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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】誘導システム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20240625BHJP
   B66F 9/24 20060101ALI20240625BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20240625BHJP
   G16Y 40/35 20200101ALI20240625BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240625BHJP
【FI】
G01C21/26 Z
B66F9/24 Z
G16Y40/60
G16Y40/35
G16Y10/40
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022127639
(22)【出願日】2022-08-10
(65)【公開番号】P2024024770
(43)【公開日】2024-02-26
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】卯路 彰
【審査官】秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-052629(JP,A)
【文献】特開2020-013429(JP,A)
【文献】特開2020-019371(JP,A)
【文献】特開2017-076084(JP,A)
【文献】特開2017-036102(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0004870(US,A1)
【文献】特開2023-152406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/26
G08G 5/00
B66F 9/24
G16Y 40/60
G16Y 40/35
G16Y 10/40
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホバリング可能な複数の無人飛行体と、
有人搬送車と、
管理装置と、
前記無人飛行体が着地および受電可能な複数の給電部と、を備える誘導システムであって、
前記無人飛行体は、光もしくは画像またはその両方を投影する投影部を有し、
前記管理装置は、
施設マップおよび荷役位置を記憶する記憶部と、
前記有人搬送車の位置と、前記荷役位置と、前記施設マップとに基づいて、前記有人搬送車を前記荷役位置に誘導するためのルートを決定するルート決定部と、
前記決定されたルート上における各前記無人飛行体の配置位置を決定するとともに、役割を終えた前記無人飛行体をいずれの給電部で給電させるのかを決定する配置決定部と、を有し、
前記複数の無人飛行体は、前記配置位置でホバリングしながら光もしくは画像またはその両方を投影して前記有人搬送車を誘導する、誘導システム。
【請求項2】
前記給電部は、前記有人搬送車に設けられており、
前記配置決定部は、前記有人搬送車が荷役作業を完了後に引き続き次の前記荷役位置に移動する場合、誘導を完了した前記無人飛行体を前記有人搬送車に設けられた前記給電部で給電させる、請求項1に記載の誘導システム。
【請求項3】
前記給電部は、前記有人搬送車に複数設けられている、請求項2に記載の誘導システム。
【請求項4】
さらに、棚を備え、
前記給電部は、前記棚に設けられている、請求項1に記載の誘導システム。
【請求項5】
前記配置決定部は、前記有人搬送車が荷役作業を完了後、待機位置に戻る場合、誘導を完了した前記無人飛行体を前記棚に設けられた近くの前記給電部で給電させる、請求項4に記載の誘導システム。
【請求項6】
前記管理装置は、投影制御部をさらに有し、
前記投影制御部は、前記ルート上における屈曲位置、前記荷役位置および他の位置に応じて、光の色または画像の色をそれぞれ異ならせて前記投影部に投影させる、請求項1に記載の誘導システム。
