(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】抜栓キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/38 20060101AFI20240625BHJP
B65D 47/08 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
B65D47/38
B65D47/08 100
(21)【出願番号】P 2020199064
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】小賀坂 優太
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-055061(JP,U)
【文献】実開昭51-081250(JP,U)
【文献】特開昭58-160262(JP,A)
【文献】特公昭47-006869(JP,B1)
【文献】特開2018-172160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/38
B65D 47/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体(100)の口頸部(102)へ装着するためのキャップ本体(2)を具備し、
前記キャップ本体(2)は、前記口頸部(102)の上面を閉塞する隔壁部(14)と、
この隔壁部(14)の外周側から起立する注出筒部(22)を有し、かつ
当該注出筒部(22)の内側で、前記隔壁部(14)に、それぞれ周囲を破断線(b)で囲まれた吐出孔形成用の第1除去部(24)及び空気置換孔形成用の第2除去部(26)が、相互に区分して形成されており、
前記第1除去部(24)及び
前記第2除去部(26)を抜栓させるためのプルリング(30)を設けており、
当該プルリング(30)は、
前記第1除去部(24)から第1支柱部(32)を、
前記第2除去部(26)から第2支柱部(34)を、相互に隣接させて起立させるとともに、これら第1支柱部(32)及び第2支柱部(34)の上端部に配置されたリング体(36)の一端部(37A)に連結させ、
前記リング体(36)の他端部(37B)側を引き上げることで
前記第1除去部(24)及び
前記第2除去部(26)の各破断線(b)が破断されるように形成
した抜栓キャップにおいて、
前記第2除去部(26)からは単一の第2支柱部(34)が、また前記第1除去部(24)からは一対の第1支柱部(32)がそれぞれ起立されており、
上方から見て、前記プルリング(30)の一端部(37A)から他端部(37B)へ至る第1方向(X)と直交する第2方向(Y)に離間させて、前記一対の第1支柱部(32)が配置されており、
これら一対の第1支柱部(32)は、前記第2支柱部(34)に対して前記第2方向(Y)の反対側にかつ前記プルリング(30)の他端部(37B)寄りに配置されていることを特徴とする抜栓キャップ。
【請求項2】
前記第1除去部(24)は、
前記隔壁部(14)から除去されたときに、吐出孔本体(D1)とこの吐出孔本体から延びる一対の拡張孔部(D2)とを有する吐出孔(D)が形成されるように付形されており、
前記第1除去部(24)のうちで前記一対の拡張孔部(D2)に相当する部位(24b)から、それぞれ
前記第1支柱部(32)が起立されており、
その一対の拡張孔部対応部位(24b)の間に
前記第2除去部(26)が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の抜栓キャップ。
【請求項3】
前記注出筒部(22)に両端を連設させて、前記第1除去部(24)及び前記第2除去部(26)の間を仕切る仕切り壁部(28)を形成したことを特徴とする請求項1
又は請求項2に記載の抜栓キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抜栓キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の抜栓キャップの基本的構造として、容器体の口頸部へ装着するためのキャップ本体とキャップ本体の上面を開閉可能な上蓋とからなり、前記キャップ本体は、前記口頸部の上面を閉塞する隔壁と、隔壁の外周側から起立する注出筒とを有し、かつ注出筒の内側で、前記隔壁に、周囲を破断線で囲まれた吐出孔形成用の除去部が形成され、この除去部を抜栓するためのプルリングを設けたものが知られている(例えば特許文献1)。プルリングは、除去部から立設させた一本の支柱部の上端からリング体を横向きに突出してなる。
