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  • 特許-行動モデル作成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】行動モデル作成方法
(51)【国際特許分類】
   G06N 20/00 20190101AFI20240625BHJP
   G06F 18/213 20230101ALI20240625BHJP
   G06F 18/241 20230101ALI20240625BHJP
   H04N 21/466 20110101ALI20240625BHJP
【FI】
G06N20/00
G06F18/213
G06F18/241
H04N21/466
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023195469
(22)【出願日】2023-11-16
【審査請求日】2023-11-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591101434
【氏名又は名称】株式会社ビデオリサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】長島 英樹
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 惇一
【審査官】渡辺 一帆
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-142769(JP,A)
【文献】特開2021-125128(JP,A)
【文献】国際公開第2020/095897(WO,A1)
【文献】特表2023-533071(JP,A)
【文献】土橋 諒太 ほか,"自然言語処理的アプローチによるテレビ視聴データの解析",オペレーションズ・リサーチ 経営の科学,公益社団法人 日本オペレーションズ・リサーチ学会,2020年,第65巻, 第2号,pp. 85-92,ISSN 0030-3674
【文献】熊谷 雄介 ほか,"個別の視聴行動に対する属性推定",情報処理学会 研究報告 数理モデル化と問題解決(MPS),2019年,第2019-MPS-123巻, 第10号,pp. 1-7,ISSN 2188-8833
【文献】菊池 匡晃 ほか,"大規模テレビ視聴データによる番組視聴分析",情報処理学会 デジタルプラクティス,2016年,第7巻, 第4号,pp. 352-360,ISSN 2188-4390
【文献】隆 朋也 ほか,"履歴情報を用いたTV番組選択支援エージェント",情報処理学会論文誌,社団法人 情報処理学会,2001年,第42巻, 第12号,pp. 3130-3143,ISSN 0387-5806
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 20/00-20/20
G06F 18/213-18/2137
G06F 18/241-18/2415
H04N 21/466
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータによって実行される行動モデル作成方法であって、
複数の対象者の行動履歴データであって、行動時刻及び行動内容を時系列的に表す行動履歴データを言語データの代わりに自然言語処理モデルに入力する学習処理により、当該入力された行動履歴データの特徴ベクトルを生成する第1モデルを構築する第1ステップと、
該第1ステップで生成された第1モデルから、行動に関する所定の情報を生成し得る第2モデルを構築する第2ステップとを備えることを特徴とする行動モデル作成方法。
【請求項2】
請求項1記載の行動モデル作成方法において、
前記第2モデルは、複数の対象者のそれぞれの行動履歴データから、各対象者毎の属性情報を生成する分類モデルであることを特徴とする行動モデル作成方法。
【請求項3】
請求項1記載の行動モデル作成方法において、
前記第2モデルは、対象者の属性に関する複数の項目のそれぞれ毎に、各対象者の行動履歴データから、所定内容の行動をさせるために適した該所定内容の行動のスケジュールを生成する提案モデルであることを特徴とする行動モデル作成方法。
【請求項4】
請求項1記載の行動モデル作成方法において、
前記第1ステップは、生成された第1モデルの学習処理結果を検証する学習結果検証ステップを有し、
前記学習結果検証ステップでは、行動履歴データの一部をマスクして、マスクした行動履歴データを前記第1モデルに予測させることにより該第1モデルの学習処理結果を検証することを特徴とする行動モデル作成方法。
【請求項5】
請求項1記載の行動モデル作成方法において、
前記第1ステップは、生成された第1モデルにより前記対象者が特定の行動を行うか予測する行動予測ステップを有し、
