(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】生花用飾り台
(51)【国際特許分類】
A47G 7/02 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
A47G7/02 H
(21)【出願番号】P 2023132692
(22)【出願日】2023-08-16
【審査請求日】2023-08-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年10月4日から令和5年8月14日の期間に複数回にわたり富山県内での葬儀等において実施。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年11月5日から令和5年8月14日の期間に複数回にわたり、富山県下新川郡朝日町大家庄102-1の「ひすい野ホール」の葬儀等において実施。また、令和4年10月4日から令和5年8月12日の期間に複数回にわたり、富山県下新川郡朝日町、富山県下新川郡入善町、富山県下新川郡宇奈月町での葬儀等において実施。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523274779
【氏名又は名称】有限会社高松葬祭
(74)【代理人】
【識別番号】100178504
【氏名又は名称】細川 健人
(72)【発明者】
【氏名】高松真一
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-238775(JP,A)
【文献】登録実用新案第3088808(JP,U)
【文献】特開2004-350739(JP,A)
【文献】登録実用新案第3012357(JP,U)
【文献】特開2002-336107(JP,A)
【文献】実開昭48-032390(JP,U)
【文献】実開昭58-019678(JP,U)
【文献】実開昭59-028521(JP,U)
【文献】実開昭55-000472(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する容器本体と、前記容器本体の開口部に設置する蓋部品と、を有する生花用飾り台であって、
前記蓋部品には、前記容器本体の内部および外部を連通する複数の孔部を設けた基板と、前記容器本体の外部から内部まで貫通した状態で前記複数の孔部に
一体成形または溶着または接着により固定されている複数の筒状部品と、を備えており、
前記複数の筒状部品は、前記基板に対して略鉛直方向に固定されている第1筒状部品群と、前記基板に対して傾斜した状態で固定されている第2筒状部品群と、から形成されており、
前記第1筒状部品群は、前記容器本体の内部から外部方向へ突出する長さが手前側から奥側に向けて互いに異なる二以上の筒状部品を有していることを特徴とする生花用飾り台。
【請求項2】
前記第2筒状部品群は前記第1筒状部品群の周囲を取り囲むように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の生花用飾り台。
【請求項3】
前記筒状部品の少なくとも1つ以上は、前記基板よりも前記容器本体の内部側に延びる部分が筒状部品の全長の10%以上の長さを有することを特徴とする請求項1に記載の生花用飾り台。
【請求項4】
前記筒状部品には、規則的に色分けした目印が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の生花用飾り台。
【請求項5】
前記筒状部品の前記目印は、前記筒状部品の前後方向の位置に応じて色分けされていることを特徴とする請求項4に記載の生花用飾り台。
【請求項6】
さらに、前記容器本体内には凸部を備えた固定部材が設置されており、前記蓋部品の基板下方側に設けた固定筒部が前記凸部に差し込まれていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の生花用飾り台。
【請求項7】
生花を挿入することができる複数の筒状部品と、前記複数の筒状部品が
一体成形または溶着または接着により、貫通した状態で固定される基板とからなる生花用の飾り部材であって、前記複数の筒状部品のうちの一部の筒状部品は、基板のなす平面上における一方向、及び、前記一方向と直交する方向の両方向に傾斜するようにして基板に固定されており、
