(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】管腔ネットワークに沿った治療を実施するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 34/20 20160101AFI20240625BHJP
A61B 17/24 20060101ALI20240625BHJP
A61B 17/29 20060101ALI20240625BHJP
A61B 18/02 20060101ALI20240625BHJP
A61B 18/14 20060101ALI20240625BHJP
A61B 18/18 20060101ALI20240625BHJP
A61N 5/10 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B17/24
A61B17/29
A61B18/02
A61B18/14
A61B18/18 100
A61N5/10 A
(21)【出願番号】P 2018559324
(86)(22)【出願日】2017-04-13
(86)【国際出願番号】 US2017027426
(87)【国際公開番号】W WO2017196487
(87)【国際公開日】2017-11-16
【審査請求日】2020-02-20
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-03
(32)【優先日】2016-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】クリムスキー, ウィリアム エス.
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】栗山 卓也
【審判官】安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/033090(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0000302(US,A1)
【文献】特開平8-173559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B34/20
A61B1/00-1/32
A61B18/02
A61B18/12-18/16
A61B18/18
A61N5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの管腔ネットワークの管腔に沿った治療を実施するためのシステムであって、
前記少なくとも1つの管腔ネットワークに挿入可能なナビゲーションカテーテルと、
前記ナビゲーションカテーテルへの挿入のために構成されたツールと、
前記ツール
又は前記ナビゲーションカテーテルに組み込まれたセンサ
と、
前記ツールが挿入された状態で前記
ナビゲーションカテーテルがユーザによって前記少なくとも1つの管腔ネットワーク内部にナビゲートされるときに、前記センサを追跡するように構成された電磁追跡システムと、
前記センサの追跡された位置を示す画像データを含むユーザインタフェースを表示するように構成されたディスプレイと、
前記ディスプレイに作用可能に結合されたコンピューティングデバイスであって、前記コンピューティングデバイスは、命令を記憶するメモリを含み、前記命令は、実行されると、
前記少なくとも1つの管腔ネットワークの前記管腔内の治療標的への経路を生成することと、
前記ディスプレイに前記生成された経路を表示させることにより、一次治療モダリティを用いる前記治療標的の治療のために前記少なくとも1つの管腔ネットワークの前記管腔内の前記治療標的への前記経路に沿った前記ツールのナビゲーションを容易にすることであって、前記一次治療モダリティは、高線量放射線近接照射療法である、ことと、
前記少なくとも1つの管腔ネットワークの前記管腔
及び前記治療標的の少なくとも1つの治療のために前記経路に関する治療パラメータを
算出することであって、前記治療パラメータは、前記ツールが前記少なくとも1つの管腔ネットワークの前記管腔を通って移動する速さ、及び、前記ツールが前記ツールの放射性シードを再被覆する前に移動すべき距離のうちの少なくとも1つを含む、ことと
を前記コンピューティングデバイスに行わせる、コンピューティングデバイスと、
二次治療モダリティにおける使用のために好適な追加のツール又は同一のツールであって、前記ナビゲーションカテーテルに挿入可能であり、かつ
前記少なくとも1つの管腔ネットワークの前記管腔を治療するように構成されている追加のツール又は同一のツールと
を含む、システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの管腔ネットワークが、
(i)患者の肺
のネットワーク、
(ii)患者の血管
のネットワーク、及び
(iii)患者のリンパ管のネットワークからなる群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コンピューティングデバイスが、
前記少なくとも1つの管腔ネットワークの前記管腔内の前記治療標的への別の経路を前記ディスプレイに表示させるように更に構成され、かつ
前記二次治療モダリティが、前記
別の経路の少なくとも一部分に沿う前記少なくとも1つの管腔ネットワーク
の前記管腔を治療するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記二次治療モダリティが、マイクロ波焼灼療法、高周波(RF)焼灼療法、化学療法、放射線療法、外科手術、凍結療法、遺伝子療法、及び高線量放射線近接照射療法からなる群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、気道、血管、リンパ管(airway,vascular,lymphatic,AVL)管腔に沿った組織の治療、より詳細には、一次治療法又は他の治療法に伴う補助的治療のいずれかとしての、AVL管腔に沿った肺癌の治療を実現するためのシステム、デバイス、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
肺の内部又は周囲に位置する腫瘍及び他の癌性組織の治療は、放射線、化学療法、及び/又は様々な外科的処置を含む種々の治療方法を使用することによって行われ得る。外科手術、放射線などを含む一次治療はそれらの所期の目的に有効であるが、一般に見られる1つの課題は、拡散及び再播種作用である。一部の例では、この拡散及び再播種は治療介入それ自体によってもたらされる。あるいは、腫瘍は、例えば、循環系、呼吸器系、リンパ系又は胆管系の分泌などの様々な生体ネットワークに接続しているため、細胞が腫瘍から離れ、生体中に運搬されるにつれて拡散又は再播種する可能性がある。焼灼針を使用するマイクロ波肝臓焼灼における再播種作用に対抗するために記述されてきた1つの方法は、腫瘍治療後に焼灼針の挿入によって形成される針跡を処置することである。針跡の継続的な処置によって、癌性組織と接触し、かつ実際に焼灼針の除去中に腫瘍から癌細胞を切り離している可能性のある焼灼針自体の移動による針跡に沿った疾患の拡散を防止する。このような技法は比較的硬い肝臓の腫瘤を対象としている一方で、肺内部の治療では、肺において見られる多重の管腔ネットワーク内部の癌性細胞の再播種及び拡散の望ましい防止を達成するための更なる方法が必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示に従って提供されるのは、管腔ネットワークに沿った治療を実施する方法である。本開示の態様では、方法は、患者の肺の画像データを受信することと、受信した画像データに基づいて患者の肺内部の1つ以上の管腔ネットワークをマッピングすることと、画像データ中において治療標的を特定することと、管腔ネットワークの少なくとも1つを介する治療標的への管腔経路を決定することと、治療標的及び管腔ネットワークの少なくとも1つの治療のための治療パラメータを構成することと、治療標的への管腔ネットワークの少なくとも1つの内部にツールをナビゲートすることと、治療標的を一次治療モダリティにより治療することと、治療標的につながる又は治療標的からつながる管腔ネットワークの少なくとも1つの管腔経路を二次治療モダリティにより治療することと、を含む。
