IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サムソナイト アイピー ホールディングス エス.エー.アール.エル.の特許一覧

特許7509498調節可能な仕切りシステムを含む手荷物用品
<>
  • 特許-調節可能な仕切りシステムを含む手荷物用品 図1
  • 特許-調節可能な仕切りシステムを含む手荷物用品 図2
  • 特許-調節可能な仕切りシステムを含む手荷物用品 図3
  • 特許-調節可能な仕切りシステムを含む手荷物用品 図4
  • 特許-調節可能な仕切りシステムを含む手荷物用品 図5
  • 特許-調節可能な仕切りシステムを含む手荷物用品 図6
  • 特許-調節可能な仕切りシステムを含む手荷物用品 図7A
  • 特許-調節可能な仕切りシステムを含む手荷物用品 図7B
  • 特許-調節可能な仕切りシステムを含む手荷物用品 図7C
  • 特許-調節可能な仕切りシステムを含む手荷物用品 図8
  • 特許-調節可能な仕切りシステムを含む手荷物用品 図9
  • 特許-調節可能な仕切りシステムを含む手荷物用品 図10
  • 特許-調節可能な仕切りシステムを含む手荷物用品 図11
  • 特許-調節可能な仕切りシステムを含む手荷物用品 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】調節可能な仕切りシステムを含む手荷物用品
(51)【国際特許分類】
   A45C 13/02 20060101AFI20240625BHJP
【FI】
A45C13/02 A
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019110443
(22)【出願日】2019-06-13
(65)【公開番号】P2020006153
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-06-06
(31)【優先権主張番号】18177617.0
(32)【優先日】2018-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511214071
【氏名又は名称】サムソナイト アイピー ホールディングス エス.エー.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ヴィム デ ボス
(72)【発明者】
【氏名】アドリアン ルフェーヴル
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-272518(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0000231(US,A1)
【文献】英国特許出願公開第00274262(GB,A)
【文献】実開昭61-116520(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 13/02~13/06
B65D 21/00~21/08
B65D 30/10
F16B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分割線(184)において互いにヒンジ式に接続された第1のシェル部分(180)と第2のシェル部分(182)とによって画定されたハウジング(102)であって、前記ハウジング(102)は内部格納容積を画定する、ハウジング(102)と、
前記ハウジング(102)の前記内部格納容積を複数の格納コンパートメントに仕切る1又は複数の仕切り(354)と、
前記第1のシェル部分(180)及び前記第2のシェル部分(182)のうちの少なくとも1つの中で前記1又は複数の仕切り(354)のそれぞれを移動可能に保持する調節アセンブリ(352)であって、前記調節アセンブリ(352)は前記第1のシェル部分(180)又は前記第2のシェル部分(182)のパネルの中央に位置し、前記調節アセンブリ(352)は前記第1のシェル部分(180)及び前記第2のシェル部分(182)のうちの前記少なくとも1つの中の所望のレベルにおいて前記1又は複数の仕切り(354)を選択的に位置付けるラチェット機構(353)を含
前記調節アセンブリ(352)は前記第1のシェル部分(180)又は前記第2のシェル部分(182)の上パネル及び底パネルの幅方向の中央、又は前記第1のシェル部分(180)又は前記第2のシェル部分(182)の左側パネル及び右側パネルの上下方向の中央に位置する、手荷物用品。
【請求項2】
各調節アセンブリ(352)は、
前記ハウジング(102)に保持されたアンカー(390)であって、前記アンカー(390)は1又は複数の摺動プレート(400)と複数の歯(402)とを含む、アンカー(390)と、
前記アンカー(390)に接続された摺動アセンブリ(392)と、
を含み、
前記摺動アセンブリ(392)は、
前記アンカー(390)の前記1又は複数の摺動プレート(400)に前記摺動アセンブリ(392)を摺動可能に接続する接続構造(422)と、
前記アンカー(390)の前記歯(402)に選択的に係合する係合構造(424)と、
を含む、請求項1に記載の手荷物用品。
【請求項3】
前記摺動アセンブリ(392)の前記接続構造(422)は、
前記1又は複数の摺動プレート(400)の前表面(438)に摺動可能に係合する第1の部材(430)と、
前記1又は複数の摺動プレート(400)の後表面440に摺動可能に係合する第2の部材(432)と、
を含む、請求項2に記載の手荷物用品。
【請求項4】
前記係合構造(424)は、
前記アンカー(390)の前記歯(402)に選択的に係合する1又は複数の突起(45)と、
前記1又は複数の突起(450)に接続された1又は複数のアクチュエータ(460)であって、使用者による前記1又は複数のアクチュエータ(460)の作動により、前記1又は複数の突起(450)が前記アンカー(390)の前記歯(402)から離れるように移動されて、前記アンカー(390)に対する前記摺動アセンブリ(392)の摺動移動が可能にされる、1又は複数のアクチュエータ(460)と、
を含む、請求項2又は請求項3に記載の手荷物用品。
【請求項5】
複数の歯(402)はそれぞれが、上面(410)、底面(412)、及び前記上面(410)と前記底面(412)との間の交差部におけるリーディングエッジ(414)を含み、
前記上面(410)は、前記摺動アセンブリ(392)が前記アンカー(390)に沿って第1の方向において移動される際の、前記複数の歯に沿った前記1又は複数の突起(450)のラチェット移動を可能にするように、角度を付けられており、
前記底面(412)は、反対の第2の方向における前記アンカー(390)に沿った前記摺動アセンブリ(392)の移動を制限するように、角度を付けられている、
請求項4に記載の手荷物用品。
【請求項6】
使用者による前記1又は複数のアクチュエータ(460)の作動により、前記1又は複数の突起(450)が、前記複数の歯の前記リーディングエッジ(414)を通過するのに十分なだけ前記複数の歯(402)から離れるように移動される、請求項5に記載の手荷物用品。
【請求項7】
