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特許7509483解凍容器及び解凍容器を用いた冷凍食品販売システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】解凍容器及び解凍容器を用いた冷凍食品販売システム
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20240625BHJP
   A23L 3/365 20060101ALI20240625BHJP
   A23L 7/10 20160101ALN20240625BHJP
   A23L 7/109 20160101ALN20240625BHJP
【FI】
B65D81/34 U
A23L3/365 A
A23L7/10 E
A23L7/109 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2024010815
(22)【出願日】2024-01-29
【審査請求日】2024-01-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517115167
【氏名又は名称】株式会社銀シャリ亭
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】荒木 雪
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特許第7276925(JP,B1)
【文献】実開昭56-135474(JP,U)
【文献】特開昭52-086876(JP,A)
【文献】特開2022-051764(JP,A)
【文献】登録実用新案第3078189(JP,U)
【文献】実開平03-097073(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
B65D 81/26
A47J 27/00
A23L 3/365
A23L 7/10
A23L 7/109
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
解凍を行う食品の収納を可能とした上部開口の解凍容器本体と前記解凍容器本体の開口を塞ぐ容器蓋体とで構成すると共に、前記解凍容器本体の底面と前記容器蓋体の天井面には多数の突起を設け、更に前記容器蓋体には解凍時に生じる余剰水分を排出するための排水孔を穿設した解凍容器であって、
前記容器蓋体に形成した多数の突起は、前記容器蓋体の前記天井面の略全面に垂設した垂設短尺突起と、前記天井面に疎らに垂設した前記垂設短尺突起よりも長尺な垂設長尺突起の2種類の突起からなることを特徴とする解凍容器。
【請求項2】
前記解凍容器と前記解凍容器の形状合うように形成した冷凍食品とを組み合わせて販売、或いは前記解凍容器を既に保有する利用者への前記冷凍食品の販売を行うように構成した請求項1に記載の解凍容器を用いた冷凍食品販売システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍された食品の優れた呈味を損なうことなく解凍することができる解凍容器と該解凍容器を軸とした冷凍食品の販売ビジネスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は先出願の発明として、特許第7276925号公報(特許文献1)に記載の発明を有する。この先願発明は、蓋つきの方形プラスチック容器の内部に冷凍した米飯を収納し、その上面に多孔内底板を重ねた状態で容器ごと反転し電子レンジで加温する冷凍米飯の解凍容器を構成している。また、解凍時に生じる余剰水分は多孔内底板の孔から容器排水通路を介して外部に排水するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第7276925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる従来の冷凍米飯の解凍容器は解凍時の余剰水分を解凍した米飯と接触することなく容器外に排出することができるため解凍した米飯と解凍時に生じる余剰水分とが接触した際に起こりうる過度な水分を含んだ食感が悪い米飯を解消できふっくらとした仕上がりを得ることができるという効果がある。
【0005】
しかし、かかる構成の冷凍米飯の解凍容器は、外部容器や内部に収納する内部蓋部品など構成部材の点数が多く製造コスト的に不利であり、また、容器への冷凍米飯の収納作業も煩雑である。また、電子レンジに収納して解凍する際の容器や内部収納蓋のセッテングや解凍した米飯の取出しなどの操作も煩雑であり手軽に簡単に使用することに抵抗があるという課題があった。
【0006】
また、特許文献1は、冷凍米飯に特化した解凍容器であり、その他の冷凍した食品の解凍に効果を奏するような構造は備えていなかった。
【0007】
ところで、近年ではライフスタイルの多様性や単身者の増加により個食文化が進んでいる。そのため、一食分の食事をより手軽に楽しめるような食品提供サービスが多く考えられ始めている。例えば、下処理済みの食材を提供しフライパン一つで食事のメインとなる料理が手軽に調理可能なサービスや、月額サービスで複数のメニューから選択可能なお弁当の宅配サービスが挙げられる。
【0008】
しかしながら、特許文献1のような冷凍米飯を解凍するための解凍容器の発明は近年目覚ましい進化を遂げているものの、その解凍容器を主軸とした食品の提供や販売のシステムは存在していなかった。その理由の一つとして、解凍容器の対象が冷凍米飯に特化したものが多く、様々な食品に対して適当でないことが考えられる。
【0009】
