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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20240625BHJP
   H01C 7/00 20060101ALI20240625BHJP
   H01C 7/02 20060101ALI20240625BHJP
   H01C 7/04 20060101ALI20240625BHJP
   H01C 7/10 20060101ALI20240625BHJP
   H01C 7/13 20060101ALI20240625BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
H01G4/30 513
H01G4/30 201F
H01G4/30 541
H01C7/00 110
H01C7/02
H01C7/04
H01C7/10
H01C7/13
H01F27/29 123
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018244483
(22)【出願日】2018-12-27
(65)【公開番号】P2020107705
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-07-21
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 伸也
(72)【発明者】
【氏名】田村 健寿
(72)【発明者】
【氏名】武田 篤史
(72)【発明者】
【氏名】永井 佑一
【合議体】
【審判長】篠原 功一
【審判官】井上 信一
【審判官】山本 章裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-158662(JP,A)
【文献】特開2015-26816(JP,A)
【文献】特開2014-3048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
素体と、前記素体に配置されている外部電極と、を備え、
前記外部電極は、導電性樹脂層と、前記外部電極の最外層を構成するはんだめっき層と、前記導電性樹脂層と前記はんだめっき層との間に位置していると共に前記導電性樹脂層に含まれる金属よりも耐はんだ喰われ性に優れた中間めっき層と、を有し、
前記中間めっき層には、開口が形成されており、
前記はんだめっき層は、前記開口を通して、前記導電性樹脂層上に形成されている、電子部品。
【請求項2】
前記開口の内径は、1~40μmである、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記開口は、前記導電性樹脂層内と連通している、請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記開口は、前記導電性樹脂層内に存在している複数の空隙と連通している、請求項3に記載の電子部品。
【請求項5】
素体と、前記素体に配置されている外部電極と、を備え、
前記外部電極は、導電性樹脂層と、前記導電性樹脂層上に配置されていると共に開口が形成されているめっき層と、を有し、
前記めっき層は、前記外部電極の最外層を構成するはんだめっき層と、前記導電性樹脂層と前記はんだめっき層との間に位置していると共に前記導電性樹脂層に含まれる金属よりも耐はんだ喰われ性に優れた中間めっき層と、を含み、
前記開口は、前記はんだめっき層及び前記中間めっき層の同じ位置に形成されており、
前記導電性樹脂層は、前記開口に露出することで前記外部電極の外に露出し、
前記はんだめっき層は、前記開口の位置において、前記導電性樹脂層と接している、電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
素体と、素体に配置されている外部電極と、を備えている電子部品が知られている(たとえば、特許文献1参照)。外部電極は、導電性樹脂層と、外部電極の最外層を構成するはんだめっき層と、導電性樹脂層とはんだめっき層との間に位置している中間めっき層と、を有している。中間めっき層は、導電性樹脂層に含まれる金属よりも耐はんだ喰われ性に優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-144665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
導電性樹脂層は、一般に、下地上に形成されており、樹脂と、導電性を有する金属粒子とを含んでいる。下地は、たとえば、焼結金属層又は素体を含む。樹脂は、水分を吸収する傾向にある。電子部品が電子機器にはんだ実装される場合、樹脂に吸収された水分がガス化して、体積膨張することがある。電子機器は、たとえば、回路基板又は電子部品を含む。この場合、導電性樹脂層に応力が作用して、導電性樹脂層が下地から剥離するおそれがある。
【0005】
本発明の態様は、導電性樹脂層の剥離を抑制する電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様に係る電子部品は、素体と、素体に配置されている外部電極と、を備えている。外部電極は、導電性樹脂層と、外部電極の最外層を構成するはんだめっき層と、導電性樹脂層とはんだめっき層との間に位置している中間めっき層と、を有している。中間めっき層は、導電性樹脂層に含まれる金属よりも耐はんだ喰われ性に優れている。中間めっき層には、開口が形成されている。はんだめっき層は、開口を通して、導電性樹脂層上に形成されている。
【0007】
上記一つの態様では、外部電極は、はんだめっき層を有している。したがって、上記一つの態様は、電子機器へのはんだ実装が可能である。中間めっき層は、電子部品がはんだ実装される際に、はんだ喰われが生じるのを抑制する。
