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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】太陽光発電システム
(51)【国際特許分類】
   H02S 20/10 20140101AFI20240625BHJP
   H10K 30/50 20230101ALI20240625BHJP
   H10K 30/40 20230101ALI20240625BHJP
【FI】
H02S20/10 C
H10K30/50
H10K30/40
H02S20/10 Q
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023205382
(22)【出願日】2023-12-05
【審査請求日】2023-12-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514192996
【氏名又は名称】馬場 啓丞
(74)【代理人】
【識別番号】100146020
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 善光
(72)【発明者】
【氏名】馬場 啓丞
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-032381(JP,A)
【文献】特開2023-064806(JP,A)
【文献】特開2023-005635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 12/00 - 12/34
H02S 20/00 - 20/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱から南北方向に突設した上下方向で2本の支持部材に、それぞれ上下端部を締結手段で脱着可能に取り付けられた、棒状の形態を有する太陽光発電ユニットを有する太陽光発電システムであって、
前記太陽光発電ユニットは、
断面四角形状で、長尺状で筒状の筒状基部と、
前記筒状基部の少なくとも3面の外周面に巻き付けられ、両端部を前記筒状基部の下面に接着手段又は押付手段により固定された可撓性を有し拡げると略四角形状でシート状の、又は、前記筒状基部の下面側で端部同士を重ね合わせて、前記重ね合わせた端部同士を脱着可能に締結手段で締結された可撓性を有し拡げると略四角形状でシート状の、太陽光発電シートと、を備え、
前記支柱に、前記太陽光発電ユニットを、上面を南向きで、30°~90°の傾斜角で脱着可能に配設することを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項2】
前記太陽光発電シートが、ペロブスカイト太陽光発電シートであることを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項3】
前記支柱の組み合わせが、2本の支柱間に少なくとも1か所で横梁を横架したH型柱であることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性を有するシート状の太陽光発電シートを使用した太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、支柱に太陽電池を3段配設する太陽光発電設備であって、2本の支柱間に少なくとも1か所で梁を横架したH型柱のそれぞれ支柱に、それぞれの太陽電池を、 同一段に並列に配設した複数の太陽電池をそれぞれ近設する太陽電池とは非連結の形態で、南向きで、30°~50°の傾斜角で、かつ 直近の上方及び下方の太陽電池間において、上方の太陽電池の下端と下方の太陽電池の上端とを結んだ線と地面とのなす角度を、設置場所の緯度における夏至における南中高度より大きくなるように配設 し、最下段の太陽電池と最上段の太陽電池とを、支柱を中心にそれぞれ南北方向にずらして配設する太陽光発電設備が開示されている。
【0003】
特許文献2には、太陽電池モジュールを有し、略垂直に立設した状態で該太陽電池モジュールを用いた太陽光による発電が可能なポール型太陽光発電機であって、ポール本体と、該ポール本体の外周面側に、該ポール本体に対して回動可能に設けられた略円筒形状の筒体と、該筒体の外周面側の少なくとも一部に設けられた前記太陽電池モジュールと、 該太陽電池モジュールにより発電された電力を蓄電するバッテリとを備えるポール型太陽光発電機が開示されている。