本発明は、かかる課題を解決すべく、冷凍した様々な食品を優れた食感及び呈味を維持した状態で解凍することが可能な解凍容器を提供する。また、当該解凍容器を用いた冷凍食品販売システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、解凍を行う食品の収納を可能とした上部開口の解凍容器本体と前記解凍容器本体の開口を塞ぐ容器蓋体とで構成すると共に、前記解凍容器本体の底面と前記容器蓋体の天井面には多数の突起を設け、更に前記容器蓋体には解凍時に生じる余剰水分を排出するための排水孔を穿設したことを特徴とする。
【0011】
また、前記容器蓋体に形成した多数の突起は、前記容器蓋体の前記天井面の略全面に垂設した垂設短尺突起と、前記天井面に疎らに垂設した前記垂設短尺突起よりも長尺な垂設長尺突起の2種類の突起からなることにも特徴を有する。
【0012】
また、前記解凍容器と前記解凍容器の形状合うように形成した冷凍食品とを組み合わせて販売、或いは前記解凍容器を既に保有する利用者への前記冷凍食品の販売を行うように構成した解凍容器を用いた冷凍食品販売システムを提供することにも特徴を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の解凍容器によれば、容器蓋体に設けた多数の突起により食品の解凍時に生じる余剰な水分と解凍した食品とが接触しないように食品を保持することで、過剰な水分で食感が悪くなるのを防止し、冷凍した食品であっても調理したてのような優れた呈味で提供することができる。
【0014】
また、解凍容器の形状に合うように形成した冷凍食品を解凍容器と組合せて、或いは解凍容器を既に保有している場合は冷凍食品単品を販売することで、手軽に呈味の優れた食事を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る解凍容器の全体構成を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る解凍容器の解凍容器本体の構成を示す平面図及び断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る解凍容器の容器蓋体の構成を示す底面図及び断面図である。解凍容器の平面図及び断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る仕切壁を備えた解凍容器の構成を示す解凍容器本体の平面図及び断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る解凍容器の米飯を解凍する際の解凍方法を示す説明図である。
図6】本発明の一実施形態に係る解凍容器の米飯を解凍する際の解凍方法を示す説明図である。
図7】本発明の一実施形態に係る解凍容器の米飯を解凍する際の解凍方法を示す説明図である。
図8】本発明の一実施形態に係る解凍容器の米飯を解凍する際の解凍方法を示す説明図である。
図9】本発明の一実施形態に係る解凍容器のパスタを解凍する際の解凍方法を示す説明図である。
図10】本発明の一実施形態に係る解凍容器のパスタを解凍する際の解凍方法を示す説明図である。
図11】本発明の一実施形態に係る解凍容器のパスタを解凍する際の解凍方法を示す説明図である。
図12】本発明の一実施形態に係る冷凍した米飯の販売形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の要旨は、解凍を行う食品の収納を可能とした上部開口の解凍容器本体と前記解凍容器本体の開口を塞ぐ容器蓋体とで構成すると共に、前記解凍容器本体の底面と前記容器蓋体の天井面には多数の突起を設け、更に前記容器蓋体には解凍時に生じる余剰水分を排出するための排水孔を穿設したことにある。
【0017】
また、前記容器蓋体に形成した多数の突起は、前記容器蓋体の前記天井面の略全面に垂設した垂設短尺突起と、前記天井面に疎らに垂設した前記垂設短尺突起よりも長尺な垂設長尺突起の2種類の突起からなることにも特徴を有する。
【0018】
また、前記解凍容器と前記解凍容器の形状合うように形成した冷凍食品とを組み合わせて販売、或いは前記解凍容器を既に保有する利用者への前記冷凍食品の販売を行うように構成した解凍容器を用いた冷凍食品販売システムを提供することにも特徴を有する。
【0019】
以下、図面に基づきながら、本発明に係る解凍容器C及び解凍容器Cを用いた冷凍食品販売システムSについて説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、解凍容器Cを用いた冷凍食品販売システムSを単に販売システムSとも記載する。
【0020】
[1.解凍容器Cの構成について]
まず、本発明に係る解凍容器Cの構成について図面に基づいて説明する。本実施形態の解凍容器Cは、全体形状を略方形状のものを図示して説明するが必ずしも略方形状である必要はなく円形状や多角形状であってもよい。
【0021】
図1は、本実施形態に係る解凍容器Cの全体構成を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る解凍容器本体1の構成を説明する図であり、(a)は平面図、(b)はA-A線断面図をそれぞれ示している。図3は、本実施形態に係る容器蓋体2の構成を説明する図であり、(a)は底面図、(b)はB-B線断面図をそれぞれ示している。図4は、本実施形態に係る仕切壁3を備えた解凍容器Cを説明する図であり、(a)は解凍容器本体1の平面図、(b)は解凍容器本体1のC-C線断面をそれぞれ示している。
【0022】
解凍容器Cは、図1に示すように、上部開口の解凍容器本体1と、解凍容器本体1の上部開口を塞ぐ容器蓋体2よりなる。
【0023】
解凍容器本体1は、図2に示すように、主として、方形状の底面部11と底面部11の周縁部に沿うように立設した容器外周面部12とで上部に開口部13を有した容器を形成している。解凍容器本体1は、開口部13より食品Fの出し入れを行う。また、解凍容器本体1は、硬質の樹脂素材で形成している。
【0024】