電子部品がはんだ実装される際に、はんだめっき層は、はんだに溶融する。したがって、はんだ実装の際に、樹脂に吸収された水分がガス化した場合でも、水分から発生したガスは、導電性樹脂層から開口を通して外部電極外に移動して、導電性樹脂層に応力が作用しがたい。この結果、上記一つの態様は、導電性樹脂層の剥離を抑制する。
【0008】
上記一つの態様では、開口の内径は、1~40μmであってもよい。
開口の内径が1μmより小さい場合、水分から発生したガスが開口内を移動しがたくなるおそれがある。開口の内径が40μmより大きい場合、導電性樹脂層が中間めっき層から露出する領域が増加して、はんだ喰われが生じるのを抑制しがたくなるおそれがある。したがって、本構成は、はんだ喰われが生じるのを確実に抑制しつつ、開口を通したガスの移動が阻害されるのを抑制する。
【0009】
上記一つの態様では、1mmあたりの開口の数は、0.1~10であってもよい。
1mmあたりの開口の数が0.1より小さい場合、水分から発生したガスが外部電極外に移動しがたくなるおそれがある。1mmあたりの開口の数が10より大きい場合、導電性樹脂層が中間めっき層から露出する領域が増加して、はんだ喰われが生じるのを抑制しがたくなるおそれがある。したがって、本構成は、はんだ喰われが生じるのを確実に抑制しつつ、ガスの外部電極外への移動が阻害されるのを抑制する。
【0010】
上記一つの態様では、開口は、導電性樹脂層内と連通していてもよい。この場合、導電性樹脂層内で水分から発生したガスが、外部電極外に効率よく移動する。したがって、導電性樹脂層に応力がより一層作用しがたい。
【0011】
上記一つの態様では、開口は、導電性樹脂層内に存在している複数の空隙と連通していてもよい。この場合、導電性樹脂層内で水分から発生したガスが、外部電極外により一層効率よく移動する。
【0012】
上記一つの態様では、素体は、直方体形状を呈していてもよく、素体の長手方向で対向している一対の端面と、一対の端面と隣り合っている側面と、を有していてもよい。導電性樹脂層は、端面上に位置している第一部分と、側面上に位置している第二部分と、を有していてもよい。第一部分での空隙の存在割合は、第二部分での空隙の存在割合より大きくてもよい。
導電性樹脂層内で水分から発生したガスが、中間めっき層の、第二部分上に位置している部分に形成されている開口を通して、外部電極外に移動する場合、外部電極からのガスの噴出により、はんだ実装の際に電子部品の姿勢が変化するおそれがある。電子部品の姿勢が変化した場合、電子部品の実装不良が生じるおそれがある。
第一部分での空隙の存在割合が、第二部分での空隙の存在割合より大きい場合、導電性樹脂層内で水分から発生したガスは、中間めっき層の、第一部分上に位置している部分に形成されている開口を通して、外部電極外に移動しやすい。すなわち、ガスは、中間めっき層の、第二部分上に位置している部分に形成されている開口から、移動しがたい。したがって、本構成では、ガスは、主として、中間めっき層の、第一部分上に位置している部分に形成されている開口を通して、移動する。この結果、本構成は、電子部品の実装不良が生じるのを抑制する。
【0013】
別の態様に係る電子部品は、素体と、素体に配置されている外部電極と、を備えている。外部電極は、導電性樹脂層と、導電性樹脂層上に配置されていると共に開口が形成されているめっき層と、を有している。導電性樹脂層は、開口に露出している。
【0014】
上記別の態様では、はんだ実装の際に、樹脂に吸収された水分がガス化した場合でも、水分から発生したガスは、導電性樹脂層から開口を通して外部電極外に移動して、導電性樹脂層に応力が作用しがたい。この結果、上記別の態様は、導電性樹脂層の剥離を抑制する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の各態様によれば、導電性樹脂層の剥離を抑制する電子部品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態に係る積層コンデンサの斜視図である。
図2】本実施形態に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図3】本実施形態に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図4】本実施形態に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図5】本実施形態に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。
図6】外部電極の断面構成を示す図である。
図7】外部電極の断面構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0018】
図1図5を参照して、本実施形態に係る積層コンデンサC1の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る積層コンデンサの斜視図である。図2図3図4、及び図5は、本実施形態に係る積層コンデンサの断面構成を示す図である。本実施形態では、電子部品は、たとえば、積層コンデンサC1である。
【0019】
積層コンデンサC1は、図1に示されるように、直方体形状を呈している素体3と、複数の外部電極5と、を備えている。本実施形態では、積層コンデンサC1は、一対の外部電極5を備えている。一対の外部電極5は、素体3の外表面に配置されている。一対の外部電極5は、互いに離間している。直方体形状は、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、及び、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状を含む。
【0020】