【請求項7】
前記管理装置は、投影制御部をさらに有し、
前記投影制御部は、前記ルート上における屈曲位置、前記荷役位置および他の位置に応じて、光の大きさもしくは画像の大きさ、または光の形状もしくは画像の形状をそれぞれ異ならせて投影部に投影させる、請求項1に記載の誘導システム。
【請求項8】
前記管理装置は、投影制御部をさらに有し、
前記配置決定部は、前記無人飛行体が荷の載置位置の高さに配置されるよう前記配置位置を決定し、
前記投影部は、下方および上方に投影可能に構成されており、
前記投影制御部は、前記載置位置の高さが所定高さ以下のとき、前記投影部に上方に向かって投影させる、請求項1に記載の誘導システム。
【請求項9】
前記管理装置は、投影制御部をさらに有し、
前記投影制御部は、前記有人搬送車と所定の距離内になった前記無人飛行体の投影を停止させ、
前記無人飛行体は、さらに、スピーカを有し、
前記管理装置は、さらに、音声制御部を有し、
前記音声制御部は、投影をしていない前記無人飛行体のスピーカによって、屈曲位置および前記荷役位置のいずれかまたはその両方を報知する、請求項1に記載の誘導システム。
【請求項10】
前記管理装置は、投影制御部をさらに有し、
前記投影制御部は、前記無人飛行体が役割を終えて移動するとき、前記投影部による投影を停止させる、請求項1に記載の誘導システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人飛行体と有人搬送車とを備えた誘導システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場や倉庫内で使用される有人搬送車は、オペレータが操作することで動作するように構成されている。有人搬送車は、例えば、フォークリフトからなる。フォークリフトは、フォークを使って荷役するように構成されている。
【0003】
ところで、ホバリング可能な1つの無人飛行体と、有人搬送車と、無人飛行体を制御する管理装置と、を備えた誘導システムが知られている(特許文献1等参照)。
【0004】
無人飛行体は、路面に対して誘導画像を投影するプロジェクタを備えている。誘導画像は、例えば、特定した方向を指し示す矢印であって、有人搬送車の前方の路面に投影される。これにより、有人搬送車を操作中のオペレータは、誘導画像を確認することで、荷役位置に誘導されるように構成されている。
【0005】
ところで、従来の誘導システムでは、1つの無人飛行体が有人搬送車を誘導するので、有人搬送車を操作するオペレータが荷役位置までの距離および方向等を直感的に認識することが難しいという問題がある。また、無人飛行体を継続して誘導させるために無人飛行体の電力消費を抑制することについては、考慮されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-52629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、無人飛行体を使用して有人搬送車を誘導するとともに、オペレータに荷役位置までの距離および方向等を直感的に認識させることができ、しかも、無人飛行体の電力消費を抑制することができる誘導システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る誘導システムは、
ホバリング可能な複数の無人飛行体と、
有人搬送車と、
管理装置と、
無人飛行体が着地および受電可能な複数の給電部と、を備える誘導システムであって、
無人飛行体は、光もしくは画像またはその両方を投影する投影部を有し、
管理装置は、
施設マップおよび荷役位置を記憶する記憶部と、
有人搬送車の位置と、荷役位置と、施設マップとに基づいて、有人搬送車を荷役位置に誘導するためのルートを決定するルート決定部と、
決定されたルート上における各無人飛行体の配置位置を決定するとともに、役割を終えた無人飛行体をいずれの給電部で給電させるのかを決定する配置決定部と、を有し、
複数の無人飛行体は、配置位置でホバリングしながら光もしくは画像またはその両方を投影して有人搬送車を誘導する、ことを特徴とする。