解凍容器本体1の大きさは、特に決まりはないが、ご飯一膳分が収容可能な大きさを最小の大きさとすることが好ましい。具体的な最小サイズとしては、四方の大きさを10cm~12cmほど、高さを3cm~5cmほどに形成することが好ましい。
【0025】
底面部11は、円柱状の植設突起14を多数設けている。植設突起14は図2(b)に示すように、先端形状が丸みを帯びた形状としている。植設突起14は、円柱状且つ先端が丸みを帯びた形状とすることで、解凍対象となる食品Fと面接触ではなく点で接触することとなる。また、植設突起14は、縦横隣接幅員2mm~6mmほどの間隔を保持し各植設突起14の間隔に食品Fが落下しない程度となっている。この食品Fは、例えば米飯の粒が例として挙げられる。
【0026】
容器外周面部12の上端部には、図2に示すように、容器蓋体2により閉蓋する際に容器蓋体2と嵌合するための嵌合段部15を形成している。より具体的には、容器外周縁部12の上端部の内側縁部に沿うように凸部16を形成することで嵌合段部15を成している。
【0027】
容器蓋体2は、図3に示すように、解凍容器本体1の開口部13を覆うため、解凍容器本体1に合わせた形状や大きさで形成する。具体的には、天井部21と天井部21の周縁部に沿うように垂設した蓋体外周面部22とで主に形成している。また、容器蓋体2は、解凍容器本体1と同様に硬質の樹脂素材で形成している。
【0028】
天井部21は、図3(b)に示すように、略中央部に向かって窪むような傾斜面を有しており、その中心部分が後述する余剰水分W1を一時的に留める貯水部23となっている。
【0029】
また、天井部21は、円柱状の垂設突起24を多数設けている。垂設突起24は、先端形状が丸みを帯びた形状としている。垂設突起24の垂設突起24は、植設突起14と同様に縦横隣接幅員2mm~6mmほどの間隔となっている。主として設けられる短い長さの垂設短尺突起24aと天井部21に対して数個設けられる垂設短尺突起24aより長い垂設長尺突起24bの2種類が存在している。この2種類の垂設突起24の作用効果に関しては後述する。
【0030】
蓋体外周面部22は、容器外周面部12の嵌合段部15との嵌合を可能に形成している。具体的には、嵌合段部15を形成する凸部16の外側に沿うような形状で天井部21から垂設している。すなわち嵌合段部15と蓋体外周面部22とは、嵌合段部15の凸部16の外側面に蓋体外周面部22の内側面が嵌り込むことで嵌合を可能としている。
【0031】
解凍容器本体1と容器蓋体2の嵌合構造は、最も簡素な構成として記載した一例であり、解凍容器本体1と容器蓋体2の嵌合を可能とする構造であればどのような形状、構成であってもかまわない。
【0032】
また、蓋体外周面部22には、天井部21との際部分に小孔を穿設している。この小孔は、食品Fの解凍時に生じた余剰水分を排出するための排水孔25として機能する。本実施形態では、天井部21に貯水部23を形成しているため、排水孔25を天井部21と蓋体外周面部22との際部分に設けているが、天井部21からやや離れた高さに設けてもよいし、排水孔25に別途蓋体を設けることも考えられる。
【0033】
また、解凍容器Cは、複数の食品Fを同時に冷凍保存し、まとめて解凍を行えるようにすることも考えられる。その際には、図4に示すように、解凍容器本体1の底面部11及び容器蓋体2の天井部21に仕切壁3を設けるようにするとよい。
【0034】
仕切壁3は、解凍容器本体1側に設けた容器仕切壁31と図示しない容器蓋体2側に設けた蓋体仕切壁からなる。
【0035】
容器仕切壁31及び蓋体仕切壁は、図4(b)に示すように、解凍容器本体1の植設突起14の上端部に立設し、蓋体仕切壁は、容器蓋体2の垂設短尺突起24aの上に立設する。このように仕切壁3を設けることで、仕切壁3の下部又は上部に植設突起14、垂設短尺突起24aによる間隙が形成され、解凍時に生じた余剰水分W1の移動の妨げとならないようにすることができる。
【0036】
また、容器仕切壁31と蓋体仕切壁の高さは、解凍容器Cの閉蓋時に互いに接するような高さとすることが好ましい。また、容器仕切壁31の上端部と蓋体仕切壁の下端部は、少なくともどちらか一方を凹凸状に形成し、閉蓋時に噛み合うように形成してもよい。このようにすることで、解凍容器Cの閉蓋時の嵌合状態をより強固なものとすることができる。
【0037】
[2.解凍容器Cの使用方法について]
次に、解凍容器Cの使用方法について図面に基づいて説明する。まず、解凍容器Cの使用方法の一例として、食品Fが米飯f1としたときについて説明する。
【0038】
図5図8は、本実施形態に係る解凍容器Cで米飯f1を解凍する方法を説明する図である。詳細は、図5(a)が解凍容器Cに米飯f1を収容し冷凍した状態、図5(b)が解凍を行うために解凍容器Cを反転させた状態、図5(c)が電子レンジMに解凍容器Cを入れた状態、図6(a)が電子レンジMの中で解凍開始され米飯f1が落下した状態、図6(b)が解凍途中に余剰水分W1が貯水部23に溜まっていく様子、図7が解凍に伴い発生した水蒸気W2が米飯f1に滴下していく様子、図8(a)が解凍を終えて電子レンジMから解凍容器Cを取り出した状態、図8(b)が排水孔25から余剰水分W1を排出する様子、図8(c)が余剰水分W1を排出し終えて再び解凍容器Cを反転させた状態をそれぞれ示している。
【0039】
解凍容器Cの使用方法として、準備段階として米飯f1の冷凍保存を行う。具体的には、炊き上がった米飯f1を解凍容器本体1の開口部13より投入する。収容可能な任意の量の米飯f1を解凍容器本体1に収容した後、容器蓋体2により解凍容器Cを閉蓋状態とする。
【0040】
このとき解凍容器本体1に収容した米飯f1は、図5(a)に示すように、解凍容器本体1の底面部11に形成した植設突起14に支持された状態となる。この状態で冷凍庫に入れて保管することで、米飯f1は、解凍容器本体1の底面部11に対して非接触の状態で凍り固まる。
【0041】