前記1又は複数の仕切り(354)は、第1の仕切り(370)と第2の仕切り(372)とを含み、
前記第1の仕切り(370)は、第1の複数の調節アセンブリ(352)によって前記第1のシェル部分(180)に接続され、
前記第2の仕切り(372)は、第2の複数の調節アセンブリ(352)によって前記第2のシェル部分(182)に接続される、
請求項2に記載の手荷物用品。
【請求項8】
前記1又は複数の仕切り(354)のうちの少なくとも1つは、前記手荷物用品から取り外し可能である、請求項2に記載の手荷物用品。
【請求項9】
前記1又は複数の仕切り(354)のうちの前記少なくとも1つを前記手荷物用品から取り外すために、前記摺動アセンブリ(392)は前記アンカー(390)から取り外し可能である、請求項8に記載の手荷物用品。
【請求項10】
前記1又は複数の仕切り(354)のうちの前記少なくとも1つは自立型パネルであり、
前記1又は複数の仕切り(354)のうちの前記少なくとも1つを前記手荷物用品から取り外すために、前記自立型パネルは前記摺動アセンブリ(392)から取り外し可能である、
請求項8又は請求項9に記載の手荷物用品。
【請求項11】
前記自立型パネルは周囲フレーム(362)を含み、
前記周囲フレーム(362)は前記摺動アセンブリ(392)から取り外し可能である、
請求項10に記載の手荷物用品。
【請求項12】
前記手荷物用品から取り外し可能な前記1又は複数の仕切り(354)のうちの前記少なくとも1つは、衣服バッグ、旅行用オーガナイザ、又は化粧品オーガナイザとして機能する、請求項8~請求項10のいずれか一項に記載の手荷物用品。
【請求項13】
前記歯(402)は、前記アンカー(390)の側面から横方向に外向きに延在し、前記1又は複数の突起(450)は、前記摺動アセンブリ(392)の側面から横方向に内向きに延在する、請求項4に記載の手荷物用品。
【請求項14】
前記1又は複数の突起(450)は、前記歯(402)と係合するように付勢されている、請求項13に記載の手荷物用品。
【請求項15】
前記歯(402)は、前記アンカー(390)の後面(439)からパネル(120、122、130、132)に向けて後方に延在し、前記1又は複数の突起(450)は、前記パネル(120、122、130、132)から離れるように前記摺動アセンブリ(392)から延在する、請求項4に記載の手荷物用品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に手荷物用品に関し、特に、調節可能な仕切りシステムを含む手荷物用品に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の手荷物ケースは、内部内容物を保護すること及び/又は格納容積を1又は複数のコンパートメントに仕切ることなどの様々な機能特性を提供するための、固定された仕切りなどの内部ファブリック要素を含む。しかし、一部の従来の手荷物ケース構成では、前記ケース内で前記仕切りを調節することが可能ではなく、これにより前記ケース内での使用者の内容物の望ましくないずれがもたらされる場合がある。加えて、一部の従来の手荷物ケース構成では、前記仕切りを前記ケースから選択的に取り外すことが可能ではない。
【0003】
したがって、上述の問題のうちの1つ又は全てに対処する、且つ/又はより一般的に、既存の配置の改良若しくは代替を提供する、改良された手荷物ケースを、より具体的には、改良されたフレーム構造を提供することが望ましい。
【0004】
本開示に関連する可能性がある文献としては、中国実用新案第205658510U号明細書、中国実用新案第206275299U号明細書、欧州特許第0379438B1号明細書、欧州特許出願公開第1833320A1号明細書、欧州特許第2230959B1号明細書、欧州特許第2904926B1号明細書、欧州特許第3073853B1号明細書、仏国特許第2711044B1号明細書、仏国特許出願公開第2921237A1号明細書、英国特許第161117A号明細書、台湾特許第283890B号明細書、米国特許第4854432A号明細書、米国特許第5947286A号明細書、米国特許第6305513B1号明細書、米国特許第6435324B1号明細書、米国特許出願公開第20050098402A1号明細書、及び米国特許出願公開第20090166138A1号明細書が含まれる。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、以下に記載され添付の特許請求の範囲において規定される、手荷物用品のための調節可能な仕切りシステムを提供する。前記仕切りシステムは、前記手荷物用品の内部格納容積を複数の格納コンパートメントに分離する1又は複数の仕切りと、前記手荷物用品内で各仕切りを移動可能に固定する1又は複数の調節アセンブリとを含んでもよい。各調節アセンブリは、前記手荷物用品に例えば一例では固定的に保持されたアンカーと、前記アンカーに摺動可能に接続された摺動アセンブリとを含んでもよい。前記アンカーは、1又は複数の係合プレートと、複数の歯とを含んでもよい。前記摺動アセンブリは、前記アンカーの前記1又は複数の係合プレートに前記摺動アセンブリを摺動可能に接続する接続構造を含んでもよい。前記摺動アセンブリは、前記アンカーの前記歯に選択的に係合する係合構造も含んでもよい。前記係合構造の作動により、前記摺動アセンブリが前記歯から係合解除されて、前記アンカーに沿った前記摺動アセンブリの選択的位置付けが可能にされてもよい。
【0006】
本開示の実施形態は、手荷物用品を含んでもよい。前記手荷物用品は、内部格納容積を画定するハウジングと、前記ハウジングの前記内部格納容積を複数の格納コンパートメントに仕切る1又は複数の仕切りと、前記ハウジング内で前記1又は複数の仕切りのそれぞれを移動可能に固定する調節アセンブリとを含んでもよい。前記ハウジングは、分割線において互いにヒンジ式に接続された第1のシェル部分と第2のシェル部分とによって画定されてもよい。前記調節アセンブリは、前記第1のシェル部分及び前記第2のシェル部分のうちの少なくとも1つの中で前記1又は複数の仕切りのそれぞれを移動可能に固定してもよい。前記調節アセンブリは、前記第1のシェル部分及び前記第2のシェル部分のうちの前記少なくとも1つの中の所望のレベルにおいて前記1又は複数の仕切りを選択的に位置付けるラチェット機構を含んでもよい。
【0007】
いくつかの例では、各調節アセンブリは、アンカーと、前記アンカーに接続された摺動アセンブリとを含んでもよい。前記アンカーは、1又は複数の係合又は摺動プレートと、複数の歯とを含んでもよい。前記摺動アセンブリは、前記アンカーの前記1又は複数の摺動プレートに前記摺動アセンブリを摺動可能に接続する接続構造を含んでもよい。前記摺動アセンブリは、前記アンカーの前記歯に選択的に係合する係合構造を含んでもよい。前記接続構造は、第1の部材と第2の部材とを含んでもよい。前記第1の部材は、前記1又は複数の摺動プレートの前表面に摺動可能に係合してもよい。前記第2の部材は、前記1又は複数の摺動プレートの後表面に摺動可能に係合してもよい。
【0008】