【0004】
本開示の別の態様では、方法は、治療標的につながる又は治療標的からつながる管腔ネットワークの少なくとも1つの管腔経路を二次治療モダリティにより治療するためのガイダンスを表示することを更に含む。
【0005】
本開示の更なる態様では、そのガイダンスは治療の進捗を示す。
【0006】
本開示の別の態様では、ガイダンスは、構成された治療パラメータに基づく治療域を含む。
【0007】
本開示の更なる態様では、1つ以上の管腔ネットワークは、患者の肺、血管、及びリンパ管のネットワークからなる群から選択される。
【0008】
本開示の別の態様では、方法は、管腔ネットワークの少なくとも1つの内部にツールがナビゲートされるときに、ツールの位置を追跡することを更に含む。
【0009】
本開示の更なる態様では、方法は、管腔ネットワークの少なくとも1つを介する治療標的への第2の管腔経路を決定することと、治療標的につながる又は治療標的からつながる管腔ネットワークの少なくとも1つの第2の管腔経路を二次治療モダリティにより治療することと、を更に含む。
【0010】
本開示の別の態様では、一次治療モダリティは、マイクロ波焼灼療法、高周波焼灼療法、化学療法、放射線療法、外科手術、凍結療法、遺伝子療法、及び高線量放射線近接照射療法からなる群から選択される。
【0011】
本開示の更なる態様では、二次治療モダリティは、マイクロ波焼灼療法、高周波焼灼療法、化学療法、放射線療法、外科手術、凍結療法、遺伝子療法、及び高線量放射線近接照射療法からなる群から選択される。
【0012】
本開示に従って提供されるのは、管腔ネットワークに沿った治療を実施するシステムである。本開示の態様では、システムは、少なくとも1つの管腔ネットワークに挿入可能なナビゲーションカテーテルと、ナビゲーションカテーテルへの挿入と少なくとも1つの管腔ネットワーク内部にナビゲートすることとのために構成されるツールと、ツール又はナビゲーションカテーテルと作動可能に関連付けられるセンサと、ナビゲーションカテーテルが少なくとも1つの管腔ネットワーク内部にナビゲートされるときにセンサを追跡するように構成される電磁追跡システムと、センサの追跡された位置を示す画像データを含むユーザインタフェースを表示するように構成されるディスプレイと、ナビゲーションカテーテルに挿入可能であり、かつ治療標的を治療するように構成される一次治療モダリティと、ナビゲーションカテーテルに挿入可能であり、かつ治療標的につながる又は治療標的からつながる管腔を治療するように構成される二次治療モダリティと、を含む。
【0013】
本開示の別の態様では、少なくとも1つの管腔ネットワークは、患者の肺、血管、及びリンパ管のネットワークからなる群から選択される。
【0014】
本開示の更なる態様では、ディスプレイは、治療標的につながる又は治療標的からつながる経路を表示するように更に構成される。
【0015】
本開示の別の態様では、ディスプレイは更に、治療標的につながる又は治療標的からつながる第2の経路を表示するように構成され、二次治療モダリティは、第2の経路の少なくとも一部に沿った管腔ネットワークを治療するように構成される。
【0016】
本開示の更なる態様では、一次治療モダリティは、マイクロ波焼灼療法、高周波(radio frequency,RF)焼灼療法、化学療法、放射線療法、外科手術、凍結療法、遺伝子療法、及び高線量放射線近接照射療法からなる群から選択される。
【0017】
本開示の別の態様では、二次治療モダリティは、マイクロ波焼灼療法、高周波(RF)焼灼療法、化学療法、放射線療法、外科手術、凍結療法、遺伝子療法、及び高線量放射線近接照射療法からなる群から選択される。
【0018】
本開示に従って提供されるのは、コンピュータによって実行されると、コンピュータが、患者の肺の画像データを受信し、受信した画像データに基づいて患者の肺内部の1つ以上の管腔ネットワークの位置を決定し、画像データ中において治療標的を特定し、管腔ネットワークの少なくとも1つを介する治療標的への管腔経路を決定し、治療標的及び管腔ネットワークの少なくとも1つの治療のための治療パラメータを構成し、管腔ネットワークの少なくとも1つの内部にツールをナビゲートするための命令を提供し、治療標的を一次治療モダリティにより治療するための命令を提供し、かつ治療標的につながる又は治療標的からつながる管腔ネットワークの少なくとも1つの管腔経路を、二次治療モダリティにより治療するための命令を提供するようになる命令を記憶する、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体である。
【0019】
本開示の別の態様では、命令は更に、コンピュータに治療の進捗を表示させる。
【0020】
本開示の更なる態様では、1つ以上の管腔ネットワークの治療は、患者の肺、血管、及びリンパ管のネットワークのうちの1つ以上の治療を含む。
【0021】
本開示の別の態様では、命令は更に、管腔ネットワークの少なくとも1つの内部にツールがナビゲートされるときに、コンピュータにツールの位置を追跡させる。
【0022】
本開示の更なる態様では、命令は更に、コンピュータに、管腔ネットワークの少なくとも1つを介する治療標的への第2の管腔経路を決定させ、治療標的につながる又は治療標的からつながる管腔ネットワークの少なくとも1つの第2の管腔経路を二次治療モダリティにより治療するための命令を提供させる。
【0023】
本開示の上記の態様及び実施形態のいずれも、本開示の範囲から逸脱することなく組み合わされ得る。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
管腔に沿った治療を実施するためのシステムであって、
少なくとも1つの管腔ネットワークに挿入可能なナビゲーションカテーテルと、
前記ナビゲーションカテーテルへの挿入と少なくとも1つの管腔ネットワーク内部にナビゲートすることとのために構成されたツールと、
前記ツール又は前記ナビゲーションカテーテルと作動可能に関連付けられたセンサと、
前記ナビゲーションカテーテルが少なくとも1つの管腔ネットワーク内部にナビゲートされるときに、前記センサを追跡するように構成された電磁追跡システムと、
前記センサの追跡された位置を示す画像データを含むユーザインタフェースを表示するように構成されたディスプレイと、
前記ナビゲーションカテーテルに挿入可能であり、かつ治療標的を治療するように構成された一次治療モダリティと、
前記ナビゲーションカテーテルに挿入可能であり、かつ治療標的につながる又は治療標的からつながる管腔を治療するように構成された二次治療モダリティと、を含む、システム。
(項目2)
前記少なくとも1つの管腔ネットワークが、患者の肺、血管、及びリンパ管のネットワークからなる群から選択される、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記ディスプレイが、治療標的につながる又は治療標的からつながる経路を表示するように更に構成されている、項目1に記載のシステム。
(項目4)
前記ディスプレイが、治療標的につながる又は治療標的からつながる第2の経路を表示するように更に構成され、かつ
前記二次治療モダリティが、前記第2の経路の少なくとも一部分に沿う管腔ネットワークを治療するように構成されている、項目3に記載のシステム。
(項目5)
前記一次治療モダリティが、マイクロ波焼灼療法、高周波(RF)焼灼療法、化学療法、放射線療法、外科手術、凍結療法、遺伝子療法、及び高線量放射線近接照射療法からなる群から選択される、項目1に記載のシステム。
(項目6)
前記二次治療モダリティが、マイクロ波焼灼療法、高周波(RF)焼灼療法、化学療法、放射線療法、外科手術、凍結療法、遺伝子療法、及び高線量放射線近接照射療法からなる群から選択される、項目1に記載のシステム。