次に実際の解凍方法について説明する。解凍に際しては、まず凍った米飯f1を収容した解凍容器Cを冷凍庫から取り出す。冷凍庫から取り出した解凍容器Cの天地を図5(b)逆転させる。すなわち、解凍容器Cの正位置Pである解凍容器本体1が下にある状態から、に示すように、解凍容器Cの逆位置Rである容器蓋体2が下にある状態にする。
【0042】
このとき解凍容器Cの内部で凍らせた米飯f1は、解凍容器Cを逆位置Rとした場合であっても解凍容器本体1の底面部11に形成した植設突起14に凍り付いて、下にある容器蓋体2側に落下することは無い。
【0043】
解凍容器Cは、図5(c)に示すように、逆位置Rを保ったまま加熱解凍のため電子レンジMの中へ投入する。電子レンジMにより解凍が始まった米飯f1は、次第に植設突起14との間にある氷が解け自重に耐えることができなくなり、図6(a)に示すように、容器蓋体2へ落下することとなる。落下するに際して米飯f1は、植設突起14の先端部分に支持された状態、すなわち、点接触で凍り付いていたため、解凍容器本体1側に米飯f1が残存しにくくなる。
【0044】
容器蓋体2側へ落下した米飯f1は、次に上方に向いた垂設長尺突起24bに支持されることとなる。この垂設長尺突起24bに支持された状態で解凍される米飯f1からは、図6(b)に示すように、徐々に解凍に伴う余剰水分W1が生じることとなる。
【0045】
生じた余剰水分W1は、容器蓋体2の天井部21へ落下していくこととなる。容器蓋体2の天井部21は、中央に向かって窪むように傾斜面を有している。そのため、落下した余剰水分W1は、中心部分に設けた貯水部23に溜まっていくこととなる。
【0046】
また、米飯f1の解凍が進んでいくと、温まった米飯f1から水蒸気W2が生じる。この水蒸気W2は、図7に示すように、解凍容器本体1の底面部11、すなわち解凍容器Cを逆位置Rとしたときの天井面に付着していく。
【0047】
底面部11に付着した水蒸気W2は、次第に体積が増えていき底面部11に設けた植設突起14の先端部分に水滴W3として溜まっていく。植設突起14の先端部分は、丸みを帯びているため、先端に溜まった水滴W3が落下しやすい形状としている。
【0048】
植設突起14の先端から滴下した水滴W3は、解凍途中である米飯f1に落ちていくこととなる。この米飯f1に滴下した水滴W3により米飯f1は、単に解凍されるのではなく水分を含みながら解凍されることとなる。これにより、電子レンジMのマイクロ波による水分子の動きがより活発となり米飯f1の解凍がスムーズに行われる。
【0049】
また、解凍容器Cは、余剰水分W1が落下していく構造となっているため、単に解凍を行うと過度に水分が抜けてしまい呈味や食感を損なう虞があるが、水滴W3が米飯f1の水分を補給してくれるため、炊き立てのご飯のような、もちっとした優れた食感や風味豊かな呈味を損なうことなく解凍することができる。
【0050】
米飯f1の解凍がさらに進むと米飯f1は、徐々に自重に耐えられなくなり垂設長尺突起24bに直接支持される米飯f1(米粒)以外が落下していくこととなる。落下した米飯f1(米粒)は、図8(a)に示すように、それぞれ垂設短尺突起24aに支持されることとなる。
【0051】
米飯f1は、垂設長尺突起24bから垂設短尺突起24aへ落下する際に空気を含むこととなり、解凍後の米飯f1の全体の仕上がりが柔らかくなる。さらに、垂設長尺突起24bは、米飯f1に対して熊手のように分け入るような状態となる。したがって、冷凍時に一つの塊状となっていた米飯f1を解すように解凍することが可能となる。
【0052】
米飯f1の解凍が完了したら、解凍容器Cを電子レンジMより取り出す。このときも解凍容器Cは、図8(a)に示すように、逆位置Rを保ったまま取り出す。電子レンジMから取り出した解凍容器Cは、解凍時に生じた余剰水分W1が容器蓋体2の貯水部23に溜まった状態となっている。
【0053】
容器蓋体2の貯水部23に溜まった余剰水分W1は、図8(b)に示すように、解凍容器Cを傾けて容器蓋体2の蓋体外周面部22に穿設した排水孔25より排出を行う。余剰水分W1の排出が完了したら、図8(c)に示すように、解凍容器Cの天地を再度反転させて正位置Pに戻して容器蓋体2を解凍容器本体1から取外す。
【0054】
解凍容器Cの内部に収容された米飯f1は、解凍容器Cを逆位置Rから正位置Pへ戻す際にも、容器蓋体2から解凍容器本体1へ落下することになり、より空気を含み全体に柔らかく仕上がることとなる。当然容器蓋体2に形成した垂設突起24も先端部分が丸みを帯びているため米飯f1(米粒)が容器蓋体2側へ残存することを防止することができる。
【0055】
解凍に係る工程がすべて完了した米飯f1は、正位置Pに戻した解凍容器本体1の開口部13から、例えば茶碗等の食器へ直接ひっくり返すようにして移し替えることができる。
【0056】
実施形態として、解凍容器Cに炊き上がった状態の米飯f1を収容して冷凍する手順で説明したが、必ずしも解凍容器Cで米飯f1を冷凍保存する必要はなく、事前に解凍容器Cに収容可能な大きさで冷凍した米飯f1の解凍に本発明の解凍容器Cを用いてもよい。その場合であっても解凍にかかる手順や方法は同様であり、解凍後の米飯f1は、解凍容器C内で冷凍保存された米飯f1の解凍後と同じように仕上がることとなる。
【0057】
以上のように、冷凍した米飯f1を本発明の解凍容器Cで解凍することにより、解凍時に生じる余剰水分W1と解凍している米飯f1の接触を防止しつつ、上方から滴下する水滴W3により水分を補い過度な乾燥状態も防止することができる。これにより、適度な水分を含み、まるで炊き立てのように食感や呈味の優れた状態を維持した解凍後の米飯f1を提供することができる。
【0058】