【0009】
上記誘導システムは、好ましくは、
給電部が、有人搬送車に設けられており、
配置決定部は、有人搬送車が荷役作業を完了後に引き続き次の荷役位置に移動する場合、誘導を完了した無人飛行体を有人搬送車に設けられた給電部で給電させる。
【0010】
上記誘導システムは、好ましくは、
給電部が、有人搬送車に複数設けられている。
【0011】
上記誘導システムは、好ましくは、
さらに、棚を備え、
給電部が、棚に設けられている。
【0012】
上記誘導システムは、好ましくは、
配置決定部が、有人搬送車が荷役作業を完了後、待機位置に戻る場合、誘導を完了した無人飛行体を棚に設けられた近くの給電部で給電させる。
【0013】
上記誘導システムは、好ましくは、
管理装置が、投影制御部をさらに有し、
投影制御部は、ルート上における屈曲位置、荷役位置および他の位置に応じて、光の色または画像の色をそれぞれ異ならせて投影部に投影させる。
【0014】
上記誘導システムは、好ましくは、
管理装置が、投影制御部をさらに有し、
投影制御部は、ルート上における屈曲位置、荷役位置および他の位置に応じて、光の大きさもしくは画像の大きさ、または光の形状もしくは画像の形状をそれぞれ異ならせて投影部に投影させる。
【0015】
上記誘導システムは、好ましくは、
管理装置が、投影制御部をさらに有し、
配置決定部が、無人飛行体が荷の載置位置の高さに配置されるよう配置位置を決定し、投影部は、下方および上方に投影可能に構成されており、
投影制御部は、載置位置の高さが所定高さ以下のとき、投影部に上方に向かって投影させる。
【0016】
上記誘導システムは、好ましくは、
管理装置が、投影制御部をさらに有し、
投影制御部は、有人搬送車と所定の距離内になった無人飛行体の投影を停止させ、
無人飛行体が、さらに、スピーカを有し、
管理装置が、さらに、音声制御部を有し、
音声制御部は、投影をしていない無人飛行体のスピーカによって、屈曲位置および荷役位置のいずれかまたはその両方を報知する。
【0017】
上記誘導システムは、好ましくは、
管理装置が、投影制御部をさらに有し、
投影制御部は、無人飛行体が役割を終えて移動するとき、投影部による投影を停止させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る誘導システムは、オペレータに荷役位置までの距離および方向等を直感的に認識させることができ、しかも、役割を終えた無人飛行体の電力消費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る誘導システムの斜視図である。
図2図1に示された誘導システムを示し、Aは側面図であり、Bは平面図である。
図3図1に示された誘導システムの機能ブロック図である。
図4】有人搬送車の設けられた給電部を示し、Aは側面図であり、Bは平面図である。
図5】配置決定部が無人飛行体を給電部に配置する動作を示すフロー図である。
図6】Aは無人飛行体に投影された光の像の例を示し、Bは無人飛行体に投影された別の光の像の例を示す。
図7】Aは図2Aに示された無人飛行体の高さの別の例を示し、Bは無人飛行体のさらに別の高さの例を示す。
図8】AおよびBは、図2Aに示された無人飛行体の高さのさらに別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明に係る誘導システムの一実施形態について説明する。図1および図2は、本発明の一実施形態に係る誘導システムSを示し、図1は斜視図であり、図2Aは側面図であり、図2Bは平面図である。各図において、X軸およびY軸は水平方向を示し、Z軸は上下方向を示しており、各軸は互いに直交している。また、図3は、誘導システムSの機能ブロック図である。
【0021】
図1に示すように、誘導システムSは、有人搬送車1と、複数の無人飛行体2(2a、2b、2c、2d)と、複数の給電部4と、管理装置5と、を備えている。なお、無人飛行体2は、図中において、実際よりも大きく表示されていることがある。また、図1において無人飛行体2は、9つ示されているが、本発明に係る無人飛行体2の数はこれに限定されない。棚R1には有人搬送車1の搬送対象である荷Wが載置されている。以下では、荷Wが載置されている位置、または、これから荷Wが載置される位置を「載置位置」という。