また、こうした基本的構造を備えるとともに、プルリング引き抜き時に吐出孔より内容液が不意に吹きこぼれることを防止するために、除去部の一部に、吐出孔に先行して外気導入用の小孔が開口されるように構成した抜栓キャップが知られている(特許文献2)。
この抜栓キャップは、リング体の基端(支柱部との連結部)よりも先端寄りの箇所から垂下した柱状部の下端を除去部の一部に連設し、リング体の先端を引き上げたときに、破断線全体の破断に先行して前記除去部の一部のみが破断し、小孔が開口するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-249105
【文献】特開2018-090258
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び特許文献2の抜栓キャップは、容器体の口頸部へ装着した後に、プルリングを引き上げて除去部全体を隔壁から引き抜くことで吐出孔を開口させるように構成している。このため、当該吐出孔から内容液を吐出させる際に、容器体への外気の進入が不十分となり、吐出孔から吐出される液体の流れの脈動を生ずる可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、内容物の吐出時の脈動を抑制した抜栓キャップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、容器体100の口頸部102へ装着するためのキャップ本体2を具備し、
前記キャップ本体2は、前記口頸部102の上面を閉塞する隔壁部14と、この隔壁部14の外周側から起立する注出筒部22を有し、かつ当該注出筒部22の内側で、前記隔壁部14に、それぞれ周囲を破断線bで囲まれた吐出孔形成用の第1除去部24及び空気置換孔形成用の第2除去部26が、相互に区分して形成されており、
前記第1除去部24及び前記第2除去部26を抜栓させるためのプルリング30を設けており、
当該プルリング30は、前記第1除去部24から第1支柱部32を、前記第2除去部26から第2支柱部34を、相互に隣接させて起立させるとともに、これら第1支柱部32及び第2支柱部34の上端部に配置されたリング体36の一端部37Aに連結させ、
前記リング体36の他端部37B側を引き上げることで前記第1除去部24及び前記第2除去部26の各破断線bが破断されるように形成した抜栓キャップにおいて、
前記第2除去部26からは単一の第2支柱部34が、また前記第1除去部24からは一対の第1支柱部32がそれぞれ起立されており、
上方から見て、前記プルリング30の一端部37Aから他端部37Bへ至る第1方向Xと直交する第2方向Yに離間させて、前記一対の第1支柱部32が配置されており、
これら一対の第1支柱部32は、前記第2支柱部34に対して前記第2方向Yの反対側にかつ前記プルリング30の他端部37B寄りに配置されており、
前記注出筒部22に両端を連設させて、前記第1除去部24及び前記第2除去部26の間を仕切る仕切り壁部28を形成しており、
この仕切り壁部28は、上方から見て、前記第1方向Xに前記プルリング30の一端部37A側へ向かって拡開するV字形である。
【0007】
本手段では、
図1に示すように、キャップ本体2は、前記口頸部102の上面を閉塞する隔壁部14と、隔壁部14の外周側から起立する注出筒部22を有し、かつ注出筒部22の内側で、前記隔壁部14に、それぞれ周囲を破断線bで囲まれた吐出孔形成用の第1除去部24及び空気置換孔形成用第2除去部26を形成している。
また、第1除去部24及び第2除去部26を抜栓させるためのプルリング30を設けている。
このプルリング30は、第1除去部24から第1支柱部32を、第2除去部26から第2支柱部34を、相互に隣接させて起立させるとともに、これら第1支柱部32及び第2支柱部34の上端部に配置されたリング体36の一端部37Aに連結させており、前記リング体36の他端部37B側を引き上げることで第1除去部24及び第2除去部26の各破断線bが破断されるように形成している。
この構造によれば、内容物を吐出するための吐出孔及び内容物吐出時の脈動を抑制するための空気置換孔を、プルリングを引き上げる際に、開口することができる。