また、冷凍した米飯f1は、米粒が塊状となっていることで、解凍を行っても全体が塊状のままであり、美味しそうな見た目に仕上がりにくいし、食感もよいとは云えない。しかしながら、本発明の解凍容器Cは、容器蓋体2に設けた垂設短尺突起24aと垂設長尺突起24bの作用や解凍容器Cを反転させる動きにより塊状の米飯f1が空気を含み解されることとなり、全体に柔らかい優れた食感とすることができ、見た目としても優れた状態とすることができる。
【0059】
次に、解凍する食品Fとしてパスタf2を例として解凍容器Cを用いた解凍方法を図面に基づいて説明する。図9図11、本実施形態に係る解凍容器Cでパスタf2を解凍する方法を説明する図である。詳細は、図9(a)が解凍容器Cにパスタf2を収容し冷凍した状態、図9(b)が解凍を行うために解凍容器Cを反転させた状態、図9(c)が電子レンジMに解凍容器Cを入れた状態、図10(a)が解凍途中に余剰水分W1が貯水部23に溜まっていく様子、図10(b)が解凍に伴い発生した水蒸気W2がパスタf2に滴下していく様子、図11(a)が解凍を終えて電子レンジMから解凍容器Cを取り出した状態、図11(b)が排水孔25から余剰水分W1を排出する様子、図11(c)が余剰水分W1を排出し終えて再び解凍容器Cを反転させた状態をそれぞれ示している。
【0060】
食品Fをパスタf2とした場合でも米飯f1と同じように、茹で上がったパスタf2を解凍容器Cに収容して冷凍庫に入れて凍らせる。このとき解凍容器本体1に収容したパスタf2は、図9(a)に示すように、解凍容器本体1の底面部11に形成した植設突起14に支持された状態となる。この状態で凍らせることで、パスタf2は、植設突起14に点接触した状態で凍り固まる。
【0061】
パスタf2の解凍方法に関しても米飯f1の時と同様に行っていく。具体的には、まず凍ったパスタf2を収容した解凍容器Cを冷凍庫から取り出す。冷凍庫から取り出した解凍容器Cを、図9(b)に示すように、正位置Pから反転させて逆位置Rの状態にする。
【0062】
このとき解凍容器Cの内部で凍らせたパスタf2は、パスタf2の含んでいた水分等で植設突起14に凍り付いている。
【0063】
解凍容器Cは、図9(c)に示すように、逆位置Rを保ったまま加熱解凍のため電子レンジMの中へ投入する。電子レンジによる解凍が始まったパスタf2は、次第に植設突起14との間にある氷が解けて自重に耐えられなくなり容器蓋体2へ落下することとなる。
【0064】
ところで、パスタf2は、凍らせる際にパスタf2の麺同士が絡まった状態や密着した状態となっている。この状態のままパスタf2を加熱解凍してしまった場合、麺同士の接触部分がパスタf2から生じる水分によりくっ付いてしまう虞がある。このパスタf2の麺同士がくっ付いた状態は、解凍後にフォークや箸等を用いてもなかなか解れないことがある。
【0065】
しかしながら、解凍が始まったパスタf2が容器蓋体2側に落下する際にパスタf2の麺の塊の内部に空気を含むこととなり、パスタf2の麺同士を一度バラけさせることができる。そのため、この後の垂設突起24の作用と合わせてパスタf2の麺同士のくっ付きを防止することができる。
【0066】
容器蓋体2側へ落下したパスタf2は、図10(a)に示すように、次に上方に向いた垂設長尺突起24bに支持されることとなる。この垂設長尺突起24bに支持された状態で解凍されるパスタf2からは、徐々に解凍に伴う余剰水分W1が生じることとなる。
【0067】
生じた余剰水分W1は、容器蓋体2の天井部21へ落下していくこととなる。容器蓋体2の天井部21は、中央に向かって窪むように傾斜面を有している。そのため、落下した余剰水分W1は、中心部分に設けた貯水部23に溜まっていくこととなる。
【0068】
また、パスタf2の解凍が進んでいくと、図10(b)に示すように、温まったパスタf2から水蒸気W2が生じる。これに伴ってパスタf2の表面は、水分量が少なくなり乾燥状態に近づいてしまう。生じた水蒸気W2は、解凍容器本体1の底面部11、すなわち解凍容器Cを逆位置Rとしたときの天井面に付着していく。
【0069】
底面部11に付着した水蒸気W2は、次第に体積が増えていき底面部11に設けた植設突起14の先端部分に水滴W3として溜まっていく。植設突起14の先端部分は、丸みを帯びているため、先端に溜まった水滴W3が落下しやすい形状としている。
【0070】
植設突起14の先端から滴下した水滴W3は、解凍途中であるパスタf2に落ちていくこととなる。このパスタf2に滴下した水滴W3によりパスタf2は、単に解凍されるのではなく乾燥状態となる表面部分に水分を補うようにしながら解凍されることとなる。
【0071】
パスタf2の解凍がさらに進むとパスタf2は、図11(a)に示すように、徐々に自重に耐えられなくなり垂設長尺突起24bに直接支持される部分以外が落下していくこととなる。落下した部分は、それぞれ垂設短尺突起24aに支持されることとなる。すなわち、パスタf2の麺を上下方向に広げるような動作(上下運動)が生じる。
【0072】
パスタf2は、垂設長尺突起24bと垂設短尺突起24aとの落差から起こる上下運動により、解凍始めに解凍容器本体1側から容器蓋体2側へ落下したときと同じようにパスタf2の麺塊を解すことができる。
【0073】
また、電子レンジMの中で加熱された解凍容器Cは、容器蓋体2の貯水部23に溜まった余剰水分W1も同時に加熱され一部が水蒸気W2へと状態が変化する。すなわち、この水蒸気W2が滴下する水滴W3にも加わると共に、解凍容器Cの内部を満たし、パスタf2の表面の乾燥を防止する効果も期待できる。
【0074】
パスタf2の解凍が完了したら、解凍容器Cを電子レンジMより取り出す。このときも解凍容器Cは、図11(a)に示すように、逆位置Rを保ったまま取り出す。電子レンジMから取り出した解凍容器Cは、解凍時に生じた余剰水分W1が容器蓋体2の貯水部23に溜まった状態となっている。
【0075】
容器蓋体2の貯水部23に溜まった余剰水分W1は、図11(b)に示すように、解凍容器Cを傾けて容器蓋体2の蓋体外周面部22に穿設した排水孔25より排出を行う。余剰水分W1の排出が完了したら解凍容器Cの天地を再度反転させて正位置Pに戻して容器蓋体2を解凍容器本体1から取外す。