素体3は、互いに対向している一対の主面3a,3bと、互いに対向している一対の側面3cと、互いに対向している一対の端面3eと、を有している。一対の主面3a,3b、一対の側面3c、及一対の端面3eは、長方形状を呈している。一対の主面3a,3bが対向している方向が、第一方向D1である。一対の側面3cが対向している方向が、第二方向D2である。一対の端面3eが対向している方向が、第三方向D3である。積層コンデンサC1は、電子機器にはんだ実装される。電子機器は、たとえば、回路基板又は電子部品を含む。積層コンデンサC1では、主面3aが、電子機器と対向する。主面3aは、実装面を構成するように配置される。主面3aは、実装面である。主面3bが、実装面を構成するように配置されてもよい。この場合、主面3bが、実装面である。
【0021】
第一方向D1は、各主面3a,3bに直交する方向であり、第二方向D2と直交している。第三方向D3は、各主面3a,3bと各側面3cとに平行な方向であり、第一方向D1と第二方向D2とに直交している。第二方向D2は、各側面3cに直交する方向であり、第三方向D3は、各端面3eに直交する方向である。本実施形態では、素体3の第二方向D2での長さは、素体3の第一方向D1での長さより大きい。素体3の第三方向D3での長さは、素体3の第一方向D1での長さより大きく、かつ、素体3の第二方向D2での長さより大きい。第三方向D3が、素体3の長手方向である。
【0022】
一対の側面3cは、一対の主面3a,3bを連結するように第一方向D1に延在している。一対の側面3cは、第三方向D3にも延在している。一対の端面3eは、一対の主面3a,3bを連結するように第一方向D1に延在している。一対の端面3eは、第二方向D2にも延在している。
【0023】
素体3は、一対の稜線部3gと、一対の稜線部3hと、四つの稜線部3iと、一対の稜線部3jと、一対の稜線部3kと、を有している。稜線部3gは、端面3eと主面3aとの間に位置している。稜線部3hは、端面3eと主面3bとの間に位置している。稜線部3iは、端面3eと側面3cとの間に位置している。稜線部3jは、主面3aと側面3cとの間に位置している。稜線部3kは、主面3bと側面3cとの間に位置している。本実施形態では、各稜線部3g,3h,3i,3j,3kは、湾曲するように丸められている。素体3には、いわゆるR面取り加工が施されている。
【0024】
端面3eと主面3aとは、稜線部3gを介して、間接的に隣り合っている。端面3eと主面3bとは、稜線部3hを介して、間接的に隣り合っている。端面3eと側面3cとは、稜線部3iを介して、間接的に隣り合っている。主面3aと側面3cとは、稜線部3jを介して、間接的に隣り合っている。主面3bと側面3cとは、稜線部3kを介して、間接的に隣り合っている。
【0025】
素体3は、第一方向D1に複数の誘電体層が積層されて構成されている。素体3は、積層されている複数の誘電体層を有している。素体3では、複数の誘電体層の積層方向が第一方向D1と一致する。各誘電体層は、たとえば、誘電体材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成されている。誘電体材料は、たとえば、BaTiO系、Ba(Ti,Zr)O系、又は(Ba,Ca)TiO系などの誘電体セラミックを含む。実際の素体3では、各誘電体層は、各誘電体層の間の境界が視認できない程度に一体化されている。素体3では、複数の誘電体層の積層方向が第二方向D2と一致していてもよい。
【0026】
積層コンデンサC1は、図2図5に示されるように、複数の内部電極7と複数の内部電極9とを備えている。各内部電極7,9は、素体3内に配置されている内部導体である。各内部電極7,9は、積層型電子部品の内部電極として通常用いられる導電性材料からなる。導電性材料は、たとえば、卑金属を含む。導電性材料は、たとえば、Ni又はCuを含む。内部電極7,9は、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。本実施形態では、内部電極7,9は、Niからなる。
【0027】
内部電極7と内部電極9とは、第一方向D1において異なる位置(層)に配置されている。内部電極7と内部電極9とは、素体3内において、第一方向D1に間隔を有して対向するように交互に配置されている。内部電極7と内部電極9とは、互いに極性が異なる。複数の誘電体層の積層方向が第二方向D2である場合、内部電極7と内部電極9とは、第二方向D2において異なる位置(層)に配置される。内部電極7,9の一端は、対応する端面3eに露出している。内部電極7,9は、対応する端面3eに露出している一端を有している。
【0028】
複数の内部電極7と複数の内部電極9とは、第一方向D1で交互に並んでいる。各内部電極7,9は、各主面3a,3bと略平行な面内に位置している。内部電極7と内部電極9とは、第一方向D1で互いに対向している。内部電極7と内部電極9とが対向している方向(第一方向D1)は、各主面3a,3bと平行な方向(第二方向D2及び第三方向D3)と直交している。複数の誘電体層の積層方向が第二方向D2である場合、複数の内部電極7と複数の内部電極9とは、第二方向D2で交互に並ぶ。この場合、各内部電極7,9は、各主面3a,3bと略直交している面内に位置する。内部電極7と内部電極9とは、第二方向D2で互いに対向する。
【0029】
外部電極5は、図1に示されるように、素体3の第三方向D3での両端部にそれぞれ配置されている。各外部電極5は、素体3における、対応する端面3e側に配置されている。外部電極5は、少なくとも端面3eに配置されている。外部電極5は、図2図5に示されるように、複数の電極部5a,5b,5c,5eを有している。電極部5aは、主面3a上及び稜線部3g上に配置されている。電極部5bは、主面3b上及び稜線部3h上に配置されている。各電極部5cは、側面3c上及び稜線部3i上に配置されている。電極部5eは、端面3e上に配置されている。外部電極5は、稜線部3j上に配置されている電極部も有している。外部電極5は、少なくとも端面3eに配置されている。
【0030】