前記係合構造は、前記アンカーの前記歯に選択的に係合する1又は複数の突起を含んでもよい。前記係合構造は、前記1又は複数の突起に接続された1又は複数のアクチュエータを含んでもよい。使用者による前記1又は複数のアクチュエータの作動により、前記1又は複数の突起が前記アンカーの前記歯から離れるように移動されて、前記アンカーに対する前記摺動アセンブリの摺動移動が可能にされてもよい。
【0009】
加えて、前記歯は、前記アンカーの側面から横方向に外向きに延在してもよく、前記1又は複数の突起は、前記摺動アセンブリの側面から横方向に内向きに延在してもよい。この例ではさらに、前記1又は複数の突起は、前記歯と係合するように付勢されていてもよい。
【0010】
別の例では、前記歯は、前記アンカーの後面からパネルに向けて後方に延在してもよく、前記1又は複数の突起は、前記パネルから離れるように前記摺動アセンブリから延在してもよい。
【0011】
加えて又は別個に、各歯は、上面、底面、及び前記上面と前記底面との間の交差部におけるリーディングエッジを含んでもよい。各歯の前記上面は、前記摺動アセンブリが前記アンカーに沿って第1の方向において移動される際の、前記複数の歯に沿った前記1又は複数の突起のラチェット移動を可能にするように、角度を付けられていてもよい。各歯の前記底面は、反対の第2の方向における前記アンカーに沿った前記摺動アセンブリの移動を制限するように、角度を付けられていてもよい。使用者による前記1又は複数のアクチュエータの作動により、前記1又は複数の突起が、前記歯の前記リーディングエッジを通過するのに十分なだけ前記複数の歯から離れるように移動されてもよい。
【0012】
いくつかの例では、前記1又は複数の仕切りは、第1の仕切りと第2の仕切りとを含んでもよい。前記第1の仕切りは、第1の複数の調節アセンブリによって前記第1のシェル部分に接続されてもよい。前記第2の仕切りは、第2の複数の調節アセンブリによって前記第2のシェル部分に接続されてもよい。
【0013】
いくつかの例では、前記1又は複数の仕切りのうちの少なくとも1つは、前記手荷物用品から取り外し可能であってもよい。前記1又は複数の仕切りのうちの前記少なくとも1つを前記手荷物用品から取り外すために、前記摺動アセンブリは前記アンカーから取り外し可能であってもよい。前記1又は複数の仕切りのうちの前記少なくとも1つは自立型パネルであってもよい。前記1又は複数の仕切りのうちの前記少なくとも1つを前記手荷物用品から取り外すために、前記自立型パネルは前記摺動アセンブリから取り外し可能であってもよい。前記自立型パネルは周囲フレームを含んでもよい。前記周囲フレームは前記摺動アセンブリから取り外し可能であってもよい。前記手荷物用品から取り外し可能な前記1又は複数の仕切りのうちの前記少なくとも1つは、衣服バッグ、旅行用オーガナイザ、又は化粧品オーガナイザとして機能してもよい。
【0014】
追加の実施形態及び特徴は、部分的に以下の説明において述べられ、本明細書を検討することにより当業者にとって明らかとなり、又は開示される主題の実施によって知ることができる。本開示の本質及び利点のさらなる理解は、本明細書の残りの部分と、この開示の一部を形成する図面とを参照することによって実現可能である。本開示の様々な態様及び特徴のそれぞれは、いくつかの場合には別個に、又は他の場合には本開示の他の態様及び特徴と組み合わせて、有利に使用されてもよいということを当業者は理解するであろう。
【0015】
説明は、以下の図面を参照すればより十分に理解されるであろう。図面において、構成要素は一定の縮尺で描かれているわけではない。図面は本開示の様々な例として提示されるものであり、本開示の範囲の完全な記述と解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示のいくつかの例による手荷物用品の前面等角図である。
図2】開いた構成における前記手荷物用品の等角図であり、調節可能な仕切りシステムを示している。
図3】前記調節可能な仕切りシステムの拡大詳細図であり、第1の位置における摺動アセンブリを示している。
図4】前記調節可能な仕切りシステムの拡大詳細図であり、第2の位置における前記摺動アセンブリを示している。
図5図3の線5-5に沿って取られた前記調節可能な仕切りシステムの断面図である。
図6図3の線6-6に沿って取られた前記調節可能な仕切りシステムの部分断面図である。
図7A】本開示のいくつかの例による、前記調節可能な仕切りシステムを用いて取り外し可能な代替の仕切りの等角図である。
図7B】本開示のいくつかの例による、前記調節可能な仕切りシステムを用いて取り外し可能な代替の仕切りの等角図である。
図7C】本開示のいくつかの例による、前記調節可能な仕切りシステムを用いて取り外し可能な代替の仕切りの等角図である。
図8】開いた構成における前記手荷物用品の等角図であり、追加の調節可能な仕切りシステムを示している。
図9】開いた構成における前記手荷物用品の等角図であり、追加の調節可能な仕切りシステムを示している。
図10図9の調節可能な仕切りシステムの拡大詳細図である。
図11図10の線11-11に沿って取られた図9の調節可能な仕切りシステムの断面図であり、アンカーと係合された摺動アセンブリを示している。
図12図10の線11-11に沿って取られた図9の調節可能な仕切りシステムの断面図であり、前記アンカーから係合解除された摺動アセンブリの一部を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示によれば、手荷物ケース内で1又は複数の内部仕切りを調節可能に連結するための調節可能な仕切りシステムが提供される。前記仕切りシステムは、前記手荷物ケースに保持されたアンカーと、前記アンカーに摺動可能に接続された摺動アセンブリとを含む。前記摺動アセンブリと前記アンカーとの間の相対移動が前記ケース内での前記仕切りの位置の調節を可能にするように、前記仕切りは前記摺動アセンブリに保持される。
【0018】
図1及び図2は、本開示のいくつかの例による例示的な手荷物用品100を示す。手荷物用品100は、内部格納容積104であってその中で使用者の所有物を運ぶための内部格納容積104を画定する複数の壁又はパネル(便宜上、以下では「パネル」とするが、これに限定することは意図しない)から形成された、ハウジング102を含む。一例では、ハウジング102は、対向する前パネル110及び後パネル112と、前パネル110と後パネル112との間に延在する複数の側パネルとから形成されてもよい。例えば、手荷物用品100は、対向する上パネル120及び底パネル122と、前パネル110と後パネル112との間に延在する対向する左側パネル130及び右側パネル132とを含んでもよい。コーナー領域140が、任意の2つ又は3つの隣接するパネルの交差によって画定されてもよい。例えば、任意の3つの隣接するパネルの交差によって形成されたコーナーは「コーナー領域」とみなされてもよい。任意の2つの隣接するパネルの交差によって形成されたエッジも「コーナー領域」とみなされてもよい。
【0019】