また本手段では、まず、図4に示す如く、前記第2除去部26からは単一の第2支柱部34が、また前記第1除去部24からは一対の第1支柱部32がそれぞれ起立されている。また、図3(A)に示す如く、上方から見て、前記プルリング30の一端部37Aから他端部37Bへ至る第1方向Xと直交する第2方向Yに離間させて、前記一対の第1支柱部32が配置されている。
そして、一対の第1支柱部32は、前記第2支柱部34に対して前記第2方向Yの反対側にかつ前記プルリング30の他端部37B寄りに配置されている。
この構造によれば、第2支柱部34の周囲の破断線bが破断する時点と一対の第1支柱部32付近の破断線bが破断する時点との間にタイムラグを生じさせることができる。
従って、3つの支柱部の近傍で全く同時に破断が生ずる構造に比べて、一時的に大きな引張り力を要することがなく、抜栓操作が容易である。
【0010】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ 前記第1除去部24は、隔壁部14から除去されたときに、吐出孔本体D1とこの吐出孔本体から延びる一対の拡張孔部D2とを有する吐出孔Dが形成されるように付形されており、
第1除去部24のうちで前記一対の拡張孔部D2に相当する部位24bから、それぞれ第1支柱部32が起立されており、
その一対の拡張孔部対応部位24bの間に第2除去部26が配置されている。
【0011】
本手段では、第1除去部24は、隔壁部14から除去されたときに、
図5に示すように、吐出孔本体D1とこの吐出孔本体から延びる一対の拡張孔部D2とを有する吐出孔Dが形成されるように付形されており、第1除去部24のうちで前記一対の拡張孔部D2に相当する部位24bから、それぞれ第1支柱部32が起立されている。
そして一対の拡張孔部対応部位24bの間に前述の第2除去部26が配置されている。
この構造によれば、プルリング30の引張り操作により、また拡張孔部対応部位24bの破断と第2除去部26の破断とは相前後して連続的に起こるから、抜栓操作を効率的に行うことができる。
【0012】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段を有し、かつ前記注出筒部22に両端を連設させて、前記第1除去部24及び第2除去部26の間を仕切る仕切り壁部28を形成している。
【0013】
本手段では、
図3(A)に示す如く、前記注出筒部22に両端を連設させて、前記第1除去部24及び第2除去部26の間を仕切る仕切り壁部28を形成している。
この構造によれば、
図5に示すように第1除去部24及び第2除去部26をした後に、吐出孔Dと空気置換孔Eとを確実に区分することができ、容器体100の内容物が空気置換孔E側へ入りにくくなる。従って空気置換作用を確実に実現することができる。
【発明の効果】
【0014】
第1の手段に係る発明によれば、キャップ本体2の隔壁部14から起立する注出筒部22を有し、かつ注出筒部22の内側で、前記隔壁部14に、それぞれ周囲を破断線bで囲まれた吐出孔形成用の第1除去部24及び空気置換孔形成用第2除去部26を形成しており、第1除去部24から第1支柱部32を、また第2除去部26から第2支柱部34を、相互に隣接させて起立させるとともに、これら第1支柱部32及び第2支柱部34の上端部に配置されたリング体36の一端部37Aに連結させることでプルリング30を形成したから、プルリングを引き上げる際に吐出孔とともに及び内容物吐出時の脈動を抑制するための空気置換孔を開口することができる。
また第1の手段に係る発明によれば、一対の第1支柱部32は、前記第2支柱部34に対して前記プルリング30の他端部37B寄りに配置されているから、第1除去部24及び第2除去部26を容易に除去することができ、吐出孔D及び空気置換孔Eを開口させにくくなることがない。
第2の手段に係る発明によれば、第1除去部24は、隔壁部14から除去されたときに、吐出孔本体D1とこの吐出孔本体から延びる一対の拡張孔部D2とを有する吐出孔Dが形成されるように付形されており、第1除去部24のうちで前記一対の拡張孔部D2に相当する部位24bから、それぞれ第1支柱部32が起立されており、その一対の拡張孔部対応部位24bの間に第2除去部26が配置されており、かつ一対の第1支柱部32は第2支柱部34よりもプルリング30の他端部37B寄りに位置しているから、抜栓操作を効率的に実現することができる。