前記行動予測ステップでは、前記対象者の前記特定の行動より前の行動履歴データを教師データとして、前記第1モデルに入力して再学習させることにより、該対象者が該特定の行為を行うか否か予測させることを特徴とする行動モデル作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、行動履歴データに基づいて対象者の行動を予測するための行動モデル作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の行動予測モデルとしては、下記特許文献1に示すように、行動予測装置が、利用者の行動履歴データを記憶している行動履歴データ記憶部と、行動履歴データ記憶部に記憶されている前記利用者の行動履歴データから確率的に前記利用者の行動モデルを作成する行動モデル作成部と、行動モデル作成部により作成された前記利用者の行動モデルをもとに、所定の条件に応じて確率的に前記利用者の行動を予測する行動予測部とを備え、行動予測部は、所定の条件に適合する行動履歴データのデータ数が所定の閾値に満たない場合に、該条件を拡張して前記利用者の行動を予測するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-198243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかる従来の行動予測モデルでは、単に、行動履歴データから確率的に対象者の行動予測を行っているに過ぎず、行動履歴データが意味する内容、すなわち、対象の行動に隠れた意味が十分に考慮されるものとはなっていないという問題があった。
【0005】
これは、確率に代えて、行動履歴データを教師データとして機械学習させた場合も同様であり、対象者の行動に隠れた意味が反映されるものとはなっていないという問題があった。
【0006】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、対象者の行動履歴データを用いて、行動に隠れた意味を反映させたサービスを適切に提供することが可能な行動モデル作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の行動モデル作成方法は、コンピュータによって実行される行動モデル作成方法であって、
複数の対象者の行動履歴データであって、行動時刻及び行動内容を時系列的に表す行動履歴データを言語データの代わりに自然言語処理モデルに入力する学習処理により、当該入力された行動履歴データの特徴ベクトルを生成する第1モデルを構築する第1ステップと、
該第1ステップで生成された第1モデルから、行動に関する所定の情報を生成し得る第2モデルを構築する第2ステップとを備えることを特徴とする。
【0008】
なお、対象者は、IDに対応付けられた行動履歴データ(テレビ放送の視聴履歴データのほか、位置データ(GPSデータ含む)のほか、購買データ、来店データ、イベント参加(セミナー参加)データ、WEBアクセス履歴データ)を有する者を意味する。
【0009】
第1発明の行動モデル作成方法によれば、第1ステップにより、対象者の行動履歴データを、AIモデルとしての自然言語処理モデルに入力して学習させることで、行動履歴データの特徴ベクトルとして生成する第1モデルを構築することで、行動履歴データに隠れた対象者の趣味や嗜好や習慣などを抽出することができる。
【0010】
そして、実際に生成された第1モデルから、第2ステップでは、行動に関する所定の情報を生成させることができる。
【0011】
このように、第1発明の行動モデル作成方法によれば、対象者の行動履歴データを用いて、対象者の趣味や嗜好や習慣など行動に隠れた意味を反映させたサービスを適切に提供することが可能となる。
【0012】
第2発明の行動モデル作成方法は、第1発明において、
前記第2モデルは、複数の対象者のそれぞれの行動履歴データから、各対象者毎の属性情報を生成する分類モデルであることを特徴とする。
【0013】
第2発明の行動モデル作成方法によれば、第2ステップにより、第2モデルとしての分類モデルを作成することで、複数の対象者のそれぞれの行動履歴データから、各対象者毎の属性情報を生成することができる。
【0014】
このように、第2発明の行動モデル作成方法によれば、対象者の行動履歴データを用いて、行動に関する所定の情報として各対象者毎の属性情報を生成し、対象者の趣味や嗜好や習慣など行動に隠れた意味を反映させたサービスを実際に適切に提供することが可能となる。
【0015】
第3発明の行動モデル作成方法は、第1発明において、
前記第2モデルは、対象者の属性に関する複数の項目のそれぞれ毎に、各対象者の行動履歴データから、所定内容の行動をさせるために適した該所定内容の行動のスケジュールを生成する提案モデルであることを特徴とする。