ハウジング102の所望のサイズ及び形状を提供するために、様々なパネルが構成又は配置されてもよい。図1に示すように、様々なパネルが、ハウジング102の高さH、幅W、及び奥行きDを提供するようにサイズ決定及び形状決定されてもよい。ハウジング102の高さHは、上パネル120と底パネル122との間の距離として規定されてもよい。ハウジング102の幅Wは、左側パネル130と右側パネル132との間の距離として規定されてもよい。同様に、ハウジング102の奥行きDは、前パネル110と後パネル112との間の距離として規定されてもよい。前記パネルは、少なくとも図1に示すもののように、手荷物用品100の高さが幅よりも大きく、幅が奥行きよりも大きくなるようにサイズ決定及び形状決定されてもよい。ハウジング102のその他のサイズ及び形状が企図され、図示及び説明する例は例示を目的とするものにすぎない。
【0020】
図1図4に示す手荷物用品100は直立型スピナー硬質側面ケースであるが、軟質側面スピナーケース、コンテナ、バックパック、ダッフルバッグ、ハンドバッグなどを含む多くのタイプの手荷物であってもよい。図示されているように、手荷物用品100は、分割線184によって画定された第1のシェル部分180及び第2のシェル部分182を含む。第1のシェル部分180及び第2のシェル部分182は、それぞれ、右シェル部分及び左シェル部分、又は前シェル部分及び後シェル部分であってもよく、互いに同じようにサイズ決定されていてもよく、又は前記シェル部分のうちの一方がより大きな若しくはより小さな内部容積を含むようにサイズ決定されていてもよい。各シェル部分は、分割線184において周囲リム190を含んでもよい。周囲リム190は、手荷物用品100が閉じられた場合に互いに当接してもよい。いくつかの例では、各シェル部分は、そのそれぞれの周囲リム190に沿ってエッジピース196を含んでもよい。エッジピース196は、手荷物用品100の所望の美的及び/又は機能的特性を提供してもよい。例えば、エッジピース196は、以下で説明するように、手荷物用品100の閉鎖を促進してもよい。エッジピース196はまた、周囲リム190をトリムして縫い目線及び/又は任意の不完全部を隠し、第1のシェル部分180及び第2のシェル部分182にきれいな外観を提供してもよく、且つ/又は第1のシェル部分180と第2のシェル部分182との間のきれいな境界を提供してもよい。
【0021】
手荷物用品100は硬質側面手荷物ケースとして示されているが、硬質側面材料及び軟質側面材料の多くの組み合わせから形成されてもよい。例えば、ハウジング102は硬質側面材料から成形されてもよく、又は硬質側面材料と軟質側面材料との組み合わせから形成されてもよい(「ハイブリッド」構成として知られている)。いくつかの例では、ハウジング102は全体が、本明細書中で説明する仕切りシステムを可能にするように好適に構成されたフレーム構造によって支持された軟質側面材料から形成されてもよい。前記硬質側面材料は、とりわけ、熱可塑性材料(自己強化又は繊維強化)、ABS、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン、PVC、ポリアミド、PTFE、又は二軸延伸ポリプロピレンであってもよい。軟質側面材料は、とりわけ、ナイロン、キャンバス、ポリエステル、皮、PVC、ポリプロピレン、ポリエチレン、及び/又はPTFEであってもよい。
【0022】
手荷物用品100は閉じた構成(図1を参照)と開いた構成(図2を参照)との間で移動されてもよい。閉じた構成では、第1のシェル部分180と第2のシェル部分182とは互いに隣接して位置付けられてもよく、一例では各周囲リム190が係合した状態で、使用者の所有物を手荷物用品100の内部格納容積104内に包囲してもよい。一例では、各周囲リム190はそれぞれが、閉じられた場合の係合されたリム190の構造性能を向上するように、周囲の少なくとも一部に沿って、整合する形状であってさね継ぎ構造などの対応するオーバラップ構造又はインタロック構造を形成する形状を有してもよい。代替として又は加えて、各周囲リム190はそれぞれが、周囲の少なくとも一部に沿って、それに取り付けられたトリム構造を有してもよく、前記トリム構造は、前記手荷物ケースが閉じられた場合に整合するように且つ対応するオーバラップ構造又はインタロック構造を形成するように形状決定されていてもよい。対応する形状又はトリム構造は、周囲リム190の全長に沿って、又は各リム190の単一の部分に沿って、又は各リム190の2つ以上の部分に沿って延在してもよい。
【0023】
開いた構成では、第1のシェル部分180と第2のシェル部分182とは、手荷物用品100の内部への使用者のアクセスを可能にするために、例えば一例では互いに向けて及び互いから離れるように、互いに相対的に再配向されていてもよい。一例では、第1のシェル部分180と第2のシェル部分182との再配向により、各周囲リム190によって形成された各開口は上方に向くように位置付けられ(図2)、これにより使用者は各シェル部分180、182の格納容積104に容易にアクセスすることが可能になる。第1のシェル部分180及び第2のシェル部分182の、開いた構成と閉じた構成との間での選択的移動を可能にするために、第1のシェル部分180と第2のシェル部分182とは、ヒンジ210又は同様の機構によって互いに枢動可能に取り付けられていてもよい。
【0024】
ヒンジ210は、例えば一例では、完全な閉鎖から完全な開放までの、第2のシェル部分182に対する第1のシェル部分180の、ヒンジ210の軸の周りでの回転による、選択的位置付けを可能にするように配置された多くの構成を含んでもよい。例えば、ヒンジ210は、布ストリップ、ゴムのストリップ、連続ヒンジ、一体ヒンジ、間隔の空いた離散ヒンジ、ジッパー構造、エラストマー材料で作られた関節継手、又は第1のシェル部分180と第2のシェル部分182との間の相対移動を可能にするその他の好適な構造を、任意の数だけ又は任意の組み合わせで含んでもよい。
【0025】
図1及び図2を引き続き参照すると、手荷物用品100は、支持表面に対抗して(例えば、地面に対抗して)手荷物用品100を支持するための1又は複数の支持部材220を含んでもよい。支持部材220は、足、固定車輪アセンブリ、スピナー車輪アセンブリ、又はこれらの任意の組み合わせであってもよく、ハウジング102の任意の好適なパネルと関連付けられていてもよく、例えば少なくとも一例では、少なくとも底パネル122に接続されていてもよい。図示されているように、手荷物用品100は、4つの支持部材220を含んでもよい。そのような例では、手荷物用品100は、第1のシェル部分180及び第2のシェル部分182のそれぞれに接続された2つの支持部材220を含んでもよい。支持部材220は、ハウジング102の任意の好適な部分に、例えば底パネル122に沿ったコーナー領域140において又はその付近に接続されていてもよい。
【0026】
手荷物用品100は、第1のシェル部分180と第2のシェル部分182とを選択的に互いに固定するための閉鎖機構280を含んでもよい。閉鎖機構280は、シェル部分180、182のそれぞれを係合させるように、及び手荷物用品100の開放及び閉鎖のための選択的作動を可能にするように、第1のシェル部分180と第2のシェル部分182との間の分割線184に沿って又は隣接して位置付けられていてもよい。閉鎖機構280は、ラッチなどの離散的機構であってもよく、又はシッパークロージャ282などの、分割線184の長さの少なくとも一部に沿って位置付けられた連続閉鎖機構であってもよい。