外部電極5は、一対の主面3a,3b、一つの端面3e、及び一対の側面3cの五つの面、並びに、稜線部3g,3h,3i,3jに形成されている。互いに隣り合う電極部5a,5b,5c,5eは、接続されており、電気的に接続されている。電極部5eは、対応する内部電極7,9の一端をすべて覆っている。電極部5eは、対応する内部電極7,9と直接的に接続されている。外部電極5は、対応する内部電極7,9と電気的に接続されている。外部電極5は、図2図5に示されるように、第一電極層E1、第二電極層E2、第三電極層E3、及び第四電極層E4を有している。第四電極層E4は、外部電極5の最外層を構成している。各電極部5a,5b,5c,5eは、第一電極層E1、第二電極層E2、第三電極層E3、及び第四電極層E4を有している。
【0031】
電極部5aの第一電極層E1は、稜線部3g上に配置されており、主面3a上には配置されていない。電極部5aの第一電極層E1は、稜線部3gの全体を覆うように形成されている。第一電極層E1は、主面3aに形成されていない。電極部5aの第一電極層E1は、稜線部3gの全体と接している。主面3aは、第一電極層E1に覆われておらず、第一電極層E1から露出している。電極部5aの第一電極層E1は、主面3a上に配置されていてもよい。この場合、電極部5aの第一電極層E1は、主面3aの一部と稜線部3gの全体とを覆うように形成される。すなわち、電極部5aの第一電極層E1は、主面3aの一部とも接する。主面3aの一部は、たとえば、主面3aにおける端面3e寄りの一部領域である。
【0032】
電極部5aの第二電極層E2は、第一電極層E1上及び主面3a上に配置されている。電極部5aでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の全体を覆っている。電極部5aでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の全体と接している。第二電極層E2は、主面3aの一部と接している。主面3aの一部は、たとえば、主面3aにおける端面3e寄りの一部領域である。電極部5aは、稜線部3g上では四層構造を有しており、主面3a上では三層構造を有している。電極部5aの第二電極層E2は、稜線部3gの全体と主面3aの一部とを覆うように形成されている。上述したように、主面3aの一部は、たとえば、主面3aにおける端面3e寄りの一部領域である。電極部5aの第二電極層E2は、第一電極層E1が第二電極層E2と素体3との間に位置するように、稜線部3gの全体と主面3aの一部とを間接的に覆っている。電極部5aの第二電極層E2は、主面3aの一部を直接覆っている。電極部5aの第二電極層E2は、稜線部3gに形成されている第一電極層E1の全体を直接覆っている。電極部5aの第一電極層E1が、主面3a上に配置されている場合、電極部5aは、主面3a及び稜線部3g上で四層構造を有する。
【0033】
電極部5bの第一電極層E1は、稜線部3h上に配置されており、主面3b上には配置されていない。電極部5bの第一電極層E1は、稜線部3hの全体を覆うように形成されている。第一電極層E1は、主面3bに形成されていない。電極部5bの第一電極層E1は、稜線部3hの全体と接している。主面3bは、第一電極層E1に覆われておらず、第一電極層E1から露出している。電極部5bの第一電極層E1は、主面3b上に配置されていてもよい。この場合、電極部5bの第一電極層E1は、主面3bの一部と稜線部3hの全体とを覆うように形成される。すなわち、電極部5bの第一電極層E1は、主面3bの一部とも接する。主面3bの一部は、たとえば、主面3bにおける端面3e寄りの一部領域である。
【0034】
電極部5bの第二電極層E2は、第一電極層E1上及び主面3b上に配置されている。電極部5bでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の全体を覆っている。電極部5bでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の全体と接している。第二電極層E2は、主面3bの一部と接している。主面3bの一部は、たとえば、主面3bにおける端面3e寄りの一部領域である。電極部5bは、稜線部3h上では四層構造を有しており、主面3b上では三層構造を有している。電極部5bの第二電極層E2は、稜線部3hの全体と主面3bの一部とを覆うように形成されている。上述したように、主面3bの一部は、たとえば、主面3bにおける端面3e寄りの一部領域である。電極部5bの第二電極層E2は、第一電極層E1が第二電極層E2と素体3との間に位置するように、稜線部3hの全体と主面3bの一部とを間接的に覆っている。電極部5bの第二電極層E2は、主面3bの一部を直接覆っている。電極部5bの第二電極層E2は、稜線部3hに形成されている第一電極層E1の全体を直接覆っている。電極部5bの第一電極層E1が、主面3b上に配置されている場合、電極部5bは、主面3b及び稜線部3h上で四層構造を有する。
【0035】
電極部5cの第一電極層E1は、稜線部3i上に配置されており、側面3c上には配置されていない。電極部5cの第一電極層E1は、稜線部3iの全体を覆うように形成されている。第一電極層E1は、側面3cに形成されていない。電極部5cの第一電極層E1は、稜線部3iの全体と接している。側面3cは、第一電極層E1に覆われておらず、第一電極層E1から露出している。電極部5cの第一電極層E1は、側面3c上に配置されていてもよい。この場合、電極部5cの第一電極層E1は、側面3cの一部と稜線部3iの全体とを覆うように形成される。すなわち、電極部5cの第一電極層E1は、側面3cの一部とも接する。側面3cの一部は、たとえば、側面3cにおける端面3e寄りの一部領域である。
【0036】