【0016】
第3発明の行動モデル作成方法によれば、第2ステップにより、第2モデルとしての提案モデルを作成することで、対象者の属性に関する複数の項目のそれぞれ毎に、各対象者の行動履歴データから、所定内容の行動をさせるために適した該所定内容の行動のスケジュールを生成することができる。
【0017】
このように、第3発明の行動モデル作成方法によれば、複数の対象者の行動履歴データを用いて、行動に関する所定の情報として所定内容の行動をさせるために適した該所定内容の行動のスケジュールを生成し、行動に関する所定の情報として各対象者毎の属性情報を生成し、対象者の趣味や嗜好や習慣など行動に隠れた意味を反映させたサービスを実際に適切に提供することが可能となる。
【0018】
第4発明の行動モデル作成方法は、第1発明において、
前記第1ステップは、生成された第1モデルの学習処理結果を検証する学習結果検証ステップを有し、
前記学習結果検証ステップでは、行動履歴データの一部をマスクして、マスクした行動履歴データを前記第1モデルに予測させることにより該第1モデルの学習処理結果を検証することを特徴とする。
【0019】
第4発明の行動モデル作成方法によれば、第2モデルを構築する基礎となる第1モデルについて、行動履歴データの一部をマスクして、マスクした行動履歴データを該第1モデルに予測させることで学習処理結果を検証することでき、第1モデルの学習処理を担保することできる。
【0020】
このように、第4発明の行動モデル作成方法によれば、複数の対象者の行動履歴データを用いて、行動に関する信頼性の高い学習モデルを構築して、対象者の趣味や嗜好や習慣など行動に隠れた意味を十分に反映させたサービスを実際に適切に提供することが可能となる。
【0021】
第5発明の行動モデル作成方法は、第1発明において、
前記第1ステップは、生成された第1モデルにより前記対象者が特定の行動を行うか予測する行動予測ステップを有し、
前記行動予測ステップでは、前記対象者の前記特定の行動より前の行動履歴データを教師データとして、前記第1モデルに入力して再学習させることにより、該対象者が該特定の行為を行うか否か予測させることを特徴とする。
【0022】
第5発明の放行動モデル作成方法によれば、第1モデルにより行動予測をさせるように、予測させたい特定の行動より前の行動履歴データを教師データとして第1モデルを再学習させることで、当該特定の行動を予測させることができる。
【0023】
このように、第5発明の行動モデル作成方法によれば、複数の対象者の行動履歴データを用いて、行動に関する予測ができ、対象者の趣味や嗜好や習慣など行動に隠れた意味を十分に反映させたサービスを実際に適切に提供することが可能となる
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態における全体システムを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態を図1を参照して説明する。図1を参照して、本実施形態の行動モデル作成方法の一例としての放送用モデル作成方法が実行される放送用処理装置は、一つ以上のコンピュータまたは一つ以上の電子回路ユニット、またはこれらの組み合わせにより構成される装置であり、そのハードウェア構成と実装されたプログラム(ソフトウェア構成)とにより実現される機能として、基本モデル作成処理部1、ファインチューニング処理部2、視聴度合情報生成部3、および情報出力部4とを備える。
【0026】
基本モデル作成処理部1は、任意の対象視聴者の視聴履歴データから、該視聴履歴データの特徴ベクトルを生成する基本モデル(本発明の第1モデルに相当する)を作成する処理部であり、かかる基本モデル作成処理部1での学習処理(STEP1)が本発明の第1ステップに相当する。
【0027】
本実施形態では、基本モデルとして、例えば、GPTや、BERTなどの自然言語処理モデルが用いられる。この場合、自然言語処理モデルに対して、言語データの代わりに、複数の対象視聴者の視聴履歴データを用いて学習処理を施すことで、基本モデルが作成される。
【0028】
この学習処理では、言語データの代わりに用いられる視聴履歴データは、所定の期間(例えば、〇月〇日〇時〇分から〇か月の期間、〇月〇日〇時〇分から〇月〇日〇時〇分までの期間など)における複数の単位視聴期間の時系列データである。各単位視聴期間は、その期間内でテレビ放送の視聴が行われた所定の単位時間幅(例えば5分など)の期間である。そして、各単位視聴期間には、その代表時刻(開始時刻、終了時刻、中央時刻など)と、該単位視聴期間で放送されたテレビ放送の放送局又はチャンネルとが対応づけられていると共に、各単位視聴期間毎の識別データが付されている。
【0029】