さらに、前記複数の筒状部品は、前記基板に対して略鉛直方向に固定されている第1筒状部品群と、前記基板に対して傾斜した状態で固定されている第2筒状部品群と、から形成されており、
前記第1筒状部品群は、
前記基板に対して略鉛直方向へ突出する長さが手前側から奥側に向けて、互いに異なる二以上の筒状部品を有していることを特徴とする生花用の飾り部材。
【請求項8】
前記複数の筒状部品のうちの一部の筒状部品は、基板のなす平面と直交する一方の方向の側に延びる部分の長さが、基板のなす平面と直交する他方の方向の側に延びる部分の長さよりも長くなっており、かつ、それらとは別の一部の筒状部品は、基板のなす平面と直交する一方の方向の側に延びる部分の長さが、基板のなす平面と直交する他方の方向の側に延びる部分の長さよりも短くなっていることを特徴とする請求項7に記載の生花用の飾り部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
主に冠婚葬祭に使用される生花用の飾り台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冠婚葬祭を始めとする様々な催事場において、花束を飾るための飾り台(花飾り台)が設置されている。そのような花飾り台は、多くの花束を様々な位置や方向に固定することで催事場を訪れる人に美観を与えると同時に、特に生花の場合には長時間にわたり多くの花束に水分を供給できる役割を果たしている。
例えば、特許文献1および2には前後左右方向に美しく見えるように花束を配置できる花飾り台が開示されている。また、特許文献3および4では、前後方向の決められた位置に花を美しく見えるように配置できる花飾り台が開示されている。そして、特に、生花の飾り台の場合には、水を吸収させたオアシスとよばれる発泡体に花を挿して飾ることが一般的に広く行われている(特許文献1の第2図、特許文献2の
図2、特許文献3の
図3に関する記載を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭58-91979号公報
【文献】特開2004-350739号公報
【文献】特開2007-325678号公報
【文献】特開2001-238775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1および2に記載のように吸水性発泡体を使う場合には、使用後の吸水性発泡体には花を挿した穴が残るため、再利用が難しく、廃棄せざるを得ない場合が多かった(せいぜい1~2回程度の再利用のみ可能)。また、その廃棄の際にも、吸収された水分を手で絞ってから廃棄するため、その水絞り作業が重労働であるという不都合な面もあった。また、吸水性発泡体の使用前には、水を十分にしみこませるために吸水性発泡体を水に漬けておく時間を要するという不都合な面もあった。さらには、、吸水性発泡体を使った花飾り台は、多くの花束を様々の位置に固定することで美観を保っているが、花飾り台の美観(見栄え)は作業者の美的感覚(技量)に依存する場合が多かった。とりわけ、花飾り台に使用される花束の数や花の種類が多い場合には、花飾り台への飾りつけ作業を熟練の作業者に頼らざるを得ず、大きな負担になっていた。
【0005】
また、複数の花枝を用いて花飾り台に飾る際には、 花台全体の見栄えを整えるために花枝の長さに応じて花束を飾る位置(配置)を都度確認しながら行う必要があり、飾り付けに要する時間が増大するという問題もあった。また、特許文献3および4に記載の花飾り台は、吸水性発泡体を使用しないものではあるが、花を直立して平行に並べるタイプのものであり、また、比較的大型のものであることから、一般的な花飾りとしての汎用性が高くなく、その用途が限定的なものであった。
【0006】
本発明は、このような従来の花飾り台が有していた問題を解決するためのものであり、使用する複数の花束の長短に関わらず、また作業者の技量によらないで花束の見栄えを短時間かつ均質的に確保できる花飾り台を実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の生花用飾り台は、開口部を有する容器本体および当該容器本体の開口部に設置する蓋部品を有する生花用飾り台において、当該蓋部品を形成する基板に容器本体の内部および外部を連通する複数の孔部を設け、その孔部に対して容器本体の外部から内部まで複数の孔部を貫通した状態となるように複数の筒状部品を各孔部に一体成形または溶着または接着により固定し、複数の筒状部品は、前記基板に対して略鉛直方向に固定されている第1筒状部品群と、前記基板に対して傾斜した状態で固定されている第2筒状部品群と、から形成されており、前記第1筒状部品群は、前記容器本体の内部から外部方向へ突出する長さが手前側から奥側に向けて、互いに異なる二以上の筒状部品を有している。