電極部5cの第二電極層E2は、第一電極層E1上及び側面3c上に配置されている。電極部5cでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の全体を覆っている。電極部5cでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の全体と接している。第二電極層E2は、側面3cの一部と接している。側面3cの一部は、たとえば、側面3cにおける端面3e寄りの一部領域である。電極部5cは、稜線部3i上では四層構造を有しており、側面3c上では三層構造を有している。電極部5cの第二電極層E2は、稜線部3iの全体と側面3cの一部とを覆うように形成されている。上述したように、側面3cの一部は、たとえば、側面3cにおける端面3e寄りの一部領域である。電極部5cの第二電極層E2は、第一電極層E1が第二電極層E2と素体3との間に位置するように、稜線部3iの全体と側面3cの一部とを間接的に覆っている。電極部5cの第二電極層E2は、側面3cの一部を直接覆っている。電極部5cの第二電極層E2は、稜線部3iに形成されている第一電極層E1の全体を直接覆っている。電極部5cの第一電極層E1が、側面3c上に配置されている場合、電極部5cは、側面3c上及び稜線部3i上で四層構造を有する。
【0037】
電極部5cの第二電極層E2は、稜線部3iの一部と側面3cの一部とを覆うように形成されていてもよい。稜線部3iの一部は、たとえば、稜線部3iにおける主面3a寄りの一部領域である。側面3cの一部は、たとえば、側面3cにおける主面3a及び端面3e寄りの角領域である。この場合、電極部5cの第二電極層E2は、第一電極層E1が第二電極層E2と稜線部3iとの間に位置するように、稜線部3iの一部を間接的に覆う。電極部5cの第二電極層E2は、側面3cの一部を直接覆う。電極部5cの第二電極層E2は、第一電極層E1における稜線部3iに形成されている部分の一部を直接覆う。すなわち、電極部5cは、第一電極層E1が第二電極層E2から露出している領域と、第一電極層E1が第二電極層E2で覆われている領域と、を有する。電極部5cの第二電極層E2が、稜線部3iの一部と側面3cの一部とを覆うように形成されている場合、上述したように、内部電極7と内部電極9とは、第二方向D2において異なる位置(層)に配置されていてもよい。
【0038】
電極部5eの第一電極層E1は、端面3e上に配置されている。端面3eの全体が、第一電極層E1に覆われている。電極部5eの第一電極層E1は、端面3eの全体と接している。電極部5eの第二電極層E2は、第一電極層E1上に配置されている。電極部5eでは、第二電極層E2は、第一電極層E1の全体と接している。電極部5eの第二電極層E2は、端面3eの全体を覆うように形成されている。電極部5eの第二電極層E2は、第一電極層E1が第二電極層E2と端面3eとの間に位置するように、端面3eの全体を間接的に覆っている。電極部5eの第二電極層E2は、第一電極層E1の全体を直接覆っている。電極部5eでは、第一電極層E1は、対応する内部電極7,9の一端と接続されるように端面3eに形成されている。
【0039】
電極部5eの第二電極層E2は、端面3eの一部を覆うように形成されていてもよい。端面3eの一部は、たとえば、端面3eにおける主面3a寄りの一部領域である。この場合、電極部5eの第二電極層E2は、第一電極層E1が第二電極層E2と端面3eとの間に位置するように、端面3eの一部を間接的に覆う。電極部5eの第二電極層E2は、第一電極層E1における端面3eに形成されている部分の一部を直接覆う。すなわち、電極部5eは、第一電極層E1が第二電極層E2から露出している領域と、第一電極層E1が第二電極層E2で覆われている領域と、を有する。電極部5cの第二電極層E2が、端面3eの一部を覆うように形成されている場合、上述したように、内部電極7と内部電極9とは、第二方向D2において異なる位置(層)に配置されていてもよい。
【0040】
第一電極層E1は、素体3の表面に付与された導電性ペーストを焼き付けることにより形成されている。第一電極層E1は、一つの端面3e及び稜線部3g,3h,3i,3jを覆うように形成されている。第一電極層E1は、導電性ペーストに含まれる金属成分(金属粉末)が焼結することにより形成されている。第一電極層E1は、焼結金属層である。第一電極層E1は、素体3に形成された焼結金属層である。本実施形態では、第一電極層E1は、Cuからなる焼結金属層である。第一電極層E1は、Niからなる焼結金属層であってもよい。第一電極層E1は、卑金属を含んでいる。導電性ペーストは、たとえば、Cu又はNiからなる粉末、ガラス成分、有機バインダ、及び有機溶剤を含んでいる。各電極部5a,5b,5c,5eが有している第一電極層E1は、一体的に形成されている。
【0041】
第二電極層E2は、第一電極層E1上に付与された導電性樹脂を硬化させることにより形成されている。第二電極層E2は、第一電極層E1上と素体3上とにわたって形成されている。第一電極層E1は、第二電極層E2を形成するための下地金属層である。第二電極層E2は、第一電極層E1を覆う導電性樹脂層である。導電性樹脂は、たとえば、樹脂、導電性材料、及び有機溶媒を含んでいる。樹脂は、たとえば、熱硬化性樹脂である。導電性材料は、たとえば、金属粉末である。金属粉末は、たとえば、Ag粉末又はCu粉末である。熱硬化性樹脂は、たとえば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、又はポリイミド樹脂である。第二電極層E2は、稜線部3jの一部と接している。各電極部5a,5b,5c,5eが有している第二電極層E2は、一体的に形成されている。
【0042】
第三電極層E3は、第二電極層E2上にめっき法により形成されている。本実施形態では、第三電極層E3は、第二電極層E2上にNiめっきにより形成されている。第三電極層E3は、Niめっき層である。第三電極層E3は、Niを含んでいる。第三電極層E3は、第二電極層E2に含まれる金属よりも耐はんだ喰われ性に優れている。
【0043】