【0076】
解凍容器Cの内部に収容されたパスタf2は、解凍容器Cを逆位置Rから正位置Pへ戻す際にも、容器蓋体2から解凍容器本体1へ落下することになり、より空気を含み全体が解されることとなる。
【0077】
解凍に係る工程がすべて完了したパスタf2は、図11(c)に示すように、正位置Pに戻した解凍容器本体1の開口部13から、パスタ皿等の食器へ直接ひっくり返すようにして移し替えることができる。
【0078】
実施形態として、解凍容器Cに茹で上がったパスタf2を例として説明したが、米飯f1の場合と同様に予め解凍容器Cに収容可能な大きさに凍らせたパスタf2を用いても同様の効果で解凍が行われる。
【0079】
以上のように、冷凍したパスタf2を本発明の解凍容器Cで解凍することにより、解凍時にパスタf2に生じる麺同士がくっ付くような状態や表面の乾燥した状態を可及的に防止して、茹で上がりと同じような食感及び呈味で解凍することができる。
【0080】
また、実施形態として、パスタf2を一例として説明したが、パスタf2に限らず、その他のうどんやそばといった麺類であっても同様に解答を行うことができる。特にスーパーマーケットやコンビニエンスストア等で販売されている市販の冷凍うどんは、耐熱皿等に盛り電子レンジMによる解凍を推奨している場合がある。しかしながら、市販の冷凍うどんを耐熱皿に盛り電子レンジMによる加熱を行った場合には、解凍時に何ら工夫されておらず、解凍にムラが生じ食感や呈味が悪くなる虞があった。この解凍ムラは、冷凍うどんから生じる余剰水分W1が耐熱皿に溜まり冷凍うどんの底面部に接することや、解凍時に冷凍うどんの上部から必要以上の水分が加熱により抜けてしまうことが原因と考えられる。
【0081】
しかしながら、本発明に係る解凍容器Cは、上部から滴下する水滴W3による水分の補給と水蒸気W2による容器内部の湿潤効果により、全体の水分量を均一とし電子レンジMによる加熱効果を全体に等しく発揮させ解凍ムラを防止しつつ優れた食感や呈味を有したうどんを提供することができる。
【0082】
解凍容器Cの主な対象としては、米飯f1やパスタf2といった麺類となるが、解凍容器Cに備えた植設突起14及び垂設突起24により、解凍時に生じる余剰水分W1と解凍対象の食品Fとが接触しない構造としていることにより、例えば天ぷらや豚カツ等の揚げ物の解凍にも優位である。
【0083】
具体的には、揚げ物を面接触するような皿にのせて電子レンジMにより解凍や温めを行った際、生じた余剰水分W1が揚げ物と皿の間に入り込むこととなる。そうすると、温まった揚げ物の皿との接触面、すなわち揚げ物の底面部分の揚げ衣は、水分を多く含み揚げ物本来の食感を大きく損ねてしまう。
【0084】
そのため、本発明に係る解凍容器Cは、余剰水分W1を食品Fと接触しないように加熱が可能なため揚げ物の底面部分の食感を損なうことなく解凍や温めが可能となる。
【0085】
上述してきたように、解凍容器Cは、食品Fを解凍するに際して、余剰水分W1と食品Fとの接触させることなく解凍することができ、余剰水分W1による食感や呈味の悪化を防止することができる。
【0086】
また、解凍時に食品Fを支持する垂設突起24が、垂設短尺突起24aと垂設長尺突起24bの2種で構成されていることで、米飯f1やパスタf2を解しながら解凍することができ、食感や美観において従来の冷凍食品解凍容器よりも優位なものとなる。
【0087】
また、解凍時に解凍容器Cの上部に位置する植設突起14は、加熱に際して生起する水蒸気W2を水滴W3として食品Fへ滴下する。さらに、下部に溜まった余剰水分W1も電子レンジMによる加熱で水蒸気W2として解凍容器Cの内部を湿潤状態とする。それにより、解凍ムラや電子レンジMの加熱による食品Fの乾燥を防止し食感と呈味の優れた仕上がりとすることができる。
【0088】
[3.解凍容器Cを用いた冷凍食品販売システムSについて]
次に、本発明に係る解凍容器Cを用いた冷凍食品販売システムSについて説明する。図12は、本発明の一実施形態に係る冷凍した米飯の販売形態を示す斜視図であり、図12(a)は解凍容器Cの形状に形成して冷凍した米飯f1を示し、図12(b)は冷凍した米飯f1を袋体Bに収納した販売形態を示している。
【0089】
本発明に係る解凍容器Cは、上述したように様々な冷凍した食品Fを優れた食感や呈味を維持した状態で解凍することができる。そこで、解凍容器Cと解凍容器Cの形状に合わせた冷凍食品を組み合わせて販売、もしくは解凍容器Cの形状に合わせた冷凍食品を単体で販売する冷凍食品の販売ビジネスを提供する。
【0090】
具体的には、図5(a)に示すように、解凍容器Cに食品Fを収容した状態で凍らせたものと、図12(a)解凍容器Cの形状に合わせて成形した食品Fを凍らせたものとを商品として販売する。
【0091】
初回の購入者は、解凍容器Cに食材Fを収容した状態で凍らせた、すなわち解凍容器Cと凍らせた食品Fを組み合わせて販売しているものを購入する。
【0092】
次回以降の購入では、購入者が解凍容器Cを保有しているため、解凍容器Cと凍らせた食品Fを組み合わせた商品ではなく、解凍容器Cの形状に合わせて成形した食品Fを凍らせた商品を購入するとよい。
【0093】
このように、購入者に対して、冷凍した食品Fを最適な解凍を行い食すことができる解凍容器Cとの組み合わせた商品の販売を行うことで、以降の冷凍した食品Fの定期的な購入が望める冷凍食品販売ビジネスの構築が可能となる。
【0094】
以下、実施の一例として米飯f1を冷凍食品として説明を行う。販売の方法については、いくつかの例が挙げられるが、まず飲食店の店頭にて販売する場合を例として説明する。
【0095】
飲食店の中には、お米に対して産地や品種にこだわりを持って提供している店舗が数多く存在する。そこで、本発明に係る解凍容器Cを用いることで、家庭でそのこだわりのお米を提供することを容易に行うことができる。
