(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】方法、及び端末
(51)【国際特許分類】
H04W 52/24 20090101AFI20240625BHJP
H04W 92/18 20090101ALI20240625BHJP
【FI】
H04W52/24
H04W92/18
(21)【出願番号】P 2021515071
(86)(22)【出願日】2018-09-19
(86)【国際出願番号】 CN2018106542
(87)【国際公開番号】W WO2020056638
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-09-13
【審判番号】
【審判請求日】2023-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ワン ガン
【合議体】
【審判長】中木 努
【審判官】本郷 彰
【審判官】廣川 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-195587(JP,A)
【文献】国際公開第2016/017672(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/084205(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04W4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
3GPP TSG SA WG1-4
3GPP TSG CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信電力を、第1の値と第2の値の最小値に、決定し、
当該決定された送信電力を用いて、第1の端末へ送信を行う、
第2の端末における方法であって、
前記第1の値は、前記第2の端末と基地局との間のパスロスに基づいて決定される値であり、
前記第2の値は、前記第2の端末と前記第1の端末との間のパスロス
と、異なるヌメロロジーの正規化係数と、に基づいて決定される値である、
方法。
【請求項2】
前記第2の値は、前記送信に用いられるPRB(Physical Resource Block)の数に基づいて決定される値である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の値は、ベース電力レベルの合計に基づいて決定される値である、
請求項1
または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の値は、パスロス補償係数に基づいて決定される値である、
請求項1~
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
送信電力を、第1の値と第2の値の最小値に、決定し、
当該決定された送信電力を用いて、第1の端末へ送信を行う、
第2の端末であって、
前記第1の値は、前記第2の端末と基地局との間のパスロスに基づいて決定される値であり、
前記第2の値は、前記第2の端末と前記第1の端末との間のパスロス
と、異なるヌメロロジーの正規化係数と、に基づいて決定される値である、
第2の端末。
【請求項6】
前記第2の値は、前記送信に用いられるPRB(Physical Resource Block)の数に基づいて決定される値である、
請求項
5に記載の第2の端末。
【請求項7】
前記第2の値は、ベース電力レベルの合計に基づいて決定される値である、
請求項
5または6に記載の第2の端末。
【請求項8】
前記第2の値は、パスロス補償係数に基づいて決定される値である、
請求項
5~7のいずれか一項に記載の第2の端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の非限定的かつ例示的な実施形態は、方法、及び端末に関する。
【背景技術】
【0002】
この部分では、開示をより容易に理解できる態様を紹介する。そのため、この部分の記載は、この観点から読み取られるべきであり、先行技術に開示された又は開示されないことを自認することとして理解されるべきではない。
【0003】
無線通信システムでは、増加するサービスのタイプをサポートすることが要求されている。例えば、V2X(Vehicle to anything)サイドリンク(SL:sidelink)は、車両と車両/歩行者/インフラストラクチャとの間の基本的な交通安全サービスの直接通信をサポートするために、3GPP(Third Generation Partnership Project)によって開発されたLTE(Long Term Evolution:ロングタームエボリューション)リリース14で導入された。
【0004】
デバイスやサービスの数が増加している無線通信システムでは、デバイスの通信性能を満たし、消費電力を最小限に抑え、及び/又は他のデバイスへの干渉を最小限に抑えるために、デバイスの送信電力をうまく制御する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の様々な実施形態は、主に、無線通信システムにおける電力制御の方法、装置及びコンピュータプログラム製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様では、第1の端末デバイスで実行される方法が提供される。本方法は、第2の端末デバイスから第1の端末デバイスへの送信のための1つ又は複数の電力制御パラメータを決定することと、1つ又は複数の電力制御パラメータを第2の端末デバイスに送信することと、1つ又は複数の電力制御パラメータに基づいて制御される送信を、第2の端末デバイスから受信することと、を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の電力制御パラメータは、基準電力レベルに対する電力調整値と、ベース電力レベルと、パスロス補償係数のうちの少なくとも1つを含んでもよい。基準電力レベルは、送信について決定された送信電力を含み、送信電力は、事前に構成された又は基地局によって構成された電力制御パラメータと、第2の端末デバイスと基地局との間のパスロスと、送信のMCS(modulation and coding scheme)及び/又はQoS(quality of service)レベルに関連する電力補償のうちの1つ又は複数に基づいて決定されてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の電力制御パラメータを決定することは、測定された性能メトリックを目標性能メトリックと比較して、電力調整値を決定することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、性能メトリックは、SINR(Signal to Interference and Noise Power Ratio)を含んでもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、本方法は、測定された性能メトリックを取得するために、第2のデバイスからの1つ又は複数の送信に基づいて、平均化された受信SINRを決定することを、さらに含み、1つ又は複数の送信の送信電力は、事前に構成された又は基地局によって構成された電力制御パラメータと、第2の端末デバイスと基地局との間のパスロスと、送信のMCS及び/又はQoSレベルに関連する電力補償と、のうちの少なくとも1つに基づいて決定されてもよい。いくつかの実施形態では、第2の端末からの1つ又は複数の送信に基づいて、平均化された受信SINRを決定することは、1つ又は複数の送信のそれぞれについて、推定された受信SINRを取得することと、推定された受信SINRの平均値を、平均化された受信SINRに決定することと、を含んでもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の送信のそれぞれについて、推定された受信SINRを取得することは、1つ又は複数の送信のそれぞれについて、MCS及び/又はQoSレベルに関連する電力補償を除去することにより、推定された受信SINRを取得することを含んでもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の電力制御パラメータを決定することは、目標受信SINR及び第1の端末デバイスと第2の端末デバイスとの間のパスロスに基づいて、ベース電力レベル及びパスロス補償係数を決定すること、を含んでもよい。いくつかの実施形態では、決定されたベース電力レベル及びパスロス補償係数は、第1の端末デバイスにおける受信電力が目標受信電力よりも大きくならないという制限を満たしてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、本方法は、第2の端末デバイスから受信され送信電力が1つ又は複数の電力制御パラメータに基づいて決定された1つ又は複数の送信に基づいて、第2の端末デバイスからのさらなる送信のための電力オフセットを決定することと、電力オフセットを第2の端末デバイスに送信することと、をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、決定された電力オフセットは、目標受信SINRと測定された受信SINRとの間の差以下である。
【0013】