【0004】
特許文献3には、一方向に延びた複数の凸部が前記一方向に直交する方向に間隔をおいて形成された外装材と、前記複数の凸部にまたがって配置され、曲げ強さが50MPa以上200MPa以下である太陽光発電シートと、断面において前記太陽光発電シートを前記複数の凸部に沿うように湾曲させた状態で、隣り合う前記凸部の間の部分に対して前記太陽光発電シートを固定する固定材と、を備える、太陽光発電シートの取付構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5870413号公報
【文献】特開2021-141693号公報
【文献】特許第7253160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の太陽光発電設備は、建築物がない場所にも設置できるが、従来の受光面が斜め上向きに設置された平板状のシリコン系太陽電池を使用するので、風圧荷重の影響を受けやすいという問題があり、太陽電池の受光面積を増加させることが段数の増加以外には困難であるという問題があった。
【0007】
特許文献2のポール型太陽光発電機は、立設された柱状体の外周面に太陽光発電シートを巻き付ける形態であるので、建築物がない場所にも設置でき、風圧荷重の影響を受けにくいが、太陽電池の受光面積が柱状体の外周面の面積以上には増加できず受光面積の拡大が難しいという問題があった。
【0008】
特許文献3の太陽光発電シートの取付構造は、ペロブスカイト化合物を含む太陽光発電シートを建築物の外面に沿って固定材によって取り付けられ、例えば凹凸のある屋根の形状に沿って取り付けられるので、剛性の高い平板状の太陽電池パネルに比べて屋根面の単位面積当たりの太陽光発電シートの表面積を大きくすることができるが、凹凸部の斜面の面積と、その斜面の平面視の面積との差であるので、受光面積はあまり拡大しないという問題があった。また、既存の建築物の外面に沿って取り付けるので、建築物がない場所、例えば田んぼのあぜ道等には設置できないという問題があった。
【0009】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、建築物がない場所にも設置でき、太陽光発電ユニットの取替が容易で、風圧荷重を受けにくく、受光面積を大きく拡大できる太陽光発電システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の太陽光発電システムは、支柱から南北方向に突設した上下方向で2本の支持部材に、それぞれ上下端部を締結手段で脱着可能に取り付けられた、棒状の形態を有する太陽光発電ユニットを有する太陽光発電システムであって、前記太陽光発電ユニットは、断面四角形状で、長尺状で筒状の筒状基部と、前記筒状基部の少なくとも3面の外周面に巻き付けられ、両端部を前記筒状基部の下面に接着手段又は押付手段により固定された可撓性を有し拡げると略四角形状でシート状の、又は、前記筒状基部の下面側で端部同士を重ね合わせて、前記重ね合わせた端部同士を脱着可能に締結手段で締結された可撓性を有し拡げると略四角形状でシート状の、太陽光発電シートと、を備え、前記支柱に、前記太陽光発電ユニットを、上面を南向きで、30°~90°の傾斜角で脱着可能に配設することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の太陽光発電システムは、請求項1において、前記太陽光発電シートが、ペロブスカイト太陽光発電シートであることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の太陽光発電システムは、請求項1又は2において、前記支柱の組み合わせが、2本の支柱間に少なくとも1か所で横梁を横架したH型柱であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の太陽光発電システムは、支柱を地下に基礎コンクリート工事をして立設すれば田んぼ等の軟弱な場所にも設置でき、道沿いの場所等の建築物がない場所にも設置でき、太陽光発電ユニットは棒状の形態をしているので、風圧荷重を受けにくいことから倒壊の危険性を低くでき、太陽光発電ユニットの南向きの上面と、東向き及び西向きの両側面との3面で受光するので受光面積を拡大できるという効果を奏する。