そして、基本モデルの作成の学習処理では、各対象視聴者の視聴履歴データの全体を文章データ、単位視聴期間毎の識別データを単語とみなして、自然言語処理モデルに入力される。これにより、基本モデルは、任意の対象視聴者の視聴履歴データが入力されたとき、該視聴履歴データ内での各端子視聴期間の特徴を表す特徴ベクトルを生成するように構築される。
【0030】
このようにして学習処理により構築された基本モデルに対して、学習処理結果を検証する学習結果検証ステップを追加的に行ってもよい。
【0031】
より具体的に、学習結果検証ステップでは、視聴履歴データの一部をマスクして、マスクした視聴データの一部を基本モデルに予測させる処理を、マスク位置を順番に変えて行うことにより基本モデルの学習処理結果が一定の正答率となっているか検証することにより行う。これにより基本モデルの学習処理を担保することできる。
【0032】
さらに、学習処理により構築された基本モデルに対して、対象視聴者が特定の視聴を行うか予測する視聴予測ステップを追加的に行ってもよい。
【0033】
より具体的に、視聴予測ステップでは、対象視聴者の特定の視聴より前の視聴履歴データを教師データとして、基本モデルに入力して再学習させることにより、該対象視聴者が該特定の視聴を行うか否か予測させることにより行う。これにより基本モデルにより視聴対象者の特定の視聴を予測させることができ、これを複数の視聴対象者について積算することで予測視聴率などの予測視聴データを生成することができる。
【0034】
ファインチューニング処理部2は、上記のように構築される基本モデルをファインチューニングしてなる2種類のモデル(いずれも本発明の第2モデルに相当する)を作成する。その2種類のモデルは、分類モデル作成部2aで作成される分類モデルと、提案モデル作成部2bで作成される提案モデルであり、かかる分類モデル作成部2aでの分類モデルの作成処理(STEP2a)とが提案モデル作成部2bでの提案モデルの作成処理(STEP2b)とがそれぞれ本発明の第2ステップに相当する。
【0035】
分類モデルは、任意の対象視聴者のそれぞれの視聴履歴データから、該対象視聴者の属性情報を生成するように構成される。この場合、対象視聴者の属性情報は、所定の複数種類の属性に関する情報である。当該複数種類の属性は、例えば、性別および年代を表す情報、収入を表す情報、職業を表す情報、同居家族の構成を表す情報、視聴意識を表す情報、購入意識を表す情報等である。そして、分類モデルは、これらの複数種類の属性毎に各別のモデルとして基本モデルから作成される。
【0036】
各属性に対応する分類モデルは、任意の対象視聴者の視聴履歴データを入力したとき、該対象視聴者が、該分類モデルに対応する種類の属性の内容を特定するように、基本モデルから作成される。例えば、性別・年代という属性に対応する分類モデルは、入力された視聴履歴データから、性別が男女のどちらであり、年代がどの年代であるかを特定し得るように作成される。各種類の属性に対応する分類モデルは、それに対応する属性が判明している対象視聴者の視聴履歴データを教師データとして用いて、機械学習をほどこしておくことで作成される。
【0037】
提案モデルは、対象視聴者の属性に関する複数のターゲット項目のそれぞれ毎に、各対象視聴者の視聴履歴データから、所定内容の放送を視聴させるために適した該所定内容の放送のスケジュールを生成するように、基本モデルから作成される。この場合、ターゲット項目は、所定内容の放送を視聴させたい対象視聴者の属性の内容である。例えば、性別・年代に関する属性の内容が、〇歳~〇歳の女性であり、且つ、収入に関する属性の内容が年額〇円以上、且つ、職業に関する属性の内容が会社員であるというような内容がターゲット項目として採用される。このようなターゲット項目があらかじめ複数、設定される。
【0038】
各ターゲット項目に対応する提案モデルは、そのターゲット項目に対応する対象視聴者の視聴履歴データを入力したとき、該対象視聴者に、所定内容の放送を視聴させるために適した該所定内容の放送のスケジュールを生成するように、基本モデルから作成される。
【0039】
例えば、あるターゲット項目に対応する提案モデルは、該ターゲット項目に対応する対象視聴者に、ある電気製品のコマーシャル放送を視聴させようとするとき、該コマーシャル放送の適切な放送日時(該対象視聴者が該コマーシャル放送を視聴する可能性が高い放送日時。例えば。毎週火曜日の19:00~19:20の間等)を特定し得るように作成される。各ターゲット項目に対応する提案モデルは、該ターゲット項目に対応する対象視聴者の視聴履歴データを教師データとして用いて、機械学習をほどこしておくことで作成される。
【0040】
