用新案第213552695(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/01-5/02
A41C 1/00-5/00
A41D 13/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ベルト(2)と、補助ベルト(3)と、補助ベルト制御部(5)を有する、腰部又は骨盤用のベルト(1)であって、
前記本体ベルト(2)は、面ファスナ雌部材(23、24)と面ファスナ雄部材(25)を有し、
前記補助ベルト(3)は、第1補助ベルト(31)及び第2補助ベルト(35)を有し、
前記第1補助ベルト(31)及び第2補助ベルト(35)は面ファスナ雄部材(34,37)を有し、
前記補助ベルト制御部(5)は、ベルト固定部(51)と、ベルト通路(52)を上下一列に有し、
前記ベルト固定部(51)は、前記第1補助ベルト(31)と前記第2補助ベルト(35)のそれぞれの第1端部(32,32)を移動不能に固定し、
前記ベルト通路(52)は、その中の内部空間において前記第1補助ベルト(31)と前記第2補助ベルト(35)を自由にスライドさせるものであり、
もって、前記第1補助ベルト(31)と前記第2補助ベルト(35)の前記第1端部(32)は前記ベルト固定部(51)を共有し、前記第1補助ベルト(31)と前記第2補助ベルト(35)の中間部は前記ベルト通路(52)を共有する
ことを特徴とする腰部又は骨盤用のベルト。
【請求項2】
前記第1補助ベルト(31)は、前記第1端部(32)が前記ベルト固定部(51)に固定され、第2端部(33)が前記本体ベルト(2)の面ファスナ雌部材(23)に固定され、前記第1端部(32)及び前記第2端部(33)の間の中間部前記第1端部(32)及び前記第2端部(33)から同一方向に伸びて折り返し部分を形成し、その折り返し部分に、前記面ファスナ雌部材(24)に接着可能な面ファスナ雄部材(34)が設けられている請求項1記載のベルト。
【請求項3】
前記第2補助ベルト(35)は、前記第1端部(32)が前記ベルト固定部(51)に固定され、第2端部(36)が前記面ファスナ雌部材(24)に固定され、前記第1端部(32)及び前記第2端部(36)の間の中間部前記第1端部(32)及び前記第2端部(36)から同一方向に伸びて折り返し部分を形成し、その折り返し部分に、前記面ファスナ雌部材(23)に接着可能な面ファスナ雄部材(37)が設けられている請求項1又は2記載のベルト。
【請求項4】
前記第1補助ベルト(31)の前記第1端部(32)と前記第2補助ベルト(35)が前記第1端部(32)においてつながっており、前記第1補助ベルト(31)と前記第2補助ベルト(35)が1本のベルト状である請求項1~3のいずれかに記載のベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腰部又は骨盤に対して使用可能なベルト(以下、特に用途を明記する必要がある場合を除き、「腰ベルト」と略称する)に関する。この腰ベルトは、主として腰痛の防止・治療や骨盤矯正のために用いられるが、他にも体型・姿勢の矯正のためにも用いられる。
【背景技術】
【0002】
従来の腰ベルトの幾つかは、腰部へ装着するために、まず本体ベルトを両サイドから引っ張りながら腹部付近で面ファスナにより固定する。その後、補助ベルトの両サイドを引張りながら前身のパイル生地に補助ベルト先端の面ファスナ雄部材を接合させている。
【0003】
しかし、この種の腰ベルトでは、重厚な本体ベルトの厚みのために分厚くなり、また、補助ベルトを本体ベルトの高さ内に留めるために全体のサイズも大きくなりがちであった。
【0004】
本体ベルトの分厚さの問題に関しては、本発明者は薄いフリーカット生地を使用することにより、全体をできるだけ薄く形成した姿勢矯正具が提案している(例えば下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-180456
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これにより、腰ベルトの分厚さの問題はかなりの程度改善されたが、全体のサイズの問題に関しては、まだ改良の余地があった。
【0007】
本発明はこの問題を解消するために行われたもので、サイズ、特に高さ方向のサイズをできる限り小さくした腰ベルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、本体ベルトと、補助ベルトと、補助ベルト制御部を有する、腰部又は骨盤用のベルトであって、前記本体ベルトは、面ファスナ雌部材と面ファスナ雄部材を有し、前記補助ベルトは、第1補助ベルト及び第2補助ベルトを有し、
前記第1補助ベルト及び第2補助ベルトは面ファスナ雄部材を有し、前記補助ベルト制御部は、ベルト固定部と、ベルト通路を上下一列に有し、前記ベルト固定部は、前記第1補助ベルトと前記第2補助ベルトのそれぞれの第1端部を移動不能に固定し、前記ベルト通路は、その中の内部空間において前記第1補助ベルトと前記第2補助ベルトを自由にスライドさせるものであり、もって、前記第1補助ベルトと前記第2補助ベルトの前記第1端部は前記ベルト固定部を共有し、前記第1補助ベルトと前記第2補助ベルトの中間部は前記ベルト通路を共有することを特徴とする。