【0022】
<有人搬送車>
図1に示すように、有人搬送車1は、車体10と、車体10の前方に配置されたフォーク11と、車体10の上方に配置されたヘッドガード12と、を備えている。オペレータOは、荷Wをフォーク11によってすくい上げて搬送する。有人搬送車1は、管理装置5と通信可能に構成されている。
【0023】
図3に示すように、有人搬送車1は、さらに、位置検出部13を備えている。位置検出部13は、有人搬送車1の位置を検出するとともに、検出した有人搬送車1の位置を管理装置5に送信する。
【0024】
有人搬送車1は、オペレータOによって操作されるフォークリフトであるが、単なる一例であって、本発明に係る有人搬送車1はこのフォークリフトに限定されない。有人搬送車1は、例えば、有人無人兼用のフォークリフトであってもよく、この場合、有人搬送車1は、自律して動作する無人モードと、オペレータOの操作によって動作する有人モードとを有する。
【0025】
<無人飛行体>
無人飛行体2は、いわゆるドローンと称される飛行体であって、本体と、本体の四方に配置された4つのプロペラと、プロペラを回転させる動力部(図示略)と、を備えている。
【0026】
図3に示すように、無人飛行体2は、さらに、飛行制御部22と、記憶部23と、投影部24と、スピーカ25と、バッテリ26と、受電部27と、を備えている。無人飛行体2は、管理装置5と通信可能に構成されている。
【0027】
飛行制御部22は、無人飛行体2の位置を公知技術によって検出するとともに、プロペラの回転を制御し、無人飛行体2を管理装置5から受信した配置位置まで飛行させたり、配置位置でホバリングさせたりする。
【0028】
記憶部23は、有人搬送車1を誘導するための誘導画像を記憶している。誘導画像は、図2Bに示すように、有人搬送車1が直進する方向を示す第1画像D1と、有人搬送車1が方向転換する位置(本発明の「屈曲位置」に相当)および走行方向を示す第2画像D2と、荷役位置を示す第3画像D3とを含む。以下では、第1、第2および第3画像D1、D2、D3をまとめて誘導画像Dということがある。本発明における「荷役位置」は、有人搬送車1が停止して荷役をする位置を意味する。
【0029】
第1および第2画像D1、D2の矢印は走行方向を示し、第3画像D3の矢印は載置位置の方向を示している。第1、第2および第3画像D1、D2、D3の形状、大きさおよび色は、それぞれ異なっていることが好ましいが、例えば、形状、大きさおよび色のいずれかが異なっていてもよい。本実施形態に係る第1、第2および第3画像D1、D2、D3は、色違いの円と、円の中に配置された色違いの矢印とによって構成されている。
【0030】
記憶部23は、さらに、オペレータOを誘導するための音声Vを記憶している。音声Vは、「○m」、「先を左折です」、「先、目的地です」、「この先、障害物があります」、「ご注意ください」、「停止してください」等を含む。
【0031】
投影部24は、本実施形態では、プロジェクタによって構成されている。投影部24は、本体の下面に配置されており、図1および図2Aに示すように、誘導画像Dを下方に向かって投影する。投影された誘導画像Dは、図2Bに示すように、路面に表示される。本実施形態では、投影部24は、無人飛行体2の直下に誘導画像Dを投影する。
【0032】
スピーカ25は、本体に配置されており、有人搬送車1(オペレータO)に向かって音声Vを出力する。
【0033】
バッテリ26は、本体に内蔵されており、動力部に電力を供給する。
【0034】
受電部27は、バッテリ26と電気的に連結されており、次に説明する給電部4から受電した電力をバッテリ26に供給する。受電部27の構成は、給電部4の給電方式に基づいて決定され、特に限定されない。例えば、給電方式が接触式の場合、受電部27は、例えば、無人飛行体2の接地部分に設けられた電極を有し、その電極を介して給電部4から受電してもよい。また、給電方式が非接触給電方式の場合、電磁誘導方式、磁界共振方式、磁界結合方式、電界結合方式等といった公知の給電方式が採用され、受電部27は、各給電方式の受電側の構成要素を有する。