【0008】
また、第2筒状部品群は第1筒状部品群の周囲を取り囲むように配置してもよい。また、一つの実施形態としては、筒状部品の少なくとも1つ以上は、前記基板よりも前記容器本体の内部側に延びる部分が筒状部品の全長の10%以上の長さを有する。また、別の、一つの実施形態としては、筒状部品には、規則的に色分けした目印が設けられており、好ましくは、前記筒状部品の目印は、筒状部品の前後方向の位置に応じて色分けされているものである。また、別の一つの実施形態としては、容器本体内には凸部を備えた固定部材を設置して、基板の下面側に固定筒部(第1筒状部品群の内の筒状部品の一端側)を設けて、当該凸部に差し込むこともできる。
【0009】
あるいは、前記蓋部品を単独の製品として、生花用の飾り部材としてみた場合には、以下のような手段として説明できる。すなわち、生花を挿入することができる複数の筒状部品と、前記複数の筒状部品が一体成形または溶着または接着により、貫通した状態で固定される基板とからなる生花用の飾り部材であって、前記複数の筒状部品のうちの一部の筒状部品は、基板のなす平面上における一方向、及び、前記一方向と直交する方向の両方向に対して傾斜するようにして基板に固定されており、さらに、前記複数の筒状部品は、前記基板に対して略鉛直方向に固定されている第1筒状部品群と、前記基板に対して傾斜した状態で固定されている第2筒状部品群と、から形成されており、前記第1筒状部品群は、前記基板に対して略鉛直方向へ突出する長さが手前側から奥側に向けて、互いに異なる二以上の筒状部品を有している。また、その別の実施形態としては、前記複数の筒状部品のうちの一部の筒状部品は、基板のなす平面と直交する一方の方向の側に延びる部分の長さが、基板のなす平面と直交する他方の方向の側に延びる部分の長さよりも長くなっており、かつ、それらとは別の一部の筒状部品は、基板のなす平面と直交する一方の方向の側に延びる部分の長さが、基板のなす平面と直交する他方の方向の側に延びる部分の長さよりも短くなっている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の生花用飾り台は、飾るべき花枝の長さに応じて飾り台に差し込む位置を予め設定しておくことで、使用する複数の生花の長短に関わらず、作業者の技量によらないで花束の見栄えを短時間かつ均質的に確保できるという効果を奏する。さらに、花飾り台に固定されている複数の花束に対して、幅(左右方向)、奥行き(前後方向)および高さ(上下方向)を持たせることで、より立体的に装飾できるという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態である生花用飾り台100の正面図である。
【
図2】同生花用飾り台100を構成する蓋部品30および固定部材70の正面図である。
【
図3】同生花用飾り台100を構成する蓋部品30および固定部材70の平面図である。
【
図4】基板35の孔部37の配置を説明するための図である。
【
図5】蓋部品30を固定部材70に取り付けた状態の斜視図である。
【
図6】蓋部品30を固定部材70に取り付けた状態の右側面図である。
【
図7】本発明に係る生花用飾り台の一実施態様を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明である生花用飾り台の一実施形態について図面を用いて説明する。本発明の一実施形態である生花用飾り台100の正面図を
図1に示す。本発明の生花用飾り台100は、
図1に示すように、主に内部に水(または養分を含む液体)を貯留できる容器本体50および容器本体50の開口部51に設置する蓋部品30から構成されている(なお、
図1では蓋部品30の上部のみが表示されており、下部は容器本体50の内部に存在する。)。この蓋部品30は筒状部品10,20を備えている(詳細は後述する)。さらに、容器本体50の内部には、
図1に示すように固定部材70が設置されており、容器本体50の開口部51に対して蓋部品30を固定する役割を果たしている。なお、
図1に記載の蓋部品30は透明な樹脂で成形した実施形態としているが、透明でない樹脂で成形してもよい。