本開示の第2の態様では、第2の端末デバイスで実行される別の方法が提供される。本方法は、第2の端末デバイスから第1の端末デバイスへの送信のための1つ又は複数の電力制御パラメータを、第1の端末デバイスから受信することと、1つ又は複数の電力制御パラメータに基づいて、送信の送信電力を決定することと、決定された送信電力に従って、第1の端末デバイスへの送信を実行することと、を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の電力制御パラメータは、基準電力レベルに対する電力調整値と、ベース電力レベルと、パスロス補償係数のうちの少なくとも1つを含んでもよい。いくつかの実施形態では、基準電力レベルは、送信について決定された送信電力を含み、送信電力は、事前に構成された又は基地局によって構成された電力制御パラメータと、第2の端末デバイスと基地局との間のパスロスと、送信のMCS及び/又はQoSレベルに関連する電力補償のうちの1つ又は複数に基づいて決定されてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の電力制御パラメータは、電力調整値を含み、送信電力を決定することは、電力調整値と基準電力レベルの合計に基づいて、候補送信電力を決定することと、送信電力を、候補送信電力と送信電力制限の最小値に決定することと、を含んでもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、本方法は、第1の端末デバイスから送信のための電力オフセットを受信すること、をさらに含み、送信電力を決定することは、1つ又は複数の電力制御パラメータに基づいて決定された送信電力で実行された1つ又は複数の送信の平均送信電力を決定することと、電力オフセットと平均送信電力の合計に基づいて、候補送信電力を決定することと、送信電力を、送信電力制限と候補送信電力の最小値に決定することと、を含んでもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の電力制御パラメータは、ベース電力レベル及びパスロス補償係数を含み、送信電力を決定することは、第1の端末デバイスと第2の端末デバイスとの間のパスロスをパスロス補償係数で重み付けしたものと、ベース電力レベルとの合計に基づいて、候補送信電力を決定することと、送信電力を、送信電力制限と候補送信電力の最小値に決定することと、を含んでもよい。いくつかの実施形態では、本方法は、第1の端末デバイスから送信のための電力オフセットを受信すること、をさらに含み、候補送信電力を決定することは、電力オフセットにさらに基づいて、候補送信電力を決定すること、を含んでもよい。いくつかの実施形態では、候補送信電力を決定することは、第1の端末デバイスから受信した以前の電力オフセットの累積値にさらに基づいて、候補送信電力を決定すること、を含んでもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、候補送信電力を決定することは、候補送信電力を、送信のMCS及び/又はQoSレベルに関連する電力補償にさらに基づいて決定すること、を含んでもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、送信電力制限を、基準電力レベルと、送信が発生するリソースに対する第1の最大送信電力と、第2の端末デバイスに関連する電力クラスに対する第2の最大送信電力と、第1の最大送信電力又は第2の最大送信電力から、第2の端末デバイスから第1の端末デバイスへの送信と同時に行われる、第2の端末デバイスから基地局へのアップリンク送信のために確保された送信電力を減算した第3の最大送信電力と、のうちのいずれかに設定してもよい。いくつかの実施形態では、アップリンク送信は、PUCCH(physical uplink control channel)送信と、PUSCH(physical uplink shared channel)送信のうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、送信のQoSレベルが閾値よりも高い場合、送信電力制限を、第1の最大送信電力、第2の最大送信電力、及び第3の最大送信電力のうちの1つに設定し、送信のQoSレベルが閾値よりも低い場合、送信電力制限を基準電力レベルに設定してもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、第2の端末デバイスが基地局のカバレッジ外にある場合、送信電力制限を、第1の最大送信電力、第2の最大送信電力、及び第3の最大送信電力のうちの1つに設定し、第2の端末デバイスが基地局のカバレッジ内にある場合、送信電力制限を基準電力レベルに設定してもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、決定された送信電力に従って第1の端末デバイスへの送信を実行することは、送信及び送信と同時に実行されるさらなる送信の合計送信電力が、電力閾値を超えるかどうかを判断することと、合計送信電力が電力閾値を超えたことに応答して、送信について決定された送信電力を低減することと、低減された送信電力に基づいて、第1の端末デバイスへの送信を実行することと、を含んでもよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、決定された送信電力に従って第1の端末デバイスへの送信を実行することは、送信及び送信と同時に実行されるさらなる送信の合計送信電力が電力閾値を超えるかどうかを判断することと、合計送信電力が電力閾値を超えたことに応答して、第1の端末デバイスへの送信をキャンセルすることと、を含んでもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、本方法は、アップリンク送信及びサイドリンク送信のうちの少なくとも1つのための電力ヘッドルーム(PHR)を基地局に報告することを、さらに含んでもよい。
【0025】
本開示の第3の態様では、端末デバイスが提供される。端末デバイスは、少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータプログラムコードを含む少なくとも1つのメモリと、を備え、少なくとも1つのメモリ及びコンピュータプログラムコードは、少なくとも1つのプロセッサを用いて、端末デバイスに少なくとも第1の態様又第2の態様の方法を実行させるように構成されている。
【0026】
本開示の第4の態様では、コンピュータプログラムが提供される。このコンピュータプログラムは、装置によって実行される場合、装置に本開示の第1の態様又第2の態様の方法を実行させる命令を含む。
【0027】
本開示の第5の態様では、装置によって実行される場合、装置に本開示の第1の態様又は第2の態様の方法を実行させるコンピュータプログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能な媒体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本開示の様々な実施形態の上記及び他の態様、特徴、及び利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明からより完全に明らかになる。図面において、同じ参照符号は、同じ又は均等な要素を表す。図面は、本開示の実施形態をより容易に理解できるために示され、必ずしも一定の縮尺で描かれているものではない。
【0029】
【
図1】本開示の実施形態が実施され得る例示的な通信ネットワークを示す。
【0030】
【
図2】本開示の例示的な実施形態に係る電力制御手順を示す。
【0031】
【
図3】本開示の実施形態に係る電力制御の例示的な方法の動作を示す。
【0032】
【
図4】本開示の実施形態に係る送信電力を決定するための別の方法の動作を示す。
【0033】
【
図5】本開示の実施形態に係る送信電力を決定するための例示的な動作を示す。
【
図6】本開示の実施形態に係る送信電力を決定するための例示的な動作を示す。
【
図7】本開示の実施形態に係る送信電力を決定するための例示的な動作を示す。
【
図8】本開示の実施形態に係る送信電力を決定するための例示的な動作を示す。
【0034】
【
図9】ネットワークデバイスとして具現化され、又はそれが備えられる装置、又は端末デバイスとして具現化され、又はそれが備えられる装置の簡略ブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、例示的な実施形態を参照しながら、本開示の原理及び主旨を説明する。これらの実施形態はすべて当業者が本開示をより理解し、さらに実施するために提供されるものにすぎず、本開示の範囲を限定するものではないことを理解されたい。例えば、一実施形態の一部として図示又は説明される特徴を別の実施形態とともに使用して、さらに別の実施形態を生み出すことができる。明確のために、実際の実施に関するすべての特徴が本明細書で説明されるわけではない。
【0036】
本明細書における「一実施形態」、「実施形態」、「例示的実施形態」などに言及する場合に、記載された実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含み得ることを示すが、必ずしも、すべての実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含むわけではない。さらに、このような表現は、必ずしも同じ実施形態を指すものではない。また、明示的に記載されているか否かに関わらず、特定の特徴、構造、又は特性が実施形態に関して説明される場合、当業者の知識の範囲内で他の実施形態に関するそのような特徴、構造、又は特性に適用することを意図している。
【0037】