【0035】
<給電部>
給電部4は、無人飛行体2が着地可能な着地スペースと、給電要素とを有しており、図1図2および図4に示すように、有人搬送車1のヘッドガード12および棚Rの天板に配置されている。
【0036】
ヘッドガード12に配置された給電部4の給電電力は、有人搬送車1が有するバッテリから供給されてもよいし、給電部4がバッテリをさらに有し、そのバッテリから供給されてもよい。給電部4は、ヘッドガード12上に9つ配置されているが、単なる一例であって、配置される給電部4の数はこれに限定されない。また、給電部4が配置される位置は、有人搬送車1のいずれの部分であってもよく、ヘッドガード12に限定されない。
【0037】
棚Rに配置された給電部4の給電電力は、施設内の電源から供給されてもよいし、給電部4がバッテリを有し、そのバッテリから供給されてもよい。棚Rに配置される給電部4の数は、特に限定されない。例えば、給電部4は、通路に隣接する両側の棚Rのいずれかに配置されてもよいし、棚Rに複数列(複数行)で配置されてもよい。また、給電部4が配置される位置は、棚Rのいずれの部分であってもよく、棚Rの天板に限定されない。
【0038】
給電部4の給電要素は、給電方式に基づいて、構成される。例えば、給電方式が接触式の場合、給電部4は、無人飛行体2が接地する部分に電極を有し、その電極を介して無人飛行体2に給電してもよい。また、給電方式が非接触の給電方式の場合、給電部4は、各給電方式の給電側の構成要素を有する。
【0039】
<管理装置>
管理装置5は、例えば、サーバコンピュータであって、不図示の記憶手段および演算手段を有する。記憶手段には、サーバコンピュータを本実施形態に係る管理装置5として機能させるためのプログラムが記憶されている。
【0040】
図3に示すように、管理装置5は、記憶部50と、ルート決定部51と、配置決定部52と、投影制御部53と、音声制御部54と、を備えている。
【0041】
記憶部50は、施設マップ、荷役位置および載置位置を記憶する。施設マップには、棚Rの位置、棚Rの高さ、通行路の位置、障害物の位置が含まれている。また、施設マップには、通行路の幅も記憶されている。本実施形態では、管理装置5は、複数の有人搬送車1を管理しており、記憶部50は、複数の有人搬送車1に係る荷役スケジュール、荷役位置および載置位置を記憶している。
【0042】
ルート決定部51は、有人搬送車1の位置と、荷役位置と、施設マップとに基づいて、有人搬送車1が荷役位置へと向かうルート(以下、単に「ルート」という)を決定する。ルート決定部51は、例えば、有人搬送車1と荷役位置とを結ぶ最短のルートを決定したり、または、オペレータOの過去の走行ルート、通行路の車幅、通行路の状態(段差など)を考慮してルートを決定したりしてもよい。また、ルート決定部51は、複数の有人搬送車1のルートが重ならないようにルートを決定する。ルート決定部51は、例えば、複数の有人搬送車1が走行する時刻を考慮してルートを決定したり、複数の有人搬送車1の現在位置に基づいて、リアルタイムでルートを更新したりしてもよい。
【0043】
配置決定部52は、決定されたルート上における各無人飛行体2の配置位置を決定する。より詳細には、配置決定部52は、ルート上における屈曲位置、荷役位置上方にそれぞれ無人飛行体2を配置するとともに、その他の位置の上方にも無人飛行体2を配置する。また、配置決定部52は、複数の無人飛行体2間の水平距離Q1およびホバリング高さH(以下、単に「高さH」という)が一定になるよう配置位置を決定する。無人飛行体2の高さHは、オペレータOの前方の視界を遮らないよう、有人搬送車1に乗車したオペレータOの頭部位置よりも高い方が好ましい。無人飛行体2間の水平距離Q1は、例えば、1m~10mの間で固定されていてもよい。本実施形態では、当該水平距離Q1は、5mに構成されている。
【0044】