第四電極層E4は、第三電極層E3上にめっき法により形成されている。第四電極層E4は、はんだめっき層である。本実施形態では、第四電極層E4は、第三電極層E3上にSnめっきにより形成されている。第四電極層E4は、Snめっき層である。第四電極層E4は、Sn-Ag合金めっき層、Sn-Bi合金めっき層、又はSn-Cu合金めっき層であってもよい。第四電極層E4は、Sn、Sn-Ag合金、Sn-Bi合金、又はSn-Cu合金を含んでいる。
【0044】
第三電極層E3と第四電極層E4とは、第二電極層E2に形成されるめっき層を構成している。本実施形態では、第二電極層E2に形成されるめっき層は、二層構造を有している。第三電極層E3は、最外層を構成する第四電極層E4と、第二電極層E2との間に位置している中間めっき層である。各電極部5a,5b,5c,5eが有している第三電極層E3は、一体的に形成されている。各電極部5a,5b,5c,5eが有している第四電極層E4は、一体的に形成されている。
【0045】
第二電極層E2には、図2図7に示されるように、複数の空隙13が存在している。複数の空隙13は、第二電極層E2内に分散している。複数の空隙13のうちいくつかの空隙13は互いに連通している。互いに連通している空隙13は、少なくとも一つの通路を構成する。互いに連通している空隙13により構成される通路は、第二電極層E2の表面に開口している。第二電極層E2の厚み方向に沿う断面において、空隙13の最大長さは、1~20μmの範囲内である。本実施形態では、空隙13の最大長さは、20μmである。図6及び図7は、外部電極の断面構成を示す図である。
【0046】
第二電極層E2は、上述したように、電極部5eに含まれている部分と、電極部5cに含まれている部分と、を有している。すなわち、電極部5eに含まれている第二電極層E2は、端面3e上に位置しており、電極部5cに含まれている第二電極層E2は、側面3c上に位置している。電極部5eに含まれている第二電極層E2での空隙13の存在割合は、電極部5cに含まれている第二電極層E2での空隙13の存在割合より大きい。空隙13の存在割合は、第二電極層E2の厚み方向に沿う断面において、第二電極層E2の面積に対する空隙13の総面積の割合である。本実施形態では、第二電極層E2の厚み方向は、電極部5eに含まれている第二電極層E2では、端面3eに直交する方向と一致し、電極部5cに含まれている第二電極層E2では、側面3cに直交する方向と一致する。すなわち、第二電極層E2の厚み方向は、電極部5eに含まれている第二電極層E2では、第三方向D3と一致し、電極部5cに含まれている第二電極層E2では、第二方向D2と一致する。たとえば、電極部5eに含まれている部分が第一部分を構成する場合、電極部5cに含まれている部分は、第二部分を構成する。
【0047】
電極部5eに含まれている第二電極層E2での空隙13の存在割合は、たとえば、第二電極層E2の厚み方向に沿う断面において、電極部5eが有している第二電極層E2に存在する空隙13の総面積を、電極部5eが有している第二電極層E2の面積で除し、百分率で表した値である。電極部5eに含まれている第二電極層E2での空隙13の存在割合は、5~35%の範囲内である。本実施形態では、電極部5eが有している第二電極層E2に存在する空隙13の総面積は、1000~70000μmである。電極部5eが有している第二電極層E2の面積は、0.020~0.200mmである。たとえば、電極部5eが有している第二電極層E2に存在する空隙13の総面積は、20000μmであり、電極部5eが有している第二電極層E2の面積は、0.100mmである。この場合、電極部5eに含まれている第二電極層E2での空隙13の存在割合は、20%である。電極部5eが有している第二電極層E2の面積は、電極部5eにおいて、第一電極層E1の表面と、第二電極層E2の表面とで画成される領域の面積である。電極部5eが有している第二電極層E2の面積は、電極部5eが有している第二電極層E2に存在する空隙13の総面積を含んでいる。
【0048】
電極部5cに含まれている第二電極層E2での空隙13の存在割合は、たとえば、第二電極層E2の厚み方向に沿う断面において、電極部5cが有している第二電極層E2に存在する空隙13の総面積を、電極部5cが有している第二電極層E2の面積で除し、百分率で表した値である。電極部5cに含まれている第二電極層E2での空隙13の存在割合は、5~35%の範囲内である。本実施形態では、電極部5cが有している第二電極層E2に存在する空隙13の総面積は、400~17500μmである。電極部5cが有している第二電極層E2の面積は、0.008~0.050mmである。たとえば、電極部5cが有している第二電極層E2に存在する空隙13の総面積は、2800μmであり、電極部5cが有している第二電極層E2の面積は、0.028mmである。この場合、電極部5cに含まれている第二電極層E2での空隙13の存在割合は、10%である。電極部5cが有している第二電極層E2の面積は、電極部5cにおいて、第一電極層E1の表面と、第二電極層E2の表面とで画成される領域の面積である。電極部5cが有している第二電極層E2の面積は、電極部5cが有している第二電極層E2に存在する空隙13の総面積を含んでいる。
【0049】
空隙13の最大長さは、たとえば、以下のようにして求めることができる。
外部電極5(たとえば、電極部5e)の断面写真を取得する。断面写真は、たとえば、電極部5eを端面3eに直交する平面で切断したときの断面を撮影した写真である。断面写真は、たとえば、互いに対向している一対の面(たとえば、一対の主面3a,3b)に平行であり、かつ、当該一対の面から等距離に位置している平面で切断したときの電極部5eの断面を撮影した写真である。取得した断面写真をソフトウェアにより画像処理を行い、空隙13の境界を判別し、空隙13の最大長さを求める。複数の空隙13の最大長さを求め、複数の空隙13の最大長さの平均値を求めてもよい。この場合、平均値を空隙13の最大長さとする。
【0050】