本明細書では、「第1」及び「第2」などの用語を使用して様々な要素を説明することがあるが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、例示的な実施形態の範囲から逸脱しない限り、第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶことができる。本明細書で使用されるとき、「及び/又は」という用語は、挙げられる用語のうちの1つ以上の任意の組み合わせ及びすべての組み合わせを含む。
【0038】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、例示的な実施形態への限定を意図するものではない。本明細書で使用されるとき、単数形である「1つ(a)」、「1つ(an)」、および「上記(the)」は、文脈からそうでないことが明確に示されていない限り、複数形も含むことを意図している。本明細書で使用されるとき、「備える」、「有する」、及び/又は「含む」という用語は、述べられた特徴、要素及び/又はコンポーネントなどの存在を特定するが、1つ又は複数の他の特徴、要素、コンポーネント、及び/又はそれらの組み合わせの存在又は追加を排除するものではないことを、さらに理解されたい。
【0039】
本明細書で使用されるとき、「無線通信ネットワーク」という用語は、New Radio(NR)、ロングタームエボリューション(LTE)、LTEアドバンスト(LTE-A:LTE-Advanced)、広帯域符号分割多重アクセス(W-CDMA:Wideband Code Division Multiple Access)、高速パケットアクセス(HSPA:High-Speed Packet Access)など任意の適切な無線通信規格に準拠するネットワークを指す。「無線通信ネットワーク」は、「無線通信システム」と呼ばれることもある。さらに、無線通信ネットワーク内のネットワークデバイス間、ネットワークデバイスと端末デバイスとの間、又は端末デバイス間の通信は、任意の適切な通信プロトコルに従って実行されてもよい。ここでの通信プロトコルは、モバイル通信用グローバルシステム(GSM:Global System for Mobile)、ユニバーサル移動体通信システム(UMTS:Universal Mobile Telecommunications System)、LTE、NR、無線LAN(WLAN:wireless local area network)規格(IEEE 802.11規格など)、及び/又は現在知られている、又は将来に開発される他の適切な無線通信規格を含むが、これらに限定されない。
【0040】
本明細書で使用されるとき、「ネットワークデバイス」という用語は、端末デバイスがネットワークにアクセスし、そこからサービスを受ける無線通信ネットワークにおけるノードを指す。ネットワークデバイスは、適用される用語及び技術に応じて、基地局(BS:Base Station)又はアクセスポイント(AP:access point)を指すことがある。APの例には、例えば、ノードB(NodeB又はNB)、Evolved NodeB(eNodeB又はeNB)、NR NB(gNBとも呼ばれる)、リモート無線ユニット(RRU:Remote Radio Unit)、無線ヘッド(RH:Radio Head)、リモート無線ヘッド(RRH:Remote Radio Head)、リレー、及びフェムトやピコなどの低電力ノードなどが含まれる。
【0041】
「端末デバイス」という用語は、無線通信が可能な任意のエンドデバイスを指す。非限定的な例として、端末デバイスは、通信デバイス、ユーザ機器(UE:User Equipment)、加入者局(SS:Subscriber Station)、ポータブル加入者局(Portable Subscriber Station)、移動局(MS:Mobile Station)、又はアクセス端末(AT:Access Terminal)と呼ばれることもある。端末デバイスは、移動電話、セルラー電話、スマートフォン、VoIP(voice over IP)電話、WLL(wireless local loop)電話、タブレット、ウェアラブル端末デバイス、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)、ポータブルコンピュータ、デスクトップコンピュータ、デジタルカメラなどの画像キャプチャ端末デバイス、ゲーム端末デバイス、音楽ストレージ及び再生機器、車載無線端末デバイス、無線エンドポイント、移動局、LEE(laptop-embedded equipment)、LME(laptop-mounted equipment)、USBドングル、スマートデバイス、無線CPE(customer-premises equipment)などを含むが、これらに限定されない。以下の説明では、「端末デバイス」、「通信デバイス」、「端末」、「ユーザ機器」、及び「UE」という用語は、互換的に使用される場合がある。
【0042】
さらに別の例として、IOT(Internet of Things)シナリオでは、端末デバイスは、監視及び/又は測定を実行し、このような監視及び/又は測定の結果を別の端末デバイス及び/又はネットワーク機器に送信するマシン又は他のデバイスを表すことができる。この場合、端末デバイスは、3GPPの文脈でMTC(machine-type communication)デバイスと呼ばれるM2M(machine-to-machine)デバイスであってもよい。特定の一例として、端末デバイスは、3GPP NB-IoT(narrow band internet of things)規格を実施するUEである。このようなマシン又はデバイスの例には、センサ、電力計などの計測デバイス、産業機械、又は家庭用或いは個人用の機器(例えば、冷蔵庫、テレビ、時計などの個人用ウェアラブルなど)が含まれる。他のシナリオでは、端末デバイスは、動作状態又はその動作に関連する他の機能を監視及び/又はレポートできる車両又は他の機器を表すことができる。いくつかの例示的な実施形態では、端末デバイスは、デバイス間(D2D)通信デバイス、又はV2Xデバイスであってもよい。
【0043】
図1は、本開示の実施形態が実施され得る例示的な無線通信ネットワーク100を示す。図示のように、無線通信ネットワーク100は、1つ又は複数のネットワークデバイス、例えば、ネットワークデバイス101を備えることができる。ネットワークデバイス101は、基地局(BS)、ノードB(NB)、Evolved NB(eNB)、gNB、仮想BS、BTS(Base Transceiver Station)、BSS(Base Station Subsystem)、APなどの形態であってもよい。
【0044】
この例では、ネットワークデバイス101は、UE102、103、及び104のセットに無線接続を提供する。いくつかの実施形態では、ネットワークデバイス101は、より少ない又はより多くのUEにサービスを提供してもよく、この例で示されるUEの数は、本開示の範囲に関するいかなる限定を示唆しないことを理解されたい。
【0045】
端末デバイス(例えば、端末デバイス102)は、ネットワークデバイス101を介して無線通信ネットワークにアクセスし、又は、D2D又はV2Xを介して別の端末デバイス(例えば、端末デバイス103又は104)と直接通信することができる。本明細書で使用されるとき、ダウンリンク(DL:downlink)送信とは、ネットワークデバイスからUEへの送信を指し、アップリンク(UL:uplink)送信とは、逆方向の送信を指し、サイドリンク(SL)送信とは、端末デバイス間のV2X送信を指す。
【0046】
V2X SLは、LTEリリース14で定義され、LTEリリース15でさらに強化された。NR V2Xシステムは、ユニキャスト通信とグループキャスト通信の両方をサポートすることが要求され、そのため、信頼性のある受信を可能にし、異なるUE間の干渉を最小限に抑えるために、サイドリンクの効果的な電力制御が必要となる。
【0047】
LTE V2Xでは、開ループ電力制御メカニズムがサポートされており、端末デバイスは、eNBによって構成された電力制御パラメータ及び端末デバイスとeNBとの間の推定パスロス(PL:pathloss)に応じて、そのサイドリンク送信電力を調整する。さらに、リリース12 D2Dシステムでは、簡略化された閉ループ電力制御メカニズムが採用されており、eNBから端末デバイスに送信される1ビットの電力制御コマンドは、端末デバイスが、最大送信電力を採用するか、開ループ電力制御メカニズムに従って計算された送信電力を採用するかを示すことができる。
【0048】
本開示の発明者は、LTE V2X及びD2Dの電力制御メカニズムを含む従来の電力制御メカニズムでは、セルラーのアップリンク送信に対する干渉を低減することを目的として、デバイスと基地局との間のパスロスに基づいて、基地局がデバイスの送信電力を制御することを確認した。このような電力制御メカニズムでは、サイドリンクのリンクバジェットが考慮されておらず、特にサイドリンクユニキャストの場合、最適なサイドリンク送信効率を提供することができない。それは、NR V2Xのための効率的な電力制御メカニズムがまだ利用できないことを意味する。
【0049】
本開示では、サイドリンクに対して新しい電力制御メカニズムが提案される。いくつかの実施形態では、サイドリンク送信の効率を最適化するために、送信デバイスの送信電力が、対応する受信デバイスによって制御される。言い換えれば、電力制御デバイス及び被電力制御デバイスが、提案された電力制御メカニズムに関与している。電力制御デバイスは、他のデバイスからの送信の送信電力を制御/設定するデバイスを指し、被電力制御デバイスは、電力制御デバイスからの1つ又は複数の電力制御パラメータに従って送信を行うデバイスを指す。即ち、電力制御デバイスは、送信の受信デバイスであり、被電力制御デバイスは、送信のための送信デバイスである。例えば、