【0027】
図2は、1又は複数のシェル部分の格納容積を使用者が調節することを可能にする調節可能な仕切りシステムを部分的に示す等角図である。図3は、前記仕切りシステムの拡大詳細図であり、第1の位置における仕切りを示している。図4は、前記仕切りシステムの拡大詳細図であり、第2の位置における前記仕切りを示している。図5は、図3の線5-5に沿って取られた前記仕切りシステムの断面図である。図6は、図3の線6-6に沿って取られた前記仕切りシステムの部分断面図である。図2図6を参照すると、手荷物用品100は、調節アセンブリ352と1又は複数の仕切り354とを含む調節可能な仕切りシステム350を含む。仕切り354は、内部格納容積104を複数の格納コンパートメントに仕切ってもよい。第1のシェル部分180及び第2のシェル部分182のうちの少なくとも1つは、その中に仕切り354を含んでもよい。いくつかの例では、仕切り354は自立型パネルであってもよい。例えば、仕切り354は、硬質材料又は部分的に硬質の材料から形成されていてもよく、内部フレーム構造などを含んでもよい。いくつかの例では、仕切り354は、中央セクション360及び/又は周囲フレーム362を含んでもよい。周囲フレーム362は、仕切り354の中央セクション360に支持及び/又は構造を提供してもよい。例えば、周囲フレーム362は、ワイヤループフレームであってもよく、中央セクション360に張力をかけてもよい。
【0028】
図10に示すように、中央セクション360は多くの構成を含んでもよく、例えば洗濯物バッグ、衣服バッグ、旅行用オーガナイザ、化粧品バッグ又はオーガナイザなどを画定してもよい。仕切り354はまた、別個のフレームを必要としないパネル又は比較的硬質の材料であってもよく、それに固定された、洗濯物バッグ、衣服バッグ、旅行用オーガナイザ、化粧品バッグなどを形成する追加の軟質バッグ部分も含んでもよい。示された例は非限定的なものであり、中央セクション360は、とりわけ、周囲フレーム362に接続されたメッシュ及び/又はストラップ若しくは一連のストラップであってもよい。特定の用途に応じて、中央セクション360はシェル開口の全領域を覆ってもよく覆わなくてもよい。
【0029】
いくつかの例では、第1のシェル部分180及び第2のシェル部分182のそれぞれは各仕切り354を含んでもよい。例えば、図8に示すように、手荷物用品100は第1のシェル部分180内に第1の仕切り370を含んでもよく、第2のシェル部分182内に第2の仕切り372を含んでもよい。特定の用途に応じて、第1の仕切り370は第2の仕切り372と、同一ではないにしても、類似していてもよい。代替の例では、第1の仕切り370は、所望に応じて、第2の仕切り372とは異なるように構成されていてもよい。
【0030】
図2図6を引き続き参照すると、各仕切り354は、1又は複数の調節アセンブリ352に接続されてもよい。本明細書中で説明するように、各調節アセンブリ352は、接続された仕切り354のハウジング102内での選択移動を可能にしてもよい。特に、各調節アセンブリ352は、接続された仕切り354を使用者がハウジング102内で移動させて、所望に応じて仕切り354を位置付けることを可能にする、ラチェット機構353を含んでもよい。いくつかの例では、各調節アセンブリ352は、接続された仕切り354を使用者がハウジング102のパネルに向けて、又はハウジング102のパネルから離れるように移動させることを可能にしてもよく、例えば、手荷物用品100が開いている場合に、前記仕切りの下の格納容積を減少させるために下げることを、又は前記仕切りの下の格納容積を増加させるために上げることを可能にしてもよい。各調節アセンブリ352は、様々な実施形態において、端パネル120、122又は側パネル130、132などの、手荷物ケースのパネルと接続されているか又はそれに直接取り付けられていてもよい。一例では、調節アセンブリ352は、対向する端パネル120、122のそれぞれにおいて位置付けられている。別の例では、調節アセンブリ352は、対向する側パネル130、132のそれぞれにおいて位置付けられている。
【0031】
図2に示すように、第1のシェル部分180は第1の複数の調節アセンブリ380を、それに接続された第1の仕切り370と共に含んでもよい。第1の複数の調節アセンブリ380は、使用者が第1の仕切り370を、その下に位置付けられたハウジング102のパネルの近くに位置付けること(格納容積を減少させる)又は前記パネルから遠くに位置付けること(格納容積を増加させる)を可能にしてもよい。そのような構成は、第1のシェル部分180内の格納容積を使用者が所望に応じて変化させることを可能にし得る。例えば、使用者は第1の仕切り370を第1のシェル部分180の周囲リム190に向けて移動させて、第1のシェル部分180内の格納容積を、例えば比較的より大きな量の使用者所有物の荷造りに対応するために増加させてもよい。同様に、使用者は第1の仕切り370を第1のシェル部分180の周囲リム190から離れるように移動させて、第1のシェル部分180内の格納容積を、例えば比較的小さな量の使用者所有物の荷造りに対応するために減少させてもよい。加えて又は代替として、使用者は第1の仕切り370を第1のシェル部分180の周囲リム190から離れるように移動させて、第1の仕切り370の下に位置付けられた使用者所有物に対抗する張力を第1の仕切り370にかけてもよく、これは例えば輸送中の前記使用者所有物のずれを制限するために有益な場合がある。
【0032】
第2のシェル182は第1のシェル部分180と同様に構成されていてもよい。特に、図2に示すように、第2のシェル部分182は第2の複数の調節アセンブリ384を、それに接続された第2の仕切り372と共に含んでもよい。第2の複数の調節アセンブリ384は、使用者が第2の仕切り372を、その下に位置付けられたハウジング102のパネルの近くに位置付けること又は前記パネルから遠くに位置付けることを可能にしてもよい。そのような構成は、第2のシェル部分182内の格納容積を使用者が所望に応じて変化させることを可能にし得る。例えば、使用者は第2の仕切り372を第2のシェル部分182の周囲リム190に向けて移動させて、第2のシェル部分182内の格納容積を、例えば比較的より大きな量の使用者所有物の荷造りに対応するために増加させてもよい。同様に、使用者は第2の仕切り372を第2のシェル部分182の周囲リム190から離れるように移動させて、第2のシェル部分182内の格納容積を、例えば比較的小さな量の使用者所有物の荷造りに対応するために減少させてもよい。加えて又は代替として、使用者は第2の仕切り372を第2のシェル部分182の周囲リム190から離れるように移動させて、第2の仕切り372と左側パネル130との間に位置付けられた使用者所有物に対抗する張力を第2の仕切り372にかけてもよい。
【0033】