【0013】
次に、本発明の一実施形態の花用飾り台100を構成する蓋部品30および固定部材70の正面図を
図2、平面図を
図3に示す。この
図2、
図3は図面の見やすさと説明の便宜上、蓋部品30が透明でない樹脂で成形されている実施形態として表現されている。なお、本明細書において、
図2で見た左右方向のことを「幅方向」または「左右方向」とよび、
図3で見た場合の筒状部品22から筒状部品15に向かう向きを「奥行方向」または「前後方向」といい、筒状部品22の側を「前」、筒状部品15の側を「後」とよび、左右方向及び前後方向の両方に直交する方向を鉛直方向とよぶ。この蓋部品30には、容器本体50の開口部51に設置した際に容器本体50の内部および外部を連通する複数の孔部37が基板35の厚み方向に沿って形成されている。(後述の
図4を参照)。また、これらの複数の孔部37には容器本体50の外部から内部まで貫通した状態で複数の筒状部品10(11~16),20(21~29)が設置されている。この蓋部品30を形成している複数の筒状部品10,20は、
図2および
図3に示すように、蓋部品30を形成する基板35の孔部37に対して略鉛直方向に固定されている第1筒状部品群10(11~16)と、基板35の孔部37に対して左右方向及び/又は前後方向に傾斜した状態で固定されている第2筒状部品群20(21~29)とを備えている。なお、「略鉛直」とは製造誤差などの意図しない事情により生じる誤差を含む鉛直方向のことを意味し、概ね鉛直方向から多くても3度以下の程度の範囲のものとして解釈すべきである。ここで、基板35の孔部37の配置を説明するための説明図を
図4に示す(筒状部品の厚みなどは無視して便宜上、作成した図である)。
図4に記載のとおり基板35の内部領域には複数の孔部37が設けられており、また、基板35の周囲には複数の切欠41,42,45,46,48が設けられている。
そして、第1筒状部品群10(11~16)は基板35の中央部に配置され、第2筒状部品群20(21~29)は中央部よりも外周部分に配置される。また、第2筒状部品群20(21~29)は、
図3に示すように第1筒状部品群10(11~16)の周囲を取り囲むように配置される。すなわち、第2筒状部品群20(21~29)を第1筒状部品群10(11~16)の周囲を取り囲むように配置することで、飾るべき花枝の長さに応じて飾り台に差し込む位置を予め設定することでできて、かつ使用する複数の生花の長短に関わらず、作業者の技量によらないで花束の見栄えを短時間かつ均質的に確保できる。なお、「第1筒状部品群の周囲を取り囲む」とは全ての略鉛直方向の筒状部品10を全周に渡って完全に取り囲むという意味ではなく、少なくとも1つ以上の筒状部品(11~16のいずれか)を、少なくとも前方と右側方と左側方の3方向から囲むように配置されている状態を意味するものである。すなわち、
図3の図面でいえば、筒状部品11,12,13の3本が前方と右側方と左側方の3方向から囲まれている。また、例えば、仮に
図3における筒状部品28と筒状部品29を略鉛直方向に延びる筒状部品に変更した場合であっても、筒状部品11は前方と右側方と左側方の3方向から囲まれていることから、「第1筒状部品群の周囲を取り囲む」状態ということになる。
【0014】
そして、複数の筒状部品10(11~16),20(21~29)のうちの少なくとも1つ以上は、基板35よりも容器本体50の内部側に延びる部分が筒状部品の全長の10%以上の長さになっている。なお、好ましくは30%以上の長さ、さらに好ましくは50%以上の長さとなっているとよい。特に、奥行き方向の最前列の筒状部品21~23は、基板35よりも容器本体50の内部側に延びる部分が外部側に延びる部分よりも長くなっている。これらの特徴により、花を筒状部品に挿入した際に花の茎が容器本体50の内部においてもしっかりと保持されるため、花の傾きが当初の想定していた向きから大きくずれてしまうことがなく、当初から想定していた花のアレンジメントどおりに再現することができる。なお、後方側に配置される筒状部品(例えば、筒状部品14~16など)は、基板35よりも容器本体50の外部側に延びる部分が内部側に延びる部分よりも長くなっているので、花の茎の部分は容器本体50の外部でしっかりと保持されるため、同様に花の傾きが当初の想定していた向きから大きくずれてしまうことはない。また、特に、第1筒状部品群10(11~16)については、