図1の端末デバイス102及び103は、端末デバイス102が端末デバイス103にデータを送信し、端末デバイス102の送信電力が端末デバイス103からの電力制御パラメータに基づいて決定されるように、V2X通信に関与している。本例では、端末デバイス102を被電力制御デバイスと呼び、端末デバイス103を電力制御デバイスと呼ぶ。
【0050】
本開示では、電力制御デバイス側で1つ又は複数の電力制御パラメータ(PCP:power control parameter)及び/又は送信電力制御(TPC:transmission power control)コマンドを決定するためのソリューションが提供される。PCPは、基本的な開ループ電力制御動作点を示すために使用され、TPCコマンドは、動的な電力オフセットを示すために使用される。また、本開示では、電力制御デバイスからのPCPに基づいて、被電力制御デバイス側で送信電力を決定するソリューションも提案される。提案された電力制御ソリューションは、例えば、サイドリンクユニキャストの送信電力制御をサポートすることができるが、これに限定されるものではない。
【0051】
いくつかの実施形態では、電力制御デバイスは、特定の受信電力目標及び被電力制御UEからの送信に関する測定に基づいて、被電力制御デバイスのためのTPCコマンド(電力オフセットδを含んでもよい)及び1つ又は複数のPCPを決定する。
【0052】
代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、被電力制御デバイスは、(事前に)構成された開ループ電力制御パラメータに基づいて、タイプ1のTPCに従う送信のための送信電力を決定し、電力制御UEによって提供されたPCP及び/又はTPCコマンドに基づいて、タイプ2のTPCに従う送信のための送信電力を決定する。
【0053】
図2は、本開示の例示的な実施形態に係る電力制御手順200を示す。
図2に示すように、被電力制御UE201は、タイプ1のTPCに従って、電力制御UE202への送信を実行する(210)。受信した送信に基づいて、電力制御UE202は、被電力制御UE201のためのPCP及び/又はTPCコマンドを決定し(220)、被電力制御UE201にPCP及び/又はTPCコマンドを提供する(230)。受信したPCP及び/又はTPCコマンドに基づいて、被電力制御UE201は、タイプ2のTPCに従う送信のための送信電力を決定し(240)、決定した送信電力に基づいて、電力制御UE202への送信を実行する(250)。
【0054】
実施形態は、PCP及び/又はTPCコマンドを被電力制御UE201に提供するためのいかなる特定の方法にも限定されない。非限定的な例として、PCPは、サイドリンク制御チャネル又はサイドリンクデータチャネルを介して、電力制御UE202によって被電力制御UE201に送信されてもよい。代替的に、いくつかの実施形態では、PCP及び/又はTPCコマンドは、基地局によって被電力制御UE201に転送されてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、電力制御UE202から被電力制御UE201に送信されるPCPは、タイプ1のTPCを利用する被電力制御デバイスの送信の送信電力に対する電力調整(PA:power adjustment)値を含んでもよい。タイプ1のTPCを利用する送信の送信電力は、基地局によって設定された電力制御パラメータ及び/又は基地局に関する推定PLに応じて、被電力制御UE201によって決定されてもよい。また、電力制御UE202がPCPを被電力制御UE202に提供する前に、被電力制御UE201から受信した全ての送信が、タイプ1のTPCを利用する送信であると仮定してもよい。非限定な例として、タイプ1のTPCを利用する送信は、放送方式で行われてもよい。
【0056】
被電力制御デバイスに送信される電力調整値(PA)は、被電力制御デバイスからのタイプ1のTPCを利用する送信のうち、最近受信した1つ又は複数の送信に基づいて、電力制御デバイスによって決定されてもよい。以下では、PAを決定するための、被電力制御デバイスから受信したタイプ1のTPCを利用する送信の数は、R1と表記され、R1の値は、電力制御デバイスによって予め定義され、(事前に)構成され、又は決定されてもよい。いくつかの実施形態では、R1の値は、1に設定されてもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、電力制御デバイス(例えば、
図1の端末デバイス103、又は
図2の電力制御UE202)は、測定された性能メトリックを目標性能メトリックと比較することによって、被電力制御デバイス(例えば、
図1の端末デバイス102、又は
図2の被電力制御UE201)のPAを決定してもよい。性能メトリックは、受信SINRを含んでもよいが、これに限定されない。
【0058】
例えば、電力制御デバイスは、以下の数(1)により、被電力制御デバイスのPAを決定してもよい。
ここで、SINR_Tは、目標とする受信SINRを表し、SINR_Tの値は、指定されてもよいし、(事前に)構成されてもよい。SINR_Rは、測定された受信SINRを表し、受信したR1個の送信を平均化することによって得られる。
【0059】
例として、SINR_Rは、数(2)に基づいて求められてもよい。
ここで、SINR
iは、R1個の受信した送信のうちi番目の受信した送信に対する、SINR測定用の参照信号(RS:reference signal)を運ぶリソース要素(RE:resource element)の電力寄与(単位:[W])のリニア平均をSINR測定用のRSを運ぶリソース要素の雑音及び干渉電力寄与(単位:[W])のリニア平均で割ったものを表す。数(2)において、△
iは、i番目の受信した送信に対するMCS及び/又はQoSの電力補償を表す。
【0060】
限定ではなく説明のために、△
iは数(3)により求められてもよい。
ここで、K
Sは、MCS補償係数を表し、MCSの補償が(例えば、指定又は(事前)構成により)有効な場合、0以外の値(例えば、K
S=1.25)に設定され、他の場合、0に設定される。数(3)において、BPRE
iは、R1個の受信した送信のうちi番目の受信した送信用のREごとに伝達された平均ビット数を表す。また、β
QoS,iは、i番目の受信のQoS補償係数を表し、QoS補償が有効な場合、R1個の受信のうちi番目の受信のQoSレベルに指定又は(事前)構成され、他の場合、β
QoS,iは数(3)から省略されるか、固定値である1に設定される。
【0061】
代替的に、いくつかの実施形態では、電力制御デバイスが被電力制御デバイスに提供するPCPは、ベース電力レベルP0及び/又はPL補償率αを含んでもよい。P0及び/又はαの値は、送信電力の制限に基づいて電力制御デバイス自身が決定してもよいし、基地局によって構成されてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、電力制御デバイスで受信した電力が、物理リソースブロック(PRB:physical resource block)ごとの目標受信信号電力よりも大きくならないように、電力制御デバイスは、P0及び/又はαの値を決定してもよい。例えば、数(4)で定義される制約/条件を考慮して、P0及び/又はαの値を決定してもよい。
ここで、
は物理リソースブロック(RPB)ごとのREの数を表し、PL
erは電力制御デバイスと被電力制御デバイスとの間の平均的なパスロスを表す。非限定的な例として、PL
erは、数(5)により求められてもよい。
ここで、PL
er,iは,R1個の受信のうちi番目の受信に基づいて電力制御デバイスが推定したPLを表す。電力制御デバイスによるPLの推定を可能にするために、被電力制御デバイスは、RSの送信電力を電力制御デバイスに示してもよい。代替的に、いくつかの実施形態では、被電力制御デバイスは、電力制御デバイスにPL
erの値を直接的に示してもよく、そのような実施形態では、PLの推定は被電力制御デバイス側で行われる。
【0063】
また、数(4)において、Noは、平均化された雑音及び干渉レベルを表す。例えば、Noは数(6)により求められてもよい。
ここで、Noiは、R1個の受信のうちi番目の受信に対する雑音及び干渉推定用のRSを運ぶREに対する雑音及び干渉電力寄与(単位:W)のリニア平均を表す。μ
iは、正規化係数を表し、ヌメロロジー(numerologies)固有のものであってもよい。例えば、μ
iは、i番目の受信のサブキャリア間隔が15kHz、30kHz、60kHz、120kHz又は240kHzの場合、それぞれ0、1、2、3又は4に設定されてもよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、電力制御デバイスから被電力制御デバイスに提供されるPA、P0及び/又はαを含む電力制御パラメータは、半静的なものであってもよい。そのため、より高速な電力制御を可能にするために、電力制御デバイスは、電力制御パラメータに加えて、動的な電力制御係数(例えば、電力オフセットδ)を被電力制御デバイスにさらに示してもよい。実施形態は、δを被電力制御デバイスに示すためのいかなる特定の方法に限定されない。説明のためだけに、δの値は、電力制御デバイスからサイドリンク制御チャネル又はサイドリンクデータチャネルを介して被電力制御デバイスに直接的に送信されてもよいし、基地局によって被電力制御デバイスに転送されてもよい。