【0009】
好ましくは、前記第1補助ベルト31は、第1端部32が前記ベルト固定部51に固定され、第2端部33が前記本体ベルト2の面ファスナ雌部材23に固定され、中間部が、前記第1・第2端部32,33から同一方向に伸びて折り返し部分を形成し、その折り返し部分に、前記面ファスナ雌部材24に接着可能な面ファスナ雄部材34が設けられている。
【0010】
好ましくは、前記第2補助ベルト35は、第1端部32が前記ベルト固定部51に固定され、第2端部36が前記面ファスナ雌部材24に固定され、中間部が、前記第1・第2端部32,36から同一方向に伸びて折り返し部分を形成し、その折り返し部分に、前記面ファスナ雌部材37に接着可能な面ファスナ雄部材37が設けられている。
【0011】
好ましくは、前記第1補助ベルト31の前記第1端部32と前記第2補助ベルト35が前記各第1端部32においてつながっており、前記第1補助ベルト31と前記第2補助ベルト35が1本のベルト状である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、本体ベルトの補助ベルト制御部は、ベルト固定部51とベルト通路52を有し、第1補助ベルト31と第2補助ベルト35は、共にそれぞれ少なくとも1か所において、ベルト固定部51とベルト通路52を相互に共有する。そのため、これらを別々に設けている従来例に比べて、腰ベルトの高さ方向のサイズを小さくすることができる。
【0013】
以下、添付の図面に基づき、本発明の実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例1の腰ベルトの(a)平面図、(b)左側面図、(c)正面図、(d)右側面図、(e)底面図、(f)背面図である。
図2図1のA-A線とB-B線で囲まれた部分の拡大図である。
図3図2のC-C線断面図である。
図4図2のD-D線断面図である。
図5】(a)~(c)は補助ベルトを本体ベルトに取り付ける工程を示した正面図である。
【実施例1】
【0015】
図1図2に示すように、本実施例の腰ベルト1は、本体ベルト2と補助ベルト3からなる。この実施例では、本体ベルト2は長さ約75~100cm、高さは最も高い部分で約10~20cmである。
【0016】
本体ベルト2は、中央の第1部分20と、その両隣に位置して、第1部分よりも伸縮性が大である第2部分21、22と、この第2部分それぞれ外方に設けられた面ファスナ雌部材23、24と、本体ベルトの末端に設けられた面ファスナ雄部材25を有する。各部分の長さは、第1部分20が20~30cm、第2部分21、22がそれぞれ5~10cm、面ファスナ雌部材23、24がそれぞれ30~35cm、面ファスナ雄部材25は3~6cmである。
【0017】
本体ベルト2の第1部分20と第2部分21,22は全周がフリーカットのポリエステル、ナイロンなどの生地で形成されている。しかし、第1部分20は非伸縮性の生地を接合することによりその伸縮性をなくしている。接合は、縫製ではなく、ホットメルトで貼り付け加工により行っている。ホットメルトによる全面貼り付けのため、第2部分21,22に使用した非伸縮性生地がフリーカットでなくても端面の解れが発生しにくい。また、縫製をしないことにより、装着したときのごわごわ感をなくすことができる。
【0018】
面ファスナ雌部材23、24は、裏側の非伸縮性の生地と表側の面ファスナ付着性のパイル生地を貼りあわせて形成したものである。
【0019】
面ファスナ雄部材25は、例えば次のようなものを使用することができる。
【0020】
(1)ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン系繊維、塩化ビニル系繊維などから選ばれた合成繊維を編織して得た編織製基材の一面に鈎状、きのこ状、ループ状の係合素子群を有する織製または編製面ファスナ。
【0021】
(2) ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、塩化ビニル系重合体、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂、あるいは熱硬化性樹脂を成形して得たシート状基材の一面に鈎状、きのこ状、膨頭状、角状、棒状などの係合素子群を有する成形面ファスナ。
【0022】
本体ベルト2の第1部分20の中心付近には、縦方向に延びる一対のほぼ等しい長さのボーン41,42(「ステー」とも呼ばれることがある)が取り付けられている。ボーン41,42は例えば縦約14~16cm、幅約4~6cmである。
【0023】
各ボーン41,42の素材は、金属製(アルミ、スチール等)又は非金属製(PET、PP等)のどちらでもよい。通常、金属製は身体の曲線に合わせて手で折り曲げて使用するが、非金属製であれば装着時の伸度によって屈曲させることが可能であり、本実施例では非金属製のボーンの使用が望ましい。