空隙13の総面積は、たとえば、以下のようにして求めることができる。
外部電極5(電極部5e及び電極部5c)の断面写真を取得する。断面写真は、たとえば、外部電極5を端面3eと側面3cとに直交する平面で切断したときの断面を撮影した写真である。断面写真は、たとえば、一対の主面3a,3bに平行であり、かつ、一対の主面3a,3bから等距離に位置している平面で切断したときの外部電極5の断面を撮影した写真である。取得した断面写真をソフトウェアにより画像処理を行い、空隙13の境界を判別し、電極部5eが有している第二電極層E2に存在する空隙13の総面積と、電極部5cが有している第二電極層E2に存在する空隙13の総面積と、を求める。
【0051】
第二電極層E2の面積は、たとえば、以下のようにして求めることができる。
外部電極5(電極部5e及び電極部5c)の断面写真を取得する。断面写真は、上述したように、外部電極5を端面3eと側面3cとに直交する平面で切断したときの断面を撮影した写真である。取得した断面写真をソフトウェアにより画像処理を行い、第一電極層E1の表面(第一電極層E1と第二電極層E2との境界)と、第二電極層E2の表面(第二電極層E2と第三電極層E3との境界)と、を判別し、電極部5eが有している第二電極層E2の面積と、電極部5cが有している第二電極層E2面積と、を求める。
【0052】
図6及び図7に示されるように、第三電極層E3には、複数の開口15が形成されている。複数の開口15のうちいくつかの開口15は、互いに連通している空隙13により構成される通路の、第二電極層E2の表面での開口と重なっている。開口15は、互いに連通している空隙13により構成される通路の開口の一部又は全体と重なっている。したがって、開口15は、互いに連通している空隙13により構成される通路を通して、第二電極層E2内と連通している。
【0053】
開口15の位置では、第二電極層E2は、第三電極層E3から露出している。図6に示されるように、開口15のうちいくつかの開口15は、第四電極層E4で覆われている。開口15が第四電極層E4で覆われている場合、開口15の位置では、第二電極層E2上に、第四電極層E4が形成される。この場合、開口15の位置では、第二電極層E2は、第四電極層E4と接している。図7に示されるように、開口15が第四電極層E4で覆われていない場合、開口15の位置では、第二電極層E2は、第四電極層E4から露出している。この場合、開口15の位置では、第二電極層E2は、第二電極層E2上に配置されているめっき層から露出している。第二電極層E2は、第三電極層E3と接している領域と、第四電極層E4と接している領域と、めっき層(第三電極層E3及び第四電極層E4)と接していない領域と、を有している。
【0054】
開口15の内径は、1~40μmである。たとえば、開口15の内径は、10μmである。1mmあたりの開口15の数は、0.1~10である。
【0055】
開口15の内径は、たとえば、以下のようにして求めることができる。
外部電極5(たとえば、電極部5e)の断面写真を取得する。断面写真は、たとえば、電極部5eを端面3eに直交する平面で切断したときの電極部5eの断面を撮影した写真である。断面写真は、たとえば、互いに対向している一対の面(たとえば、一対の主面3a,3b)に平行であり、かつ、当該一対の面から等距離に位置している平面で切断したときの電極部5eの断面を撮影した写真である。取得した断面写真をソフトウェアにより画像処理を行い、開口15の境界を判別し、開口15の長さを求める。この長さを開口15の内径とする。複数の開口15の長さを求め、複数の開口15の長さの平均値を求めてもよい。この場合、平均値を開口15の内径とする。
【0056】
開口15の数は、たとえば、以下のようにして求めることができる。
外部電極5(電極部5e)の表面の写真を取得する。取得した写真上の、任意の1mm四方の範囲内に存在している開口15の数を求める。しかしながら、開口15が第四電極層E4で覆われている場合、開口15の位置では、図6に示されているように、第四電極層E4には窪みが形成される。したがって、開口15が第四電極層E4で覆われている場合でも、開口15の位置は特定される。
【0057】
以上のように、本実施形態では、外部電極5は、第四電極層E4を有している。したがって、積層コンデンサC1は、電子機器へのはんだ実装が可能である。第三電極層E3は、積層コンデンサC1がはんだ実装される際に、はんだ喰われが生じるのを抑制する。
積層コンデンサC1がはんだ実装される際に、第四電極層E4は、はんだに溶融する。したがって、はんだ実装の際に、第二電極層E2に含まれている樹脂に吸収された水分がガス化した場合でも、水分から発生したガスは、第二電極層E2から開口15を通して外部電極5外に移動して、第二電極層E2に応力が作用しがたい。この結果、積層コンデンサC1は、第二電極層E2の剥離を抑制する。
【0058】
積層コンデンサC1では、開口15の内径は、1~40μmである。
開口15の内径が1μmより小さい場合、水分から発生したガスが開口15内を移動しがたくなるおそれがある。開口15の内径が40μmより大きい場合、第二電極層E2が第三電極層E3から露出する領域が増加して、はんだ喰われが生じるのを抑制しがたくなるおそれがある。したがって、積層コンデンサC1は、はんだ喰われが生じるのを確実に抑制しつつ、開口15を通したガスの移動が阻害されるのを抑制する。
【0059】
積層コンデンサC1では、1mmあたりの開口15の数は、0.1~10である。
1mmあたりの開口15の数が0.1より小さい場合、水分から発生したガスが外部電極5外に移動しがたくなるおそれがある。1mmあたりの開口の数が10より大きい場合、第二電極層E2が第三電極層E3から露出する領域が増加して、はんだ喰われが生じるのを抑制しがたくなるおそれがある。したがって、積層コンデンサC1は、はんだ喰われが生じるのを確実に抑制しつつ、ガスの外部電極5外への移動が阻害されるのを抑制する。
【0060】