【0014】
また、前記太陽光発電ユニットを前記支柱に締結手段で脱着可能に取り付けるので、前記太陽光発電ユニットの一つ一つの取替が容易にできるという効果を奏する。さらに、前記太陽光発電シートを前記筒状基部の下面側で端部同士を重ね合わせて、前記重ね合わせた端部同士を脱着可能に締結手段で締結した形態の場合、又は、前記太陽光発電シートを両端部を前記筒状基部の下面に押付手段により固定した形態の場合は、前記太陽光発電ユニットの外周面に太陽光発電シートを脱着可能に巻きつけているので前記太陽光発電シートの取替も容易にできるという効果を奏する。
【0015】
請求項2に記載の太陽光発電システムは、太陽光発電シートであるペロブスカイト太陽光発電シートは、折り曲げに耐性があり、吸光度が高いので弱い光でも発電することから、太陽光発電ユニットの方位角を細かく限定しなくてもよいので太陽の方位に対向するように回転させる必要がなく、傾斜角を小さくした場合には支柱の高さを低くできるという効果を奏する。
【0016】
請求項3に記載の太陽光発電システムは、H型柱に組み立てた、枠組みが強固な2本の支柱に前記太陽光発電ユニットを配設するので、多数の太陽光発電ユニットを支柱に配設できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の太陽光発電システムの左側面視の説明図である。
図2】本発明の太陽光発電システムの事例の1形態で、1つの支柱に太陽光発電ユニットを左右2か所ずつの3段設けた事例の正面視の説明図である。
図3】本発明の太陽光発電システムの事例の1形態で、1つの支柱に、太陽光発電ユニットを左右3か所ずつの3段設けた事例の正面視の説明図である。
図4】2本の支柱に横梁を横架して、一部を地中に埋め込んで立設させてH型柱にした支柱の立設した形態の説明図である。
図5】支柱に太陽光発電ユニットを取り付ける前段階の状態の左側面視の説明図である。
図6図5における、支柱を省略したB部拡大図で、1つの太陽光発電ユニットを取り付ける前段階の支柱側の左側面視の説明図である。
図7】1つの筒状基部の左側面視の説明図で、(a)はストッパー付の形態の説明図で、(b)はストッパー無の形態の説明図である。
図8】太陽光発電シートを、筒状基部の下面側で端部同士を重ね合わせて、重ね合わせた端部同士を脱着可能に締結手段で締結した形態の、1つの太陽光発電ユニットの左側面視の説明図である。
図9】太陽光発電シートを、両端部を筒状基部の下面に接着手段により固定された形態の、1つの太陽光発電ユニットの左側面視の説明図である。
図10】太陽光発電シートを、両端部を筒状基部の下面に押付手段により脱着可能に固定された形態の、1つの太陽光発電ユニットの左側面視の説明図である。
図11図1における、支柱を省略したA部拡大図で、図8に示すような1つの太陽光発電ユニットを固定手段に取り付けた状態の左側面視の説明図である。
図12図1における、支柱を省略したA部拡大図で、図9に示すような1つの太陽光発電ユニットを固定手段に取り付けた状態の左側面視の説明図である。
図13図1における、支柱を省略したA部拡大図で、図10に示すような1つの太陽光発電ユニットを固定手段に取り付けた状態の左側面視の説明図である。
図14図9におけるC―C断面の1つの事例の説明図で、(a)は太陽光発電シートの端部を折り曲げて重ね合わせた形態の説明図で、(b)は太陽光発電シートの端部を接着剤で筒状基部に接着した形態の説明図で、(c)は太陽光発電シートの端部を薄板で長尺状のバネ板の押え板材で筒状基部に向けて押さえてボルトで締め付けて固定する形態の説明図である。
図15図11におけるC―C断面の1つの事例の説明図で、(a)は押え帯体を用いない場合の説明図で、(b)は押え帯体を用いた場合の説明図である。
図16】剛性を有する平板状の太陽光発電ユニットの比較例と、可撓性を有するシート状の太陽光発電ユニットの本発明との正面視の形態の説明図である。