【0024】
本体ベルト2の上面に補助ベルト3が設けられる。補助ベルト3は装着時に引っ張ることで、硬度のある各ボーン41,42を体幹に押し当てるだけの強度がなければならない。
【0025】
両ボーン41,42の間には補助ベルトの配置を制御するベルト制御部5が設けられている。ベルト制御部5は1本のテープ状の部材であるが、下側のベルト固定部51と上側のベルト通路52からなる。ベルト固定部51はベルトを移動不能に固定し、ベルト通路52はその中の内側空間においてベルトを自由にスライドさせる。ベルト固定部51とベルト通路52の配置は上下逆でもよい。
【0026】
本発明においてもっとも特徴的なのは補助ベルト3、特にその配置である。補助ベルト3は第1補助ベルト31及び第2補助ベルト35の2種類を使用する。下記するように第1・第2補助ベルトのそれぞれは折り返し部分を有するので、1本のベルトを折り返して使用してもよいし、2本のベルトを折り返し部分で継ぎ足して使用してもよい。
【0027】
図5(a)~(c)は、補助ベルト3を本体ベルト2に取り付ける工程を示している。図5(a)はまだ補助ベルト3を本体ベルト2に取り付けていない未完成の状態であり、図5(b)は第1補助ベルト31のみを取り付けた中間状態、図5(c)は第1補助ベルト31及び第2補助ベルト35の両方を取り付けた完成状態を示している。
【0028】
図5(b)に示す例では、第1補助ベルト31は1本のベルトからなる。第1補助ベルトの第1端部32はベルト制御部5の固定部51に固定される。第1補助ベルトの第2端部33は本体ベルト第2部分21に隣接した面ファスナ雌部材23(図5(b)の左側)に固定される。第1補助ベルト31の中間部は、第1・第2端部32,33から同一方向(図5(b)の右側)に伸びて折り返し部分を形成し、その折り返し部分に、面ファスナ雌部材24に接着可能な面ファスナ雄部材34が設けられている。第2端部33から出発したベルトは途中で、ベルト制御部5のベルト通路52の中をスライドしながら通過可能である。
【0029】
第2補助ベルト35も1本のベルトからなる。第2補助ベルト35の第1端部32は第1補助ベルト31と同様にベルト固定部51に固定される。第2補助ベルト35の第2端部36は本体ベルト第2部分22に隣接した面ファスナ雌部材24(図5(b)の右側)に固定される。第2補助ベルト35の中間部は、第1・第2端部32,36から同一方向(図5(b)の左側)に伸びて折り返し部分を形成し、その折り返し部分に、面ファスナ雌部材に接着可能な面ファスナ雄部材37が設けられている。第2端部36から出発したベルトは途中で、ベルト制御部5のベルト通路52の中をスライドしながら通過可能である。
【0030】
すなわち、第1補助ベルト31と第2補助ベルト35の第1端部32はベルト固定部51の1か所を共有し、各ベルト中間部は1か所のベルト通路52を共有することになる。高さ方向の部品を共有して使用することにより、第1補助ベルト31と第2補助ベルト35は、本体ベルト高さ方向の距離を短縮することができる。
【0031】
第1補助ベルト31と第2補助ベルト35の折り返された各中間部(31a,31b;35a,35b)の重なり方(つまり、どれを上にして、どれを下にするか)は自由である。しかし、ベルト本体2においては、折り返された部分も含めれば3本のベルト(31a,31b,35b;35a,35b,31b)が交錯するので、相互にもっとも邪魔されないような配置にするのが好ましい。図5(c)の上下関係(ベルト制御部の左側では、上から下に向かって35b,35a,31b;右側では、上から下に向かって31a,35b,31b)が他の配置よりも好ましい。
【0032】
なお、上記説明では、第1補助ベルト31と第2補助ベルト35を便宜上1本ずつとしたが、製造するときには両ベルト全体を1本のベルトとする方が好都合な場合が多い。第1補助ベルト31と第2補助ベルト35の第1端部32は、2つのベルトの共通の固定箇所なので、ここで途切れさせずに、つながったものを使用すれば1本となるからである。
【0033】
この腰ベルトの取付方法は、この種の従来のものと同じである。本体ベルト2の雌雄面ファスナ23~25同士で腰部に装着固定し、補助ベルト31,35を引っ張って面ファスナ雄部材34、37を本体ベルト2の面ファスナ雌部材23,24に付着させることにより、本体ベルト2の締め付け具合を調整する。
【符号の説明】
【0034】
1 腰ベルト
2 本体ベルト
20 本体ベルト第1部分
21、22 本体ベルト第2部分
23,24 面ファスナ雌部材
25 面ファスナ雄部材
3 補助ベルト
31 第1補助ベルト
31a,31b 第1補助ベルト31の折り返された各部分
32 第1補助ベルト及び第2補助ベルトの第1端部
33 第1補助ベルト第2端部
34 面ファスナ雄部材
35 第2補助ベルト
35a,35b 第2補助ベルト35の折り返された各部分
36 第2補助ベルト第2端部
37 面ファスナ雄部材
41,42 ボーン
5 ベルト制御部
51 ベルト固定部
52 ベルト通路

図1
図2
図3
図4
図5