投影制御部53は、図2Aに示すように、所定の距離Q1をおいて等間隔に配置された無人飛行体2に図2Bに示された第1、第2および第3画像D1、D2、D3を投影させる。これにより、誘導システムSは、誘導画像Dを所定の距離Q2をおいて等間隔で路面に表示させることができる。また、誘導システムSは、当該距離Q2を所定の距離で固定しているので、誘導画像Dの数によって、屈曲位置、荷役位置までの距離をオペレータOに直感的に認識させることができる。
【0045】
投影制御部53は、図2Bに示すように、ルート上における屈曲位置、荷役位置および他の位置に応じて、第1、第2および第3画像D1、D2、D3を投影部24に投影させる。第1、第2および第3画像D1、D2、D3の色は互いに異なっているので、誘導システムSは、各位置で表示された誘導画像Dの色によって、オペレータOに屈曲位置、荷役位置を認識させることができ、単に形状を異ならせた誘導画像Dよりも直感的に各位置を認識させることができる。本実施形態では、各位置に対応する第1、第2および第3画像D1、D2、D3が予め無人飛行体2の記憶部23に記憶されているので、投影制御部53は、屈曲位置、荷役位置および他の位置の上方に配置された無人飛行体2の投影部24を制御して、各位置に対応する誘導画像Dを投影させる。
【0046】
また、投影制御部53は、第1、第2および第3画像D1、D2、D3を走行方向に流れるように周期的に点滅させて、その流れ点滅効果によって有人搬送車1を誘導させてもよい。または、投影制御部53は、第1画像D1のみを流れ点滅させ第2画像D2および第3画像D3は、点灯させておいてもよい。さらに、投影制御部53は、第2および第3画像D2、D3のみを点滅させてもよい。投影制御部53は、このように、第1、第2および第3画像D1、D2、D3全体を特定のパターンで点滅させたり、第1、第2および第3画像D1、D2、D3をそれぞれ異なるパターンで点灯、点滅させたりすることにより、オペレータOに直感的にルートの方向、各位置関係等を認識させることができる。
【0047】
また、投影制御部53は、有人搬送車1の前方数メートルの位置において画像なしスペースQ3を設け、その画像なしスペースQ3上方の無人飛行体2aに投影させない。これは、オペレータOの視線が下方に集中し、オペレータOが前方を認識できなくなることを防止するためである。すなわち、投影制御部53は、画像なしスペースQ3を設けることにより、オペレータOの視線を前方に向かせ、運転中の安全性を向上させる。なお、有人搬送車1が移動することにより画像なしスペースQ3もそれに伴って移動するので、投影制御部53は、画像なしスペースQ3上方内に位置することになった無人飛行体2の投影をさらに停止させる。
【0048】
音声制御部54は、画像なしスペースQ3の上方に配置された無人飛行体2のスピーカ25を制御して、屈曲位置および荷役位置のいずれかまたは両方ならびにその他の情報を、オペレータOに報知させる。報知させる音声Vは、例えば、「15m先を左折です」、「30m先、目的地です」、「この先、障害物があります。ご注意ください」などでもよい。当該音声Vは、記憶部23に記憶されている「○m」、「先を左折です」、「先、目的地です」、「この先、障害物があります。」、「ご注意ください」などを適宜組み合わされ生成されてもよい。誘導システムSは、これら音声Vによる報知によって、オペレータOにさらに直感的に屈曲位置、荷役位置などを認識させることができる。
【0049】
図1を参照して、配置決定部52によって配置された各無人飛行体2の役割について改めて説明する。有人搬送車1の前方2つの無人飛行体2aは、誘導画像Dを投影せず、音声Vによって有人搬送車1を誘導する。無人飛行体2と屈曲位置との間、および屈曲位置と荷役位置との間に配置された無人飛行体2bは、第1画像D1を投影し、有人搬送車1を誘導する。そして、屈曲位置、荷役位置にそれぞれ配置された無人飛行体2c、2dは、第2および第3画像D2、D3を投影し屈曲位置および荷役位置をそれぞれ示して、有人搬送車1を誘導する。
【0050】
これにより、誘導システムSは、荷役位置までの距離および方向等をオペレータOに直感的に認識させることができる。しかも、誘導システムSは、無人飛行体2を固定距離Q1ごとに配置し、それによって誘導画像Dを固定距離Q2ごとに路面に表示させるので、オペレータOの視認性を向上させることができる。