調節アセンブリ352は多くの構成を含んでもよい。一例として、各調節アセンブリ352は、アンカー390と、アンカー390に接続された摺動アセンブリ392とを含んでもよい。図示されているように、アンカー390は、手荷物用品100のハウジング102に、例えばハウジング102の上パネル120及び/又は底パネル122に、直接又は間接的に接続されている。アンカー390は、各シェルの周囲リム190とハウジング102の対向するパネルとの間に延在する細長い部材であってもよい。アンカー390は、それに対する摺動アセンブリ392の移動を可能にする多くの構成を含んでもよい。例えば、以下でより詳細に説明するように、アンカー390は、プレート、歯付き部材、凹凸のある部材などであってもよい。特定の用途に応じて、1又は複数の調節アセンブリ352が、仕切り354を支持するために位置付けられていてもよい。例えば、1又は複数の調節アセンブリ352が、格納容積の対向する側又は端において、前記格納容積内で仕切り354を支持するために位置付けられていてもよい。
【0034】
一例では、例えば図3及び図4に示すように、調節アセンブリ352は、例えば対向する端パネル120、122のうちの1つ又は対向する側パネル130、132のうちの1つを含む前記手荷物用品のパネルに接続されており、且つ前記パネル上に位置付けられている。アンカー390は、1又は複数の係合又は摺動プレート400と、複数の歯402とを含む。特定の用途に応じて、歯402は、アンカー390の対向する横方向の側面に2セット配置されていてもよく、又はアンカー390の面に沿って配置されていてもよい。いくつかの例では、歯402は、斜め形状さもなければ非対称の輪郭形状を含んでもよい。例えば図6に示すように、各歯402は、上面410、底面412、及び上面410と底面412との間の交差部におけるリーディングエッジ414を含んでもよい。上面410は、接続されたシェルの周囲リム190から離れるように角度を付けられていてもよい。底面412は、上面410とは異なるように角度を付けられていてもよい。例えば、底面412は、前記接続されたシェルの周囲リム190と実質的に平行に延在してもよい。以下で説明するように、そのような構成は、摺動アセンブリ392がアンカー390に沿って容易に下方に移動することを可能にし得ると同時に、また、使用者による追加の作動なしでの摺動アセンブリ392の上方移動を制限し得る。一例では、歯402は、アンカー390の側面から横方向に外向きに延在してもよく、1又は複数の突起450が、摺動アセンブリ392の側面から横方向に内向きに延在してもよい。
【0035】
摺動アセンブリ392は、アンカー390に対する摺動アセンブリ392の摺動移動を可能にする多くの構成を含んでもよい。一例では、各摺動アセンブリ392は、摺動アセンブリ392をアンカー390の摺動プレート400に摺動可能に接続する接続構造422と、アンカー390の歯402と係合する係合構造424とを含む。接続構造422は、アンカー390の摺動プレート400の対向する側上に位置付けられた第1の部材430と第2の部材432とを含んでもよい。例えば、接続構造422の第1の部材430は、前記アンカーの摺動プレート400の前表面438に摺動可能に係合してもよい。接続構造422の第2の部材432は、前記アンカーの摺動プレート400の後表面440に摺動可能に係合してもよい。特定の用途に応じて、接続構造422は、アンカー390の摺動プレート400に巻き付くか、又はアンカー390の摺動プレート400を挟むか、又はアンカー390の摺動プレート400に別様に係合して、摺動アセンブリ392をアンカー390に保持してもよい。
【0036】
摺動アセンブリ392の係合構造424は、アンカー390の歯402に係合して、摺動アセンブリ392をアンカー390に沿った所定の位置に保持してもよい。例えば、係合構造424は、アンカー390の歯402に選択的に係合するように配置された1又は複数の突起450を含んでもよい。一例では、突起450はアンカー390の歯402に向けて付勢されていてもよい。この付勢により、前記突起は前記歯と係合した状態に維持され得、したがって本明細書中の他の箇所で説明するように、使用者がアクチュエータを移動させて歯402をアンカー390から係合解除することなしでは、摺動アセンブリ392はアンカー390と係合されたままにされ、摺動アセンブリ392が(図6参照)上方に移動することが防止され得る。
【0037】
例えば図6に示されているように、各突起450は、1つの歯402の底面412と、下にある歯402の上面410とに係合して、図6に関し上方方向における、アンカー390に沿った摺動アセンブリ392の移動を制限してもよい。アンカー390に沿った、例えばこの例では図6の上方への、摺動アセンブリ392の選択移動を可能にするために、摺動アセンブリ392は1又は複数のアクチュエータ460を含んでもよく、アクチュエータ460はボタンと呼ばれてもよい。そのような例では、以下で説明するように、使用者による1又は複数のアクチュエータ460の作動により、前記突起が前記歯を通過するのを可能にするのに十分な量だけ、突起450がアンカー390の歯402から離れるように移動されて、(図6の破線に示すように)突起450が歯402から係合解除され、アンカー390に相対的な摺動アセンブリ392の移動が容易にされてもよい。前記アクチュエータの移動により各突起又は複数の突起が移動されるように、アクチュエータ460は、前記各突起若しくは複数の突起と動作可能に関連付けられていてもよく、又は前記各突起若しくは複数の突起と接続されていてもよく、又は前記各突起若しくは複数の突起に直接取り付けられていてもよい。前記突起の付勢は、コイルばね、(例えば金属若しくはプラスチックで作られた)板ばね、又は摺動アセンブリ392の部分として形成された一体ばねなどの、ばね(1又は複数)461によるものであってもよい。図示されているように、ばね461は、1又は複数の突起350と摺動アセンブリ392の一部との間に、又は前記アクチュエータと摺動アセンブリ392の一部との間に位置付けられていてもよい。
【0038】
図6に示すように、摺動アセンブリ392は、使用者が前記アクチュエータを使用することなしに、アンカー390に沿って下方に移動されてもよい。各歯の上面410は上方に角度を付けられており、前記歯と係合する対応する突起350の部分は下方に角度を付けられており、摺動アセンブリ392が使用者によって下方に押されるにつれて、前記突起は、ばね461(1又は複数)の外向きの付勢に対抗して内向きに移動され、突起350は対応する歯402に相対的に十分な距離だけ移動され(例えば、各突起350の内側部分を示す図6における破線を参照)、摺動アセンブリ392がアンカー390上で下方に移動されることが可能になる(図6参照)。
【0039】
摺動アセンブリ392は他の特徴を含んでもよい。例えば、摺動アセンブリ392は接触表面468を含んでもよい。以下で説明するように、使用者は、摺動アセンブリ392をアンカー390に沿って下方に移動させるために、接触表面468を使用してもよい。いくつかの例では、摺動アセンブリ392は、仕切り354を係合するように配置されていてもよい。例えば、摺動アセンブリ392は、仕切り354の周囲フレーム362を係合するように動作可能なクリップ構造474を含んでもよい。そのような例では、クリップ構造474は仕切り354の周囲フレーム362上にクリップ留めされてもよい。いくつかの例では、周囲フレーム362が摺動アセンブリ392のクリップ構造474上にクリップ留めされてもよい。