(項目7)
非一過性のコンピュータ可読記憶媒体であって、コンピュータによって実行されると、前記コンピュータが、
患者の肺の画像データを受信し、
受信した前記画像データに基づいて前記患者の肺内部の1つ以上の管腔ネットワークの位置を決定し、
前記画像データ中において治療標的を特定し、
前記管腔ネットワークの少なくとも1つを介する前記治療標的への管腔経路を決定し、
前記治療標的及び前記管腔ネットワークの少なくとも1つの治療のための治療パラメータを構成し、
前記管腔ネットワークの少なくとも1つの内部にツールをナビゲートするための命令を提供し、
前記治療標的を一次治療モダリティにより治療するための命令を提供し、かつ
前記治療標的につながる又は前記治療標的からつながる前記管腔ネットワークの少なくとも1つの前記管腔経路を、前記二次治療モダリティにより治療するための命令を提供するようになる命令を記憶する、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体。
(項目8)
実行されると、前記コンピュータが治療の進捗を表示するようになる命令を更に含む、項目7に記載の非一過性のコンピュータ可読記憶媒体。
(項目9)
前記1つ以上の管腔ネットワークの治療が、前記患者の肺、血管、及びリンパ管のネットワークのうちの1つ以上の治療を含む、項目7に記載の非一過性のコンピュータ可読記憶媒体。
(項目10)
実行されると、前記コンピュータが、前記ツールが前記管腔ネットワークの少なくとも1つの内部にナビゲートされるときに、前記ツールの位置を追跡するようになる命令を更に含む、項目7に記載の非一過性のコンピュータ可読記憶媒体。
(項目11)
実行されると、前記コンピュータが
前記管腔ネットワークの少なくとも1つを介する前記治療標的への第2の管腔経路を決定し、かつ
前記治療標的につながる又は前記治療標的からつながる前記管腔ネットワークの少なくとも1つの前記第2の管腔経路を、前記二次治療モダリティにより治療する命令を提供するようになる命令を更に含む、項目7に記載の非一過性のコンピュータ可読記憶媒体。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本開示の様々な態様及び機構を、図面を参照して本明細書で以下に説明する。
【0025】
【
図1】本開示の実施形態による、AVLの束に沿った治療を実施するためのシステムの概略図である。
【0026】
【
図2A】本開示の実施形態による、AVLの束に沿った治療を実施するための例示的方法のフローチャートを示す。
【
図2B】本開示の実施形態による、AVLの束に沿った治療を実施するための例示的方法のフローチャートを示す。
【0027】
【
図3】本開示の実施形態による、
図1のシステムの一部を形成する例示的なコンピューティングデバイスの図である。
【0028】
【
図4】本発明の実施形態による、
図2のコンピューティングデバイスによって表示され得る例示的なユーザインタフェースである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示は、AVL管腔に沿った肺癌の治療を提供するためのデバイス、システム、及び方法に関する。本開示によるAVL管腔に沿った治療は、一次治療法、又は体幹部定位照射、外科手術及び/若しくは一次治療領域への気管支鏡送達治療などの他の治療法に伴う補助的治療のいずれかとして実施され得る。
【0030】
肺において、気道、血管、及びリンパ管の管腔は通常、例外はあるものの同一の経路をたどり、そのため互いに極めて近接して位置する。このような気道、血管、及びリンパ管の管腔は、患者の体内でより大きな肺、血管、及びリンパ管のネットワークの一部を形成する。AVL管腔が互いに極めて接近して位置するとき、それらは一括してAVLの束と称され得る。したがって、これらのネットワークのうちの1つの位置を特定することが、それに対応して他のネットワークの1つ又は両方の位置を特定することになる。AVL樹を含むこの3つのネットワークは全て、肺根とも呼ばれる門でより大きな体幹腔へと集束する。気道は気管へと集束する一方で、血管系は肺及び気管支動静脈へと集束する。これにより、肺の内部又は外部へと流れるほぼ全ての、空気、血液、及びリンパは、この門を通過することになる。
図4は、画像482でAVLの束を描写する3Dマップ、並びに気道484とほとんど一致する血管管腔478及びリンパ管管腔479を含む例示的なユーザインタフェースを示す。それが、記載されるこれらの管腔経路に沿った治療を改善するために本開示が依存する部位の一般的な共通点である。
【0031】
腫瘍及び癌細胞が体全体に拡散する主要な機構の1つは、AVLの束の経路に沿った直接的な血管-リンパ管浸潤を介したものである。特定の腫瘍の治療においては局所的治療が成功してきたが、このような局所的治療は、出口経路(exit pathway)を完全に標的化し、制圧できる可能性が低く、それによって、癌性細胞は一次治療部位から拡散及び再播種し得る。一次治療部位の辺縁から又は一次治療部位の辺縁近傍から戻る、並びに出口経路の境界を作る門及びリンパ節を潜在的に含むこれらの出口経路を処置することができることにより、治療中及び/又は治療後の癌性細胞及び腫瘍の分散の局所的な制御、並びにこのような癌性細胞のより遠方への拡散の可能性の減少の両方において本質的な改善がもたらされ、それによって、治療の持続性が改善される。このようなAVLの束を介した治療を提供するためのシステム、デバイス、及び方法が本明細書で記載されることになる。
【0032】
時間の経過と共にデータが収集されるにつれて、治療された組織の種類及び一次治療部位で適用された治療方法に依存した、癌性細胞の遠方への拡散を最も引き起こしやすい固有の気道及び/又はAVLの束の分布に関する予測モデルが発展し得る。更に、AVLの束に沿った治療は、特に、潜在的により多くのリンパ管が治療域に含まれるため、局所的治療方法からアブスコパル効果を介するなどの全身作用への移行に影響を及ぼす可能性がある。後述のように、AVLの束に沿った治療では、治療部位周辺の肺、血管、及びリンパ管のネットワークの位置、並びに一次治療を取り巻く気道、血管、及びリンパ管の管腔へのアクセス経路を、一次治療部位における治療開始に先立って特定することが要求される。
【0033】
AVLの束の治療工程は通常、少なくとも2つの段階(1)患者の肺の内部又は肺に隣接する治療標的への1つ以上の経路を計画すること、及び(2)計画された経路に沿った標的部位へとプローブをナビゲートすることを含む。これらの段階は通常、(1)「計画」及び(2)「ナビゲーション」と称される。本出願の開示はAVLの束の治療に関する一方で、COVIDIEN LPの登録商標であるELECTROMAGNETIC NAVIGATION BRONCHOSCOPY(登録商標)(ENB)処置として知られる方法を含む、電磁ナビゲーション(Electromagnetic Navigation,EMN)のためのシステム、デバイス、及び方法が、前述のように血管及びリンパ管の樹が肺内の気道樹に近接し、通常同じ経路をたどるため、AVLの束の治療工程の計画段階及びナビゲーション段階の実施にも使用され得る。本明細書に記載のAVLの束の治療のためにも使用することができるEMN処置用EMN計画ソフトウェアの例は、Bakerらによって2013年3月15日に出願され、「PATHWAY PLANNING SYSTEM AND METHOD」と題された、米国特許出願公開第2014/0281961号、同第2014/0270441号、及び同第2014/0282216号に見出すことができ、これらの各々の全内容は、参照により本明細書中に援用される。EMN計画ソフトウェアの更なる例を、ブラウンらによって2015年6月29日出願され、「SYSTEM AND METHOD FOR NAVIGATING WITHIN THE LUNG」と題され、本発明の譲受人に譲渡された米国特許出願第14/753,288号に見出すことができ、その全内容が、参照により本明細書に援用される。
【0034】