【0096】
具体的には、飲食店の店舗内で炊いた米飯f1を本発明に係る解凍容器Cに収容し冷凍することで販売形態とする。すなわち、飲食店がこだわりを持って提供している米飯f1を解凍容器C内で冷凍し、解凍容器Cをそのまま販売容器として店頭に並べ販売、もしくは厨房で保管した物をメニューやポスターで宣伝し販売を行う。
【0097】
このとき、解凍容器Cを一膳分の米飯f1がちょうど収容可能な大きさとしておくことで、購入者も解凍容器Cに収容された米飯f1の量を把握しやすく実際に食するときのイメージが付きやすくなる。
【0098】
また、飲食店は、図12(a)に示すように、解凍容器Cの形状に合わせ形成した米飯f1を、既に解凍容器Cを保有する者、すなわちリピーターへ向けて販売することができる。この、解凍容器Cの形状に合わせた米飯f1は、飲食店が保有する解凍容器Cを形成具として使用することで容易に準備可能となる。このとき、解凍容器本体1に設けた植設突起14により、炊き立ての米飯f1であっても容器との接地面が少なく形成後の取り出し時に米粒の残存を防止しながら作業を行うことができる。
【0099】
また、解凍容器Cと米飯f1を組み合わせた商品を購入した購入者に向けては、上述した解凍容器Cの使用方法に沿った米飯f1の解凍手順をパッケージや説明書を同封することで解凍容器Cの使用方法を周知することができる。
【0100】
購入者は、解凍容器Cと組み合わせた米飯f1を購入し、解凍手順の通りに解答を行うことにより、飲食店のこだわりのお米炊き立てのような食感及び呈味で手軽に味わうことができる。また、解凍容器Cは、破損しない限り使い続けることができるため、次からは形成された米飯f1単体を購入するのみでよい。
【0101】
飲食店は、店舗に食事に来た客にこだわりのお米を食事として提供し、そのお米を冷凍した米飯f1として販売も行えることでビジネスの幅を広げることができる。また、解凍容器Cに合わせ形成した米飯f1を販売することで、リピーターが実店舗に通うこととなり、飲食のサービスとしての売上向上も期待できる効果がある。
【0102】
ところで、飲食店で本発明の解凍容器Cを使用するメリットは米飯f1の販売や売上向上以外のメリットも存在する。具体的には、飲食店では、営業終了後に余った米飯f1従業員のまかないに使用することも多い。そこで、余った米飯f1の保存に解凍容器Cを使用することで、まかないであったとしても呈味の優れた米飯f1を食すことができる。
【0103】
次にスーパーマーケットやコンビニのような小売店舗にて販売する場合を例として説明する。小売店舗での販売のメリットとしては、様々な品種のお米を販売することが可能となる点が挙げられる。すなわち、購入者が自身の味覚に合った品種や食事のメニューにあった品種を選択して購入できる利点がある。
【0104】
販売形態としては、上述の飲食店と同様に、例えば一膳分の大きさの解凍容器Cに米飯f1を収容冷凍して販売する。そうすることで、電子レンジMにより温めを行うパックご飯に代わる新たな米飯f1の販売形態とすることができる。
【0105】
また、解凍容器Cに収容できるように形成した米飯f1(図12(a)を参照。)を単体で販売する。このとき、様々な品種のお米を用いることで購入者は、お米を食べ比べて自分の味覚に合ったお米を見つけることや、食事のメインとなる料理に合わせて品種の選択をすることが容易となる。
【0106】
解凍容器Cと形成した米飯f1を組み合わせて販売する際には、飲食店での販売と同様に解答手順の説明書き等を付して販売する。特に、この様々な品種を販売する場合には、それぞれの品種に適した電子レンジMでの加熱時間等の情報も記載しておくことが考えられる。
【0107】
さらに、お米の品種ごとの特徴や適した料理等の情報も合わせて記載することで購入者の関心を引くことができる。また、お気に入りのお米の品種を探す手助けにもなり、炊く前のお米の購入を検討する材料としても寄与することができる。
【0108】
このような小売店舗での販売形態は、近年の個食化が進む社会において適した形態であると云える。すなわち、生活様式の多様化から家族で住んでいても食事のタイミングが合わない場合であれば、個々の食事のタイミングで炊き立てに限りなく近い米飯f1を用意することができ、ご飯が足りなくなったり、ご飯が余ってしまったりすることがなくなる。
【0109】
また、単身者であれば、ご飯を炊くことの煩わしさを無しに呈味の優れたご飯を限りなく少ない手間で用意することができる。
【0110】
次に、インターネット等の通信販売を例として説明する。通信販売では、例えば定期購入等の方法が考えられる。すなわち、購入者がインターネットを介して会員登録を行い、初回の購入分として解凍容器Cと形成した米飯f1を組み合わせたものを郵送で送り、次の郵送分からは形成した米飯f1(図12(a)を参照。)のみを送るような方法とするとよい。
【0111】
また、小売店舗での場合と同様に、様々なお米の品種を取り扱うことも容易であり、購入者が品種を定期的に変更したり複数の米飯f1を同時に送る際にいくつかの品種を混在して提供したりすることが考えられる。
【0112】
このような、通信販売での販売形態は、より単身者に適したものであると云える。具体的には、単身生活で買い物を行う煩わしさや重たいお米を買う労力を低減することができるからである。
【0113】
また、より身近な販売形態としては、冷凍食品対応の自動販売機での販売も考えられる。この場合でも、例えば一膳分の米飯f1が収容可能な解凍容器Cとそれに組み合わせた形成した米飯f1の販売と、形成した米飯f1(図12(a)を参照。)のみの販売を行うことが考えられる。
【0114】
この自動販売機での販売形態や通信販売での販売形態は、小規模での販売が可能であるため、例えばお米の生産者単位での販売も可能である点が優位である。生産者が直接このような販売形態にて、解凍容器Cと米飯f1を組み合わせた商品又は解凍容器Cの形状に合わせて形成した米飯f1を販売することで、購入者は生産者を知った状態で安心して購入ができる利点もある。さらに、生産者は、通常のkg単位の販売では獲得しづらかった単身者まで販路を拡大できる利点がある。