図17】比較例と本発明の太陽光発電シートの受光面積の比較の説明図で、(a)は本発明の受光面積の説明図で、(b)は比較例の受光面積の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の太陽光発電システム1は、可撓性を有する、拡げると四角形状でシート状の太陽光発電シート3を使用して発電を行う太陽光発電システム1である。
【0019】
本発明の太陽光発電システム1は、図1図3図11図13に示すように、支柱4から南北SN方向に突設した上下方向で2本の支持部材6a、6bに、それぞれ上下端部を締結手段43で脱着可能に取り付けられた太陽光発電ユニット2を有する太陽光発電システム1であって、前記太陽光発電ユニット2は、断面四角形状で、長尺状で筒状の筒状基部5と、前記筒状基部5の少なくとも3面の外周面に巻き付けられ、両端部を前記筒状基部5の下面32に接着手段又は押付手段により固定された可撓性を有し拡げると略四角形状でシート状の、又は、前記筒状基部5の下面32側で端部同士を重ね合わせて、前記重ね合わせた端部同士を脱着可能に締結手段41で締結された可撓性を有し拡げると略四角形状でシート状の、太陽光発電シート3と、を備え、前記支柱4に、前記太陽光発電ユニット2を、上面を南向きで、30°~90°の傾斜角βで脱着可能に配設する。
【0020】
本発明の太陽光発電システム1は、複数の太陽光発電ユニット2を、少なくとも1本の支柱4に数段で配設される太陽光発電システム1である。そして、図4に示すように、地表部分と地中51に埋没した部分があり、前記地表部分の長さL1は前記支柱4の全長の約2/3で、前記地中51に埋没した部分の長さL2は前記支柱4の全長の約1/3で施工する。そして、地表部分には基礎コンクリート50で前記支柱4の下部を固める。これにより、前記支柱4を強固に立設させることができた。
【0021】
そして、図4に示すように、前記支柱4が2本の場合には、2本の支柱4間に少なくとも1か所で横梁11aを横架したH型柱の組み合わせにする。これにより、図4における点線で示すように、2本の支柱4、基礎コンクリート50、横梁11aで強固な四角形枠35の閉鎖枠が形成されるので、2本の支柱4は揺れなどに対して強固である。
【0022】
前記H型柱にすることにより、例えば、図2に示すように、前記支柱4の左右に前記太陽光発電ユニット2を2個ずつ計4個列設し、これを3段配設し、2本の前記支柱4で合計24個の前記太陽光発電ユニット2を備える形態、あるいは、図3に示すように、前記支柱4の左右に前記太陽光発電ユニット2を3個ずつ計6個列設し、これを3段配設し、2本の前記支柱4で合計36個の前記太陽光発電ユニット2を備える形態を実現させることができ、発電量を増加させることができる。
【0023】
また、狭い設置面積の場所であっても商用電源が近くにない場所であっても、支柱4はどこでも設置することができ、例えば、田んぼの中等の軟弱な地盤、農道の側、災害時の長期間停電時のバックアップ用として避難場所予定地、電柱が周囲に存在しない場所にも設置でき、EV用充電設備、常夜灯、農地の害獣対策設備の電源等としてどこでも利用に供することができる。
【0024】
また、前記支柱4は、図1図3に示すように、複数の前記太陽光発電ユニット2を配設している。前記太陽光発電ユニット2を配設するために、図5図6に示すように、前記支柱4から南北SN方向に突設した上下方向で2本の棒状の支持部材6a、6bを設け、上側の支持部材6aの先端部に固定した固定手段7aに、図11図13に示すように前記太陽光発電ユニット2の上端部をボルト等の締結手段43で脱着可能に固定し、下側の支持部材6bの先端部に固定した固定手段7bが、図9に示すように前記太陽光発電ユニット2の下端部をボルト等の締結手段43で脱着可能に固定する。
【0025】
前記固定手段7a、7bは、前記支持部材6a、6bの平面と接触する略水平方向の支持部材側平面と、前記太陽光発電ユニット2の筒状基部5の断面四角形の面と接触する、前記太陽光発電ユニット2の傾斜角βと同じ角度で曲げられた筒状基部側平面を有し、前記支持部材側平面と前記筒状基部側平面とにはボルト等の締結手段45を挿通可能にする穴が設けられている。そして、図6に示すように、前記固定手段7a、7bの前記支持部材側平面を有する部位と、前記支持部材6a、6bとはボルト等の締結手段45で固定される。なお、前記固定手段7の形態は、前記太陽光発電ユニット2の筒状基部5を脱着可能に固定できる手段であればいずれでもよい。