【0051】
次に、図5を参照して、配置決定部52が無人飛行体2を給電部4に配置する動作について説明する。配置決定部52は、役割を終えた無人飛行体2の電力消費を抑制するために、いずれの給電部4で当該無人飛行体2を給電させるのかを決定する。
【0052】
(1)まず、配置決定部52は、有人搬送車1を誘導する動作として、無人飛行体2の配置位置を決定し、無人飛行体2が配置位置に配置され有人搬送車1を誘導する。
【0053】
(2)次いで、配置決定部52は、無人飛行体2が誘導の役割を完了したか否かを判定する。具体的には、配置決定部52は、有人搬送車1が無人飛行体2aの下方を通過すると、当該無人飛行体2aを先頭に配置するが(すなわち、図5のS2のNoのフロー)、配置すべき位置がない場合(すなわち、先頭の無人飛行体2が荷役位置を示す無人飛行体2dである場合)、当該無人飛行体2aが誘導の役割を完了したと判定する(図5のS2のYes)。
【0054】
(3)次いで、配置決定部52は、荷役スケジュールを参照して、有人搬送車1が引き続き次の荷役位置に移動するのか、それとも待機位置に戻るのかを判定する(図5のS3)。
【0055】
(4)次いで、配置決定部52は、有人搬送車1が次の荷役位置に移動する場合(図5のS3のYes)、有人搬送車1に配置された給電部4に空きがあるか否かを判定する(図5のS4)。
【0056】
(5)次いで、配置決定部52は、有人搬送車1の給電部4に空きがあるとき(図5のS4のYes)、無人飛行体2を有人搬送車1に配置された給電部4に配置しこの給電部4で給電させる(図5のS5)。
【0057】
(6)配置決定部52は、有人搬送車1に次の荷役がないとき(図5のS3のNo)、または有人搬送車1の給電部4に空きがないとき(図5のS4のNo)、無人飛行体2を棚Rに配置された最短距離にある給電部4に配置しこの給電部4で給電させる(図5のS6)。
【0058】
これにより、誘導システムSは、役割を終えた無人飛行体2を有人搬送車1の給電部4で給電させることにより、無人飛行体2を遠くの給電部4に移動させることがないので、無人飛行体2の電力消費を抑制することができる。しかも、誘導システムSは、有人搬送車1が荷役位置で荷役作業を完了し次の荷役位置に向かうとき、有人搬送車1の給電部4で給電した無人飛行体2を素早く次の誘導位置(有人搬送車1の前方)に配置させることもできる。
【0059】
加えて、誘導システムSは、無人飛行体2を待機位置に戻る有人搬送車1で給電させず棚Rに配置された近くの給電部4で給電させることにより、他の有人搬送車1を誘導させるときに備えて、無人飛行体2を素早く給電させることができる。
【0060】
以上、本発明の一実施形態に係る誘導システムSについて説明してきたが、本発明に係る誘導システムSは、上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態は、以下のように変形してもよく、また、以下変形例と組み合わせて実施してもよい。
【0061】
(1)誘導システムSは、図6Aおよび図6Bに示すように、第1、第2および第3画像D1、D2、D3の代わりに単純な丸い光の像D4、D5、D6や矢印の光の像D7、D8、D9を誘導画像Dとして、無人飛行体2に投影させてもよい。この場合、誘導システムSは、図6Aおよび図6Bに示すように、ルート上における屈曲位置、荷役位置および他の位置に応じて、当該光の像の大きさ、色および形状をそれぞれ異ならせてもよい。図6Aおよび図6Bにおいて、光の像D4、D7は走行方向を示し、光の像D5、D8は屈曲位置と走行方向を示し、光の像D6、D9は荷役位置と載置位置とをそれぞれ示している。
【0062】
(2)誘導システムSは、例えば、図7Aに示すように、無人飛行体2を載置位置の高さに配置してもよい。この場合、配置決定部52は、無人飛行体2が載置位置の高さに配置されるよう配置位置を決定する。または、誘導システムSは、例えば、図7Bに示すように、無人飛行体2を有人搬送車1に乗車したオペレータOの顔の高さと載置位置の高さとを結ぶ直線Lに沿って配置してもよい。この場合、配置決定部52は、無人飛行体2を直線Lに沿う高さに配置されるよう配置位置を決定する。これらのように無人飛行体2を配置することにより、誘導システムSは、載置位置の高さもオペレータOに直感的に認識させることができる。