【0040】
次に、仕切りシステム350の動作についてより詳細に説明する。言及を容易にするため、及びわかりやすくするために、前記動作は第1のシェル部分180の仕切りシステム350に関して説明される。第2のシェル部分182の仕切りシステム350の動作は、同一ではないにしても、類似していてもよい。第1の仕切り370を右側パネル132に向けて(例えば図6では下方に)移動させるために、使用者は、各摺動アセンブリ392の接触表面468を使用し、摺動アセンブリ392を右側パネル132に向けて付勢してもよい。摺動アセンブリ392を右側パネル132に向けて付勢することによって、接続構造422の突起450が、下にある歯402の上面410と係合し上面410に沿って摺動することが引き起こされてもよい。右側パネル132に向けた摺動アセンブリ392の継続した移動によって、突起450が歯402のリーディングエッジ414を通過するまで、突起450が、下にある歯402の上面410を前記歯のリーディングエッジ414に向けてずり動くことが引き起こしされてもよい。 突起450が歯402のリーディングエッジ414を通過したら、突起450は、次の下にある歯402に向けて付勢されてもよい。このプロセスは、摺動アセンブリ392が所望の量だけアンカー390に沿ってラチェット式に又はクリック音を伴って下げられて、アンカー390上の意図される位置に到達するまで繰り返されてもよい。
【0041】
第1の仕切り370を右側パネル132から離れるように(例えば図6では上方に)移動させるために、使用者は、各摺動アセンブリ392の1又は複数のアクチュエータを使用してもよい。使用者による1又は複数のアクチュエータ460の使用によって、接続構造422の1又は複数の突起450が歯402から係合解除することが引き起こされてもよい。特定の用途に応じて、1又は複数のアクチュエータ460は、(例えば、図6における破線によって示されているように)突起450を歯402から係合解除するために、圧迫されるか、又は圧搾されるか、又は持ち上げられるか、又は押し下げられるか、又は別様に移動されてもよい。例えば、図5及び図6を参照すると、アクチュエータ460の使用によって、一対の突起450は互いに向けて移動されて、アンカー390の対向する横方向の側面上に2セット配置された歯402から突起450は係合解除されてもよい。使用者による1又は複数のアクチュエータ460の継続した作動によって、突起450は、歯402のリーディングエッジ414を突起450が通過するまで、歯402から離れるように移動されてもよい。歯402のリーディングエッジ414を突起450が通過したら、摺動アセンブリ392はアンカー390に沿って上又は下に移動し得る。例えば、突起450が歯402を係合解除したら、摺動アセンブリ392は、アンカー390に沿った所望の位置まで、右側パネル132から離れるように移動するよう付勢されてもよい。摺動アセンブリ392が所望の位置に位置付けられたら、1又は複数のアクチュエータ460は解放されてもよく、それにより、突起450がアンカー390の歯402と係合すること及び摺動アセンブリ392が所定の位置に保持されることが引き起こされてもよい。
【0042】
図7A図7Cは、代替の仕切り354の様々な図を示す。いくつかの例では、仕切り354は調節アセンブリ352から取り外し可能であってもよい。例えば、仕切り354は、使用又は格納のためにクローゼット内で又はフックに吊すために、手荷物用品100から取り外されてもよい。一例として、仕切り354は、クローゼット内で吊すための衣服バックを画定してもよい。別の例として、仕切り354は、バスルーム内で便利に吊すための化粧品オーガナイザを画定してもよい。洗濯物バッグ、旅行用オーガナイザ、ビジネス用オーガナイザなどを含む、仕切り354のその他の構成が企図される。例えば、仕切り354は、フラップカバー480又はジップクロージャ482によって画定される1又は複数のコンパートメントを含んでもよい。いくつかの例では、仕切り354は、シャワーバー、衣類バー、又はフックなどの構造から吊すための吊し部材484を含む。吊し部材484は、フック、ループ、フック・ループファスナなどであってもよい。
【0043】
特定の用途に応じて、仕切り354の自立型パネルは摺動アセンブリ392から取り外し可能であってもよい。仕切り354が周囲フレーム362を含む例において、仕切り354を手荷物用品100から取り外すために、仕切り354の周囲フレーム362は、調節アセンブリ352の摺動アセンブリ392から取り外し可能であってもよい。加えて又は代替として、摺動アセンブリ392は、手荷物用品100のハウジング102に固定されたアンカー390から取り外し可能であってもよい。図10に示す例は例示を目的とするものにすぎず、仕切り354は他の構成を含んでもよい。いくつかの例では、パネルは使用されなくてもよく、代わりに可撓性ストラップ又は複数の可撓性ストラップが摺動アセンブリ(1又は複数)392に取り付けられてもよく、前記可撓性ストラップは前記アンカー内で前記摺動アセンブリと共に移動可能であってもよい。
【0044】
図8は、追加の仕切りシステム850を部分的に示す等角図である。以下に別段の記載があるものを除き、図8に示す仕切りシステム850は、上述の仕切りシステム350に類似していてもよい。例えば、仕切りシステム850は、アンカー390に摺動可能に接続された摺動アセンブリ392を、それらの間の相対移動のために含んでもよい。仕切りシステム350と同様に、仕切りシステム850の摺動アセンブリ392は、アンカー390に沿った所定の位置に摺動アセンブリ392を保持するために、アンカー390の複数の歯402に選択的に係合してもよい。仕切りシステム850は、摺動アセンブリ392をアンカー390の歯402から係合解除するための係合解除機構も含んでもよい。しかし仕切りシステム350とは異なり、摺動アセンブリ392は、以下で説明するように、押しボタンとは異なる機構によって歯402から係合解除されてもよい。
【0045】
図8を参照すると、摺動アセンブリ392を取り外すための、又は仕切りシステム850のアンカー390に対する摺動アセンブリ392の位置を変更するための、係合構造424の作動は、摺動アセンブリ392に接続されたループ500によって達成されてもよい。より具体的には、ループ500は、摺動アセンブリ392の1又は複数のアクチュエータ460に接続されていてもよく、又はさもなければ摺動アセンブリ392の1又は複数のアクチュエータ460として機能してもよい。例えば、ループ500は突起450に直接接続されていてもよく、又は1若しくは複数の中間要素を介して間接的に接続されていてもよい。そのような例では、摺動アセンブリ392の突起450がアンカー390の歯402を係合解除することを引き起こすために、使用者はループ500を把持し引いてもよい。突起450がアンカー390の歯402を係合解除したら、ループ500を継続して引くことによって、摺動アセンブリ392(及び仕切り354)が各シェル部分の周囲リム190に向けて上方に移動することが引き起こされてもよい。図8の摺動アセンブリ392は、上述の方法と実質的に同じ方法で、アンカー390上の別の位置までラチェット式に下方に移動されてもよい。例えば、摺動アセンブリ392は使用者によって下方に押されてもよく、その結果、突起450は歯402の上面410に沿ってラチェット式に摺動してもよい。