【0065】
電力制御デバイス側では、被電力制御デバイスに送信されるδの値は、被電力制御デバイスからのタイプ2のTPCを利用する送信のうち、最近受信した1つ又は複数の送信に基づいて決定されてもよい。本開示では、タイプ2のTPCを利用する送信とは、電力制御デバイスによって構成された1つ又は複数の電力制御パラメータに基づいて決定された送信電力を有する送信を指す。
【0066】
δを決定するための受信したタイプ2のTPCを利用する送信の数を、以下、R2と表記する。R2の値は、指定されてもよいし、(事前)構成されてもよいし、又は電力制御デバイスによって決定されてもよい。いくつかの実施形態では、R2の値は、1に設定されてもよい。
【0067】
非限定的な例として、電力制御デバイス(例えば、
図1の端末デバイス103、又は
図2の電力制御UE202)は、測定された性能メトリック及び目標性能メトリックに基づいて、被電力制御デバイス(例えば、
図1の端末デバイス102、又は
図2の被電力制御UE201)に送信されるδを決定してもよい。性能メトリックは、受信SINRを含んでもよいが、これに限定されない。例えば、電力制御デバイスは、数(7)で定義される条件/制限を満たすように、δの値を決定してもよい。
【0068】
いくつかの実施形態において、被電力制御デバイス側では、電力制御パラメータ(例えば、PA、P0及び/又はα)を受信する前に、タイプ1のTPCに従う送信を実行し、即ち、被電力制御デバイスが、基地局によって構成された1つ又は複数の電力制御パラメータ、基地局に関する推定パスロス、及び/又は事前に構成された電力制御パラメータに基づいて、その送信電力を決定してもよい。例えば、被電力制御デバイス(例えば、
図1の端末デバイス102)が、タイプ1のTPCを利用する送信用のキャリア上の基地局(例えば、eNB又はgNBであり得る
図1のネットワークデバイス101)のカバレッジ内にある場合、タイプ1のTPCを利用する送信の電力は、基地局によって構成された1つ又は複数の電力制御パラメータ、及び/又は、基地局に関する推定パスロスに応じて、被電力制御デバイスによって決定されてもよい。一方、被電力制御デバイスが、タイプ1のTPCを利用する送信用のキャリア上の基地局のカバレッジ外にある場合、タイプ1のTPCを利用する送信の電力は、事前に構成された1つ又は複数の電力制御パラメータに応じて、被電力制御デバイスによって決定されてもよい。
【0069】
選択肢として、いくつかの実施形態では、タイプ1のTPCを利用する送信の電力を決定する際に、被電力制御デバイスは、いくつかのさらなる要素を考慮してもよく、この要素には、送信のQoS要求が含まれ得る(ただし、これに限定されない)。例えば、QoS補償係数は、基地局によって構成された1つ又は複数の電力制御パラメータとともに、タイプ1のTPCを利用する送信の電力を決定するために使用されてもよい。
【0070】
電力制御デバイスによって構成された電力制御パラメータ(PCP)が利用可能になると、被電力制御デバイスは、タイプ2のTPCに従った送信を行い、即ち、電力制御デバイスからのPCPに基づいて送信の送信電力を決定する。
【0071】
説明の目的のために、以下では、被電力制御デバイス側でタイプ2のTPCを利用する送信の送信電力を決定するためのいくつかの例示的な実施形態を提供するが、提案されたソリューションは特定の例に限定されないことを理解されたい。
【0072】
いくつかの実施形態では、被電力制御デバイスが電力制御デバイスから受信したPCPは、タイプ1のTPCを利用する送信の送信電力に関する電力調整値(PA)を含んでもよい。例えば、PAは、数(1)により電力制御デバイスによって決定されてもよい。このような実施形態において、タイプ2のTPCを利用する送信(以下、送信T2と呼ばれる場合がある)用のキャリア上の基地局のカバレッジ内にある被電力制御デバイスは、タイプ1のTPCに従って決定された送信電力、電力制御デバイスから直接的又は間接的に受信したPA、及び/又は、送信T2のMCS及び/又はQoSの電力補償値のうちの少なくとも1つに基づいて、送信T2の送信電力を決定してもよい。
【0073】
非限定的な例として、送信T2の送信電力は、以下の数(8)に基づいて決定されてもよい。
ここで、PMは、送信T2の送信電力制限を表し、Mは、送信T2に使用されるPRBの数を表し、P1は、送信T2についてタイプ1のTPCに従って決定されたPRBごとの送信電力を表し、△は、送信T2のMCS及び/又はQoSに関連する補償係数を表す。
【0074】
実施形態は、数(8)に用いられる送信電力制限PMのいかなる特定の値又は式にも限定されない。非限定な例として、PMは、送信T2についてタイプ1のTPCに従って決定されてもよい。例えば、以下のようになる。
ここで、Mは、送信T2に用いられるPRBの数を表し、P1は、送信T2についてタイプ1のTPCに従って決定されるPRBごとの送信電力を表す。
【0075】
代替的に、数(8)のPMは、サイドリンク送信の最大許容電力に設定されてもよい。例えば、PMは以下のように決定されてもよい。
ここで、P
CMAXは、キャリア及び送信T2が発生したタイムスロットについて(事前に)構成された最大送信電力である。別の例として、PMは以下のように決定されてもよい。
ここで、P
TMAXは、被電力制御デバイスの電力クラスに対する指定又は事前定義された最大送信電力である。
【0076】
いくつかの実施形態において、被電力制御デバイス(例えば、
図1の端末デバイス102)は、電力制御デバイス(例えば、
図1の端末デバイス103)への送信T2と同時に、基地局(例えば、
図1のネットワークデバイス101)へのUL送信(例えば、物理アップリンク制御チャネル(PUCCH:physical uplink control channel)送信、及び/又は物理アップリンク共有チャネル(PUSCH:physical uplink shared channel)送信)を実行してもよい。このような実施形態において、被電力制御デバイスは、UL送信の送信電力を確保することで、数(8)のPMの値を決定してもよい。例えば、PMは、数(10)又は(11)に基づいて決定されてもよい。
ここで、P
ULは、送信T2が発生したスロットにおけるUL送信(例えば、PUCCH及び/又はPUSCH送信)電力、又は送信T2が発生したスロットにおけるPUCCH及びPUSCHの送信電力を表す。
【0077】
いくつかの他の実施形態では、数(8)のPMの値は、送信T2のQoSレベル及び/又は優先度に依存してもよい。非限定的な例として、送信T2のキャリア上のカバレッジにある被電力制御デバイスは、構成された閾値よりも送信T2のQoSレベルが高い場合には、数(10)~(13)のいずれかに従ってPMの値を決定し、他の場合には、数(9)に従ってPMの値を決定してもよい。
【0078】
数(8)は、例えば、電力制御デバイスからの動的電力制御コマンド(例えば、電力オフセットδ)がまだ利用できない場合に、送信T2の送信電力を決定するために使用されてもよい。例えば、被電力制御デバイスは、電力制御デバイスから半静的なPCPを受信した後に、数(8)に基づいて第1の送信T2を決定してもよい。
【0079】
電力制御デバイスからの動的電力制御コマンド(電力オフセットδを含んでもよい)は、被電力制御デバイスによって(直接的又は間接的に)受信された場合、送信T2の送信電力をより正確に決定するために、被電力制御デバイスによって使用されてもよい。いくつかの実施形態では、送信T2の送信電力は、受信したTPCコマンド、タイプ2のTPCを利用した最近送信の平均送信電力、及びMCS及び/又はQoSの電力補償値のうちの少なくとも1つに基づいて決定されてもよい。非限定的な例として、被電力制御デバイスは、数(14)により、送信T2の送信電力を決定してもよい。
ここで、PM、M、△は、数(8)と同じ意味であり、PMの値は、数(9)~(13)のいずれかに基づいて、上記と同様の方法で決定されてもよい。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、被電力制御デバイスが基地局のカバレッジ外にある場合、つまり、数(9)のP1(即ち、タイプ1のTPCに従って決定されるPRBごとの送信電力)が利用できない場合、数(14)のPMの値は、数(10)~(13)のいずれかに基づいて決定されてもよい。
【0080】
また、数(14)のδは、電力制御デバイスから受信した送信T2に対応する電力制御コマンドが示す電力オフセットを表し、Prは、R2個の送信で平均化されたPRBごとの送信電力を表す。例えば、Prは数(15)により求められてもよい。
ここで、Pr
iは、タイプ2のTPCを利用したR2個の最近送信のうち、i番目の送信のPRBごとの送信電力の平均であり、△
iは、i番目の送信のMCS及び/又はQoSに関連する補償係数を表す。Pr
iから△
iを引くこと(即ち、Pr
i-△
i)によって、補償なしのi番目の送信のPRBごとの送信電力を得る。また、数(15)のμ
iは、i番目の送信のヌメロロジーに関連する正規化係数である。
【0081】
いくつかの実施形態では、被電力制御デバイスが電力制御デバイスから受信したPCPは、電力制御デバイスが例えば数(4)に基づいて決定するベース電力レベルP0及び/又はPL補償率αを含んでもよい。そのような実施形態では、タイプ2のTPCを利用した送信(即ち、送信T2)用のキャリア上のカバレッジにおける電力制御デバイスは、電力制御デバイスからのTPCコマンドと、MCS及び/又はQoSの電力補償値とのうちの選択的な1つ又は複数と、電力制御デバイスからのベース電力レベルP0及び/又はαとに基づいて、送信T2の送信電力を決定してもよい。非限定的な例として、被電力制御デバイスは、数(16)により送信T2の送信電力を決定してもよい。