第3の手段に係る発明によれば、前記注出筒部22に両端を連設させて、前記第1除去部24及び第2除去部26の間を仕切る仕切り壁部28を形成したから、吐出孔Dと空気置換孔Eとを確実に区分することができ、空気置換作用を確実に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る抜栓キャップの側方から見た断面図である。
【
図3】
図1に示す抜栓キャップの開蓋状態での構成を示す図であり、同図(A)は、同状態での平面図、同図(B)は、側方から見た断面図である。
【
図4】
図1に示す抜栓キャップの開蓋状態での斜視図である。
【
図5】
図1に示す抜栓キャップの抜栓状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1から
図5は、本発明の実施形態に係る抜栓キャップを示している。
本実施形態の抜栓キャップは、キャップ本体2と、上蓋40とからなる。
また、キャップ本体2と上蓋40とは、例えば合成樹脂材で形成することができる。
【0017】
キャップ本体2は、容器体100の口頸部102を閉塞するための隔壁部14を有する。
本実施形態では、前記キャップ本体2は、前記口頸部102への装着用の装着筒部4を有し、この装着筒部4の上端から、頂壁部である隔壁部14を延出している。
【0018】
前記装着筒部4の下部内面には、前記口頸部102側に周設された外リブに係止させるための係合凸部6が付設されている。
前記装着筒部4の一端(図示例では後端)側には、ヒンジ機構12を介して前記上蓋40が連結されている。
なお、本明細書では、説明の便宜上、
図1の右側を“後”と、左側を“前”と、紙面に直交する方向を左右と称するものとする。
また本実施形態では、
図1に示すように、前記装着筒部4の上端面より下方へ穿設するスリット溝8が形成されている。このスリット溝8は、装着筒部4の上部を内周部分と外周部分とに分割するように、装着筒部4のほぼ全周に亘って形成されている。
前記スリット溝8の底面内端と装着筒部4の内面との間には薄肉の弱化部9が形成されている。また装着筒部4の上部外面には、
図3(A)に示すように、破断部である外周切込み部11が縦方向に形成されており、
図4に示す開蓋状態で上蓋40を側外方へ引っ張ると、外周切込み部11が破断し、その後前記弱化部9がスリット溝8の所定位置まで破断する。そして、この状態から上蓋40を引き上げると、容器体100と抜栓キャップとが分離され、抜栓キャップの分別廃棄が容易となるように設けられている。
【0019】
前記隔壁部14は、装着筒部4の上端部に連結されている。
図示例の隔壁部14は、装着筒部4の上端から内向きに突設されたフランジ状壁部16と、フランジ状壁の内端から垂設された、前記口頸部102の内面に嵌入させるための嵌合筒部19と、嵌合筒部19の下端に付設された底壁部20とを有する。そして前記嵌合筒部19と装着筒部4との間に口頸部102が挟持できるように形成している。
もっとも、隔壁部14の構造は、適宜変更することができる。図示はしないが、例えば隔壁部14は、口頸部102の上面を覆う水平な頂板部を有し、この頂板部の外周部から口頸部への嵌入用の嵌合筒部を垂設させた構造でも構わない。
前記フランジ状壁部16の上面からは、環状の係合突条18が隆起されている。
前記底壁部20からは、前記嵌合筒部19との間に一定の間隙を存して、注出筒部22が前記係合突条18より上方へ起立されている。
図示例では、
図1に示すように、底壁部20の縁部20a及び中央部20bに比べて、縁部20a及び中央部20bの間の中間壁部20cを薄肉壁部に形成している。具体的には、縁部20a及び中央部20bの下面に比べて中間壁部20cの下面を高くすることにより、薄肉壁部としている。この薄肉壁部の下面には、後述の破断線bである溝が穿設されており、これにより、抜栓操作を比較的に小さな力で行うことができる。
注出筒部22の内側においては、吐出孔形成用の第1除去部24及び空気置換孔形成用の第2除去部26が前記底壁部20に形成されており、かつこれら除去部を引き抜くためのプルリング30が立設されている。説明の都合上、これらの事項については、後にまとめて説明する。
【0020】
上蓋40は、天板42の周端部から垂設された蓋周壁44を有し、この蓋周壁44の下端が、ヒンジ機構12を介して前記装着筒部4の上端部に連結されている。
前記蓋周壁44の内面下端部には、前記係合突条18とかみ合う被係合凹部46が周設されており、係合突条18と被係合凹部46が係合可能に形成されている。