積層コンデンサC1では、開口15は、第二電極層E2内と連通している。したがって、第二電極層E2内で水分から発生したガスが、外部電極5外に効率よく移動する。この結果、積層コンデンサC1では、第二電極層E2に応力がより一層作用しがたい。
【0061】
積層コンデンサC1では、開口15は、第二電極層E2内に存在している複数の空隙13と連通している。したがって、第二電極層E2内で水分から発生したガスが、外部電極5外により一層効率よく移動する。
【0062】
積層コンデンサC1では、電極部5eに含まれている第二電極層E2での空隙13の存在割合は、電極部5cに含まれている第二電極層E2での空隙13の存在割合より大きい。
第二電極層E2内で水分から発生したガスが、電極部5cに含まれている第三電極層E3に形成されている開口15を通して、外部電極5外に移動する場合、電極部5cからのガスの噴出により、はんだ実装の際に積層コンデンサC1の姿勢が変化するおそれがある。積層コンデンサC1の姿勢が変化した場合、積層コンデンサC1の実装不良が生じるおそれがある。
電極部5eに含まれている第二電極層E2での空隙13の存在割合が、電極部5cに含まれている第二電極層E2での空隙13の存在割合より大きい場合、第二電極層E2内で水分から発生したガスは、電極部5eに含まれている第三電極層E3に形成されている開口15を通して、外部電極5外に移動しやすい。すなわち、ガスは、電極部5cに含まれている第三電極層E3に形成されている開口15から、移動しがたい。したがって、積層コンデンサC1では、ガスは、主として、電極部5eに含まれている第三電極層E3に形成されている開口15を通して、移動する。この結果、積層コンデンサC1は、実装不良が生じるのを抑制する。
【0063】
積層コンデンサC1では、第二電極層E2は、めっき層(第三電極層E3及び第四電極層E4)と接していない領域と、を有している。すなわち、第二電極層E2は、開口15に露出している領域を含んでいる。第二電極層E2が、開口15に露出している場合、はんだ実装の際に、樹脂に吸収された水分がガス化した場合でも、水分から発生したガスは、第二電極層E2から開口15を通して外部電極5外に移動して、第二電極層E2に応力が作用しがたい。この結果、積層コンデンサC1は、第二電極層E2の剥離を抑制する。
積層コンデンサC1では、開口15のうちいくつかの開口15は、第四電極層E4で覆われている。したがって、積層コンデンサC1では、全ての開口15が第四電極層E4で覆われていない構成に比して、外部電極5内に水分が浸入しがたく、はんだ喰われが生じがたい。全ての開口15が第四電極層E4で覆われている場合、外部電極5内に水分がより一層浸入しがたく、はんだ喰われがより一層生じがたい。
【0064】
本明細書では、ある要素が他の要素上に配置されていると記述されている場合、ある要素は、他の要素上に直接配置されていてもよく、他の要素上に間接的に配置されていてもよい。ある要素が他の要素上に間接的に配置されている場合、介在要素が、ある要素と他の要素との間に存在している。ある要素が他の要素上に直接配置されている場合、介在要素は、ある要素と他の要素との間に存在しない。
本明細書では、ある要素が他の要素を覆うと記述されている場合、ある要素は、他の要素を直接覆っていてもよく、他の要素を間接的に覆っていてもよい。ある要素が他の要素を間接的に覆っている場合、介在要素が、ある要素と他の要素との間に存在している。ある要素が他の要素を直接覆っている場合、介在要素は、ある要素と他の要素との間に存在しない。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0066】
開口15の内径は、1~40μmの範囲内でなくてもよい。開口15の内径が、1~40μmの範囲内である場合、上述したように、積層コンデンサC1は、はんだ喰われが生じるのを確実に抑制しつつ、開口15を通したガスの移動が阻害されるのを抑制する。
1mmあたりの開口15の数は、0.1~10の範囲内でなくてもよい。1mmあたりの開口15の数が、0.1~10の範囲内である場合、上述したように、積層コンデンサC1は、はんだ喰われが生じるのを確実に抑制しつつ、ガスの外部電極5外への移動が阻害されるのを抑制する。
開口15は、第二電極層E2内と連通していなくてもよい。開口15が、第二電極層E2内と連通している場合、上述したように、第二電極層E2内で水分から発生したガスが、外部電極5外に効率よく移動して、第二電極層E2に応力がより一層作用しがたい。
第二電極層E2には、複数の空隙13が存在していなくてもよい。第二電極層E2に、複数の空隙13が存在している場合、上述したように、第二電極層E2内で水分から発生したガスが、外部電極5外により一層効率よく移動する。
電極部5eに含まれている第二電極層E2での空隙13の存在割合は、電極部5cに含まれている第二電極層E2での空隙13の存在割合以下であってもよい。電極部5eに含まれている第二電極層E2での空隙13の存在割合が、電極部5cに含まれている第二電極層E2での空隙13の存在割合より大きい場合、上述したように、積層コンデンサC1は、実装不良が生じるのを抑制する。
【0067】
本実施形態では、電子部品として積層コンデンサC1を例に説明したが、適用可能な電子部品は、積層コンデンサに限られない。適用可能な電子部品は、たとえば、積層インダクタ、積層バリスタ、積層圧電アクチュエータ、積層サーミスタ、もしくは積層複合部品などの積層電子部品、又は、積層電子部品以外の電子部品である。
【符号の説明】
【0068】
3…素体、3c…側面、3e…端面、5…外部電極、5a,5b,5c,5e…電極部、13…空隙、15…開口、C1…積層コンデンサ、D1…第一方向、D2…第二方向、D3…第三方向、E1…第一電極層、E2…第二電極層、E3…第三電極層、E4…第四電極層。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7