ここで、PMは送信電力制限を表し、Mは送信T2に使用されるPRBの数を表し、2
μは異なるヌメロロジーの正規化係数を表し、P0とαは電力制御デバイスから受信したローカル電力レベルとPL補償率を表す。また、数(16)の項であるPL
edは、被電力制御デバイスと電力制御デバイスとの間の推定PLを表す。さらに、△は、送信T2のMC及び/又はQosに関連する補償係数を表し、δは、電力制御デバイスから受信した電力オフセットを表し、fは、前回の累積リセット/初期化スロット以降に電力制御デバイスから受信したすべてのδを累積することによって得られる累積調整係数を表す。
【0082】
数(8)を参照した説明と同様に、数(16)のPMの値は、数(9)~(13)のいずれかにより決定されてもよい。いくつかの他の実施形態では、数(16)のPMの値は、送信T2のQoSレベル及び/又は優先度に依存してもよい。非限定的な例として、送信T2のキャリア上の基地局のカバレッジにある電力制御デバイスは、構成された閾値よりも送信T2のQoSレベルが高い場合には、数(10)~(13)のいずれかに従ってPMの値を決定し、他の場合には、数(9)に従ってPMの値を決定してもよい。代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、被電力制御デバイスが基地局のカバレッジ外にある場合、数(16)のPMの値は、数(10)~(13)のうちの1つに基づいて決定されてもよい。
【0083】
いくつかの実施形態では、数(16)のPLedの値は、電力制御デバイスから被電力制御デバイスによって受信されてもよい。代替的に、別の実施形態では、PLedの値は、電力制御デバイスからの1つ又は複数の送信(例えば、RS送信)の測定に基づいて、被電力制御デバイスによって決定されてもよい。測定に使用される送信の数は、簡単のために以下ではR3と表記される。R3の値は、指定されてもよいし、(事前に)構成されてもよいし、被電力制御デバイス又は電力制御デバイスによって決定されてもよい。PLの測定を可能にするために、電力制御デバイスからのR3個の送信(例えば、RS送信)の送信電力が被電力制御デバイスに通知されてもよい。
【0084】
一例として、PL
edの値は、数(17)により被電力制御デバイスによって決定されてもよい。
ここで、PL
ed,iは、電力制御デバイスからのR3個の送信のうち、i番目の送信に基づいて推定されたパスロスを表す。
【0085】
いくつかの実施形態では、数(16)のいくつかの項が省略されてもよいことを理解されたい。例えば、電力制御デバイスからの動的電力制御コマンドが利用できない場合、項δ及びfは省略されてもよい。代替的に、累積TPCコマンドが有効でない場合には、fは省略されるか、又はゼロに設定されてもよい。いくつかの実施形態では、被電力制御デバイスは、送信T2の送信電力の決定の際、MCS又はQoSに関連する補償を考慮しなくてもよい。そのような場合には、数(16)から項Δを省略してもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、被電力制御デバイスは、送信T2が発生するスロットで送信されるべき複数の物理チャネル/信号を有してもよく、これらすべての物理チャネル/信号に必要な送信電力の合計は、被電力制御デバイスに許容される最大送信電力を超えてもよい。このような場合、被電力制御デバイスは、複数の物理チャネル/信号の送信電力の合計が最大送信電力を超えないように、複数の物理チャネル/信号のうち1つ以上の送信電力をスケールダウンしてもよい。例えば、被電力制御デバイスは、サイドリンクのための送信T2の送信電力P2をスケールダウンしてもよいし、送信T2を直接ドロップしてもよいし、スケーリング後の送信電力が所定の閾値よりも低い場合に送信T2をドロップしてもよい。いくつかの実施形態では、被電力制御デバイスは、複数の物理チャネル/信号の優先度に基づいて、スケールダウン又はドロップされるべき物理チャネル/信号を決定してもよい。
【0087】
代替的又は追加的に、いくつかの実施形態では、タイプ2のTPCを使用する送信は、基地局によってスケジューリングされてもよく、被電力制御デバイスは、スケジューリングを容易にするために、電力ヘッドルーム(PHR:power headroom)を基地局に報告してもよい。PHRは、UL及び/又はサイドリンクのための送信電力を含んでもよい。
【0088】
本開示のより良い理解を促進するために、以下では、
図3~
図9を参照していくつかの他の実施形態を提供する。
【0089】
図3は、本開示の実施形態に係る例示的な方法300の動作を示し、この方法は、端末デバイス(例えば、
図1の端末デバイス102~104のいずれか、又は
図2の電力制御UE202)によって実行されてもよい。説明の目的のためだけに、以下では、
図1に示す端末デバイス103及び無線通信ネットワーク100を参照して方法300を説明するが、本開示の実施形態はこれに限定されないことを理解されたい。
【0090】
図3に示すように、ブロック310において、端末デバイス103(第1のデバイスと呼ばれることもある)は、第2の端末デバイス、例えば、
図1の端末デバイス102から端末デバイス103への送信のための1つ又は複数の電力制御パラメータを決定する。言い換えれば、端末デバイス103は、端末デバイス102と端末デバイス103との間のサイドリンク送信のための1つ又は複数の電力制御パラメータを決定する。
【0091】
1つ又は複数の電力制御パラメータ(PCP)は、基準電力レベルに対する電力調整値(PA)、ベース電力レベル、及びパスロス補償係数のうちの少なくとも1つを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、PCPは、タイプ1のTPCを利用する被電力制御UEの送信のための送信電力に対する電力調整(PA)値を含んでもよい。タイプ1のTPCに従う/を利用する送信の送信電力は、事前に構成された又は基地局によって構成された電力制御パラメータ、第2の端末デバイスと基地局との間のパスロス、及び送信のMCS及び/又はQoSレベルに関連する電力補償のうちの1つ又は複数に基づいて、被電力制御デバイスによって決定されてもよい。
【0092】
いくつかの実施形態では、端末デバイス103は、測定された性能メトリックを目標性能メトリックと比較することにより、PA値を決定してもよい。性能メトリックは、受信SINRを含んでもよいが、これに限定されない。非限定な例として、PAは、上述の数(1)に基づいて決定されてもよい。この例では、端末デバイス103は、測定された受信SINRを取得するために、端末デバイス102からの1つ又は複数の送信に基づいて、平均化された受信SINRをさらに決定してもよい。測定用の1つ又は複数の送信は、タイプ1のTPCで送信される。即ち、測定用の1つ又は複数の送信の送信電力は、事前に構成された又は基地局によって構成された電力制御パラメータ、第2の端末デバイスと基地局との間のパスロス、及び送信のMCS及び/又はQoSレベルに関連する電力補償のうちの少なくとも1つに基づいて決定される。
【0093】
いくつかの実施形態では、平均化された受信SINRは、数(2)に基づいて、端末デバイス103によって決定されてもよい。例えば、端末デバイス103は、1つ又は複数の送信のそれぞれについて推定された受信SINRを取得し、推定された受信SINRの平均値を平均化された受信SINRとして決定してもよい。
【0094】
また、端末デバイス103は、1つ又は複数の送信のそれぞれについて推定された受信SINRを取得する際に、1つ又は複数の送信のそれぞれについてMCS及び/又はQoSレベルに関連する電力補償Δiを除去してもよい。数(2)に示す例では、△iは、SINR_Rを算出する際に、SINRiから除去される。なお、△iは、例えば、数(3)に基づいて決定されてもよい。
【0095】
代替的又は追加的に、ブロック310で端末デバイス103によって決定された1つ又は複数のPCPは、ベース電力レベルP0及びパスロス補償係数αを含んでもよく、端末デバイス103は、目標受信SINR(SINR_Tと呼ばれる)及び第1の端末デバイスと第2の端末デバイスとの間のパスロス(PLerと呼ばれる)に基づいて、P0及びαを決定してもよい。非限定な例として、端末デバイス103は、端末デバイス103における受信電力が目標受信電力SINR_Tよりも大きくならないように、P0及びαを決定してもよい。特に、端末デバイス103は、数(4)で定義される制限を満たすように、P0及びαを決定してもよい。
【0096】
ブロック320において、端末デバイス103は、1つ又は複数の電力制御パラメータを端末デバイス102に送信する。実施形態は、PCPを端末デバイス102に送信するためのいかなる特定の方法にも限定されないことを理解されたい。非限定な例として、PCPは、端末デバイス103と端末デバイス102との間のサイドリンクを介して端末デバイス102に直接信号で送られてもよいし、あるいは、基地局(例えば、
図1のネットワークデバイス101)を介して端末デバイスに転送されてもよい。
【0097】
ブロック330において、端末デバイス103は、端末デバイス102からの送信を受信し、受信した送信は、1つ又は複数のPCPに基づいて実行される。例えば、受信した送信は、数(8)に基づいて決定された送信電力を有してもよい。
【0098】