【0026】
また、前記支持部材6a、6bの左右方向(東西方向)で隣同士の前記太陽光発電ユニット2間の間隔の維持をするために、図1図3に示すように、前記支柱4に固定した腕金部16aを同じ段のすべての前記支持部材6aにわたって横架させて連結させ、前記支柱4に固定した腕金部16bを同じ段のすべての前記支持部材6bにわたって横架させて連結させている。これにより、前記支持部材6a、6bは前記支柱4に対して位置関係がずれることはない。
【0027】
前記太陽光発電シート3は、可撓性を有し、拡げると四角形状でシート状の、アモルファスシリコン太陽光発電シート又はペロブスカイト太陽光発電シート等があるが、好ましくはペロブスカイト太陽光発電シートである。前記ペロブスカイト太陽光発電シートは、折り曲げに耐性があり、吸光度が高いので弱い光でも発電するので、種々の形状に取り付けることができ、直射日光が照射しない日陰でも発電できる。よって、図1図14図15に示すように、前記筒状基部5の断面四角形状の上面31及び両側面の3面に前記太陽光発電シート3を巻き付け、前記上面31を南向きにすると、東側の側面及び西側の側面は直射日光が照射したり日陰になったりするが3面で発電をさせることができる。
【0028】
前記太陽光発電ユニット2は、図7図14に示すような、断面四角形状で、長尺状で筒状の前記筒状基部5と、前記筒状基部5の外周面の少なくとも上面31と両側面との3面に巻き付けられ、両端部を前記筒状基部5の下面32に接着手段又は押付手段により固定された可撓性を有し拡げると略四角形状でシート状の、又は、前記筒状基部5の下面32側で端部同士を重ね合わせて、前記重ね合わせた端部同士を脱着可能に締結手段41で締結された、可撓性を有し拡げると略四角形状でシート状の、太陽光発電シート3とを備えている。なお、前記太陽光発電シート3の両端部を前記筒状基部5aの下面32に押付手段により固定され形態の場合も、前記太陽光発電シート3は脱着可能に前記筒状基部5aに固定化されている。
【0029】
前記筒状基部5は、図7図14に示すように、断面四角形状で長尺状であり、両端部を、前記支柱4に連結され固定されている固定手段7と締結させるための、ボルト等を挿通させる貫通穴を設けるが、前記筒状基部5を前記固定手段7に脱着可能に固定させるためには、前記筒状基部5の筒状の周壁にボルト挿通用の貫通穴を設けることに限らず、例えば前記筒状基部5の筒状の外周面に接続用継手(図示なし)を固定し、前記接続用継手と前記固定手段7とをボルト等の締結手段で脱着可能に固定してもよい。
【0030】
また、前記太陽光発電シート3を、図8図14(a)に示すように、前記筒状基部5の下面32側で端部同士を重ね合わせて、前記重ね合わせた端部同士を脱着可能に締結手段41で締結させる形態の場合は、又は、図10図14(c)に示すように、前記太陽光発電シート3の両端部を前記筒状基部5の下面32に押付手段により固定される形態の場合は、前記筒状基部5aは、図7(a)に示すように、前記支柱4に取り付けるときに下側となる端部に前記太陽光発電シート3のずり下がりを阻止する環状のストッパー10を溶接等で固定している。なお、前記ストッパー10の固定手段はボルトによる締結や接着剤による接着など、前記ストッパー10が前記筒状基部5aに固定できる手段であればいずれでもよい。
【0031】
そして、図9図14(b)に示すように、前記太陽光発電シート3の両端部を前記筒状基部5の下面32に接着手段により固定される形態の場合は、前記筒状基部5bは、図7(b)に示すように、前記太陽光発電シート3を前記筒状基部5bの下面32に直接に固定化させるので前記ストッパー10は不要である。
【0032】
また、前記筒状基部5の断面形状の前記四角形状は正方形状や長方形状があるが、南向きの上面の受光面積の広さの受光面積の広さを広くし過ぎると前記太陽光発電ユニット2が平板状になり風圧荷重で破損しやすくなり、東向き又は西向きの両側面の受光面積を広くし過ぎると前記太陽光発電ユニット2の直射日光を受光する南向きの上面の受光面積が狭くなるので、前記筒状基部5の前記四角形状は正方形が好ましい。
【0033】
また、前記筒状基部5(5a、5b)の大きさは、例えば、断面形状が正方形の場合の事例として、75mm角で長さ1.2mがあるがいずれの大きさでもよい。
【0034】