計画段階に先立って、患者の肺は、例えば、コンピュータ断層撮影(computed tomography,CT)走査、磁気共鳴断層撮影(MRI)走査、陽電子放出断層撮影(PET)走査、及び/又は当業者に公知である他の適用可能な画像化方法によって画像化される。説明を簡潔にする目的で、本開示は、CT走査から得られた画像を参照することになるが、上記のように、CT走査画像及びデータを、本開示の範囲を逸脱することなく他の画像化モダリティから得られた画像及びデータで置き換えることができる。CT走査中に構築された画像データは次に、例えば、Digital Imaging and Communications in Medicine(DICOM)フォーマットで保存され得るが、追加の適用可能なフォーマットが当業者に公知であろう。CT走査画像データは次に、AVL治療工程の計画段階中に使用されることになる計画ソフトウェアアプリケーション(「アプリケーション」)にロードされ得る。
【0035】
このアプリケーションは、CT走査画像データを使用して、患者の肺の上述の3Dモデルを生成することができる。3Dモデルは、とりわけ、患者の肺の実際の気道に対応し、患者の実際の気道樹の種々の導管、支流、及び分岐部を示す、モデル気道樹を含み得る。同様に、3Dモデルは、モデル血管樹及びモデルリンパ管樹を含み得る。加えて、3Dモデルは、損傷、標識、臓器、及び/又は他の生理学的構造を含み得る。上述の要素の一部又は全ては、臨床医が3Dモデルを見る際にどの要素を表示させるべきかを選択できるように、選択的に表示され得る。
【0036】
CT走査画像データは、画像データ内に含まれる間隙、脱落、及び/又は他の欠陥を有し得るが、3Dモデルは、CT走査画像データ内の任意のそのような間隙、脱落、及び/又は欠陥が補填若しくは補正された、患者の気道、血管及びリンパ管の樹の平滑な表現である。以下でより詳細に記載するように、3Dモデルは様々な方向から視認することができる。例えば、臨床医が、患者の肺の特定の区分を視認することを所望する場合、臨床医は、3Dレンダリングで表される3Dモデルを視認し、患者の肺の特定の区分を回転させること及び/又はズームインすることができる。
【0037】
経路の計画中において、コンピューティングデバイス(例えば、
図1の80を参照のこと)は、患者の気道の3Dモデルを生成し視認するためのコンピュータ断層撮影(CT)画像データを利用し、3Dモデル上での標的組織の特定を(自動で、半自動で又は手動で)可能にし、かつ患者の気道を通る標的組織への1つ以上の経路の選択を可能にする。より具体的には、CT走査は処理され、3D体積へとアセンブルされ、その後、これを利用して、患者の気道の3Dモデルを生成する。3Dモデルは、コンピューティングデバイス80に関連したディスプレイモニタ上に、又は、任意の他の適切な方法で提示され得る。臨床医は、コンピューティングデバイス80を使用して、3D体積の様々なスライス及び3Dモデルのビューを提示及び/又は操作することができ、標的組織の特定、及び患者の気道を通って標的組織周辺のAVL管腔にアクセスする好適な経路の選択が容易になる。3Dモデルはまた、日付、時刻、及び治療に関する他の識別情報を含む、治療が以前に実施された位置の標識を示すことができる。いったん選択されると、この経路は、治療工程中の使用のために保存される。
【0038】
いったんAVL管腔への経路が決定されると、一次治療部位へのナビゲーションが始まる。EMNシステムは、治療標的部位までの1つ以上の経路を計画することと、位置調節アセンブリを標的にナビゲートすることと、位置特定可能ガイド(locatable guide,LG)、焼灼アンテナ、及び/又は高線量放射線(high dose radiation,HDR)近接照射療法デバイスなどの種々のツールを標的にナビゲートすることにおいて使用され得る。
【0039】
AVL治療工程のナビゲーション段階に先立って、計画段階に由来する3Dモデルは、患者の実際の肺と位置合わせされる。位置合わせの潜在的方法の1つは、電磁(electromagnetic,EM)センサを少なくともその葉の気道の第2の分岐まで患者の肺の各葉の中にナビゲートすることを伴う。EMセンサの位置は、この位置合わせ段階中に追跡され、3Dモデルは、患者の肺の実際の気道内のEMセンサの追跡された位置に基づいて、繰り返し更新される。この位置合わせプロセスは、Barakらによって2010年5月14日に出願され、「AUTOMATIC REGISTRATION TECHNIQUE」と題された、共同所有の米国特許出願公開第2011/0085720号、及びBrownらによって2015年7月2日に出願され、「REAL-TIME AUTOMATIC REGISTRATION FEEDBACK」と題された米国特許出願第14/790,581号に記載され、これらの各々の全内容は、参照により本明細書中に援用される。この位置合わせプロセスは、患者の実際の気道と3Dモデルの気道とを位置合わせすることに着目しているが、位置合わせはまた、患者の血管及びリンパ管の樹の位置が正確に決定されることも保証する。
【0040】
図1を参照すると、AVL治療システム10が、本開示に従って提供される。とりわけ、システム10を使用して実施され得るタスクは、標的組織への1つ以上の経路を決定することと、標的組織に位置付けアセンブリをナビゲートすることと、治療ツールを標的組織にナビゲートして治療ツールを使用して標的組織の治療を実施することと、治療が実施された位置をデジタル的に標識することと、1つ以上のエコー源性マーカーを標的組織又はその周囲に配置することである。
【0041】
システム10は、概して、患者を支持するように構成される手術台40と、患者の口及び/又は鼻を通して患者の気道の中に挿入するために構成される気管支鏡50と、気管支鏡50から受信したビデオ画像を表示するために気管支鏡50に結合される監視機器60と、追跡モジュール72、複数の基準センサ74、及び電磁場発生器76を含む追跡システム70と、経路計画、標的組織の特定、標的組織へのナビゲーション、及び標的組織の位置のデジタル的な標識を容易にするために使用されるソフトウェア及び/又はハードウェアを含むコンピューティングデバイス80とを含む。
【0042】
図1はまた、2種類のカテーテルガイドアセンブリ90、100を描写する。カテーテルガイドアセンブリ90、100の両方は、システム10と併用可能であって、いくつかの共通構成要素を共有する。カテーテルガイドアセンブリ90、100の各々は、延在したワーキングチャネル(extended working channel,EWC)96などのナビゲーションカテーテルに接続される、ハンドル91を含む。EWC96は、気管支鏡50のワーキングチャネルの中に配置するためのサイズに作られる。動作時、電磁(EM)センサ94を含む、位置特定可能ガイド(LG)92が、EMセンサ94がEWC96の遠位先端93を越えて所望の距離に延在するように、EWC96の中に挿入され、定位置に係止される。電磁場発生器76によって生成される電磁場内のEMセンサ94、及びそれと共に、EWC96の遠位端の位置を、追跡モジュール72及びコンピューティングデバイス80によって導出することができる。カテーテルガイドアセンブリ90、100は、異なる動作機構を有するが、それぞれ、回転及び加圧によって操作して、LG92の遠位先端93及びEWC96を操向できるハンドル91を備える。カテーテルガイドアセンブリ90の例としては、現在、Medtronic PLCによってSUPERDIMENSION(登録商標)Procedure Kitsの名称で市場に出回り販売されているものがある。同様に、カテーテルガイドアセンブリ100の例は、現在、Medtronic PLCによってEDGE(商標)Procedure Kitsの名称で販売されている。両キットは、ハンドル91、EWC96及びLG92を含む。カテーテルガイドアセンブリ90、100のより詳細な説明については、Ladtkowらによって2013年3月15日に出願された「MICROWAVE ABLATION CATHETER AND METHOD OF UTILIZING THE SAME」と題された共同所有の米国特許第9,247,992号(その内容全体が、参照により本明細書に援用される)を参照されたい。