【0063】
なお、誘導システムSは、このように無人飛行体2の位置を配置した場合、載置位置が低い位置のとき、無人飛行体2によって誘導画像Dが遮られ、誘導画像DをオペレータOに認識させることができない。そこで、誘導システムSは、無人飛行体2の投影部24を下方および上方に誘導画像Dを投影可能に構成され、載置位置の高さが所定高さ以下のとき、投影制御部53によって投影部24を制御して、図8Aに示すように、天井に向かって誘導画像Dを投影させるよう構成されてもよい。所定高さは、例えば、0.5m~1mとしてもよい。この場合、オペレータOは、天井に投影された誘導画像Dによってルートの方向、屈曲位置、荷役位置を認識するとともに、無人飛行体2の高さHによって載置位置の高さを認識することができる。
【0064】
さらに、誘導システムSは、オペレータOの視線が上方に向かい前方を認識できなくなることを防止するために、天井に向かって投影させるとき、図8Bに示すように、画像なしスペースQ3の距離をさらに長く設定してもよい。この場合、例えば、オペレータOの視線の角度を認識する視線認識部をさらに備え、投影制御部53は、オペレータOの視線の角度に基づいて画像なしスペースQ3の距離を調整するよう構成してもよい。視線認識部は、カメラを有し、当該カメラは、例えば、無人飛行体2、有人搬送車1または棚R等に配置されてもよい。また、投影制御部53は、投影対象に応じて、光もしくは画像またはその両方の大きさ、または光もしくは画像またはその両方の形状を決定する。すなわち、投影制御部53は、天井に投影させる誘導画像Dの大きさ、形状を路面に投影させるときと異ならせてもよい。
【0065】
(3)誘導システムSは、有人搬送車1の位置を施設内に設けられたカメラや無人飛行体2に設けたカメラによって認識してもよい。この場合、有人搬送車1は、位置認識部を備えなくてもよい。
【0066】
(4)誘導システムSは、誘導画像Dを、例えば、第1画像D1のみで構成し、屈曲位置および荷役位置に投影された第1画像D1を点滅させることによりオペレータOに屈曲位置および荷役位置を認識させてもよい。さらに誘導システムSは、スピーカ25が発する音声Vをブザー、チャイム等によって構成し、その音声Vによって屈曲位置および荷役位置をオペレータOに報知してもよい。
【0067】
(5)誘導システムSは、給電部4を施設内のその他の位置に設けてもよい。この場合、配置決定部52は、有人搬送車1の次の荷役が予定されていないとき、役割を終えた無人飛行体2を近くの給電部4で給電させてもよく、必ずしも、棚Rに設けられた給電部4で給電させなくてもよい。
【0068】
(6)投影制御部53は、画像なしスペースQ3を必ずしも設けなくてもよい。この場合、投影制御部53は、無人飛行体2が役割を終えて移動するとき、投影部24による投影を停止させる。これにより、誘導システムSは、無人飛行体2が役割を終え給電部4に移動するとき、他の無人飛行体2による誘導を阻害しオペレータOを混乱させることを防止することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 有人搬送車
10 車体
11 フォーク
12 ヘッドガード
13 位置検出部
2 無人飛行体
22 飛行制御部
23 記憶部
24 投影部
25 スピーカ
26 バッテリ
27 受電部
4 給電部
5 管理装置
50 記憶部
51 ルート決定部
52 配置決定部
53 投影制御部
54 音声制御部
D1 第1画像
D2 第2画像
D3 第3画像
H ホバリング高さ
L 直線
O オペレータ
Q1 無人飛行体間の水平距離
Q2 誘導画像間の距離
Q3 画像なしスペース
R 棚
S 誘導システム
V 音声
W 荷
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8