次に、前記筒状基部5に巻き付けられる、可撓性を有し、拡大すると四角形状でシート状の前記太陽光発電シート3の固定化手段について説明する。まず、前記太陽光発電シート3を、前記筒状基部5aの下面32側で端部同士を重ね合わせて、前記重ね合わせた端部同士を脱着可能に締結手段41で締結する形態の場合は、可撓性を有するシート状の前記太陽光発電シート3を、図8図11又は図14(a)に示すように、断面形状が略正方形で長尺状の直方体状の、図7(a)に示すようなストッパー10付の前記筒状基部5aの上面31と左右の側面との3面から下面32にかけて巻き付けている。そして、前記太陽光発電シート3の両端部は前記筒状基部5aの下面32で端部同士を重ね合わせて締結手段41で、図8図11に示すように、前記端部の長手方向で少なくとも上端部、中央部、下端部の3箇所で締結される。なお、前記締結箇所は3か所以上であってもよい。
【0035】
また、前記太陽光発電シート3を、図7(a)に示すような前記筒状基部5aに巻くときに、図14(a)に示すように前記筒状基部5aの外面にほぼ密着させるように隙間48がほとんどないように巻き付けてもよく、図15(a)、(b)に示すように、前記筒状基部5aの外面とは少しの隙間48を形成して巻き付けてもよい。なお、前記隙間48については、図14(a)に示す、前記太陽光発電シート3を、前記筒状基部5aの下面32側で端部同士を重ね合わせて、前記重ね合わせた端部同士を脱着可能に締結手段41で締結する形態の場合に限らず、図14(b)に示す、前記太陽光発電シート3の両端部を前記筒状基部5bの下面32に接着手段により固定化させる形態の場合や、図14(c)に示す、前記太陽光発電シート3の両端部を前記筒状基部5aの下面32で押え手段で固定化させる形態の場合にも隙間48があってもよい。
【0036】
また、図15(b)に示すように、重ね合わせた前記太陽光発電シート3の端部同士の長尺方向の全長に亘って薄厚で平板で細長形状の押え帯板22を介してボルトナット等の前記締結手段41で締結してもよい。これにより、風圧荷重で前記太陽光発電シート3を剥がれないようにすることができる。
【0037】
次に、前記太陽光発電シート3を、図7(b)に示すような前記筒状基部5bの外周面の少なくとも上面31と両側面との3面に巻き付け、両端部を前記筒状基部5bの下面32に接着手段により固定化させる形態の場合は、可撓性を有するシート状の前記太陽光発電シート3を、図9に示すように、断面形状が略正方形で長尺状の直方体状の、図7(b)に示すようなストッパー10無の前記筒状基部5bの上面31と左右の側面との3面から下面32にかけて巻き付けている。そして、前記太陽光発電シート3の両端部は前記筒状基部5bの下面32に接着剤で接着される。
【0038】
前記接着剤は、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂等があるが、寒暖差のある屋外に設置するため耐熱性・耐寒性を有し、風圧荷重を受けても剥離しないレベルの引張接着強さ・せん断接着強さ・剥離接着強さを有する接着剤であればいずれでもよい。
【0039】
次に、前記太陽光発電シート3を、図7(a)に示すような前記筒状基部5aの外周面の少なくとも上面31と両側面との3面に巻き付け、両端部を前記筒状基部5aの下面32に押付手段により固定される形態の場合は、可撓性を有するシート状の前記太陽光発電シート3を、図10図14(c)に示すように、断面形状が略正方形で長尺状の直方体状の、図7(a)に示すようなストッパー10付の前記筒状基部5aの上面31と左右の側面との3面から下面32にかけて巻き付けている。そして、前記太陽光発電シート3の両端部は前記筒状基部5aの下面32で双方の端部を、薄厚で長尺状で短手方向の両端部が押し付ける方向に付勢力を有するバネ板の押え板材23で押さえ、前記押え板材23をスプリングワッシャ24を介してボルト25等の締結手段で締め付け、脱着可能に固定する。前記ボルト25の締付箇所は図10図13に示すように、前記筒状基部5aの長手方向で少なくとも上端部、中央部、下端部の3箇所で締結される。なお、前記締結箇所は3か所以上であってもよい。
【0040】
前記太陽光発電ユニット2は、可撓性を有し、拡げると四角形状でシート状の前記太陽光発電シート3を、断面四角形状で、長尺状で筒状の前記筒状基部5の外周面の少なくとも上面31と両側面との3面に巻き付け、前記筒状基部5の下面32側で前記筒状基部5から外れないようにしている。