【0043】
図1に示されるように、患者は、気管支鏡50が患者の口を通して患者の気道の中に挿入された状態で手術台40上に横たえられて示される。気管支鏡50は、照明源と、ビデオ撮像システム(明示的に図示せず)とを含み、気管支鏡50のビデオ撮像システムから受信したビデオ画像を表示するために、監視機器60、例えば、ビデオディスプレイに結合される。
【0044】
LG92及びEWC96を含むカテーテルガイドアセンブリ90、100は、気管支鏡50のワーキングチャネルを通して患者の気道の中に挿入するために構成される(但し、カテーテルガイドアセンブリ90、100は、代替として、気管支鏡50を伴わずに使用されてもよい)。LG92及びEWC96は、係止機構99を介して互いに対して選択的に係止可能である。例えば、Gilboaによって1998年12月14日に出願され、「WIRELESS SIX-DEGREE-OF-FREEDOM LOCATOR」と題された米国特許第6,188,355号並びに国際公開第00/10456号及び同第01/67035号に(これらの各々の全内容は、参照により本明細書中に援用される)開示されるものに類似する、6自由度電磁追跡システム70、又は任意の他の好適な位置付け測定システムがナビゲーションを行うために利用されるが、他の構成も想定される。追跡システム70は、以下に詳述されるように、カテーテルガイドアセンブリ90、100と共に使用し、EMセンサ94が患者の気道を通してEWC96と共に移動するとき、EMセンサ94の位置を追跡するように構成される。
【0045】
図1に示されるように、EM場発生器76は、患者の真下に位置付けられる。EM場発生器76及び複数の基準センサ74は、6自由度において、各基準センサ74の位置を導出する追跡モジュール72と相互接続される。基準センサ74のうちの1つ以上のものは、患者の胸部に取り付けられる。基準センサ74の6自由度座標は、センサ74によって収集されたデータを使用して基準の患者座標フレームを計算するアプリケーション81を含むコンピューティングデバイス80に送信される。
【0046】
EMセンサ94は、LG92に含まれるように上で述べられているが、EMセンサ94はまた、生検ツール102内に埋め込まれるか又は組み込まれ得、生検ツール102が、代替として、LG92又はLG92の使用に要求される必須のツール交換を必要とせずに、ナビゲーションのために利用され得ることも想定される。同様に、EMセンサ94はマイクロ波焼灼ツール104又は近接照射療法ツール108内に埋め込まれるか又は組み込まれ得、マイクロ波焼灼ツール104又は近接照射療法ツール108が、代替として、LG92又はLG92の使用に要求される必須のツール交換を必要とせずに、ナビゲーションのために利用され得ることが想定される。
【0047】
ナビゲーションの間、EMセンサ94は、追跡システム70と関連して、LG92又はツール102、104及び108のうちの1つが患者の気道を通して前進されるにつれて、EMセンサ94、及びそのためLG92、又は生検ツール102、マイクロ波焼灼ツール104及び/若しくは近接照射療法ツール108などの治療ツールの追跡を可能にする。LG92又はツール102、104、及び/又は108が患者内部の標的部位にナビゲートされるとき、感知されるEMセンサ94の位置がコンピューティングデバイス80上に表示されて、臨床医は計画段階で構築した経路をたどることができ、治療のための所望の標的に到達することができる。標的部位に到着後、LG92は除去され得、1つ以上のツール102、104及び/又は108の挿入が可能になる。
【0048】
LG92の標的へのナビゲーション及び除去に続き、カテーテルガイドアセンブリ90、100の中に挿入可能である生検ツール102も、
図1に示される。生検ツール102は、1つ以上の組織サンプルを標的部位から収集するために使用され得、一実施形態では、更に、追跡システム70と関連した使用のために構成されて、標的部位への生検ツール102のナビゲーションと、生検ツール102が組織サンプルを得るために標的部位に関して操作されるときに、生検ツール102の場所を追跡することを容易にする。同様に、マイクロ波焼灼ツール104は、LG92の標的部位へのナビゲーション及び除去に続いて、カテーテルガイドアセンブリ90、100に挿入可能となるように構成される。マイクロ波焼灼ツール104は、マイクロ波発生器106と共に動作されるように構成されて、例えば、マイクロ波エネルギーを使用して組織中のタンパク質を加熱して変性させることにより特定の組織の凝固及び死滅をもたらすことによって、標的部位の組織を治療する。マイクロ波焼灼ツール104は、種々のマイクロ波焼灼ツール及び/又はカテーテルのいずれかを含み得、例としては、米国特許第9,259,269号、同第9,247,993号及び同第9,044,254号、並びに米国特許出願公開第2014/0046176号及び同第2014/0046211号に更に詳しく記載され、全てLadtkowらにより2013年3月15日に出願され、「MICROWAVE ABLATION CATHETER AND METHOD OF USING THE SAME」と題されており、これらの各々の全内容は、参照により本明細書中に援用される。例えば、患者の体内に放射性シードを配置及び/又は移動させることによるなどの、HDR近接照射療法による治療を用いることによって、標的部位の組織を治療するために使用され得る近接照射療法ツール108も示される。近接照射療法ツール108は、放射性物質を収容するためのアフターローダ110と共に動作させられるように構成される。
図1では、生検ツール102、マイクロ波焼灼ツール104、及び近接照射療法ツール108として示されるが、当業者は、例えば、RF焼灼ツール、化学療法ツール、凍結融解壊死治療ツール、及びその他のツールを含む他のツールが、本開示の範囲を逸脱することなく同様に展開され、かつ追跡される場合があることを認めるであろう。
【0049】
一次治療(例えば、マイクロ波焼灼、高周波焼灼、局所的化学療法、放射線療法、外科手術、凍結療法、遺伝子療法、及び/又は高線量放射線近接照射療法)に続いて、再播種作用を防止するために、一次治療部位につながり、かつ一次治療部位からつながるAVL管腔は、例えばHDR近接照射療法を用いる二次治療を受けるが、他の治療方法もまた想定され、当業者は、このような他の治療方法が本開示の範囲を逸脱することなく用いられ得ることを理解するであろう。AVLの束に沿ったこのような治療は気道の開存性を保つが、再播種し、疾患の拡散をもたらすこれらの経路に追従している可能性のある疾患の細胞の構成要素を治療する。別の実施形態では、一次治療は、体幹部定位照射治療(SBRT)及び/又は画像誘導放射線治療(IGRT)などの体外照射療法、及び/又は縮小手術を含んでもよい。このような一次治療の後、AVL管腔は続いて、後述するような二次治療により治療され得る。したがって、一次治療及び二次治療は、単一の治療プロセスの一部である必要はなく、分離した治療プロセスであり得る。
【0050】
ここで
図2A及び
図2Bを参照すると、AVLの束に沿った治療を実施するための例示的な方法のフローチャートが示されている。
図2Aは、AVL治療工程の計画段階中に行われる方法の部分を示し、
図2Bは、AVL治療工程のナビゲーション段階中に行われる方法の部分を示す。
【0051】
この方法は、ステップS302で開始され得、ここで、コンピューティングデバイス80は患者の肺の画像データを受信する。上記のように、画像を様々な画像化モダリティを使用する様々な画像化デバイスから受信することができるが、説明のために、ここでの記載は、画像データとしてCT走査データを使用することになる。
【0052】