前記天板42の下面からは、前記注出筒部22の上端部内に密嵌させたシール筒部48が垂設されている。
また前記蓋周壁44の下端部には、摘み50がヒンジ機構12と反対側に付設されている。
【0021】
本発明においては、前記隔壁部14の一部(本実施形態では注出筒部22の内側の底壁部分)に、吐出孔形成用の第1除去部24と空気置換孔形成用の第2除去部26とが、相互に区分されて、後述のプルリング30を介して抜栓可能に形成されている。
“相互に区分して”とは、プルリング30を介して抜栓作業を行ったときに、
図5に示すように、相互に独立した吐出孔D及び空気置換孔Eが開口されるように、第1除去部24と第2除去部26とを分離して形成するという程度の意味である。
こうした区分構造を採用しているから、空気置換孔Eは、前述の特許文献2の外気導入用の小孔と異なり、抜栓操作をした後に吐出孔Dと別個に隔壁部14に残る。これにより、空気置換作用が十分に発揮される。
本実施形態では、下面図である
図2に示すように、前記第1除去部24及び第2除去部26の周縁に沿って、それぞれ各除去部を囲む破断線bが隔壁部14の下面に形成されている。図示例の破断線bは肉薄弱化線に形成されているが、その構造は適宜に変更することができる。
【0022】
また前記第1除去部24及び第2除去部26の間には、抜栓後に開口される吐出孔D及び空気置換孔Eを仕切るための仕切り壁部28が形成されている。
仕切り壁部28はヒンジ機構12側に設けられている。
図示例の仕切り壁部28は、
図1、
図4、及び
図5に示すように、周囲の隔壁部分の上面及び下面より垂直方向へ突設されている。
また本実施形態の仕切り壁部28は、
図2に示す如く、垂直方向(上面視)から見て、略V字形に形成されており、V字形の仕切り壁部28の外側の一対の端部29は注出筒部22に連続している。また、この仕切り壁部28の内側の端部(鋭角部)は、前記底壁部20の厚肉の中央部20bを横切るように設けられている。なお、端部29は注出筒部22に近接する位置まで形成されていればよい。
そして、前記仕切り壁部28を介して、空気置換孔Eの両側(
図5に示す第2方向Yの両側)に吐出孔Dが開口するように構成している。
もっともこれらの構造は適宜変更することができる。
【0023】
本実施形態では、前記隔壁部14に、一つの吐出孔形成用の第1除去部24及び一つの空気置換孔形成用の第2除去部26を形成している。もっとも第1除去部24及び第2除去部26の個数は適宜変更することができる。
図示例では、第1除去部24は、抜栓操作後に、
図5に示すように、全体としてY字形の吐出孔Dが形成されるように付形されている。図示の吐出孔Dは、
図5に示す第1方向X(図示例では前後方向)に長い吐出孔本体D1と、この吐出孔本体D1から
延びる、第1方向Xと交差する第2方向Y(図示例では左右方向)に相互に離れた一対の拡張孔部D2とからなる。そして一対の拡張孔部D2の間に、単一の空気置換孔Eが配置されている。
なお、前記吐出孔Dの形状は、適宜変更することができ、例えば後方につき出た2個の突起を有する凹字形にしても構わない。
図示例では、第1除去部24のうちで吐出孔本体に対応する部位(吐出孔本体相当部位24a)は、隔壁部14の中央部20b付近から前方側に形成されており、また拡張孔部D2に対応する部位(拡張孔部対応部位24b)は、中央部20b付近より後側に形成されている。
もっとも第1除去部24及び第2除去部26の形状も適宜変更することができる。
【0024】
前記プルリング30は、第1除去部24及び第2除去部26を抜栓させる役割を有する。
当該プルリング30は、前記役割を果たすため、第1除去部24から起立する第1支柱部32と、第2除去部26から起立する第2支柱部34と、これら第1支柱部32及び第2支柱部34に連設させて配置されたリング体36とを有する。
前記第1支柱部32と第2支柱部34とはヒンジ機構12の側に設けられている。
本実施形態では、第1除去部24から起立する一対の第1支柱部32と、第2除去部26から起立する単一の第2支柱部34とを設けている。前記一対の第1支柱部32は、第1除去部24のうちで各拡張孔部D2に対応する部位24bから起立している。
前記第1支柱部32及び第2支柱部34は、相互に隣接されて立設されており、これら支柱部の上端部を前記リング体36一端部37A(図示例では後端部)に連結させている。