図2に示すように容器本体50の内部から外部方向へ突出する長さを手前側から奥側に向けて、互いに異なる二以上の筒状部品11~16を配置することができる。すなわち、直立したで固定された第1筒状部品群10(11~16)と傾斜した状態で固定された第2筒状部品群20(21~29)を前述した形態で配置することによって、花飾り台に固定されている複数の花束に対して、幅(左右方向)、奥行き(前後方向)および高さ(上下方向)を持たせることで、より立体的に装飾できる。なお、本発明は、筒状部品10,20の配置数、配置位置、前後方向(奥行方向)の傾斜角度、左右方向(幅方向)の傾斜角度を、この
図2に示す実施形態のものに限定するものではない。それらパラメータは、各種セレモニーや家庭使用などの用途とニーズに応じて適切なものに変更されるべきものである。
【0015】
また、
図3に示す様に固定部材70に複数の凸部71,72を設けて、さらに基板35の下面側に複数の固定筒部(第1筒状部品群10の内の筒状部品11,15の一端側を延設して構成した筒部)75,76を凸部71,72に差し込んだ状態で設置しても構わない。
図5には、蓋部品30を固定部材70に取り付けた状態の斜視図を示し、
図6には右側面から見た図を示す。この
図5、
図6に示した蓋部品30は透明の樹脂で成形された実施形態のものを示している。蓋部品30を透明とすることで、花を挿した花飾りとして完成した状態で、筒状部品10,20が見えにくくなるため、生花飾り全体の見栄えを損なうことがないという有利な効果があるが、必ずしも透明であることが本発明の必須の条件であるわけではない。当該固定部材70を使用した場合の生花用飾り台の一実施態様(正面図)を
図7に示す。
図7に示されているように、各筒状部品10(11~16),20(21~29)には、2~5本の適宜の複数本数の花枝を透明なラップフィルムに巻いた状態の花束がそれぞれ挿入されている。このように透明なラップフィルムに巻いた状態の花束を挿入すると、見栄えもよく、さらに、花飾りを使用したセレモニーなどの後に参加者が花束を持ち帰りやすいというメリットがある。もちろん、透明なラップフィルムに巻かない花束や1本の花を挿入して使用してもよい。容器本体の内部に固定部材70を設置すると、
図7に示す様に多くの花束が第1筒状部品群および第2筒状部品群に分けて差し込まれた状態であっても、生花用飾り台全体を安定させることができる。なお、固定部材70には
図3に図示されるように最後列中央の筒状部品15の背後の部分を中空棒状として側方に固定ネジを設けることで、花飾りの提供者の名前や広告などの看板札を挿入固定できりようにもなっている。また、固定部材70を用いずに他の手段で蓋部品30を容器本体50に固定するようにしてもよい。
【0016】
なお、第1筒状部品群10(11~16)および第2筒状部品群20(21~29)の表面には、
図2に付番80を付して示す様に異なる色彩の目印80を付けることで、作業者が容易かつ迅速に長さの異なる複数の花束を適切な筒状部品内へ差し込むことができる。
図2では、便宜上、筒状部品28にのみ目印80の付番を付しているが、実際は全ての筒状部品10(11~16),20(21~29)に目印80が規則的に色分けして設けられている。この筒状部品の目印80は、筒状部品の前後方向の位置に応じて色分けされている。すなわち、前後の奥行方向の最前列の筒状部品21,22,23には白色の目印80をつけ、2列目中央部の筒状部品11,24,25には緑色の目印80をつけ、3列目中央部の筒状部品12,13には赤色の目印80をつけ、最後列の筒状部品14,15,16,28,29には青色の目印80をつけ、そして、前後の奥行方向の略中央位置(2列目と3列目のあいだ)の外周部に位置する筒状部品26,27には黄色の目印をつける。このように色分けするとともに、その色ごとに挿入する花枝の長さを予め決めておく。例えば、白色は40cm、緑色は45cm、黄色は50cm、赤色は55cm、青色は60cmのように決めておく。このように決めて置き、それを作業手順としてマニュアル化しておくことで、花を飾る作業者は目印80の色ごとに予め定められた長さに切って、その目印80に対応する筒状部品に挿入するだけでよい。さらには色ごとに花の種類を決めておくこともできる。予め全ての筒状部品10,20の傾斜角度と、挿入する花枝の長さを熟練者により最も好ましい状態に設定しておけば、熟練技術を有さない作業者であっても、熟練者のような花飾りを再現することができる。
【0017】
また、