選択肢として、いくつかの実施形態では、より高速な電力制御を可能にするために、端末デバイス103は、さらに、ブロック325において、端末デバイス102からの送信のための電力オフセット(δと呼ばれる)を決定し、ブロック326において、電力オフセットを端末デバイス102に送信してもよい。δは、端末デバイス102から受信したタイプ2のTPCを有する1つ又は複数の送信に基づいて決定されてもよく、即ち、1つ又は複数の送信の送信電力は、端末デバイス103からのPCPに基づいて決定される。
【0099】
非限定的な実施形態として、端末デバイス103は、数(7)に基づいてδを決定してもよい。電力オフセットδにより、端末デバイス102は、例えば、数(14)又は(16)に基づいて、より効率的に送信電力を決定することができる。
【0100】
なお、数(1)~(17)を参照して上記で提供されたすべての説明は、方法300にも適用されるため、詳細は繰り返さないことを理解されたい。
【0101】
図4は、本開示の実施形態に係る別の方法400の動作を示す。方法400は、端末デバイス(例えば、
図1の端末デバイス102~104のいずれか、又は
図2の被電力制御UE201)によって実施されてもよい。説明の目的のためだけに、以下では、
図1に示す端末デバイス102及び無線通信ネットワーク100を参照して方法400を説明するが、本開示の実施形態はこれに限定されないことを理解されたい。
【0102】
図4に示すように、ブロック410において、端末デバイス102は、端末デバイス102から端末デバイス103への送信のための1つ又は複数のPCPを端末デバイス103から受信する。これは、端末デバイスが基地局から電力制御に関する構成を受信するだけである従来のソリューションとは異なる。
【0103】
端末デバイス102によって受信されたPCPは、基準電力レベルに対するPA値、ベース電力レベルP0、及びパスロス補償係数αのうちの1つ又は複数を含んでもよい。非限定的な例として、基準電力レベルは、タイプ1のTPCで決定された送信電力を含んでもよく、即ち、基準送信電力は、事前に構成された又は基地局(例えば、
図1のネットワークデバイス101)によって構成された電力制御パラメータ、端末デバイス102と基地局との間のパスロス、及び送信のMCS及び/又はQoSレベルに関連する電力補償のうちの1つ又は複数に基づいて決定されてもよい。
【0104】
方法300を参照して上記で提供されたPCP(PCPの決定を含む)に関する説明は、ここにも適用されるため、詳細は繰り返さない。
【0105】
ブロック420において、端末デバイス102は、受信した1つ又は複数のPCPに基づいて、送信の送信電力を決定する。
【0106】
いくつかの実施形態では、受信したPCPは、基準電力レベルに対するPA値を含んでもよく、ブロック420において、端末デバイス102は、
図5に示す動作500を介して、送信電力を決定してもよい。
【0107】
図5の例では、ブロック510において、端末デバイス102が基地局(例えば、
図1のネットワークデバイス101)のカバレッジ内にあるかどうかを選択可能に決定してもよい。端末デバイス102がカバレッジ内にある場合、ブロック520でPA値と基準電力レベルの合計に基づいて候補送信電力を決定し、ブロック530で送信電力を候補送信電力と送信電力制限の最小値に決定してもよい。いくつかの実施形態では、端末デバイス102は、基地局のカバレッジ内にあるか否かにかかわらず、ブロック520及び530の動作を実行し、即ち、ブロック510の決定動作を省略してもよいことを理解されたい。
【0108】
例として、端末デバイス102は、数(8)に従って送信電力を決定してもよく、ここで、候補送信電力は、10log10(M)+P1+PA+△として求められ、送信電力制限PMは、数(9)~(13)のいずれかに基づいて決定される。
【0109】
ここで、
図4に戻る。いくつかの実施形態では、ブロック415において、端末デバイス102は、端末デバイス103から送信のための電力オフセットδをさらに受信してもよい。このような場合、端末デバイス103は、電力オフセットδにさらに基づいて、送信電力を決定してもよい。例えば、端末デバイス102は、
図6に示す動作600を介して、送信電力を決定してもよい。
【0110】
図6の例では、ブロック610において、端末デバイス102は、1つ又は複数のPCPに基づいて決定された送信電力で実行された1つ又は複数の送信の平均送信電力を決定してもよく、即ち、タイプ2のTPCを有する1つ又は複数の送信の平均送信電力を決定してもよい。非限定的な例として、平均送信電力は、数(15)を介して決定されてもよい。
【0111】
ブロック620において、端末デバイス102は、電力オフセットδと平均送信電力との合計に基づいて、候補送信電力を決定する。例えば、候補送信電力は、10log10(2μ・M)+Pr、10log10(2μ・M)+Pr+△、又は10log10(2μ・M)+Pr+△+δとして決定されてもよい。ここで、M、△及びδは、前に定義したものと同じ意味を持つ。
【0112】
ブロック630において、端末デバイス102は、送信電力を、送信電力制限と候補送信電力の最小値に決定する。非限定な例として、端末デバイス102は、数(14)に基づいて送信電力を決定してもよい。送信電力制限は、数(8)~(16)を参照して説明したように、様々な方法で決定されてもよい。
【0113】
いくつかの実施形態では、端末デバイス102によって受信されたPCPは、ベース電力レベルP0及びパスロス補償係数αを含んでもよく、そのような実施形態では、
図4のブロック420において、端末デバイス102は、
図7に示す動作700に基づいて、送信電力を決定してもよい。
【0114】
図7の例では、ブロック710において、端末デバイス102は、端末デバイス102と端末デバイス103との間のパスロスPL
edをパスロス補償係数αで重み付けしたものと、ベース電力レベルP0との合計に基づいて、候補送信電力を決定してもよい。例えば、候補送信電力は、10log10(2
μ・M)+P0+α・PL
edとして決定されてもよく、ここで、Mは送信に使用されるPRBの数を表し、2
μは異なるヌメロロジーの正規化係数を表す。
【0115】
端末デバイス102が、ブロック415において、端末デバイス103から送信のための電力オフセットδをさらに受信するいくつかの実施形態では、電力オフセットδにさらに基づいて候補送信電力を決定してもよい。
【0116】
代替的又は追加的に、端末デバイス102は、端末デバイス103から受信した以前の電力オフセットδの累積値f、及び/又は、送信のMCS及び/又はQoSレベルに関連する電力補償Δに基づいて、候補送信電力を決定してもよい。
【0117】
ブロック720において、端末デバイス102は、送信電力を、送信電力制限及び候補送信電力の最小値に決定する。非限定的な例として、端末デバイス102は、数(16)に従って、送信電力P2を決定してもよい。
【0118】
送信電力を決定する(例えば、
図5のブロック530、
図6のブロック630、又は
図7のブロック720)ための送信電力制限PMは、基準電力レベル、送信が発生するリソースに対する第1の最大送信電力、端末デバイス102に関連する電力クラスに対する第2の最大送信電力、及び第3の最大送信電力のいずれかに設定されてもよい。ここで、第3の最大送信電力は、端末デバイス102から端末デバイス103への送信と同時に実行される、端末デバイス102から基地局(例えば、
図1のネットワークデバイス101)へのアップリンク送信(例えば、PUCCH及び/又はPUSCH)のために確保された送信電力を、第1の最大送信電力又は第2の最大送信電力から減算して得られる。また、非限定な例として、送信電力制限PMは、数(9)~(13)のいずれかに基づいて決定されてもよい。
【0119】
代替的に、送信電力制限PMは、端末デバイス102の送信のQoSレベルに依存してもよい。例えば、送信のQoSレベルが閾値よりも高い場合、送信電力制限PMを、第1の最大送信電力(例えば、数(10)のPCMAX)、第2の最大送信電力(例えば、数(11)のPTMAX)及び第3の最大送信電力(例えば、数(12)又は(13)のPCMAX-PUL又はPTMAX-PUL)のいずれかに設定してもよい。送信のQoSレベルが閾値よりも低い場合、送信電力制限を基準電力レベル、例えば、数(9)の10log10(M)+P1に設定してもよい。
【0120】
別の実施形態では、送信電力を決定するための送信電力制限PMは、端末デバイス102が基地局(例えば、
図1のネットワークデバイス101)のカバレッジ内にあるか否かに依存してもよい。例えば、端末デバイス102が基地局のカバレッジ外にある場合、送信電力制限を、第1の最大送信電力(例えば、数(10)のP
CMAX)、第2の最大送信電力(例えば、数(11)のP
TMAX)及び第3の最大送信電力(例えば、数(12)又は(13)のP
CMAX-P
UL又はP
TMAX-P
UL)のいずれかに設定してもよい。一方、端末デバイス102が基地局のカバレッジ内にある場合、送信電力制限を基準電力レベル、例えば、数(9)の10log10(M)+P1に設定してもよい。
【0121】
ここで、
図4に戻る。ブロック430において、端末デバイス102は、決定された送信電力に従って、端末デバイス103への送信を実行する。例えば、端末デバイス102は、数(8)、(14)又は(16)のいずれかに従って決定された送信電力P2で送信を実行してもよい。
【0122】
いくつかの実施形態では、端末デバイス102は、ネットワークデバイス101又は別の端末デバイス104との接続を維持してもよく、そのような実施形態では、端末デバイス102は、端末デバイス103への送信と同時に、少なくとも1つのさらなる送信を送信しなければならない場合がある。そのような実施形態では、ブロック430において、端末デバイス102は、