【0041】
前記太陽光発電ユニット2を前記筒状基部5から外れないようにする形態として、第一の実施例として図7(a)に示すような前記筒状基部5aに前記太陽光発電シート3を、図8に示すように、重ね合わせた端部同士を脱着可能に締結手段41で締結するようにした前記太陽光発電ユニット2aの形態があり、第二の実施例として図7(b)に示すような前記筒状基部5bに前記太陽光発電シート3を、図9に示すように、端部を接着剤で接着した前記太陽光発電ユニット2bの形態があり、第三の実施例として図7(a)に示すような前記筒状基部5aに前記太陽光発電シート3を、図10に示すように、端部を押え帯体で脱着可能に固定化させた前記太陽光発電ユニット2cの形態がある。前記太陽光発電ユニットを前記筒状基部5から外れないようにする形態は、上記の実施例に限らず、前記太陽光発電シート3を前記筒状基部5の下面32で外れないようにする形態であればいずれでもよい。
【0042】
そして、前記太陽光発電ユニット2の、前記支柱4と連結している前記固定手段7への脱着可能な固定化は、前記太陽光発電ユニット2aは図11に示すように前記固定手段7a、7bに締結手段43で脱着可能に固定化され、前記太陽光発電ユニット2bは図12に示すように前記固定手段7a、7bに締結手段43で脱着可能に固定化され、前記太陽光発電ユニット2cは図13に示すように前記固定手段7a、7bに締結手段43で脱着可能に固定化される。
【0043】
図8図10に示すような前記太陽光発電ユニット2(2a、2b、2c)は、例えば約75mm角で長さが約1.2mとすると小物であるので、稼働中の太陽光発電システム1の中の1つの太陽光発電ユニット2(2a、2b、2c)が故障したら、その太陽光発電システム1の設置場所に持っていき容易に取替えることができる。
【0044】
前記太陽光発電ユニット2(2a、2b、2c)は、図8図10に示すように、前記筒状基部5が露出している上端部及び下端部に固定用の貫通穴(図示なし)を設けており、図11図13に示すように、容易に前記固定手段7a、7bとともにボルト等を挿通させた締結手段43で脱着可能に容易に固定することができる。これにより、図2図3に示すように多数の前記太陽光発電ユニット2(2a、2b、2c)の中から、例えば1つの前記太陽光発電ユニット2が故障すると、容易に迅速に予備の前記太陽光発電ユニット2(2a、2b、2c)と取替えることができる。
【0045】
前記太陽光発電シート3の電極(図示なし)と接続された電線(図示なし)は、前記太陽光発電ユニット2ごとに一つずつ発電状況を監視する制御盤13内の制御部(図示なし)に接続され、前記制御部により、自家使用分は蓄電池箱14内の蓄電池に送電され、余剰の電力は計量器箱12内の計量器で電力量を計測されて売電されるように制御される。
【0046】
前記制御部は個々の前記太陽光発電ユニット2ごとの発電状況を監視しており、前記制御部は、監視情報を前記制御盤13内の送受信部(図示なし)に、ネットワークを介して遠隔地にある監視室の情報処理装置に送信させる。前記制御部は、電力量が極端に低下したり、発電しなくなった前記太陽光発電ユニット2を検知すると、その情報を前記監視室の情報処理装置に送信し、前記情報処理装置は接続した表示画面に異常を表示するので、故障した太陽光発電ユニット2を個別に迅速に容易に把握し、太陽光発電ユニット2の交換を迅速にすることができる。
【0047】
前記ペロブスカイト太陽光発電シートは、吸光度が高いので弱い光でも発電するので、太陽の高度や方位角に関わらず、図1に示すように、前記太陽光発電ユニット2を支柱4に取り付ける形態は、前記太陽光発電ユニット2の上面を南Sに向けた南向きにし、傾斜角βを30°~90°で斜設する。傾斜角βが30°に近づけるほど前記太陽光発電ユニット2の斜設の傾きが水平方向に近づくので前記太陽光発電ユニット2の各段間の高さ方向の間隔を狭めることができるので支柱4の高さを低くすることができ、90°に近づけるほど平面視で狭い敷地に設置することができる。
【0048】
また、太陽の方位角に合わせるように回転する必要はなく南向きの一定方向で設置しても、太陽光の直射日光を受ける受光面積はあまり変わらない。
【0049】