ステップS304では、コンピューティングデバイス80上で実行しているアプリケーション81は、患者の気道、血管及びリンパ管の樹の位置を、受信した画像データに基づいてマッピングする。例えば、アプリケーション81は、様々な画像処理及び領域成長の技術を使用して患者のAVL樹の位置を決定し、決定された患者のAVL樹の位置に基づいて患者のAVL樹のマップを生成することができる。このような画像処理及び領域成長の技術を使用するためのシステム、デバイス並びに方法の例は、Bharadwajらによって2015年8月10日に出願され、「TREATMENT PROCEDURE PLANNING SYSTEM AND METHOD」と題された同時係属出願第14/821,950号、及びMarkovらによって2015年6月30日に出願され、「SYSTEM AND METHOD FOR SEGMENTATION OF LUNG」と題された同時係属出願第14/754,867号において記載され、これらの各々の全内容は、参照により本明細書中に援用される。加えて、アプリケーション81は、患者の呼吸周期中の気道の動態に関するデータを使用して、患者のAVL樹の検出された位置の相違を補正することができる。患者の呼吸周期中の気道の動態を検出するためのシステム、デバイス及び方法は、Lev A.KoyrakhとOfer Barasofskyによって2016年9月1日に出願され、「RESPIRATION MOTION COMPENSATION FOR LUNG MAGNETIC NAVIGATION SYSTEM」と題された米国特許出願第15/254,141号に更に記載されており、その全内容が、参照により本明細書に援用される。
【0053】
その後、又はそれと同時に、アプリケーション81は、ステップS306で患者の気道の3Dモデルを生成する。3Dモデルは、ステップS302中に受信した画像データ、コンピューティングデバイス80上に以前に保存された画像データ、及び/又は以前に生成された患者の3Dモデルに基づき得る。次に、ステップS308で治療標的を特定する。これは、臨床医が画像データ及び/又は3Dモデルを視認し、3Dモデル上の標的部位を標識することによって手動で実施されてもよく、又は画像処理技術を用いて自動で実施されてもよく、それによって、アプリケーション81が、画像データ及び3Dモデルに基づいて潜在的な標的部位を特定する。特定された治療標的及び周辺組織は、一次治療部位として使用されることになる。
【0054】
治療標的が特定された後、アプリケーション81は、ステップS309において、どの血管及び/又はリンパ管の管腔が一次治療部位に及び/又は一次治療部位中を走行するかを決定するために、一次治療部位を更に解析する。その後、ステップS310において、アプリケーション81は、標的部位から周囲の気道を経由して気管に戻るまでの経路を決定する。いくつかの実施形態では、アプリケーション81は、気管から出発し、標的部位へと進行する経路を決定し得る。アプリケーション81は、3Dモデル上の特定された治療標的の位置を使用し、気道を通って気管へと至る経路を描く。アプリケーション81は、ステップS309で経路の一部として特定された血管及び/又は管腔に付随する気道を選択し得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、標的部位に及び/又は標的部位中を走行する2つ以上の血管管腔が存在し得る。したがって、アプリケーション81は、ステップS312において、治療標的の部位に対して追加の経路があるかを判定する。追加の経路は、標的部位に及び/若しくは標的部位中を走行する他の血管管腔に付随する気道、並びに/又は治療標的に極めて接近している他の気道を経由し得る。アプリケーション81が、治療標的の部位に至る追加の経路があると決定する場合、処理はステップS310に戻り、そこで、アプリケーション81は治療標的への別の経路を決定する。
【0056】
治療標的に至る追加の経路がない場合、処理はステップS314に進み、そこで、決定された各経路に対して治療パラメータが構成される。治療パラメータは、臨床医によって手動で構成されてもよく、及び/又はアプリケーション81によって自動的に構成されてもよい。例えば、アプリケーション81は、治療されている標的の種類、並びに経路の長さ、経路が通る管腔の幅、並びに気道と付随している血管及びリンパ管の管腔との間の距離などの経路の特性を考慮して、どの治療の種類が最も効果的になるかを決定し得る。最も効果的になる治療の種類を決定するための他の因子は、呼吸相(respirophasic)の様々な管腔間の配向と直径における変化、治療されている腫瘍若しくは病巣の種類、及び/又は治療されている疾患の状態を含み得る。治療パラメータは、治療の種類、治療時間、治療の速さ、ワット数、及び使用される治療デバイスの温度などを含み得る。例えば、近接照射療法ツール108が使用されるとき、治療パラメータは、近接照射療法ツール108の放射性シードが暴露される長さ、近接照射療法ツール108が患者の気道を通過する速さ、及び近接照射療法ツール108が再被覆される前に移動する必要のある距離を含み得る。マイクロ波焼灼ツール104が使用される別の例では、治療パラメータは、マイクロ波焼灼ツール104の焼灼アンテナが作動されるべき持続時間、アンテナが作動されるべき時機、アンテナが動作するように構成されるワット数、及びアンテナが動作するように構成される温度を含み得る。ここでは近接照射療法ツール108及びマイクロ波焼灼ツール104が例として言及されるが、AVL治療工程中に使用可能であるものとしても想定される多くの他の治療方法があり、そのため、これらの例は限定を意図するものではない。
【0057】
図2Aで示されるように、上述のステップS302~S314は、AVL治療工程の計画段階の一部を形成する。これらのステップの一部又は全ては、AVL治療工程のナビゲーション段階中に繰り返されてもよく、これらのステップは、ナビゲーション段階の開始に先立って少なくとも1回は実行されることになる。加えて、上記の参照によって援用される文献で開示されるように、様々な他のステップもまた、AVL治療工程の計画段階に含まれてよい。しかし、これらのステップは、上記の米国特許出願公開第2014/0281961号、同第2014/0270441号、及び同第2014/0282216号に開示されたような、ENB処置に対する計画の実施のためのステップと同一であるか、又は類似している。
【0058】
AVL治療工程の計画段階の完了後、臨床医はナビゲーション段階を開始し得る。計画段階の上記の説明と同様に、ナビゲーション段階の多数のステップは、説明を簡潔にする目的でここでは省略されるが、上記の米国特許出願第14/753,288号に記載されるようなEMN処置のナビゲーション段階の実施のためのステップと同一であるか、又は類似している。
【0059】
ナビゲーション段階は通常、アプリケーション81が、
図2BのステップS316に記載され、かつ
図4に示されるような治療標的への経路を含む3Dモデルのビューを表示して開始する。その後、気管支鏡50、EWC96、LG92並びに/又はツール102、104及び108が、患者の気道に挿入される。続いて、又はそれと同時に、ステップS318において、アプリケーション81は、例えば、EM追跡システム70を用いることによって、患者の気道内部のEMセンサ94の位置を決定する。EMセンサ94が患者の気道の所々にナビゲートされる間、ステップS318は繰り返し反復される。
【0060】
ナビゲーション段階中、コンピューティングデバイス80は、例えば、AVL治療工程のナビゲーション段階と同時に、若しくはナビゲーション段階中の合間に実施されるコーンビーム断層撮影(cone beam computed tomography,CBCT)走査、及び/又は超音波走査から、患者の肺の追加の画像データを受信することができる。このような追加の画像データの受信後、アプリケーション81は、追加のデータに従って3Dモデルを更新することができる。アプリケーション81はまた、EMセンサ94の位置に関するデータなどのナビゲーション段階中に収集したデータに基づいて、3Dモデルを更新することができる。更に、ステップS320において、アプリケーション81は、表示される3Dモデルのビューを更新して、(1)患者の気道内部におけるEMセンサ94の決定された位置、及び(2)ステップS314中に構成された治療パラメータに基づく治療域を表示することができる。