【0115】
また、解凍容器Cを用いた冷凍食品販売システムSは、介護の分野においても最適なサービスとなり得る。特に、訪問介護の場合では、訪問する家庭の家事を定期的に介護士が行う。そこで、解凍容器Cとそれに対応した冷凍した米飯f1を利用することで、介護士の負担を軽減することができる。
【0116】
また、介護の度合いによっては、毎日の訪問が不要な場合もあるその際、ご飯のおかずは、介護士が作り置きをする場合や簡単な調理を要介護者が自ら行う場合が考えられる。それらの場合でも、ご飯を炊く作業を減らしつつ食感や呈味の優れた米飯f1を簡単に食すことができる。
【0117】
解凍容器Cの形状に合わせた米飯f1は、例えば、上述したように解凍容器Cを米飯f1の形成具として使用することで容易に製造することができる。
【0118】
また、形成した米飯f1は、直接解凍容器Cに収容して解凍を行う。そのため、米飯f1を単体で販売する際には、容易に取出すことができる包装とすることが好ましい。例えば、形成後に可撓性を有した樹脂製のシートで被覆する方法や、図12(b)に示すように、内部に樹脂コーティングを施した紙製や樹脂製の袋体Bに収容する方法が考えられる。
【0119】
また、その他の冷凍食品の販売形態として、米飯f1のみではなく揚げ物や炒め物といった惣菜も一緒に販売することも考えられる。この惣菜も解凍容器Cに収容可能な大きさで凍らせる。この冷凍した惣菜は、米飯f1解凍する解凍容器Cで同じように解凍することができ、解凍容器Cの植設突起14及び垂設突起24の作用により、解凍時の余剰水分W1と接触しないため優れた食感と呈味で提供が可能となる。
【0120】
また、米飯f1と惣菜とを一組で販売をする際には、仕切壁3を有した解凍容器Cとの組み合わせで販売することが好ましい。このような組み合わせでの販売を行うことで、購入者は、解凍時に米飯f1と惣菜とを同時に解凍調理することができ、より手軽に食事を用意することができる。
【0121】
本実施形態では、冷凍した食品Fとして米飯f1を例として説明したが、米飯f1に限らず上述したように、パスタf2やうどん等麺類を対象としてもよい。
【0122】
例えば、食品Fをパスタf2とした際には、解凍容器Cに収容可能な大きさ、形状で凍らせた茹でたパスタf2を解凍容器Cと組み合わせて、或いは単体で販売するとよい。
【0123】
また、本格的なパスタf2を提供する場合や、市販のパスタソースや購入者が作ったソースを使用する場合には、パスタf2のみを凍らせて販売する方が好ましいが、より手軽さを重視する際には、パスタf2に予めソースを付して凍らせることも考えられる。
【0124】
また、解凍容器Cに仕切壁3を設けた形状とする場合には、片方にパスタf2を凍らせて、もう片方にパスタf2に和えるソースを凍らせるような方法も考えられる。
【0125】
上述してきたように、解凍容器Cを主軸とすることで解凍容器Cと解凍容器Cの形状に合わせた冷凍食品販売システムSを構築することができる。この販売システムSにより、購入者は、手軽に食感や呈味の優れた食品Fを食すことができ、現代の多様化する生活様式に合わせた食事を選択することができる。
【0126】
また、飲食店において、この解凍容器Cと解凍容器Cに形状を合わせ冷凍した食品Fの販売を行うことで、店舗の売り上げは勿論、集客のきっかけづくりを行うことができる。インターネット等の通信販売や自動販売機を使用した販売形式では、生産者単位での販売も容易であり、自作の食品Fの宣伝や新たな販路の獲得が期待できる。
【0127】
また、解凍容器Cを用いた冷凍食品販売システムSでは、一食単位での解凍調理を販売者に提案することで、必要以上の食品Fの調理や販売が防止され食品ロスの低減に効果を奏する。
【0128】
上述した解凍容器Cと解凍容器Cを用いた冷凍食品販売システムSの説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施形態に限定されることはない。このため、上述した実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。また、上述した各種効果は、本発明から生じる好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0129】
C 解凍容器
P 正位置
R 逆位置
1 解凍容器本体
11 底面部
12 容器外周面部
13 開口部
14 植設突起
15 嵌合段部
16 凸部
2 容器蓋体
21 天井部
22 蓋体外周面部
23 貯水部
24 垂設突起
24a 垂設短尺突起
24b 垂設長尺突起
25 排水孔
3 仕切壁
31 容器仕切壁
F 食品
f1 米飯
f2 パスタ
B 袋体
W1 余剰水分
W2 水蒸気
W3 水滴
M 電子レンジ
S 冷凍食品販売システム
【要約】
【課題】冷凍した様々な食品を優れた食感及び呈味を維持した状態で解凍することが可能な解凍容器を提供する。また、当該解凍容器を用いた冷凍食品販売システムを提供する。
【解決手段】解凍を行う食品の収納を可能とした上部開口の解凍容器本体と前記解凍容器本体の開口を塞ぐ容器蓋体とで構成すると共に、前記解凍容器本体の底面と前記容器蓋体の天井面には多数の突起を設け、更に前記容器蓋体には解凍時に生じる余剰水分を排出するための排水孔を穿設したことを特徴とする。また、前記解凍容器と前記解凍容器の形状合うように形成した冷凍食品とを組み合わせて販売、或いは前記解凍容器を既に保有する利用者への前記冷凍食品の販売を行うように構成した解凍容器を用いた冷凍食品販売システムを提供することにも特徴を有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12