そしてリング体36の他端部37B(図示例では前端部)に指を掛けて、
図4に矢示する如く引き上げることで、前記第1除去部24及び第2除去部26を除去できる。
なお、
図1に示すように、前記他端部37Bの内面には、例えば横リブ状の滑り止め38が付設されている。
また図示例のリング体36は、前記他端部37Bが一端部37Aより高くなるように、一端部37Aから斜め上方へ突設されている。
もっともこれらの構造は適宜変更することができる。
すなわち、リング体36の形態は、引張り操作ができれば、横向き、斜め横向き、階段状、U字状など、その形状を問わない。
前述のプルリング30は、適宜変更することができる。例えばプルリング30は、第1除去部24から起立した単一の第1支柱部32と、第2除去部26から起立する一対の第2支柱部34とを有する構造でもよい。
【0025】
本実施形態では、一対の第1支柱部32は、第2支柱部34よりもプルリング30の他端部37B寄り(図示例では前寄り)に配置されている。
このような配置とする理由は、前記プルリング30の他端部37Bに指を掛けて上方(図示例では前上方)へ引き上げることにより、単一の第2支柱部34の周囲の破断線bが破断する時点と、一対の第1支柱部32の付近の破断線bが破断する時点との間に若干のタイムラグをつくることができるからである。
すなわち、3個の支柱部の回りの破断線bを完全に同時に破断させるよりも、単一の第2支柱部34の周囲の破断線bと、一対の第1支柱部32の付近の破断線bとを、若干の時間差を付けながら順次破断させていく方が、瞬時に必要とされる引張り応力が小さい。
故に、複数の除去部を抜栓することが容易となり、使用感がよい。
好適な図示例では、単一の第2支柱部34の周囲で破断線bが破断した後に、一対の第1支柱部32の付近で破断線bが破断するように構成している。こうすることで、まず空気置換孔Eが開口し、外気が抜栓キャップの内部に入り込んだ後に、吐出孔Dが開口することになる。従って、内容物が飛び散ることを抑制できる。
この段落の説明は、第1除去部から単一の第1支柱部32を、また第2除去部から一対の第2支柱部34をそれぞれ起立した構造に援用する。
【0026】
前記構成において、本発明の抜栓キャップを容器体100の口頸部102に装着し、上蓋40を開蓋させて、前記プルリング30の他端部37Bを摘み、引き上げると、その引張り力が第1支柱部32及び第2支柱部34を介して、第1除去部24及び第2除去部26に伝わり、これら除去部の破断線bが破断する。
これにより、
図5に示すように、吐出孔D及び空気置換孔Eが開放される。
この状態で容器体100を傾けると、容器体100内の液体が吐出孔Dから吐出されるとともに、外気が空気置換孔Eから容器体100内に入る。
これにより、吐出孔Dからの液体の流れが脈動することを防止することができる。故にスムーズな液体の吐出が可能となる。
【0027】
本発明の抜栓キャップを使用するときには、一度の抜栓操作で複数の開孔を前記隔壁部14に形成することができ、これら開孔を吐出孔Dと空気置換孔Eとに分けて、役割分担させることができるので、便利であり、効率良く空気置換作用を実現できる。
また一対の第1支柱部32は、前記第2支柱部34に対して前記第2方向Yの反対側に在り、第2支柱部34よりもプルリング30の他端部37B寄りに配置されているから、第2支柱部34の周囲の破断線bと、第1支柱部32付近の破断線bとを、時間をずらして順次破断させていくことができる。従って、3つの支柱部の近傍の各破断線bを同時に破断させる構造と比較して、抜栓操作に大きな引張り力を必要としない。
【符号の説明】
【0028】
2…キャップ本体 4…装着筒部 6…係合凸部 8…スリット溝
9…弱化部 10…連結部分 11…外周切込み部 12…ヒンジ機構
14…隔壁部 16…フランジ状壁部 18…係合突条
19…嵌合筒部 20…底壁部 20a…縁部 20b…中央部
20c…中間壁部 22…注出筒部
24…第1除去部 24a…吐出孔本体相当部位 24b…拡張孔部相当部位
26…第2除去部 28…仕切り壁部 29…端部
30…プルリング 32…第1支柱部 34…第2支柱部 36…リング体
37A…一端部 37B…他端部 38…滑り止め
40…上蓋 42…天板 44…蓋周壁 46…被係合凹部 48…シール筒部
50…摘み
100…容器体 102…口頸部
b…破断線 D…吐出孔 D1…吐出孔本体 D2…拡張孔部 E…空気置換孔
X…第1方向 Y…第2方向