【0061】
治療がステップS314で構成された治療パラメータに従って実施される場合、治療域は、治療デバイスによって治療されることになる領域に対応する。例えば、治療デバイスが近接照射療法ツール108である場合、治療域は、近接照射療法ツール108が事前に設定された速さで気道に沿って移動する場合に、放射性シードによって照射されることになる気道周辺の組織の領域に対応することになる。同様に、治療デバイスがマイクロ波焼灼ツール104である場合、治療域は、マイクロ波焼灼ツール104が事前に設定されたパラメータに基づいて作動される場合に、アンテナによって焼灼されることになる気道周辺の組織の領域に対応することになる。一実施形態では、治療域は、経路の途中にある気道に付随する血管及びリンパ管の管腔を含む。
【0062】
アプリケーション81はまた、患者の呼吸周期に関するデータを使用して、患者の呼吸周期の様々な段階中の患者の気道の動態を補正することができる。例えば、アプリケーション81が、患者の呼吸周期が特定の段階にあることを決定する場合、アプリケーション81は、その時点で表示されるEMセンサ94の位置が不正確である可能性があることを臨床医に通知するアラートを提示することができ、また、患者の呼吸周期が、EMセンサ94の位置が正確に表示され得る異なる段階になるまで、所定の時間、臨床医が更にナビゲートしないことを提案することができる。
【0063】
別の実施形態では、アプリケーション81が、患者の呼吸周期が特定の段階にあることを決定する場合、アプリケーション81は、患者の呼吸周期の特定の段階に基づく患者の気道の既定の生理学的変化に基づいて、表示される3Dモデルのビューに対してEMセンサ94の表示される位置を調整する。更に別の実施形態では、アプリケーション81が、患者の呼吸周期が特定の段階にあることを決定する場合、アプリケーション81は、患者の呼吸周期の特定の段階中の患者の気道の既定の生理学的変化に基づいて、表示される3Dモデルのビューを調整して、EMセンサ94の表示される位置が、3Dモデル上に表示されるように気道内に残存するように、患者の呼吸周期の特定の段階中に発生する既知の生理学的変化を補正する。
【0064】
EMセンサ94が治療標的にナビゲートされる間、ステップS318及びS320は繰り返し反復され得る。治療標的に到達して、EMセンサ94が治療標的の近傍にナビゲートされ、一次治療部位に到着したとき、EMセンサ94の配置を、CBCT及び/又は透視走査を使用することなどによって確認して、EMセンサ94が実際に治療標的の近傍にあることを検証することができる。その後、ステップS322において、アプリケーション81は、臨床医からのユーザ入力を受信して治療を開始する。上記のように、いくつかの治療方法が想定され、治療の順序は、治療方法に応じて変動し得る。例えば、いくつかの実施形態では、一次治療部位、すなわち、治療標的の標識部位は、肺葉切除、切除、及び/又は肺容量減少術などの外科的処置、並びに高周波(RF)焼灼、マイクロ波焼灼、化学療法、遺伝子療法、HDR近接照射療法、及び/又は当業者に公知である任意の他の関連する治療などの他の種類の治療などによって最初に治療され得る。治療標的への経路を、一次治療部位の治療が完了した後に治療してもよい。別の実施形態では、治療標的への経路をまず治療し、その後に一次治療部位を治療してもよい。
【0065】
更に別の実施形態では、血管及び/又はリンパ管の管腔の位置は、放射線不透過性物質を治療標的及び/又は治療標的につながる管腔に注入すること、並びにどの血管及び/又はリンパ管の管腔が治療標的から出ているのかを決定するための撮像法を使用することによって特定されてもよい。例えば、一次治療部位から出るリンパ節の位置は、蛍光染料及び/又は他の放射線不透過性材料を使用することなどによって決定されてもよい。次に、このようなリンパ節を、化学療法薬剤及び一次治療部位の治療前又は後のいずれかにて注入され得る他の薬剤のための注入部位として使用することができる。加えて、一次治療部位から出ているリンパ管の管腔を、上記の第2の治療方法を使用して治療してもよく、かつ/又は一時的に若しくは永続的に遮断して、癌性細胞がリンパ系を介して一次治療部位から拡散することを防止し、注入された化学療法薬剤を一次治療部位に局在させ続けてもよい。この方法を使用して、指向性の化学療法治療を、一次治療部位及び一次治療部位につながるリンパ節の両方に適用することができる。
【0066】
一次治療部位につながる及び一次治療部位からつながる管腔の走行パターンを決定することによる、リンパ管の管腔を介した一次治療部位の上述した治療方法と同様にして、血管系も同様に使用することができる。一次治療部位につながる1本以上の動脈を介する一次治療部位の指向性及び/又は局所的治療は、化学療法薬剤をその動脈に注入することによって実施され得る。
【0067】
説明のために、一次治療部位を最初に治療し、次に治療標的への経路をHDR近接照射療法で治療する場合の例を以下に記載する。ステップS324において、アプリケーション81は、一次治療部位の治療が完了しているという指示を受信する。この指示は、臨床医がアプリケーション81のボタンを手動で選択することに由来してもよく、又は使用された治療ツール及び/又は構成された治療パラメータに基づく自動的な決定であってもよい。いくつかの実施形態では、一次治療部位とAVLの束の二次治療に対して異なる治療方法が使用される場合、一次治療部位の治療に使用される治療ツールは除去される必要があり得、それから、一次治療部位の治療の完了後及び二次治療前に挿入される、AVLの束の二次治療に使用される治療ツールは起動し得る。例えば、一次治療部位の治療方法にマイクロ波焼灼ツール104が使用され、AVLの束の二次治療に近接照射療法ツール108が使用される場合、マイクロ波焼灼ツール104は除去される必要があり得、マイクロ波焼灼プロセスの完了後及びHDR近接照射療法治療プロセスを開始する前に挿入される近接照射療法ツール108。別の例では、一次治療部位の治療とAVLの束の二次治療のために異なる種類の化学療法が使用される場合、化学療法治療ツールは、治療と治療の間に交換される必要があり得る。
【0068】
その後、アプリケーション81は、臨床医が二次治療を開始するためのプロンプトを表示する。上記のように、二次治療は、一次治療又は体内を通しての自然な疾患進行の一部のいずれかの結果としての腫瘍物質の拡散及び/又は再播種の主要な経路の局所的治療に照準をあてている。一次治療がマイクロ波焼灼である場合、エネルギーの印加と組織の適切な凝固に続いて、二次治療はHDR近接照射療法を含んでもよい。上述のような近接照射療法ツール108の配置に続いて、例えば、近接照射療法ツール108の放射性シードなどの治療ツールをAVLの束を治療するための経路に沿って移動させることによって二次治療が開始し得る。例えば、これは、最も遠位の組織(疾患を持つ組織を有する可能性が最も高い)を最初に治療するため、及び臨床医によって適切であると判断されるような標的部位から離れた未治療の組織をそのままにしておくために、近接照射療法ツール108を標的部位から気管に向かって身体の中心に移動させることを含んでもよい。
【0069】
近接照射療法ツール108の移動中、ステップS326において、アプリケーション81は、治療パラメータ及び治療時間に基づいて、表示される3Dモデルのビューを更新し得る。いくつかの実施形態でEMセンサ94がツール102、104及び/若しくは108、又はEWC96などのカテーテル内に埋め込まれる場合、ツール102、104及び/若しくは108、又はEWC96の決定された位置もまた使用され得る。例えば、3Dモデルの更新されたビューは、AVLの束の治療の進捗を示してもよい。ステップS328において、アプリケーション81は、構成された治療パラメータ及び治療の持続時間に基づいて、経路の治療が完了しているかどうかを判定する。アプリケーション81が、経路の治療が完了していることを決定するとき、アプリケーション81は、近接照射療法ツール108の放射性シードを再被覆することなどによる治療ツールを停止するための臨床医へのアラートを表示し得、それから、処理はステップS330に進み得る。アプリケーション81が、経路の治療がまだ完了していないと決定した場合、処理は、ステップS326に戻る。この決定はまた、治療を止めてアプリケーション81が次のステップに進むように差配している臨床医によって手動で実施されてもよい。