視聴度合情報生成部3は、前記複数の対象視聴者のそれぞれの視聴履歴データ(所定内容の放送を含む視聴履歴データ)と前記分類モデルとを用いて、所定内容の放送の視聴度合と対象視聴者との属性との関係を表す視聴度合情報を生成する。該視聴度合情報は、より具体的には、該所定内容の放送が、どのような属性又はターゲット項目の対象視聴者が最も多く視聴したか(換言すれば、所定内容の放送の視聴度合い(視聴者数)が最も高い属性が又はターゲット項目がどの属性又はターゲット項目であるか)を示す情報である。
【0041】
この視聴度合情報生成部3により、例えば、電気製品のコマーシャル放送が、性別・年代が〇〇歳~〇〇歳の男性、収入が年額〇円以上、職業が会社員という属性の対象視聴者の視聴度合いが最も高いという如き視聴度合情報が得られる。
【0042】
情報出力部4は、提案モデルと視聴度合情報生成部3とにより得られた情報を図示しないディスプレイや、プリンタを介して出力する。具体的には、ユーザが、放送予定のコマーシャル放送等の放送内容と、ターゲット項目とを入力すると、情報出力部4は、前記提案モデルにより該放送内容をターゲット項目に合致する対象視聴者に視聴させる上で適切な放送スケジュールをユーザに対して出力する。また、ユーザが放送予定の放送内容に対する視聴度合情報を要求する操作を行うと、情報出力部4は、視聴度合情報生成部3で得られた視聴度合情報をユーザに対して出力する。
【0043】
本実施形態の放送用処理装置は、以上の如く構成されているので、複数の視聴者によるテレビ放送の視聴履歴データを用いて、ユーザの多大な工数を必要とすることなく、テレビ放送の視聴に関するサービスを適切に提供することができる。また、当該サービスに必要な分類モデルおよび提案モデルを公知の自然言語処理モデルを利用して容易に構築することができる。
【0044】
なお、本実施形態では、視聴履歴データは、放送(テレビ、ラジオ、さらにBSおよびCSを含む)のほか、通信(IP放送、Netflix(登録商標)等のコネクテッドTVを含む)を介するものであってもよい。
【0045】
また、本実施形態では、コマーシャル放送(映像CM)を例に説明したが、これに限定されるものではなく、番組や映画、アニメ、CG、演劇、ゲーム、インターネット配信などの映像作品のほか、映像を伴わないラジオCMやラジオ番組、写真、小説、漫画、書籍、音楽(声楽、演奏)、NFT、芸術作品(美術、建築、デザインなど)、芸術表現(パフォーマンス)などであってもよい。
【0046】
また、前記実施形態では、分類モデルおよび提案モデルを構築するために、行動履歴データの一例としての視聴履歴データを用いたが、視聴履歴データの代わりに、対象者の行動に関する所定種類の履歴データを用いてもよい。
【0047】
所定種類の履歴データ(行動履歴データ)としては、対象者のIDに紐づけられたデータであれば、種々の履歴データが採用され得る。例えば、履歴データとしては、位置データのほか、購買データ(カメラの購入履歴データなど)、来店データ、イベント参加(セミナー参加)データ、WEBアクセス履歴データであってもよい。
【0048】
これらの各種行動履歴データの場合にも、分類モデルは、複数種類の属性毎に各別のモデルとして基本モデルから作成される。また、提案モデルは、対象者の属性に関する複数のターゲット項目のそれぞれ毎に、各対象者の各種行動履歴データから、所定内容の行動をさせるために適した該所定内容の行動のスケジュールを生成するように、基本モデルから作成される。例えば、位置データの場合には、適切な移動(訪問)タイミング、購買データの場合には適切な購入タイミング、来店データの場合には適切な来店タイミング、イベント参加(セミナー参加)データの場合には適切なイベント参加タイミング、WEBアクセス履歴データの場合には適切なWEBアクセスタイミングのスケジュールが生成される。
【0049】
なお、以上説明した実施形態では、基本モデルを自然言語処理を用いて作成し、その基本モデルから分類モデルおよび提案モデルを作成したが、分類モデルおよび提案モデルを、自然言語処理モデルを用いずに作成してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1…基本モデル作成処理部、2…ファインチューニング処理部、2a…分類モデル作成部、2b…提案モデル作成部、3…視聴度合情報生成部、4…情報出力部。
【要約】
【課題】対象者の行動履歴データを用いて、行動に隠れた意味を反映させたサービスを適切に提供することが可能な行動モデル作成方法を提供する。
【解決手段】行動モデル作成方法は、複数の対象者の行動履歴データであって、行動時刻及び行動内容を時系列的に表す行動履歴データを言語データの代わりに自然言語処理モデルに入力する学習処理により、当該入力された行動履歴データの特徴ベクトルを生成する第1モデルを構築する第1ステップと、該第1ステップで生成された第1モデルから、行動に関する所定の情報を生成し得る第2モデルを構築する第2ステップとを備える。
【選択図】図1
図1