図8に示す動作800に基づいて、端末デバイス103への送信を実行してもよい。
【0123】
図8の例では、ブロック810において、端末デバイス102は、端末デバイス103への送信と、当該送信と同時に実行されるさらなる送信との合計送信電力が電力閾値を超えるか否かを決定する。ブロック820において、合計送信電力が電力閾値を超える場合、端末デバイス102は、端末デバイス103への送信について決定された送信電力を低減する。即ち、決定された送信電力P2よりも小さい低減後の送信電力P2’が得られる。ブロック830において、端末デバイス102は、低減後の送信電力P2’に従って、端末デバイス103への送信を実行する。なお、合計送信電力が電力閾値を超えない場合、端末デバイス102は、決定された送信電力P2をスケールダウンする必要はない。
【0124】
いくつかの実施形態では、合計送信電力が電力閾値を超える場合、端末デバイス102は、端末デバイス103への送信を直接ドロップ(即ち、キャンセル)してもよい。代替的に、別の実施形態では、端末デバイス102は、ブロック820で得られた低減後の送信電力P2’が閾値を下回るかどうかを判断してもよい。下回ると、最小の性能要求さえも満たされない可能性があることを意味し、そのような場合、端末デバイス102は、端末デバイス103への送信をドロップしてもよい。
【0125】
いくつかの実施形態では、端末デバイス102から端末デバイス103への送信形態は、ネットワークデバイス101によってスケジューリングされてもよい。そのような実施形態では、端末デバイス102は、アップリンク送信及びサイドリンク送信のうちの少なくとも1つについて、電力ヘッドルーム(PHR)を基地局に報告してもよい。PHRは、ネットワークデバイス101によるスケジューリングを容易にすることができる。
【0126】
本開示の態様では、第1の端末デバイスを提供する。第1の端末デバイスは、第2の端末デバイスから第1の端末デバイスへの送信のための1つ又は複数の電力制御パラメータを決定するユニットと、1つ又は複数の電力制御パラメータを第2の端末デバイスに送信するユニットと、第2の端末デバイスからの送信を受信するユニットとを備え、送信は、1つ又は複数の電力制御パラメータに基づいて制御される。いくつかの実施形態では、第1の端末デバイスは、
図3を参照して説明した方法300を実行するように構成されてもよい。
【0127】
本開示のいくつかの実施形態では、第2の端末デバイスを提供する。第2の端末デバイスは、第2の端末デバイスから第1の端末デバイスへの送信のための1つ又は複数の電力制御パラメータを、第1の端末デバイスから受信するユニットと、1つ又は複数の電力制御パラメータに基づいて、送信の送信電力を決定するユニットと、決定された送信電力に従って、第1の端末デバイスへの送信を実行するユニットとを備える。いくつかの実施形態では、第2の端末デバイスは、
図4~
図8を参照して説明した方法400を実行するように構成されてもよい。
【0128】
図9は、端末デバイス(例えば、
図1の端末デバイス102~104のいずれか)として具現化され、又はそれが備えられる装置900の簡略ブロック図を示す。装置は、無線通信システムにおける電力制御に使用されてもよい。
【0129】
図9の例によって示されるように、装置900は、装置900の動作及び機能を制御するプロセッサ910を備える。例えば、いくつかの実施形態では、プロセッサ910は、該プロセッサ910に結合されたメモリ920に格納された命令930によって、様々な動作を実行してもよい。メモリ920は、ローカルの技術環境に適した任意の適切なタイプのものであってもよく、非限定的な例として、半導体系のメモリ端末デバイス、磁気メモリ端末デバイス及びシステム、光学メモリ端末デバイス及びシステム、固定メモリ及びリムーバブルメモリなど、任意の適切なデータストレージ技術を使用して実施されてもよい。
図9には1つのメモリユニットのみが示されているが、装置2100は、物理的に別個であるいくつかのメモリユニットを有してもよい。
【0130】
プロセッサ910は、ローカルの技術環境に適した任意の適切なタイプであってもよく、非限定的な例として、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサDSP、及びマルチコアプロセッサアーキテクチャに基づくプロセッサのうちの1つ又は複数を含んでもよい。また、装置900は、複数のプロセッサ910を含んでもよい。
【0131】
また、プロセッサ910は、情報の受信及び送信を可能にするトランシーバ940に結合されてもよい。例えば、プロセッサ910及びメモリ920は、
図3~
図8を参照して説明した方法300~400のいずれかを実施するために協同して動作することができる。
図3~
図8を参照して上述したすべての特徴は、装置900にも適用されることを理解されたい。ここで、詳細を繰り返しない。
【0132】
本開示の様々な実施形態は、1つ又は複数のプロセッサ(例えば
図9のプロセッサ910)によって実行可能なコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム製品、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はそれらの組み合わせにより実装されてもよい。
【0133】
上記説明の一部は、
図1に示す通信ネットワークの文脈でなされているが、本開示の精神及び範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本開示の原理及び概念は、より一般的に他のシナリオに適用可能である。
【0134】
さらに、本開示は、上述したようなコンピュータプログラム(例えば、
図9のコンピュータ命令/プログラム930)を含む担体を提供することもできる。担体は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体と、送信媒体とを含む。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、例えば、光コンパクトディスクや、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、磁気テープ、CD-ROM、DVD、Blue-ray Discなどの電子記憶デバイスを含んでもよい。また、送信媒体には、例えば、搬送波、赤外線信号などの電気的、光学的、無線的、音響的などの伝搬信号が含まれてもよい。
【0135】
本明細書で説明した技術は、実施形態で説明した対応する装置の1つ又は複数の機能を実装する装置が、先行技術のユニットだけでなく、対応する装置の1つ又は複数の機能を実装するためのユニットを備えるように、様々なユニットによって実装されてもよく、別々の機能ごとに別々のユニットを有してもよいし、2つ以上の機能を実行するように構成されたユニットを有してもよい。例えば、これらの技術は、ハードウェア(例えば、回路又はプロセッサ)、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせで実装されてもよい。ファームウェア又はソフトウェアの場合、実装は、本明細書に記載された機能を実行するモジュール(例えば、手順、機能など)を通じて行われてもよい。
【0136】
本明細書のいくつかの例示的な実施形態は、方法及び装置のブロック図及びフローチャートを参照して上記で説明されている。ブロック図及びフローチャートの各ブロック、ならびにブロック図及びフローチャートのブロックの組み合わせは、それぞれ、コンピュータプログラム命令を含む様々な手段によって実装されてもよいことを理解されたい。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又はその他のプログラマブルデータ処理装置にロードされてマシンを作り出すことによって、コンピュータ又はその他のプログラマブルデータ処理装置上で実行される命令が、フローチャートのブロックに規定される機能を実施するための手段を作成する。
【0137】
本明細書には多くの具体的な実装の詳細が含まれているが、これらは、任意の実装の範囲又は請求の範囲に対する制限として解釈されるべきではなく、むしろ、特定の実装の特定の実施形態に特有の特徴の説明として解釈されるべきである。別々の実施形態の文脈で本明細書に説明されている特定の特徴は、単一の実施形態に組み合わせて実装されることもできる。逆に、単一の実施形態の文脈で説明されている様々な特徴は、複数の実施形態において別々に、又は任意の適切なサブコンビネーションで実施されることもできる。さらに、特徴は、特定の組み合わせで作用するものとして上記で説明され、初めてそのように特許請求されることさえあるが、特許請求された組み合わせからの1つ又は複数の特徴は、場合によって組み合わせから抜粋されることができ、特許請求された組み合わせは、サブコンビネーション又はサブコンビネーションの変形に向けられる。
【0138】
技術の発展に伴い、本発明の概念を様々な方法で実施できることは、当業者にとって明らかである。上述した実施形態は、本開示を限定するのではなく、説明するために与えられたものであり、当業者が容易に理解できるように、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、修正及び変形に頼ることができることを理解されたい。このような修正及び変形は、本開示及び添付の請求の範囲内であると考えられる。本開示の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。