【0070】
アプリケーション81は、ステップS330において、治療されるべき追加の経路があるかを判定する。治療されるべき追加の経路がある場合、処理はS316に戻り、そこで、アプリケーション81は、治療標的への次の経路を示す3Dモデルのビューを表示する。アプリケーション81が、治療されるべき更に追加の経路がないと決定した場合、処理は終了する。
【0071】
本明細書ではナビゲーション中にLG92を使用することとして主に記載されているが、EMセンサ94は、EWC96に挿入される、及び/又はEWC96それ自体に組み込まれる異なる種類のツールに、代替的に又は追加的に組み込まれてもよい。ツールにおけるこれらのEMセンサ94は、それらの位置の追跡を可能にし、かつツールのナビゲーションを支援する。LG94と同様に、ツール上のEMセンサ94の追跡された位置は、患者の胸部、並びにそこに位置する気道、血管及びリンパ管の樹の3次元(3D)モデル上に視覚的に示され得る。3Dモデル及び/又は2D画像、並びに計画された経路を基準とした患者の体内にあるEMセンサ94の位置は、気道の周辺、及びそれと共に患者のAVL樹のナビゲートにおいて、臨床医を支援する。以下に詳述されるように、ツール102、104、及び/又は108は更に、ツール102、104、及び/又は108の標的組織までのナビゲーションを容易にするための追跡システム70に関連した使用と、標的組織を治療するために標的組織に関してツールが操作されるときに1つ以上のツール102、104及び108の位置を追跡することと、標的組織が治療される位置を標識することのために構成され得る。
図4は、AVL治療工程のナビゲーション段階中にアプリケーション81によって表示され得る例示的なユーザインタフェース216を示す。ユーザインタフェース216は、気管支鏡ビュー470、仮想気管支鏡ビュー472、及び3Dマップ動的ビュー482などの様々なビューを含み得る。気管支鏡ビュー470は、気管支鏡50から受信したリアルタイムの画像を臨床医に提示する。気管支鏡ビュー470により、気管支鏡50が患者の気道を通って一次治療部位へとナビゲートされるときに、臨床医が患者の気道をリアルタイムで視覚的に観察することが可能になる。
【0072】
仮想気管支鏡ビュー472は、3Dモデルから生成された患者の気道壁の3Dレンダリング474を臨床医に提示する。仮想気管支鏡ビュー472はまた、方向の指標を提供するナビゲーション経路476を臨床医に提示し、その方向に沿って、臨床医は一次治療部位に到達するために、ナビゲートする必要がある。臨床医が進むべき所望の経路を容易に決定し得るように、ナビゲーション経路476は、3Dレンダリング474と対照的な色又は形状で提示され得る。加えて、内部に気管支鏡50が配置される気道に付随する血管管腔は、血管管腔478によって示されるような、3Dモデルの仮想気管支鏡ビュー472の一部として表示され得る。同様に、内部に気管支鏡50が配置される気道に付随するリンパ管管腔は、リンパ管管腔479によって示されるような、3Dモデルの仮想気管支鏡ビュー472の一部として表示され得る。
【0073】
3Dマップ動的ビュー482は、3Dモデルから生成される患者の気道の動的な3Dモデル484を提示する。動的3Dモデル484の配向は、患者の気道内のEMセンサ94の動きに基づいて自動的に更新して、臨床医に、標的452への経路上にはない気道分岐によって、比較的閉塞されていない動的3Dモデル484のビューを提供する。加えて、気道樹に付随する血管管腔は、血管管腔478によって示されるような、3Dマップ動的ビュー482の一部として表示され得る。同様に、気道樹に付随するリンパ管管腔は、リンパ管管腔479によって示されるような、3Dマップ動的ビュー482の一部として表示され得る。
【0074】
ここで
図3に戻ると、コンピューティングデバイス80のシステム図が示されている。コンピューティングデバイス80は、メモリ202、プロセッサ204、ディスプレイ206、ネットワークインタフェース208、入力デバイス210、及び/又は出力モジュール212を含み得る。
【0075】
メモリ202は、プロセッサ204によって実行可能であり、コンピューティングデバイス80の動作を制御するデータ及び/又はソフトウェアを記憶する任意の非一過性のコンピュータ可読記憶媒体を含む。一実施形態では、メモリ202としては、フラッシュメモリチップなどの1つ以上のソリッドステート記憶デバイスを挙げることができる。代替的に、又は、1つ以上のソリッドステート記憶デバイスに加えて、メモリ202としては、大容量記憶制御装置(図示せず)及び通信バス(図示せず)を介してプロセッサ204に接続された1つ以上の大容量記憶デバイスを挙げることができる。本明細書で記載するコンピュータ可読媒体の説明はソリッドステート記憶を指すが、当業者は、コンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサ204がアクセスすることができる任意の利用可能な媒体とすることができることを理解するであろう。すなわち、コンピュータ可読記憶媒体としては、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール又は他のデータなどの情報の記憶のために任意の方法又は技術で実行される非一過性、揮発性及び不揮発性、取り外し可能及び取り外し不能媒体が挙げられる。例えば、コンピュータ可読記憶媒体としては、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ又は他のソリッドステートメモリ技術、CD-ROM、DVD、Blu-Ray又は他の光記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置、又は、他の磁気記憶装置、又は、所望の情報を記憶するために使用することができ、コンピューティングデバイス80がアクセスすることができる任意の他の媒体が挙げられる。
【0076】
メモリ202は、アプリケーション81及び/又はCTデータ214を記憶し得る。アプリケーション81は、プロセッサ204によって実行されると、ディスプレイ206にユーザインタフェース216を提示させ得る。ネットワークインタフェース208は、有線ネットワーク及び/又は無線ネットワークから成るローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、無線携帯電話ネットワーク、ブルートゥース(登録商標)ネットワーク、及び/又は、インターネットなどのネットワークに接続するように構成され得る。入力デバイス210は、例えば、マウス、キーボード、フットペダル、タッチスクリーン、及び/又は、音声インタフェースなど、ユーザがコンピューティングデバイス80と相互作用することができる任意の装置であり得る。出力モジュール212としては、例えば、パラレルポート、シリアルポート、ユニバーサルシリアルバス(USB)、又は、当業者に知られている任意の他の同様の接続ポートなど任意の接続ポート又はバスを挙げ得る。
【0077】
本開示のいくつかの実施形態を図面で示してきたが、それによって本開示が限定されることを意図するものではなく、本開示が当該技術分野で可能な限り広い範囲を対象とすること、及び本明細書も同様に解釈されることが意図されている。したがって、上述の説明は、単に特定の実施形態の例示として解釈すべきであり、限定するものとして解釈すべきではない。本明細書に添付の請求項の範囲及び趣旨を逸脱しない他の修正は、当業者ならば想到するであろう。