次に、各地の緯度と夏至のときの南中高度を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
そして、図1に示すように、直近の上方及び下方の太陽光発電ユニット2間において、上方の太陽光発電ユニット2の下端と下方の太陽光発電ユニット2の上端とを結んだ線と地面とのなす角度αを、例えば表1に示す設置場所の緯度における夏至のときの南中高度より大きくなるように配設し、最下段の太陽光発電ユニット2と最上段の太陽光発電ユニット2とを、支柱4を中心にそれぞれ南北方向にずらして配設する。
【0052】
これにより、上方の太陽光発電ユニット2の影が下方の太陽光発電ユニット2に生じないようにすることができ、直射日光を受ける受光面積が拡大する。
【0053】
次に、前記太陽光発電シート3を、図14図15に示すように、断面形状が略正方形で長尺状の直方体状の筒状基部5の上面31と左右の側面との3面から下面32にかけて巻き付ける形態にすることによって、平板状に取り付けた形態より受光面積が拡大することを説明する。
【0054】
例えば、図16に示すように、上段に、例えば断面形状が一辺の長さVが75mmの略正方形で長さ1.2mの、本発明の太陽光発電ユニット60を間隔を75mmにして2つ列設し、下段に剛性を有する幅W2が22.5mmで長さが1.2mの平板状の、比較例の太陽光発電ユニット63を設置する。そして、上段の前記太陽光発電ユニット60の左右方向の幅V×3(22.5mm)と、下段の太陽光発電ユニット63の幅W2(22.5mm)とが同じ幅である場合、図17(a)に示すように、本発明の前記太陽光発電ユニット60の2個分の受光面61のトータル幅W1は1つの受光面61の幅Vの75mmの6倍の450mmとなり、図17(b)に示すように、比較例の前記太陽光発電ユニット63の受光面64の幅W2の22.5mmに比較し、最大で約2倍の受光面積の差が生ずる。特にペロブスカイト太陽光発電シートの場合は日陰になっても発電するので、発電量の増加が見込める。このように、前記太陽光発電シート3を図16の下段に示すように平板状に取り付ける形態に比較して、図16の上段に示すように前記太陽光発電シート3を断面形状が略正方形の上面31、左右の側面の全3面に取り付ける方が受光面積を拡大させることができる。
【0055】
以上のように、前記支柱4の形態を前記H型柱にすることにより、2本の支柱4に多数の前記太陽光発電ユニット2を設置することができ、しかも前記太陽光発電ユニット2を小型化して脱着可能にしているので容易に取替えることができる。さらに、前記太陽光発電ユニット2に前記太陽光発電シート3を断面四角形状の前記筒状基部5の上面31と左右の側面との3面に巻き付けて発電させるので、従来の上面のみの場合に比較して受光面積を大幅に拡大できるという効果も奏する。
【符号の説明】
【0056】
1 太陽光発電システム
2、2a、2b、2c 太陽光発電ユニット
3 太陽光発電シート
4 支柱
5、5a、5b 筒状基部
6、6a、6b 支持部材
7、7a、7b 固定手段
10 ストッパー
11 横梁
12 計量器箱
13 制御盤
14 蓄電池箱
16 腕金部
22 押え帯板
23 押え帯板
24 スプリングワッシャ
25 ボルト
31 上面
32 下面
35 四角形枠
41 締結手段
43 締結手段
45 締結手段
48 隙間
50 基礎コンクリート
51 地中
60 太陽光発電ユニット
61 受光面
63 太陽光発電ユニット
64 受光面
N 北
S 南
V 幅
W 幅
α 角度
β 傾斜角
【要約】
【課題】建築物がない場所にも設置でき、風圧荷重を受けにくく、受光面積を拡大でき、太陽光発電ユニットを容易に取替可能な太陽光発電システムを提供することを課題とする。
【解決手段】太陽光発電ユニットは、断面四角形状で、長尺状で筒状の筒状基部と、筒状基部の外周面の少なくとも上面と両側面の3面に巻き付けられ、筒状基部の下面側で外れないように取り付けられた、可撓性を有し拡げると略四角形状でシート状の太陽光発電シートとを備え、支柱に、太陽光発電ユニットを、上面を南向きで、30°~90°の傾斜角で脱着可能に配設する太陽光発電システムことにより課題解決できた。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17