図3に示す様に蓋部品30の基板35の周縁部に複数の切欠き(基板前方切欠41,42、基板側方切欠45,46、基板後方切欠48)を設けることで、これらの切欠きに指を入れてつかむことにより、容器本体の開口部から蓋部品30を簡便に着脱できる。同時に、これらの切欠きから容器本体の内部に直接水や養液などを速やかに注入することもできる。
【0018】
なお、蓋部品30は基板35を予め製造した後で筒状部品10,20を溶着や接着などで蓋部品30の孔部37に取り付けるようにしてもよいし、あるいは、基板35や筒状部品10,20を含む蓋部品30全体を樹脂射出成形などにより一体成形するようにしてもよい。また、蓋部品30を樹脂一体射出成形する際に、基板35と筒状部品10,20とを異なる樹脂として2色成形してもよい。あるいは、基板35を金属製として、筒状部品10,20を透明樹脂製としてもよい。
【0019】
なお、上記実施形態では蓋部品30は、生花用飾り台100の1つの部品として、容器本体50との相対位置関係などの面からその特徴を説明したが、蓋部品30を単独の生花用の飾り部材30として見た場合であっても、十分に商品としての販売や流通の対象となり得る特徴を備えるものである。つまり、生花用の飾り部材30は、生花を挿入することができる複数の筒状部品10,20と、前記複数の筒状部品10,20が固定される基板35とからなり、複数の筒状部品のうちの一部の筒状部品(例えば、
図2の実施形態でいえば付番21~23,26,27のような筒状部品)は、基板のなす平面上における一方向(例えば前後方向)、及び、前記一方向と直交する方向(例えば左右方向)の両方向に対して直交するのではなく、両方向に傾斜するようにして基板に固定されている。そして、さらに、複数の筒状部品10,20のうちの一部の筒状部品(例えば、
図2の実施形態でいえば付番21~23のような筒状部品)は、基板35のなす平面と直交する一方の方向(例えば
図2の下の方向であり、容器内部側の方向)の側に延びる部分の長さが、基板のなす平面と直交する他方の方向(例えば
図2の上の方向であり、容器外部側の方向)の側に延びる部分の長さよりも長くなっており、かつ、別の一部の筒状部品(例えば、
図2の実施形態でいえば付番14~16のような筒状部品)は、基板のなす平面と直交する一方の方向の側に延びる部分の長さが、基板のなす平面と直交する他方の方向の側に延びる部分の長さよりも短くなっているという特徴を有している。なお、いうまでもないが、本明細書における上記説明のように筒状部品10,20の部分どうしの長さを比較するにあたっては、略円柱形状の筒状部品の外周面の特定の線分(円柱の高さ方向と平行な線分)に沿った長さ同士で比較して説明しているものである。
【0020】
以上のとおり、本発明における生花用飾り台100であれば、花飾りの使用後に蓋部品30を水で洗えば、蓋部品30を繰り返し使用できるので、従来の吸水性発泡部材と比較して廃棄物の量を圧倒的に低減させることができる。また、花を飾る作業者が、必ずしも熟練者でなくても熟練者と同等な花飾りを再現することができる。また、熟練者が作業する場合であっても、作業時間を大幅に短縮することができる。さらには、蓋部品30の筒状部品10,20の本数や傾斜角度を変更することで、各種セレモニーや家庭使用などの使用多種多様な用途とニーズに応じた花飾りを作成することができるなど、多種多様なメリットを有するものである。
【符号の説明】
【0021】
10,11~16 第1筒状部品群
20,21~29 第2筒状部品群
30 蓋部品(生花用の飾り部材)
35 基板
37 孔部
41,42 基板前方切欠
45,46 基板側方切欠
48 基板後方切欠
50 容器本体
51 容器本体の開口部
70 固定部材
71,72 固定部材の凸部
75,76 固定筒部
80 目印
100 生花用飾り台
【要約】
【課題】従来の生け花用飾り台に関して、その美観(見栄え)は作業者の技量に依存する場合が多く、特に、使用する花束の数や花の種類が多い場合には熟練作業者に頼らざるを得ず、大きな労力的な負担になっているという問題があった。
【解決手段】そこで、本発明は、開口部51を有する容器本体50および容器本体50の開口部51に設置する蓋部品30を有する生花用飾り台100において、蓋部品30は容器本体50の内部および外部を連通する複数の孔部を設けた基板、これら複数の孔部を容器本体50の外部から内部まで貫通した状態でこれらの各孔部に固定した複数の筒状部品10,20から形成する。
【選択図】
図2