【0046】
図9は、調節アセンブリ352を含む追加の仕切りシステム1350を部分的に示す等角図である。図10は、図9の仕切りシステム1350の拡大詳細図である。図11は、図9の仕切りシステム1350の断面図であり、アンカーの歯と係合された摺動アセンブリの突起を示している。図12は、図9の仕切りシステム1350の断面図であり、前記アンカーの前記歯から係合解除された前記摺動アセンブリの前記突起を示している。以下に別段の記載があるものを除き、図9図12に示す仕切りシステム1350は、上述の仕切りシステム350、850に類似していてもよい。調節アセンブリ352は、例えば対向する端パネル120、122のうちの1つ又は対向する側パネル130、132のうちの1つを含む前記手荷物用品のパネルに接続されており、且つ前記パネル上に位置付けられている。例えば、仕切りシステム1350は調節アセンブリ352を含んでもよく、そして調節アセンブリ352は、アンカー390に摺動可能に接続された摺動アセンブリ392を、それらの間の相対移動のために含む。仕切りシステム350及び850と同様に、仕切りシステム1350の摺動アセンブリ392は、アンカー390に沿った所定の位置に摺動アセンブリ392を保持するために、アンカー390の複数の歯402に選択的に係合してもよい。仕切りシステム1350は、摺動アセンブリ392をアンカー390の歯402から係合解除するための係合解除機構も含んでもよい。しかし仕切りシステム850とは異なり、摺動アセンブリ392は、上記の例で説明した引きループ又は押しボタンとは異なる機構によって歯402から係合解除されてもよい。
【0047】
図9図12を参照すると、歯402は、アンカー390の後表面440上に配置されていてもよく、例えば摺動プレート400と、手荷物用品100のシェルのパネルであって摺動プレート400がそれに接続され位置付けられているパネルとの間に配置されていてもよい。摺動アセンブリ392は、アンカー390の前表面438に沿って摺動してもよい。摺動アセンブリ392は、単一のレバータイプのアクチュエータ460を、摺動アセンブリ392の底において含んでもよい。摺動アセンブリ392は、アンカー390の後表面上で歯402に係合する単一の突起450も含んでもよい(図11を参照)。アクチュエータ460は、レバーと呼ばれてもよく、突起450に直接、又は1若しくは複数の中間要素を介して接続されていてもよい。アクチュエータ460は、摺動アセンブリ392に枢動可能に接続されていてもよく、突起450を歯402との係合から解放するために、ピン510などによって画定される枢動軸の周りを枢動して突起450を移動させてもよい。一例では、使用者は、突起450を歯402から係合解除するために、係合構造424の一部を締め付けるか又は圧搾してもよい。例えば、使用者は、1又は複数の指をアクチュエータ460の下に、及び親指を接触表面468の上に配置し、前記要素を互いに向けて圧搾するか又は締め付けてもよい。アクチュエータ460は、摺動アセンブリ392の第1の部材430又は第2の部材432に枢動可能に接続されていてもよい。
【0048】
そのような例では、使用者は、例えば突起450を歯402から離れるように移動させることによって、摺動アセンブリ392の突起450をアンカー390の歯402から係合解除するために、レバータイプのアクチュエータ460を持ち上げてもよい。突起450がアンカー390の歯402を係合解除したら、アクチュエータ460を継続して持ち上げることによって、摺動アセンブリ392(及び仕切り354)が各シェル部分の周囲リム190に向けて上方に移動することが引き起こされてもよい。
【0049】
図9図12の摺動アセンブリ392は、上述の方法と実質的に同じ方法で、ラチェット式に下方に移動されてもよい。例えば、摺動アセンブリ392は使用者によって、例えば一例では接触表面468上を下方に押すことによって、下方に押されてもよく、その結果、突起450は歯402の上面410に沿ってラチェット式に摺動してもよい。いくつかの例では、アンカー390に沿った下方への摺動アセンブリ392のラチェット移動によって、突起450が各下にある歯402の上を移動するにつれてアクチュエータ460が上下に振動することが引き起こされてもよい。
【0050】
手荷物用品100は、様々な材料及び手段から形成されてよい。例えば、特にハウジング102は、とりわけ、熱可塑性材料(自己強化又は繊維強化)、ABS、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン、PVC、ポリアミド、及び/又はPTFEから形成されてもよい。いくつかの例では、手荷物用品100の部分は、アルミニウム又はその他の類似した金属で押し出し成形されてもよい。加えて、ハウジング102は、繊維強化エポキシ、樹脂、又はその他の類似した材料から形成されてもよい。前記手荷物用品は、プラグ成形、ブロー成形、射出成形、押し出し成形、鋳造などの任意の好適な手法で形成又は成形されてもよい。上述のように、前記手荷物用品は、軟質側面材料及び/又は硬質側面材料から形成されてもよい。例示的な材料は上で述べられている。
【0051】
全ての相対性及び方向に関する言及(上側(upper)、下側(lower)、上方(upward)、下方(downward)、左(left)、右(right)、左方(leftward)、右方(rightward)、上(top)、底(bottom)、側(side)、上(above)、下(below)、前(front)、中(middle)、後(back)、垂直(vertical)、水平(horizontal)などを含む)は、本明細書中に記載した特定の例を読者が理解するのを助けるための例として示されたものである。これらは特許請求の範囲において特に明記しない限り、特に位置、向き、又は使用に関する要件又は制限であると解釈されるべきではない。接続に関する言及(例えば、取り付けられ(attached)、連結され(coupled)、接続され(connected)、接合され(joined)など)は広く解釈されるべきであり、要素の接続の間の中間部材、及び要素間の相対移動を含んでもよい。したがって、接続に関する言及は、特許請求の範囲において特に明記しない限り、2つの要素が直接接続され互いに固定された関係にあることを必ずしも意味しない。
【0052】
当業者は、現在開示された例が、限定によってではなく例として教示するものであることを理解するであろう。したがって、上記の説明に含まれている事項又は添付の図面に示されている事項は、限定的な意味においてではなく例示的なものとして解釈されるべきである。特許請求の範囲は、本明細書中に記載した全ての一般的な特徴及び特定の特徴、並びに言語の問題としてそれらの間に入ると言われ得る本方法及びシステムの範囲の全ての言明を包含することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12